完全護憲の会ニュース №20 2015年8月10日

 さる7月26日(日)、神保町・学士会館地下1階大阪大学連絡室で7月例会を開催、参加者22名。入会者 計42名。

                第19回 例会の報告

 草野好文(編集委員会・委員長)が司会し、まず岡部太郎共同代表(元『東京新聞』政治部長)が政治現況報告(別紙1)を行った。
 ついで野村光司共同代表(『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)が最近の事例にかかわる護憲上の問題点として「3月パンフ発行以後の憲法問題(案)」(別紙2)を提起し、これは今後の検討に委ねられることとなった。
 ついで福田玲三共同代表(事務局担当)が事務局報告(別紙3)を行った。
 次に後藤富士子弁護士が憲法24条(家庭生活における個人の尊厳と両性の平等)について報告(別紙4)を行った。
 新参加者の自己紹介では、栃木県から参加した週刊金曜日の読者会として、当会パンフ23部の注文をいただいた。また参加者の田中伸氏からは、『東京新聞』7月25日(夕)に文京区の市民憲法学習会で安保法案をテーマに語った創作小話が写真入りで紹介されたことが報告された。
 各種報告にたいする全般的な質問として、「『現在の日米条約は、日本がアメリカから守ってもらうだけの片務的なものだから、日本も自衛隊員をアメリカのために出動させることで双務的なものにすべきだ』との主張に対し、どう対抗すべきか?」の発言。これに対しては「この『日米安保=片務』論は、典型的な言いがかりだ。今でさえ日本は、年間7,000億円ものカネを米軍駐留に支出している。東京上空の広大な空域は米軍専用とされているために、西日本に向かう民間航空機は千葉まで遠回りを強いられる。また、強姦を始めとする悲惨な犯罪が米軍軍属によって犯されても、治外法権であり、容疑者はフリーパスで本国へ帰れる。このような事実は、矢部宏治著『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』が具体的に詳述している」と参加者相互が回答した。
 「山梨県で中学生から30代の若い女性が白装束で、お経を唱えながら行列していた。観光バス5~6台くらいを連ねる大規模なものだった。前日には男性も同様の行列を行ったとのこと。こういう宗教団体による動員にくらべ、『完全護憲の会』も、若い人たちがたくさん参加してもらえるようにすべきではないか。」の貴重な意見もあった。
 以上のような意見が交わされた後、事務局から8月の例会と編集委員会について次の案内があった。

            次の例会・勉強会のご案内

日時 8月23日(日) 13:30~16:30
場所 三田いきいきプラザ・集会室A「憲法研究会」
〒108-0014 港区芝4-1-17 電話03-3452-9421
JR 山手線・京浜東北線、田町駅西口から徒歩8分
地下鉄 三田線・浅草線 三田駅 A9 出口から徒歩1分
報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
護憲の現状について 野村光司(「パンフレット」原案起草者)
事務局報告 福田玲三(事務局担当)
憲法と司法制度(案) 後藤富士子(弁護士)
討議 報告および提案への質疑、意見
参加費 無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
(連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。)

     次の編集委員会のご案内

日時 8月26日(水)14時~17時半
場所 大阪大学東京オフイス多目的室
東京都千代田区霞ケ関1-4-1 日土地ビル10階
アクセス:「虎の門」駅7番出口から北へ徒歩1分
「霞ケ関」駅A12号出口から南へ徒歩3分
(編集委員会に、ご都合のつく会員もご参加ください)

            編集委員会(7月)の報告

 第19回例会後の編集委員会が7月30日、大阪大学東京オフイス会議室で開かれた。出席者は野村、草野、福田のほか3名の編集委員と稲田氏の7人。以下の議題について討
議、決定した。
1.パンフレット配布活動
 ① 議員会館における国会議員全員への配布について。しばらく時期を検討する。
 ② 著名人、大使館など配布先リストの作成。(担当:K、福田)
  ・一定数作成しだい、順次送る。(担当:O)
2.会員・読者からの手紙(批判的意見含む)
 ① 山岡氏から当会に期待する手紙をを紹介。
 ② 白井氏からの手紙を検討。
  ・第1条、第2条の天皇条項に関して、天皇を特権的存在と認識する貴会パンフの見解と大きく異なる旨。―→返信担当:野村
 ③ 長坂氏よりの訴状を紹介
  ・「集団的自衛権行使容認」閣議決定に対して違憲訴訟準備。―→返信担当:福田
3.Sさんの意見と例会の持ち方
 ① 例会の時間配分不適切。出席者が一言も発言できないことあり。運営の見直しを。
  ・Sさんの意見にしたがい、討議の時間を確保するため、主催者側の報告を以下の時間配分としたい。
   岡部報告:20分、野村報告10分とし、この後、質疑応答30分とる。
   このあと、福田事務局報告10分とする。
  ・特別報告(講演)は提起30分、質疑15分とする。
  ・参加者ができるだけ多く発言できるよう、質疑の時間を多くとる。
 ② 新参加者(入会者に限らず)の紹介を行い、その発言の時間も確保する。
 ③ 戦争体験を聞きたい、という要望に応える企画を考える。
4.稲田氏意見(別紙)と稲田意見採用草野修正案(別紙)の検討
 ① パンフ設立趣意書の「日本国憲法の理念」の内容をめぐって議論。
  ・稲田意見、草野修正案を採用すべき、との意見多。(O、K、川本)
  ・現行パンフの「理念」のままで良い、変える必要なし(野村)。特に「行政権力の抑制」は不可欠、削ることに反対(野村、福田)
  ・現行野村理念は夢・詩がある。草野修正案は理屈っぽい。草野修正案を各項目1行で表現したい。(福田)
 ② 上記稲田意見、草野修正案、野村現行案、福田修正案を継続議論とし、例会にも提示して議論することで合意。
5.パンフ普及版について
 ① 普及版の内容についてそのイメージが定まらない、ということで議論。
  ・田中氏のアイデアを活かして、自民に対抗する漫画版にしてはどうか、との提案あり。田中氏と相談してみる。(福田)
  ・重要10項目をもとに検討している。(K)
 ② 当面、上記2案を併行してすすめる、との結論。
6.「完全護憲の会」ホームページについて
 ① これまで、「工事中」としてホームページの作成に携わってきた川本さんが、他のホームページ作成も抱えて多忙なため、正式にHP担当者を決定。全体の管理責任者として福田、直接の担当者をOとすること確認。
 ② 近日中にトップページの「工事中」を削除し、正式公開とする。
 ③ 多くの会員にも参加(会員ブログの活用)してもらい、充実したHPとしたい。

    ご案内
 戦争体験者による講演会。8月28日(金)18:00~20:30 於:大田区消費者生活センター第4集会室(JR蒲田東口徒歩4分)
  講師:野村光司氏(完全護憲の会・共同代表)、信太正道氏(厭戦庶民の会・代表)。
  会費 500円 。 問合せ 090-6711-9251(週刊金曜日東京南部読者会・杉本)
 青年劇場創立50周年記念公演。ジェームス三木=作「真珠の首飾り」(国民主権・戦争放棄・基本的人権の尊重)
  9月11日~20日(紀伊國屋ホール)、9月24日(大田区民プラザ)、9月25日(かめありリオホール)。
  前売り=一般5150円、30歳以下3100円、高校生2000円。
  青年劇場チケットサービス(03-3352-7200)

<別紙 1>
              政治現況報告

                     岡部太郎共同代表
 憲法の専門家や過半数を超える多くの国民が反対する中、安倍首相と自民・公明両党は、今国会に提出した安保関連12法案の審議を打ち切り、7月15日に衆院安保特別委で野党反対の中で強行採決。16日には衆院本会議で、民主・維新・共産・社民など野党五党が 採決を拒否、退席したあと強行採決し、参院へ送った。安倍首相自身が「国民の理解が進んでいない」ことを認めながらの暴挙だった。何が何でも解釈改憲で「違憲」の集団的自衛権を押し通すハラだ。参院の審議も来週から始まる。
 ところで何故、自民党は憲法改正を結党以来主要政策として掲げ、こんなに急いで軍備拡張の安保法制へ突き進むのか。簡単に振り返ってみよう。
 太平洋戦争に破れて無条件降伏、米軍など連合国に占領された日本は、外交官の吉田茂が首相になって、自由党が政権を握った。いわばアメリカ寄りの政権だ。また米国は戦犯裁判と同時に、戦争に協力した政治家を公職追放して、政治にかかわれなくした。その代表が岸信介や鳩山一郎だった。その間、昭和22年新憲法(平和憲法)が制定され、日本は戦争を放棄、交戦権も軍隊も持てなくして70年が過ぎた。
 追放されたものは、日米講和条約の発効で独立を果たすと解除され、続々と政界へ復帰した。鳩山は岸や石橋湛山、三木武吉などと鳩山自民党を立ち上げ、昭和30年の保守合同で自由民主党の総裁・首相になると、親米の吉田路線を排し、日ソ友好条約を締結した。戦犯・追放の憎い米国や吉田と距離を置き、新憲法に対しても憎いアメリカから押し付けられた憲法として、党の政策に改憲を盛り込んだ。吉田は佐藤栄作などと共に最初の自民党に参加できなかった。
 鳩山から石橋と体調が悪く引退した中で、戦犯だった岸が外相から首相となった。岸は日米安保が不平等条約だと改正に取り組み、訪米してアイゼンハワーに改正を約束。日本へ招待した。安保騒動は、成立に合せたアイク訪日、そのための安保条約強行採決とムリを重ねたため、一気に拡大、衝突で樺美智子が死んだため、デモが拡大、アイクは訪日を取り止め、条約が自然成立した日に岸は退陣した。そのあと、池田・佐藤と長く本流政権が続いたため、改憲気運は遠のき、今日に至った。安倍は全く岸と同じ路線を歩いている。しかし鳩山自民党や岸の憲法改正、非米路線につながる安倍が、超親米路線で、自衛隊を紛争米軍の先頭に立たせると云うのだから、こんな矛盾はない。支離滅裂と云うことになる。
 今回の安保法案強行採決で、予想以上に国民の反対世論が持ち上がっている。その後、行われた各紙の安保法での世論調査で、大半が「反対」に回った。
 読売(反対50 賛成36) 朝日(反対56 賛成26) 毎日(反対58 賛成29)
 日経(反対57 賛成25) NHK(評価しない61 評価32)
 共同通信(反対61 賛成27)
 サンケイを除いて全ての調査で反対が過半数を超えた。
 また内閣支持率では、朝日が支持37%、不支持46%と安倍第二次内閣で初めて不支持が上回り、安保法案の強行採決は「よくない69%」「今国会で成立させる必要あり20%」だった。また共同通信社による調査結果でも、内閣支持が6月の46%から37%に急落、支持しないは43%から51.6%と増え、これも初めて不支持が増えて逆転した。また「安保法案が憲法に違反していると思う」が56.6%、「政権が安保法案について十分に説明しているとは思わない」は82.9%にのぼり、与党の公明党支持層でも94%、自民党支持層でも64.4%、無党派層でも90.8%とほぼ潰滅状態。それでも安倍首相は「支持率で政治をやっていない」とうそぶく。
 国民の声に従って国政を動かすのが民主主義の政治家。自分で俺は独裁者だと云っているのと同じだ。
 参院では10増10減の選挙区改正が成立した。初めての2合区。自公の対応が初めて別れた。

<別紙 2>
            3月パンフ以後の憲法問題(案)

                          野村光司共同代表

憲法前文
(1項第1文関係)
「日本国民は、国会における代表者を通じて行動」
国会で発議、制定された法律以外の、行政府要請には決して従わない決意。
陸軍刑法では捕虜になっても罰せられないのに、陸軍大臣の訓令に過ぎない戦陣訓で多くの青年が自決させられた。
  現在も幾多の行政指導で数多の自由が制限されている。国歌・国旗法には強制規定がないのに教委が教員を処罰している。

(2項第1文関係)
「人間関係を支配する崇高な理想」の確認。
法学者にどう読まれているか?人間愛(人権)と言葉の神聖(法治主義)、
あらゆる虚偽を国政から排除。
建国記念日のウソ。紀元前660年の2月11日は、全くの虚偽。(偽装大国)日本の建国記念日。
「消費税」のウソ。現実は「付加価値税」消費者に租税行政に関係なし。納税義務者は事業者であって一般消費者ではない。「税込」の販売価格のみを表示すべし。
「全世界の国民 (all peoples of the world) が、等しく恐怖から免れ、平和のうちに生存する権利」の確認。
「死の商人」となって武器輸出をしない。

(3項関係)
「他国を無視してはならない」
「日本が韓国の植民地になる」民族感情を理解する。日本の皇后陛下が韓国外交官に惨殺される。日本人に選挙権その他の参政権無く、韓国軍人の日本総督の命令が法律となり、死刑にもなる。
卑しい日本語の使用を禁止、卑しい日本名を改め韓国姓を名乗らされる。韓国からの独立運動は徹底的に弾圧される。日本人は強制的に徴用され、韓国の鉱山、工場で重労働に服させられる。日本女性を韓国兵の慰安婦とし、戦場に連れまわされる。

天皇皇后の敵味方慰霊の旅、日本各地の敵味方慰霊の事例。
対照的な首相の靖国参拝、圧力重視のアジア外交、戦国秦の遠交近攻政策(戦争準備の外交)。

憲法本文
(第1条関係)
「天皇の地位は主権の存する日本国民の総意に基づく」
天皇制か特定天皇の地位か。国民投票で退位して貰う国民投票法もできず、現天皇家を否定する民意は今のところない。

(第7条関係)
栄典授与(国民のために)の悪例
東京大空襲等、無差別都市絨毯爆撃による焦土作戦を建言し、数十万の同胞を殺し数十万の家屋を焼く作戦を指揮したルメイ将軍に勲一等旭日大綬章を授与(佐藤政権)。
巨額の血税を消費し、違憲でもある航空自衛隊創設を賞すべきか。

(第9条関係)
「国際紛争を解決する手段」
日本国土で発生した紛争、侵略には武力を用いても、国外での武力行使は一切できない。
集団的安全保障:米軍補助部隊。インドネシアの日本軍「兵補」、英国軍のグルカ兵、関東軍の満州国軍。
戦時の統合指揮権:韓国軍は米軍に、と協定、日米秘密協定。
他国の傭兵で、戦費は日本負担:米議会のstanding ovation(全員起立拍手)は当然。

(第14条関係)
従軍慰安婦。特に朝鮮人女性を動員して日本兵士の慰安に供したのは民族差別。
ギャンブルと国政。統一した政策が無い。 カジノ、パチンコ、競輪・競馬、競艇、麻雀。
被害者無き犯罪。麻薬、マリファナ、売春。

(第15条関係)
18才以上に選挙権が与えられた。若者の棄権が多い中で更なる若者に公民教育の必要、自民党は教員の「偏向教育」に罰則。憲法教育は教員の義務。
投票権の本質。選挙権は選挙人に私益を与えるものでなく、全体の利益のため適正な代表者を選定する公の権限である。公権には義務が伴う。この公務を果たさない常習的棄権者は、その他の公職に任ぜられる資格なし。

(第18条関係)
自民憲法改正案「何人も、その意に反すると否とにかかわらず、社会的又は経済的関係において身体を拘束されない」
国防的、軍事的、政治的関係において政権から求められれば、兵役も警察的拘留も忍ばねばならない。

(第20条関係)
何人も、靖国神社にA級戦犯の分祀を要求できない。何人を神と崇めても、止めさせることはできない。
公然と呪いの儀式をしない限り、秘かに「丑の時参り」をしても現世的害悪は何も無い。

(第21条関係)
「一切の表現の自由は(無条件に)保障する」
政権批判集会への公民館貸出拒否。
多数申し込みの整理、使用料以外に、言論内容での差別は職権乱用。「住民は、自治体提供の役務を均しく受ける権利あり」(自治法10条2項)。
参考:ドイツ基本法(8条)は、屋内集会と屋外集会を区別し屋内は完全自由。
「検閲をしてはならない」
教科書検定は「検閲」。「表現の自由」は無条件。予想される需要者(学校)への発信が権力に妨げられてはならない。
検定を廃止した場合の学校現場の教科書選択はどうするか?PTA、学識経験者の合同委員会?

自民党「文化、芸術、政策懇談会」
「国を過つメディアには広告を載せるな」「沖縄2紙はぶっつぶせ」
スターリン、ナチス、戦前日本の思想表現統制。政権に不利な文化を弾圧し、有利なものだけに整理する。

ヘイトスピーチと言論の自由
言論の自由は、思想の自由な交換のため。少数民族の生命、身体、名誉を害することを主目的とする言論は許されない。

(第22条関係)
「対話と圧力」で経済制裁。「敵」政府への打撃よりも、彼我の民間企業への打撃が大きい。

(第23条関係)
「国立大學に対する圧力」。
君が代、日の丸の実施要求。「国費を使う以上?」国民の血税で、政権の金ではない。
「全体の利益」(the whole community)(憲法15条)。「学問の自由を守る会」。
文系学科の予算削減。「学問の自由はこれを保障する」(憲法23条)。大学の自治。戦前の文系教授に対する弾圧。政権批判の学問は許さず。大戦時、文系の徴兵猶予を取り消し、前線に動員。理系には兵器開発研究を要求した時代を再現か。防衛省、大学への軍事研究費供与。

(第25条関係)
「猛暑対策」。
年々、猛暑が激しくなり熱中症で死亡する人が増えつつある。あらゆる熱源を統制す。る施策が求められる
自動車対策。自動車は極めて有用な物材であるが、並はずれた殺傷率、温暖化ガス排出量、公衆交通サービス破壊。有用性を大きく害さず、抜本的な抑制策を講じなければならない。

(第26条関係)
自民党、「政治偏向教育の教員には刑罰を」。
教育公務員の憲法を遵守し尊重する義務。憲法教育は、生徒のための当然の公民教育。憲法誹謗の教育こそが政治偏向教育。
学校での虐め。「すべて国民は教育を受ける権利を有する」故に、国は「生命、自由、幸福追求の権利は、国政の上で最大の尊重を必要とする」(13条)
苛めは、被害者に死の苦しみを与え、自殺に誘導する犯罪であり、かつは、教育の場を破壊する。国家権力は、不法の暴力が人民を傷めるとき、それに優る合法の実力で抑制することに存立の根本的第一義がある。被害者に我慢、転校を勧めるのではなく、加害行為を禁圧し、加害者を懲戒しなければならない。

(第31条関係)
「被疑者」呼ばわりの禁止。
わが国が締結した対日平和条約で世界人権宣言の順守を約す。11条1項「公開の裁判で有罪の立証あるまで無罪と推定される権利」。 杜撰な検挙も多い中、警察の逮捕で即、「被疑者呼ばわり」は許されない。肩書有る者は、その肩書で呼ばるべし。

(第66条関係)
「大臣の文民条項」
自衛官出身の防衛大臣は、盛んに戦争法案を推進している。本人の罪ではなく、文民条項に違反して任命した首相の責任。

(第76条関係)
「司法の独立の回復」
1960年、田中耕太郎氏を長官とする最高裁は、「良心の独立に背き、米国と協議し」、政権の統治行為は、憲法・法律にいかに違反しても訴訟を受け付けない、と云う「統治行為論」を導入、遂に現政権の憲法無視の暴走に到らせた。
司法権自ら「統治行為論」を否認することを強く求めたい。

(84条関係)
「租税特別措置法の廃止」。
法人税、所得税が、税率その他の課税条件を決定しながら、租税特別措置法は、各種「お友達」事業の所得について減免税をしている。憲法14条の「法の下に平等」は、法律で規定しても「法」に反すれば違憲、無効。

(第90条関係)
「地方議員の政務活動費と官房機密費」
地方議員の政務調査費の杜撰な処理より遙かに重い内閣官房機密費の処理。「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院が検査」に反し、「領収書不要、会計検査なし」の政治慣行が確立。検査結果のすべてを公表しないまでも検査は必要。浪費血税額と国民的効用との比較の指摘も必要。

(第99条関係)
「不敬罪」
かっては天皇が「至高の存在」であり、その侮辱は不敬罪を構成。現憲法下、「憲法」が「至高の存在」。現在、天皇・皇后・皇太子、いずれもこれを弁えているが、首相を筆頭に裁判官、議員、その他の高官の侮辱は甚だしい。「憲法侮辱」は15条1項で、第一の弾劾原因となる。 ▲

<別紙 3>
               第19回例会 事務局報告

                       福田玲三(事務局)

1) ニュース19号への意見など
M氏
 いつも護憲ニュースを送っていただきありがとうございます。添付の1番目はウイルス感染とかで、開けませんでした。2番目の岡部太郎氏の「政治現況報告」は読め、正確な情報をえることができ、感謝しております。NPO中帰連平和記念館(川越市、私が代表理事をつとめています)の総会6・13では安保関連法案を廃案にという決議をし、首相、マスコミ、平和民間団体などに送付しました。その日6・13日の午後はむのたけじ氏100歳をお招きし、公開講演会をもちました。安倍政権の悪政きわまれり、というところまできました。
O氏
 護憲ニュース、緊迫する政治状況についてのお知らせ、踏み込んだ解説、拝受、熟読しました。お礼申し上げます。
W氏
 ニュースありがとうございました。「戸隠9条の会」が発足しました。
珍道世直氏
 ニュースNo19をお届けくださりありがとうございました。別紙3 事務局報告の中で、私の所感までお取り上げいただき恐縮に存じます。ありがとうございました。
 野村代表様の「護憲の現状報告」の中で、「統治行為論の克服」として“砂川判決以降、半世紀、司法界がこれに屈従して現在に至っていることを、全法曹関係者は厳粛に反省してもらいたいものである”とされておりますが、私も、違憲訴訟提起以降、このことをしみじみと感じて参りました。
 この度の上告に当っては、砂川判決で述べられている後段の「一見、極めて明白な違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものである」との判決を踏まえて、「閣議決定は、一見極めて明白な違憲無効であり、司法審査権の範囲内のものである」として最高裁に、憲法適合性の審査を求めております。
 国会の中で、違憲、合憲が対決している今こそ、最高裁判所は、違憲審査権を行使して、司法の使命を果されることを強く願っております。いつも大切な資料を有難うございます。                         
Sさん
 ニュース19号ほかお送りいただきました。有難うございました。お暑い中ご活動に深く感謝申し上げます。私も微力ながらやや若い仲間たちと、国会周辺や地元での行動に参加しています。今日明日にも、採決などと。この国に芽生えた悪の細胞は何時になったら退治できます事か、日々の動きに苦しみはますばかりです。
龍 平四郎氏
 さて 今回も 東京新聞より理解しやすくたすかります。
 18回 例会の報告中のSさん発言(1頁)後半「その主張の後ろ盾になってくれるのが憲法第何条だ」、同感です。別紙 1 政治現況報告、岡部太郎氏はやはり 読みやすく理解しやすいです。 助かります。護憲の現状報告ではa 後半の 我が天皇は常に「憲法に従い」から三行はその通りと感じております。
 私事ですが、過日、旅行に行った夜の懇親会で政治の話題がありました。年代は70代多く7名です。向うから仕掛けたらどうするんだ!!やはりこちらも、やり返さなければと、これば多数でした。平和外交にもって力を注ぐべきとの返答には力がなかったです。 懇親会ですので深い議論不要ですのでほどほどに終わりましたが。感じますが首相が集団自衛権を仲間内に説明したように、「アソウ君、アベ君」と低いレベルの人たちが多いのが現状だと思います。いずれ、自衛隊募集には手配師が現れ、一人入隊すれば○○円報償となるような怖いことも実現するのではないかと思っております。(ターゲットは貧困若者)。いろいろ書きましたが今後もよろしく。

2) 稲田恭明氏よりの提案(別紙5)

3)パンフの普及など
 ①7・7公開シンポジウム「安倍政権と歴史修正主義を考える」、於・衆議院第一議員会館会議室、主催・村山談話の会、参加者に約170冊(振替用紙挿入)配付、当会から真田、川本、福田ほか2名参加。
 ②7月10日、東京フランス会(大阪外大同窓会)、35部配付、福田ほか参加。
 ③7月11日、東アジア近現代史研究会、於・神奈川県大和市、約20部配付、草野。
 ④『週刊金曜日』読書会36箇所と連絡、同、奈良五条5冊、東三河13冊、徳島10冊、倉敷10冊受注。
 ⑤岡部、野村氏より各10冊受注。

4)今後の日程
7月30日(木)14:00~17:00 編集委員会、於・大阪大学東京オフイス(虎ノ門)
8月23日(日)13:30~16:30 例会、於・三田いきいきプラザ。
8月26日(水)14:00~17:00 編集委員会、於・大阪大学東京オフイス
8月28日(金)18:00~20:30 憲法講演会 野村光司氏ほか、於・大田生活センター
 9月以降、例会会場は神明いきいきプラザ(JR浜松町駅から徒歩5分)の予定

<別紙 4>
        憲法と「法律婚主義」「夫婦同氏」「単独親権」

                       弁護士 後藤富士子

1 「法律婚主義」は合憲か?
 日本国憲法24条1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と定めている。すなわち、婚姻を成立させるには、「合意」の外に何もいらない。
 ところが、民法では、戸籍法の定める「届出」をし、その届出が法令に違反していないとして「受理」されて初めて婚姻が成立する(民法739条、740条)。そして、婚姻適齢(男18歳、女16歳)、重婚禁止、女の再婚禁止期間、近親婚の禁止、直系姻族の婚姻禁止、養親子等の婚姻禁止、未成年者の婚姻に父母の同意・・と色々ある。これでは、「合意のみ」で婚姻が成立するという憲法の規定に反している。
 一方、憲法は「同性婚」を排斥しているのだろうか?これについては、「性同一性障害者性別取扱特例法」により性転換した者は「異性」として法律婚が認められる。しかし、生物学的な性別が変わるわけではないから、「同性婚」とも見ることができ、憲法は排斥していないと解することになる。なお、最近の最高裁判決で、女から男に性別変更した夫と妻との間のAID(非配偶者間人工授精)で生まれた子について、生物学的にも異性の夫婦間のAIDで生まれた子と同様に、「嫡出子」と認められた。これは、民法772条「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」という規定に基づく。こうなると、父子関係を定めるために設けられた「嫡出推定」制度は陳腐化するのではないか。
 惟うに、生きた人間の社会では、「法律婚制度」の枠から外れるケースが出てくることは避けられない。その場合の対処について、二つの方向性が異なる方法が考えられる。一つは、枠から外れたケースを枠内に取り込む方法であり、他は、枠自体を取り払う方法である。前者の場合、必ず枠内に取り込む要件が設けられて線引きされるから、枠内に入れる者と入れない者とで差別化される。性同一性障害者の性別変更が認められる要件は厳格で、性転換手術が必要である。つまり、「異性婚」が擬制されなければならないのであり、あるがままの「同性婚」を許容しない。
 「同性愛」の性的嗜好をもったり、生物学的な性別と心理的な性別の不一致に苦しんだりする人が現にいる以上、「法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」とする憲法24条2項に照らせば、法律婚の枠を取り払う方法こそ採用されるべきである。すなわち、「法律婚主義」は法律婚優遇制度であり、差別を生み出す。これに対し、「事実婚主義」は、人が婚姻生活を営んでいる事実に対し婚姻の法的効果を付与する。近親婚や重婚でも、当事者の自治に任せればいい。「個人の尊厳」は、国家が付与してくれるものではなく、人が実現するものである。
2 「夫婦同氏」強制の違憲性
 民法750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と定め、夫婦のどちらか一方に改氏を強制している。
しかしながら、これでは「婚姻の自由」と「両性の平等」が両立しないのであり、憲法24条、14条に違反する。
 このことを考えると、不平等の起源が「法律婚主義」にあることが分かる。「事実婚主義」なら、夫婦の同氏が強制されることはない。同氏を望む夫婦が選択的に同氏を称することができるようにすれば足りる。
 ちなみに、民法改正として論じられている「選択制夫婦別姓」は、倒錯している。「優遇された法律婚に取り込め」と要求することは、事実婚差別を温存するものであり、破廉恥ではなかろうか?

3 「単独親権」の違憲性
 民法は、「婚姻中は父母の共同親権」としている。換言すれば、未婚や離婚は単独親権である。なお、未婚や離婚自体が「親権喪失事由」とはされていない。
 しかし、2人いる親のうち必ず「どちらか一方が親権を喪失する」制度は、「未婚・離婚の自由」と「両性の平等」が両立しないから、「夫婦同氏」の強制と同様、憲法24条、14条に違反する。
 さらに問題なのは、父母間で協議が調わない場合に、裁判官が決めることである。戦前の「イエ制度」の下では「家の自治」があり、家族は国家の直轄ではなかった。それが、憲法24条により「イエ制度」が廃止された結果、皮肉なことに、国家が家族・家庭を支配することになったのである。
 言うまでもなく、親は日本国憲法で「主権者」とされている。それに対し、日本の裁判官は、官僚にすぎない。そう考えると、どうして裁判官が片方の親から親権を剥奪できるのか、全く不思議である。
                           (2015.7.25)
      

<別紙 5>
                 稲田氏意見
                          2015年7月3日

 (前略)入会以後、パンフレットの設立趣意書を眺めながら、申し上げてよいものかどうか迷いに迷っている問題がございます。
 ことは、設立趣意書の「諸原則」に関わる問題ですので、これを承認しなければ会員となる資格が失われることにもなりますが、他方で、パンフレットの「発表にあたってのごあいさつ」(特に最後の一文)を拝見しますと、現在の文書を「不磨の大典」として一言一句修正できないと考えることも適切ではないようにも思います。
 そこで、新入りの分際で大変生意気なようですが、一言私見を申し上げさせていただきたく存じます。
実は、設立趣意書の「われわれの使命」にある「日本国憲法の理念」の定式化の仕方に若干の疑問がございます。
まず、「絶対平和主義」「議会主義」「行政権力の抑制」「国民主権」「基本的人権」「法治主義」の6項目が掲げられていますが、私は、中学や高校の教科書で日本国憲法の3大原理として教えられている「国民主権」「基本的人権の保障」「絶対平和主義」に、近代憲法の指導理念である「立憲主義」を加えた4項目でよいのではないかと思います。
「議会主義」は国民主権の、「行政権力の抑制」と「法治主義」は立憲主義のコロラリーなので、あえて挙げるまでもないと思うからです。
また、それぞれの項目に付されている憲法条文からの引用にも若干の疑問がございます。
 「行政権力の抑制」の項目に付されている「政府の行為により再び戦争の惨禍を起こさない」という決意は「平和主義」の項目に付すべきではないでしょうか。また、「国民主権」の項目に付されている「これに反する一切の憲法、法令、詔勅を排除」という文言は、むしろ「立憲主義」を示す条項と解すべきではないでしょうか。
 さらに、「法治主義」の項目(前述の通り、これ自体不要だと私は思いますが)に付されている「憲法と法律とのみに拘束される」(この文言は司法の独立を定めた76条に、裁判官を主語とする述語として登場します)には主語が存在しないため、何を意味しているのかが不明です。
以上のことから、「日本国憲法の理念」としては、例えば、次のように修正してはいかがでしょうか?
・基本的人権の保障・・・「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であり、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託される」(97条)
・国民主権・・・「主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」。「国政の権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」(前文第1項)
・絶対平和主義・・・「戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認」(第9条)。「政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こさない決意」(前文第1項)。「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」(前文第2項)
・立憲主義・・・「これ(人類普遍の原理)に反する一切の憲法、法令、詔勅を排除」(前文第1項)
 新入りの分際で誠に差し出がましいとは存じましたが、これもひとえに、「完全護憲の会」の理念を一層明晰でわかりやすいものにしたいとの一念によるものです。(後略)

<別紙 6>

       稲田意見を採用した「日本国憲法の理念」草野修正案
                              2015年7月24日

日本国憲法の理念
国民主権   「主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」。「国政の権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」(前文第1項)

基本的人権  「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であり、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託される」(第97条、第11条)

絶対平和主義 「政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こさない決意」(前文第1項)。
「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」(前文第2項)
「戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認」(第9条)。

立憲主義   「人類普遍の原理に反する一切の憲法、法令、詔勅を排除」(前文第1項)「この憲法は国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」(第98条)
       「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」(第99条)

※ 「絶対平和主義」の「絶対」を入れず、「平和主義」と表現したいのですがいかがでしょう?
<理由>
 ① 自衛隊を「国連軍に」との整合性
 ② 絶対という言葉が一切の「武力」「強制力」の否定として用いられている。

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