曲木草文
なんだかなー「楽しい日本」と言われても 「苦しい日本」山積みなのに
曲木草文
なんだかなー「楽しい日本」と言われても 「苦しい日本」山積みなのに
草野 好文(完全護憲の会会員)
(かながわ憲法フォーラム会員)
ウクライナ・ロシア戦争の展開に勢いづく改憲勢力
ロシアのウクライナ軍事侵攻とその後のウクライナ・ロシア戦争の展開が、日本の改憲をめぐる政治情勢に重大な影響をもたらしている。
改憲・軍事力増強派は、この事態を自らの主張の正しさを立証するものとして勢いづいている。安倍晋三元首相などは「核共有」という核武装論まで唱え、政権党である自民党は「敵基地攻撃」態勢の構築や防衛費(軍事費)予算をGDPの2%超とすべきなどと主張し、憲法9条が世界の現実といかにかけ離れた空論であるかを喧伝している。
連日報道されるウクライナの惨状を見せられた国民の多くは、一気にこうした流れに吸引されてしまうのではないか、と恐れる。
ロシアのような大国が小国ウクライナに侵略するという事態が現に起こっていること、このロシアの侵略に対してウクライナは、「国民総動員令」を発令し軍事力をもって対抗、簡単に陥落するであろうと予測された首都キエフを防衛し、ロシア軍を一時的にせよ首都包囲から後退させたこと、東部でこそ劣勢を余儀なくさせられてはいるが、侵攻を受けてから50日余も持ちこたえ戦線を膠着状態にまで持ち込んでいることなど、現時点ではまさに軍事力での対抗こそがウクライナ国家を防衛し、国民の犠牲を最小限に止めうる正しい選択であったかを証明しているかのようである。
こうした現状を踏まえれば、改憲・軍事力増強派が勢いづくのも当然と言えば当然と言える。
問題なのは、憲法9条の下に自衛隊が存在するという矛盾を抱えつつも、9条だけは変えることなく保持したいと「願望」してきた国民の多くが、こうした状況に吸引され9条改憲の流れが一気に加速してしまうことである。
あらためて憲法9条が問われている
こうした危機的状況に対して、9条擁護を掲げる護憲勢力は、適切な対応ができていないのではないかと危惧する。
目下の護憲派の主張は、ロシアのウクライナへの侵略を糾弾し、即時の停戦を訴えることにとどまっており、あらためて憲法9条が問われている、という自覚が乏しいように思われる。侵略を糾弾し、反戦を訴え、即時の停戦を訴えることは正しい。不可欠のことである。
だが、その後のウクライナ・ロシア戦争の展開は、憲法9条がいままで通り正しいと言いうるのかどうかが改めて問われているのである。9条が問われているということは、即、9条護憲を掲げてきた護憲派の私たち自身が問われているということである。しかしながら、私には9条護憲派に自らが問われている、というその自覚と危機感が感じられない。
社民党の福島瑞穂党首は「9条は無力だと言う人がいるが、全く違う、9条があるから権力者が戦争をやりたくてもできない。たくさんの犠牲者の上に憲法9条を勝ち取った。9条の意味がいまこそ大事にされるべき時だ」(「社会新報」3月9日)と言う。 続きを読む
9条と自衛隊の関係(私案)
9月の例会で9条と自衛隊の関係が論議されました。
結論としては例会におけるK氏の提議された内容、「①現9条の条文を変えずに守る。②9条の解釈については幅があってもよい。会員個々人の解釈(自衛隊を違憲と見るか、専守防衛の自衛隊を合憲と見るか)を尊重し認め合う。」は、憲法の全条項を守る「完全護憲の会」の趣旨からして、適切と愚考します。
なお、これに、「長期的には、東アジア共同体の構築と、世界連邦による国際警察軍の創設を展望し、その進行にあわせて、自衛隊を徐々に国内外災害救助隊に移行させ、解消を図る。」を加えるのが私の希望です。
9条と自衛隊の関係(私案)
9月の例会で9条と自衛隊の関係が論議されました。
結論としては例会におけるK氏の提議された内容、「①現9条の条文を変えずに守る。②9条の解釈については幅があってもよい。会員個々人の解釈(自衛隊を違憲と見るか、専守防衛の自衛隊を合憲と見るか)を尊重し認め合う。」は、憲法の全条項を守る「完全護憲の会」の趣旨からして、適切と愚考します。
なお、これに、「長期的には、東アジア共同体の構築と、世界連邦による国際警察軍の創設を展望し、その進行にあわせて、自衛隊を徐々に国内外災害救助隊に移行させ、解消を図る。」を加えるのが私の希望です。
私の詩の仲間、稲葉嘉和が「憲法」という詩を書いている。彼の詩誌「転々通信」189号、2015年9月に出ているこの詩を、ごく普通の人の憲法観として紹介させていただく。
憲法
俺の国にや 憲法というものがあるんだぜ
マンションの管理人の俺にもよ
いっておくけど
俺は それに世話になった事があるんだ
どうだビックリしただろう
俺が憲法と知り合い関係にあったってこと聞いてよ!
俺がもっと若えころ
急に会社からクビを言い渡されてさ
そんときゃ震えたネ
何が何だか分んなくなっちゃってさ
おもわず判を捺しちゃったネ
それでよくよく考えて
判を捺したのを取りかえした けどネ
なんで急に首だなんて言われたのか
わからなかったけれど
咄嗟に思ったのは 大したこたあないけど
「俺にゃ憲法ってものが守ってくれている」
ってことさ
憲法には労働者を守る と書いてあったと思ってネ
それは当たらずとも遠からず
というところが在って
おれは それから4年も務めたたんだぜ
それからだ
俺と憲法と親戚づきあいをはじめたのは
その時はっきり分かったことだけど
仲間同士で しっかり守りたいよ
ほんとだよ
この作品には現憲法に対する労働者の親近感がにじんでいる。自民党の改憲案が通ればこうは行かない。現憲法のもつ徳だ。この徳を手放したくない。世の中をさらにギスギスさせたくない。現憲法は荒れた世相に残された真珠のようだ。
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