違憲性に対する緊急警告

違憲性に対する緊急警告

緊急警告055号「旧優生保護法」による人権侵害被害者への国家賠償を実施せよ

 2021年8月3日、神戸地裁は旧優生保護法(以下「旧法」)の下で、障碍を理由に不妊手術(以下「優生手術」)を強制的に実施された5人の国家賠償(以下「国賠」)訴訟の判決で、旧法を違憲(憲法13条、14条、24条違反)と指摘し、国会議員が速やかに優生条項を改廃しなかった「立法不作為」を違法とする初めての判断を示し、原告に憲法17条で保障された国賠請求の権利があることを認めた。ただし、不法行為から20年が経過すれば請求権が消滅するという民法の除斥期間が経過していることを理由に国賠は却下した。(2021.08.04朝日新聞)

 旧法は、らい予防法と同じく、国家による人権侵害を正当化してきた悪法である。旧法が施行されたのは1948年であり、「基本的人権の尊重」を高らかに謳った日本国憲法が施行された1947年の翌年である。しかも、この悪法が「母体保護法」として改正されたのが1996年であり、半世紀にわたり憲法に反する人権侵害がまかり通っていたのである。

 旧法の問題点は、言うまでもなくナチズムにも通じる優生思想にある。

 旧法第1条は、法の目的を、

「この法律は、優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、

     母性の生命健康を保護することを目的とする。」

と定め、第2章「優生手術」の各条項で知的障害、精神疾患、遺伝性疾患などを持つ障碍者の本人同意がない場合でも、「優生審査会」の判断で強制的に優生手術ができるとしていた。日本国憲法の「基本的人権の尊重」と相容れない優生思想を堂々と掲げるような法律が半世紀もの間存続したことは、日本における障碍者への偏見・差別の解消が遅れた要因の一つでもある。 (さらに…)

緊急警告054号 夫婦同姓を強要する法規を合憲とした最高裁判決に抗議する

 2021年6月23日、最高裁大法廷は、夫婦同姓を強要する民法750条及び戸籍法74条1号が、憲法24条に違反するものではないとして、原告らの訴えを退けた。

原告である事実婚カップル3組の訴えは、それぞれが同意して別姓で婚姻届けを提出したが、役所が民法750条及び戸籍法74条により受理しなかったことから、憲法24条で保障された「婚姻の自由」及び「法の下の平等」を定めた憲法14条に反するとして、憲法判断を求めた訴訟である。

憲法24は、第1項で「婚姻は両性の合意のみで成立し、夫婦が同等の権利を有する」とし、第2項で「婚姻に関する法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して制定されなければならない」としている。 (さらに…)

緊急警告053号 「重要土地利用規制法」の乱用を許すな

 「この土地・建物は米軍辺野古基地建設反対運動の拠点になっている可能性があるので、施設の所有者や利用者の個人情報や利用状況を調査し、利用を制限する」

 こんなことが堂々とできるような危険性のある法律が、今国会で自公与党と一部野党によって強行成立させられた。

「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(以下「重要土地利用規制法」)がその法律で、会期最終日の6月16日に参議院で可決・成立した。

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 緊急警告052号「出入国管理及び難民認定法」改悪案の成立を許すな

今年3月に名古屋出入国在留管理局の収容施設でスリランカ人女性が亡くなり、その死亡経緯に不審な点があることから支援団体が法務省に報告を求め、中間報告が公表された際の記事である。頻繁に面会していた支援団体は、面会のたびに体調が悪くなっていることから、「点滴を打ってほしい」と訴えていたとの記事もあった。(2021.4.8朝日新聞)

収容施設が適切な医療処置をとっていなかった疑いが出ており、国会でも問題になっている。今国会で法務省は、「出入国管理及び難民認定法」(入管法)改悪案を提出し、会期中の成立を目指しているが、外国人を含めた人権擁護を所管する省庁である法務省及び出入国在留管理庁(入管庁)の人権に対する姿勢が問われている。

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緊急警告051号 尖閣諸島をめぐる緊張の緩和を図れ 

去る 2 1 日に中国が海警法を施行したことを機に、尖閣諸島沖に中国海警局の公船が侵入 したというニュースが相次いでいる。日本政府は 2 25 日、外国公船が尖閣諸島への「上陸 を目的として島に接近した場合」(読売・2/26)「危害射撃」が可能になる場合があるとの見解 を示すまでに至った。 

尖閣をめぐり日中間の緊張が高まっている今、この問題の経緯を振り返る必要があろう。 

1972 年、田中角栄首相が訪中して日中国交を樹立した際、周恩来中国総理が「『これ(尖閣問 題)を言い出したら、双方とも言うことがいっぱいあって、首脳会談はとてもじゃないが終わ りませんよ。だから今回はこれは触れないでおきましょう』と言うと、田中首相も『それはそ うだ。じゃ、これは別の機会に』と応じ、交渉はすべて終わり日中共同声明が実現したといわ れ て いる 」〔 横浜 市立 大 学名 誉教 授の矢 吹 晋氏 によ る〕(丹 羽 宇一 郎 元中国 大 使 東洋 経済 ONLINE 2017/09/29)。  (さらに…)