映画『侵略』シリーズを作成した「上映委員会」ニュースより(2)

3,「次は日本だ! 台湾が第二のウクライナになる」

ロシアのウクライナ侵攻をもって「中国の『力による現状変更』に弾みがつき、台湾への軍事進攻の危機は高まった」との論調が強まっている。岸田政権だけでなく、メディアも「次は日本だ。台湾は第二のウクライナ」などと言い立てている。読売新聞の世論調査(3,4~3,6)では、「ロシアの力による一方的な現状変更が、日本の安全保障上の脅威につながると思う」と、81%が答えている。この流れに“悪乗り”する形で、安倍晋三や維新の「核共同保有(核シェアリング)」発言も出てきた。

これらが、反中・嫌中の世論を基底にした、何ら事実に基づかない〝フェイク扇動“であることは明らかだ。

基本的なことは、ウクライナは主権独立国家である、一方、台湾は国際的にも中国の領土の一部として認定されていること、である。台湾は、米・日ともに1972年に中国とそれぞれに結ばれた「共同宣言」で「一つの中国」として確認されており、国連にも加盟していない。したがって、中・台問題は中国の内政問題であり、ロシア・ウクライナ問題との基本的な違いである。

🔷中国に「停戦仲介」役を‼

その上で、中国のウクライナ戦争についての基本的立場について見ておこう。

ロシアのウクライナ侵攻が始まった翌日の2月25日「王毅外相のウクライナ問題についての中国の五つの立場」(2,26中国外交部WEBサイト・日本語版)である。

➀各国の主権と領土の一体性を尊重・保障し、国連憲章の目的と原則を誠実に遵守するべき。

②安全保障は他国の安全保障を犠牲にしてはならない。地域の安全保障は軍事グループの強化または拡大によって保証されるべきではない。北大西洋条約機構(NATO)の5次にわたる東方拡大を受け、ロシアの安全保障に関する正当な訴えは重視され、適切に解決すべき。

③すべての当事者が自制を保ち、大規模な人道危機を防止すべき。

④ウクライナ危機の平和的解決に資するあらゆる外交努力を支持する。

⑤国連による武力行使と制裁を認める安全保障理事会決議に反対する。

 

①は、明らかにロシアのウクライナ軍事侵攻が国連憲章違反にあたり、中国として「支持しない」立場を表明している。

②は、前述したOSCEの二つの宣言を守るべきだとの立場だ。NATOの東方拡大と対ロ軍事強化に反対するロシアの主張・懸念を明確に理解している。

この二つの立場は、国連憲章の尊重と非同盟主義を貫く中国の外交の基本的立場であり、日本では「ロシアを支援する“悪”の中国」のイメージばかりが強調されているが、実際には「国連ロシア非難決議」には、同じ非同盟主義をとるインドとともに「棄権」に回っていることは、周知の通りだ。

③④⑤は、平和的解決に向けた外交努力こそが、この問題の解決につながるとの中国の立場を表しているが、そこで、ウクライナのクレバ外相が、3月1日、王毅外相に電話し、ロシアの侵略を止めるために中国に「停戦仲介」役を依頼したことが明らかにされている。

実は中国はウクライナと、浅からぬ関係を持つていることは、あまり知られていない。ウクライナにとって中国は最大の貿易相手国であるとともに、「一帯一路」へ参加し、2021年9月には首都キエフから中国・西安への直通列車も開通している。また、中国が2012年に初めて就航させた空母「遼寧」は、旧ソ連時代のウクライナで建造されたものだ。

こうして見ると、中国のしたたかな国際的な立ち位置がわかる。日本政府・メディアは、いつまでも反中・中国脅威論にこり固まっていてはならない。本当に戦争を止めたいのであれば、制裁論議に明け暮れるのではなく、中国に「停戦仲介」役を演じてもらうよう、働きかけてはいかがか?

それこそが、憲法前文にある「国際社会において名誉ある地位」を得ることになるのだと思う。(了)
福田

2022年3月16日 | カテゴリー : ⑦戦争 | 投稿者 : 管理人