護憲勢力の歴史的勝利を祝う

さる8月28日午後2時、安倍晋三首相の辞意表明がテレビで伝えられ衝撃が走った。ついで午後5時からの記者会見で安倍首相は持病再発のためとして辞任の意向を表明した。第2次安倍政権は、2012年12月26日の発足から約7年8カ月で幕をとじる。
記者会見で「改憲の機運が高まらなかった理由は」と聞かれ、首相は「国民的な世論が充分盛り上がらなかったのは事実で、それなしに進めることはできないと痛感してる」と答えた。選挙の度に公約に掲げて信任されたから「改憲は国民に支持された」と強弁していた首相が、初めて国民の支持を得られなかったことを認めた。
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2020年9月2日 | カテゴリー : ①憲法 | 投稿者 : 福田 玲三

コロナの夏に憲法を考える―「主権」と「自治」

(弁護士後藤富士子)

1 「主権」というとき、その主体が誰かによって「国家主権」と「国民(人民)主権」に区分される。
 日本は、第二次世界大戦で負けるまで、他国を武力侵略して植民地化した経験はあっても、他国によって自国が植民地化されることはなかった。敗戦によっても他国の植民地になることはなかったが、沖縄問題や日米安保体制・地位協定にはっきり刻印されているように、「独立国家」は見せかけにすぎない。
 一方、「国民主権」についていえば、戦前は絶対主義的天皇制であり、「主権在民」を叫べば「国体の変革を企てる」という理由で、治安維持法により殺人的な弾圧を受けた。「主権在民」は日本国憲法によって初めてもたらされたのである。 続きを読む

2020年8月19日 | カテゴリー : ①憲法 | 投稿者 : 後藤富士子