8月3日付の当ブログで、大西さんが「天皇陛下の『生前退位』に賛同を」との意見を寄せられた。
私はこの大西さんの提起に賛成である。大西さんも言われているように、護憲派は今回の「生前退位」問題に限らず、天皇制が直面する現実問題については積極的にかかわろうとせず、否定的傍観者として振る舞っているように思う。言わば自らを蚊帳の外に置いているかのようだ。
その理由は、これも大西さんが言われているように、護憲派の多くが天皇制否定の立場に立っているからである。天皇制などという人間平等に反する、あってはならない制度をより良くするなどということは考えられない、ということなのであろう。
しかし、「生前退位」問題とは憲法問題なのである。護憲を標榜する護憲派がきわめて重要な憲法問題に直面して傍観者的に振る舞っていいわけがない。そして「生前退位」問題とは「皇位継承」問題なのである。
憲法第2条は「皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」としている。その皇室典範はどうなっているか。
皇室典範第1条は「皇位は皇統に属する男系の男子が、これを継承する」となっている。あからさまな女性差別であり、憲法第14条「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により………差別されない」に違反しているのである。
安倍政権はじめ右翼保守勢力にとっては、天皇を「元首」化するためにも「生前退位」など認めたくないであろうし、ましてや天皇神格化の根源となっている男系男子による継承(これ自体神話なのだが)が断ち切られ、女性天皇が誕生することなど絶対に認められないであろう。
それゆえ、護憲派は、憲法違反の皇室典範改正に踏み込んで今回の「生前退位」問題を論じるべきであり、かつ、女性にも皇位継承権を与えるべきことを主張し展開すべきなのである。
まさに今回の「生前退位」問題と「皇位継承」問題は、右翼保守派の弱点なのであり、彼らがいかに戦前回帰の反民主主義勢力であるかをあぶりだす好機なのである。現天皇の「生前退位」問題は国民の関心も高く、さまざまに議論が噴出するであろう。このような状況の中で、これまでのように護憲派が否定的に傍観者的に振る舞うようなことがあってはならないと思う。
いまこそ護憲派は、「生前退位」賛成、女性にも皇位継承権を与える皇室典範改正を訴えるべき時である。
「護憲派は天皇の「生前退位」問題に見解表明を」への1件のフィードバック
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天皇のお言葉があった後、産経新聞が「天皇の生前退位のために憲法を変えることに賛成ですか」という調査をしたら、70-80%の賛成があったとか。
とんでもない設問である。天皇制については、「皇室典範」の改正で済むのである。強引な「憲法改正論」への誘導を意図しているものと言える。
皇室典範改正にあたり、女性天皇、女性宮家、元号など、改めていかなければならない課題も多い。真剣な議論を積み上げなければならない。