米欧の二重基準について   

福田玲三

 193ヵ国で構成される国連総会は32日、ロシアを非難し、ウクライナからの即時撤退を求める決議案を141ヵ国の賛成で採択した。反対はロシア、北朝鮮など5ヵ国。棄権は中国、インド、南ア、キューバなど35ヵ国。無投票がギニア、モロッコなど12ヵ国。

 ついで、国連総会の緊急特別は三月二十四日、ウクライナへの人道支援とロシアの侵攻の責任を示した決議案を賛成140ヵ国、反対5ヵ国、棄権38ヵ国、無投票10ヵ国で採択した。

 さらに、国連総会は四月七日、ロシアのウクライナ侵攻を巡る緊急特別会合で、人権理事会(47ヵ国)におけるロシアのメンバー資格を停止する決議案を、日本、米欧など93か国の賛成で採択した。反対はロシア、中国、キューバなど24ヵ国、棄権はインド、ブラジル、南アなど58ヵ国、無投票は18ヵ国で、賛成以外は100にのぼった。

 これまで採択された三回の決議案のうち、賛成国は第1回で141ヵ国、第2回で140ヵ国に比べ、第3回では93ヵ国に激減した。ウクライナの首都郊外でロシア軍による虐殺の疑いが報じられた後のことだった。これにはマスメディアも衝撃をうけ、「棄権58ヵ国 温度差も」(朝日新聞)あるいは「ロシア追放決議 国連を分断」(東京新聞)の見出しで、その激減を報じた。

 米欧はこれまでベトナム、イラク、アフガンで、民主主義を口実にした侵略を重ね、いずれも相手国に甚大な被害を残したまま、撤退している。その恥ずべき過去を反省することなく、今回のウクライナ戦でロシア軍の行為を一途に非難する二枚舌を、アフリカ、アジア、中南米の諸国は知っているから、米欧の煽動に乗らないのだ、乗れないのだ。それが西側の宣伝に冷淡になり、国連の分断にまで行きついている。この世界の現実に注視すべきではないか。

 ワシントン発の情報を、日本のマスコミはいつまで無批判に拡散し続けるのだろうか。419日)

 

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2022年4月20日 | カテゴリー : ⑦戦争 | 投稿者 : 管理人