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違憲性に対する緊急警告

緊急警告044号   専守防衛を否定する敵基地攻撃能力の保有は許されない

pdf 緊急警告044号

2020年8月4日、自民党のミサイル防衛に関する検討チームが、安倍首相に「他国領域内への打撃力保持」を含む抑止力向上のための提言を行い、首相は記者団に「提言を受け止め、しっかり新しい方向性を打ち出し、速やかに実行していく」と表明した。

杜撰な立地選定や住民への説明不足で候補地が決まらず、さらに技術的に大きな欠陥があることも発覚して、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備計画が頓挫した。4,500億円以上の巨費が見込まれた計画で、その費用対効果も不明な計画の中止は喜ばしいことと思っていた矢先、代替として唐突に出てきたのが上記の提言である。

「他国領域内への打撃力保持」と表現は変えているものの、意味するところは「敵基地攻撃能力の保持」である。河野太郎防衛大臣が計画中止を発表したのが6月15日。その後の1か月半の、まさにコロナの第二波が日本中に拡大している最中に、こうした危険極まりない提言を作り、首相がこれを受け取り、政府で検討すると約したのである。

「敵基地攻撃能力」とは、日本が攻撃を受けたあるいは攻撃を受けそうな国の軍事基地を先制又は予防のために攻撃し、その国の領域内で軍事施設や武器を破壊し、自国を守る軍事的能力のことである。今までの専守防衛とは全く違う概念である。

そもそも、日本は憲法9条によって永久に「戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認」を規定している。この9条の下で、専守防衛論の立場を1956年の鳩山一郎首相の答弁を基軸として、自民党の長期政権は一貫して政府見解としてきた。その見解とは、

「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います」

しかし、自民党はあえて引用していないが、鳩山答弁には後段がある。すなわち、

相手国領域内の基地をたたくことが防御上便宜であるというだけの場合を予想し、安易にその基地を攻撃するのは、自衛の範囲には入らない

と釘を刺しているのである。

この答弁から見ても、「敵基地攻撃論」はこの歴代自民党政府の「専守防衛論」さえ反故にし、東アジアの緊張激化を扇動するものだ。

そして、国連憲章もまた、以下の通り自国に向けた「武力攻撃が発生した場合」に限り、対抗手段としての武力攻撃を認めているが、先制攻撃や予防攻撃は禁止しており、国際法違反となる。

国連憲章第51条の条文は次の通り。

「この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持または回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基づく権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。」

以上の通り、先制攻撃や予防攻撃は国内法、国際法のいずれにおいてもできないのである。

自民党は第二次安倍政権下で2度、敵基地攻撃能力の検討を提言してきたが、さすがに安倍政権もこれを採用してこなかったのであるが、今回「イージス・アショア」の頓挫をチャンスと捉えたのか、歴代防衛大臣等国防族議員を中心とする前記検討チームが、代替案の一つとして出してきたのが「敵基地攻撃能力」なのである。おそらくは、安倍首相あるいはアメリカからの何らかの指示なり圧力があってのことではないかと推測される。

さて、百歩譲って鳩山首相の前段の答弁を認めたとして、「攻撃してきた」あるいは「攻撃してきそうな」をどうやって判断するかである。

2003年3月、アメリカはイラクに先制攻撃を仕掛け、イラク戦争が始まる。その時の大義は「大量破壊兵器の存在」であったが、結局大量破壊兵器は見つからなかった。世界最高水準の軍事的情報力・技術力を持つアメリカでさえ、確実な情報を掴むのは至難の業なのである。

そんなアメリカと軍事同盟を結び、盾(専守防衛)と矛(敵国攻撃)の役割分担をしてきた日本の情報力や技術力で、他国が攻撃を仕掛けてくることを察知できるのか。あるいは攻撃してきた場合、それが日本領土めがけてきているかを瞬時に判断できるのか。いずれの場合も非常に難しく、不可能に近いと言わざるを得ない。「イージス・アショア」計画の頓挫に見られるような無計画性や技術力・情報力のない日本にそんな高度な能力は期待できず、時間と金の無駄である。

安倍政権は、憲法の解釈変更によって安保法制を強引に成立させた時も、中国・北朝鮮の軍事力増強の脅威をあげ、「日本の領土と日本人の生命・財産を守っていくのは政府の責務」と強調してきたが、多くの国民が求めているのは軍事力の増強ではなく、平和的な対応と外交努力である。

日本の対東アジア外交は、北朝鮮はもちろんのこと、韓国とも戦後最悪の状況と言われ、米中関係悪化のあおりを受けて、いつ日中関係が悪くならないとも限らない。アメリカ一辺倒の追随外交の故に、東アジア諸国との外交は空白状態が続いている。これを平和的話し合いで改善する事こそが、最大の自国防衛であることを政権は認識し、不断の努力を傾注すべきである。「敵基地攻撃能力」という暴挙によって、戦争の惨禍を再び繰り返してはならない。

2020年8月15日

緊急警告第043号       安倍政権の国会軽視・憲法蹂躙を放置してはならない

「意味のない質問だよ」
2020年2月12日の衆議院予算委員会において、立憲民主党の辻本清美議員が「桜を見る会前夜祭」疑惑について鋭く追及した直後にあった、閣僚席からのヤジ。

ヤジを発したのは内閣総理大臣の安倍晋三である。このヤジをめぐって委員会は当然にも紛糾した。野党は首相のヤジを、「国会を冒とくし、国会の行政監視機能を否定するもの」と厳しく抗議し、謝罪・撤回を要求。

2月17日、安倍首相は「今後閣僚席からの不規則発言は厳に慎む」と「反省」の姿勢を示したが、首相の閣僚席からのヤジはこれに限ったことではなく、何度も繰り返されてきた。与党が絶対安定多数を占めるなか、安倍首相には、そもそも国会審議は煩わしいもの、価値のないものという、国会軽視の姿勢が見え見えなのである。一国の政府のリーダーとして、全く恥ずべきことである。 (さらに…)

緊急警告第042号        検察庁法改悪案を廃案にせよ

「#検察庁法改正案に抗議します」
1人の女性のSNSによる#(ハッシュタグ)付きのつぶやきが、瞬く間に数百万のツイートに拡散し、新型コロナ禍でデモや集会ができない中、ネットデモが形成され、国民的なうねりとなって、検察庁法改悪案の通常国会での成立を政府に断念させた。

何故これだけ多くの国民が抗議したのか。SNSで抗議した俳優、井浦新氏の次の言葉が象徴している。

もうこれ以上、保身のために都合よく法律も政治も捻じ曲げないで下さい。この国を壊さないでください」

「モリ・カケ・桜」に代表される政治の私物化、虚偽答弁、文書の隠蔽・改竄・廃棄、安倍一強で何も言えない与党政治家と忖度官僚の増殖。そんな中、またぞろ出てきた自らの保身のための黒川検事長定年延長と検察庁法改悪問題。国民はいい加減嫌気がさしており、SNSでの拡散が引き金になり、元検事総長ら検察OBによる反対表明も相まって、世論の大きなうねりが生まれ、法案成立を断念させたのである。 (さらに…)

緊急警告041号       新型コロナの緊急事態時、国民の生活を守れ

新型コロナウィルスの感染拡大が続く中、緊急事態宣言が発せられ、それに基づき、密集・密閉・密接の三密を避けるための不要不急の外出自粛要請が全国に出されている。その結果、飲食業・観光業等接客業の経営は壊滅的な状況にあり、さらに学校も長期休校が続き、保育・幼稚園・小中髙学校から大学に至るまで教育環境は崩壊寸前となっている。

先の見えないなか、全産業と経済への影響拡大は必至であり、事業の縮小・廃業・倒産と、それに伴う大量の雇用喪失が発生すると予測される。 (さらに…)