完全護憲の会ニュース No.35 2016年11月10日

              <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
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      目次   ① 第34回例会の報告             1p
           ② 第31回 編集委員会の報告(略)
           ③ 当面の日程について             3p
           ④ 集会の案内                 3p

        別紙 1 政治現況報告                3p
        別紙 2 事務局報告(緊急警告017号を含む)      4p
 
 
         第34回 例会の報告

 10月23日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で第34回例会を開催、参加者8名。入会者 計58名。
 司会を草野編集委員長が担当し、岡部共同代表は怪我による欠席のため政治現況報告(別紙1)が代読され、ついで事務局報告(別紙2)を福田共同代表が行った。

 ついで次のような意見が交わされた。
 「このたびの新潟、鹿児島知事選のうねりで、野党が統一して原発ゼロを争点化すれば自民党が敗北する、と小泉元首相が語っている(『東京新聞』10月22日)」「選挙の合区問題で改憲が必要とか、天皇の生前退位で改憲とか、保守派は改憲の雰囲気づくりを狙っている」「なぜ安倍改憲がいま与党内で加速しないのか」「現改憲草案は自民党が野党時代の産物であり、保守的に過ぎるとの見解が与党内に生まれているのも一因だ」「しかし彼らは草案より少し良いものを提案して野党の取り込みを図るのではないか」「沖縄の高江で大阪府警の警察官が県民を『土人』と呼んでいる」「普通には使わないこの暴言は、訓練中に教えられたものではないか」「『政治現況報告集』の発行について、その内容は当会ニュースですでに見たものであり、今後の展望を加えなければ、インパクトに欠ける」「現在の停滞よりも戦争の方が良いという若者が生まれており、政府がその思考を助長している」「緊急警告017号(生前退位の件)の発信は天皇制を守るためか。これを不特定多数に発信して意味があるのか」「不特定多数を対象にしてこそ意義がある。仲間内だけでは無意味だ」「この件では憲法に明記されている通り皇室典範の改訂によるべきで、特別法によるのは憲法軽視だ」など。

      当面の日程について
          
 ① 第35回例会 11月27日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ(田町)
 ② 第32回編集委員会 11月30日(水)14:00~三田いきいきプラザ(田町)
 ③ 第36回例会 12月25日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ(田町)
 ④ 第33回編集委員会 12月28日(水)14:00~三田いきいきプラザ(田町)

      集会の案内

 ① 戦争法による「新任務付与」の閣議決定に抗議する緊急集会
  日時:11月15日(火) 朝7:45~  場所:首相官邸前
  呼びかけ:戦争をさせない・9条を壊すな!総がかり行動実行委員会

 ② 福島の現実に向き合い、原発再稼働を止めよう集会
  11月19日(土) 13:30 開場 14:00 ~16:30  星陵会館(永田町駅徒歩3分)
  講演 「大津地裁は高浜原発をどう止めたか」 脱原発をめざす女たちの会 主催

 ③ 第13回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会
  11月24日(木)13:30~16:30  神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分)

 ④ 『週刊金曜日』東京南部読者会
  11月25日(金)18:30~20:30  大田区生活センター第3集会室(JR蒲田駅徒歩4分)

<別紙 1>

           政治現況報告      2016年10月23日

              岡部太郎共同代表(元東京新聞政治部長)

 夏の参院選後の秋の臨時国会が始まっているが、政府与党はこの国会を民進蓮舫新執行部との対決国会にする考えは全くなく、TPP法案の批准だけでよいというスタンスだった。しかし衆参の憲法審査会は開き、改憲論議に一歩踏み込みたい希望だけはもっている。
 しかし会期末まで1ヵ月という現段階で、政府の思惑通りの政局運営は進んでおらず、むしろあちこちで停滞が目立つのが現状だ。
 この国会から来年1月の通常国会への流れを予想すると、党執行部は年明け早々の衆院解散で野党におどしを掛け、党内引き締めに躍起だが、むしろ一強多弱の政局で、自民党内のおごりと緊張感の欠如は決定的になっている。
 安倍首相は所信表明演説の中で中国や北朝鮮の脅威に触れ、「防衛の最前線で努力する海上保安隊や自衛隊の諸君に感謝しよう」と自民党員に起立、拍手を求め、自分もまた拍手した。全く戦時中の大政翼賛会と同じで、与党内からも強い批判が出た。
 またTPP担当相の山本有二農水相が、18日夜、衆院議運の佐藤勉委員長の励ます会で、“法案を強行採決するかどうかは佐藤さんが決める。だから応援に来た”と強行支持の発言。安倍首相が前日、「自民党は一度も強行採決をしたことはない」と大見得を切ったあとだけにタイミングも悪く、民進党など野党四党は山本大臣の引責辞任を要求。TPP審議だけでなく、憲法審査会など、ほかの審議にも影響が出ている。このまま動かないと、農相辞任という最悪のケースもある。
 それでなくても、TPP法案は、日本が盛んに旗を振っているが、米大統領選ではクリントン民主・トランプ共和候補ともTPPに反対しており、選挙の行方は19日の3回目の討論対決で、どうやらクリントン氏の勝ちが決まり、対外政策もオバマ氏と変わらないものの、TPPだけは先が読めない。
 秋の政局の目玉と見られていた憲法審査会の改憲論議では、安倍首相だけがGOの旗を振ったものの、公明党はもちろん、自民党内も慎重で、改憲推進本部(安岡興治委員長)では、「党の日本国憲法改正草案は、自民野党時代の産物で、行きすぎも多く、草案を審査会に叩き台として提案はしない。野党とゼロから話し合いをする」ことを決めた。従って今国会で改憲論議が急進展することはなくなった。
 変わって急浮上したのが、来年早々にでもの“早期解散論”。まず例年正月、通常国会召集前に開かれる自民党全国大会を3月に繰り下げたこと。二階幹事長も一、二年生議員を集め、「いつ解散してもおかしくない」とハッパをかけた。12月15日にプーチン・ロシア首相が来日、山口で日ソ首脳会議が行なわれ、領土問題と日ソ講和条約が話し合われるので、その成果をテコに解散という読みだ。ただ領土問題はそう簡単なものではなく、北方四島のうち小さな歯舞・色丹だけで日本国民が納得できるのか、難しい問題だ。
 また来年5月には衆院選の新区割(3倍以下)も発効する予定で、その前に解散できるかも争点となろう。さらに6月には都議選があり、小池東京都知事の豊洲新市場問題の追及なども解散時期にからんで来る。
 さらに天皇の生前退位問題も来年の通常国会へ法案を提出、審議することが決まった。
 また新潟県知事選では、自公の公認候補に対し、柏崎刈羽原発の再稼働に反対する野党四党の支持候補、米山隆一氏が圧勝。安倍政権への痛手となった。原発反対のように市民の反対運動を巻き込んだ野党共闘が有効になる。
 もっとも四年前の総選挙で自民が圧勝してから、まる2年で解散総選挙、またそれから2年で来春選挙となれば、党利党略をもて遊んでいることになろう。また安倍首相は、現在3年2期の自民党総裁任期を3年3期、9年とするよう要求。一強の自民党はこれを了承する構えで、再来年9月の任期は東京オリンピック、2020年まで延びることになる。まさにやりたい放題だ。

<別紙 2>

            事務局報告

                福田玲三(事務局) 2016.10.23

1) 岡部共同代表との相談会
 会の現状と今後について岡部共同代表との相談会を、10月7日15:30~17:00、千代田区プレスセンターで開き、大西、草野、福田が出席した。
 まず、法律専門家が相次いで会を離れた現状を検討し、会の能力に見合った活動を継続することにし、当面の出版活動として、1『政治現況報告集』、2『文集』の編集を検討した。
 
1.『政治現況報告集』案について
 毎例会の「政治現況報告」3年分を集め、各報告ごとに小見出しをつけ、全体を通じた「まえがき」を作る。年内発行を目途にし、縦組み、横組みの見本にもとづき、冊子の体裁、分量を検討する。
 題名 『戦争への急カーブ――安倍政権3年のあゆみ』(仮)
 
 この案について、岡部共同代表は原則同意。
 あわせて、「この3年は、政権による猛烈な右傾化攻撃があったが、もし衆院の総選挙があれば、政治の動きはその間停止する。さらに、稲田防衛大臣の資質、TPPの先行き不明、改憲や天皇の生前退位問題などあり、首相がオリンピックを念頭に3選を狙うとすると、今後は態度が慎重になり、しばらく動きは落ち着くのではないか。対ロ領土交渉は困難であり、その成否に、その後の政治日程は掛るだろう」などの見通しが語られた。なお、毎例会における「政治現況報告」に以後、「今後の展望」を加味することで合意した。
 
2.『文集』について
 ブログへの投稿、「私と憲法――三従の教え」/「死を奨励した異常な社会――露営の歌」/「天皇陛下の『生前退位』に賛同を」/「布施杜人――人間を解体する治安維持法」を素材に、新たな2、3編を加え、題名を『旧憲法の日々――自民党改憲草案がめざすもの』(仮)とし、来春の発行を目途にする。
 
 これについて、新たな投稿があるかどうか分からない、との意見があった。また岡部共同代表からは、各素材は面白かったが、旧憲法つまり明治憲法を資料として載せてはどうか、との助言があった。

2)『文集』への追加案
 その後、新たに濱口国雄「地獄の話」(西部ニューギニアにおける極限の戦場を画いた400行近い長詩)を文集の最後に加える、また資料として大日本帝国憲法(明治憲法)、教育勅語、軍人勅諭、戦陣訓を併載する案が寄せられた。

3)『週刊金曜日』に自己紹介
 『週刊金曜日』10月14日号の「こんなことやっています」欄に、「護憲の冊子とリーフレットの活用を」の見出しで、当会の自己紹介が掲載された。
 なお同号の「論争」欄で、福田による「本誌9月2日号『金曜日から』成澤宗男氏の問い掛けに答える」が掲載された。
⇒目次
 
4)図書紹介
 『新しい憲法草案のはなし』自爆連(自民党の憲法草案を爆発的にひろめる有志連合)著、太郎次郎社エディタス刊。人気のパロディです。当会取扱い800円
 

 緊急警告017号 天皇の生前退位に特例法は憲法違反!
          皇位は「皇室典範」によると憲法に明記

 天皇陛下が「生前退位」の意向をにじませたお気持ちを表明された。安倍政権は、天皇陛下の高齢化に絞って問題を矮小化し、特例法で対応しようと画策しているが、憲法第2条に「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と明記されており、皇室典範以外の法律で皇位の継承を変更することはできない。皇室典範を改正し、生前退位を正式に認める以外に対応策はない。
 例えば、憲法第10条で「国民たる要件は、法律でこれを定める。」とあるなど、他の全ての事案に対しては、特に法律名は決められていないが、天皇に関してのみ「皇室典範」と限定されている。これを他の法律で誤魔化そうというのは明確に憲法違反である。
 天皇陛下の「皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」という「お言葉」を汲みとるなら、皇室典範を改正して正式に生前退位を認めるべきである。
 さらに皇室典範の改正にあたっては、「男系男子」に限る男女差別は憲法違反であるので、これを改め、女性天皇を認め、女性宮家も認める方向に改めるべきである。現在のままでは宮家がなくなり、皇位継承者も絶えてしまう可能性があるからである。
 憲法第1条に「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」とあり、皇籍を離れ、一般人となった人を「男系男子」にこだわるあまり、再び皇籍に戻し、皇位継承者にするというのも、国民の信頼が得られず、現在のような良好な象徴天皇になり得ないであろう。
 「生前退位」や「女性天皇」を認めると、戦前のように天皇を、「万世一系の現人神」である「元首」として祭り上げ、国民を戦争に駆り立てることが難しくなる。戦前回帰を目指す安倍政権と右翼保守勢力にとっては、非常に都合が悪い。つまり、皇室典範を変えたくないが故に、特例法の制定でしのごうとしているのである。
 天皇陛下の想いと、憲法と、皇室典範をないがしろにする、このような違憲の特例法制定を許してはならない。
 
                      ― 以上 ―

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