緊急警告024号 首相は国会解散の権限を持たない

                           2017年9月21日執筆
 9月18日朝の全国各紙は「臨時国会冒頭解散」で色めき立っている。午後には安倍首相は国連総会に出席のためニューヨークに向けて飛び立ち「解散については帰国後に判断したい」と平然と語り、公明党の山口那津男委員長は「国会解散は首相の専権事項」とこともなげに述べている。国会議員は選挙に向けて走り出し、マスコミは選挙情勢の取材に追われている。
 だが待ってほしい。国の命運の重大な課題が忘れられてはならない。国会という国権の最高機関の生殺与奪を、下級機関である行政府の長の胸先三寸に委ねられるだろうか?当会発行の『日本国憲法が求める国の形』は「国会は国権の最高機関であり、首相はその指名によってはじめてその地位を得る下級の『使用人』である。使用人が主人である国権の最高機関の全員を、ほしいままに罷免できるなど条理の上からあり得ない」としている。
 しかも解散の根拠に、天皇の国事行為を定めた憲法第7条の「三、衆議院を解散すること」を挙げている。「国政に関する権能を有しない」天皇の国事行為の一項を国政に利用するなぞ、詐欺だ。この詐術を使って現憲法の理念を根底から覆すのを座視できない。
 すべては1960年6月における苫米地判決に基づいている。この判決によって最高裁は、国家統治の基本に関する高度に政治性のある国家行為は、司法裁判所の権限外であるとした。だがこの様な最高裁判決は憲法違反だとの批判が広がっている。
 「集団的自衛権の行使を容認する『閣議決定・安保法制』は違憲」として3審を闘った珍道世直氏は、今、最高裁第一小法廷の最高裁裁判官5名の罷免の訴追を求めている。
 その「訴追請求状」には「裁判所は今日まで、警察予備隊違憲訴訟に係る昭和27年10月8日最高裁大法廷判決に基づき『具体的争訟性がなければ裁判の対象にならない』として、憲法裁判の大部分が却下、棄却されてきた」とし、「最高裁判例が憲法の上位に位置づけられてきたが、これは法理の逆転であり、憲法に背反する」とし、「憲法第98条(最高法規)の条規にかなうよう憲法第81条(法令審査権と最高裁判所)に基づき最高裁は、憲法適合性を審査すべきである」旨が述べられている。
 このように、事態は、最高裁が法令審査権を行使するよう求められる段階に入っている。
 野党の臨時国会開催要求を3ヶ月も無視し引き延ばしておいて、やっと開催したとなったら冒頭解散とは、国権の最高機関たる国会軽視・無視ははなはだしく、とても許されるものではない。森友・加計・日報疑惑隠しを意図する安倍政権の暴挙を弾劾する。

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