「米食い虫」的差別は違憲

「米食い虫」的差別は違憲

「沖縄戦を生きた障害者」(NHKテレビ2、8月16日)をたまたま見ると、沖縄戦中、同島の障害者は、役に立たない「米食い虫」と呼ばれ、生きるのさえ白眼視されたという。
さる7月26日未明に相模原市「津久井やまゆり園」で発生した殺傷事件にかかわる植松容疑者は、最近、「殺害した自分は救世主だ」と自負しているという(8月17日『朝日』夕刊)。
和光大の最首名誉教授によれば、「彼は被害者の家族には謝罪している。個人の倫理としては殺人を認めない。しかし、生産能力がない者は『国家の敵』や『社会の敵』であり、そうした人たちを殺すことは正義だと見なす。誰かが国家のために始末しなくてはならないと考えている。確信犯だ」(『東京新聞』7月30日)。
安倍首相は外国で起こったテロにはすぐに許されないと声明を出すが、国内で起こったテロをどう思っているのか、明らかでない。
麻生副首相は北海道の小樽市で行なった講演で、経済政策などについて語った際、「90才になって老後が心配とか、わけのわかんないこと言っている人がこないだテレビに出ていた。『オイ、いつまで生きているつもりだよ』と思いながら見ていました」などと述べた。批判を受けてすぐ取り消したが、「死んでもらいたい」という本心はそのままではないか。
石原元都知事も1999年9月、重度障害者施設を視察後、「ああいう人(入所者)ってのは人格あるのかね」と不謹慎な発言した。
障害者殺傷事件の植松容疑者は事件前、大島衆院議長にあてた手紙の中で、「安倍普三様のお耳に」「安倍普三様にご相談頂ける」ようとに二度も首相の名を挙げている。これは意味深長だ。障害者の殺傷に首相の支持を期待しているからだ。
安倍首相と菅官房長官の沖縄への対応を見ていると、甚大な犠牲を強いた「(沖縄)県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ」という沖縄海軍陸戦隊大田司令官の遺言に何らの考慮も払っていない。弱者に冷酷なこの首相が強化した軍隊が、国民を守るとは思えない。彼らが守るのは昔は国体、いまは特権階級だけだろう。
これらの政治家はいずれも「米食い虫」的差別を意識に秘めている。
だが、日本国憲法は第25条で、①すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めねばならない」と定めており、国民の間に差別を認めず、すべての人に生きる権利を保障している。
国は違憲の軍事費をけずり、あまねく国民の基本的生活擁護に、それを充当しなければならない。

このエントリーをはてなブックマークに追加
2016年8月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 福田 玲三