完全護憲の会ニュース No.12 2014年12月10日

さる11月23日(日)、神保町・学士会館地下1階京都大学連絡室で会合、参加者12名。入会者 計 20名。

まず、岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)氏 から政治の現況について次のような報告があった。

政治現況報告(要旨)

3週間前、11月2日の会議の時には解散・総選挙の話は全くなかった。しかし20日もたたないのに解散、12月2日公示、14日投票で選挙戦に入っている。昔、川島正次郎自民党副総裁が、政界というものは「ピーカン照りと思っていると、一天にわかにかき曇り、ドシャ降りの大雨になる。何があってもおかしくない」と言っていたが、その通りの展開になった。

安倍首相は、北京でのASEAN首脳会議に9日出発したが、その前に自民党幹部と公明党山口委員長に、帰国までに選挙準備を進めるよう、言い残した。夏すぎに行った党の全国調査の結果が、自民党にとって非常に良かったからだ。

即解散の理由は①野党の準備がない今なら、自民が圧勝する②4月の8%消費税の影響が予想より大きく、半年のGDPはマイナスで、放置すればアベノミクスが危機を迎える③小渕、松島と目玉の女性閣僚が選挙違反で辞任、さらに他閣僚にも飛び火して、防戦一方、先細りになる④10%への消費税増税を2017年4月まで延期、これを争点にできる⑤例え、現有議席(自民295、公明31)326議席を30~40議席減でも多数を維持でき、今後4年間政権を担える、来年の総裁選にも勝てる――などだ。

安倍首相は外遊から帰国後、21日に臨時国会の会期を10日も残して予定通り解散、自ら“アベノミクス解散”と称し、争点も「アベノミクス経済政策に国民の信任を得るため」と強論した。経済を争点にすれば勝敗がわかりにくく、株高など環境も悪くない。ただ経済は生きもの、先行きは誰にもわからない。隠れ簑(みの)には、こんな便利なものはない。

ただ国民にとって選挙はこの2年の安倍政治の総括だ。争点は①反平和・反護憲・反自由の逆コース政策、特に集団的自衛権と特定秘密保護法の可否②脱原発、再稼働を認めるか③沖縄選挙と基地問題④中国・韓国との東アジア政策⑤アベノミクスによる格差の拡大――にある。

安倍首相・自民党による党利党略解散への国民の反応は?A紙によると解散理由に納得せずが65%あり、内閣支持率も39%、不支持率40%と互角である。

ただ政党支持率は自民が37%、民主が13%と圧倒的。しかし、選挙では1年生議員の2/3が落選とのジンクスがあり、保革伯仲を望む人が40%もあって、結果はフタを開けてみるまで解らない。それに民主・維新を中心とする野党の選挙協力も進んでいるので、安倍の思惑通りになるか、混迷の時代の方向を決める重大な選挙となりそうだ。

 

パンフレット第2次案の討議経過

 

ついで支持者から会に寄せられたブログ「現時点で衆議院解散は憲法上重大な問題」(郷原信郎弁護士)のコピーが参考資料として配られた後、さる11月12日(水)に行われた第6回編集委員会における討議の模様が事務局から次のように報告された。

1)例会で出された(第1章天皇関係)で、皇族の高円宮典子さんに今回の結婚による皇籍離脱に際して1億675万円が支払われたのは黙視できない特権である、という意見については、天皇関係で出される批判の一つとして、同感を禁じえないが、現憲法全体の擁護によって反動攻勢に対峙するという大きな目的から、適法であるかぎり容認することとした。

2)第20条(信教の自由)関係で、宗教団体による平和擁護その他の政治活動をめぐって出された例会での意見については、パンフ原案に、憲法によって「宗教団体の政治活動一般が否定されているわけではない」と記載しており、ただ「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」という憲法条文は厳格に守られなければならない、とした。

3)第66条(内閣の組織)の第2号「国務大臣は文民でなければならない」関連で、パンフ案の「高級軍人は戦争を好む」という記述をめぐり、現自衛隊幹部の間に憲法擁護の動きがあること、アメリカのパウエル参謀総長がイラク戦争に慎重であったことなどから例会で出された異論については、「傾向にある」と付け加えて表現を和らげることとした。

4)第65条(行政権)の「行政権は、内閣に属する」の関連で、パンフ案の「行政権は合議体である内閣にあり……その内閣の下に首相がある」の記述に対する批判に対しては、「国会は国権の最高機関であり、首相はその指名によって始めてその地位を得る下級の『使用人』である。使用人が主人であり国権の最高機関の全員を、ほしいままに罷免できるなど条理の上からあり得ない」(パンフ<第7条>関係の記述)の立場から、「内閣の下に首相がある」との記述は再確認された。

おおむね以上のような報告の後、野村光司(日本国憲法が求める国の形―「パンフレット第2次案」起草者)氏から国政の現況と憲法のかかわりについて次のような解説があった。

1)女性閣僚の中でも稲田朋美、高市早苗両氏などは夫婦別姓に反対している。これは24条(両性の平等)に反して違憲であり、夫婦別姓についての記述をパンフ原案に加えた。こうしたことでパンフレットの発表が遅れることになるが、違憲の言動が目立っているので遅延もやむをえないと思う。

2)現内閣が提唱している地方創生は、地方独自の政策提案に資金を優先的に配分するという地方陳情を促すものになっており、第8章で定められた「地方自治の本旨」に反している。

3)最近、英国のスコットランド地方やスペインのカタロニア自治州で独立の動きがあった。沖縄でも第95条(特別法の住民投票)に基づき、住民投票によって特別法を制定すべきであろう。

以上の提起をめぐって次のような意見が出された。

「パンフレットは安倍が政権にあるうちに出したい。発表後に必要な追加すればよい」

「パンフ発行後に出される批判については、引き続き例会で討議する必要がある」

「早くまとめ、早く出すのがいい」

「来年の4月の統一地方選挙以前に出すべきだ」

「となると来年1月の例会には原案を例会に提出しなければならない」

「12月3日の編集委員会でパンフ発行の構想を、体裁や頁数、部数を含めて検討すべきだ」

「資料として、現憲法条文を入れるか、旧大日本帝国憲法、五日市憲法、鈴木安蔵氏らによる『憲法草案要綱』などを入れるかどうか」

「パンフ発行に際してのあいさつ文も必要だろう」

以上の討議でパンフレット発行の手順案を12月3日の編集委員会で取りまとめることとされた。

ついでパンフ第2次案の記述に対する意見として

「第10条(国民の要件)で記述されている韓国・朝鮮人の参政権については、93条(地方公共団体における直接選挙)に移すべきではないか」

「第20条(信教の自由)関係で、地方公務員の宗教行事参加を容認しているのには問題がある」

「第22条(職業選択の自由)関連でパンフ原案に『(営業目的で)組合、会社を組織し』とあるのは、労働組合と間違われやすいので、協同組合とせよ」

「第36条(残虐刑の廃止)関連で、パンフ原案は死刑を、残虐な刑であることを理由に、廃止するよう求めているが、死刑の廃止は誤審の虞も大きな理由だ」

「この頃、条約の順守が憲法に勝るとの意見をよく聞かされるが、どうなのか」

「第98条の2号で『条約及び……国際法規は……誠実に順守することを必要とする』とあるものの、憲法が最高法規であることに変わりはない。」

以上のような討議の後、これら発言の趣旨を12月3日(水)の第7回編集委員会で討議し、パンフ原案に生かすことになった。

また来年1月の例会では会計報告が予定されており、そのための会計監査員に宮崎国雄氏が拍手によって承認された。

               次の例会・勉強会のご案内

日時 12月21日(日) 14:00~16:30

場所   東京・神田  学士会館地下1階  北海道大学連絡室

(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)

報告   政治の現況について   岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)

「日本国憲法が求める国の形(パンフレット第2次案)」の討議経過

野村光司(「パンフレット」起草者)

今後の日程   事務局

討議  報告および提案への質疑、意見

次の例会について  その他

参加費  無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)

連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 福田玲三

電話03-3772-5095 メール:rohken@netlaputa.ne.jp

 なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。

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