完全護憲の会ニュース No.36 2016年12月10日

                <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>

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        目次 ①第35回例会の報告            1p
           ②第32回 編集委員会の報告(略)     1p
           ③当面の日程について           2p
           ④ 別紙1 政治現況報告        2p
           ⑤ 別紙2 事務局報告         3p
 
           第35回 例会の報告

11月27日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で第35回例会を開催、参加者8名。入会者 計58名。
 司会を草野編集委員長が担当し、脚の手術で再入院された岡部共同代表の病状報告を受けたのち、事務局報告(別紙)を福田共同代表が行った。
 ついで次のような意見が交わされた。
 「リーフレット2(政治現況報告集)には11月、12月の報告原稿を加える必要があり、岡部さんの病状回復を待って発行したらどうか」「年内発行かどうかの判断は編集委員会に一任する」
 「天皇が長野の満蒙開拓記念館を私的に訪問されたことは評価するが、『天皇退位』の問題には障らぬ方がよい」「天皇が国民に触れることや女系天皇を容認することは、天皇神格化を防ぐために有効だ。護憲派は積極的に関与すべきだ」「意味がない。他に大切なことがある」「沈黙は合意と取られかねない」「9条の会から発言のないのは不思議だ」「天皇の退位発言は違憲だという人もいるが、天皇の人権もある」「象徴天皇は圧倒的に受け入れられ、若い人に親しまれている。その政治力学を考慮すべきだ」「長期的には天皇制離れによって消滅してほしい」
 「マッカーサー原案では天皇元首だった。それが国内論議で、国民主権となり、天皇が象徴になった意味は大きい。だが一番大切なのは国民主権だ」「天皇を元首にせず、象徴を守り抜く運動をすべきだ」
 「自衛隊OBの会議では南スーダン派遣に反対の意見が出た」「今のミサイル防衛システムは全く無効だ」「軍事費削減で年金を維持できる。野党は護憲で連合すべきだ」など。

<別紙 1>
           政治現況報告      2016年11月27日

               岡部太郎共同代表(元東京新聞政治部長)

 大番狂わせ 米大統領に共和党トランプ氏
         
 4年に1度の米大統領選は再選で満期の民主党オバマ大統領の後継者、クリントン女史(元国務長官、クリントン元大統領夫人)が当選確実と思えた。共和党の対抗馬トランプ氏のあまりにも常識外の発言に、共和党の幹部も次々に反対に回ったからだ。もともとタカ派の財界人の同氏は反イスラムの強烈な闘士であり、入国拒否や強制出国を強調した。また不法入国者の多いメキシコ移民を国外追放、あるいは同盟国の日本、韓国、ドイツ、南アフリカにも米国の防衛増に負担を求め、核の傘に対しても自己保持を求めるなど、これまでの米国の防衛、外交政策を根本から変える発言を繰り返していた。余りにも非常識な発言で識者の反発も受け、選挙戦のスタートからクリントンのリードを許してきたが、半年経った後半戦ぐらいから五分五分となってきた。そして11月8日の投票日、投票総数はクリントンが百万票多かったものの、米中部の接戦地域で軒並みトランプ陣営、共和党が逆転した。大統領選では各州の代議員の過半数を取れば、全代議員を取る州がいくつもあり、そんな状況がトランプの勝ちを呼んだ。また実質的にクリントンの余りにも常識的な政策が民主党の若者を中心に反発を呼び、隠れトランプの票を呼び込んだとの見方がある。確かに世界のひとびとから全体的に力の政策、右翼の政策が支持される傾向があり、最近では、イギリス保守党のEC離脱勝利、日本での小池都知事の無所属の圧勝、またドイツ、オランダ、ポルトガルなど右派系の勝利が目立っている。
このトランプ勝利は、アメリカの伝統政策の力を弱めるとみられ、世界中に外交や軍事・防衛など安全政策にも変化をもたらすと見られる。日本でも早速、安倍首相は11月18日にトランプ氏と会談した。これは元々タカ派だけに、右寄り政策、安保政策などで、これまでの日米政権より密着することになりそうだ。これまでは、イラク戦争での共和党ブッシュ政権と小泉内閣が軍事協力に熱心だったが、それ以上に世界をまたに掛けた日米軍事協力が展開することになろう。それだけに太平洋、中近東、対中国などで世界的緊張が強まりそうだ。ただトランプ氏は安倍首相との会談でも以前の話より慎重になっており、同じ激烈さを外交、軍事で発揮することは少ないと思われる。またトランプは経済問題でアメリカの一国保護主義を強化し、なかでもTPPには強く反対を進めてゆこう。これらの問題でも、世界との調和という点はむつかしくなりそうだ。
                     (入院先より12月2日届けられたもの)

<別紙 2>

           第35回例会 事務局報告

                  福田玲三(事務局) 2016.11.27

1) 来信、珍道世直氏より
 
 いつも大切なニュースをお送りいただき心から感謝いたしております。
 岡部共同代表様のお怪我が早く治られるよう願っております。岡部様の「政治現況報告」は、それ自体で素晴らしい内容だと、いつも読ませていただいております。それに「今後の展望」を加味されるということは素晴らしいことですが、どうかご無理されませんよう願っております。
 「皇室典範」のことは、その通りだと思います。
 私の提訴している「閣議決定・安保法制違憲訴訟」に係る名古屋高裁第1回口頭弁論が去る11月8日開廷されました。
 国から次のような答弁がありました。
 『控訴人が指摘する自衛隊イラク派兵差止訴訟に係る名古屋高等裁判所平成20年4月17日判決は、確立した判例理論に反するものであるから、先例としての価値はなく、また、同判決は、違憲審査の在り方を誤ったものであるから、この点においても、先例としての価値はないというべきである。』
 これに対し、私控訴人は、次のとおり反論いたしました。
 『当該名古屋高裁判決の内容は、前例にとらわれない先駆的なものであり、今日の時代が要請するものとなっている。また、当該訴訟に係る控訴人らは、全ての基本的人権の基底的権利である「平和的生存権」の「具体的権利性」が肯定されることは、控訴人ら及び日本国民の利益にとって極めて重要であるとの認識に立って、「上告せず確定させる」ことを選択されたものである。
 国がこの判決を、「違憲審査の在り方を誤ったものである」と断定することは、極めて失当である。現憲法において、違憲審査は下級審においても行える。当該訴訟は正当な訴訟手続きを経て行われたものであり、手続きに瑕疵はない。
 この度、本訴訟において、国指定代理人として、国家公務員30名が連名して発出した答弁書(公文書)において、「名古屋高等裁判所平成20年4月17日判決は(中略)違憲審査の在り方を誤ったものである」と表明されたことは、行政の司法に対する重大かつ不当な干渉であり、行政による司法の職権侵害である。三権分立の原則に違背する重大な行為である。
 すみやかに撤回されたい。
 同時に、先駆的な当該判決を、国(行政、立法、司法)は「先例」として真摯に受け止め、「平和的生存権の具体的権利性を肯定する」ものとして、保持していく必要がある。』と反論しました。
 これに対し、「国の主張は答弁書の通りであり変わらない。本日結審されたい」とのことで、控訴人は「撤回するか、どうかの回答を求めるとともに、反論書で反証を求めている4項目、求釈明申立書で釈明を求めている7項目について回答を得た上、結審されたい」主張しました。裁判長が「評議」の為、暫時休憩を宣し、開廷直後、裁判長から「本日結審し、判決は12月22日とする」旨言渡されました。
 これに対し、控訴人から裁判長に「本日結審ということであれば、裁判長にお願いしたいことがございます。日本は今、平和を堅持するか、戦争への道に進むか、戦後最大の重大な岐路に直面している。この時に、裁判所が、「違憲審査権」を行使して「憲法適合性」を審査されないのなら、裁判所は「違憲審査権」を放棄したに等しく、国民の司法に対する信頼を失い、「三権分立」の原則が崩壊することになる。
 裁判所におかれては、憲法第76条「すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」との規定に基づき判決を下されるよう心から要請する。司法が歴史的使命を全うされることを希求する。」と発言いたしました。
 上記の名古屋高裁判決に対する国の「答弁」は、誠に重大であり、このことは公の場で糺されなければならないと考えております。以上ご報告いたします。
     
2) リーフレット2『戦前の悪夢・戦争への急カーブ―― 政治現況報告集』
 
 岡部共同代表から「まえがき」と各月現況報告につける「小見出し」の原稿が11月15日に到着。このリーフの編集会議を11月23日に会員事務所で開催(参加:草野、大西、福田)。表紙と奥付を校正、頁割を検討したのち、今後の日程として11月27日までに本文初校、11月30日に再校、12月6日に校了(15時)、12月13日に納本、配付とした。
 なお日曜画家のY氏にカットの作成を、また岡部氏に顔写真、略歴の用意と、12月政治現況報告の早目の執筆(12月5日着)を、依頼することとした。
 
3) 集会の案内

① 第14回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会
 12月22日(木)13:00~14:00 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分)
② 『週刊金曜日』東京南部読者会
 12月23日(金祝)18:00~20:00 大田区生活センター第6集会室(JR蒲田駅徒歩5分)
  報告: 戦争体験者が戦後を語る 福田玲三

4)付記 来信、和田伸氏 (鹿児島県、12月1日着信。原文のまま掲載)

 いつもニュースをありがとうございます。そのたび非常なる知的刺激を受け感謝いたします。さて、ニュースNO.35に気になる箇所があるので、私なりの見解を述べます。
 緊急警告017号の本文中に「天皇陛下」が4回も使用されているが、この「天皇陛下」は「絶対敬語」「二重敬語」であり、日本語の文法としては明らかに誤りである。日本語を正しく使うのが基本中の基本であるべき「大」新聞をはじめとして大多数のマスコミ、メディア等がこれを「皇室用語」として破廉恥にも平然かつ意図的に使用して、デタラメを垂れ流している。笑止千万である。週刊「金曜日」の読者が「天皇」について某新聞に投稿したら「天皇陛下」と書き直されていたという、馬鹿馬鹿しい。
 当然日本国憲法では「天皇」である。憲法において天皇(それ以外の皇族は何ら規定されていない。よって公金をあてるのはおかしい)は単に象徴であり、主権は在民である。ちなみに「陛下」とは下位の者が宮殿の階段の下に額づき云々の意であり、主権在民とは矛盾しており、主客転倒のそしりを免れない。それとも相変わらず今日でも日本国民は「臣」なのであろうか。このへりくだる卑屈さが日本人民の民度の低さと人権後進国ニッポンの「象徴」である。
 「お言葉」と「生前退位」について。
 ではこの度の天皇の「お言葉」なるものは一体何か。宮内庁によって事前にお膳立ての後、予告された午後3時に国民がテレビの前で「謹聴」すべきこととして設定された。これはまさしく1945年8月の「玉音放送」と同じである。「天皇の生前退位を認めよ」という意見表明は皇位継承という重要な政治事項の変更を求める高度の政治的発言である。しかもそれを公的に行ったことになる。「『お言葉』は立法府の長として謹んで受け止める云々」(大島衆議院議長「重く受け止めている」(安倍首相)というように実質的に公的な政治的発言と受け止めて動き始めている。そもそも憲法上天皇の「公務」は「国事行為」のみである。それ以外の「公的行為」(海外訪問、慰霊、国体・植樹祭への出席、園遊会、被災者見舞い、等)は全て違憲とすべきであろう。なお「私的行為」である宮中祭祀は論外である。また憲法上「国民統合を表す象徴」ではあるが、天皇に国民を統合することを要請していないし、その義務も無い(横田耕一・憲法学者)。
 憲法上「国事行為」のみに規定されている天皇による今回のビデオメッセージ「お言葉(意思表明)」は天皇の発意による政治的意味を持つ行為であり、違憲としか言いようがない。それもその方法と内容において二重に違憲である。それなのに昭仁天皇は自らに国民を統合する役割があると考えているようである。それを自ら能動的に果たす。しかし天皇に国民を統合する役割、責任、義務は当然無いし、またそれをさせてはならない。大日本帝国憲法下において天皇に求められた最大の権能は「国民統合」だった。そしてどうして「お言葉」なのか。「天の声」とでも言うのか。ある介護施設では入所者を集めてこのテレビ放送を見せたという。ほとんどがそれぞれの部屋にテレビを所有し、さらに10人一グループのユニットごとにテレビが設置されているというのにである。一堂に集めて「拝聴」させる。あの「玉音放送」とそっくりではないか。国民に天皇の存在を知らしめす。非常に怖いことである。
 国事行為以外に公的行為そして自ら「象徴としての行為」と称し、戦地訪問、被災地慰問、諸外国訪問、外国要人との面会、「終戦記念日」等各種行事に出席し続けてきた。象徴皇制を見えるようにする。そして皇室を存続させる。それが自分の仕事だと思ってやってきた。がもう疲れた、そろそろ交代したい、これが生前退位のホンネではないか(山口正紀・人権と報道連絡会世話人)。ここらあたりだと思う。
 憲法に規定の無い即ち違憲である「公的行為」だとか、公務の過多と関係のない私的行為である宮中祭祀を「勝手」に「出しゃばり」「調子に乗って」やり過ぎたためであろう。だったら「国事行為」のみに戻せばよい。「公務」は国事行為のみ、それの多くは署名捺印事務である。楽々チンだよ。
 私のような下層の民に言わせるとこういうことになる。

5)和田意見へのコメント 大西編集委員

 私も天皇制に反対だけど、国民の9割近い支持がある天皇制。現実に天皇制を廃止する力量を持っていないのだから、天皇制は続く。そこで、和田説のように天皇を国民から隔離することが良いのだろうか。国民から離れた天皇は神になりやすい。それこそ今の安倍が望む姿だ。
 戦跡や災害被災地に行くことで、天皇が庶民とともにあると実感できる。この人が「私のために死ね」というはずがないと気づく。「象徴として国民とともにありたい」とは、神になることを拒否された言葉なのだ。
 天皇制を廃止できる明確なステップがあるならいいが、和田説は現状では安倍を利するだけだ。
 同様にこれまでの護憲派の方は、自衛隊についても、「自衛隊は違憲で、廃止しなければならないのだから、装備等を論じるのは問題外」という意見が多いが、国民の6~7割が「丸腰は怖い」と自衛隊を認めている中で、昔の空母より大きい護衛艦「いずも」が出来ている。目を閉じていると肥大化する一方である。目を開いて反対の声を上げなくてはならない。 ⇒目次

ご支援ご協力のお願い

 2014年以来、毎月の例会で岡部太郎共同代表が発表した「政治現況報告」を、この度リーフレットにまとめて集成版を刊行いたしました。
 政権が過激に戦争準備をごり押ししたこの3年間は、後世の歴史に「時代の転換点」として記載されるやもしれません。
 私たちは、蹂躙される平和憲法を目の当たりにした経験を基礎に、今後の憲法擁護活動と、憲法の理念を実現する活動を続けていく所存です。
 つきましては、新リーフレット『戦前の悪夢・戦争への急カーブ――安倍政権3年の歩み』の拡散へのご協力とともに、恐縮ですが年末カンパへのご協力をお願い申し上げます。
 来年も引き続き、当会へのご支援をよろしくお願いいたします。
 みなさまの来る年におけるご健康とご活躍を祈念申し上げます。

   2016年12月
                       完全護憲の会
                     

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