緊急警告047号 コロナ禍の生活困窮者を国は緊急に支援せよ

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武漢市在住の女性作家で、魯迅賞を受賞している方方(ファンファン)さんが、昨年の2月24日の日記に記している。

「一つの国が文明国家であるかどうかの尺度は、高層ビルや車の多さや、強大な武器や軍隊や、科学技術の発達や卓越した芸術や、派手な会議や豪華な花火や、世界各地を漫遊する旅行者の数ではない。唯一の尺度は、弱者にどう接するか、その尺度だ」と。

昨年の7月から10月までの日本における女性の自殺者は2,831人(11月16日集計、警察庁発表)で、前年同期と比較して約4割増加している。また、総務省が公表する「労働力調査」の昨年1月と10月のデータを比較すると、完全失業者は159万人から215万人と約56万人増加。うち「非正規の職員・従業員数」は2149万人から2111万人と38万人減少。うち男性は約1万余人減であるのに、女性は約36万余人減である。非正規雇用の約7割を占める女性が「雇用の調整弁」になっていることが分かる。

今年早々のニュースでは、コロナ禍で職を失い、寒中で路上生活している中年男性が「生活保護を絶対に申請しない」と言っていた。離れて生活している娘に援助能力の調査が及ぶのを恐れてのことだ。

昨年12月26日、厚労省は「生活保護は権利です」と、新聞各紙で異例の呼びかけを行った。しかし、この男性のように、生活保護を「恥辱」と考えてしまう傾向は未だに強く残っており、家族に影響が及ぶことの懸念も含め、生活保護申請のあり方が高い壁となっているのも事実である。厚勞省の呼びかけが、通り一遍のキャンペーンに終わり、ガス抜きになってはならない。

生活保護法第1条は「この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」とされている。

年末からの感染者急増を受けて、菅政権が1月7日にコロナ禍で2度目となる緊急事態宣言を発出し、生活困窮者にとってはさらに厳しい状況が予想される。こんな時に、菅義偉首相の掲げる「自助、共助、公助」の強調はコロナ禍の失策を巧みに国民に転嫁しようとするものである。国のトップのやるべきことは、まず公助によって主権者である国民の命を守り、つぎに共助、自助によって自立を図るというのが順序だ。

何よりも急がなければならないのは、コロナ禍により失業や減収となり生きる糧を失った生活困窮者への集中した生活支援であり、そのための一カ月当たり10万円程度の連続した現金支給である。さらにはこの厳冬下に住む家を失くした人々、家賃の支払いができなくなっている人々への緊急の住まいの確保、家賃支援である。同時に、政府の積極的な行政指導により、これらの手続きは簡略化され実効性を持たせることが求められている。

憲法第25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とし、2項において「国は、すべての生活部面において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と定めている。

この憲法第25条が定める国民の「生存権」の保障は、国の喫緊の義務であり、今こそ、その役割を果たす時である。

(2021年1月8日)

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