安倍首相が年明け以降、改憲への欲望を前面に押し出しにしてきている。年頭記者会見(1月4日)に始まり、衆院予算委(同8日)、NHK番組(同10日)、施政方針演説(同22日)など、ことあるごとに、参院選での改憲の争点化を明言している。これまで安倍首相は、選挙前には改憲という本音の争点を隠し、選挙が終わると特定秘密保護法や集団的自衛権の閣議決定、安保関連法制など、念願の立憲主義破壊活動を着々と進めてきた。その安倍首相が、ここにきて、甘利辞任後も落ちない内閣支持率を見て、本音をむき出しにしてきたのである。国民はいよいよ、敗戦の焦土の中から勝ち得た自由と民主主義を、安倍政権とともにゴミ箱に投げ捨てるのか、それとも安倍政権から守り抜くのかの正念場に立たされたのである。
2月3日の衆院予算委では、「憲法学者の7割が違憲の疑いを持つ状況をなくすべきだという考え方もある」という暴言を吐いた。安倍首相の側近と言われる自民党の稲田朋美政調会長が、「現実に合わなくなっている9条2項をこのままにしておくことこそが立憲主義の空洞化だ」と述べたのに応じたものである。朝日新聞も6日の社説で「首相の改憲論、あまりの倒錯に驚く」と述べていたが、過去、ここまで憲法を無視し立憲主義を愚弄した政権はない。問題は、ここまで立憲主義を愚弄している安倍政権は、立憲主義の意味を理解したうえで、確信犯としてやっているのか、それとも、立憲主義の「り」の字(意味)も知らずにやっているのか、である。どちらが一層恐ろしいかについては、議論が分かれるかもしれないが、私は後者の方が圧倒的に恐ろしいと思う。前者であれば、「本当は権力者がやってはならないことをしている」という後ろめたさがどこかにあるはずだから、多少の心理的ブレーキがかかるものだが、後者であれば、そもそも罪の意識自体ないため、やりたい放題になる恐れが強いからである。そして、安倍政権が後者であることは、数々の証拠が示している。以下に、いくつかの証拠を挙げる。 続きを読む






