完全護憲の会・会員ブログ


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最高裁の限界が露呈された「原発事故に国の責任なし」

3.11東日本大震災で福島第一原子力発電所が全電源喪失という未曽有の事態となり、1号機から4号機が危機的状況になった事故から11年が経過。福島県民はその間多大な被害を受けてきたが、その被害に対する損害賠償は東電が国の支援を受けて行っている。これに対して、被災者が国の責任を求めていた4件の集団訴訟の最高裁判決が6月17日にあり、最高裁は国の責任は認めない判決を下した。

判決の要旨は、政府機関が2002年に公表した地震予測「長期評価」に基づいて東電が2008年に実施した試算と比べ、東日本大震災の津波は規模が大きく、襲来した方角も想定と異なったと指摘。「国が想定に基づいて東電に対策を取らせても、大量の海水が主要建屋に浸入して同様の事故が起きた可能性がある」というもの。

国が国策として電力会社に原発をつくらせ、経産省及び原子力安全保安院という組織が深く関与していた背景も顧みず、ただただ民間の電力会社に責任を押し付けるのが正しい選択ということを判例として残してしまったことになる。ちなみに4件のうち3件の高裁判決では国の責任が認められていたのであるから、残念ながらこれが最高裁の限界と言わざるを得ない。官民挙げて「安全神話」を作り上げてきたにもかかわらず、いざ事故が起こればすべて電力会社が悪く、国には責任がないという論理を最高裁は容認する結果になった。

日本の裁判所、特に最高裁は「統治行為論」、すなわち「国家統治の基本に関する高度な政治性」を有する国家の行為については、司法審査対象外としているのが実態。これは憲法81条の「法令などの合憲性審査権」を放棄しており、これ自体違憲なのだが、原発問題のような、国が積極的に関与してきた政策は政治性が強く、これに沿った判断しかできないのが最高裁の限界。「国策」として官民一体で進めてきた原発政策に対しても、まともな審判ができないのだ。したがって、津波予想に応じた高さの防潮堤を造っていても、事故は避けられなかったという単純な結論になっている。

第2小法廷の4人の裁判官のうち、検事出身の三浦裁判官だけは国の責任を認めたが、他の3人の多数意見だったとのこと。草野・岡村両判事は多彩な経歴があるので期待したが、裁判官出身の菅野裁判長に引っ張られたのか。

いずれにせよ、国の責任を認めない判決しか出せない最高裁がある限り、日本における法の支配はまだ闇の中だ。

2022年6月20日  柳澤 修

「安全保障」で「平和」は創れない ――「安倍9条改憲」の本質

※2019年5月に掲載したブログを再録します。
(弁護士 後藤富士子)

1 現在焦眉の急となっている「安倍9条改憲」案は、憲法9条1項2項には手を触れず、「9条の2」として次のような条文を加えるという。その1項は「前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置を執ることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。」とし、第2項は「自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。」である。すなわち、自衛隊は「自衛の措置をとるための実力組織」であって、9条2項が保持しないとしている「戦力」ではないから、「自衛隊を憲法に明記するだけで何も変わらない」と説明される。
 これに対して、9条、とくに2項の制約が自衛隊に及ばなくなり、9条2項が死文化する、という批判がされる。法律論としては、そのとおりであるが、もっと重大な問題がある。9条は、日本国憲法第2章「戦争の放棄」に定められているのに対し、「安倍9条改憲」案は、第2章のタイトルを「安全保障」と書き換える。「戦争の永久放棄」から「安全保障」へタイトルが変わることは、「何も変わらない」どころではなく、「重大な変質」を思わざるを得ない。

2 ドイツの神学者であるディートリヒ・ボンヘッファー牧師は、1934年にデンマークのファーネで行った「教会と世界の諸民族」という講演の中で、「平和」と「安全」は違う、「安全」の道を通って「平和」に至る道は存在しない、と述べている。その1節を引用すると、
「いかにして平和は成るのか。政治的な条約の体系によってか。いろいろな国に国際資本を投資することによってか。すなわち、大銀行や金の力によってか。あるいは、平和の保証という目的のために、各方面で平和的な再軍備をすることによってであるか。違う。これらすべてのことによっては平和は来ない。その理由の一つは、これらすべてを通して、平和と安全とが混同され、取り違えられているからだ。安全の道を通って〈平和〉に至る道は存在しない。なぜなら、平和は敢えてなされねばならないことであり、それは一つの偉大な冒険であるからだ。それは決して安全保障の道ではない。平和は安全保障の反対である。安全を求めるということは、〔相手に対する〕不信感を持っているということである。そしてこの不信感が、ふたたび戦争をひきおこすのである。 (さらに…)

2022年5月11日 | カテゴリー : ①憲法 | 投稿者 : 後藤富士子

9条護憲論の再検討・再構築を

                        草野 好文(完全護憲の会会員)
(かながわ憲法フォーラム会員)

 ウクライナ・ロシア戦争の展開に勢いづく改憲勢力
ロシアのウクライナ軍事侵攻とその後のウクライナ・ロシア戦争の展開が、日本の改憲をめぐる政治情勢に重大な影響をもたらしている。
改憲・軍事力増強派は、この事態を自らの主張の正しさを立証するものとして勢いづいている。安倍晋三元首相などは「核共有」という核武装論まで唱え、政権党である自民党は「敵基地攻撃」態勢の構築や防衛費(軍事費)予算をGDPの2%超とすべきなどと主張し、憲法9条が世界の現実といかにかけ離れた空論であるかを喧伝している。
連日報道されるウクライナの惨状を見せられた国民の多くは、一気にこうした流れに吸引されてしまうのではないか、と恐れる。
ロシアのような大国が小国ウクライナに侵略するという事態が現に起こっていること、このロシアの侵略に対してウクライナは、「国民総動員令」を発令し軍事力をもって対抗、簡単に陥落するであろうと予測された首都キエフを防衛し、ロシア軍を一時的にせよ首都包囲から後退させたこと、東部でこそ劣勢を余儀なくさせられてはいるが、侵攻を受けてから50日余も持ちこたえ戦線を膠着状態にまで持ち込んでいることなど、現時点ではまさに軍事力での対抗こそがウクライナ国家を防衛し、国民の犠牲を最小限に止めうる正しい選択であったかを証明しているかのようである。
こうした現状を踏まえれば、改憲・軍事力増強派が勢いづくのも当然と言えば当然と言える。
問題なのは、憲法9条の下に自衛隊が存在するという矛盾を抱えつつも、9条だけは変えることなく保持したいと「願望」してきた国民の多くが、こうした状況に吸引され9条改憲の流れが一気に加速してしまうことである。

あらためて憲法9条が問われている
こうした危機的状況に対して、9条擁護を掲げる護憲勢力は、適切な対応ができていないのではないかと危惧する。
目下の護憲派の主張は、ロシアのウクライナへの侵略を糾弾し、即時の停戦を訴えることにとどまっており、あらためて憲法9条が問われている、という自覚が乏しいように思われる。侵略を糾弾し、反戦を訴え、即時の停戦を訴えることは正しい。不可欠の (さらに…)

2022年5月4日 | カテゴリー : ①憲法 | 投稿者 : 草野 好文

米欧の二重基準について   

福田玲三

 193ヵ国で構成される国連総会は32日、ロシアを非難し、ウクライナからの即時撤退を求める決議案を141ヵ国の賛成で採択した。反対はロシア、北朝鮮など5ヵ国。棄権は中国、インド、南ア、キューバなど35ヵ国。無投票がギニア、モロッコなど12ヵ国。

 ついで、国連総会の緊急特別は三月二十四日、ウクライナへの人道支援とロシアの侵攻の責任を示した決議案を賛成140ヵ国、反対5ヵ国、棄権38ヵ国、無投票10ヵ国で採択した。

 さらに、国連総会は四月七日、ロシアのウクライナ侵攻を巡る緊急特別会合で、人権理事会(47ヵ国)におけるロシアのメンバー資格を停止する決議案を、日本、米欧など93か国の賛成で採択した。反対はロシア、中国、キューバなど24ヵ国、棄権はインド、ブラジル、南アなど58ヵ国、無投票は18ヵ国で、賛成以外は100にのぼった。

 これまで採択された三回の決議案のうち、賛成国は第1回で141ヵ国、第2回で140ヵ国に比べ、第3回では93ヵ国に激減した。ウクライナの首都郊外でロシア軍による虐殺の疑いが報じられた後のことだった。これにはマスメディアも衝撃をうけ、「棄権58ヵ国 温度差も」(朝日新聞)あるいは「ロシア追放決議 国連を分断」(東京新聞)の見出しで、その激減を報じた。

 米欧はこれまでベトナム、イラク、アフガンで、民主主義を口実にした侵略を重ね、いずれも相手国に甚大な被害を残したまま、撤退している。その恥ずべき過去を反省することなく、今回のウクライナ戦でロシア軍の行為を一途に非難する二枚舌を、アフリカ、アジア、中南米の諸国は知っているから、米欧の煽動に乗らないのだ、乗れないのだ。それが西側の宣伝に冷淡になり、国連の分断にまで行きついている。この世界の現実に注視すべきではないか。

 ワシントン発の情報を、日本のマスコミはいつまで無批判に拡散し続けるのだろうか。419日)

 

2022年4月20日 | カテゴリー : ⑦戦争 | 投稿者 : 管理人

防衛費倍増を批判する

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、政府・自民党は防衛費の大幅増を目指している。政府が検討する敵基地攻撃能力の保有を視野に、自民党安全保障法調査会は現在の国内総生産(GDP)1%程度から2%へ引き上げる案を今後の論点整理として示した。2%なら米国と中国に次ぐ規模になる。(東京新聞44日)

 日本は今重大な岐路にさしかかっている。一発即発の危機をあおりながら防衛費倍増の道に進むか、隣国との相互理解を深めて平和の道に進むかだ。

 前者の道に進めば、絶えず隣国への敵意と憎悪をあおり、仮想敵国との軍備拡大競争に走らざるを得ない。軍備の拡大は、抑止力の確保を口実にして行われるが、常に相手の出方を伺いながら、戦々恐々としてくらしつつ、かならず戦争の暴発をまねいたことは、歴史の教えるとおりだ。

 戦争になれば、交戦両国は、甚大な人的物的な加害を競い、非人道的な惨状を眼前に展開しつつも、もはや後戻りできない。戦争に敗北すればもちろん、勝利しても、莫大な犠牲を払い、核戦争を予測すれば、交戦両国民は生き残れないかもしれない。 

 後者の道を選択する場合には、日本は過去におかした加害の歴史を反省することから始まるだろう。日本は中国の全土を侵略し、膨大な犠牲を強いた。そしてまた朝鮮を植民地支配したあげく、無謀な太平洋戦争に敗北し、その結果、朝鮮半島は南北に分断され、同胞相争う禍根を招いている。その罪を償うためには、長い年月にわたり誠意を示さなければならない。それは日本の次世代へ、負担ではなく、幸福をもたらすものだ。

 すなわち、二度とアジアの隣国と戦争をしないという幸福をまねくのだ。絶対に、戦争を開始してはならない。それがこの度のウクライナ戦争の教訓だ。日々のニュースは交戦両国の被害をなまなましく伝えている。この戦争は両国に何も利益を与えていない。戦争しないで平和に話し合う可能性はあったはずだ。どこかに両国の間に真意の誤解があったはずだ。

 日中国交回復50周年を今秋むかえるに当り、中国、韓国、北朝鮮と相互理解を深めることを提案したい。かつて、アジアの共産化を防ぐと米国の開始したベトナム戦争は、米国の敗北に終わった、その後、両国は平和に共存している。何も戦争をする必要はなかったのだ。

 敵意をあおり戦争を開始し、人殺しに血道をあげる努力に代えて、相互理解を図り、平和を守る努力こそ、最も人類に相応しい選択だ。  福田玲三(414日)

2022年4月15日 | カテゴリー : ⑦戦争 | 投稿者 : 管理人

「夫婦同姓」から「夫婦別姓」へ ――現行法制度の何が問題なのか?

(弁護士 後藤富士子)

1 「夫婦別姓」は「男女平等」とは別の原理
 中国や韓国は、戦前から「夫婦別姓」である。結婚によって同姓を選択できない。それは、家父長制(父系家族)と儒教思想が合体した産物であった。妻は実父の姓を名乗り、結婚しても、夫の父系家族の中に入れない。「婚姻家族」の一員とされないで、どこまでいっても「父の家系の娘」なのである。
 同じ文化圏にある日本で、なぜ「夫婦同姓」になったのか、不思議である。日本では、江戸時代まで苗字をもつ階級は一部に限られ、農民や商人など大部分の人は主に下の名前だけで通していた。明治になって戸籍制度と連動して苗字の公称が必要となり、「苗字+名前」という新しい呼び方が確立された。そして、夫婦の姓については、武士や公家の特権階級の慣行にならい、「妻は原則として所生の苗字を名乗る」とされ(1876年太政官指令)、夫婦別姓が採用された。しかし、2年後の民法草案で「妻は夫の姓を名乗る」とされ、1898年に明治民法が成立して「夫婦同姓」原則がつくられた。別姓から同姓へ転換した理由として、日本では血統よりも「夫婦一体の生活実態」が強く意識されたためと説明されている。
 ところで、西洋でも家父長制の時代はあったが、儒教ではなくカトリックの影響で、「夫婦同姓」になったのではないかと推測している。カトリックでは「離婚の自由」は認められず、「父の娘」という地位よりも、「夫の妻」という婚姻が優先的価値をもったからではないか。実際、法律上、妻は夫の所有物のように扱われている。そう考えると、明治民法の「夫婦同姓」は、まさに「文明開化」(脱亜入欧)の一端だったのではなかろうか。
 こうしてみると、「夫婦別姓」は「男女平等」と無関係であることが分かる。ちなみに、「夫婦別姓」が「男女平等」原則から作り直されたのは、中国の1950年婚姻法が最初である。

2 「選択的夫婦別姓」という設計
 現行の「夫婦同姓」強制制度について、「婚姻の自由を侵害する」とか、「別姓を選択できないことが問題だ」「別姓も選べる法制度を」という立法政策に基づき、「選択的夫婦別姓」制度が1996年に法制審議会で示されて4半世紀が経過している。それでも未だ法改正に至らないのは、なぜか?
 私は、現行の「夫婦同姓」強制制度の何が問題なのかについて、立案者に見当違いがあるのではないかと思っている。 (さらに…)

2022年4月11日 | カテゴリー : ⑩ その他 | 投稿者 : 後藤富士子

選挙演説での「ヤジ排除裁判」で憲法違反判決

2022年3月25日札幌地裁は、2019年の参議院選挙の応援演説をしていた当時の安倍首相に対して、「安倍辞めろ」「増税反対」などのヤジを飛ばした男女が、北海道警の違法な排除を受け、憲法に保障された「言論・表現の自由を侵害された」として道に損害賠償請求した訴訟の判決で、原告の訴えを全面的に認め、88万円の賠償を命じた。

判決は表現の自由について「民主主義社会を基礎づける重要な権利であり、公共的・政治的表現の自由は、特に重要な憲法上の権利として尊重されるべきだ」と指摘。原告らのヤジは公共的・政治的表現行為だと認めた。さらに、警察官らは原告らのヤジが安倍氏の演説の場にそぐわないものと判断して「表現行為そのものを制限した」と結論づけた。

今国際社会の関心はウクライナ戦争で、特にロシアでは「戦争反対」を叫ぶこともできない「表現の制限」社会となっており、日本もまた太平洋戦争中は極端な「表現の制限」を経験した。また現在でも日本の表現の自由度は国際的にも低ランクと言われる中、至極真っ当な判決ながら、大ニュースにならざるを得ない現状である。

この判決の新聞社のネット報道を見ると、朝日、毎日、東京などは専門家の意見を載せるなど大きく扱っているが、読売は事実のみ、産経は記事さえ見つからない有様で、新聞社が最も関心を寄せなければならない政権批判などの「表現の自由」に対する矜持が全く感じられないのは残念としか言いようがない。

なお、排除された原告は警察官7名を刑事告発していたが、札幌地検は違法性はなかったとして不起訴処分としていた事件。全国の警察はこの判決を重く受け止めるとともに、地検の不起訴処分を根拠に、間違っても控訴などしてはならない。

2022年3月26日 柳澤 修

2022年3月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : o-yanagisawa

映画『侵略』シリーズを作成した「上映委員会」ニュースより(2)

3,「次は日本だ! 台湾が第二のウクライナになる」

ロシアのウクライナ侵攻をもって「中国の『力による現状変更』に弾みがつき、台湾への軍事進攻の危機は高まった」との論調が強まっている。岸田政権だけでなく、メディアも「次は日本だ。台湾は第二のウクライナ」などと言い立てている。読売新聞の世論調査(3,4~3,6)では、「ロシアの力による一方的な現状変更が、日本の安全保障上の脅威につながると思う」と、81%が答えている。この流れに“悪乗り”する形で、安倍晋三や維新の「核共同保有(核シェアリング)」発言も出てきた。

これらが、反中・嫌中の世論を基底にした、何ら事実に基づかない〝フェイク扇動“であることは明らかだ。

基本的なことは、ウクライナは主権独立国家である、一方、台湾は国際的にも中国の領土の一部として認定されていること、である。台湾は、米・日ともに1972年に中国とそれぞれに結ばれた「共同宣言」で「一つの中国」として確認されており、国連にも加盟していない。したがって、中・台問題は中国の内政問題であり、ロシア・ウクライナ問題との基本的な違いである。

🔷中国に「停戦仲介」役を‼

その上で、中国のウクライナ戦争についての基本的立場について見ておこう。

ロシアのウクライナ侵攻が始まった翌日の2月25日「王毅外相のウクライナ問題についての中国の五つの立場」(2,26中国外交部WEBサイト・日本語版)である。

➀各国の主権と領土の一体性を尊重・保障し、国連憲章の目的と原則を誠実に遵守するべき。

②安全保障は他国の安全保障を犠牲にしてはならない。地域の安全保障は軍事グループの強化または拡大によって保証されるべきではない。北大西洋条約機構(NATO)の5次にわたる東方拡大を受け、ロシアの安全保障に関する正当な訴えは重視され、適切に解決すべき。

③すべての当事者が自制を保ち、大規模な人道危機を防止すべき。

④ウクライナ危機の平和的解決に資するあらゆる外交努力を支持する。

⑤国連による武力行使と制裁を認める安全保障理事会決議に反対する。

 

①は、明らかにロシアのウクライナ軍事侵攻が国連憲章違反にあたり、中国として「支持しない」立場を表明している。

②は、前述したOSCEの二つの宣言を守るべきだとの立場だ。NATOの東方拡大と対ロ軍事強化に反対するロシアの主張・懸念を明確に理解している。

この二つの立場は、国連憲章の尊重と非同盟主義を貫く中国の外交の基本的立場であり、日本では「ロシアを支援する“悪”の中国」のイメージばかりが強調されているが、実際には「国連ロシア非難決議」には、同じ非同盟主義をとるインドとともに「棄権」に回っていることは、周知の通りだ。

③④⑤は、平和的解決に向けた外交努力こそが、この問題の解決につながるとの中国の立場を表しているが、そこで、ウクライナのクレバ外相が、3月1日、王毅外相に電話し、ロシアの侵略を止めるために中国に「停戦仲介」役を依頼したことが明らかにされている。

実は中国はウクライナと、浅からぬ関係を持つていることは、あまり知られていない。ウクライナにとって中国は最大の貿易相手国であるとともに、「一帯一路」へ参加し、2021年9月には首都キエフから中国・西安への直通列車も開通している。また、中国が2012年に初めて就航させた空母「遼寧」は、旧ソ連時代のウクライナで建造されたものだ。

こうして見ると、中国のしたたかな国際的な立ち位置がわかる。日本政府・メディアは、いつまでも反中・中国脅威論にこり固まっていてはならない。本当に戦争を止めたいのであれば、制裁論議に明け暮れるのではなく、中国に「停戦仲介」役を演じてもらうよう、働きかけてはいかがか?

それこそが、憲法前文にある「国際社会において名誉ある地位」を得ることになるのだと思う。(了)
福田

2022年3月16日 | カテゴリー : ⑦戦争 | 投稿者 : 管理人

映画『侵略』シリーズを作成した「上映委員会」ニュースより(1)

映画『侵略』シリーズを作成した「上映委員会」からニュース3.1号が届きました。この号にウクライナ戦争について森正孝氏が書かれていますので、参考資料として、以下に紹介します。

 ロシアのウクライナ侵略戦争を糾弾する!軍隊を直ちに撤退させろ

ロシアのウクライナ攻撃は、明白な侵略戦争である。

国連憲章(第2条4)「武力による威嚇又は武力の行使も、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、慎まなければならない」に待つまでもなく、ロシアのウクライナ攻撃は、国連の憲章違反だ。さらに国連総会決議における「侵略とは、国家による他の国家の主権、領土保全若しくは政治的独立に対する、又は国際連合の憲章と両立しないその他の方法による武力の行使である」(1974年「侵略の定義に関する決議」)に、そのまま当てはまり、明らかな侵略戰爭であり、糾弾されなければならない。直ちにロシアは、軍を撤退させなければならない。

 🔷現下のウクライナ反戦平和への違和感……‟ロシアは悪! 西側は善!

今、世界は、ウクライナへの戦争反対!ウクライナへ平和を! が、大きなうねりとなってロシア戦争政策への非難がごうごうと渦巻いている。日々TVで映し出されるウクライナの被害者たちの悲嘆を見るにつけ、私は一刻も早いロシア軍の撤退を求める‼ ささやかながら、この反戦・反侵略・ウクライナに平和!の動きに身を置くものの一人だ。

しかし……このところの繰り返されるメディアこぞっての「反プーチン・反ロシア」宣伝、果ては「悪魔プーチン」「狂気プーチン」との‟ヘイトスピーチ”まがいの報道や、一方での‟米国をはじめ西側は善!”とする一連の報道・世論を見るにつけ、私は少なからぬ違和感を抱かざるを得ない。正直、「ウクライナに平和を!」と叫ぶことにも、いささかの躊躇感さえ覚える。

以下、この私の抱く違和感の要因ともなっている三点について述べてみたい。一つは「侵略と規定した米日政府」、二つは「ロシアのウクライナ侵略の原因」、そして、三つは「次は日本だ。台湾が第二のウクライナになる」論についてである。

1,「侵略」と規定した米日政府……。

EUにも先立って、このロシアの対ウクライナ侵攻を「侵略」と規定したのは米国バイデンだった。続いて、岸田首相がそれをなぞった形で「ロシアによる明白な侵略だ」と断定した。その限りでは、前記した通り、その通りだ。ロシアのウクライナ侵攻は侵略戦争だ。

 🔷どのツラ(面)さげて「ロシアは侵略した」と言えるのか

しかし、……。この両者(米日)に、どの面(ツラ)下げて、それを言えるのか! なんとまあ白々しい‼……と思うのは、私独りではあるまい。

それを言うなら「私たちもかつては侵略戦争を行いました。その点につきましては、カクカクシカジカ反省しておりますが、それを踏まえて、このたびのロシアの……」の能書きくらい言え‼ と言いたい。

まだ記憶に新しいイラク戦争……周知の通り、「イラク・フセイン大統領が大量破壊兵器を隠し持っている」とのデマ(フェイク)を白昼堂々国連の場で演説し、世界にフェイクをばらまいた上で、イラク侵略戦争に突入した。そしてフセインを殺し政権を倒した。そのフェイクに乗ったイギリス、オーストラリアはじめ30数か国(日本も自衛隊をサマワに派兵)の軍隊が、20万人以上の無辜のイラクの人々を殺した!米兵も4000人以上が殺されている。

ひとかけらの正当性も大義もなく、文字通り国連決議にいう「国家による他の国家の主権、領土保全若しくは政治的独立に対する武力の行使である」以外のなにモノでもないイラク戦争。侵略そのものだ。しかし、これを「侵略」と呼んだ国があったのか‼ 世界世論は、今のロシアに対するように、米国のこれを「侵略戦争」と言ったのか!

世界は、大国アメリカの言いなりに動いた。(因みに、この時、米国のイラク戦争に明確に反対した国は、ロシアであり、中国、ベトナム、そして仏、独だけだった) この時、確かに世界各地で反戦運動が展開されたが、今のようにメディアもこぞって「反米」「反ブッシュ」を叫んだか! 「悪魔のブッシュ」を叫んだか‼ 否!である。それともナニか???……イラク人の悲しみは、ウクライナ人の悲しみよりも軽い、とでもいうのであろうか‼

 🔷「侵略の定義は定まっていない」という日本政府!

日本政府も然りだ。イラク戦争への加担もそうだが、つい70数年前の朝鮮植民地支配、そして日中戦争・アジア太平洋戦争について、これを明確に「侵略」と規定しているか!

安倍晋三政権に至っては、侵略戦争を謝罪した村山富市首相談話について「内閣としてそのまま継承しているわけではない」と言い、「侵略という定義は学会的にも国際的にも定まっていない。国と国との関係でどちらから見るかで違う」と述べ、さらに国会質問主意書への答弁では、同様「国際法上のについては確立された定義を含めお答えすることは困難であり、確立された定義があるとは承知していない」と。

これは、以降の外務省の公式見解にもなっていて、岸田政権でも修正されていない。ならば、なぜプーチン・ロシアの戦争を「侵略」と規定できるのか。

米日両政権の言う「ロシアのウクライナ侵略」の白々しさ、手前勝手さには辟易する。例えは適切ではないが「自分がやれば恋愛、他人がやれば不倫」の類よりも、もっと酷く醜い。

 2,米のイラク侵略や日本のアジア侵略は、被害者側には、一切の責任(侵略される原因)は無いが、ロシアのウクライナ侵略は、ウクライナ政権を含む米国・NATO側に相応の責任(原因)がある!

ロシアのウクライナ侵略には、ウクライナを含め米国・NATO西側にも責任(原因)がある。むろん、前述したようにどのような理由があろうとも、それが侵略である以上、その軍事行動を正当化できない。そのことを前提にした上で、なぜロシアはウクライナ侵攻を行ったかについて考えなければならない。この戦争の根本的解決(原因を取り除くために)にもそれが必要だ。

問題はやはり、米国のNATOの東方への拡大政策にある。

 🔷ワルシャワ条約機構は解体したが、NATOは残した (略)

 🔷二つの宣言と『悪魔』プーチンの発言!

この動きに対してロシア側は、一定の‟制約”に動いてきた。それが次の二つの宣言である。1999年に署名した欧州安全保障協力機構(OSCE)による「イスタンブール首脳宣言」と2010年の「アスタナ首脳宣言」である。

日本にはあまり馴染みのないこの欧州安全保障協力機構(OSCE)は、冷戦終結後の全ヨーロッパでの紛争防止や紛争の解決へ向けた機関として生まれ、現在、57ヵ国、米国やウクライナはむろん、ロシアも加盟している。

OSCEで出された上記二つの宣言の共通した約束は、「各国は、軍事同盟を結ぶ選択・変更の権利を有するとともに、各国は中立の権利も有する。同時に、参加国は、他国の安全保障を犠牲にする形で安全保障を強化しない。」なっている。当然この宣言には米国やNATO諸国そしてロシアも署名している。

 

実は、この間、ロシア側が米国・NATO側に対しての批判の根拠となっているのが、上記下線部分である。いわく「この宣言にある約束は、法的拘束力がありそれを遵守すべきだ。米国・NATOはそれを守っていない。ロシアの安全保障に脅威をもたらす形で、ウクライナのNATO加盟誘導、及び軍事力のウクライナ駐留とミサイル配備を行っている」と。

『悪魔』プーチンの発言は、次のように明快だ。

――「米国・NATOの軍事ブロックは、軍事施設・基地を当方に1インチ たりとも拡大しないという約束を、破った(1991,3,6「NATO 東方不拡大」についての米英仏独外相ボン会議合意、及び,90,2,9 ベーカー米国務長官のゴルバチョフソ連大統領への「 NATO 東方不拡大」の約束の反故)。今日、 NATOはポーランド、ルーマニアそしてバルト3国にいる。我々を騙したのだ。そして今、弾道ミサイル迎撃装置がルーマニアに展開され、ポーランドにも展開されようとしている。この装置はトマホークを発射できるMK-41発射装置だ。つまり、迎撃ミサイルだけではなく、ロシア領の数千キロをカバーできる攻撃ミサイルだ。これは我々の脅威ではないか。そして今、彼らは次のステップはウクライナだといっている。私の言うことを注意深く聞いてほしい。ウクライナの文書には、必要ならば武力ででもクリミアを取り戻したいと書いてある。ウクライナがNATO加盟国になれば、ポーランドやルーマニアと同じように、ウクライナに攻撃兵器が配備されるだろう。ウクライナが NATO加盟国として軍事作戦行動を開始することを想像してみてほしい。我々はどうするのか。 NATOブロックと戦うのか。明かに答えは「ノー」だ。」(2022,3,3 プーチン・ウクライナ問題記者会見『朝日』と浅井基文webサイト参照)――

要約すれば、プーチン・ロシアの要求は次の2点である。

➀米国など西側はウクライナのNATO加盟を認めない。②米国など西側はウクライナに軍事力を駐留させず、攻撃型のミサイルも配備しない、である、しかし、米国バイデンはこれを拒否しつづけてきた。それが、ロシアをしてウクライナ東南部2州の独立承認からウクライナ侵攻に踏み切らせた直接の原因となったのである。

ついでに言うならば、2015年以来、米国はウクライナとの合同軍事訓練を4回行っている。さらに、昨年8月から9月にかけて、ウクライナのゼレンスキー大統領が訪米し、バイデンとの間で軍事協力文書を結び、バイデンはウクライナに対して6000万ドルの追加軍事援助を発表した。同年10月にオースティン国防長官がウクライナを訪問し、ウクライナのNATO加盟を力説している。

仮に、米国の隣国カナダやメキシコで、ロシアが軍事演習を行い、さらにカナダやメキシコに武器援助を行ったとしたら、米国はどう思うか‼ しかも、ロシア一国ではない。世界の70%以上の軍事費を有した30ヵ国が束になり、敵対的な行動をとった時、米国はどう脅威に感ずるのか?! 答えは想像するまでもない。

しかし……だからと言ってロシアのウクライナ攻撃が許されるわけでないことは、前述して通りだ。ロシアは、直ちに戦争を停止し軍隊を引き揚げねばならない。そして、直ちに米国・NATO諸国との対話を始めるべきだ。どのように時間がかかろうとも、対話による交渉(外交)以外に解決の道はないことを強く訴えたい。そのことでの中国の役割に期待したい‼

3,「次は日本だ! 台湾が第二のウクライナになる」!? 

福田

2022年3月13日 | カテゴリー : ⑦戦争 | 投稿者 : 管理人

ロシアのウクライナ侵攻を日本の核武装・核共有に結び付けるな

自民党の安倍晋三元首相は2月27日のフジテレビ番組で、「北大西洋条約機構(NATO)加盟国の一部が採用している、米国の核兵器を自国領土内に配備して共同運用する“核共有”政策について、日本でも議論すべきだ」との考えを示し、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ「世界の安全がどのように守られているのか。現実の議論をタブー視してはならない」と述べた。(2022.02.27共同通信)

ロシアのウクライナ侵攻は、プーチン大統領による長期独裁政権が、主権国家の自由と安全を武力で圧殺する蛮行である。しかも、自国の核兵器使用も辞さない脅しをかけ、世界中に脅威を煽っているのは、最早狂気の沙汰であり、どのような理由があるにせよ、国連憲章、国際法破壊への挑戦であり、決して許容できるものではない。ロシア軍の即時撤退による停戦を祈るばかりである。

さて、このロシアのウクライナ侵攻に伴い、日本国内では右派勢力を中心に核武装論が盛り上がりつつある。冒頭の記事は、安倍元首相の極めて不適切な発言である。1年少し前まで8年間も首相をつとめた人物のこうした発言を聴くにつけ、この浅薄な人間を日本政治のトップに据えていたことの情けなさを思わずにはいられない。

岸田首相は3月2日の参議院予算委員会で、「自民党の内外、そして世の中に様々な意見があることは承知しているが、政府において“核共有”は認めない。議論は行わない」と明確に答弁し、非核三原則を堅持していくことを強調した。曖昧な答弁が多いとされる岸田首相であるが、この答弁については評価すると同時に、安倍氏等右派勢力や日本維新の会などの一部野党の圧力には、断固とした態度で撥ねつけることを期待したい。

唯一の被爆国として、核の脅威を最も身近に経験した日本は、平和憲法を定め、その下に非核三原則(持たず、作らず、持ち込まず)を国是として掲げてきた。核共有は、アメリカの核兵器を日本に配備し、アメリカの許可又は了解のもとに、日本が核兵器の運用を担うことである。中国を仮想敵国としているアメリカにしてみれば、日本が希望すれば核共有を容認する可能性も十分にある。核共有によって「持たず、持ち込まず」がなくなり、非核三原則は完全に放棄されるのである。核共有により「抑止力」が強化されるという推進派の意見は全く的外れで、核共有によりアメリカと軍事的に一体化した日本は、平和的な外交努力が通用しなくなり、最初の攻撃目標となるだけである。

ロシアのウクライナ侵攻で日本が思い出さなければならないのは、90年前に日本が犯した中国での蛮行である。柳条湖事件を故意に仕組んで満州事変を勃発させ、これに乗じて中国東北部を占領し、そこに傀儡の満州国を建国したのである。「満蒙は日本の生命線」と勝手に解釈した関東軍の暴走を日本政府は止められず、軍の暴走は激しさを増す。国際連盟総会で日本の軍事行動が42対1(1は日本)で正当性が否定され、ついには連盟を脱退し、世界的に孤立していく。現在進行形のロシアのウクライナ侵攻に酷似する構図である。

かつて日本も同じような蛮行を行い、その結果被爆という大きな犠牲を払い、今の平和憲法ができたことを胸に刻むときである。決して核武装や核共有などという言葉を軽々に使うべきでないことを肝に銘じるべきである。

2021年3月6日  柳澤 修

2022年3月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : o-yanagisawa
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