連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話・FAX 03-3772-5095
Eメール:kanzengoken@gmail.com
ホームページ:https://kanzengoken.com/
目次
① 第24回 例会の議事録 1p
③ 次の例会・勉強会のご案内 4p
別紙 1 政治現況報告 5p
別紙 2 事務局報告 7p
さる12月20日(日)、港区・神明いきいきプラザ集会室で第24回例会を開催、参加者13名。入会者 計46名。
第24回 例会の議事録(要旨) 2015年12月20日
大西編集委員が司会した。
1) まず岡部太郎共同代表(元『東京新聞』政治部長)からの政治現況報告(別紙1)があった。
この報告に対して、次の意見と質問があった。
田中)岡部報告に今年の主な出来事として、経団連の政治献金を加えたい。また自民党が先の総選挙では経済を優先して唱え、選挙後は戦争法の採 決を優先させたことを強調したい。
真田)安倍首相は憲法9条だけの廃止ではなく、憲法全体の改定を意図しているのではないか?
岡部)いまのところ刺戟の少ない民政部門から手をつけ、そのあと9条を含めた全体に広げる積もりだ。
2) ついで、違憲をめぐる現状について野村光司共同代表(パンフ『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)が、以下のように報告した。
○
安倍首相個人は日本の体制をトータルに戦前に戻したいと願っている。先頃、照屋寛徳議員から私宅に電話があり、「これだけ広範に体系的に書かれたのは、憲法関連の文献として最高に思う」と3月パンフを賞めていただいた。「広範に」とはわれわれがシングルイッシュー(単発)ではなくトータルに改憲勢力と対決していることであり、「体系的」というのは選択的ではないという意味に理解している。われわれは第9条だけでなく、全面的に現憲法を擁護している。今のところ右翼からの攻撃はない。自信をもって護憲活動を進めたい。
安倍政権の官邸機密費(特定秘密軍事費を含む)は「すべて毎年会計検査院がこれを検査し」(第90条)に反して秘密裡に使われ、使おうとしている。夫婦別姓訴訟に対する判決で最高裁長官は「夫婦同姓は定着している」と述べ、権力による違憲状況の定着を擁護している。安倍内閣の言う地方創生は、中央の判断に地方を従わせるものであり、憲法の「地方自治の本旨」に反している。こうした新たな違憲と慣行になっている違憲に対する批判を次々に発表してゆきたい。
3)そのあと福田玲三共同代表(事務局担当)から事務局報告(別紙2)があった。
上記テーマ1、2、3について次のような質問、意見があった。
S)安保法案(成立前)について、自民党と一部学者は、合憲であると主張していた。それなら彼らはもう今の憲法を改正する必要はないのではないか?
田中)来年参院選で多数を取ったら、自民党は「安保法案違憲と主張するうるさいやつらがいるから、主張の余地が無いよう改正しよう」と言うのではないか。その意味では彼らの主張は一貫している。
K)自民党の狙いは基本的人権条項の廃止であり、その本丸は「緊急事態の宣言」(自民党憲法改正案第98条)だ。これはナチスの全権委任法に似ている。残念だが、民主党も独自の緊急事態基本法案を公表している。来年夏の参院選直後の動きを注視し、警告を発すべきだ。
長坂)3点お訊きしたい。①安保法案成立で、「憲法(または立憲主義)が破壊された」と一部で主張されているが、どう考えるか?②憲法53条の規定による1/4以上の議員の要求にもかかわらず、安倍内閣は国会の召集を決定しないままでいる。③高村・自民党副総裁が、安保法案違憲を主張した学者を「法匪」と言う言葉を使って批判した。匪賊とは満州侵略のため、現地の愛国者を蔑んで使われた言葉だ。この高村発言は、新聞が1面トップで報じるくらいの大問題ではないか。
大西)自衛隊はいまだに専守防衛で相手より先に発砲できない。9条が生きている証だ。
野村)憲法は一字一句変えられないで残っている。聖書に、神が、散らばっている白骨に息を吹き込んで、生きた人間にした、という喩えがある。憲法の骨は一つも欠けていない。今のうちに息を吹き込むのがわれわれの仕事だ。
田中) 長坂さんの発言主旨は、「このような憲法違反に対して、会として抗議声明を出すなどの行動をすべきではないか」との提起ではないか?
K)本件についての意見を「緊急警告発信」として公表する際、福田原案の「3人ほどの委員会」で検討するのは、当事者の負担が重いのでは?
野村)3人委員会を作ることは認められない。
K)法匪発言は重大だ、これと53条関係の国会召集義務違反の2件をホームページのトップで発信すればいい。だが、共同代表者の一人から提起された「沖縄県民に独立の気概(云々)」のような意見を会の名前で公表するのは、極めて危険だ。沖縄でごく少数に過ぎない沖縄独立論を、憲法の観点から正当化しようとするのは、地方自治の主旨を誤解している。
野村)照屋議員も沖縄人は半日本人並みだと言っている、沖縄独立論は現地で3%から8%に増えており、独立論議はスコットランド、カタロニアなど世界の趨勢だ。
福田)小委員会の提案は取り下げる。編集委員間のメーリングリストで合意をはかる。
司会者)沖縄論議はここでは止めよう。ともあれ、編集委員会で検討したいので、長坂さんには、今の法匪提起を文章化してメールで送っていただきたい。
長坂)憲法は生きており、立憲主義破壊の安倍反革命は失敗している。
野村)実は裁判所が立憲主義を壊している。田中耕太郎最高裁長官の統治行為論が憲法を壊している。しかも、その田中・元長官が国の最高の勲章をもらっている。
大西)憲法は政府を縛るものなのに、統治行為論はすべての行為を政府に許している。
S)沖縄問題は歴史的に調べる必要がある。権力は差別を支配に使い、沖縄を本土と分けて差別している。沖縄が日本の平和を守ってきたと言われるが、敵は誰なのか?
野村)平和になると困る層があり、つねに新たな火種を探している。
4.当面の日程について
① 第21回編集委員会 1月13日(水)13:30~ 大阪大学東京オフィス
② 第2回総会兼第25回例会 1月24日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
③ 第22回編集委員会 1月27日(水)14:00~ 大阪大学東京オフィス
④ 第26回例会 2月28日(日)13:30~神明いきいきプラザ
⑤ 第23回編集委員会 3月2日(水)14:00~ 大阪大学東京オフィス
⑥ 第27回例会 3月27日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ
次の例会・総会・勉強会のご案内
日時 1月24日(日) 13:30~16:30
場所 港区・三田いきいきプラザ・「憲法研究会」
〒108-0014 港区芝4-1-17 電話03-3452-9421
JR 山手線・京浜東北線、田町駅西口から徒歩8分
地下鉄 三田線・浅草線 三田駅 A9 出口から徒歩1分
報告 1)政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
2)違憲の現状について 野村光司(「パンフレット」原案起草者)
3)経過報告・決算報告・会計監査報告・予算案の提案・共同代表と事務局員・会計監査委員の改選 福田玲三(事務局担当)
議事 1)2)への質疑・意見 3)諸報告の承認、予算の決定、担当者の選出
会場費 100円(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
(連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。)
お願い
「戦争法の廃止を求める統一署名」主催の実行委員会は署名者 2000万人の達成を4月25日締切で、目指しています。5人の署名欄が埋まりましたら、第1次として1月末までに当会あてお送り下さるようお願いします。(事務局)
「完全護憲の会」公式ホームページにアクセスして下さい。
トップに違憲性に対する緊急警告を発信予定。
ご案内
「7.1閣議決定」違憲訴訟のための第3回相談会。
1月22日(金)13:30~、神明いきいきプラザ「憲法研究会」。
主催・長坂伝八氏ほか 講師・野村光司
「21世紀懇リポート」研究会
1月30日(土) 14:00~ 、大阪経済法科大学6階B会議室 労働運動研究所研究会
(港区麻布台1-11-5 電話03-3582-2922 地下鉄神谷町、E1出口から、東京タワー方向へ徒歩3分左側)
<図書紹介>
内田博文著『刑法と戦争』(みすず書房刊)定価4,600円(本体)
「完全護憲の会」に相応しい名著です(推薦者 田中 伸)
松岡 肇著『日中歴史和解への道』(高文研刊)定価1,500円(本体)
著者は、いま話題の中国人強制連行・強制労働事件全国弁護団幹事長(推薦者 福田玲三)
<別紙 1>
政治現況報告 2015年12月20日
岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)
今年1年を振り返って、やはり集団的自衛権を可能にした安保法制(戦争法案)の強行可決・成立が一番大きかった。それ以外にも、原発の再稼働、沖縄辺野古の強制埋め立て、残業ゼロで非正規労働者を増やす労働者派遣法改正案の成立など、安倍政権の自由抑制・保守回帰そして立憲主義・民主主義の拒否、平和憲法違反などの時代逆行性が著しくなった一年だった。戦後70年の国民の平和への努力が危険な方向へねじ曲げられ、日本の将来の進路が間違わぬよう、来年は今年以上に安倍首相と対峙してゆく必要がある。
新年は1月4日から早くも通常国会が召集され、150日間の攻防が始まる。野党各党の臨時国会召集要求を全く無視するという憲法違反をやりながら、早期の召集を図ったのは、6月早期に国会を切り上げ、7月3日か10日に参院選を設定しているためだ。5月には日本の伊勢志摩で世界サミットがあり、予算を国民の歓迎する人気取り政策に集中、その効果のあるうちに参院選という狙いだ。
ただ一部にいわれる衆院選とのダブル選挙は(佐藤内閣、中曽根内閣で自民党が圧勝した)さすがに衆院選を2012年、2014年の12月と2年で解散しただけに、また2年もたたないうちに衆院を解散するのは難しいだろう。公明党もダブルには反対。
来年の参院選で自公連合が勝って、自民党が2/3以上の議席を確保すれば、憲法改正も現実のものとなるだけに野党としても、まさに正念場の選挙となる。
参院選は半数ずつ三年ごとの選挙なので、来年は2010年(平成22年)の参院選で当選した人の改選になる。この年は民主党の菅政権だが、菅首相が選挙直前に消費税を上げると明言、争点となって政権党であるにもかかわらず、54人が10人減って44人になった。逆に自民党は38人が敵失で51人と、13人も増えた。(定数242人、過半数122人)。その3年前2007年選挙では、民主が圧勝しただけに痛い敗北。
2013年参院選は、前年12年12月総選挙で自民が圧勝したあとだけに、自民が改選前22人を65人とほぼ3倍増して圧勝した。民主党は44人が17人と歴史的な惨敗、実にマイナス27人だった。特に地方区では自民が22人から47人(新人が8人)、民主は28人が10人(新人2)に減った。参院は地方区1人が多い。
野党としては統一候補以外に勝ち目はない。民主党岡田、維新の会松野の間で11日、来年通常国会での統一会派が決まった。(衆院)民主71、維新21、大阪17、(参院)民主59、維新5、大阪6。参議院の維新5は年内は統一せず、来年3月ごろの見込み。参院選はこの民主・維新グループに共産党が加わって選挙協力することになろう。
そのほか一月早々には沖縄・宜野湾市長選、北海道の自民町村前議長死去後の衆院補欠選挙がある。
ちなみに現在の衆議院の勢力分布は、自民291、民主71、公明35、維新21、共産21、おおさか維新13、改革結集4、生活の党2、社民2、無所属14、欠員1。
また年内に国民生活に大きな影響のある消費税の軽減税率が自公の税調で決まった。自民党は生鮮食品だけ4000億と主張していたが、公明が加工品も含むと強く主張、結局安倍首相が党税調会長を野田から宮沢にさしかえ、外食を除く、酒以外の食品加工品を含め、8%に据え置くことで妥結した。ただし1兆円オーバーとなる財源については2017年4月の10%増税までに結論を出すと、得意の結論先延ばし。また“もめそうだ”。
自民党がここまで公明に譲歩したのは、来年参院選で公明の選挙協力が絶対にほしいからだ。もし公明の協力がない場合、自民当選者は衆参両院で半数まで落ち込むといわれている。公明が政局のイニシアチブを握っている。
<別紙 2>
第24回例会 事務局報告 2015年12月20日
福田玲三(事務局)
1) ニュース24号への意見など(いずれも要旨)
珍道世直氏
完全護憲の会ニュースNo24はじめ貴重な資料をお送りいただき有難うございました。
また、事務局報告中で私の「閣議決定・安保法制違憲訴訟」提起のことをお取上げいただき心から感謝いたしております。2016年1月28日に、第1回口頭弁論が開かれることになりました。どうか引き続きご注視下さいますようお願いいたします。また、長坂伝八様らの違憲訴訟について、大きな関心を持っております。
Sさん(都下)
ニュースの送信ありがとうございました。先の例会の様子をありありと思い起こすような発言の記載は大変だったと思います。同じ方向を向いて集まったであろう人たちからあれ程様々な意見がぶつかり合うというのは痛々しくもありますが、世間に出ればもっと沢山の異論に打ちのめされる、その練習にもなっているかもしれないと思い、日々思考を続けようと思います。
辻元清美議員事務所
この度は御本を賜り誠にありがとうございます。ご芳情のほど厚く御礼申し上げます。拝読し、今後の活動に生かしてまいりたいと存じます。
2) 違憲性に対する緊急警告発信について
立憲主義の崩壊か再構築かの岐路に立つ来年夏の参院選を控えた情勢のなかで、微力ながら当会の発信力を加速して、これに対応するため、次の方式を事務局として提案します。
現政権がつぎつぎに発表する違憲の政策に即時に対案を示し、また最近の政治問題に対するわれわれの見解を逐次発表するため、当会のホームページのトップで、これらの対案、見解を緊急発信する。そのためには3人程度の小委員会をもうけ、ここで発信文案を起草し、文案に対する全編集委員の合意をメーリングィストによって求め、合意の得られたものから逐次発信する。この発信文は事後に例会の討議を経て公式文書となり、これを集成してリーフレットあるいはパンフを作成し普及する。
緊急警告発信の1例
違憲性に対する緊急警告(仮称) 01号
(一億総活躍)
「(戦前)日本を取り戻そう」の政策のうちで、「一億」と言えば「国民一人残らず」の含意があり、「一億一心」、「一億玉砕」、「一億総動員」、「承詔必謹」、「官民一致」が政府から求められていると解せられる。すなわち、「一億一致して、戦争法案反対に立ち上がってくれ」ではなく、「政府、首相が指導、要求するところには、一人の抵抗も許さず、一致して従い、行動せよ」に他ならない。「(大政翼賛)」日本の取り戻し」が企図されているものと解する。
現政権は、思い付きで種々の干渉を国民に加えてきている。政府が法律に根拠なく、「行政指導」の圧力を加えてくることは、刑法の「職権乱用罪」に相当するものであって、憲法第12条の要請もあって、抵抗してゆかねばならない。国民はそれぞれ個人の創意工夫において活動すれば足りるのである(第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求の権利は、国政の上で最大限の尊重を要する」関連)。
(自衛隊員の海外出兵)
兵士として戦場で敵兵と殺戮し合う業務は、人間世界最悪の「苦役」であり、本人の意に反する徴兵制度を導入することは、本条がある限り不可能である。
現自衛隊員は、日本国土防衛のためのみに軍務に服することに同意したもので、憲法に規定に違反した海外派兵の軍務には同意していない。したがって自衛隊員は、新たに海外での戦闘にも従事するには、その同意をしなければ派遣されることはない。命令があれば当然、派兵で実害を被ったとして、違憲、違法の訴訟の対象となる(第18条「その意に反する苦役に服さない」関連)。
(公の施設利用に思想上の制限はしない)
自治体の公民館の利用について、政権批判の集会に対して「政治的」を理由にこれを拒否する例が散見されるが、地方自治法10条2項の定める通り、住民は自治体の「役務の提供をひとしく受ける権利を有する」のであって、思想の内容によって制約を課するのは違憲である(第21条「一切の表現の自由は、これを保障する。検閲はしてはならない」関連)。
この発信を継続することにより、状況に対応しつつ、当会の発信力を徐々に強めることを目指します。
3) 2000万人 「戦争法の廃止を求める統一署名」について
この署名用紙はすでに御配りしてあります。署名は4月25日締切、5月1日の発表をめざして取り組まれています。戦争法廃止を決する来年夏の参院選をめぐる情勢は楽観を許さず、2000万人署名の達成がその成否に大きく貢献します。立憲主義の命運もこの選挙にかかっています。時期を失せず活動を始めましょう。5名の署名欄を埋めた用紙は当会あて送って下さるよう御願いします。
4)ニュース
① 明治大学のシールズの一員、S・F氏にパンフへの注文をシールズ内でとり、発注していただくよう依頼した。
② 注視すべきは、戦後70年に当たっての安倍談話ではなく、その下書きになっている「21世紀懇リポート」(8月6日公表)である。この立場に立ったシンポジュームが労働運動研究所などによって計画されている。(1月開催予定)
5)当面の日程について(略)