緊急警告057号 公文書改竄の国家賠償請求訴訟 国の「認諾」で幕を閉じてはならない

「ふざけんなと思う、夫がなぜ死んだのかを知りたい、また国に殺された」

森友学園問題での財務省による公文書改竄事件で、改竄を強要され、追い詰められ自死した赤木俊夫さんの妻雅子さんが、事件の真相を知るために国を相手どり、損害賠償を求めている訴訟。証人尋問等、今後の裁判の進め方について、非公開で開催された 2021 年12 月 15 日の進行協議の場で、国は突如請求を「認諾」し、賠償金を全額支払うことを明らかにした。雅子さんは、刑事事件として捜査していた大阪地検が、値引きによる背任行為と公文書改竄行為をいずれも不起訴とし、更に財務省に再調査を依頼しても拒否され続けたため、「真相の解明」の最後の手段として、国家賠償請求訴訟に訴えたが、国は賠償請求金額 1 億 700 万円全額を支払うことで、真相を闇に葬る選択をしたのである。冒頭の言葉は、国の「認諾」に対する雅子さんの無念の叫びである。

国家賠償責任については、憲法 17 条で国民の権利として認められている。
第 17 条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。
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緊急警告056号 教科書への政府介入を許すな

文部科学省は9月8日、慰安婦問題や第2次大戦中の朝鮮半島からの徴用を巡る教科書の記述について、教科書会社5社から「従軍慰安婦」「強制連行」との記述の削除や変更の訂正申請があり、同日付で承認したと明らかにした。政府は4月、「従軍慰安婦」という表現は誤解を招く恐れがあるとして、単に「慰安婦」とするのが適切とする答弁書を閣議決定。朝鮮半島から日本本土への労働者の動員を「強制連行」とひとくくりにする表現も適切でないとした。(2021.09.08日経新聞電子版)

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緊急警告055号「旧優生保護法」による人権侵害被害者への国家賠償を実施せよ

 2021年8月3日、神戸地裁は旧優生保護法(以下「旧法」)の下で、障碍を理由に不妊手術(以下「優生手術」)を強制的に実施された5人の国家賠償(以下「国賠」)訴訟の判決で、旧法を違憲(憲法13条、14条、24条違反)と指摘し、国会議員が速やかに優生条項を改廃しなかった「立法不作為」を違法とする初めての判断を示し、原告に憲法17条で保障された国賠請求の権利があることを認めた。ただし、不法行為から20年が経過すれば請求権が消滅するという民法の除斥期間が経過していることを理由に国賠は却下した。(2021.08.04朝日新聞)

 旧法は、らい予防法と同じく、国家による人権侵害を正当化してきた悪法である。旧法が施行されたのは1948年であり、「基本的人権の尊重」を高らかに謳った日本国憲法が施行された1947年の翌年であ 続きを読む

緊急警告054号 夫婦同姓を強要する法規を合憲とした最高裁判決に抗議する

 2021年6月23日、最高裁大法廷は、夫婦同姓を強要する民法750条及び戸籍法74条1号が、憲法24条に違反するものではないとして、原告らの訴えを退けた。

原告である事実婚カップル3組の訴えは、それぞれが同意して別姓で婚姻届けを提出したが、役所が民法750条及び戸籍法74条により受理しなかったことから、憲法24条で保障された「婚姻の自由」及び「法の下の平等」を定めた憲法14条に反するとして、憲法判断を求めた訴訟である。
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緊急警告053号 「重要土地利用規制法」の乱用を許すな

 「この土地・建物は米軍辺野古基地建設反対運動の拠点になっている可能性があるので、施設の所有者や利用者の個人情報や利用状況を調査し、利用を制限する」

 こんなことが堂々とできるような危険性のある法律が、今国会で自公与党と一部野党によって強行成立させられた。

「重要施設周辺及び国境離島等における土地等の利用状況の調査及び利用の規制等に関する法律」(以下「重要土地利用規制法」)がその法律で、会期最終日の6月16日に参議院で可決・成立した。

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 緊急警告052号「出入国管理及び難民認定法」改悪案の成立を許すな

今年3月に名古屋出入国在留管理局の収容施設でスリランカ人女性が亡くなり、その死亡経緯に不審な点があることから支援団体が法務省に報告を求め、中間報告が公表された際の記事である。頻繁に面会していた支援団体は、面会のたびに体調が悪くなっていることから、「点滴を打ってほしい」と訴えていたとの記事もあった。(2021.4.8朝日新聞)

収容施設が適切な医療処置をとっていなかった疑いが出ており、国会でも問題になっている。今国会で法務省は、「出入国管理及び難民認定法」(入管法)改悪案を提出し、会期中の成立を目指しているが、外国人を含めた人権擁護を所管する省庁である法務省及び出入国在留管理庁(入管庁)の人権に対する姿勢が問われている。

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緊急警告051号 尖閣諸島をめぐる緊張の緩和を図れ 

去る 2 1 日に中国が海警法を施行したことを機に、尖閣諸島沖に中国海警局の公船が侵入 したというニュースが相次いでいる。日本政府は 2 25 日、外国公船が尖閣諸島への「上陸 を目的として島に接近した場合」(読売・2/26)「危害射撃」が可能になる場合があるとの見解 を示すまでに至った。 

尖閣をめぐり日中間の緊張が高まっている今、この問題の経緯を振り返る必要があろう。 

1972 年、田中角栄首相が訪中して日中国交を樹立した際、周恩来中国総理が「『これ(尖閣問 題)を言い出したら、双方とも言うことがいっぱいあって、首脳会談はとてもじゃないが終わ りませんよ。だから今回はこれは触れないでおきましょう』と言うと、田中首相も『それはそ うだ。じゃ、これは別の機会に』と応じ、交渉はすべて終わり日中共同声明が実現したといわ れ て いる 」〔 横浜 市立 大 学名 誉教 授の矢 吹 晋氏 によ る〕(丹 羽 宇一 郎 元中国 大 使 東洋 経済 ONLINE 2017/09/29)。  続きを読む

緊急警告第050号 菅首相は、官僚の倫理崩壊を招いた政治家の責任を自ら明らかにせよ

「行政がゆがめられたという事実は確認できない」
これは、総務省の身内調査を受けての、武田総務大臣の国会答弁である。

2月24日総務省は、同省の許認可事業である衛星放送を営む(株)東北新社による幹部官僚接待が、過去5年間、13名に対し39回行われていたこと、及び接待を受けた官僚の処分を発表した。調査は総務省が幹部官僚へのヒアリングと東北新社への聞き取りで行い、週刊文春で報道された4人以外の9人が自己申告することはなく、主に東北新社への聞き取りで判明したとのこと。こうした身内調査を受けての総務大臣の発言を、誰が信用できるというのか 続きを読む

緊急警告第49号 核兵器禁止条約に反対する日本政府を糾弾する

2021年1月22日、核兵器の使用と実験による壊滅的被害を阻止する初の法規として「核兵器の禁止に関する条約」(核兵器禁止条約)が発効した。

条約前文では、「あらゆる核兵器の使用から生ずる壊滅的で非人道的な結末を深く憂慮し、したがって、いかなる場合にも核兵器が再び使用されないことを保証する唯一の方法として、核兵器を完全に廃絶することが必要であることを認識し」とし、核兵器の開発から実験、生産・製造、保有、他国からの取得、威嚇、使用までを全面的に禁止している。

条約は、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)を中心とした粘り強い活動により、2017年7月に国連で採択され、昨年10月に発効に必要な批准数50か国を満たし、この日の発効となった。

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緊急警告第48号 特措法・感染症法改正で支援策を具体化し、罰則は削除せよ

PDF緊急警告48号

特措法・感染症法改正で支援策を具体化し、罰則は削除せよ

1月18日にようやく開会した通常国会で、就任以来初めて菅首相が施政方針演説を行った。焦点である新型コロナ対策については、「安心」を強調し、「国民の命と健康を守り抜く。まずは『安心』を取り戻すため、(中略)新型コロナウィルス感染症を一日も早く収束させます」と言い切った。

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