防衛費倍増を批判する

 ロシアのウクライナ侵攻を受け、政府・自民党は防衛費の大幅増を目指している。政府が検討する敵基地攻撃能力の保有を視野に、自民党安全保障法調査会は現在の国内総生産(GDP)1%程度から2%へ引き上げる案を今後の論点整理として示した。2%なら米国と中国に次ぐ規模になる。(東京新聞44日)

 日本は今重大な岐路にさしかかっている。一発即発の危機をあおりながら防衛費倍増の道に進むか、隣国との相互理解を深めて平和の道に進むかだ。

 前者の道に進めば、絶えず隣国への敵意と憎悪をあおり、仮想敵国との軍備拡大競争に走らざるを得ない。軍備の拡大は、抑止力の確保を口実にして行われるが、常に相手の出方を伺いながら、戦々恐々としてくらしつつ、かならず戦争の暴発をまねいたことは、歴史の教えるとおりだ。

 戦争になれば、交戦両国は、甚大な人的物的な加害を競い、非人道的な惨状を眼前に展開しつつも、もはや後戻りできない。戦争に敗北すればもちろん、勝利しても、莫大な犠牲を払い、核戦争を予測すれば、交戦両国民は生き残れないかもしれない。 

 後者の道を選択する場合には、日本は過去におかした加害の歴史を反省することから始まるだろう。日本は中国の全土を侵略し、膨大な犠牲を強いた。そしてまた朝鮮を植民地支配したあげく、無謀な太平洋戦争に敗北し、その結果、朝鮮半島は南北に分断され、同胞相争う禍根を招いている。その罪を償うためには、長い年月にわたり誠意を示さなければならない。それは日本の次世代へ、負担ではなく、幸福をもたらすものだ。

 すなわち、二度とアジアの隣国と戦争をしないという幸福をまねくのだ。絶対に、戦争を開始してはならない。それがこの度のウクライナ戦争の教訓だ。日々のニュースは交戦両国の被害をなまなましく伝えている。この戦争は両国に何も利益を与えていない。戦争しないで平和に話し合う可能性はあったはずだ。どこかに両国の間に真意の誤解があったはずだ。

 日中国交回復50周年を今秋むかえるに当り、中国、韓国、北朝鮮と相互理解を深めることを提案したい。かつて、アジアの共産化を防ぐと米国の開始したベトナム戦争は、米国の敗北に終わった、その後、両国は平和に共存している。何も戦争をする必要はなかったのだ。

 敵意をあおり戦争を開始し、人殺しに血道をあげる努力に代えて、相互理解を図り、平和を守る努力こそ、最も人類に相応しい選択だ。  福田玲三(414日)

2022年4月15日 | カテゴリー : ⑦戦争 | 投稿者 : 管理人