2022年7月8日、安倍晋三元首相が銃撃され、その容疑者が統一教会(2015年に名称変更しているが、実態は変わらないため本稿では統一教会とする)に恨みを持ち、深い関係にあった安倍元首相が狙われたことが発覚。その後、統一教会への多額の寄付が原因で信者や家族が悲惨な状況に追い込まれた実態が多数明らかになった。
統一教会の悪質性は、オウム真理教事件が起こる前に既に社会問題化していたが、オウム事件以降はオウム真理教に関心が集中し、統一教会及び傘下団体の活 続きを読む
2022年7月8日、安倍晋三元首相が銃撃され、その容疑者が統一教会(2015年に名称変更しているが、実態は変わらないため本稿では統一教会とする)に恨みを持ち、深い関係にあった安倍元首相が狙われたことが発覚。その後、統一教会への多額の寄付が原因で信者や家族が悲惨な状況に追い込まれた実態が多数明らかになった。
統一教会の悪質性は、オウム真理教事件が起こる前に既に社会問題化していたが、オウム事件以降はオウム真理教に関心が集中し、統一教会及び傘下団体の活 続きを読む
岸田政権が「安保三文書」(「国家安全保障戦略」「防衛大綱」「中期防衛力整備計画」)の改定作業を本格化させている。
10年前、2013年版「国家安全保障戦略」が策定された時の最大の特徴は、安全保障をめぐる東アジアの環境が、中国の急速な政治・経済・軍事的台頭によるパワーバランスの変化と、北朝鮮の軍事力増強への脅威などから厳しくなり、それらへの対応の必要性を理由に、改憲して戦争のできる国にしたいという安倍首相(当時)をはじめとする自民党右派の意向を反映したものであった。 続きを読む
「共同通信社が7月30、31両日に実施した全国電話世論調査によると、安倍晋三元首相の国葬に「反対」「どちらかといえば反対」が計53.3%を占め、「賛成」「どちらかといえば賛成」の計45.1%を上回った。国葬に関する国会審議が「必要」との回答は61・9%に上った。回答は固定電話425人、携帯電話625人」(2022年8月2日 北海道新聞)
2022年7月8日、奈良市で参院選の応援演説中に銃撃され死亡した安倍晋三元首相の葬儀を9月27日に「国葬」で執り行うことが、7月22日閣議決定された。政治家の国葬は1967年の吉田茂元首相以来55年ぶりとなり、極めて異例なことである。 続きを読む
さる5月23日に発表された日米首脳の共同声明で、「岸田文雄首相はミサイルの脅威に対抗する能力を含め、国家に必要なあらゆる選択肢を検討し、防衛力の抜本的強化に向けた防衛費の相当な増額を確保する決意を表明。バイデン氏は強く支持」(東京新聞5月24日)した。
だがこの軍備拡大の合意には強い批判がある。「首相が目指す防衛力強化は、自衛隊による相手国領域内への攻撃も選択肢から排除しないなど、戦後堅持してきた抑制的な安保政策の転換につながる内容だ。……自民党内にも慎重論は残り、野党の反発や世論の懸念は根強い。早い段階でバイデン氏の支持を取り付けることで議論の流れを決定付け、既成事実化する狙いも透ける。……だが、両国そろって力に力で対抗することに傾倒すれば、周辺国に疑心暗鬼を招く恐れを否定できず、もろ刃の剣ともいえる。」(東京新聞5月24日)
「岸田文雄首相は27日、自民党安全保障調査会長の小野寺五典元防衛相と官邸で会い、敵基地攻撃能力の保有などを求める党提言を受け取った。政府として結論を出す年末に向けて『与党の考え方を受け止めた上で、議論を進めていきたい』と述べ、公明党との調整を促した。提言は、日本を攻撃する相手国のミサイル発射拠点に加えて『指揮統制機能等』への攻撃を可能とする敵基地攻撃能力保有や、対国内総生産(GDP)比2%を念頭に置いた5年以内の防衛費増額などが柱。外交・防衛政策の長期指針『国家安全保障戦略』など3文書改定に合わせて、党がまとめた。」(2022年4月27日、東京新聞電子版)
ロシアのウクライナ侵攻を受け、欧米各国が軍事力こそ自国の安全保障にとって最も重要であるかのごとく、競ってその強化を叫んでいるなか、日本もその例外ではなく、特に政権を握る自民党内において、これに乗じた動きが盛り上がり、冒頭の記事はその典型的な危惧すべき事例である。
提言の主な内容は、次の通りである。 続きを読む
自民党の安倍晋三元首相は2月27日の民法テレビ番組で、「北大西洋条約機構(NATO)加盟国の一部が採用している、米国の核兵器を自国領土内に配備して共同運用する“核共有”政策について、日本でも議論すべきだ」との考えを示し、ロシアのウクライナ侵攻を踏まえ「世界の安全がどのように守られているのか。現実の議論をタブー視してはならない」と述べた。(2022.02.27共同通信)
ロシアのウクライナ侵攻は、主権国家を武力で圧殺する蛮行である。しかも、自国の核兵器使用も辞さない脅しをかけ、国際社会を威嚇する行為は、ロシアにとって危惧すべきNATOの「東方拡大」という要因があったにせよ、国連憲章、国際法破壊への挑戦であり、決して許容できるものではない。
すでにウクライナの民間人死者が2千人(ウクライナ非常事態庁発表、日テレNEWS 3月3日)、ウクライナ・ロシア軍双方の兵士の死者3千人超(共同通信 3月3日)、近隣諸国への避難民は136万人 続きを読む
「ふざけんなと思う、夫がなぜ死んだのかを知りたい、また国に殺された」
森友学園問題での財務省による公文書改竄事件で、改竄を強要され、追い詰められ自死した赤木俊夫さんの妻雅子さんが、事件の真相を知るために国を相手どり、損害賠償を求めている訴訟。証人尋問等、今後の裁判の進め方について、非公開で開催された2021年12月15日の進行協議の場で、国は突如請求を「認諾」し、賠償金を全額支払うことを明らかにした。雅子さんは、刑事事件として捜査していた大阪地検が、値引きによる背任行為と公文書改竄行為をいずれも不起訴とし、更に財務省に再調査を依頼しても拒否され続けたため、「真相の解明」の最後の手段として、国家賠償請求訴訟に訴えたが、国は賠償請求金額1億700万円全額を支払うことで、真相を闇に葬る選択をしたのである。冒頭の言葉は、国の「認諾」に対する雅子さんの無念の叫びである。
去る12月6日に開会された臨時国会の所信表明で岸田文雄首相は「国民の命と暮らしを守るため、いわゆる敵基地攻撃能力を含め、あらゆる選択肢を排除せず現実的に検討し、スピード感をもって防衛力を抜本的に強化していきます」と述べた。
当会は先に緊急警告044号(2021年8月15日)で「専守防衛を否定する敵基地攻撃能力の保有は許されない」と批判したが、今回改めて首相のこの所信表明に抗議する。
この「敵」というのが中国か北朝鮮か明言を避けているが、この「攻撃能力」は常識的に先制攻撃と解されており、わが国の憲法上決して許されるものではない。
与党の公明党は否定的な立場を取っており(朝日12月7日)、自民党内でも第2次安倍政権 続きを読む
安倍晋三元首相は去る12月1日、台湾で開かれたシンポジウムに日本からオンライン参加し、緊張が高まる中台関係で、「台湾への武力侵攻は日本に対する重大な危険を引き起こす。台湾有事は日本の有事であり、日米同盟の有事でもある。この点の認識を習近平主席は断じて見誤るべきではない」と語った。(朝日12月2日)
これに対して中国外務省は「中国内政に粗暴に干渉するものであり、日本は歴史を反省し台湾独立勢力に誤ったシグナルを送ってはならない」と強く抗議した。
日本は1895年に、清国内の不統一に乗じて日清戦争に勝利し、台湾を割譲させた。その 続きを読む
文部科学省は9月8日、慰安婦問題や第2次大戦中の朝鮮半島からの徴用を巡る教科書の記述について、教科書会社5社から「従軍慰安婦」「強制連行」との記述の削除や変更の訂正申請があり、同日付で承認したと明らかにした。政府は4月、「従軍慰安婦」という表現は誤解を招く恐れがあるとして、単に「慰安婦」とするのが適切とする答弁書を閣議決定。朝鮮半島から日本本土への労働者の動員を「強制連行」とひとくくりにする表現も適切でないとした。(2021.09.08日経新聞電子版)
菅内閣は、2021年4月27日の定例閣議において、日本維新の会、馬場伸幸議員の「従軍慰安婦」や「強制連行」「強制労働」という表現の不適切性を訴えた質問主意書をそのまま是認した答弁書で、「従軍慰安婦」は単に「慰安婦」、「強制連行」は「徴用」の 続きを読む