さる2月22日(日)、神保町・学士会館地下1階北海道大学連絡室で2月例会を開催、参加者10名。入会者 計 21名。
岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)はご家族のお祝い事があって欠席、届けられた次の報告をMY会員が代読した。
政治現況報告(安倍外交と70年談話)
安倍首相は自らの外交姿勢を「積極的平和外交」と名付け、就任以来、任期の半分ぐらいは、世界の多くの国々を歴訪。友好親善に務めると共に、各国へ積極的に経済支援やODA援助、借款を進めて来た。その努力は多とするが、反面、外遊が多く、国会論議がお座なりになると野党などには不満があった。しかし一方、もっとも日本外交が力を入れるべき東アジア外交、近隣外交は、中国・韓国両国と2年以上も対立が続き、アジア情勢、太平洋地域に不安定さをもたらせている。親米へ傾斜する安倍首相にオバマ大統領も、この点は心配し、強く改善を直言している。
この一種二元外交が、安倍外交の特色であるが、はからずも、今年はアラブ連合・ヨルダン・イスラエルなど親米のアラブ諸国を歴訪し「イスラム国と戦う周辺国に対策費として2億ドルを贈与する」と発言したため、イスラム国の怒りを買い、湯川・後藤両日本人の拘束を明らかにした。最初は同額の2億ドル、途中で人質交換要求となったが、政府は適切な手を打てず、結果的に二人を殺されてしまった。安倍積極的平和外交の明らかな失敗である。
湯水のようにバラまいている訪問国援助資金も、反イスラム2億ドル援助も、みな国民の税金である。政府の外交、金の誤った使い方のために、殺されるのでは、国民はたまったものではない。
中国外交の冷戦は、安倍首相の靖国参拝に、前大戦の反省や、歴史認識を変更するものだと、中国側が怒り、日中首脳は一度握手しただけで、まだ一度も実のある会談をしていない。アジアの二つの経済大国の反目は、アジア全体の安定を著しく損ねている。中国側は安倍首相に、もう二度と靖国に行かぬよう要請しているが、首相は頑として、それを約束せず、膠着状態が続いている。
一方、お隣の韓国とは、やはり戦時中の韓国女性の強制売春問題で、韓国側の賠償要求を無視、この問題を謝罪した河野洋平衆院議長の談話まで否定しかねない発言を続け、これも歴史認識を理由に、内閣発足以来、両首脳は顔を一度も合せていない。
これに対し、安倍首相はプーチン・ロシア連邦大統領とはたびたび会談、北朝鮮の拉致問題では接近と、その外交姿勢に一貫性がない。そのロシアともウクライナ問題で米ソ間の対立が強まり、日本の立場が微妙になっている。
この外交姿勢に関連して、今後国内でも問題になりそうなのが、安倍首相が戦後70年を機会に意欲を燃やしている“70年談話”である。このような談話は社会党の村山首相が1995年、戦後50年に、日支事変から太平洋戦争にかけて日本が行った侵略行為と植民地支配を反省し、謝罪した“村山談話”が初めてだ。談話は閣議決定された。この時、自民党は選挙で惨敗し、時の河野総裁は第一党の社会党との連立で村山政権を成立させ、同時に社会党は初めて自衛隊を正式に認めた。
このあと戦後60年の2005年、時の小泉内閣が“小泉談話”を発表したが、過去の反省と謝罪は村山談話を踏襲した。今回の安倍談話も、この二つを意識したもので、できれば、これまでと違う画期的なものにしたいと希望を語っている。しかし村山・小泉談話の先の大戦への反省や謝罪はできれば触れず、「日本の将来へ向けたものにしたい」との意向も伝わってくる。これにはさすがに公明党山口委員長が「安倍談話は事前に与党で充分に検討」と引き戻しをはかり、自民党内でも二階総務会長が、野党も含め国会の意見を充分聞くようにけん制した。この問題は8月15日の戦後70年記念の日まで大きな政治問題になりそうだ。
例会における討議
ついで、野村光司氏(「日本国憲法が求める国の形」起草者)が、さる1月28日に行われた編集委員会における討議(本紙前号既報)を紹介し、とくに1月例会で反対論の強かった第9条関係での国連軍への言及について、これまでの非武装平和論で国民の多くを納得させえなかった経験を踏まえ、違憲の自衛隊に代わる合憲の国連軍を選択することを説得的に加筆するに至った経緯を報告した。
この報告に対しては「日本が平和外交に徹していれば、いずれの国も攻めてこないとの意見は、残念ながら、国民の共通認識にはなっていない」「自衛隊の存在を容認している大半の人々に、論議の場に加わってもらうために、この提起は必要だ」などの意見が続いた。
野村氏はまた、政府が防衛省設置法の改正案を閣議決定し、武器輸出に向けた取り組みを強化したり、「文官統制」を見直して、武官が文官と対等に防衛大臣を補佐するよう図っていることに懸念を表明した。
昨年末、総選挙と同時に行われた最高裁裁判官の国民審査結果で、罷免要求率は前回の7%台から8%台へと約1%増加したことが話題になった。「米国では大統領の指名した最高裁裁判官候補者の約4分の1が上院の審議などで否決されているが、日本では内閣に任命されれば国民審査で罷免されることは絶対にない仕組みになっている」と野村氏は日本の現状を批判した。
その後、事務局から「昨年7月に集団的自衛権行使を認めた安倍内閣の閣議決定を違憲とした珍道世直氏による控訴審の最初の公判が、3月3日、東京高裁で行われることが紹介された。
編集委員会における討議
さる2月27日、学士会館北大連絡室で編集委員会が行われた。参加者は5名。
討議は ①パンフレット『日本国憲法が求める国の形』の装丁、内容の詰め ②パンフレット送付先表の作成 ③パンフレット発表記者会見の段取り ④記者会見案内状の作成 ⑤パンフレット発送事務の日取り設定(2月28日14:00、3月3日15:00)について行われ、必要な決定をした。
なお記者会見を控え、岡部氏の示唆にもとづき、編集委員の全員一致でパンフレットの編集長に草野好文氏を選出した。
記者会見案内状の送付先
自由民主党/民主党/公明党/維新の党/次世代の党/社会民主党/生活の党と山本太郎となかまたち/日本を元気にする会/新党改革/長崎新聞社東京支社/民主党プレス民主/九条の会/市民の意見広告運動/週刊新社会/連合通信/連合/安倍靖国参拝違憲訴訟の会/大塚茂樹(岩波書店)/日本共産党/朝日新聞社/毎日新聞社/読売新聞社/日本経済新聞社/産経新聞社/ジャパンタイムズ/共同通信社/時事通信社/中日・東京新聞社/北海道新聞東京支社/河北新報東京支社/神戸新聞東京支社/山陽新聞東京支社/中国新聞東京支社/西日本新聞東京支社/沖縄タイムス東京支社/琉球新報東京支社/AP通信社/AFP通信社/しんぶん赤旗/社会新報/週刊金曜日/思想運動/地域と労働運動/人民の力/聖教新聞社/先駆社/憲法改悪反対共同センター/日本放送協会/TBSテレビ/日本テレビ放送網/テレビ朝日/フジテレビジョン/テレビ東京/㈱IWJ岩上安身/「週刊朝日」/「アエラ」/「サンデー毎日」/「週刊読売」/「週刊現代」/「日刊ゲンダイ」 /「フライデー」/「週刊文春」/「週刊新潮」/「週刊ポスト」/「SAPIO」/「週刊プレイボーイ」/「別冊 宝島」(以上68社・団体)
パンフ発表記者会見
パンフレット発表の記者会見は3月20日(金)14:00から日本プレスセンタービル(都内千代田区内幸町2-2-1)9階大会議室 です。
会員はご出席下さい。
次の例会・勉強会のご案内
日時 3月22日(日) 14:00~16:30
場所 東京・神田 学士会館地下1階 北海道大学連絡室
(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)
報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
「日本国憲法が求める国の形(パンフレット)」の発表記者会見報告
野村光司(「パンフレット」起草者)
今後の日程について 事務局
討議 報告および提案への質疑、意見
参加費 無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。