完全護憲の会ニュース№46 2017年10月10日

                         <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>

            連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
            電話・FAX 03-3772-5095
            Eメール:kanzengoken@gmail.com
            ホームページ:https://kanzengoken.com/

◎注意! 10月例会・勉強会の日取りと会場を変更しました。
(10月22日が衆院選投票日になったため1週間延期 ⇒参照「当面の日程について」)

    目次   第45回例会・勉強会の報告       P1
         第42回運営・編集委員会の報告(略)  P2
         別紙 1 政治現況報告        P2
         別紙 2 事務局報告         P3
         <別添> 訴追請求状         P6
         別紙 3 緊急警告022号(確定)    P10
         別紙 4 緊急警告023号       P11  

     第45回 例会・勉強会の報告

 9月24(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で開催、参加者9名、会員56名。
 司会を草野編集委員長が担当し、まず「政治現況報告」(別紙1)が代読されたのち、「事務局報告」が行われ、これらの報告をめぐり次のような意見が交わされた。
 「民進党から離党者が続出している現状では、共産党に票が行くだろうか。でも共産党にアレルギーのある人もいる。民進党は決定的にダメなところまで行って折り返す以外ににない」「小池都知事は就任以来何もしていない。学校の敷地内の全面禁煙は恐ろしいことだ。どこかに抜道を作らねば」「安倍の用意している国会冒頭解散は追いつめられての逃げだ。だが、票が小池新党に流れても、安倍政権の弱体化につながるだろうか」「前原民進党は小池新党に合流するのではないか、今のままでは民進党は消滅にむかう」「共産党は党首の交代がないので、信用が置けない」「安倍を支持しなくても、地元の自民党候補は支持する人がいる。生活密着型で票を集めている」「TV5チャンネルで首相の国会解散を違憲だと批判していた」「林文科大臣は『首相大権』と言っていた(笑)」「北朝鮮対策で安倍首相は『対話に意味はない、圧力あるのみ』と言っている」「イージス艦2隻2800億円を買って、拉致問題をトランプ大統領に言及してもらった」「戦争をさせないことをスローガンにすべきだ」「迷ったときには慣れた方に行く。自民党依存症だ。憲法は埃をかぶっている。情報の中から真実をつかむ努力が必要だ」「1票の格差で最高裁は『違憲状態にある』と言っている。『状態にある』というのは、専門家の判断でない場合の用語だ。つまり最高裁判事はプロでないことを自認している。罷免に値する」「米国と自民党が組んでいる限り、現状は打破できない。日米合同委員会の密約を鳩山由紀夫元首相は知らなかったと言っている。安倍首相は密約を知っており、これを国会の上位に置いている」「安倍首相は自衛隊を国会で称揚した。憲法上、公務員に差をつけられるのか。消防や警察はどうなるのか」「事務局報告で紹介された珍道世直氏の取り組み(上告を棄却した最高裁第1小法廷の判事全員の罷免を求める訴追請求)はすばらしい」……
ついで緊急警告022号「自衛隊明記は口実、9条全面改悪の突破口とするもの」の検討に入り、自衛隊に対する「国民の信頼は9割を超え」という安倍首相の言葉を無批判に引用すべきではない、文末の「緊急事態条項」などへの言及は、この際不用だ、との意見が出された。
 あわせて行われた緊急警告024号「首相は国会解散の権限を持たない」の検討では、「閣議決定・安全法制」が「閣議決定・安保法制」に字句修正された。
 そのあと、勉強会に移り年末に刊行予定の新冊子『道徳の教科化と教育基本法』(仮題)について執筆者の安立きくこ氏より、予定目次全体について報告があり、10月の勉強会で本文の検討を行うことになった。

当面の日程について
 1)第46回例会・勉強会 10月29日(日)13:30~16:30 専売ビル8階 会議室2
(港区芝5-26-30 地下鉄三田駅出口A3歩3分 JR田町駅西口 歩5分 三田図書館裏)
 2)第43回運営・編集委員会11月 1日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
 3)第47回例会・勉強会  11月26日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 4)第44回運営・編集委員会11月29日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

<別紙 1>
          政治現況報告      2017年9月24日
                岡部太郎(東京新聞元政治部長)

 8月初めに内閣改造をしながら、野党の要求する臨時国会に応じなかった安倍自民党が9月28日にこれを召集すると決めた途端に、あっと云う間に冒頭解散、10月22日総選挙の日程が固まってしまった。一天にわかにかき曇りが政界の常とは云いながら、この急変は何か。私が先月指摘したように、9月1日、民進党は委員長選挙で執行部が決まったばかりで、選挙の準備が全く整っていない。さらに8月2日の都議選で東京都議会第一党に躍進し、国政選挙にも野望を持つ、小池都知事の新党もまだ出来ていない。誰が見ても解散の絶好のチャンスだが、問題は自民党と安倍首相の強引な政局運営に対する反発と不人気だった。
8月の新聞各紙の世論調査で、安倍内閣の支持率は、軒並み前月より10ポイント近くマイナスの35%ぐらいに急落。もちろん不支持率も増えて、理由も「安倍首相が信頼できない」と云うのがトップだった。
 このままでは、総選挙をやっても勝利はおぼつかないし、最悪惨敗のケースもある。全ては国民の支持率の回復にかかっている、との見方があった。日本人は昔から物忘れが激しい。これは地震や台風が毎年忘れずにやって来て、悔やんでも始まらぬ、忘れようとのあきらめが強いからだ。9月の世論調査の結果は前ほどではないが、みな40%台へ支持率が回復した。これなら仮に衆議院の3分の2は確保できなくても、自民・公明の与党で過半数は確実に取れる。もちろん臨時国会で審議をすれば、安倍首相の加計学園の獣医学部問題、大阪の森友学園のスキャンダルで、再び野党の追及を受け窮地に陥ることも考えられる。解散でこのさい一挙にゼロにしてしまうと云う思惑もある。まさに「今なら勝てる」。
 首相は国連総会で「北朝鮮追討」の大演説とトランプ米大統領などとの会談を終えて22日帰国したあと解散、総選挙の日程を正式決定。25日には記者会見を開いて、ここで総選挙を実施する意味について国民に語る。
 これに対して野党側はどうか。野党第一党の民進党は9月1日の全党員選挙で前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官が一騎打ちの結果、下馬評通り前原氏が圧勝した。(502ポイント332ポイント)
 前原氏は新執行部の目玉として当選2回の山尾志桜里元政調会長を幹事長に据えるつもりだったが、こともあろうに山尾氏が「週刊新潮」で若手弁護士との不倫をスクープされ、直ちに離党してしまった。スタートでの大失態で、幹事長は自派の大島敦氏に差し換えたが、前途多難。また細野豪志氏ら離党者も相次いでいる。前原氏は枝野氏とちがい、共産党などとの選挙協力に慎重な立場だが、急な解散・総選挙で孤立し、かつての社会党のように惨敗消滅の悲劇になる可能性もある。まさに前原氏にも民進党にとっても存亡の時と云える。野党共闘以外に助かる道はないのが現実だ。
 一方、小池都知事は若狭勝衆議院議員に都民ファーストの全国版、国民ファーストの会の設立を依頼。若狭氏は民進党を離党した細野氏らと緊密な連絡を取り合い、三者会談も11日に実現した。新党の設立を27日にも予定し、党名、綱領、政策、選挙公約などの調整に入っている。ただ今月の16日に政治塾を開校したばかりで、新人立候補者の擁立もかんたんに行きそうもない。全部で何人ぐらい公認できるかで、新党の先行きが決まりそうだ。ただ世論調査では、民進党よりはるかに政党支持なし層では支持率が高く、場合によっては一波乱ありそう。またどこと選挙協力するかも関心の的で、民進党とでもあれば一挙に政界再編へ動き出そう。ただ新党側が、民進党と提携する気はなさそうだ。また小池都知事を新党の総裁とする、東京の全選挙区に候補者を立てるなどの案もある。
 安倍首相は解散の大義として、2019年秋までに延期している消費増税を持ち出し、増税分を教育無償化と社会保障に宛てることを打ち出しており、公示と同時に各党の選挙公約が競い合う。果たしてどの政党が、国民のふり向く政策を発表できるだろうか。

<別紙 2>
         第45回例会 事務局報告     
              福田玲三(事務局)2017. 9.24

1)来信
 私の訴訟につきましては、今日まで格別の御厚情と御支援にあずかり心から感謝いたしております。
ご承知のように、『集団的自衛権の行使を容認する「閣議決定・安全保障法制」は、憲法第9条に違反する』として上告していた「閣議決定・安保法制違憲訴訟(事件名 憲法違反及び無効確認等請求上告事件)」につきましては、去る平成29年6月29日、「本件上告を棄却する」との「最高裁決定」が下されました。
 これをもって、私の裁判闘争は終了したと思っておりましたが、どう考えても、本件「最高裁決定」には承服できない為、この度、「最高裁判所裁判官の罷免の訴追請求」をすることといたしました。
 本件「最高裁決定」を下した最高裁判所第一小法廷裁判官全員(5人)は、「職務上の義務に著しく違反するとともに職務を甚だしく怠った(裁判官弾劾法第二条 弾劾による罷免の事由)」として、憲法第15条(公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である)の条規に基づき、罷免の訴追を求める「訴追請求状」を「裁判官訴追委員会」に本日8月22日提出いたしました。       

「訴追請求の事由」は、主に次のとおりです。
① 最高裁決定による「棄却の理由」には、「食違い」と「瑕疵」があり、「棄却の理由」は失当である。
② 訴追を求める裁判官は、裁判官としての職責を放棄するとともに憲法の条規に違背している。

 別添のとおり「訴追請求状」(別添)をお届けいたしますので、お目通し賜れば幸いに存じます。
 このことが、裁判官に「憲法の条規に違背すれば、その存在の根拠を失う」ことを警鐘するともに、司法改革のはじまりとなればと切望して、空しいことかもしれませんが行動をおこしました。
 どうか、今後ともよろしくお願いいたします。                                   
                      珍道世直

2)「安倍9条改憲NO!」3000万人署名始動
 「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」のキックオフ集会が9月8日に東京都中野区で開かれ、約1500人が参加した。
 結成主旨では、安倍首相が5月3日に表明した9条改憲案――1項と2項を残しつつ自衛隊を明文で書き込み、2020年に施行する――に対し、「戦争法」を合憲化し戦争への道をさらに進めることになる、と強く批判した。
 具体的な行動として、「安倍9条改憲NO! 憲法を生かす全国統一署名」に取り組み、来年の5月3日までに3000万人分の獲得を目指す。(連絡先:1000人委員会03-3526-2920、壊すな!実行委員会03-3221-4668、憲法共同センター03-5842-5611)
 今年11月3日には国会前で10万人規模の集会を開き、全国で100万人の参加を呼び掛ける。
 当会は「署名取り扱い団体」に当会の名前を入れた署名用紙を例会向けに用意した。

3)衆院憲法審、欧州視察概要メモ
 衆院憲法審査会の議員団(与野党7人)が欧州3か国を視察し概要メモをまとめた。自民党内で議論されている9条改憲について、英国の議員は「理解できない。60年も現行憲法の解釈でやってきたのだから、そのままのことを認めるだけの改正など、わざわざ行う必要はないのではないか」と話した。
 イタリアの議員は「憲法のような基本ルールを定める場合は、共通認識を醸成する努力をすべきだ」と助言した。(「東京新聞」9月15日付け朝刊)

4)集会の案内(レイバーネット全国イベントカレンダー:http://www.labornetjp.org/EventItem)
1 第9回平和学習会――報告:王道貫氏「今、日清・日露戦争を考える意味」
  11月4日(土) 13:30~16:30 資料代:200円
  東京ボランティア市民活動センター 会議室C (JR飯田橋駅隣・セントラルプラザ)
2 第23回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会――控訴(9月4日)について
  10月20日(金) 13:30~16:30 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分) 参加費:200円
3 『週刊金曜日』東京南部読者会
  10月27日(金)18:30~20:30 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)

5)新冊子目次

一 はじめに―――耳目を集めた道徳と教育勅語
二 教育基本法と憲法
 1 教育勅語から教育基本法への転換
 2 旧法から新法へ
 3 修身と国定教科書
三 教育基本法改正に至る過程
 1 内閣による改正への取り組み
 2 教育基本法改正の理由
 3 財界の要請
 4 政界の要請
 5 中央教育審議会答申
 6 関連法の改正
四 学習指導要領
1 小学校学習指導要領
2 これまでの道徳
五 道徳の教科化
 1 考える力と愛国心 (文部科学省による解説から)
 2 わだつみのこえから考える教育と愛国心
ⅰ 愛国心に向き合う
ⅱ 愛国と個人
ⅲ 愛国と自由の抑圧
ⅳ 教育のさらされた実情
ⅴ いじめによる人間性の粉砕
ⅵ 軍隊における教育
3 道徳の授業と愛国心
六 教育勅語の時代
 1 文部省と徴兵制
 2 大日本帝国憲法と教育勅語
 3 教育勅語
ⅰ 失効した教育勅語
ⅱ 問題視された勅語の内容
ⅲ 儒教思想による成り立ち
 4 日清戦争
 5 徴兵制
 6 地方改良運動と青年会
 7 関東大震災  
 8 第二次大戦期の教育を取り巻く環境
 9 わだつみと大戦末期
10 植民地における教育
七 勅語の時代を生き抜いた人々
 1 むのたけじ
 2 山口 彊
 3 大島孝一
八 戦争とメディア
九 これからの展望

<別添> 訴 追 請 求 状
                    平成29年8月22日

裁判官訴追委員会 御中
訴追請求人
(住所)514-0823 三重県津市半田1209番地22
(氏名)珍道世直(ちんどうときなお)
(電話)■■■■■■■■

 下記の裁判官について弾劾による罷免の事由があると思われるので、罷免の訴追を求める。

               記
1 罷免の訴追を求める裁判官
  (所属裁判所) 最高裁判所 
  (裁判官の氏名) 木 澤 克 之
池 上 政 幸
大 谷 直 人
小 池   裕
山 口   厚

2 訴追請求の事由
(1)裁判所、事件番号、当事者
  最高裁判所第一小法廷
  平成29年(オ)第489号 憲法違反及び無効確認等請求上告事件
  (原審・名古屋高等裁判所 平成28年(ネ)第722号)
  
三重県津市半田1209番地22 
   上告人 珍 道 世 直 
大阪府大阪市北区西天満6丁目7番4号大阪弁護士ビル6階606号
上告人訴訟代理人弁護士代表 辻  公 雄 ほか
  
  東京都千代田区霞が関1丁目1番1号
   被上告人(被控訴人) 国
   同代表者 法務大臣 金 田 勝 年
   同指定代理人    前 田 和 樹

(2)審理経過
 ①第一審 津地方裁判所
提訴日 平成27年11月16日
請求の趣旨
1.「集団的自衛権」の行使を容認・法定した「閣議決定(憲法第9条の下で許容される自衛の措置)」及び「安全保障法制(武力攻撃・存立危機事態法、自衛隊法等)」は、憲法第9条に違反する決定或は法制であり、無効であることの確認を求める。
2.「重要影響事態法」による「後方支援」、「国際平和支援法」による「協力支援」のうち、「軍事支援」については、憲法第9条に違反する支援であり、無効であることの確認を求める。
3.損害賠償請求 「閣議決定」及び「安全保障法制」によって原告は身体的・精神的苦痛を被り、憲法に規定する平和的生存権など諸権利が侵害されたので、国家賠償法第1条の規定に基づき、金10万円の損害賠償を請求する。

判決日 平成28年7月21日 1.2. 却下、 3. 棄却
 
 ②控訴審 名古屋高等裁判所
控訴日 平成28年7月29日
判決日 平成28年12月22日 1.2.3. 棄却

 ③上告審 最高裁判所(第一小法廷)
・上告日 平成29年1月4日、名古屋高等裁判所を通じ上告
・「上告提起通知書」 平成29年1月6日付、名古屋高等裁判所民事第3部より上告人宛送達
・「記録到着通知書」平成29年3月29日付、最高裁判所第一小法廷より上告人宛送達
・決定日 平成29年6月29日、最高裁判所第一小法廷より「調書(決定)」が上告人宛送達

 「調書(決定)の内容」
  裁判官全員一致の意見で、次のとおり決定。
 第1 主文
1 本件上告を棄却する。
2 上告費用は上告人の負担とする。
 第2 理由
 民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は、違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
          
(3)請求の事由

 ① 最高裁決定による「棄却の理由」には、「食違い」と「瑕疵」があり、「棄却の理由」は失当である。

 ・「棄却の理由」として、「民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は、違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。」としているが、本件上告は、上告状・上告理由書のとおり、「集団的自衛権の行使を容認する閣議決定・安全保障法制は一見極めて明白に違憲無効であると認められるもの」として上告しており、どこが違憲か、その内容を、閣議決定・安全保障法制の具体的条規等を示して訴えている。
 「法令違反を主張するもの」では全くない。

 「上告することが許されるのは、民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られる」としているが、上告人は、民訴法312条1項の「憲法の違反があることを理由」として上告している。
 民訴法312条2項に「判決に理由を付せず、又は理由に食違いがある」とき上告することが出来るとされているが、正に最高裁決定の「理由」には、上告人の上告の理由と「食違いがある」。

 また、決定の「棄却の理由」の中に、「その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、」としているが、「又は」の接続詞は、「新選国語辞典 新版 金田一京助ら編 小学館」によれば、『「又は」は前のことと、後のことのどちらかを選ぶかの意味をあらわす。「あるいは」「もしくは」は、同じように用いられる。』とされている。
 「棄却の理由」に、「又」ではなく(同辞典によると、『「又」は前の事がらにつけ加えたり、ならべあげる意味では、もっとも一般的に使われる。』とされている)、「又は」とされており、「事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって」ということは、「事実誤認」あるいは、もしくは、「単なる法令違反」と訳すべきであって、「棄却の理由」が、“どちらか”として、はっきり位置づけられていない。
 このような曖昧な「棄却の理由」はあってはならず、最高裁決定として瑕疵がある。
 最高裁決定による「棄却の理由」は、正に失当である。
 仮に、「法令違反の主張」というのなら、その内容を明示すべきであり、又、「事実誤認」というのなら、何をもって「事実誤認」というのか、その内容を明らかにすべきである。訴追を求める裁判官は「説明責任」を果すべきであるが、その責任を放棄している。

 ② 訴追を求める裁判官は、裁判官としての職責を放棄するとともに憲法の条規に違背している。

 国是(集団的自衛権の禁止・専守防衛)の大転換をもたらす本件「閣議決定」「安全保障法制」について、国会の内外・国民の間に「違憲」「合憲」が対立して国家的大問題となっている時、本件「違憲訴訟」に対し、最高裁判所から「記録到着通知書」(平成29年3月29日付)が上告人に送達されてから、6月29日までのわずか3カ月で「決定」を下すことについても、実体判断がなされる場合の通常の手順では短かすぎ、最高裁判所は充分な審査をしたとは到底考えられない。その証左が、先に述べた訴追を求める裁判官による失当な「棄却の理由」である。5人の「裁判官全員一致の意見」とされているが、このような失当な「棄却の理由」に誰一人異見を吐くものがいないとすれば、正に、裁判官の職責の放棄である。

    訴追を求める裁判官は憲法の次の条規に違背している。

ア. 訴追を求める裁判官は、憲法第76条(裁判官の独立)「すべて裁判官は、良心に従ひ独立して職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」という憲法の条規に従って最高裁決定を成すべきである。
 上告人は、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定・安全保障法制は、憲法第9条に違反するとして、上告理由書(全72頁)で提起している。訴追を求める裁判官は、本件事件について、特に「憲法第9条に拘束」されて、憲法適合性を審査すべきである。
 訴追を求める裁判官は、憲法第76条に違背している。
 ・憲法第76条(司法権・裁判所、裁判官の独立)
①すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
②(略)
③すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
 
イ. 訴追を求める裁判官は、憲法第98条(最高法規)の条規に かなうよう憲法第81条(法令審査権と最高裁判所)に基づき憲法適合性を審査すべきである。
 裁判所は、憲法の条規により「一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する」とされており、司法裁判所型違憲審査制(付随的違憲審査制)のみならず、憲法裁判所型違憲審査制(抽象的違憲審査制)を含め一切の憲法判断を行う権限が与えられている。
 同時に、裁判所の「裁判」する権限は、憲法第32条 国民の「裁判所において裁判を受ける権利」と表裏の関係にあり、国民の訴えに応えて、これをすべき職責を負っている。
 
・ 失当な「棄却の理由」によって、本件上告が「棄却」されたため、「当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争ではない」として「却下・棄却」した津地方裁判所・名古屋高等裁判所の判決が確定することになった。
 上告人は、失当な「棄却の理由」による最高裁決定によって、憲法第32条の「裁判(上告審)を受ける権利」が奪われた。訴追を求める裁判官は、憲法第32条に違背している。
   
・ 上告人は、本件上告理由書において、最高裁判所に対し、『上告人の「具体的争訟性」を認定、もしくは「警察予備隊違憲訴訟に係る昭和27年最高裁大法廷判決」の判例を変更して、「憲法適合性」を審査されたい。』として訴えてきた。
 裁判所は今日まで、警察予備隊違憲訴訟に係る昭和27年10月8日最高裁大法廷判決に基づき、「裁判所は、具体的事件を離れて抽象的に法律命令などの合憲性を判断する権限を有するものではない」(具体的争訟性がなければ裁判の対象とならない)として、裁判所の実務において、「付随的違憲審査制」がとられ、憲法裁判の大部分が「具体的争訟性」がないとして却下、棄却されてきた。
 「具体的争訟性」については、先に挙げた憲法及び法律(裁判所法)に条規されていない。警察予備隊違憲訴訟に係る最高裁大法廷判決の判例が、憲法及び法律の上位に位置づけられ、以来64年間、当該判例が踏襲されてきた。
 これは法理の逆転であり、憲法に違背する。
 裁判所は、この法理の逆転を正し、憲法の条規に基づき、裁判所の実務において、抽象的違憲審査制の行使に取組むべきである。

 国民のニーズと時代の要請に応えるとともに、違憲審査の国際的動向を踏まえ、
司法裁判所型違憲審査制<付随的違憲審査制>をとるアメリカにおいても、イスラム圏からの6カ国入国禁止大統領令に対し、具体的事件が生じる前に、抽象的違憲審査制を行使して、違憲を宣言し、執行を一時差止める命令を出している。

 「最高裁の判例変更」(法理の逆転を正すこと)の出来る立場にある最高裁判所こそが、今この時に、「違憲立法審査権」を行使して「憲法適合性」を審査すべきである。
 本件「違憲訴訟」について、上告を棄却し、「憲法適合性」を審査されない決定を下されたことは、正に、「違憲立法審査権」を放棄したに等しい。
 憲法第98条(最高法規)の条規にかなうよう憲法第81条(法令審査権と最高裁判所)に基づき憲法適合性を審査すべきである。
 訴追を求める裁判官は、憲法第81条、第98条の条規に違背している。

・憲法第32条(裁判を受ける権利)何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

・憲法第81条(法令審査権と最高裁判所)最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

・憲法第98条(最高法規)この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

・裁判所法第3条(裁判所の権限)裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。

ウ. 裁判官は憲法第99条の条規に基づき、憲法尊重擁護の義務を負う。
 裁判官の持つ力の源泉は憲法を尊重し、これを実践することにある。
 裁判官が憲法の条規に違背すれば、その存在の根拠を失う。
 訴追を求める裁判官は、憲法第99条の条規に違背している。
     ・憲法第99条(憲法尊重擁護の義務)天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
       
 以上の事由のとおり、訴追を求める裁判官は、職務上の義務に著しく違反するとともに職務を甚だしく怠っており、罷免の訴追を求める。
 「三審制」の中で、更なる審査を求めることが出来ないので、裁判官訴追委員会において審査され、訴追されたい。
                       (本文 以上)

<別紙 3>

緊急警告022号 自衛隊明記は口実、9条全面改悪の突破口とするもの
 (追加修正2017年9月28日)

 5月3日の憲法記念日、安倍首相は日本会議が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の改憲集会にビデオメッセージを寄せ、憲法9条に関して「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む、という考え方、これは国民的な議論に値する」「夏季のオリンピック・パラリンピックが開催される2020年を……新しい憲法が施行される年にしたい」とのべ、具体的改憲項目として、憲法9条改憲に踏み込んだ提起を行った。(憲法尊重擁護義務を負う首相がこのような改憲提起を行うこと自体の違憲性については緊急警告021号で指摘。安倍首相と安倍自民党総裁は不離一体であり、改憲提起に関する限り使い分けはできない。)
 これは9条3項に自衛隊を明記する加憲論として論じられているが、一部報道によれば、自民党は安倍首相の提起を受けて9条現行条文を維持したまま、新たに「9条の2」の別条を設け、ここに自衛隊を明記する方向で検討に入ったとのことである。
 「9条3項」加憲にせよ、「9条の2」加憲にせよ、具体的に案文が示されたわけではないので案文に沿った検討はできないが、いきなり本丸の9条改憲に手を付けてくることはないだろうとの大方の予想に反しての、安倍首相ならではの極めて危険な「クセダマ」である。案文が示されてからでは遅いので、その危険性について警告を発しておかなければならない。
 安倍首相はビデオメッセージで「例えば憲法9条です。今日、災害救助を含め命懸けで、24時間365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊の姿に対して、国民の信頼は9割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が今なお存在しています。『自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ』というのは、あまりにも無責任です。
 私は、少なくとも私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきであると考えます。」と述べた。
 このメッセージは、自衛隊に対する国民の信頼が「9割を超えている」(内閣府調査、2015年1月)という現状を踏まえた、自衛隊を合憲と考えている多くの国民(9条護憲派も含めた)の心に届く言葉である。
 これまでのところ、安倍首相の自衛隊明記改憲についての世論は「9条をいじるべきではない」とする国民の根強い反対もあって、「朝日」が賛成41%、反対44%、「毎日」賛成28%、反対31%、32%(わからない)、と賛否拮抗しているが、「読売」賛成53%、反対35%、「時事通信」賛成52%、反対35%と過半数が自衛隊明記賛成となっている。
 しかしこのままでは、具体的に改憲文案が提示され、大々的なキャンペーンが行われるならば、国民投票において賛成多数となる可能性は大きいと見ておかなければならない。
 それゆえ、この自衛隊明記の安倍9条改憲に賛成する国民の選択は極めて危険な間違った選択になるということを訴えたい。
 その理由の第一は、安倍9条改憲「自衛隊明記」は単なる口実であり、憲法9条全面改悪の突破口に過ぎないからである。自民党改憲草案に明記されているように、現行9条2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これをみとめない。」を全文削除し、自衛隊を軍隊としての「国防軍」(「草案」第九条の二)とするための突破口なのである。自衛隊を大切に思う国民の自衛隊明記の選択が、自衛隊とは異なる「国防軍」という軍隊を選択することになるのである。
 第二は、これはこれまでの自衛隊(集団的自衛権行使を容認した安保法制成立以前の)を合憲と考える大多数の国民の見解に立っての立論であるが、現行憲法第9条に明記されようとしている自衛隊は、安倍内閣によって集団的自衛権容認の7・1閣議決定がなされ、安保法制強行成立によって集団的自衛権行使を付与された自衛隊なのである。「専守防衛」の「戦力」ではないとされた自衛隊であることによって、かろうじて維持されてきた「合憲
の自衛隊が、あらためて憲法違反の自衛隊となってしまったのである。このあらためて憲法違反となってしまった自衛隊を9条3項として(あるいは九条の二として)書き加えることなど不可能なことである。
 何故ならそれは、「専守防衛」を破り集団的自衛権行使によって他国の戦争にまで参加する自衛隊は、明白に現行9条1項(戦争の放棄)、2項(戦力及び交戦権の否認)と対立し、相反するからである。
 第三は、しかし論理の矛盾など意に介さない安倍政権はこれを強引に遂行するであろう。その時、現行憲法9条1項、2項は完全に無効化され、憲法に明記された集団的自衛権行使の「自衛隊」が独り歩きを開始することになる。
 独り歩きを開始した「自衛隊」は、「集団的自衛権」行使の戦争参加により限りなく軍隊としての性格を強め、軍隊としての扱いを要求してくる。結果は第二、第三の9条改憲をもたらし、自民党改憲草案がめざす「国防軍」に行き着く。
 第四は、「集団的自衛権」行使容認の安保法制が成立させられ、南スーダンに派遣された自衛隊に「駆けつけ警護」が付与されたことなどによってその兆候が現れはじめたのであるが、ひとたび「集団的自衛権」行使の戦争参加が行われるならば、「自衛隊」に応募する青年は激減する可能性がある。その結果もたらされるのは「徴兵制」である。
 第五は、「自衛隊」が「集団的自衛権」行使によって他国の戦争にまで参加するということは、国内が戦争体制下となるということなのであり、その結果、国民の基本的人権がさらに制約され、自由と民主主義が失われるということである。
 すでに安倍政権下で教育基本法改悪、盗聴法改悪、特定秘密保護法制定、安保関連法制定、「共謀罪」制定と、国民の基本的人権を制約する悪法が次々と成立させられてきたが、すべてはこの戦争体制構築のためと言わなければならない。そして今また、「大規模な自然災害」への対処を口実とした「緊急事態条項」(自民党改憲草案第98条、99条)の制定が着手されようとしている。これはナチスが全権を掌握した「全権委任法」と同質のもので、国民の自由と民主主義を圧殺し、政権の独裁を招くものである。

<別紙 4>

緊急警告023号 またしても臨時国会召集要求無視の憲法違反!
      (9月2日)

 憲法第53条は、衆参いずれか4分の1以上の議員が要求すれば、内閣は臨時国会の召集を決めなければならないとしている。
 2015年10月、第3次安倍改造内閣が発足した直後、野党5党はこの規定にもとづき、「安保法制」強行可決、環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意や新閣僚の不祥事追及を目指し、臨時国会の開催を求めたが、安倍内閣は首相の外交日程や年末の予算編成を理由に応じなかった。
 これは「安保法制」の強行可決に対して盛り上がった国民の怒りを回避しようとするもので、憲法第53条を無視する憲法違反であり、私たちは当時緊急警告002号を発して抗議した。
 これと同じ憲法無視が、さる8月3日発足した第3次安倍改造内閣でも踏襲されている。憲法53条にもとづき、野党が召集を要求したのは、内閣改造まえの6月末だった。自民、公明両党の幹事長らが、改造後の8月23日、臨時国会の召集を9月末に行う方針で一致した。ここまで召集を延期する理由として、与党は首相の外遊日程や予算編成作業を挙げている。国権の最高機関である国会の開催の要求を、下部機関である内閣の都合に合わせるという与党の見識を疑う。野党が求めているのは予算の審議ではなく、森友学園、加計学園そして陸上自衛隊の「日報」隠しをめぐる一連の疑惑の解明である。
 ここまで国会の召集を先延ばしする首相や与党の姿勢から見えてくるのは、かずかずの疑惑追及を求める国民の怒りをそらそうとする安倍内閣の一貫した術策だ。安倍内閣は教育現場に道徳を持ち込もうとしているが、彼らの行為は不誠実、権力優先であり、一時代前の「教育勅語」の復活を思わせる。このような公然とした憲法無視は到底許されない。
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