完全護憲の会ニュース №33 2016年9月10日

              <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>

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       目次   ① 第32回例会の報告        1p
            ② 第29回 編集委員会の報告(略)
            ③ 当面の日程について        2p
            ④ 集会の案内            3p
       別紙 1 政治現況報告            3p
       別紙 2 事務局報告             4p
 
 
           第32回 例会の報告

 8月28日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で第31回例会を開催、参加者15名。入会者 計59名。
 司会を大西編集委員が担当し、まず、怪我(けが)で欠席された岡部共同代表からの政治現況報告(別紙1)が代読され、ついで事務局報告(別紙2)を福田共同代表が行った。
 これらについて以下の意見が出された。
 まず「天皇の生前退位」について賛成の見解を表明しようという当会ブログへの投稿には異議なく賛意が表明され、「生前退位支持の訴えをどう展開するか」「署名運動もあり得る。保守派を孤立させよう」「生前退位のために特別法はいらない。皇室典範の改正で済む」などの意見があった。
 ついで、A紙「声」における改憲派からの質問3点については、日本の自衛権をめぐる討議となり、「自衛権を前提にしてよいか」「自衛権のついて当会に色々な意見がある」「自衛権はもたざるを得ない。9条を変えず、これ以上の軍備増強を阻止することが課題だ。国連による日本防衛の可能性はないと思う」「北朝鮮のミサイル飛来は短時間なので捕捉できず、阻止不能だ」「北朝鮮の仮装敵国は米国であり、日本を狙っているわけではない」「尖閣諸島は戦前台湾省の管轄下であり、海底の地形から台湾に繋がっており、琉球諸島には帰属していない。」「国境の小島で争っているが、国内に防災空白地帯がたくさんあり、自助努力に任されている」「新聞の広告は電通がにぎり、新聞社の死命を制している。自民党と電通が提携し、日本は内部からダメになっている」「A紙に載った改憲派からの質問3点について会として統一見解を出したらどうか」などの意見があった。
 なお、「自民党の改憲草案は改憲ではなく新憲法だ。現憲法は破壊されてはいない。現憲法理念に反する一切の憲法を排除すると前文にあり、この解説を書いた野村氏の見解を聞きたい」「野党共闘は憲法を守る政府を作ることに向かうべきだ」などの提起もあった。
 新参加者として岡部氏の知人2名が紹介された。

       当面の日程について
          
 ① 第33回例会 9月25日(日)13:30~16:30
     場所 港区・三田いきいきプラザ・「憲法研究会」(田町)
        〒108-0014 港区芝4-1-17 電話03-3452-9421
        JR 山手線・京浜東北線、田町駅西口から徒歩8分
        地下鉄 三田線・浅草線 三田駅 A9 出口から徒歩1分
   報告 1) 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
      2) 事務局報告 福田玲三 (事務局担当)
   勉強会 護憲派の主張について
   会場費ほか 300円
 ② 第30回編集委員会 9月28日(水)14:00~ 大阪大学東京オフィス
 ③ 第34回例会 10月23日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ(田町)
 ④ 第31回編集委員会 10月26日(水)14:00~神明いきいきプラザ(田町)
 
        集会の案内

 ① 憲法のつどい「もしも、自民党改憲草案が実現したら?」
   ~「あすわか」弁護士が疑問に答えます~
  日時  9月17日(土) 13時40分~16時35分(13時20分開場)
  場所  日本教育会館707号室
  参加費 700円
  主催  週刊金曜日
  協賛  宮前九条の会、九条の会・さいたま、テープ版読者会、練馬読者会、
      市民の意見30の会・東京/市民意見広告運動、完全護憲の会
    *保育あり

 ②「7・1閣議決定」違憲訴訟 第9回勉強・相談会
   9月22日(木)13:30~16:30 港区神明いきいきプラザ。
 
 ③ 『週刊金曜日』東京南部読者会
   9月23日(金)18:30~2:30 大田区生活センター集会室(JR蒲田駅徒歩4分)

<別紙 1>
           政治現況報告      2016年8月28日

               岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)

 戦後71年目の夏、8月は日本にとって特別な日々だった。6日の広島、9日の長崎の原爆記念日は、先日、オバマ大統領が広島を訪れただけに、原爆廃棄・平和への訴えが例年より大きく盛り上がったし、15日の終戦記念日も、その直前、天皇が自らの退位について言及しただけに特別の日となった。そんな中、3日には第三次安倍内閣の再内閣改造が行なわれた。7月衆院選で自民党が単独過半数、改憲勢力が、改憲に必要な3分の2議席を超えたため、緊張が高まっていた。
結果からいうと麻生財務、岸田外務、塩崎厚生労働、菅官房長官など、19人のうち重要閣僚9人が留任し、骨格の全然変わらない、現状維持の組閣となった。強いていえば、女タカ派の稲田朋美党政調会長を防衛大臣に登用。米軍支援の自衛隊新任務を強化させる地位に据えたことと、地方創生相の石破茂の続投を要請したが、石破氏が固辞、閣外に去ったのが目立つぐらい。むしろ問題は党執行部で、首相は三役続投を希望していたが、7月に谷垣幹事長が趣味の自転車で転倒、骨折して入院したため、留任を断念。総務会長だった二階俊博氏を幹事長に、代理の細田氏を総務会長に、新政務会長に政策マンとして期待している茂木敏充氏を当てた。ただ温厚でイエスマンだった谷垣氏と違い、二階氏は中国と近く、公明、民進党など野党にも顔が広く、改憲についても「慌てることはない。野党とも、公明党とも、十分話し合ってゆく」と慎重論で、かなり首相とは肌合いが違う。ただ安倍首相は二期六年の自民党総裁の任期を2018年9月から、さらに3年、三期九年に延ばすことを熱望しており、二階幹事長はそれを支持しているので、期待しているのだろう。つまり東京オリンピックも首相だといういうわけだ。しかし、この任期延長問題は、対立候補との関係もあり、そんなにすんなり決まるとは思わない。
その間、桝添東京都知事の辞任によって、8月1日未明まで開票のあった東京都知事選挙は自民党都連と喧嘩までして無所属で立候補した元防衛相の小池百合子氏が、自公両党の推す増田寛也・元岩手県知事、民進・共産など野党の推すジャーナリスト・鳥越俊太郎氏を抑え、290万票をとって快勝した。増田氏170万票、鳥越氏134万票だった。公明・共産両党は70%がそれぞれ推薦の候補者へ投票したが、自民党は実に52%が小池氏へ。民進党票も39%が小池氏に流れた。支持なし層はもちろん、世代別でも小池氏が圧勝した。つまり勝因は政党放れだった。これは今後両陣営にとっても深刻な問題になりそうだ。
 8日に国民にビデオ・メッセージで届けられた天皇陛下の「全身全霊での象徴の務めが難しくなった」と生前退位の強い希望は全国民に衝撃を与えた。82歳となり、公務も十分務められるか自信がない、と改めて問題が突きつけられた。憲法では第2条で「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」と象徴天皇の皇位の世襲だけしか規定されていない。明治憲法は天皇を神として、ほとんど人格を奪った。江戸時代以前の天皇は、退位も自由で、譲位も簡単。元号も自由に変えられた。皇室典範は明治憲法からの引き継ぎも多く、老齢化など天皇個人にとっても現実にそぐわなくなっている。平成天皇だけの特別立法にすればと声もあるが、さすがに場当たり的であり、安倍内閣でも皇室典範の改正で論議を進めることになろう。ただ改正となると余りにも多岐にわたる。小泉内閣が皇位の男子継承をどうするかで審議した時も10ヵ月が掛っている。
 この典範改正を秋にスタートさせても来年いっぱいはかかる。この9月から安保法制の審議、憲法審査会での改憲論議を進めようとしていた安倍首相にとって、これは思わぬ路線変更であり、戦略に大きく狂いが出て来そうだ。

<別紙 2>
            第32回例会 事務局報告

                      福田玲三(事務局) 2016. 8.28

1) 当会ホームページのブログに、本月間、次の投稿と、それぞれへのコメントがあった。
  ・「米食い虫」的差別は違憲(8/20、福田)
  ・護憲派は天皇の「生前退位」問題に見解表明を(8/17、草野)
  ・「布施杜生」の紹介(8/5、福田)
  ・天皇陛下の「生前退位」に賛同を(8/3,大西)
  ・私と憲法(8/2、福田)
  ・映画のなかの言葉(7/27、きくこ)

2) 以上のブログのうち「天皇の生前退位」にかかわる2つの投稿とコメントを紹介する。

ブログ1:天皇陛下の「生前退位」に賛同を(8/3、大西)

 最近、天皇陛下の「生前退位」の話題が良く目につく。
 右のほうから「絶対反対」の論調が聞かれるが、左からは音沙汰なしである。このままでは「生前退位」が吹っ飛んでしまう。護憲派としては「生前退位」に諸手を挙げて賛同すべきである。
 かつて「女帝」の問題が上がったこともある。私は「女帝大賛成」と言っていた。護憲派の多くは「非武装中立、天皇制反対」である。私も同じ立場だ。だからと言って天皇制を論じないというのは誤りだ。積極的にかかわって、より良い制度にしなければならない。
 天皇制の何がいけないのか。護憲派の中に「身分制度」という人が多い。私は「天皇の神格化」と思っている。護憲派の言うように、直ちに天皇制をなくすことは無理である。でも、「神様」でなくすることは可能だ。まずは「万世一系=男系」を破ること。「女帝」推進である。そして「生前退位」だ。
 生前退位が認められれば天皇は国家公務員の「天皇職」になる。皇族から「定年制」の話が出たこともあるらしい。これも、国家公務員の「職」レベルの話になる。身分制度でもなくなる。「象徴」として居て戴いていいのでは。多くの国民も望んでいるのだから。
 私達も声を上げよう。「生前退位」賛成と。

コメント1:きくこ
 平和の大切さを知るから、日本国憲法を素晴らしいと思い、象徴としての天皇制を素晴らしいと思います。つきつめて考えれば、天皇制に反対なのではなく、天皇制を利用した軍国主義国家体制に反対だという人がそれなりの人数でいるのではないでしょうか。
 天皇制を軍国主義に悪用されないためにも、天皇制=軍国主義は明治維新以後の限られた期間のことで、むしろ天皇制=平和主義というのが日本の長い伝統の中にあるという視点で考えてみる必要があるのではないかと思います。

コメント2:大西
 きくこ様。ありがとうございます。旧護憲派の「天皇制反対」は殆どの方は身分制度を言っています。
 私は富国強兵に利用された明治以降の在り方が許せないと思っています。江戸時代も、それ以前も、将軍職など官位は天皇から下賜されていました。天皇は天子様と呼ばれ、「士農工商」の上にありました。でも、現在と同じく、政治的実権はありませんでした。そしてそのほうが平和でした。
 天皇が実権を握った時、いくつもの争いが起こっています。忠臣面した奸臣が権力闘争をしたり、侵略戦争をしたりしています。明治維新以降の80年がその典型です。自民党の改憲案にも天皇の「元首」を言っています。奸臣どものたくらみがありありとしています。旧護憲派の方たちにもこのことに気づいていただきたいと思っています。そして、「生前退位賛成」と大声で言っていただきたい。

ブログ2:護憲派は天皇の「生前退位」問題に見解表明を(8/17、草野)

 8月3日付の当ブログで、大西さんが「天皇陛下の『生前退位』に賛同を」との意見を寄せられた。
 私はこの大西さんの提起に賛成である。大西さんも言われているように、護憲派は今回の「生前退位」問題に限らず、天皇制が直面する現実問題については積極的にかかわろうとせず、否定的傍観者として振る舞っているように思う。言わば自らを蚊帳の外に置いているかのようだ。
 その理由は、これも大西さんが言われているように、護憲派の多くが天皇制否定の立場に立っているからである。天皇制などという人間平等に反する、あってはならない制度をより良くするなどということは考えられない、ということなのであろう。
 しかし、「生前退位」問題とは憲法問題なのである。護憲を標榜する護憲派がきわめて重要な憲法問題に直面して傍観者的に振る舞っていいわけがない。そして「生前退位」問題とは「皇位継承」問題なのである。
 憲法第2条は「皇位は世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する」としている。その皇室典範はどうなっているか。
 皇室典範第1条は「皇位は皇統に属する男系の男子が、これを継承する」となっている。あからさまな女性差別であり、憲法第14条「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により………差別されない」に違反しているのである。
 安倍政権はじめ右翼保守勢力にとっては、天皇を「元首」化するためにも「生前退位」など認めたくないであろうし、ましてや天皇神格化の根源となっている男系男子による継承(これ自体神話なのだが)が断ち切られ、女性天皇が誕生することなど絶対に認められないであろう。
 それゆえ、護憲派は、憲法違反の皇室典範改正に踏み込んで今回の「生前退位」問題を論じるべきであり、かつ、女性にも皇位継承権を与えるべきことを主張し展開すべきなのである。
 まさに今回の「生前退位」問題と「皇位継承」問題は、右翼保守派の弱点なのであり、彼らがいかに戦前回帰の反民主主義勢力であるかをあぶりだす好機なのである。現天皇の「生前退位」問題は国民の関心も高く、さまざまに議論が噴出するであろう。このような状況の中で、これまでのように護憲派が否定的に傍観者的に振る舞うようなことがあってはならないと思う。
 いまこそ護憲派は、「生前退位」賛成、女性にも皇位継承権を与える皇室典範改正を訴えるべき時である。

コメント:大西
 天皇のお言葉があった後、産経新聞が「天皇の生前退位のために憲法を変えることに賛成ですか」という調査をしたら、70-80%の賛成があったとか。とんでもない設問である。天皇制については、「皇室典範」の改正で済むのである。強引な「憲法改正論」への誘導を意図しているものと言える。皇室典範改正にあたり、女性天皇、女性宮家、元号など、改めていかなければならない課題も多い。真剣な議論を積み上げなければならない。

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