緊急警告019号 過去の亡霊、教育勅語の復活は違憲

さる3月31日、安倍内閣は教育勅語について「憲法や教育基本法等に反しないような形で教育勅語を教材として用いることまでは否定されることではない」との政府答弁書を閣議決定した。
しかし、教育勅語をめぐっては、すでに1948年に衆院が「根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている。基本的人権を損ない、国際信義に疑点を残す」としてその排除を決議し、参院も「われらは日本国憲法にのっとり、教育基本法を制定し、わが国とわが民族を中心とする教育の誤りを払拭し、真理と平和を希求する人間を育成する民主主義的教育理念を宣言した。教育勅語がすでに効力を失った事実を明確にし、政府は勅語の謄本をもれなく回収せよ」と、その失効を決議した。
教育勅語について「日本が道義国家を目指すというその精神は今も取り戻すべきだと考えている」(参院予算委員会、3月8日)と述べた稲田防衛相を、その後で擁護するために作られたこの政府答弁書は、持って回った文面にかかわらず、この勅語を復活させる意図は明らかだ。
国会は、国権の最高機関、国の唯一の立法機関であり、内閣は国会に対して責任を負う行政府に過ぎない。国会の決議に反する閣議決定は明らかに違憲だ。
衆参両院の決議が示しているように、教育勅語は絶対的天皇主権を定めた明治帝國憲法下で発布され、そこで天皇は臣下、つまり従僕に守るべき徳目を列挙した。現日本国憲法になって状況は一変した。臣下は国の主権者となり、天皇は主権を失い、お上は国民につかえる公務員になった。この場合、天皇がかつて下付した勅語を、国務大臣や内閣がふたたび徳目として持ちだすことは、主権者国民を侮辱する越権行為だ。いくつかの徳目の結びとして「一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」と、天皇家を守るために命を差し出せと指示しているのであるから、なおさらだ。
「すべて国民は、個人として尊重される」(現憲法第13条)ことを教えるべき学校で、個性を否定するいじめの広がっている現状では、上下の厳格な秩序と画一化を狙う教育勅語の復活は百害あって一利もない。
稲田防衛相が教育勅語を「全体として」肯定し、安倍内閣がその教材としての使用を否定しないと閣議決定したのは、彼らの公務員としての自覚の欠如であるとともに、現憲法を彼らが敵視している表れだ。
だが、敗戦時の時勢に助けられてこの憲法を手にした私たちの多くが、その至宝の価値を十分には認識せず、そこに彼らの付け入る隙を与えている。私たちはこの弱点を痛感し、その主権者意識を高める長期的な運動を行っている。
この緊急警告は現政権に対する告発であると同時に、私たち自身の反省を深めるための呼びかけでもある。

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