公文書改竄の国家賠償請求訴訟 国が全額支払いで真相解明から逃げる

森友事件での公文書改竄で自死した赤木俊夫さんの妻雅子さんが、事件の真相を知るために国と当時の理財局長を相手どり損害賠償を求めている裁判で、12月15日に国は突如、賠償金を全額支払うことを明らかにし、裁判が終わることになった。賠償請求金額は1億700万円。

国賠訴訟は、その90%が原告敗訴となるのが通例で、死刑冤罪事件でも裁判で認められないケースがほとんど。森友事件でも、財務省の公文書改竄に対して検察は不起訴としており、改竄に犯罪性を認めてはいないし、財務省も身内調査で解決済みとしているだけで、再調査には応じていない。1億700万円の原資は税金であり、国はそう簡単に全額認諾などという解決方法は出来ないはずであり、原告もお金を欲しているわけではない。にもかかわらず、全額支払いを認めて早く裁判を終結したいのは、真相を闇に葬りたいという政府の下心の表れであり、何とも納得しがたい態度である。

雅子さんは、こういった国の態度に「ふざけんなと思う」「夫がなぜ死んだのかを知りたい」「また国に殺された」と憤りをあらわにした。

かつて郵便不正事件で冤罪被害者の村木厚子氏が、同じく事件の真相を知るために国賠訴訟を提起したものの、議論を嫌った国が簡単に全額、3,770万円の支払いを認諾し、決着したこともあった。当時村木氏は、「簡単に認諾されないように、もっと請求金額を大きくして、真相を明らかにしたかった」と語っていた。

この例があったことから、雅子さんは1億円以上の請求をしたにもかかわらず、国の態度は村木氏の時と同じである。自分たちに都合の悪い国賠訴訟は簡単に認諾し、そうでないものはとことん裁判で争い、判例に沿って裁判所は原告敗訴の判決を下すというパターンがいかに多いことか。

雅子さんは、元理財局長の佐川宣寿氏にも550万円の損害賠償を求めており、こちらはまだ続くことになるが、少しでも真相が明らかになることを願いたい。

2021年12月15日 柳澤 修

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