緊急警告027号 軍事的選択肢を含むトランプ大統領方針の100%支持は許されない

(2017年11月13日)
さる11月6日、東京で行われた日米首脳会談後の共同記者会見で、安倍晋三首相は「日米が主導し、あらゆる手段を通じて北朝鮮に対する圧力を最大限まで高めていくことで完全一致した」と述べた。
 両者の「完全一致」は日米の外務・防衛当局の筋書き通りだったと言われている。
米国の軍事行動を含む「すべての選択肢がテーブルの上にある」という方針について首相は「改めて日米が百%ともにあることを力強く確認した」と表明。トランプ米大統領は「『戦略的忍耐』の時代はもう終わった」と言い切った。
だが、この安倍首相の表明はまさに憲法の明文に違反している。憲法前文は言う。

「日本国民は……政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し、……全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。われらは、いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」と、そこには書かれている。
これに併せて、2002年9月に、小泉純一郎総理と金正日委員長の間でまとめられた「日朝平壌宣言」は、第1項で「双方は、相互の信頼関係に基づき、国交正常化の実現に至る過程においても、日朝間に存在する諸問題に誠意をもって取り組む強い決意を表明した」とし、第2項では「日本側は、過去の植民地支配によって、朝鮮の人々に多大の損害と苦痛を与えたという歴史の事実を謙虚に受け止め、痛切な反省と心からのお詫びの気持ちを表明した」としている。
安倍首相はトランプ大統領とともに、北朝鮮による拉致被害者の家族と都内の迎賓館で面会したが、戦前、どれほどの朝鮮人が日本に強制連行されたか。当局は故意にその実態をかくしているようだが、「GHQにより送還事業が(敗戦直後から)開始され、翌1946年(3月)までに徴用者を中心に140万名が朝鮮半島に帰還」との記録が残されており、この数字がほぼ実態を示しているようだ。日本が朝鮮を植民地支配していた当時、「徴用」がほぼ「強制連行」を意味していたことは想像に難くない。
憲法尊重義務のある日本政府の見習うべき手本が、隣国で示されている。11月7日夕に開かれた米韓首脳共同会見で文韓国大統領は「我々は、北朝鮮の核問題を平和的に解決するよう協力することで一致した」と強調した。また文大統領は11月1日の韓国国会演説で「いかなる場合にも朝鮮半島で武力衝突があってはならない。韓国の事前同意のない軍事的行動はあり得ない」と言明し、平和を守ることは「憲法が大統領に付与した責務だ」と述べた。さらに韓国は本年9月、国際機関を通じて北朝鮮へ計800万ドル(9億円)の人道支援を行うことも決めている。
これこそ日本政府が、「歴史の事実を謙虚に受け止め」、「平壌宣言」にのっとって取るべき措置ではないか。
軍事的選択肢を排除しないトランプ大統領の立場を、日本政府が100パーセント支持することは絶対に許されない。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください