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完全護憲の会ニュース No.28 2016年 4月10日
連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話・FAX 03-3772-5095
Eメール:kanzengoken@gmail.com
ホームページ:https://kanzengoken.com/
目次 ① 第27回例会の報告 1p
② 次の例会・勉強会のご案内 1p
別紙 1 政治現況報告 3p
別紙 2 事務局報告(緊急警告 011号を含む) 4p
第27回 例会の報告
さる3月27日(日)、港区・神明いきいきプラザ集会室で第27回例会を開催、参加者11名。入会者 計51名。
司会を草野編集委員長が担当し、まず、政治現況報告を岡部共同代表が行い、ついで事務局報告(別紙2)を福田共同代表が行った。
以上2つの報告に対する質疑と討論では、緊急警告009号(憲法擁護義務違反の安倍内閣は総辞職に値する)では、予算委員会での首相発言は、あくまで公務員としての発言であり、これを自民党総裁発言と見なせないことを付言せよ、010号(党利党略の衆院解散は憲法違反!)では、衆参両院の特殊性を混同してはならないことを加筆する必要がある、011号(安倍政権の原発再稼働推進は憲法違反!)では、被害地域に琵琶湖を加えるように、との要望があった。
今後の課題として国民投票法の違憲性が提起された。
事務局報告にある4月例会からの勉強会では、まず自民党改憲案の人権条項批判から初め、ついで安保法制の法制批判の準備に入ることとした。
「緊急警告」という名称の適否に関連して「日本会議」が推進する「家族保護条項」批判やその草の根改憲運動を検討する必要が提起された。
次の例会・勉強会のご案内
日時 4月24日(日) 13:30~16:30
場所 港区・神明いきいきプラザ・「憲法研究会」
〒105-0013 港区浜松町1-6-7 電話03-3436-2500
JR 山手線・京浜東北線、浜松町駅北口から徒歩4分
都営地下鉄、大門駅A2 出口から徒歩4分、B1出口から徒歩3分
報告 1)政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
2)緊急警告:発信予定の012号以降について 事務局
勉強会 テーマ(検討中) 加東遊民氏
会場費ほか 300円
<別紙 1>
政治現況報告 2016年3月27日
岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)
今通常国会の最初の与野党対決である平成28年度予算案は29日の参院本会議で可決、成立することが与野党で合意され、4月からの後半国会ではTPP法案の審議が本格化。さらに大島衆院議長の手元で調整中の衆院定数区割改正はアダムス方式による定数10の削減で話し合いが進む。マイナス金利で全く不透明になった経済やアベノミクスの先行きで、安倍首相が招いた2人の経済学者が、来年4月の消費税3%の値上げが、日本や世界経済の足を引っ張るなどと慎重論を唱えたため、再々延期の可能性が出て来ている。また29日には問題の安保法制が実施段階に入る。それ以上に七月早々の参議院選挙が目前に迫って来たため、与野党とも選挙対策に全力を集中ことになろう。
安倍首相が自公協力プラスαで改憲に必要な2/3参院議席獲得に集中しているのに対し、野党は選挙協力で2/3議席阻止を狙っている。この間、野党第一党民主党と第二党維新の会の合併問題が急速に進み新党名も民進党と決まり、27日に東京で結党大会が開かれる。民主・維新の合流で民進党は衆院96、参院60、計156人となり一強多弱は少し解消される。
新党名は民主党が立憲民主党、維新の党が民進党を希望、党員や一般市民の提案や調査で民進党に決まった。昔、改進党というのがあったが、少数のまま自民党に吸収された。改革進歩も民主進歩も、進歩という言葉に少しあいまいさと漸進さがあり、革新より弱い感じがする。委員長は岡田克也氏、幹事長は枝野幸男氏、国対委員長は安住淳氏といずれも民主党の現幹事が留任する。ただ政調会長は細野豪志氏と現幹部とのソリが合わず、2回生の山尾志桜里氏(41)を大抜てきする。
山尾氏は例の「保育園落ちた、日本死ね」を取り上げて安倍首相を追い詰めるなど、検事出身の異才。政府追及の突破口を狙う。ただ維新の党側は、強く要請されている江田憲司前代表、松野頼久現代表とも執行部入りを固辞していたが、結局、江田氏が代表代行に入った。
綱領では「自由・共生・未来への責任」を盛り込むが、安倍政権では教育・子育て・雇用で格差が拡大したとして「格差是正」を前面に掲げた。野党は共産や社民も含め、参院選での選挙協力を話し合い、共産が候補を取り下げ、一本化したのが、宮城、山梨、長野など9選挙区、さらに秋田、岐阜、岡山など11区でも調整しており、成果が注目される。これが機能すれば一人区を中心に面白い勝負になる。4月中に北海道と京都、熊本で衆院の補欠選挙があり前哨戦となる。
<別紙 2>
第27回例会 事務局報告 2016年3月27日
福田玲三(事務局)
1) 緊急警告009号~011号
緊急警告009号~010号はニュース27号に掲載。ここには011号のみ紹介する。これらの発信文書は例会の討議を経て正式文書とし、一定の号数に達すればリーフレットに集成して発行し、さらに何号かのリーフレットを集成しパンフレットとして発行する予定。なお001号から010号までを集成したリーフレットの見本を検討されたい。
緊急警告011号 安倍政権の原発再稼動推進は憲法違反!
3月9日、大津地裁は高浜原発3、4号機の運転差し止め仮処分決定を出した。大飯原発3、4号機の運転差し止めを命じた福井地裁判決(2014.5.21)、福井地裁の高浜原発3、4号機運転差し止め仮処分決定(2015.4.14)に続くもので、しかも稼働中の原発を停止させるという初めての画期的な判決である。ようやく、原発はやめて欲しい、という国民多数の声が司法に届き始めたと言えよう。
だが、この大津地裁決定が出た翌日、安倍首相は記者会見において「再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針であり、この方針には変わりはありません。」と発言し、司法の判断を一顧だにしない姿勢をあらわにしたのである。
福島第一原発事故による放射能汚染によってふるさとを奪われ、5年経ったいまも10万人もの人々が避難を強いられている現実を前にしてなお、原発を推進するというのである。
安倍首相の言う「美しい国」とはどういう国なのか。現に国土の一部が汚染され、人間が住めない状況をつくり出しているにもかかわらず、万が一にも次の原発事故を発生させたら、日本列島は汚染列島と化すのである。地震の活動期に入って巨大地震に襲われる可能性が高いことも科学的に予測されているのにである。仮に高浜原発が福島原発のような事故を起こしたなら、日本文化の象徴のような京都・奈良や大都市の大阪をも含め、近畿、北陸、東海地方の広範囲に被害が広がる恐れがあるのである。想像するだけでも恐ろしいことである。
福島第一原発事故による被害の大きさを実感した国民の意識は大きく変化した。約6割の国民が脱原発を願うようになったのである。だが、安倍自民党政権はこの国民の意思とは逆の原発回帰・再稼働路線を突き進んだ。
定期点検も含め全原発が停止していたにもかかわらず、「原子力規制委員会」の新規制基準を「世界で最も厳しいレベル」とし、これに合格したものは再稼働するとして、川内原発1、2号機、高浜原発3、4号機を再稼働させ、さらに次々と残りの原発を再稼働させるつもりなのだ。しかも大津地裁決定が指摘する如く、福島原発の事故原因究明は「道半ば」であり、使用済み核燃料の最終処分場も定まらない状況での再稼働なのである。
さらに懸念されるのが安倍首相が熱心に取り組んでいる原発の輸出である。日本国内においてさえ福島原発事故の全容が把握できず、事故はいまもって進行中なのであり、なおかつ、使用済み核燃料の最終処分方法も確立できていないものを他国に売りつけるなど、正気の沙汰とは思えない。輸出先の国で事故が発生したら、その責任は誰がとるのであろうか。福島第一原発事故の責任も取らない日本政府が、大事故の可能性のある原発を他国に売り歩くなど、無責任と反道徳性の極みである。
何故に原発再稼働や原発輸出などという理性的に考えたらあり得ない選択をするのであろうか。すべては原発利権のため、「原子力ムラ」の既得利権のためである。安倍政権がこれら既得利権勢力に支えられているからだとしか言いようがない。さらに、2012年6月に改定された原子力基本法に「我が国の安全保障に資することを目的として」との文言が挿入されたことにも表れているように、すでに破綻が明白な核燃料サイクル計画に日本政府が固執しているのは、潜在的核保有能力を手放したくないからである。
こうした原発利権や潜在的核保有能力を保持しようとする安倍政権のありように鉄槌を加えたものこそ、大飯原発運転差し止め福井地裁判決、福井地裁の高浜原発運転差し止め仮処分決定、そして今回の大津地裁高浜原発運転差し止め仮処分決定なのである。
この一連の判決の基礎となったのは、大飯原発3、4号機運転差し止め福井地裁判決(樋口英明裁判長)である。
福井地裁判決は、「個人の生命、身体、精神及び生活に関する利益は、その総体が人格権と言える」とし、「多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いの問題等を並べて論じるような議論に加わったり、その議論の当否を判断すること自体、法的に許されないと考える」と断じ、「このコスト問題に関連して国富の流出や喪失の議論があるが、たとえ本件原発の運転停止で多額の貿易赤字が出るとしても、国富の流出や喪失というべきではなく、豊かな国土とそこに国民が根を下ろして生活していることが国富であり、これを取り戻せなくなることが国富の喪失だと当裁判所は考える」と、まさに目の覚めるような核心を突く見解を提示したのである。事実上の違憲判決である。
今回の大津地裁判決で山本裁判長は、原発事故による「環境破壊の及ぶ範囲はわが国を越えてしまう可能性さえある」と指摘し、新規制基準も「直ちに公共の安心、安全の基礎となると考えることをためらわざるを得ない」と指弾する。そして、福島事故の際、「事故発生時に影響の及ぶ範囲の圧倒的な広さとその避難に大きな混乱が生じたこと」に鑑み、「国家主導での具体的な可視的な避難計画が早急に策定されることが必要であり、この避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準(……)を策定すべき義務が国家には発生している」と指摘した。そのうえで、本件各原発について、過酷事故対策についての設計思想や緊急時の対応に関する問題点、基準地震動策定に関する問題点、津波対策や避難計画に関する疑問等を挙げた上で、「住民らの人格権が侵害される恐れが高い」と判断し、原発の停止を命じたのである。
目先の既得利権のために、次の世代の子どもたちの生活やこの緑あふれる豊かな国土がどうなろうと知ったことではない、とするかのような原発再稼働は、憲法第13条の人格権や第25条の生存権を侵害しており、憲法違反と言わねばならない。
2)今後の勉強会企画について
懸案の勉強会について、自民党改憲草案と日本国憲法の人権規定比較を加東氏を講師として4月例会から開始の予定。
3)野村共同代表の辞意
なお辞意の撤回を求めて慰留を続行中。
4)その他
① 「戦争法の廃止を求める統一署名」は現在16枚(80筆)を回収。近く主催団体に持参の予定。
② 高市総務相の地元、奈良1区の会員から、選挙法違反の疑惑について連絡があった。
③ 柘植氏より、安保法制についての膨大な国会審議の論点を整理した「国会ウオッチ」
http://anporonten.jp/index.htmlの提供があった。
④ 集会案内
労働運動研究所 研究会「安倍政権が狙う緊急事態条項の制定」
講 師:野村光司
4月16日(土)午後2~4時 於・大阪経法大学6階B会議室
講演会「『集団的自衛権』行使容認閣議決定と中東」
講 師:栗田禎子(千葉大学教授)
4月22日(金)午後1時半~4時半 於・神明いきいきプラザ(港区)
参加費500円 連絡先 044-55-3280 長坂
交流会 水野スウさんとの
4月22日(金)午後1時半~5時
於・調布市布田 1―10-5 稲毛屋1階 クッキングハウス 電話0424-88-6369
参加費 1500円(お茶とケーキ付き)
4月23日(土)午前10時~12時 「憲法初心者向け講座」
於・さいたま市浦和区本太 1-24-16 認定こども園母の会 電話0488-83-3021
参加費 500円 定員50名
同日 午後2時~4時 以後交流会 「深堀り講座」
講師:竪十萌子弁護士/水野スウさん/小林玲子弁護士
於・さいたま市民会館うらわ「コンサート室」
参加費・1000円 定員130名
完全護憲の会ニュース No.27 2016年3月10日
連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話・FAX 03-3772-5095
Eメール:kanzengoken@gmail.com
ホームページ:https://kanzengoken.com/
目次 ① 第26回例会の報告 1p
② 次の例会・勉強会のご案内 2p
別紙 1 政治現況報告 3p
別紙 2 事務局報告(緊急警告 006号~010号を含む) 4p
第26回 例会の報告
さる2月28日(日)、港区・神明いきいきプラザ集会室で第26回例会を開催、参加者11名。入会者 計50名。
司会を草野編集委員長が担当し、まず、政治現況報告(別紙1)が、岡部共同代表のご家族法要による欠席のため、届けられた報告を上田氏が代読。
ついで事務局報告(別紙2)を福田事務局担当が報告。
以上2つの報告に対する質疑と討論では、まず政治現況報告中の、米国最高裁判決「政府が放送の編集権に介入するのは表現の自由を認めた憲法修正第1条に違反する」をめぐって意見が交わされ、その衆院予算委員会における山尾議員(民主党)の「表現の自由は経済の自由に優先する」との提起を、緊急提言006号(高市総務相言及の「停波」問題)に、付言するようにとの要望あった。また現憲法押し付け論と公務員の憲法擁護義務についても論議が交わされた。このうち「表現の自由の優越的地位」と「押しつけ憲法論」について、その詳細な解明が、その後、加東遊民氏によって、当会ブログに投稿された。公務員の「憲法擁護義務」については、緊急警告009号で見解を発信した。
事務局報告の2)共同代表会議の報告については、討議の末、共同代表辞任を表明している野村氏への慰留と復帰への努力を続けるようにとの全員の要望で締めくくられた。
ついで新参加者の紹介として、熊谷在住のK氏の自己紹介があった。
当面の日程については、以下が紹介された。
① 第27回例会 3月27日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ(浜松町)
② 第24回編集委員会 4月5日(火)14:00~ 大阪大学東京オフィス
③ 第28回例会 4月24日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ(浜松町)
④ 第25回編集委員会 4月30日(土)14:00~ 大阪大学東京オフィス
次の例会・勉強会のご案内
日時 3月27日(日) 13:30~16:30
場所 港区・神明いきいきプラザ・「憲法研究会」
〒105-0013 港区浜松町1-6-7 電話03-3436-2500
JR 山手線・京浜東北線、浜松町駅北口から徒歩4分
都営地下鉄、大門駅A2 出口から徒歩4分、B1出口から徒歩3分
報告 1)政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
2)緊急警告:発信した009号~010号の検討 事務局
議事 質疑・討論
会場費ほか 300円
6.当面の日程(追加)について
① 第29回例会 5月22日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ(田町)
② 第26回編集委員会 5月24日(火)14:00~ 大阪大学東京オフィス
<図書紹介>
水野スウ著『わたしとあなたのけんぽうBOOK』 紅茶の時間 刊 600円
親しみやすく、読みやすく、しかも要点を外さず、最新の情報を取り入れ、究極の理想とも思える冊子。(本会取扱い)。
<別紙 1>
政治現況報告 2016年2月28日
岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)
通常国会と予算委員会で本格審議が始まったが、その中で安倍首相の改憲発言と参院選での争点化が日に日に強まって来ている。出だしこそおとなしかったものの、参院選での改憲勢力2/3確保を打ち出した頃から強気に転じ、2月4日の予算委では、初めて憲法9条2項に言及し、「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」という部分は自衛隊を保持している現状に合わない、従ってこれを改正せねばならない、と本末転倒の理論で9条改憲を参院選の争点とすることを明言した。強気発言にも拘わらず内閣支持率が堅調なのが自信につながっているようだ。
自民党も2月16日、憲法改正推進本部を八ヵ月ぶりに開いて、党内の調整に乗り出した。ただ改正項目については異論もあり、公明党の慎重論と相まって意見集約は簡単ではないとの見方もある。
一方野党は、自民党の改憲を阻止するため、民主、共産、維新、社民、生活の五党が、参院選での選挙協力を申し合せ、さらに昨年秋、自民が成立させた、集団的自衛権を認めた安保法案を違憲として「安保法廃止二法案」を19日、衆院に共同提案した。
しかし首相の強気にも拘わらず、TPP交渉を一手に引き受けていた盟友の甘利経済相が秘書の口利きあっせんで辞任、後任に「経済に全く不慣れな」(麻生副総裁)石原伸晃前幹事長が就任。今後の波乱要因になりそうだ。
このスキャンダルを皮切りに、自民党では京都4区の宮崎謙介衆院議員が妻の出産介護で国会を欠席しながら、その実不倫を働いた、と云うので議員辞職。参院憲法審査会では委員の丸山和也参院議員が「アメリカでは黒人の大統領がいる。これは奴隷ですよ」と発言、委員を辞任した。
さらに丸川珠代環境相は福島第一原発事故の追加被曝線量、年間1ミリシーベルトについて、「何の科学的根拠もない」と失言して、謝罪、取り消し。島尻安伊子北方担当相は担当の北方領土の「歯舞」が読めずに陳謝。溝手顕正参院議員会長は宮崎議員の不倫を「うらやましい」と言って取り消すなど、失言、失態のオンパレードとなった。
さらに問題なのは高市総務相で、「放送局が政治的な公正さを欠くと判断した時は、電波停止を命じることもある」と言論の自由を認めない威嚇を重ねたこと。その違憲性は当会ホ-ムページの違憲性に対する緊急警告006号「高市総務相は辞任に値する」にくわしいが、放送法が現実に合わなくなっているのも事実。昔は電波は数少ない希少なものだから、「国民のために放送は中立、公平が必要」と第1条の“不偏不党”や第4条の“政治的な公平”になった。しかし今や電信、電波は衛星により衛星放送やケーブルテレビ、インターネットで、ほぼ無尽蔵。アメリカでは「電波の希少性がなくなった」と云うことで84年、最高裁が「政府が放送の編集権に介入するのは表現の自由を認めた憲法修正第1条に違反する」との判決を行った。
この判決の結果、放送法の「公平の原則」も見直さざるを得なくなり、レーガン政権下の87年、この公平原則の廃止を決定。2011年には連邦通信委員会の規則から最終的にその「公平原則」が削除された。つまり日本もその方向にゆくのが望ましい。時代遅れな議論を安倍首相や高市総務相が得得とするのはナンセンスだ。
<別紙 2>
第26回例会 事務局報告 2016年2月28日
福田玲三(事務局)
1) 緊急警告006号~010号
これらの発信文書は例会の討議を経て正式文書とし、一定の号数に達すればリーフレットに集成して発行し、さらに何号かのリーフレットを集成しパンフレットとして発行する予定。
緊急警告006号 放送の自由を威嚇する高市総務相は辞任に値する(2月13日)
朝日新聞(2月10日)の報道によると、高市早苗総務相は9日、衆院予算委員会で、「憲法9条改正に反対する内容を相当時間にわたって放送した場合、電波停止になる可能性があるのか」との玉木雄一郎議員(民主)の質問に対し、「1回の番組では、まずありえない」が、「将来にわたってまで、……罰則規定を一切適用しないということまでは担保できない」と述べ、放送法4条違反を理由に電波停止を命じる可能性に言及した。
重大な発言である。放送局が「憲法9条改正反対」、すなわち憲法の尊重を訴える番組を長時間放送すれば、総務大臣が放送法4条違反を理由に電波停止を命じる可能性があると発言したのである。実際に電波を停止するまでもなく、この発言だけで、放送局に対する脅しであって、「表現の自由」(憲法21条)を脅威にさらすものである。しかも、憲法尊重擁護義務(憲法99条)を負う公務員である総務大臣が、憲法擁護を訴える番組を「政治的公平性を欠く」と見なし、それを理由に電波停止命令の可能性を示唆したものであり、憲法に定められた「憲法尊重擁護義務」に違反して「表現の自由」を侵害しようとしたものであって、二重の意味で憲法を蹂躙する重大な発言である。
放送法4条は、放送事業者の守るべき倫理規範の一つとして第2号で「政治的に公平であること」を掲げているが、それは、「放送の不偏不党、真実及び自律を保障することによって、放送による表現の自由を確保すること」を放送法の従うべき原則に掲げる同法1条の下で解釈しなければならない。そして同法1条はまた、憲法21条の保障する「表現の自由」を放送において実現することを目的としていることも明らかである。したがって、放送法4条2号の掲げる政治的公平性とは、同条4号に掲げる「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにする」という規定とあいまって、放送の「不偏不党、真実」を保障しようとするものである。とりわけ、戦時中、放送局が政府の統制下におかれ、大本営発表の宣伝機関と堕して国民を戦争へと駆り立てた苦い反省に立って制定された放送法において、「政治的公平性」とは、何よりも政府からの独立性を意味するものであり、「何人からも干渉され、又は規律されることがない」という番組編集の自由を定めた放送法3条の規定は、とりわけ政府からの干渉・規律の拒否を意味していよう。
ところが、高市総務相にとっては、「政治的公平性」とは政府方針への親和性のことであり、「政治的公平性を欠く」とは政府の方針を批判する内容を指しているようである。そう考えない限り、「憲法9条改正反対の内容」=憲法擁護の姿勢が、「政治的公平性を欠く」と判断される理由は理解できないであろう。高市総務相が、「政治的公平性」とは政府方針支持のことであると考えているからこそ、憲法擁護の番組が、憲法改定を進めようとしている安倍政権の方針に反して「政治的公平性を欠く」と考えるのである。
高市総務相は昨年4月28日にも、「クローズアップ現代」の過剰演出問題でNHKに厳重注意の行政指導を行っているが、これに対して、放送倫理・番組向上機構(BPO)は同年11月6日、「放送の自由とこれを支える自律に対する政権党による圧力そのもの」であり、「政府が個別番組の内容に介入することは許されない」と厳しく批判している。
このように、政権に批判的な報道を「政治的公平性を欠く」として、そうした報道を弾圧しようとする高市総務相の姿勢は、「憲法尊重擁護義務」に著しく違反し、「表現の自由」を抑圧し威嚇するものであり、決して許されない。憲法を無視し続ける高市総務相は直ちに辞任するに値する。
(会員ブログより転載)
緊急警告007号 地方議会の憲法改正要求は憲法違反!(2月19日)
安倍政権が来る参議院選において、憲法「改正」を争点に掲げる姿勢をあらわにしている中、これを先導し後押しするようなかたちで、「日本会議」の主導のもとに、地方議会における「憲法改正の早期実現を求める意見書」採択が全国的に推進されている。
「日本会議」のホームページによれば、その数は2015年11月21日現在32都府県/55市区町村議会にのぼるという。東京、大阪、京都を筆頭に横浜市、川崎市など首都圏の大都市も軒並み名を連ねている。
これら地方議会が採択した意見書はすべてが同じ文面ではなく、その表現に濃淡があるものの、典型的には大阪市議会が採択した意見書(「憲法改正の早期実現を求める意見書」)にみるように、「この間、我が国を取り巻く東アジア情勢、軍事技術の進歩や大量破壊兵器の拡散などによる外交安全保障上の問題、大規模災害時などの緊急事態に対応できる国の在り方の問題、環境権などの新しい権利、地方分権・地方自治の進展など、我が国を巡る内外の諸情勢は劇的な変化を遂げ、現行憲法施行時には想定できなかった課題や新たな時代に対応できる憲法が求められている。」というものである。
一体全体、こうした「憲法改正を求める意見書」を採択した地方議会の議員諸氏は、自分たちがどのような存在なのかを自覚しているのであろうか。地方議員が特別職としての公務員であるとの自覚が少しでもあれば、現憲法が内外情勢の「劇的な変化」に対応できなくなっているので新たな憲法に変えろなどと、現憲法をこのように軽んじることはできないはずである。
憲法第99条は、「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官、その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」と、明確に公務員の憲法「尊重擁護義務」を定めているのである。地方議会におけるこのような「憲法改正」要求は憲法違反と言わねばならない。
さらに問題なのは、これらの意見書採択が、現憲法をどのような憲法に「改正」しようと意図しているかである。それはこの運動を復古主義的戦前回帰をめざす「日本会議」が主導していることからも明らかであろう。即ち、自民党が2012年に公表した「日本国憲法改正草案」そのものである。
この自民党「改憲草案」は、現憲法が掲げる国民主権、基本的人権、平和主義の3原理を根底から覆す国家主義、反民主主義の改憲案であることは、その内容を見れば明白である。
それゆえ、地方議会が採択した「憲法改正を求める意見書」は、国民主権、基本的人権、平和主義に立脚する現憲法を、これとは対極にある国家主義憲法に改めようとするもので、単に憲法尊重擁護義務に反するのみならず、その内容においても現憲法に抵触するものなのである。
特別職としての公務員である地方議員が現憲法に違反する「意見書」採択を行ってはならず、すでに採択したものは取り下げるべきである。
緊急警告008号 安倍内閣の倒錯した「立憲主義」理解(2月25日)
安倍首相が年明け以降、改憲への欲望を前面に押し出しにしてきている。年頭記者会見(1月4日)に始まり、衆院予算委(同8日)、NHK番組(同10日)、施政方針演説(同22日)など、ことあるごとに、参院選での改憲の争点化を明言している。これまで安倍首相は、選挙前には改憲という本音の争点を隠し、選挙が終わると特定秘密保護法や集団的自衛権の閣議決定、安保関連法制など、念願の立憲主義破壊活動を着々と進めてきた。その安倍首相が、ここにきて、甘利辞任後も落ちない内閣支持率を見て、本音をむき出しにしてきたのである。国民はいよいよ、敗戦の焦土の中から勝ち得た自由と民主主義を、安倍政権とともにゴミ箱に投げ捨てるのか、それとも安倍政権から守り抜くのかの正念場に立たされたのである。
2月3日の衆院予算委では、「憲法学者の7割が違憲の疑いを持つ状況をなくすべきだという考え方もある」という暴言を吐いた。安倍首相の側近と言われる自民党の稲田朋美政調会長が、「現実に合わなくなっている9条2項をこのままにしておくことこそが立憲主義の空洞化だ」と述べたのに応じたものである。朝日新聞も6日の社説で「首相の改憲論、あまりの倒錯に驚く」と述べていたが、過去、ここまで憲法を無視し立憲主義を愚弄した政権はない。問題は、ここまで立憲主義を愚弄している安倍政権は、立憲主義の意味を理解したうえで、確信犯としてやっているのか、それとも、立憲主義の「り」の字(意味)も知らずにやっているのか、である。どちらが一層恐ろしいかについては、議論が分かれるかもしれないが、私は後者の方が圧倒的に恐ろしいと思う。前者であれば、「本当は権力者がやってはならないことをしている」という後ろめたさがどこかにあるはずだから、多少の心理的ブレーキがかかるものだが、後者であれば、そもそも罪の意識自体ないため、やりたい放題になる恐れが強いからである。そして、安倍政権が後者であることは、数々の証拠が示している。以下に、いくつかの証拠を挙げる。
(1)自民党は2012年4月、改憲草案を公表したが、それに対して法律家を中心に「立憲主義違反である」との批判が高まると、自民党憲法改正推進本部事務局長として改憲草案の取りまとめの中心的役割を果たした磯崎陽輔はツイッターで、「時々、憲法改正草案に対して、「立憲主義」を理解していないという意味不明の批判を頂きます。……昔からある学説なのでしょうか」と呟き、驚くべき無知を暴露した。ちなみに、磯崎陽輔は自民党の中では「憲法博士」と呼ばれているらしい。
(2)憲法は権力者を名宛人とする権力制限規範であるから、現行憲法99条は、天皇以下公務員の憲法尊重擁護義務を定めているが、国民にはこうした義務はない。このこと自体、憲法とは統治者の権力を制限し被治者の権利を保障することを目的とするという立憲主義の現れである。ところが自民党改憲草案の102条は第1項で、「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」と規定しており、国民の憲法尊重義務を公務員の憲法擁護義務の前に持ってきている。この改正の意味についてジャーナリストの斎藤貴男のインタビューを受けた磯崎陽輔はこう答えている。「当たり前のことを書いただけですよ。……憲法はみんなで守りましょうというのは普通の話だと思います。……立憲主義なんて難しい熟語だけ出してけしからんと言われても、それは違うんじゃないの。まあ、それぐらいの話です」と。こうして再び、立憲主義に対する救いがたい無知を暴露したのである。
(3)安倍首相は2014年2月3日 衆院予算委員会で、「憲法について、考え方の一つとして、いわば国家権力を縛るものだという考え方はありますが、しかし、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方であって、今まさに憲法というのは、日本という国の形、そして理想と未来を語るものではないか、このように思います」と発言し、憲法と立憲主義に対する恐ろしいほどの無知・無理解を暴露した。西洋の近世絶対王政時代においても、「国王といえども神の法には従わなければならない」という近世立憲主義思想はあったが、市民革命を経た近代立憲主義は、人権保障を最大の目的として、国民主権に基づく国家権力をも制限しなければならない、という思想に転換したのである。そして、現代においても、人権保障こそ憲法の目的であることにはいささかの変更もないのであって、それを抜きに「国の形や理想と未来を語るもの」など立憲主義憲法とは何の関係もない。
(4)安倍首相は同年2月12日、衆院予算委員会で、集団的自衛権の行使を認める憲法解釈の変更をめぐり「最高責任者は私」「私が責任を持ち、選挙で審判を受ける」などと発言した。総理大臣が憲法解釈の「最高責任者」であるという、恐るべき思想を吐露したものであり、日本は立憲民主主義国家ではなく、首相独裁国家であるという宣言を行ったに等しい。
(5)衆院憲法審査会で3人の憲法学者が安保法案を違憲と断じた翌日の2015年6月6日、中谷元防衛相は、「現在の憲法をいかにこの法案に適用させていけばいいのかという議論をふまえ、閣議決定を行った」、「憲法解釈の変更は政府の裁量の範囲内」などと答弁し、憲法が国の最高法規であるという立憲主義に対する無知と、立憲主義を公然と踏みにじる意図とを明言したのである。
(6)同月10日、3人の憲法学者が国会で安保法制を「違憲だ」と指摘したことについて、自民党の高村副総裁は、「60年前に自衛隊ができた時に、ほとんどの憲法学者が『自衛隊は憲法違反だ』と言っていた。憲法学者の言う通りにしていたら、自衛隊は今もない、日米安全保障条約もない。日本の平和と安全が保たれたか極めて疑わしい」と発言、憲法学者の違憲判断を無視して「何が悪い」と開き直った。
(7)同年7月10日、自民党のネット番組に出演した安倍首相は、自衛隊の創設時もPKO法案審議のときも、違憲の批判があったが、後になって国民から評価されていると述べ、違憲の批判を無視することを正当化した。前月の高村発言と同様の開き直り発言である。安倍首相はまた、集団的自衛権行使は許されないとの従来の政府解釈を変更したことについても、「状況が変わった中においては、ちゃんと閣議決定で判断をしているんです。そういう意味においては、立憲主義に沿ったものだと思います」とも発言、憲法学者が違憲と判断する内容でも、閣議決定さえすれば、「立憲主義に沿ったもの」だという、驚くべき倒錯した珍解釈を示した。
(8)同月26日、磯崎陽輔首相補佐官は、安保法案について「(従来の憲法解釈との)法的安定性は関係ない。……政府の憲法解釈だから、時代が変われば必要に応じて変わる」との仰天発言を行った。
(9)そして上記の2月3日の衆院予算委での稲田政調会長と安倍首相の発言である。言うまでもないことだが、ここまで憲法9条と乖離した現実を積み上げてきたのは、歴代自民党政権の解釈改憲である。そのうえ、それまでの政府解釈さえをも変更し、限定された集団的自衛権なら合憲だという、およそ通常の日本語文法からは理解不可能な解釈改憲を行い、安保法制を強行したのは安倍政権である。その責任を棚に上げて、憲法違反の現実を合憲化するために明文改憲が必要だというのである。これが憲法の破壊でなくて何であろうか。
このように、安倍首相本人はもとより、安倍内閣の主要閣僚も安倍首相の側近も、立憲主義に対する無知と現行憲法に対する敵意を繰り返し表明している。これが安倍政権の本質である。すなわち、立憲主義の「り」の字に対する理解もないまま、ひたすら憲法を憎み、憲法を破壊する意図を公言し、実行する異形の反立憲主義内閣、それが安倍政権である。
(会員ブログより転載)
<以下は例会以後に発信したもの。次の例会での検討の対象>
緊急警告009号 憲法擁護義務違反の安倍内閣は総辞職に値する(3月7日)
首相はかねてから改憲発言を重ねているが、この3月2日、参院予算委員会で「私の在任中に(改憲を)成し遂げたい」と明言した。首相は「自民党の立党当初から党是として憲法改正を掲げている。私は総裁であり、それを目指したい」と、総裁任期の残り2年半のうちに改憲を成し遂げたいとの意欲を示した。
また、中谷元・防衛相も2月27日、民放のテレビ番組に出演した際、自衛隊を明確に位置づけるために9条改定が必要だとの持論を展開、3月2日の参院予算委でも、改憲の必要性を再び強調した。
このような、安倍首相や安倍内閣閣僚による度重なる改憲発言は、国務大臣や国会議員をはじめとする公務員の憲法尊重擁護義務を定めた憲法99条に明確に違反するものである。こうした安倍首相以下、閣僚が繰り返し改憲発言を行う背景には、新憲法制定を活動方針に掲げる日本会議国会議員懇談会のメンバーが多数、安倍内閣の閣僚に含まれているという事実がある。
今から60年前の1956年3月16日、安倍首相の祖父・岸信介らが国会に提出した「憲法調査会法案」の公聴会が衆院内閣委員会で開かれた際、公述人である法学者・戒能通孝都立大教授(当時)は、「内閣が国民を指導して憲法改正を企図するということは、むしろ憲法が禁じているところである」と明快に証言している(注)。
このような明確な違憲発言を繰り返す安倍内閣は、即刻、総辞職に値する。
(注)このとき戒能通孝氏は、次のような陳述を行っている。
「憲法の改正は、ご承知のとおり内閣の提案すべき事項ではございません。内閣は憲法の忠実な執行者であり、また憲法のもとにおいて法規をまじめに実行するところの行政機関であります。したがって、内閣が各種の法律を審査いたしまして、憲法に違反するかどうかを調査することは十分できます。しかし憲法を批判し、憲法を検討して、そして憲法を変えるような提案をすることは、内閣にはなんらの権限がないのであります。(……)内閣に憲法改正案の提出権がないということは、内閣が憲法を忠実に実行すべき機関である、憲法を否定したり、あるいはまた批判したりすべき機関ではないという趣旨をあらわしているのだと思うのであります。憲法の改正を論議するのは、本来国民であります。内閣が国民を指導して憲法改正を企図するということは、むしろ憲法が禁じているところであるというふうに私は感じております。(……)元来内閣に憲法の批判権がないということは、憲法そのものの立場から申しまして当然でございます。内閣は、けっして国権の最高機関ではございません。したがって国権の最高機関でないものが、自分のよって立っておるところの憲法を批判したり否定したりするということは、矛盾でございます。こうした憲法擁護の義務を負っているものが憲法を非難する、あるいは批判するということは、論理から申しましてもむしろ矛盾であると言っていいと思います」(1956(昭和31)年3月16日 第24回国会 衆議院内閣委員会公聴会。保阪正康『50年前の憲法第論争』講談社現代新書、2007年より引用)。
緊急警告010号 党利党略の衆院解散は憲法違反!(3月10日)
安倍首相が、夏の参院選に合わせて衆議院を解散し、衆参同日選挙とするのではないかとの観測がこのところしきりと取り沙汰されている。3月2日付朝日新聞によると、首相周辺は「いまが憲法改正に踏み出す千載一遇のチャンス」と見て、参院選の獲得議席を少しでも底上げするため、政権与党に有利な衆参同日選が検討されている模様である。そして、そのために検討されているのが、消費税増税の再先送り案である。
朝日新聞によると、首相はこれまで、消費税率の10%への引き上げは、「リーマン・ショックや東日本大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施する」と繰り返していたが、最近、「重大な事態」を「世界経済の大幅な収縮」などと言い換えるようになっている。そして、首相が1日、新たな立ち上げを表明した世界経済を分析する有識者会合は、最近の世界経済の変調を「大幅な収縮」と認定して、消費税の引き上げを再び先送りするための大義名分を整えるためのお膳立てではないかとの見立てなのである。そして、「予定通り消費増税をしたら景気が悪化して、衆院の解散はなかなか難しくなる。先手を打って早めに総選挙をやるのも一つの選択肢だ」という閣僚の言葉を紹介している。
確かに安倍首相のやりそうなことである。首相は2014年11月18日、前回の衆院選から2年も経っていないにも関わらず、消費税増税の1年半延期と同時に衆院解散を表明した。これは、沖縄知事選で普天間基地の辺野古移転に反対する翁長雄志候補が当選した2日後、同年7~9月期の国内総生産(GDP)速報値が発表され、2期連続でマイナス成長となり、アベノミクスの行き詰まりが明白になった翌日のことであった。そしてそれから1年3カ月経った今日、アベノミクスの失敗はさらに明白となっているが、低所得高齢者への3万円バラマキや口先だけの「同一労働同一賃金」や辺野古工事中断などで目眩ましをし、さらに「消費税増税再先送り」を口実にした同日選突入の可能性は高いと見ておかねばなるまい。
しかし、このような全くの党利党略に基づく衆議院解散は憲法違反である。
憲法は第7条で、天皇の国事行為の一つとして「衆議院を解散すること」を挙げ、第3条で、天皇の国事に関するすべての行為は「内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ」と定めている。しかし、内閣が衆議院を解散できる場合を具体的に定めているのは69条だけであり、同条は、内閣が衆議院で不信任決議案を可決、または信任決議案を否決したときは、衆議院を解散するか総辞職するかを選ばなければならないと規定している。したがって、当会では、内閣が衆議院を解散できるのは69条所定の場合だけであり、同条に基づかない解散はすべて違憲であると考える(解散権の69条限定説)。
ただし、実務や判例や最近の憲法学界の通説は、69条限定説を採っておらず、7条の「衆議院を解散する」天皇の国事行為に対する「内閣の助言と承認」に実質的な解散権を読み込むことにより、69条によらない解散も合憲と解している(69条非限定説=7条解散合憲説)。ただし、その場合でも、有力な憲法学説は、内閣がいかなる解散も自由になしうるとは解釈していない。むしろ、「解散は国民に対して内閣が信を問う制度であるから、それにふさわしい理由が存在しなければなら」ず、「内閣の一方的な都合や党利党略で行われる解散は、不当である」(芦部信喜『憲法』)とか、(国民の意思を問うような)「必然性が全然ないのに政権党の党利党略で解散するなどのことは許されない、とすべきである」(浦部法穂『憲法学教室』)などと説かれている。
したがって、参院選での獲得議席増を目論む安倍首相が、同日選のために衆院解散を行うならば、69条限定説からはもちろん、69条非限定説に立ったとしても、権限濫用により憲法違反と言わざるを得ない。
完全護憲の会ニュース No.26 2016年 2月10日
連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話・FAX 03-3772-5095
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ホームページ:https://kanzengoken.com/
目次
①第2回総会と第25回例会の議事録 1p
③ 違憲に対して発信した緊急警告 4p
④ 次の例会・勉強会のご案内 4p
別紙 1 第2回総会承認・決定事項 5p
別紙 2 政治現況報告 9p
別紙 3 違憲に対して発信した緊急警告 001~005号 10p
さる1月24日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で第2回総会兼第25回例会を開催、参加者19名。入会者 計50名。
第2回 総会の議事録(要旨) 2016年1月24日
総会は司会を編集委員長の草野好文が担当し、議長に同じく編集委員の大西喜代志を選出した。
議事は以下の議案が事務局より提案された。
1)第1号議案 2015年度活動経過報告
2)第2号議案 2015年度決算報告
3)第3号議案 会計監査報告
4)審議(質疑応答・承認)
5)第4号議案 2016年度活動計画について
6)審議(質疑応答・決定)
7)第5号議案 新役員選出
審議の結果、1号議案、2号議案、3号議案、5号議案については出席会員全員の賛成で承認・可決された。
第4号議案の2016年度活動計画の5項「パンフレット追補版(リーフレット形式)の発行について」の議案については、一部修正の提案があり、修正案が賛成多数で採択された。
以上を審議して、第2回総会は閉会した。
承認、決定された全議案は別紙1のとおり。
第25回 例会の議事録(要旨)
休憩をはさんで第25回例会・勉強会に移った。司会は引き続き草野好文が担当した。
1.岡部報告(別紙2)
2.野村報告
3月パンフについて、国政と憲法とのギャップを憲法の全条項に照らして明らかにしたもので、大きな意義あるものである。パンフ発行後も、現政権は次々と違憲の政治を推し進めてきている。これにも対応すべくすでに60項目ほどの提起を行い、さらに数十項目を準備している。これらの提起の討議が遅れているのが残念、編集委員会の対応に問題あり。速やかに検討して発表にこぎ着けて欲しい。
例えば、選挙の問題で言えば、憲法は国会議員は国民の代表であると言っているが、現在の選挙制度では自民は25パーセントの得票で、野党の得票が75パーセントであっても当選してしまう。野党協力は難しい。この場合は当然、決選投票を行うべきで、これは憲法の要請するところである。
「地方創生」なるものは、第92条の「地方自治の本旨」に反するものである。これによる文化庁の京都移転などの中央官庁の移転は、憲法15条「すべて公務員は、全体の奉仕者」や官吏の働き方を定めた国家行政組織法に反するものである。
こうした問題も含めみんなで議論していただいて、もんでいただいて、発表にこぎ着けられるよう進めて欲しい。
3.ホームページ担当の川本氏から、完全護憲の会ホームページのトップページに違憲性に対する「緊急警告」を掲載できるようにした。編集委員会で検討し発信して欲しい。ここには会員登録しないでもコメントできるようにしたので、ぜひ、コメントを入れて欲しい(会員ブログの方は会員登録が必要)。また、ツイッターなどで拡散して欲しい、との説明がなされた。(25日現在、緊急警告001号発信済)
4.新参加者紹介
1)K氏 週刊金曜日見て参加。
2)Mさん 週刊金曜日見て参加。
5.質疑・討論
国会解散が総理大臣の専権事項とされていることなどにつき、さまざまな角度から意見交換が行われた後、質疑・討論を終了。
違憲に対して発信した緊急警告
第2回総会の決定による違憲緊急警告を001号~005号(別紙 2)まで発信した。この各号はそれぞれ「コメント欄」で意見を求めるとともに、2月の例会でも内容の検討を予定しているので、事前の一見をお願いしたい。
次の例会・勉強会のご案内
日時 2月28日(日) 13:30~16:30
場所 港区・神明いきいきプラザ・「憲法研究会」
〒105-0013 港区浜松町1-6-7 電話03-3436-2500
JR 山手線・京浜東北線、浜松町駅北口から徒歩4分
都営地下鉄、大門駅A2 出口から徒歩4分、B1出口から徒歩3分
報告 1)政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
2)緊急警告発信した001号~005号の検討 事務局
議事 質疑・意見
会場費 300円
(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
(連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。)
お願い
「戦争法の廃止を求める統一署名」主催の実行委員会は署名者 2000万人の達成を4月25日締切で、目指しています。1月の集約23枚(215筆)。5人の署名欄が埋まりましたら、第2次として2月末までに当会あてお送り下さるようお願いします。(事務局)
ご案内
「日中歴史 和解への道」(高文研刊)定価1,500円(本体)研究会
著者 松岡 肇(中国人強制連行・強制労働事件全国弁護団幹事長)出席の予定。
3月5日(土) 14:00~ 、大阪経済法科大学6階B会議室 労働運動研究所研究会
(港区麻布台1-11-5 電話03-3582-2922 地下鉄神谷町、1出口から、東京タワー方向へ徒歩3分左側)
<図書紹介>
内田博文著『刑法と戦争』(みすず書房刊)定価4,600円(本体)
「完全護憲の会」に相応しい名著です(推薦者 田中 伸)
<別紙 1>
第2回総会 承認・決定事項
第1号議案 2015年度活動経過報告
2015年は、資料に示すとおり、毎月、例会と編集委員会の開催をつみ重ねた。
この間、1月の例会では、第4次案まで検討したパンフ『日本国憲法が求める国の形』を、4月に投票が予定される統一地方選前に発表することとし、その発表記者会見を3月20日にする日程を決めた。
3月20日、プレスセンターへのマスコミ出席者は少数だったが、翌21日『東京新聞』は大見出しで当会の結成をつたえ、その影響と会員の直接配付によって冊子売上げ(カンパを含む)は3月、4月ともに10万円をこえた。
3月3日に発行したパンフ500冊は売切れ、5月3日に2000冊を増刷した。
その後、『週刊金曜日』5月29日号による当会の紹介で、6月のパンフ売上げは7万円を越え、引き続き全国各地の『週刊金曜日』読者会からも受注することができ、年間の売上げ総額は、カンパを含め、90万円に達した。会員もまた50名に増えた。
ちなみに、郵便振替払込代金の内訳をみると、カンパ金額が平均して冊子代金の3倍を越えており、当会の発足が、どれほど人々の期待に応えているか、実感される。接触した範囲はまだ限定されており、さらに一段と範囲を広げることが切実に求められている。
パンフの内容についても「これだけ広範に体系的に書かれたのは、憲法関連の文献として最高」(T衆議院議員)と高く評価される一方、次版に当たって改訂の要望、たとえば「設立趣意書」における「日本国憲法の理念」についてなど、も出されている。
秋になり、冊子普及の動きが一段落すると、会の進路をめぐって熱心な討議が始まった。全条項の完全護憲を提唱する運動は、これまでになく、まだ道のついていない荒野の途上で、進路の模索が始まるのは当然のことであり、それだけに慎重な選択が必要とされる。
討議と並行して、当会のホームページで違憲の対する緊急警告を発信し、それを集めてリーフレットにし、さらにこれをパンフレットに集成し普及する案が固まってきている。
資料
参考 2014年
第 1回 例会 1月26日 学士会館 参加者 7名
第 2回 例会 2月23日 学士会館 参加者 9名 会員 計 8名
第 3回 例会 3月30日 学士会館 参加者 13名 会員 計10名
第 4回 例会 4月27日 学士会館 参加者 11名 会員 計13名
第 5回 例会 6月 1日 学士会館 参加者 13名 会員 計14名
第 6回 例会 6月22日 学士会館 参加者 14名 会員 計15名
第 7回 例会 7月27日 学士会館 参加者 16名 会員 計19名
第 8回 例会 8月20日 阪大東京オフイス 参加者 13名 会員 計19名
第 9回 例会 9月28日 学士会館 参加者 13名 会員 計19名
第10回 例会 11月 2日 学士会館 参加者 12名 会員 計20名
第11回 例会 11月23日 学士会館 参加者 12名 会員 計20名
第12回 例会 12月21日 学士会館 参加者 15名 会員 計20名
第1回 編集委員会 6月12日 京大東京連絡事務所(品川)
第2回 編集委員会 7月10日 京大東京連絡事務所
第3回 編集委員会 8月 6日 京大東京連絡事務所
第4回 編集委員会 9月 3日 阪大東京オフイス
第5回 編集委員会 10月 8日 阪大東京オフイス
第6回 編集委員会 11月12日 阪大東京オフイス
第7回 編集委員会 12月 3日 阪大東京オフイス
2015年
第 1回総会兼第13回 例会 1月25日 学士会館 参加者 13名 会員 計21名
第14回 例会 2月22日 学士会館 参加者 10名 会員 計21名
第15回 例会 3月22日 学士会館 参加者 19名 会員 計22名
第16回 例会 4月26日 学士会館 参加者 17名 会員 計31名
第17回 例会 5月31日 学士会館 参加者 20名 会員 計37名
第18回 例会 6月28日 学士会館 参加者 23名 会員 計42名
第19回 例会 7月26日 学士会館 参加者 22名 会員 計47名
第20回 例会 8月23日 三田いきいきプラザ 参加者 18名 会員 計48名
第21回 例会 9月22日 神明いきいきプラザ 参加者 16名 会員 計49名
第22回 例会 11月 1日 三田いきいきプラザ 参加者 18名 会員 計48名
第23回 例会 11月22日 三田いきいきプラザ 参加者 19名 会員 計50名
第24回 例会 12月20日 神明いきいきプラザ 参加者 16名 会員 計50名
第 9回 編集委員会 1月28日 阪大東京オフイス
第10回 編集委員会 2月27日 学士会館
第11回 編集委員会 3月25日 阪大東京オフイス
第12回 編集委員会 4月30日 阪大東京オフイス
第13回 編集委員会 6月 3日 阪大東京オフイス
第14回 編集委員会 7月 1日 阪大東京オフイス
第15回 編集委員会 7月30日 阪大東京オフイス
第16回 編集委員会 8月26日 阪大東京オフイス
第17回 編集委員会 10月 1日 阪大東京オフイス
第18回 編集委員会 11月 2日 阪大東京オフイス
第19回 編集委員会 11月25日 阪大東京オフイス
第20回 編集委員会 12月21日 阪大東京オフイス
(お願い 緊急警告発信中の「完全護憲の会」ホームページにアクセスして下さい)
第2号議案 2015年度決算報告
第3号議案 会計監査報告
第4号議案 2016年度活動計画について
1.例会・勉強会について
1)毎月1回、例会・勉強会を開催する。(基本として第4日曜日)
2)例会・勉強会の充実をはかる。
・憲法問題の議論の活発化(パンフ、リーフ、webでの発信に向けて)
・講演・学習会の開催(講演料なしでの)
3)会場費・資料代として参加費300円をいただく。
2.編集委員会について
1)毎月1回開催する。会員は誰でも参加して意見を述べることができる。
2)編集委員会は事務局と協力して会の運営全般に責任を持つ。
3)憲法問題の議論の活発化のために努力する。
3.他の護憲運動とのかかわりについて
1)「戦争法の廃止を求める統一署名」(2000万人署名)に協力する。
2)その他、会としてかかわるにふさわしい運動が提起された時は、その都度、例会で検討し決定する。
4.WEB上での違憲状況に対する緊急警告発信について
1)日々生起する憲法の違憲状況について、会のホームページ上で違憲告発の発信を行う。
2)上記の内容は編集委員会で検討し発信するが、例会に報告し、さらに検討を加えて、パンフ追補版(リーフレット形式)やパンフレット第2版につなげる。
5.パンフレット追補版(リーフレット形式)の発行について
1)会員が提起した国政の違憲状況及びホームページの違憲性に対する緊急警告として発表したものについて、緊急性の高い項目を編集委員会が選択し検討を急ぎ、『日本国憲法が求める国の形』追補版(リーフレット形式)を編集・発行する。
2))パンフレット追補版第1号を4月末を目標に発行する。(5月の諸憲法集会に間に合うように)」
6.3月パンフレットの普及・販売活動について
1)パンフレット追補版(リーフレット形式)の配布活動を通じて、3月パンフレットの普及・販売活動に取り組む
第5号議案 新役員選出
共同代表 岡部太郎、野村光司、福田玲三 (五十音順)
事務局員 福田玲三、川本久美恵(HP担当)
編集委員 稲田恭明、大西喜代志、草野好文、榊山今日児、野村光司、福田玲三
会計監査 宮崎國雄
<別紙 2>
政治現況報告 2016年1月24日
岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)
今年の国際政局では、1月16日の台湾総統選挙で野党改進党の蔡英文候補(女性)が圧勝、8年ぶりの政権交代が行われた。親中派の朱立倫主席は台湾独立後、初めて中国の習近平氏と会談、テコ入れを図ったが、惨敗だった。蔡政権は中国と一線を画す政策に方向転換するものと見られ、今後中台関係が少しギクシャクすると思われる。
また昨年から引き続き中国経済が減速し、日本の正月株式相場も8日連続、3000円以上続落した。また世界の石油相場も下落が止まらず、景況の悪化につながっている。
こんな中で日本は1月4日と、正月早々、通常国会が召集され、会期150日で7月1日まで。参院選挙を7月早々に行う構えだ。さっそく3兆3千億円の補正予算が成立。低所得の老人に1人3万円の補助をするという、参院選対策ミエミエの政策を実現した。政府は引き続き96兆円余の本予算の早期成立を図る。
安倍首相は本会議での答弁で今夏の参院選について「自公で過半数を確保したい」と初めはおとなしかったが、10日の報道番組では「大阪維新など、その他の改憲勢力を合せ、改憲に必要な2/3を確保したい」と改憲に踏み切ることを明らかにした。公明は「改憲は時期尚早、単なる数合せではすまぬ」と慎重姿勢、自民党の二階堂総務会長も「改憲は国民と合意できるところに至っていない、これ以上慌てて国民をせき立てる調子で事に当たるのは、少し違うのではないか」と参院選の争点にすることに慎重な対応を求めた。野党の民主党岡田委員長も野党勢力を結集して参院2/3を絶対阻止する考えだ。
一月最初の世論調査では、この2/3の目標について「2/3占めない方がよい」46%、「2/3占めた方がよい」33%で、与野党伯仲の方が優勢だが、比例区でどの党に投票するかとの問いには自民39%、民主14%、公明4%、共産8%、維新2%、おおさか維新6%だった。
14日には、衆院定数の違憲状態を是正する「選挙制度改革の有識者調査会」(座長・佐々木毅元東大学長)が小選挙区7増(東京3、埼玉、千葉、神奈川、愛知の各1)13減(青森、宮城、三重、広島、熊本など各-1)、比例ブロック1増(東京)5減(東北、北関東、東海、近畿、九州)の答申を大島衆院議長宛に提出した。この国会で各党が話し合う。
また主要閣僚の甘利明に飲食をふくめ2千万円相当の授受疑惑が急浮上、TPPや経済見通しの甘利演説に民主・維新など野党が退席、疑惑の説明ができていないので、辞任説も強い。安倍第一次内閣はスキャンダルと辞任で倒れたので、二の舞になる可能性もある。
<別紙 3>
違憲に対して発信した緊急警告
緊急警告001号 高村自民党副総裁が暴言/護憲の法律家を「法匪」!
高村自民党副総裁はさる11月24日(火)、都内で講演し「国民の命を犠牲にしてまで、憲法9条2項を守れというような考えをしてはならない。そのような解釈をする人は法律家ではなく、憲法本来の目的を忘れた法律屋、法匪だ」と発言した。
これは見過ごすことのできない許されざる発言である。これは特別な条件(と政権や高村氏が考える)のもとでは、憲法は守らなくてもよいとする、あからさまな立憲主義の否定発言であり、「法匪」などという人権侵害の差別・蔑視発言だからである。
「国民の命を犠牲にしてまで」などと、憲法違反を指摘する法律家の誰一人として言っていないことを、あたかも言っているかのような言辞を弄して国民を欺こうとするものである。
「匪」とは悪者の意味で、戦前の日本は、日本の侵略戦争に抵抗する中国(満州)の民衆を「匪賊」と呼んで、侵略の本質をごまかした。
1938年、第一次近衛文磨内閣ブレーンの知識人グループ「昭和研究会」は日中戦争の性格づけについて、「戦闘の性質――領土侵略、政治・経済的権益を目的とするものに非ず、日支国交回復を阻害しつつある残存勢力の排除を目的とする一種の討匪戦なり」とした。
近衛文磨首相は「抗日の気勢」をあげる中国(支那)に対して「其の反省を求むる」ため「徹底的打撃を加」えると演説し(1937年9月5日、72議会)「満州国政府」声明は、「断固、実力で膺懲せん」と呼号した。
戦前の日本が、日本の侵略戦争に抵抗する中国(満州)の民衆を「匪賊」と蔑んだのは、その「討伐」「膺懲」「徹底的打撃」を正当化するためであった。侵略の本質の隠蔽である。
高村自民党副総裁は、「7・1閣議決定」および戦争法(安保法)という、きわめて明白な違憲行為をごまかすために、憲法違反を指摘する法律家を「法匪」と呼んで、問題の本質をすりかえようとしている。与党の要職を占める国会議員のこのよう発言は、憲法前文「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」および第99条国会議員の憲法「尊重擁護義務」に対する重大な違反である。
緊急警告002号 またしても憲法無視! 臨時国会召集義務違反
現内閣は、憲法違反の「安保法制」強行可決に続いて、またしても憲法無視の暴挙を行った。憲法第53条は、衆参いずれか4分の1以上の議員が要求すれば、内閣は臨時国会の召集を決めなければならないとしている。
昨年10月、時あたかも内閣改造の直後、野党5党はこの規定に基づき、「安保法制」強行可決、環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意や新閣僚の不祥事追及を目指し、臨時国会の開催を求めたが、現内閣は首相の外交日程や年末の予算編成を理由に応じなかった。
これは憲法違反の「安保法制」強行可決に対して盛り上がった国民の怒りを回避しようとするもので、憲法第53条が定めた内閣の臨時国会召集義務違反であり、国権の最高機関としての国会をも無視する、重大な憲法違反である。
政権側は11月に国会閉会中審査を2日間開いたが、これが臨時国会の代わりになるわけでは決してない。現内閣の立憲主義否定、違憲政治をこれ以上続けさせてはならない。
安倍内閣は今年の通常国会を過去最も早い1月4日に召集し、あたかも臨時国会不開催の穴埋めであるかのように装っているが、これは、選挙日程を睨んだ党略である。1月5日~12日に召集した場合、18歳以上に選挙権を与える改正公選法が適用されず、投票日も1日に決まってしまうのに対し、1月4日であれば、改正公選法が適用されるほか、投票日も6月26日、7月3日、10日、17日、24日の中から選択可能となり、さらには衆参同日選も可能になるという計算に基づいている。安倍内閣は、昨年の通常国会でも、違憲の安保法制が参院で否決された場合に備え、衆院の3分の2の賛成で再可決・成立させられる「60日ルール」を使えるようにするため(実際には参院で「可決」したため、適用されなかったが)、会期を95日という前例のない長期延長を行った。このように、党利党略のためなら、前例も慣習も常識を無視するばかりか、公然と憲法を無視する政治をこれ以上続けさせてはならない。
緊急警告003号 「ナチスの手口」、緊急事態条項の危険性
安倍首相は今年の年頭から憲法改定を目指す意向を繰り返し語り、その具体的項目の一つとして「緊急事態条項」を挙げている。自民党の古屋圭司改憲推進本部長代理も昨年9月30日、「本音は9条(改憲)だが、リスクも考えないといけない」ので、「大災害や他国からの武力攻撃の際、首相の権限を強化する緊急事態条項新設から着手したい」との本音を漏らしている。参院選で仮に改憲勢力が3分の2以上を占める事態となれば、真っ先に発議される改憲案は緊急事態条項の新設になることが予想される。ところが、自民党が2012年4月に公表した改憲草案の98・99条に規定された「緊急事態条項」(下記参照)を見ると、ヒトラーがワイマール憲法を骨抜きにして独裁権力を掌握するために成立させた「民衆および帝国の苦難を除去するための法律」(通称、「授権法」または「全権委任法」)とそっくりなのだ。安倍首相の盟友である麻生太郎副総理兼財務相は2013年7月29日、憲法改定に関して「ナチスの手口を学んだらどうか」と発言したが、安倍政権はまさにそれを地で行こうとしているのである。
福島みずほ議員は2016年1月19日、参議院予算委員会で、自民党改憲草案中の「緊急事態条項」について、「内閣限りで法律と同じ効力を持つことができるのであれば、これはナチス・ドイツの『国家授権法』と全く一緒です」と、その危険性を警告した。
具体的には以下のような危険性が指摘されている。
1.内閣総理大臣が、国会の審議・承認なくして「緊急事態」を宣言することができる。しかも「緊急事態」の要件は法律でいくらでも自由に決めることができる。
2.「緊急事態」が宣言されれば、国会の審議・承認がなくとも、立法権・予算編成権を内閣が掌握することができる。
3.国民のあらゆる基本的人権を内閣が制限することができる。
4.国民の選挙権も内閣が停止することができる。
5.これらの内閣に与えられた独裁的権限を阻止する手段を国民は持てない。
これは、現憲法に照らしてみれば、国民主権と基本的人権という民主主義の二大原理を圧殺するものであり、憲法前文(「これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する」)と憲法97条、98条1項に抵触する、憲法違反そのものである。
このように、大災害や非常事態への対処を口実とした「緊急事態条項」の新設は、権力を内閣に集中させて、人権保障を骨抜きにし、立憲主義と憲法そのものを破壊するものである。ナチスの国家授権法がワイマール憲法を破壊し抹殺した二の舞を避けるためには、「緊急事態条項」新設という改憲を絶対に阻止しなければならない。
【参考】(ゴチック化は編集委員会)
■自民党憲法改正草案(2012年4月27日決定)
第98条(緊急事態の宣言)
1 内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
2~4 略
第99条(緊急事態の宣言の効果)
1 緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
2 略
3 緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
4 略
■ドイツ国家授権法(=全権委任法、1933年3月23日成立)(括弧内の条文は要旨)
第1条 帝国の法律は、帝国憲法によってあらかじめ規定されている手続による以外に、帝国政府によっても決定されることができる。これは、帝国憲法第85条第2項(*1)および第87条(*2)に示されている法律についても妥当する。
第2条 帝国政府によって決定される法律は、それらが帝国議会および州代表協議会の構成それ自体を対象とするのでないかぎり、帝国憲法に違反することができる。帝国大統領の諸権限は従来と変わらない。
第3条 帝国政府によって決定された帝国の法律は、帝国首相によって認証され、官報で公示される。それらは、別段の規定がないかぎり、公示の翌日から効力を持つ。
(法律は、国会で定めるという憲法第68条の規定は、政府によって決定された法律には適用しない。)
第4条 (国内法との関連が生じる外国との条約の締結に当たっては、それに関する立法の権限を持つ諸機関の承認を得なくてもよい。)
第5条 この法律は、公示の日から効力を持つ。それは1937年4月1日をもって効力を失う。さらに、現在の政府が別の政府と交代するときは効力を失う。(*3)
注
(*1) 「国家予算は会計年度の初めまでに法律によって確定される」。
(*2) 「国債の発行および債権の引き受けは法律に基づいてなされなければならない」。
(*3) このように、形式上は4年間の時限立法の形をとっていたが、実際には4年後、さらに1941年までの4年間延長され、41年には再び43年まで延長されたが、43年には総統布告により無期限に延期され、第三帝国が崩壊するまで効力を持ち続けた。このことは、悪法はいったん制定されると、権力者に都合のいいようにいくらでも改悪されうるということを実例を持って示している。つまり、悪法に形式上盛り込まれた「制限条項」などほぼ無意味であることを教えてくれる。
緊急警告004号 日本政府、「表現の自由」特別報告者の訪日延期要請
昨年12月に予定されていた「表現の自由」に関する国連特別報告者による訪日調査が、日本政府の要請により、直前になって延期された。デービッド・ケイ氏は国連人権理事会で「表現の自由」問題を担当する特別報告者で、2013年12月6日に成立した特定秘密保護法の現状などについて調査するため、昨年12月1日から8日まで日本を公式訪問することが決まっていた。ところが、訪日予定日直前の11月13日になって日本政府が突然ケイ氏に訪問延期を申し入れたのである。政府は表向き、「ケイ氏の受け入れ準備が整っていない」ことを延期の理由に挙げているが、藤田早苗・英エセックス大学人権センターフェローによると、国連の公式訪問を政府が承諾した後でドタキャンするというのは極めてまれであり、「まるで途上国の独裁国家。民主国家ではありえない」と批判した。しかも政府は今秋以降の日程を提案したとされ、参院選前に批判的な勧告を受けたくないという意図が見え見えである。しかし、ケイ氏の訪日調査をドタキャンしたことで、「表現の自由」に問題性があることを日本政府が自ら告白したのも同然である。
そもそも、特定秘密保護法の成立前後には、情報公開に関する国際原則を定めた米オープン・ソサエティー財団が、同法を「21世紀の民主主義国家で最悪レベル」と批判声明を出すなど、国内外の人権団体や法律家団体・学者・作家・地方議会・国際機関等から「報道の自由を制約し、国民の『知る権利』を阻害する」といった無数の抗議声明が出されていた。ケイ氏の前任者であるフランク・ラ・ルー氏も同法案成立前の13年11月、「情報を秘密と特定する根拠が極めて広範囲で曖昧。内部告発者やジャーナリストに対して重大な懸念をはらんでいる」との声明を発表している。国連人権高等弁務官ナビ・ピレイ氏も翌12月2日、記者会見で「政府がどんな不都合な情報でも秘密として認定できてしまう」との懸念を表明、日本政府との対話を要望したが、結局、ピレイ氏と日本政府との対話は実現していない。
また、国際ジャーナリスト団体「国境なき記者団」が毎年発表する「報道の自由度ランキング」では、日本の順位は安倍政権になってから急降下を続けており、(民主党政権下の2010年の11位から)2013年には53位、2014年に59位、さらに2015年には過去最低の61位にまで低落した。同記者団は特定秘密保護法によって報道の自由が奪われたと指摘している。あらためて「特定秘密保護法」の違憲性を指摘しなければならない。
安倍政権下では、数々の報道圧力問題が明るみに出ているほか、言論・集会など「表現の自由」に関わる自主規制などの委縮現象が起きている。こうした中で明るみに出た今回の日本政府による「表現の自由」特別報告者の訪日延期要請は、安倍政権が、「表現の自由」(憲法21条)の「尊重擁護義務」(同99条)を果たしていないことを自己暴露したのみならず、国連憲章に定められた協力義務という「締結した条約」の「誠実遵守義務」(同98条2項)に違反していることも意味している。
緊急警告005号 日本政府、「ヘイトスピーチ」特別報告者の訪日延期も要請
国連人権理事会の「ヘイトスピーチ(差別憎悪扇動表現)」問題特別報告者であるリタ・イザック氏は昨年(2015年)秋、日本政府に公式の訪日調査を求めたが、政府から「16年秋以降でないと調整が間に合わない」と断られたことが明らかになった。これは、緊急警告004号で指摘した、「表現の自由」特別報告者に対する訪日延期要請と同様、都合の悪い調査結果が参院選前に公表され、選挙に不利になるのを防ぐためには、国連機関の訪日調査受け入れ義務をも平然と無視するという、日本政府の独善的な体質を改めて示したものである。前号で指摘したのと同様、「国際法規の誠実遵守義務」(憲法98条2項)の精神に反するのみならず、ヘイトスピーチの蔓延によって、在日コリアンらマイノリティの人格権(13条)や平等権(14条)などが侵害されている状況を暗に認めたものである。
イザック氏は2011年から国連理事会で「ヘイトスピーチ」問題特別報告者を務めており、昨年(2015年)3月には同理事会に「メディアにおける少数者に対するヘイトスピーチと憎悪扇動」と題する年次報告書を提出した。日本政府の訪日延期要請を受け、日本弁護士連合会の招きで今年1月23~26日の日程で来日したイザック氏は、同25日にシンポジウム「ヘイトスピーチと表現の自由」で講演した。イザック氏は日本政府に対し、引き続き訪日調査を受け入れるよう求めている。
日本については、2014年、国際人権B規約に基づく人権委員会と人種差別撤廃条約に基づく人種差別撤廃委員会がそれぞれ日本に対する総括所見を公表し、いずれも日本におけるヘイトスピーチの広がりに懸念を表明するとともに、法規制を含む対応強化を勧告している。
国際人権B規約は第19条で「表現の自由」を定めるとともに、第20条では民族的・人種的・宗教的憎悪の唱道を法律で禁止するよう求めており、マイノリティの尊厳を傷つけ、彼らの人格権や平等権を毀損するヘイトスピーチが「表現の自由」の埒外であることを明確に規定している。一方、人種差別撤廃条約は第4条で、締約国が、あらゆる形態の人種的憎悪及び人種差別を正当化もしくは助長する宣伝や行為を非難し、このような扇動または行為を根絶するため「迅速かつ積極的な措置をとる」ことを求めている。日本は1979年に国際人権B規約、95年に人種差別撤廃条約を批准しているが、未だに差別禁止の基本法もヘイトスピーチ規制法も制定しておらず、これらの条約上の義務に違反する状況が続いている。
完全護憲の会ニュース No.25 2016年 1月10日
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目次
① 第24回 例会の議事録 1p
③ 次の例会・勉強会のご案内 4p
別紙 1 政治現況報告 5p
別紙 2 事務局報告 7p
さる12月20日(日)、港区・神明いきいきプラザ集会室で第24回例会を開催、参加者13名。入会者 計46名。
第24回 例会の議事録(要旨) 2015年12月20日
大西編集委員が司会した。
1) まず岡部太郎共同代表(元『東京新聞』政治部長)からの政治現況報告(別紙1)があった。
この報告に対して、次の意見と質問があった。
田中)岡部報告に今年の主な出来事として、経団連の政治献金を加えたい。また自民党が先の総選挙では経済を優先して唱え、選挙後は戦争法の採 決を優先させたことを強調したい。
真田)安倍首相は憲法9条だけの廃止ではなく、憲法全体の改定を意図しているのではないか?
岡部)いまのところ刺戟の少ない民政部門から手をつけ、そのあと9条を含めた全体に広げる積もりだ。
2) ついで、違憲をめぐる現状について野村光司共同代表(パンフ『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)が、以下のように報告した。
○
安倍首相個人は日本の体制をトータルに戦前に戻したいと願っている。先頃、照屋寛徳議員から私宅に電話があり、「これだけ広範に体系的に書かれたのは、憲法関連の文献として最高に思う」と3月パンフを賞めていただいた。「広範に」とはわれわれがシングルイッシュー(単発)ではなくトータルに改憲勢力と対決していることであり、「体系的」というのは選択的ではないという意味に理解している。われわれは第9条だけでなく、全面的に現憲法を擁護している。今のところ右翼からの攻撃はない。自信をもって護憲活動を進めたい。
安倍政権の官邸機密費(特定秘密軍事費を含む)は「すべて毎年会計検査院がこれを検査し」(第90条)に反して秘密裡に使われ、使おうとしている。夫婦別姓訴訟に対する判決で最高裁長官は「夫婦同姓は定着している」と述べ、権力による違憲状況の定着を擁護している。安倍内閣の言う地方創生は、中央の判断に地方を従わせるものであり、憲法の「地方自治の本旨」に反している。こうした新たな違憲と慣行になっている違憲に対する批判を次々に発表してゆきたい。
3)そのあと福田玲三共同代表(事務局担当)から事務局報告(別紙2)があった。
上記テーマ1、2、3について次のような質問、意見があった。
S)安保法案(成立前)について、自民党と一部学者は、合憲であると主張していた。それなら彼らはもう今の憲法を改正する必要はないのではないか?
田中)来年参院選で多数を取ったら、自民党は「安保法案違憲と主張するうるさいやつらがいるから、主張の余地が無いよう改正しよう」と言うのではないか。その意味では彼らの主張は一貫している。
K)自民党の狙いは基本的人権条項の廃止であり、その本丸は「緊急事態の宣言」(自民党憲法改正案第98条)だ。これはナチスの全権委任法に似ている。残念だが、民主党も独自の緊急事態基本法案を公表している。来年夏の参院選直後の動きを注視し、警告を発すべきだ。
長坂)3点お訊きしたい。①安保法案成立で、「憲法(または立憲主義)が破壊された」と一部で主張されているが、どう考えるか?②憲法53条の規定による1/4以上の議員の要求にもかかわらず、安倍内閣は国会の召集を決定しないままでいる。③高村・自民党副総裁が、安保法案違憲を主張した学者を「法匪」と言う言葉を使って批判した。匪賊とは満州侵略のため、現地の愛国者を蔑んで使われた言葉だ。この高村発言は、新聞が1面トップで報じるくらいの大問題ではないか。
大西)自衛隊はいまだに専守防衛で相手より先に発砲できない。9条が生きている証だ。
野村)憲法は一字一句変えられないで残っている。聖書に、神が、散らばっている白骨に息を吹き込んで、生きた人間にした、という喩えがある。憲法の骨は一つも欠けていない。今のうちに息を吹き込むのがわれわれの仕事だ。
田中) 長坂さんの発言主旨は、「このような憲法違反に対して、会として抗議声明を出すなどの行動をすべきではないか」との提起ではないか?
K)本件についての意見を「緊急警告発信」として公表する際、福田原案の「3人ほどの委員会」で検討するのは、当事者の負担が重いのでは?
野村)3人委員会を作ることは認められない。
K)法匪発言は重大だ、これと53条関係の国会召集義務違反の2件をホームページのトップで発信すればいい。だが、共同代表者の一人から提起された「沖縄県民に独立の気概(云々)」のような意見を会の名前で公表するのは、極めて危険だ。沖縄でごく少数に過ぎない沖縄独立論を、憲法の観点から正当化しようとするのは、地方自治の主旨を誤解している。
野村)照屋議員も沖縄人は半日本人並みだと言っている、沖縄独立論は現地で3%から8%に増えており、独立論議はスコットランド、カタロニアなど世界の趨勢だ。
福田)小委員会の提案は取り下げる。編集委員間のメーリングリストで合意をはかる。
司会者)沖縄論議はここでは止めよう。ともあれ、編集委員会で検討したいので、長坂さんには、今の法匪提起を文章化してメールで送っていただきたい。
長坂)憲法は生きており、立憲主義破壊の安倍反革命は失敗している。
野村)実は裁判所が立憲主義を壊している。田中耕太郎最高裁長官の統治行為論が憲法を壊している。しかも、その田中・元長官が国の最高の勲章をもらっている。
大西)憲法は政府を縛るものなのに、統治行為論はすべての行為を政府に許している。
S)沖縄問題は歴史的に調べる必要がある。権力は差別を支配に使い、沖縄を本土と分けて差別している。沖縄が日本の平和を守ってきたと言われるが、敵は誰なのか?
野村)平和になると困る層があり、つねに新たな火種を探している。
4.当面の日程について
① 第21回編集委員会 1月13日(水)13:30~ 大阪大学東京オフィス
② 第2回総会兼第25回例会 1月24日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
③ 第22回編集委員会 1月27日(水)14:00~ 大阪大学東京オフィス
④ 第26回例会 2月28日(日)13:30~神明いきいきプラザ
⑤ 第23回編集委員会 3月2日(水)14:00~ 大阪大学東京オフィス
⑥ 第27回例会 3月27日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ
次の例会・総会・勉強会のご案内
日時 1月24日(日) 13:30~16:30
場所 港区・三田いきいきプラザ・「憲法研究会」
〒108-0014 港区芝4-1-17 電話03-3452-9421
JR 山手線・京浜東北線、田町駅西口から徒歩8分
地下鉄 三田線・浅草線 三田駅 A9 出口から徒歩1分
報告 1)政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
2)違憲の現状について 野村光司(「パンフレット」原案起草者)
3)経過報告・決算報告・会計監査報告・予算案の提案・共同代表と事務局員・会計監査委員の改選 福田玲三(事務局担当)
議事 1)2)への質疑・意見 3)諸報告の承認、予算の決定、担当者の選出
会場費 100円(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
(連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。)
お願い
「戦争法の廃止を求める統一署名」主催の実行委員会は署名者 2000万人の達成を4月25日締切で、目指しています。5人の署名欄が埋まりましたら、第1次として1月末までに当会あてお送り下さるようお願いします。(事務局)
「完全護憲の会」公式ホームページにアクセスして下さい。
トップに違憲性に対する緊急警告を発信予定。
ご案内
「7.1閣議決定」違憲訴訟のための第3回相談会。
1月22日(金)13:30~、神明いきいきプラザ「憲法研究会」。
主催・長坂伝八氏ほか 講師・野村光司
「21世紀懇リポート」研究会
1月30日(土) 14:00~ 、大阪経済法科大学6階B会議室 労働運動研究所研究会
(港区麻布台1-11-5 電話03-3582-2922 地下鉄神谷町、E1出口から、東京タワー方向へ徒歩3分左側)
<図書紹介>
内田博文著『刑法と戦争』(みすず書房刊)定価4,600円(本体)
「完全護憲の会」に相応しい名著です(推薦者 田中 伸)
松岡 肇著『日中歴史和解への道』(高文研刊)定価1,500円(本体)
著者は、いま話題の中国人強制連行・強制労働事件全国弁護団幹事長(推薦者 福田玲三)
<別紙 1>
政治現況報告 2015年12月20日
岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)
今年1年を振り返って、やはり集団的自衛権を可能にした安保法制(戦争法案)の強行可決・成立が一番大きかった。それ以外にも、原発の再稼働、沖縄辺野古の強制埋め立て、残業ゼロで非正規労働者を増やす労働者派遣法改正案の成立など、安倍政権の自由抑制・保守回帰そして立憲主義・民主主義の拒否、平和憲法違反などの時代逆行性が著しくなった一年だった。戦後70年の国民の平和への努力が危険な方向へねじ曲げられ、日本の将来の進路が間違わぬよう、来年は今年以上に安倍首相と対峙してゆく必要がある。
新年は1月4日から早くも通常国会が召集され、150日間の攻防が始まる。野党各党の臨時国会召集要求を全く無視するという憲法違反をやりながら、早期の召集を図ったのは、6月早期に国会を切り上げ、7月3日か10日に参院選を設定しているためだ。5月には日本の伊勢志摩で世界サミットがあり、予算を国民の歓迎する人気取り政策に集中、その効果のあるうちに参院選という狙いだ。
ただ一部にいわれる衆院選とのダブル選挙は(佐藤内閣、中曽根内閣で自民党が圧勝した)さすがに衆院選を2012年、2014年の12月と2年で解散しただけに、また2年もたたないうちに衆院を解散するのは難しいだろう。公明党もダブルには反対。
来年の参院選で自公連合が勝って、自民党が2/3以上の議席を確保すれば、憲法改正も現実のものとなるだけに野党としても、まさに正念場の選挙となる。
参院選は半数ずつ三年ごとの選挙なので、来年は2010年(平成22年)の参院選で当選した人の改選になる。この年は民主党の菅政権だが、菅首相が選挙直前に消費税を上げると明言、争点となって政権党であるにもかかわらず、54人が10人減って44人になった。逆に自民党は38人が敵失で51人と、13人も増えた。(定数242人、過半数122人)。その3年前2007年選挙では、民主が圧勝しただけに痛い敗北。
2013年参院選は、前年12年12月総選挙で自民が圧勝したあとだけに、自民が改選前22人を65人とほぼ3倍増して圧勝した。民主党は44人が17人と歴史的な惨敗、実にマイナス27人だった。特に地方区では自民が22人から47人(新人が8人)、民主は28人が10人(新人2)に減った。参院は地方区1人が多い。
野党としては統一候補以外に勝ち目はない。民主党岡田、維新の会松野の間で11日、来年通常国会での統一会派が決まった。(衆院)民主71、維新21、大阪17、(参院)民主59、維新5、大阪6。参議院の維新5は年内は統一せず、来年3月ごろの見込み。参院選はこの民主・維新グループに共産党が加わって選挙協力することになろう。
そのほか一月早々には沖縄・宜野湾市長選、北海道の自民町村前議長死去後の衆院補欠選挙がある。
ちなみに現在の衆議院の勢力分布は、自民291、民主71、公明35、維新21、共産21、おおさか維新13、改革結集4、生活の党2、社民2、無所属14、欠員1。
また年内に国民生活に大きな影響のある消費税の軽減税率が自公の税調で決まった。自民党は生鮮食品だけ4000億と主張していたが、公明が加工品も含むと強く主張、結局安倍首相が党税調会長を野田から宮沢にさしかえ、外食を除く、酒以外の食品加工品を含め、8%に据え置くことで妥結した。ただし1兆円オーバーとなる財源については2017年4月の10%増税までに結論を出すと、得意の結論先延ばし。また“もめそうだ”。
自民党がここまで公明に譲歩したのは、来年参院選で公明の選挙協力が絶対にほしいからだ。もし公明の協力がない場合、自民当選者は衆参両院で半数まで落ち込むといわれている。公明が政局のイニシアチブを握っている。
<別紙 2>
第24回例会 事務局報告 2015年12月20日
福田玲三(事務局)
1) ニュース24号への意見など(いずれも要旨)
珍道世直氏
完全護憲の会ニュースNo24はじめ貴重な資料をお送りいただき有難うございました。
また、事務局報告中で私の「閣議決定・安保法制違憲訴訟」提起のことをお取上げいただき心から感謝いたしております。2016年1月28日に、第1回口頭弁論が開かれることになりました。どうか引き続きご注視下さいますようお願いいたします。また、長坂伝八様らの違憲訴訟について、大きな関心を持っております。
Sさん(都下)
ニュースの送信ありがとうございました。先の例会の様子をありありと思い起こすような発言の記載は大変だったと思います。同じ方向を向いて集まったであろう人たちからあれ程様々な意見がぶつかり合うというのは痛々しくもありますが、世間に出ればもっと沢山の異論に打ちのめされる、その練習にもなっているかもしれないと思い、日々思考を続けようと思います。
辻元清美議員事務所
この度は御本を賜り誠にありがとうございます。ご芳情のほど厚く御礼申し上げます。拝読し、今後の活動に生かしてまいりたいと存じます。
2) 違憲性に対する緊急警告発信について
立憲主義の崩壊か再構築かの岐路に立つ来年夏の参院選を控えた情勢のなかで、微力ながら当会の発信力を加速して、これに対応するため、次の方式を事務局として提案します。
現政権がつぎつぎに発表する違憲の政策に即時に対案を示し、また最近の政治問題に対するわれわれの見解を逐次発表するため、当会のホームページのトップで、これらの対案、見解を緊急発信する。そのためには3人程度の小委員会をもうけ、ここで発信文案を起草し、文案に対する全編集委員の合意をメーリングィストによって求め、合意の得られたものから逐次発信する。この発信文は事後に例会の討議を経て公式文書となり、これを集成してリーフレットあるいはパンフを作成し普及する。
緊急警告発信の1例
違憲性に対する緊急警告(仮称) 01号
(一億総活躍)
「(戦前)日本を取り戻そう」の政策のうちで、「一億」と言えば「国民一人残らず」の含意があり、「一億一心」、「一億玉砕」、「一億総動員」、「承詔必謹」、「官民一致」が政府から求められていると解せられる。すなわち、「一億一致して、戦争法案反対に立ち上がってくれ」ではなく、「政府、首相が指導、要求するところには、一人の抵抗も許さず、一致して従い、行動せよ」に他ならない。「(大政翼賛)」日本の取り戻し」が企図されているものと解する。
現政権は、思い付きで種々の干渉を国民に加えてきている。政府が法律に根拠なく、「行政指導」の圧力を加えてくることは、刑法の「職権乱用罪」に相当するものであって、憲法第12条の要請もあって、抵抗してゆかねばならない。国民はそれぞれ個人の創意工夫において活動すれば足りるのである(第13条「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求の権利は、国政の上で最大限の尊重を要する」関連)。
(自衛隊員の海外出兵)
兵士として戦場で敵兵と殺戮し合う業務は、人間世界最悪の「苦役」であり、本人の意に反する徴兵制度を導入することは、本条がある限り不可能である。
現自衛隊員は、日本国土防衛のためのみに軍務に服することに同意したもので、憲法に規定に違反した海外派兵の軍務には同意していない。したがって自衛隊員は、新たに海外での戦闘にも従事するには、その同意をしなければ派遣されることはない。命令があれば当然、派兵で実害を被ったとして、違憲、違法の訴訟の対象となる(第18条「その意に反する苦役に服さない」関連)。
(公の施設利用に思想上の制限はしない)
自治体の公民館の利用について、政権批判の集会に対して「政治的」を理由にこれを拒否する例が散見されるが、地方自治法10条2項の定める通り、住民は自治体の「役務の提供をひとしく受ける権利を有する」のであって、思想の内容によって制約を課するのは違憲である(第21条「一切の表現の自由は、これを保障する。検閲はしてはならない」関連)。
この発信を継続することにより、状況に対応しつつ、当会の発信力を徐々に強めることを目指します。
3) 2000万人 「戦争法の廃止を求める統一署名」について
この署名用紙はすでに御配りしてあります。署名は4月25日締切、5月1日の発表をめざして取り組まれています。戦争法廃止を決する来年夏の参院選をめぐる情勢は楽観を許さず、2000万人署名の達成がその成否に大きく貢献します。立憲主義の命運もこの選挙にかかっています。時期を失せず活動を始めましょう。5名の署名欄を埋めた用紙は当会あて送って下さるよう御願いします。
4)ニュース
① 明治大学のシールズの一員、S・F氏にパンフへの注文をシールズ内でとり、発注していただくよう依頼した。
② 注視すべきは、戦後70年に当たっての安倍談話ではなく、その下書きになっている「21世紀懇リポート」(8月6日公表)である。この立場に立ったシンポジュームが労働運動研究所などによって計画されている。(1月開催予定)
5)当面の日程について(略)
完全護憲の会ニュース No.24 2015年12月10日
連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話・FAX 03-3772-5095
Eメール:kanzengoken@gmail.com
ホームページ:https://kanzengoken.com/
目次
① 第23回 例会の議事録 1p
③ 次の例会・勉強会のご案内 6p
別紙 1 政治現況報告 8p
別紙 2 事務局報告 10p
さる11月22日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で第23回例会を開催、参加者19名。入会者 計46名。
第23回 例会の議事録(要旨) 2015年11月22日
草野編集委員長が司会した。
1)まず岡部太郎共同代表(元『東京新聞』政治部長)からの政治現況報告(別紙1)があった。
2)ついで野村光司共同代表(『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)が『日本国憲法が求める国の形』追加項目(試案)<ニュース前号に掲載>について、以下のように討議を求めた。
○
政府・自民党は安保法制を可決させた。彼らの意図は戦前の日本を取り戻すことであり、現憲法の縛りを無効にすることだ。彼らの提出する法案の8、9割が国会で通っている状態だ。
これまで当パンフを政党やマスコミに送り、友人、知人にも渡したが、これにたいする反論は今のところ出ていない。政府・自民党の新しい違憲の政策にたいする反対の見解を次々に自信をもって発表したい。
焦眉の問題が次々に発生している。沖縄・辺野古の事態、国会議員4分の1以上による国会開催要求、中国を仮装敵国にした首相の外遊と資金のばらまき、これにたいする会計監査院の無能、言論統制をめざして総務省がNHKに厳重注意するという権力乱用、地方創生を名目にした補助金による中央統制、猛烈な勢いで広がっているこれらの政策の違憲性を緊急に指摘したい。
当会の最終決定は例会で行われるが、その準備をする編集委員会にもぜひ参加してほしい。私たちの追加の見解はまずマスコミ、政党、外国大使館を対象に伝達したい。
3)そのあと福田玲三共同代表(事務局担当)から事務局報告(別紙3)があった。
上記テーマ1、2、3について次のような質問・意見があった。
●Sさん)拉致問題に関して。小泉政権が日朝平壌宣言を交わし、拉致された蓮池さんたちが帰国できたのだが、約束通り帰さなかった。それまでの生活で積み上げた何もかもを置いてきた。横田めぐみさんが帰ってこられないでいるが、横田さんは子どももいると言われている。蓮池さんたちのように一度帰国したら戻れないようでは、生きていたとしても帰れないのではないか。
● 野村)現安倍首相が官房長官のとき日朝両政府間の約束を破って、日本に帰国した被害
者を朝鮮に帰さなかった。憲法には出国の自由がある。阿倍はこれで出世した。日本には戦争中朝鮮人を強制動員した過去がある。核開発問題で国連が北朝鮮に貿易制限をかけたが、日本は万景峰号の寄港、マツタケなど全部止めてしまった。蓮池さんたちの問題では、私は政府間の約束通り彼らを一旦北朝鮮に戻すべきだと主張し、パンフレットへの掲載を求めたが、この部分は編集委員会で止めら削られた。
●岡部)北朝鮮は拉致問題を再調査すると言ったが、進まなかった。外交問題は相手を説得できなければうまくいかない。その努力が足りない。
●野村)拉致被害者には両国通行認めるべき。日朝共同宣言は守るべきだ。
●S氏)横田めぐみさん問題は人権の問題なのに国の面子の問題にされている。拉致されたことは国の防衛問題でもある。
●Kさん)拉致問題は人権の問題でありながら政治的なカードとして使われている。ISにとらわれて殺された後藤さん、湯川さんの問題も安倍政権が政治利用した。いま行われているISに対するアメリカの空爆も公式報道を鵜呑みにできない。
●S氏)野村さんの追加項目、よくわからない。パンフレット「日本国憲法の国の形」の追加項目というのは必要ない。
●川本)伊藤真弁護士はじめ多数の弁護士が安保法制問題で差し止め請求の裁判準備中。これを完全護憲の会ホームページブログに載せた。
●N氏)何を差し止めるものなのか。
●川本)集団的自衛権行使の差し止めと武力行使と一体となる駆けつけ警護の差し止めだ。
●野村)追加項目は私の意見としてだしている。皆さんも出してほしい。
●S氏)追加項目というかたちで出すということがおかしいと思う。
4)パンフ「追補版」(リーフレット形式)に取り入れるテーマ・憲法条項について
① 野村「追加項目(試案)」からの編集委選択条項提案(別紙)
② 第22回例会で出された優先的検討テーマと憲法条項提案(別紙)
この2件についての質疑・討論
●S氏)われわれは差し迫った問題で緊急提言をすべきであり、パンフの追加項目作成に終わってはならない。パンフレットの9条、国連軍の提起はおかしい。
●草野)私たちは憲法専門家ではないのだから、素人意見でよいのではないか。
●野村)政府から手当を受けている諮問委員会の委員や政府の指名をうける最高裁裁判官は、政府へのゴマすり見解をだすが、われわれは憲法に基づき政策を批判する。
●Knさん)憲法の解釈論と政策論は分けるべき。違憲の指摘は条文順ではなく、テーマ別がよい。
●後藤)素人集団がこのような憲法解釈のパンフを出すこと、意味ない。私もそんなことに時間費やすことしたくない。このパンフの3ページにも書いているように、現状が憲法から「曲がりに曲がっ」ているということは、憲法が実現されていないのだから、完全護憲の会というなら、憲法に書いてある通りにやらせるような活動をすべき。沖縄問題も基地問題だけではない。地方自治の問題でもある。
●野村)われわれは憲法に基づく原理主義運動をしている。現憲法がいかに素晴らしいかをお示しする。マルチン・ルターが「聖書にかえれ」と言って宗教改革をなしたように、トーマス・ペインがコモンセンスを書いてアメリカの独立の機運を作り上げたように。
●Knさん)その原理主義、それが間違っているのではないか。野村さんの解釈は正しいのか。
●川本)野村さんの原理主義に基づいてパンフレットを作った。これが世の中に大きな影響を与えることはない。これとは別に新しく集まった人たちがやりたいと思うことやるべきだ。 新しく集まった人には追補版に抵抗があるのではないか。
●後藤)追加のパンフレットを作ることに何でそんなに時間をかけるのですか。送ってもらった追加文書は長く、とても読む気がしない。こんなことで私たちの時間とエネルギーを浪費させないで欲しい。むしろ、完全護憲の会として集まってきた意義があるのだから、そこに焦点を当てて、世の中にアピールできることを追求すべきだ。
●Knさん)追加文書の沖縄問題、私が沖縄県民だったら血の涙を流します。なんで独立なんですか。護憲の会を名乗って沖縄の人たちを否定するようなこと許されない。独立論は地方自治と逆ベクトルだ。
●後藤)地方自治の問題は沖縄の問題だけではない。大阪もそうだし。国民と住民は違う。自治とは直接民主主義だ。
●野村)私の憲法上の地方自治は明確。地方自治はぜんぜん実現されていない。
●T氏)いまの議論に関連して朝日新聞11月18日の天声人語が触れているので紹介したい。
●稲田)沖縄の独立を決めるのは沖縄の人々。ヤマトンチュウが言うことではない。ヤマトンチュウにやることがあるとすれば、沖縄に集中している米軍基地を本土が引き取ることだ。
●Kさん)沖縄の民意は選挙で示されているのに訴訟合戦になっている。今は何を指摘すべきか検討する必要がある。
●後藤)ここは沖縄の現実をどうすべきか論じるところではない。いかに日本国憲法からはずれているかである。名護市に払わなければならない金を三つの区に払うなんて。憲法の踏みにじられ方が異常。
●Kさん)地方自治は札束でたたかれている。国策的なものは、沖縄だけでなく原発問題も含め全部同じパターン。
●岡部)沖縄問題は、ある意味で護憲の問題と根本は一緒だと思う。沖縄は始めから日本国憲法から除外されている。悪いのは内地のわれわれが沖縄は別だと思っていることだ。
●S氏)パンフの内容がいいから集まってきたのではなくて、現状に危機感があってのことだ。
●川本)そうなんですよ、実際は。野村さんは自分の意見を変えてもいいとおっしゃるが、あれだけの大量の文章をホームページにあげますと、それが護憲の会の見解と受け取られる。みなさんが誤解すると思う。
●野村)まだ決定でないものをホームページに載せることがおかしい。村個人の試案なのだから。皆さんも出してください。たたかれるのを覚悟で。
●Kさん)そもそも編集委員会できちんと読む暇もなく出されてしまう。後藤先生に言わせると無駄なことなのかも知らないが、いま時局に適した、これほど憲法が踏みにじられている現実を特別号にまとめて出したらいいのではないかと思う。
●後藤)いまKさんが言われたようなことをこの場で議論しようと思ったら、永久に出ないと思う。私はここが自由に意見を言える場なんですよ、ということが大切。何かを決めたり何かを決議したりする場でない方がいい。Kさんが考えていることと私が考えていることが違ってもいい。
●Kさん)この場は憲法の問題について自由な議論、意見交換ができればいいと。出版なんかしなくていい、時間の無駄と?
●後藤)出版を目的として中身をあとから考えるなんて本末転倒と思う。活発な討論ができれば本なんかできると思う。
●福田)緊急の問題についてその仕方ですが、特別号を出すのか、ホームページに出していくのがいいのか。具体的にはどうすればいいのか。
●川本)ここで話し合ったことから何かまとめることができれば、あとでホームページ載せることができるし、パンフレットにすることもできる。多分、ここに集まった皆さんが今日は勉強になった、自分にとってプラスになったと思えることが大事で、その結果が何かにまとめられればいいのかな、と思う。
●野村)さっきのホームページの件、私の意見を護憲の会として出したのか。
●川本)そうではなく野村案として出るんですけれど、あれだけ大量の物が上がっていると共同代表の出したものですのでこの会の見解ととられる。
●司会)ホームページに試案が載るっているのは削りましょう。
●大西)前回なぜ配付しないんだ、と言われたので、あわてて配布した。ニュースに試案が載るので、それがそのままホームページに載ってしまった。
●稲田)会員に対して配るのは問題ないと思う。ホームページへの掲載はやめるべきだ。
●大西)後藤さんの意見にもあったように、ここの会議で出版物をまとめるのは無理がある。とりあえずここで出た意見を編集委員会でまとめ、本にするかどうかの判断を編集委員会にまかせてもらったらどうか。ここは自由な議論の場に集中して。
●Sさん)沖縄の問題、私は野村さんの意見に近いのかな、と思う。野村さんは沖縄が独立した方がいいとは言っていないと思う。沖縄の歴史を考えると特に。戦後の天皇の沖縄に対する対応も含めて。翁長さんは日米安保体制は否定しないというが、私は安保体制というものを考え直さないと解決しないと思う。
●S氏)戦後日本が平和だったというところがボケていると思う。憲法は実現されず、むしろ否定されてきたと言える。朝日訴訟のように人権が否定されてきた。ある程度恵まれた人が平和だったと思っているのだ。
●後藤)沖縄の問題にしても朝日訴訟にしても、全く事実をふまえて議論がされていない。朝日訴訟は食っていけないということではなく、彼は結核の療養において一日に使うチリ紙なんかを制限されることに対して訴訟を起こした。それから沖縄は日米安保体制の問題をからめたら、今のままでいろ、ということになってしまう。それに対して基地を本土がひきとるべき、そうすべきでない、との議論が出ているが、そういうどうすべきかということは政治の議論なんです。皆さん事実を知らないところで議論していることに危機感を覚える。
●N氏)7.1閣議決定違憲訴訟をやりたいということで取り組んでいる。一昨日、第1回相談会をやりました。例会に参加させていただいて大変勉強になっている。会の運営はこの会の創始者である野村さんの意見に従ってすすめるのが一番いいと思います。次回相談会は12月18日(金)です。よろしかったらご参加ください。
●稲田)会のメーリングリストを提案させていただきました。いくつか問題点があるようですが、議論の不足を補うために是非これを使ってみては、と思います。
(まとめ)
●司会)会の方向をめぐって様々な意見が出され、この場でそれをまとめるのは難しいので、編集委員会でさらに討議させてほしい。パンフの追加項目(試案)にさまざまな批判が出されたが、できれば対案を用意してほしい。なおパンフ『日本国憲法が求める国の形』に予備があるので、この普及を会員に要請したい。
次の例会・勉強会のご案内
日時 12月20日(日) 13:30~16:30
場所 港区・神明いきいきプラザ・「憲法研究会」
〒105-0013 港区浜松町1-6-7 電話03-3436-2500
JR 山手線・京浜東北線、浜松町駅北口から徒歩4分
都営地下鉄、大門駅A2 出口から徒歩4分、B1出口から徒歩3分
報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
違憲の現状について 野村光司(「パンフレット」原案起草者)
事務局報告 福田玲三(事務局担当)
討議 報告および提案への質疑、意見
会場費 100円(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
(連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。)
お願い
「戦争法の廃止を求める統一署名」用紙を同封します。
「統一署名」主催の実行委員会は署名者 2000万人の達成を4月25日締切で、目指しています。5人の署名欄が埋まりましたら、第1次として1月末までに当会あてお送り下さるようお願いします。(事務局)
ご案内
「7.1閣議決定」違憲訴訟のための第2回相談会。
12月18日(金)13:30~、神明いきいきプラザ「憲法研究会」。主催・長坂伝八氏ほか。
<別紙 1>
政治現況報告 2015年11月23日
岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)
本来なら10月から1月にかけては、例年、臨時国会の季節である。しかし安倍首相は外国訪問と予算編成があるという理由で衆参両院野党の国会召集要求を拒否、これは憲法53条の「4分の1以上の要求があれば内閣は召集しなければならない」に反する憲法違反だ。
予算編成は戦後70年、年末にどの内閣もやってきたことで理由にならず、外交日程も調整すればすむこと。安倍首相は何故か外遊好きで、この三年弱で63カ国を訪問、国民の税金を経済協力という名目でポンポン訪問国に大盤振舞いしている。増税分もほとんど食われている勘定。それなのに最も重要な東アジア外交では、中国、韓国、北朝鮮の三国を公式訪問しておらず、朴槿恵・韓国大統領とも、この11月に初めて会談した。これも従軍慰安婦問題で外務省間で検討することを決めただけで、何の進展もなく、米国から言われたから会ったという感じ。中国・習国家主席とは国際会議で握手しただけで、十分な会談も行われていない。安倍首相のいう危機管理や積極的平和外交はどこへいっているのか。日本にいるのが嫌で外国を回っている印象が強い。
臨時国会を開かなかったのは、小泉内閣で二度あるが、これは選挙のあとで特別国会を開いたという理由があり、安倍首相の安保法制やTPP、沖縄、原発、スキャンダルなど、野党に追及されるのが嫌だから、というのは理由にならない。
こんなわけで、中国・台湾両主席の66年振りの握手やパリでのISのテロ事件など、外国が騒がしいのに比べ国内政治は全く静かなものだった。
その中で自民党は11月15日、保守合同・結党から満60年を迎えた。昭和30年、吉田自由党と、日本独立で追放解除になった鳩山民主自由党が合併した。
敗戦の日本は、戦後、外交官だった吉田茂が自由党総裁になり、GHQのマッカーサー司令部と話し合いながら、戦後日本のカジを取って来た。英国大使だった吉田は、自由や民主主義をよく理解しており、保守というより中道路線で復興に当たった。そこへ日本が独立し、戦後、公職追放された政治家が政界復帰。昭和30年ごろは鳩山、岸、石橋など追放組の勢力が強い中で保守合同が行われた。
そのため新自民党の総理・総裁は、鳩山、石橋、岸(外相)と鳩自の右寄り系列の就任が続く。しかし日米安保条約の改正をめぐる混乱で岸が退陣すると、吉田派の池田勇人さらに佐藤栄作(足かけ10年・岸の弟)、田中角栄、三木武夫と中道右派系が続く。このあとを岸派の福田赳夫が継ぐが、大平正芳、鈴木善幸と池田派宏池会が続き、中立系のタカ派中曽根康弘。このあとは1、2年の乱立で竹下登、宇野宗佑、三木派の海部俊樹、宏池会の宮沢喜一、橋本竜太郎、小渕恵三と中道首相が続いた後は福田派の森喜郎、小泉純一郎(五年)、安倍普三(一次)、福田康夫、麻生太郎と右寄り首相が続いた。
この間、宮沢首相の時に野党七派連合の細川護煕連立内閣が成立したが、醜聞で一年で退陣、麻生の時に選挙で大敗して初めて民主党が政権を取り、鳩山、菅、野田首相で三年やったあと、安倍が自民党で返り咲き、現在に至っている。自民党はこのように吉田系のハト派と鳩山系のタカ派が同一党派(八大派閥)で右と中道で政権交代を果たし、この60年のほとんどを政権党として日本の政治を担って来た。時によって国民の不満や要求をうまく吸い上げ政権交代のキャッチボールに成功して来たといえるだろう。
ただ安倍首相のように、極端な復古主義、タカ派体質で内閣主導の安保法制、集団的自衛権を進めた首相は初めてであり、小選挙制や二、三世議員の当選の弊害が現われており、日本の政治や社会を暗くしているといえる。
国連の表現の自由担当ディビッド・ケイ氏が月末に来日、特定秘密保護法などの調査を予定していたが、日本は予算編成を口実に延期させ、来年の秋、参院選後を示唆した。日本の報道の自由度ランキングは1998年に11位、今年は61位に下がった。政府の報道に対する圧力が強まっている。
<別紙 2>
第23回例会 事務局報告
2015年11月22日
福田玲三(事務局)
1) ニュース23号への意見など(いずれも要旨)
*珍道世直氏 完全護憲の会ニュースNo23お送りいただき有難うございました。また、事務局報告の中で私のコメントをお取上げいただき、感謝いたしております。貴重な内容の資料、熟読させていただきます。
なお、「違憲立法」に関する訴訟の件でございますが、私は、「違憲な閣議決定」から「違憲な安保法制」が発出・公布されたと受け止めております。しかし、「違憲立法」に対する訴訟の動きが、全国的に鈍いように思われます。弁護士など専門家は、「法施行後」の2016年3月以降の提訴を検討していると思慮いたしておりますが、私はそれまでの間、動きを止めるのではなく、司法に対しても「違憲」であると言い続けていくことが必要だと考えております。
過去に社会党が、「裁判所法改正案と違憲裁判手続法案」を上程し廃案となりましたが、
この法案に、「訴えの期間としては、法律の公布日から」と規定されていたこともあり、
「施行」を待たずに「公布」の段階の今、この時に、「九条の会・津」の訴訟支援を得て
「閣議決定・安保法制違憲訴訟」提起することといたしました。
明日 11月16日(月)に「津地方裁判所」に提訴し、同日午前11時30分から司法記者クラブで、「九条の会・津」代表と共に記者会見させていただくことになっております。
「記者クラブ提出用資料」をご参考までに添付でお届けいたします。
どうか、「閣議決定」の際と同様、ご注視くださいますようお願い申し上げます。完全護憲の会が、その使命を果されますよう願っております。
*W氏(鹿児島県) ニュースNO.22の中で二、三点違和感というか疑問のある箇所がありますので、記させていただきます。
① 9頁別紙2-2第2項に現行建国記念日の改定とありますが、正しくは建国記念の日ではないでしょうか。かつて紀元節派と反紀元節派の間で激論が交わされた折、「建国記念日」では神話を歴史的事実ととらえることになり、あくまで単に建国を記念する祝日である「建国記念の日」に落ち着いたと言われています。つまりは妥協の産物なのでしょう。
② 11頁第10条の中に「混血児」という表現があります。いかがなものでしょうか。血が混ざる、血が混ざらない、万世一系を念頭に置いているとは思いませんが、今日では適切な表現とは思われません。もちろん母と父の血が混ざって子どもが誕生するとはとても科学的にはあり得ないことです。
③ 天皇制について 先月川内博前衆議院議員の講演があり参加したところ、「天皇陛下」「天皇陛下のお言葉」「天皇陛下が戦争を終わらせた」「秋篠宮さま」等連発するので、余計なことと思いつつも講演後「実は私は改憲論者である。真の『共和制(国)憲法』を作りたいと考えており、そのためには現憲法の天皇条項第1条から第8条をばっさり削除したい。主権在民の観点から現憲法に置ける天皇制についてどのように考えるか」と質問した。ここでは川内氏の説明は省きます。また貴会が完全護憲の会ということなので、天皇制に関する私の個人的見解は留保させていただきます。
以上三点について貴会内部で検討或いは一考していただければ幸いです。
*T氏(神奈川県) 私が4月に初めて例会に出席いたしました時と今日とでは本会は若干方向がずれてきているようで気になっております。「無位無官の市民であり、学者でもない」ものにとって、あまりにも話の内容が細かすぎて、重箱の隅をお互いにつつきあっているようで息苦しく感じます。あくまでも素人の集まりなんですからもう少し素人らしい発想の意見交換にすべきではないかと思います。他にも、護憲派の皆さんの使う言葉の難解さも問題ありと思います。特にカタカナ語です。
たとえば、10/19に行われたどこかの大学教授の講演会ですが題が「野党はオルタナティブを提示できるか 路上から議会へ」というものです。私は憲法のことを学ぼうと思っている一人ですからこういう記事も目に入りますが普段からまるで他人事のようにしている人は、まず注目しません。万が一見ても「なんのこっちゃい」と無視して意識を次へ移してしまいます。
その一方で「日本を取り戻す!!」なんて書いてあれば「えっ、日本は誰かにとられてたの? そりゃあ取り返さなくちゃね」なていう風にしてそちらに注目することになるというわけです。「野党は代わりの案を示せるか」ではいけないんでしょうか。これならば続きを読んでくれるかもしれないじゃないですか。
パンフレットの解説や設立趣意書の文言も話題になっているようです。私はパンフレットも設立趣意書も一言一句直さないでほしいと思っています。特に趣意書は設立者が会を設立するにあたっての思い入れを書いたものですからこれをいじる意味が解りません。と同時にパンフレットの内容もそのままにして、書き加える必要がある場合のみ、追加すれば良いのではないかと思います。本文をいじるとどこかにつじつまが合わないところが出てくるものです。
今日、専門家あるいは当事者に来てもらってはどうかという提案がありましたが私は反対です。私は文字通り素人ですからそんなに掘り下げて憲法を勉強したくはありません。
世の中には色々な分野があります。私は私の専門分野に100%エネルギーをつぎ込みたいし、皆さんもそうすべきと思います。
素人中の素人ですが素人の中では私なんかまともな方です。この私よりも更に無関心な人が世の中の多数であることを意識してください。その「多数」は自分が戦争法に賛成している方に数えられていることも知らないでいるわけです。なんとかその人たちの目を開かせてあげられるような会にしてください。解りやすい言葉で。
*Sさん(都下) 先日の例会及び編集委員会に参加して感じ考えたことをお伝え致します。
まず私が確認したい2点とそれに関すると思われる会員の発言をいくつか挙げさせていただいた上で、私の感想を述べさせていただきたいと思います。
①野村さんが「急いでいる」と委員会の初めにおっしゃった意味 ―― 工程表の目的
②新聞の写真のこと(T氏) ―― 写真の宣伝効果
①について
・野村さん「完全護憲の会はシンクタンク、素材の提供をする所であり政治活動はしない」
「安保法を裁判で争うのは無理」「まったく正しい」
T氏「パンフレットも設立趣意書も一言一句直さないでほしい、いじるとどこかにつじつまが合わないところが出てくる、素人なので憲法を掘り下げて勉強したくはない、話の内容が細かすぎる、無関心な大多数の人にもわかりやすい言葉で」
i氏「月1回の例会では、補遺集に何を盛り込むのか、その内容をどうするかまで話し合う には時間が足りない(メーリングリストの提案)」
川本さん「あの冊子を作る時の一つ一つのやりとりはすごく大変だった(考えの相違)」
Kさん「(野村さんの補遺について)喫緊の問題として安保法に関係する条文を取り上げるが内容は検討が必要」「自分が提出した発言もボツになる」
以上のご発言から改めて考えますと、個々の条文や問題について改めて統一見解を出すことはないのではないかと思いました。冊子(国の形)は専門家でなく市民の出したものという所に意義があるのであって、だからこそ考えの違いもぶつかり合うし憲法に対する意識も高められるわけですから、それこそがこの会の存在価値なのでしょう。つまり、最初に出された冊子は大体の賛成による見解?であって、その他の見解??…があってもよい、それをメーリングリストで挙げていく試みを行うということですね。I氏の11/1付けの疑問は納得出来る部分が多く勉強になりますし、とは言っても野村さんのご意見であれ、I氏のご意見であれ、私とは異なる所はありますので。(以前私も冊子についての意見ということで、わかりやすいのは条文順か項目ごとかということを軽々しく言ってしまいましたが、皆さんの話を聞くにつれて頭が整理された結果、話の内容が先にきて条文は後にくるというのは無理があると思いました。そうすると見解がまとまらない限り形にできなくなるか異論が散らかってわかりにくいものになるからです。)その上で安保問題などの優先事項についてはわかりやすくまとめていこうということで一致したと理解いたしました。
②について
後藤さん「こっち側の人達はそんなことばかり言ってるから嫌がられる、人が喜んでることは素直に喜べばいい」
野村さん「どんな写真を掲載するのも表現の自由の問題」
T氏の発言は、2014年末に衆院選に際し自民党がマスコミに対して異例の中立要請をしたことにも関わる大事な問題提起だと思います。自民党の宣伝は良く、他は中立を損ねるからダメだというのは全く論理が成り立たず、これは、憲法21条の検閲の問題に関わるのではないでしょうか。中立の名において政権に有利な情報に多く接することは国民が常に知る権利を奪われた状態にあると言えます。自民議員のマスコミを懲らしめる発言についても、”表現の自由をなくすべきだ”などという表現の自由は認められません。
以上、気になった点を述べさせていただきました。
あと一点気になることがあったので付け加えさせていただきます。
③コンピューターの使用について
S氏「メールを使わなければやれないと最初からわかっていれば入会しなかった」 ・福田さん「メールをやってない会員が半数くらいいる」というようなご発言があったように思いますが、これについては、コンピューター環境の有無だけでなく使用不使用も個人の自由ですし、コンピューター使用が前提のような会の運営になってしまうと、せっかく心あって集まられた方のお気持ちが離れるようで残念ですので、メーリングリストでのやりとりが会の中心になってしまう事にはならない方がいいと思いました。
*I氏(都内) 私は「完全護憲の会」について、ようやく少しわかりかけてきた程度の者ですので、わたしごときの発言で貴重な例会の時間をつぶしては申し訳ありませんので、あまり発言しませんでしたが、やはり月1回の例会では、補遺集に何を盛り込むのか、また、その内容をどうするかまで話し合うには、時間が足りないようにも思いました。そこで、時間の不足を補うため、また、東京の例会に出てこられない方のご意見を直接伺うための場として、メーリングリストを作成するというのはいかがでしょうか? メーリングリストを使えば、会員同士の意見交換がスムーズに行うことができるのではないかと思います。
例えば、野村さんの補遺集案もメーリングリストに投稿して頂ければ、それに対して、他の会員の方が意見を述べたり、これは重要な問題なので、次回の補遺集で是非取り上げようとか、これはもう少し後でもいいのではないかといった意見を出すこともできますし、もちろん他の方も自由にご自身の補遺案を出すことができると思います。
また、外部の方からの意見に対して、編集委員の間で見解が分かれるような場合(例えば四国のSさんのご質問など)も、メーリングリストで広く一般の会員から意見を募ることもできるのではないでしょうか。
*大西編集委員 この度、会員のIさんの提案より、メーリングリストを開設しました。メーリングリストは、他のジャンルで以前より利用させて戴いていますので、私が担当することになりました。
メーリングリストは、会員相互の意見交換を主目的にしていますので、参加は完全護憲の会会員に限定されます。こちらから参加をお願いする場合は、参加の確認をお願い致します。登録された方以外からの参加要請や投稿は管理者の承認が必要です。
第一弾として、編集委員とI氏に参加をお願いしています。
また、サブの管理者としてI氏と編集長の草野さんにお願いしたいと思っています。
*I氏(都内)
完全護憲の会ホームページ「憲法関連資料2」に以下の資料またはリンクを追加致しました。安保関連法など追加すべきものはまだまだあるかと思いますが、徐々に増やしていければよいかと思っております。
1.サンフランシスコ講和条約(日本国との平和条約)2.日韓基本条約 3.日中共同声明 4.日中平和友好条約 5.日華平和条約 6.日ソ共同宣言 7.大西洋憲章 8.カイロ宣言 9.ヤルタ協定 10.降伏文書 11.旧・日米安全保障条約 12.日米安全保障条約 13.人種差別撤廃条約 14.女性差別撤廃条約 15.子どもの権利条約 16.難民条約 17.難民議定書 18.障害者権利条約 19.日本国憲法の誕生(国立国会図書館)20.ミネソタ大学人権図書館 21.裁判所
2) ニュース
文芸評論家、加藤典洋氏がさる10月、新著『戦後入門』で新9条案を提起している。その内容は、陸海空の戦力の一部を国土防衛隊、残りを国連の待機軍とし、交戦権を国連に委譲する、というもの。氏の立場は9条の改正であり、われわれと全く異なるが、発想は似ている。
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完全護憲の会ニュース No.23 2015年11月10日
連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話・FAX 03-3772-5095
Eメール:kanzengoken@gmail.com
ホームページ:https://kanzengoken.com/
目次
① 第22回 例会の議事録
③『日本国憲法が求める国の形』追加項目(試案)
④次の例会・勉強会のご案内
別紙 1 政治現況報告
別紙 2 『補遺(一試案)』への疑問 I氏
別紙 3 事務局報告
さる11月1日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で第22回(10月)例会を開催、参加者18名。入会者 計44名。
第22回 例会の議事録(要旨)
草野編集委員長が司会し、まず岡部太郎共同代表(元『東京新聞』政治部長)からの政治現況報告(別紙1)があった。
ついで野村光司共同代表(『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)が「『完全護憲の会』の基本は何か、憲法に照らして国政の全貌を明らかにし発表することであり、政治活動はしない。パンフの『補遺(一試案)と補遺№2』を提案している、検討いただきたい」と発言。※補遺№2は事務局の手違いで準備できず、配布できなかった。
なお、この『補遺(一試案)』に対してI氏から意見(別紙2)が寄せられた。
そのあと福田玲三共同代表(事務局担当)から事務局報告(別紙3)があった。
これらの報告・発言にたいする質疑・討論は次のとおり。
●田中)憲法に即して考えるという意味で、憲法31~40条にかかわって刑事訴訟法の原則にもとる事態が現出している。東京新聞によれば、9月18日近辺でしたか、シールズのメンバーが国会前行動において現行犯逮捕され、10日間も拘留されたとのこと。憲法21条(表現の自由)が侵されている。注目すべき記事だが他のマスコミが報じていない。臨時国会開催要求に応じない政権与党は憲法53条違反である。来年の参院選で注意すべきは来年の夏にサミットが開催され、オリンピックもある。国民の関心がそちらに誘導される危険性がある。
●T)NHKは会長がああいう風だから、私はNHKニュースで政治の話になったらチャンネルを変えるようにしている。私が解せないのは、ラグビー日本代表の首相表敬訪問などの写真を、新聞が大きく取り上げることだ。
●後藤)写真掲載に目くじらを立てるのではなく、一緒に喜べばいいではないか。目くじらを立てるから、われわれはが変な風に見られる。
『完全護憲の会』の皆さんには、日本国憲法の普遍性だけではなく歴史性にも着目してほしい。立憲主義という土台が脅かされている今こそ、次のパンフレットでも取り上げてほしい。例えば31条以下の刑事訴訟法の総則的部分は、アメリカにもない。GHQのローヤー(法律専門家)たちが、自分たちの理想を追求して作った結果だ。旧憲法下では、裁判によらずに投獄された人たちがたくさん獄死を強いられた。三木清も戦争が終わってから獄死した。
24条のような条文についても、スイスで女性に参政権が認められたのは1970年代だ。25条のような条文は、アメリカには無い。とくに、大日本帝国憲法から大きく変わったのは司法だ。旧憲法下では裁判所は法務省に付置され、裁判官は天皇の名で裁判を行っており、司法権の独立は無かった。ただ、日本国憲法の下でも、人材が足りなかったので旧憲法下の裁判官たちをそのまま使わざるを得なかった。戦後も「判検交流」の慣行が続いた。
ちなみに、現憲法の17条は何か皆さんご存じだろうか。公務員の不法行為による損害を賠償する権利を定めているものだ。これが基になって国家賠償法が作られている。 この17条は、「公務員」は裁判官を除外していない。最高裁は、昭和50年代(1975年前後)に、裁判官に「下駄を履かせて」、「17条にいう不法行為とは、裁判官が悪意を持って、一方を勝たせてやろうとしたときに限る」としたが、そもそも今の裁判官は、裁判が出来ないくらい劣化している。児童福祉法も然り。法律があっても省令や通達でがんじがらめになっていて、児童相談所が絶対権力になっている。
私は、今の状況では、「憲法を守れ」以前に、「法律の文言通りにやれ」と言いたい。
●野村)憲法では「何人も…賠償を求めることができる」と書いているのに、国家賠償法では在日外国人を除外する文言になっている。
●S)この間、大間に行ってきた。マグロの産地で自然豊かなところなのに原発を進めていることに疑問を感じた。原発、TPP、戦争法、すべてたくさんのお金が絡んでいるという意味で、経済の問題を取り上げて議論してみたい。
司会者からI意見(別紙2)の説明を求める。
●I)補遺(一試案)について疑問と思われる点について書かせていただいた。内容は読んでいただければわかると思うので。
● 野村)補遺(試案)を提起しているが、皆さんからも提起して欲しい。田中さんご指摘のように、私たちのパンフは刑事訴訟問題、そして労働問題、経済問題に弱いと思う。
● 高橋)そもそもで恐縮だが、この会(特にパンフレット)の目的は、何なのか?
● 野村)われわれは、特定の政治勢力を支持していこうなどとは考えていない。そんな力も無い。ただ、「今の現実は、憲法からこんなにずれていますよ」と、世間に知らせる役割を目指している。例えて言えば、アンデルセンの童話『裸の王様』で、「ああ、王様、きれいなお召し物で」と褒める大臣に対して、「王様は裸だ!」と告発する子どもの役割だ。
● O)これまでの護憲はほとんど部分護憲で、天皇条項は反対というような。こうした選択護憲ではなく現憲法を全部守ろう、ということで発足したのが完全護憲の会の趣旨だと思う。
●後藤)日本国憲法は実現されていない。私が完全護憲の会に共鳴したのは、日本国憲法を完全に実現したいとの思いからだ。だから、「日本国憲法完全実現の会」にしたい。
●川本)補遺集に関してメールで3つのテーマ(安保法制、原発、TPP)にしぼるべきとの意見を出している。パンフ第一集をつくる過程は大変だった。あらためて全条項を見直すのは現状では無理。稲田さんの安保法制強行可決問題に焦点をあてて議論してはとの意見に賛成。みんなが集中できるテーマにしぼりたい。
●K)今は崖っぷち、緊急事態と言っていい。今は逐条的に検討している余裕はない。川本さんの提起された安保法制、原発、TPPの3課題に集中すべき。
●榊山)野村さんに聞きたい。政治活動しないというが…。
●野村)われわれの活動は宗教的伝道に似たところがある。補遺の全部を並列的に議論して欲しいとは言っていない。緊急性のあるテーマを優先することはかまわない。
●K)先にあげた優先すべき3課題とともに、恒常的テーマとして特別会計、司法、マスコミ問題を重視したい。
●後藤)新しいパンフレットで重点的に扱って欲しいと思うのは、憲法23条(学問の自由)と26条(教育の権利)だ。また、野村さんだけではなく、他の人がどんどん、パンフレットの内容を提案すればいい。今は、文章としてまとまっているのが野村さんのものだけだから、それに対してみんなが文句を言うだけ、という構図になっている。
官僚は情報を握っているなどの強みがあるが、決定的な弱点がある。それは、彼らは組織の一員でしかなく、自分の頭で考えていないということだ。これに対してわれわれは、一人一人の個人として考え行動している。これが強みだ。
● 田中)パンフレットという印刷物に拘らなくてよいのではないか。印刷物だと、一旦作ってしまうと、次の版を出すまでに多大な時間と労力を要する。これに対して、年間10万円かかっても外部委託してホームページを充実させたら、柔軟に対応できるだろう。若い人たちにスマホで見てもらうこともできる。
● 川本)既にホームページは出来ている。皆さんからどんどん原稿を寄せてほしい。外部委託はその先の話だ。
※ 以上の議論の結果、それぞれが重視して取り上げるべきと思うテーマ出し合うこと、できれば原案を提起もらうことを、確認した。
4.「戦前世代として語る」(報告:福田玲三氏)
戦前の軍国主義時代の体験を報告(省略)
最後に、会員それぞれが重要で取り上げたいと思うテーマを提起し、できれば文章化して提案して欲しい、と司会者がまとめた。また、事務局から来年1月総会に向けて会費や会則について検討していることが報告された。
次の例会・勉強会のご案内
日時 11月22日(日) 13:30~16:30
場所 港区・三田いきいきプラザ・「憲法研究会」
〒108-0014 港区芝4-1-17 電話03-3452-9421
JR 山手線・京浜東北線、田町駅西口から徒歩8分
地下鉄 三田線・浅草線 三田駅 A9 出口から徒歩1分
報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
違憲の現状について 野村光司(「パンフレット」原案起草者)
事務局報告 福田玲三(事務局担当)
討議 報告および提案への質疑、意見
会場費 100円(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
(連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話 03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。)
<別紙 1>
政治現況報告 2015年11月 1日
岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)
安保法制を強引に成立させ、予定通り長期国会を乗り切った安倍首相は10月7日、内閣改造に着手。その日のうちに第三次安倍改造内閣を発足させた。これも予定通り、谷垣幹事長以下、自民党四役を留任させ、内閣も麻生副総裁財務相、高市法相、岸田外相、塩崎厚生、甘利経済再生、中谷防衛、石破地方創生、遠藤五輪、菅官房長官と主要閣僚9人を留任させ、新任大臣9人、河野太郎行革相を除いては新鮮味のない、全く守りの人事だった。女性重視と云いながら新任は丸川珠代環境相と島尻沖縄・北方、高市氏の3人だけ、第二次の五人から三人に減った。
安倍首相は組閣に先立っての記者会見で、政権スタートのアベノミクス三本柱(規制緩和、財政投資、経済の総合活性化)がほぼ実現したとして、新しい三本柱として①GDP600兆円(14年度は名目で490兆)の達成、②出生率1.8%(現在1.42%)の実現、③介護離職ゼロ、をあげた。
しかし、この新三本の矢は、あくまでも目標であって、実現は到底困難、参院選対策と国民への目くらましである、との厳しい見方が強い。特に第一次三本の矢の目標、「完全な日本経済の活性化」が実現しておらず、その検証さえ終っていない、との指摘もある。しかし安倍首相は、その十分な説明もなく「一億総活躍社会」を大目標に掲げ、腹心の官房副長官加藤勝信氏を新設の一億総活担当大臣に任命した。一億というのは、戦時中の「一億総動員」とか「一億玉砕」など嫌なイメージがあり、うさんくささが先立つ。その総会を開いたが、まだ何をするかも明白でない。地方創生とも重なる。
野党は安保法制の問題点や先日合意に達したTPPの内容、新内閣の方針を確認したいと、政府に臨時国会を開くよう要求した。憲法53条には「いずれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」とあるのに、外交で首相がいないとか、予算編成があるとか言を左右にして開会に応じようとしない。これは憲法違反である。
早くも新閣僚(馳文部、森山水産、島尻沖縄ら)にスキャンダルが出ており、TPPや沖縄問題、安保法制など、政府としては国会を開きたくない事情がある。これに対し野党は安保法案廃棄のため、来年八月の参院選に向け、野党協力を模索し始めている。特に共産は志位委員長が暫定政権を提案、しかし党内が割れている民主党は選挙協力までで、政権構想には反対だ。しかし、それなしには参院選には勝てない。維新の党も真っ二つに割れ、野党の一本化は難しい状況だ。
<別紙 2>
「補遺(一試案)」への疑問 2015年11月1日 I
「完全護憲の会ニュースNo.22 別紙2-1 パンフレット「補遺(一試案)」について」によれば、野村光司共同代表による「「日本国憲法が求める国の形」補遺(一試案)」(以下、「野村試案」を略す)について、「これを誘い水として会員諸氏から遠慮なく問題の提起をして頂き、全員の討議を経て」云々とあるので、大変僭越ながら、前半部分(20条まで)に関して、いくつかの疑問を(恐懼しつつ)提起させていただきたい。
前文第2項「人間関係を支配する崇高な理想」について
日本国憲法前文第2項第1文は、「日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した」と述べている。この中の「人間相互の関係を支配する崇高な理想」について、野村試案は「「心の中に人間愛、口に出す言葉にウソがない」ことに集約されよう」と述べている。しかし、憲法制定史の知見によれば、この文言は、GHQ草案(1946年2月13日)の前文第2項第1文「われらは恒久の平和を念願し、今や人類を揺り動かしつつある人間相互の関係を支配する崇高な理想を完全に自覚しつつ、平和を愛する世界の諸人民の正義と信義に基づいて、われらの安全と生存を確保しようと決意した」に由来するものであり、さらにこの中の「今や人類を揺り動かしつつある崇高な理想」という表現は、マッカーサー3原則(「マッカーサー・ノート」、1946年2月3日)の中の、戦争廃止を謳った第2原則中の、「日本は自国の防衛と保護を、今や世界を揺り動かしつつある崇高な理想に委ねる」に由来するものであることは明らかである。このような歴史的経緯を踏まえたうえで、前文2項と9条との密接な関係に鑑みて考察すれば、ここで言う「人間相互の関係を支配する崇高な理想」とは、「人間愛」や「ウソの排除」といったことではなく、「人間相互の関係における暴力の廃絶と平和的共存の追求」という理想を意味していると解するのが妥当であると考える。
同項「平和を愛する諸国民の公正と真偽に信頼して、われらの生存と安全を保持しようと決意した」について
野村試案のうち、「国連軍の存在に希望を掛けた」という部分についても疑問はあるが、その点は(パンフレットの記述そのものに関わる問題なので)今は脇に置き、「このためには先ず周辺諸国との間で国境問題と歴史問題とをクリアして、これらの国を我が国との関係で「平和を愛する国」としなければならない」との提案について――。
野村試案によれば、中国、韓国、ロシアといったわが国との間で「国境問題と歴史問題」を抱える国を、日本が「国境問題と歴史問題とをクリア」することで、日本に対して「平和を愛する国」に変えることが必要だとされる。
しかしながら、憲法前文2項の「平和を愛する諸国民」の英訳は「the peace-loving peoples of the world」である。一方で、前文第1項に「日本国民は(……)政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し」とあり、他方で第2項後段に、「全世界の国(all peoples of the world)が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」とあることと照らし合わせて考えれば、これらの文言の背後には、「戦争を起こすのは政府であって、人民(peoples)は本来、平和を愛する(peace-loving)存在であり、それゆえ、平和的生存権を有している」という思想があるように思われる。もちろんここにはいささか人民を理想化しすぎている嫌いがある面は否めないとはいえ、例えば、国連憲章前文が「われら連合国の人民は、われらの一生のうちに二度までも言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い」という文章で書き出されているように、当時の世界を覆っていた戦争の忌避と平和への希求の強さを思えば、このような解釈はむしろ自然なものだと思われる。そうだとすると、この文言を、砂川事件最高裁判決の言うように、世界の中に「平和愛好国」とそうでない「平和非愛好国(≒戦争愛好国)」とがあって、日本は前者のみの「公正と信義」に信頼しようとしたというように解釈すべきではないだけでなく、野村試案のように、近隣諸国を日本との関係においてのみ「平和愛好国」であるようにすればよい、といった解釈も採りえないと考える。
第14条「法の下に平等」(賭博場経営における平等)について
公営賭博をどうすべきか、というのは政策問題ではあっても、なぜそれが憲法14条の問題になるのか、理解できない。憲法問題として論ずるとしても、せいぜい「営業の自由」(22条)の正当化根拠の問題として論じうる程度ではないだろうか。
第14条「性別により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」(女子クォーター制は違憲)について
野村試案は、「「女子」であることだけで、これを男子より優遇するのは違憲である」と述べており、これだけ読めば当たり前のようであるが、カッコ内の見出しに「女子クォーター制は違憲」とあることから類推すると、女性を対象としたあらゆる割当制度(quota system)を違憲とされておられるように思われる。しかしながら、14条の平等原則は、事実上の差異を一切無視して人を一律均等に取り扱うこと(絶対的・形式的平等)のみを要請するものではなく、事実上の差異や社会的差異に比例して人を別異に取り扱う相対的・実質的平等をも要請していると解釈するのが通説である。それゆえ、社会的・構造的差別のために様々な不利益を被っている人々(障害者や各種マイノリティや女性)に対して、積極的に一定の優遇措置を提供することにより、実質的平等を確保しようとする措置(積極的差別是正措置、積極的改善措置、アファーマティブ・アクション、ポジティブ・アクション)は、一概に14条違反とは言えず、それが行き過ぎて「逆差別」に当たる場合に初めて14条の平等原則違反となると解される。割当制度をその一形態として含む積極的差別是正措置の合憲・違憲論争はそうした制度がすでに導入された欧米諸国において激しく論じられているが、ある制度が実質的平等を促進するものとして合憲となるか、それとも「逆差別」になり違憲とされるかは、具体的な制度に即して論じられるべきものであり、あらゆる「割当制度」をアプリオリに違憲であるとは断定できないと思う。
第15条3項「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」(選挙権は公権であり、義務を含む)について
野村試案は選挙権を権利であるとともに義務であると主張しているが、これは、選挙権の本質をめぐる学説上の争いにおいて二元説(権利と義務)もしくは公務説と呼ばれる立場、とりわけ義務・公務性を強調する立場であると思われる。これに対して、「人民(プープル)主権」論の立場から、権利(一元)説が唱えられており、私も、権利説に与したい。選挙権は国民主権を実質化するうえで不可欠の重要な権利であるが、憲法は国民に対して憲法尊重擁護義務(99条)を課しておらず、また、幸福追求権(13条)や思想・良心の自由(19条)を保障しているところから、国民が政治や世俗社会に背を向けて隠遁生活を送る自由も、アナキズムを信奉する自由も当然に保障しており、棄権の自由も当然に認められている。したがって、選挙での投票は「義務」とまでは言えず、棄権常習者を公務員から排除することは、平等原則や思想・良心の自由や職業選択の自由に照らして違憲の疑いが強いといわざるを得ないと思われる。
第20条第1項第1文「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」(A級戦犯の分祀を求めることはできない)について
野村試案によると、「宗教団体である靖国神社がA級戦犯も神と崇めるのは自由であり」、「近隣諸国との関係では、首相その他の公務員が本条第3項により、参拝しさえしなければ済むことである」とのことである。仮に靖国神社が純粋な一宗教法人にすぎず、政教分離の原則が厳格に守られている状況にあるなら、その通りであろう。ところが、第3次安倍改造内閣においては、安倍首相を含む20人の閣僚のうち、17名が「神道政治連盟国会議員懇談会」に、13名が「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」に所属(重複所属は11名)しており、過去の侵略戦争を「アジア解放」のための聖戦として美化する“靖国史観”内閣とも言うべき惨状を呈している。もちろんそれ以前から、安倍内閣の一部の閣僚は毎年、春・秋の例大祭などに合わせて靖国神社公式参拝を繰り返し、安倍晋三自身も真榊奉納など、明白な政教分離違反行為を繰り返している。靖国神社の本質が近代日本の行った戦争を正義の戦争として正当化し、「祖国のために死んだ兵士」を英雄として讃え、国民を新たな戦争に駆り立てる装置であるところにあり、A級戦犯は日本の戦争責任を矮小化するためのスケープゴートにすぎない以上、A級戦犯を分祀するか否かは副次的な問題にすぎない。とはいえ、旧厚生省が遺族援護法などを適用できる「公務死」として認定した人々の名簿を靖国神社に提供し、それを基に靖国神社が合祀を行ってきたという、それ自体、政教分離原則違反の国家機関と靖国神社の提携という歴史的事実を棚上げにして、(「合祀」はできたが)「分祀」だけは政教分離原則違反だというのはご都合主義の謗りは免れないだろう。
野村試案が問題視する「建国記念日」の問題点は、単に「ウソ」や「偽装」であるというだけでなく、それが「紀元節」という国家神道に基づく天皇神話を復活させようとする反民主主義的で復古主義的な試みであるところにある。それを中心的に担ってきたのが神社本庁であり、1966年にそのたくらみが成功すると、神社本庁を主体として「神道の精神を(……)日本国国政の基礎」とすることを目的とする神道政治連盟が発足し(1969年)、翌年には同連盟と提携する神道政治連盟国会議員懇談会が結成され、現在、安倍首相がその会長を務めている。神社本庁と神道政治連盟はその後、靖国神社国家護持法案の制定運動、元号法制定運動、国旗国歌法制定運動などに取り組み、1979年に元号法、1999年に国旗国歌法の制定に成功している。
現在、日本の政治状況がここまで極右化し、歴史修正主義に侵されてしまった原因のひとつに、政治家と神道=靖国勢力との結託があることは間違いないだろう。そうであるなら、憲法20条1項を取り巻く現状は、「首相その他の公務員が(……)参拝しさえしなければ済むことである」といって済むような状況ではない。公式・「非公式」を問わず、公務員の公務在職中の参拝はもちろん、公務員による真榊奉納のような宗教行為も厳禁し、神道政治連盟国会議員懇談会は直ちに解散すべきである。
同条同項(植民地兵の分祀も求められない)について
野村試案はまた、「植民地兵の分祀も認められない」と主張する。その理由は、「宗教団体などが何を神として尊崇するかはその宗教団体の自由である」から、とされる。確かに、宗教団体にも信仰の自由は認められているが、だからといって、他者の人権を侵害することまで許されているわけではない。旧植民地兵の遺族が(分祀ではなく)合祀取り下げを求めているのは、日本による植民地支配下で半強制的に徴兵され、恨みをもって死んだ親族が、日本の植民地支配のための戦争を栄光の戦争として顕彰している神社に、侵略国の「英霊」として祀られることが耐え難い侮辱であると感じているからであり、まさに人格権の侵害の除去を訴えているのである。公然たる「悪魔祓い」が名誉毀損罪を構成するとするならば、靖国神社のこうした独善的で傲慢な「信仰の自由」は、心ならずも「護国の英霊」として祀られてしまった旧植民地兵の遺族の人格権を侵害するものと言えるだろう。
<別紙 3>
第22回例会 事務局報告
福田玲三(事務局)
1) ニュース22号への意見など(いずれも要旨)
*珍道世直氏
完全護憲の会ニュース22号 拝受いたしました。誠に貴重な内容の資料、毎回毎回短時間でここまで纏められるご情熱とご苦労に心から敬意と感謝を表します。落ち着いて噛みしめて参りたいと存じます。また、この度も事務局報告に私のコメントをお取上げいただき有難うございました。
「違憲立法」に対する訴訟の動きが、全国的に鈍いように思われます。もう一度、訴訟を起こさなければならないのかと思いめぐらし、訴状作成の準備を致しております。どうか今後ともご指導くださいますようお願いいたします。
*龍平四郎氏
今回の22号は読み応えがありました。また パンフレット「補遺(一試案)」と「『日本国憲法が求める国の形』補遺(-試案)」たいへんよかった。
龍平四郎へのSさんの回答 ありがとうございました。説得力ある言葉で、この言葉がすぐ出るぐらい記憶にとどめたいと思います。
<別紙1>
政治現況報告 岡部太郎共同代表
「諸状況を政府がそう判断する」「白紙委任状せよといわんばかり」の表現は、まったく同感であります。また、後半のフランス人は権利は自分達で勝ち取ったという意識が庶民一人、ひとりに染み込んでいる。いい勉強させていただきました。
ユネスコ登録で「拠出金削減を検討」が政府から出ておりますが、私の感じることですが、どこかの国の声明なら、「みっともない」と笑うところだが、私が愛する国の声明と聞いて「はずかしい」です。
安保法制反対の民衆の叫び、国民世論の動きを一過性にしてはならない、と思います。 動けば変るということを実感するためにも、原発、沖縄、安保など何か一つでも成功することが大切と思います。
別紙 2-1(「補遺(一試案)」について)
野党も国民も政権の暴走を攻めあぐねている。原点は、田中耕太郎最高裁長官の「統治行為論」であるが、首相になった「権力者」は憲法に何ら考慮を払うことなく安心して暴走できる体制になっている。 政権の画策で違憲の国政が着実に進行し、護憲勢力が衰退の一途をたどらされている。
是非、パンフに添付してほしい文章です。
別紙 2-2(『日本国憲法が求める国の形』補遺(一試案))
大半において、大賛成です。 表現がいい部分とチョット頭を傾げる部分を列記させていただきます。
(前文)第2項
前660年2月11日「(偽装国家日本の)建国記念日」は間違いとすれば、正しいのはいつなのかを答える必要があると思います。不明なのでしょうか。
第7条第7号
上から4行目 これに最高級の叙勲をしたのは・・・ 政権の恣意ではなく国民的見地からいかに必要かを示している。 理解しにくい文章です。 政権の恣意ではないのでしょうか。
第14条
一旦、すべての賭博を自由化して・・・は極論ではないでしょうか。国論の統一には、時間と混乱がでる。 これ以上増やさないためにも現状をしっかり取り締まる。
第4項(出口調査)
禁止不要と思います。 なぜなら、会場内から情報発信可能である。出口調査禁止ならば、ケイタイ、スマホ持込禁止にする必要がある。
第20条第1項
国や第三者が「分祀」を求めることができない。 国家英霊として祭られているが、家族が「分祀」を望んでも叶えられない現状がある。
第21条
政権批判や政権容認、どちらも内容によって制約判断は必要と思う。
第22条第2項(移住の自由を侵さない)
現法では、「自己責任の原則を維持する他はない」 確かにそうではあるが、「何か手立てはないか」と思います。
第26条(いじめ) 15ページ中段
「村八分」 これは使用しないほうが良いと思います。また、公私いずれか自由にとありますが、偏ってしまうと思う。 現在の私立校選択でバランスが取れていると思います。
第29条
領有を認めて、損害ありとするものには補償。 これでは、ごね得、強いものが勝、の感がします。お互い国が、ある年数(50年など)お金の借款ではなく、土地の借款など、多種の意見交換で現状打破の必要があります。
別紙 4 後藤富士子弁護士
いい内容ですが、書面からはよくわかりません。 たぶん 会場内でのお話を聞けば、理解でき勉強にもなるのでしょうか。一度、会場に行きたいと思っておりますが、妻介護の立場ですので時間とれなく、とても残念に思っております。 今回は長文となりました。 8ページに野村さんの「これを誘い水として会員諸氏から」とお言葉がありましたので、お言葉に甘えました。
*Sさん(都内西部)
いつも月報をお送りくださいましてありがとうございます。私ごとですが、腰部脊柱管狭窄症の手術を受けまして、一か月になりますが、まだ思うように、外出が出来ません。もう少し快復致しましたら、また頑張れると希望を持っております。
先生方の提言や資料本当にありがたくおもいます。御健康で御活躍下さいますようにお祈り申し上げます。
*T氏(神奈川県)
本日、神奈川新聞の「時代の正体」を添付いたします。歯切れが良いです。
10月16日付 神奈川新聞・論説委員 石橋学
「本紙の記事が偏っているという批判が寄せられる。それには『偏っている』と答えるほかない。安倍政権の悪口ばかり書くなということかもしれない。これにも『仕事ですから』としか答えようがない。……」
*清林保(関西)
ニュース22号ご送付ありがとうございます。今号は特に読みごたえがありました。
2)「天皇は特権的存在ではない」というS氏への回答(続)
①福田回答(略)
① S氏の意見(要旨)
ご返事拝読しましたが、かんじんのところがさっぱりわかりません。
私が7月22日付の手紙でまずお尋ねし、さらに8月21日付の手紙で重ねてお尋ねしたのは、次の点でした。
それは貴会が『日本国憲法が求める国の形』の15ページにおいて、「天皇」をして、「憲法14条の一般規定に対する特別規定」としての存在、すなわち特権的存在だとみなしていることに対する疑問についてでした。
今度の回答から解ることは、4条1項に言う「国政に関する権能」なるものは、前文に言う「国政」に関する「権力」の「行使」と同意だとする貴会のご見解です。
そして「象徴は公務である」ゆえに、一般の公務員と同様、非選挙権は無い、ということ。しかし投票権は認められるとのご見解であることもわかりました。
以上のご説明から導き得るものは、「天皇」は「国政」上、一般の公務員なみの「権能」しか有していない、ということです。私にはそれ以上のことを導くことは出来ません。
従って、それらのことが、なぜ、どのような論理によって、14条2項の例外規定たる特権的存在としての「天皇」に結びつくのか、まったく理解できません。
この、もっともかんじんの点、一点に絞って一つ一つ論理を追って解り易くご説明いただけないでしょうか。
② 草野回答
前略 この度はS様のご意見に対する当会の回答にご納得いただけず、再々度のご意見を賜りましたこと、恐縮いたしております。今回、S様への三度目の回答を担当することになりました編集委員長の草野好文と申します。
この度のS様の当会の見解に対するご意見は、憲法の法理論上の難問で、法律の専門家でもなく、憲法学者でもない私たちにとっては、S様が納得できるような明快な回答ができる力量を持ち合わせていないことも率直に申し上げておきたいと思います。
実はS様への二回目の回答は、当初、私草野が担当することになり文章を書き上げたのですが、その内容が「天皇は基本的人権が奪われた存在である」との認識を基調としていて、S様が主張されている天皇は主権を持たず国民以下の「法的存在」との認識に通じるものでした。これに対して編集委員会の多数見解は、日本国憲法は天皇の基本的人権を認めていないはずがない、参政権も禁じてはいない、とするもので、私の回答案は退けられた次第でした。
それゆえ、この再々回答では、S様のご意見に一部同意する私の個人的な見解は割愛し、S様が「一点に絞って」説明して欲しいという点にのみお答えしたいと思います。
振り返ってみますと、この間のS様と当会のやり取りは、S様の主張する論理にきちんと噛み合ったものではなかったのだと思います。同時に、S様の当会パンフレットの天皇条項の読み込みにも何らかの先入観があったのではないか、と思われます。
まず、S様が一番の問題点として指摘されている「貴会が『天皇』をして特権的存在だとみなしていたから、異を唱えた」とされる点です。
確かに私たちは、現実の存在としての天皇(そして皇族も)は特権を有する存在であると認識しています。皇居と言われる広大な邸宅に住み、那須や葉山にこれまた立派な別荘を所有し、国庫から支給される莫大な金額の内廷費・宮廷費によって一般国民とは隔絶した生活が保障され、その生活を支える使用人やその警護にあたる公務員は相当数にのぼります。そしてそれゆえに、天皇と皇族は貴き存在として遇され、国民の多くから尊崇の対象とされているからです。これはまぎれもなき特権的存在と言えると思います。
しかしながら、私たちが現実の存在としての天皇を特権的存在と認識していたとしても、当会パンフレットが第1条関係「象徴天皇制の容認」の項で、「第1章天皇の規定が現憲法にあるので、憲法14条の一般規定に対する特別規定として象徴の限りで受け入れねばならない」としたことが、何故に「法的存在」としての天皇を特権的存在とみなした、と言い得るのでしょうか。
その根拠としてS様は、最初の意見書において、「第14条第2項に言う『華族及びその他の貴族の制度』というのは、特権を有する存在に関する制度のことだと思います。」「貴会は『天皇』をして、この一般規定に対する特別規定として受け入れるとのことですね。しかし、そうしますと、それは『天皇』も又、特権的存在だとみなしていることになってしまいます。」と述べられています。
確かにパンフレットは、「憲法14条の一般規定」とのみ表現し、その各項について言及していませんから、S様が述べられているように、それは14条2項を根拠にしているのであろうと推論されるのも無理はありません。しかし、私たちが一般規定としてとらえ重視したのは14条1項の「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」ということなのです。(この第14条1項は、パンフレットの「発行にあたってのごあいさつ」にも引用し、これに焦点を当てています。)
第1章天皇条項は明白にこの第14条1項が規定する「法の下の平等」に反し、「差別されない」としながら差別を天皇に限って肯定するものだからです。
パンフレットが「象徴の限りで受け入れねばならない」としたのは、第1章天皇条項が第14条1項と対立しているという事実を認めた上で、しかし、第1条の特別規定が第14条1項の一般規定に優先する、ということを根拠にしたものなのです。
以上の経過に見られるように、パンフレットが「象徴の限りで受け入れねばならない」としたことの中には、「法的存在」としての天皇を「特権的存在とみなした」事実はなく、「象徴」をも「特権」とみなした事実はありません。特権があるともないとも言っていません。第14条2項を根拠にしたものではないからです。
このように申し上げると、またしてもS様の疑問に正面から答えない不誠実な態度と受け取られかねませんが、これが私たちの正直な気持ちです。
今回、S様が提起された論点は、私たちが「天皇をして特権的存在」とみなしたか、言ったか、の問題とは別に、象徴天皇(制)に関する憲法の法理論上の問題提起なのだと思います。
それゆえ、前述しましたように、法律の専門家でもなく、憲法学者でもない私たちには明快な回答をする力量がない、答えられない、ということを率直に申し上げたいと思います。
この間のS様とのやり取りで、これ以外の論点も出ましたが、おかげさまで多くを勉強することができました。感謝申し上げます。(後略)
3)パンフ『日本国憲法が求める国の形』補遺の行程表
*野村共同代表提案(要旨)
現政権は物凄く精力的に「日本を取り戻す」、すなわち戦前の日本を取り戻すべくトータルの政策を打ち出しています。
アメリカは南沙諸島で中国軍と対決を辞さぬ艦船の乗り入れをしようとしています。集団的自衛権で自衛隊がこの戦場に投入される法的根拠ができてしまいました。
「地方創生」は、地方自治権を否定して中央権力の指導と承認で地方が動かされるものです。「一億総活躍」、これは言うまでもなく憲法13条の個人が尊重され、その自由で活動してくれというのではなく、中央政権が指導するように一億一心で動かそうとしているのです。そしてこの内閣の支持率は50%に及ぼうとして、片や革新政党は数%以下です。安倍大元帥陛下の下、全政治家、全国民が動員されようとしています。安倍さんは誠に敬服するに値する大政治家ですが、彼はこれまでの憲法否定の保守政治の完結点で政権をとったことが彼に幸いし、国民には禍になろうとしています。
われわれは坂本龍馬ではないが、「日本国を洗濯申し候」、保守政権が過去数十年間、粛々として実現してきた「憲法否定」、すなわち「権力優先、人権否定」の国政の成果を、トータルに日本国憲法の洗剤で洗濯したいものとして発足しています。
法治主義の原則からも全国民の平和のためにも世界平和のためにも方向としては絶対に正しいと思います。日本国憲法の求める国の姿をトータルに示すことが最も正しい政策だと信じます。
だとするならば、わが会の、これからの作業の手順を表す「工程表」を早急に会員全体に示さねばなりません。すでに前回の例会で「補遺」案を提示して、会員各人がこれを呼び水として、問題と感じているものを提示して欲しいと言ってあります。私もさらに2,30のテーマを用意しています。編集委員の皆さんも各々の活動で感じておられる憲法問題を提示していただき、一般会員にも(投書者からは既に貰っている)提示して貰い、この1~2ヶ月の間で項目を集約して、順次、組織の討論によって固め、順次発表できるようにしてはどうでしょう。
その順序は、憲法の条文の構成順でも良いし、提案者の熱意の強さに従っても良いですが、次の編集委員会にはこの「工程表」の問題を議論して頂けないでしょうか。
国情から、ことは急がれていると思います。われわれの良きものを、国家社会に対して腐らせてはならないと思います。
*川本委員提案(要旨)
次回例会に、どれだけの方が補遺集案を読み、自分の意見を出してくださるか。
東京新聞の記事がパンフレットや記者会見の内容ではなく、「戦争体験世代の護憲活動」に焦点に当てたように、集まったみなさんもパンフレットの内容への共感ではなく、「戦争体験世代の護憲活動」への興味とリスぺクトと、「完全護憲」という新しい名称のグループでの学習と情報交換の期待でしょう。
野村さんが事態は急務だとおっしゃるように、安倍の横暴をストップさせるには、参議院選挙で反自民勢力を勝利させることです。反自民を勝利させるには野党共闘ができるか否かです。
補遺集が野党共闘のための憲法論になるなら面白いですが、クオーター制のように、現在も選挙時も争点にならないことまで取り上げるのは、現状での憲法論として、害あって益なしでしょう。
野党共闘を目指す政策合意として
反安保法案(含む沖縄問題)
反原発
反TPP
に関する憲法論に絞った補遺集なら、会員の皆さんも歓迎でしょうし、完成したらマスコミも取り上げてくれるでしょう。
野村案では「選挙の出口調査を違憲」とされていますが、出口調査に答える、答えないは個人の自由です。マスコミによる出口調査で開票と同時に当選確実が出る状況はともかく、市民活動としての出口調査は、違法な選挙、違法な開票集計をチェックするため方法として期待されています。
*O委員提案(要旨)
川本さんの意見に賛成です。参議院選前に行うとしたら、野党共闘・選挙協力に資する必要があるのでは。時間もないし、全面展開する余裕もありませんから、川本さん指摘の3点に絞って補遺集を出すなどを考えたらと思います。また、補遺集を出すことにより、新たなカンパもお願いできるのでは。
*M氏
川本さんの意見に賛成です。
4)今後の日程(略)
5) 集会案内
11月 3日 12:45~ かながわ憲法フォーラム主催「わたしたちは憲法違反の戦争法をみとめない」於・かながわ県民センター。資料代500円
11月 5日(木)15:30~17:30 出版記念シンポジウム(『検証「安倍談話」戦後70年・村山談話の歴史的意義』)於・憲政記念館・講堂(東京都千代田区永田町)。会費2000円(本代を含む)
11月 5日(木)18:00~ 立川市教育委員会主催「砂川闘争60周年の集い」於・立川市市民会館
11月20日(金)13:30~20:00 長坂伝八氏他主催「『7・1閣議決定』違憲訴訟のための相談会」於・港区・神明いきいきプラザ。
完全護憲の会ニュース No.22 2015年10月15日
さる9月22日(日)、港区・神明いきいきプラザ集会室で9月例会を開催、参加者16名。入会者 計44名。
第21回 例会の報告
草野編集委員長が司会し、まず岡部太郎共同代表(元『東京新聞』政治部長)からの政治現況報告(別紙1)があった。
ついで野村光司共同代表(『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)からパンフレット「補遺(一試案)」(別紙2-2)についての報告(別紙2―1)があった。
そのあと福田玲三共同代表(事務局担当)から事務局報告(別紙3)があった。
これらの報告にたいする質疑応答は要旨次のとおり。
●後藤弁護士「S氏と回答側の双方に深刻な間違った見解がある。『憲法読本』(杉原泰雄)P225「象徴天皇制について」学んで欲しい。天皇の行為は「国事行為」に限定されているが、国会での「おことば」などはどうなのか? 私人としての行為、拡大される危険性。 天皇(皇族)には戸籍がない。氏(ウヂ)がない。選挙権がない。天皇はお飾りで、象徴天皇制を理解すべきだ」●野村共同代表「天皇の身分と職務、つまり私人と公務は分けて考えるべきだ。選挙もできる(参政権はある)。それは手続きの問題だ」● N「違憲の安保法案が強行採決で成立した。公布にあたっては天皇の署名がなされると思うが(4条、7条)、99条の憲法尊重・擁護義務に従って、署名を拒否できるのではないか?」●後藤弁護士「できない」●K「天皇は内閣の助言と承認に基づかなければならず、これを拒否できない?」●野村共同代表「署名を拒否したことある。日本政府が東京大空襲や広島・長崎への原爆投下を指揮したルメイ米軍指揮官に勲章を授けようとしたとき、これを拒否し、代理人がこれを行った」
●S「共産党が来年の参議院選に向けて選挙協力を打ち出した。評価できるか?」●野村共同代表「これまで共産党が全選挙区に候補者を立てるため、与党候補を利してきた。小選挙区制の場合、過半数獲得できないときは本来決選投票をすべき。外国にその例がある」●岡部共同代表「過去の社共共闘など、選挙協力の例はある。岡田民主党は選挙協力はやりたいはず。しかし、連合政権はあり得ない」●K「共産党の連合政府提起に括目した。民主党が政権交代した選挙では、共産党は300候補を半数にした。その結果の政権交代だった。共産党はこれまで、沖縄以外の選挙協力はやらないと言ってきた。今回、やっとめざめてくれたという感じ」●川本「共産党の今回の提起が実現すれば、現在連立与党の公明党のような役割を共産党がはたせるのではないか」●N「強行成立させた安保法制を廃止し、安倍政権打倒の国民戦線を作るべきだ。参院特別委員会の『採決』は存在せず無効。クーデターだ」
ついで例会初参加者二人が自己紹介。
その後、後藤弁護士から「立憲主義の保障―憲法の番人はだれか?」について要旨(別紙4)に基づいて報告があり、最後にこれからの国民運動として①小選挙区制の変更(すぐには難しが)②衆参両院とも立候補に必要とされる供託金、小選挙区300万円、比例代表600万円の引下げ③特定候補の落選運動と押し出す運動、などが紹介された。
この報告に要旨次の意見が出された。
●野村共同代表「供託金には立候補を制限する悪意がある」●K「供託金にはもともと人材を出させない意図がある。小選挙区制のもとでは選挙協力が必要だ」後藤弁護士「違憲審査では、具体的な案件がなければ判断を下さないとしている今の裁判所に頼るのは疑問だ」●T「初めてこの会に参加したが、集会やデモに参加したいと思っていても、電車賃もなくて参加できない下層の民衆がいること知って欲しい」●K「『フライデー』9月25日号に福島原発事故後の甲状腺ガン多発が報じられている。『週刊金曜日』9月11日号に沖縄基地を本土に引き取る運動が紹介されている」●N「9・19参院特別委採決はクーデタであり、無効だ」●T「8・30は国会に行けず地元藤沢の集会に参加した。最初10人くらい。最後は40人ぐらい集まって道行く人々に訴えたが、圧倒的に無関心の人々が多かった。この現状をどうしたら変えていけるのか教えて欲しい。」
時間の制約で討議は以上で終了した。
第17回編集委員会の報告 2015年10月1日
<出席>野村、O、K、S、草野、福田の6人
1.オブザーバーとして初参加のSさんからの3点の問題提起を受けて議論
A 補遺(一試案)第99条について
B ニュース21号(事務局報告)への意見、龍さんの問いに関して思うこと
C S氏意見書への回答について
Aについて
・補遺(一試案)第99条に「憲法が国の最高存在」とあるが「最高法規」とすべき。
※「最高法規」とすることに賛成多。起草者の野村共同代表もほぼ同意。
Bについて
・龍平四郎氏の安保法案賛成を唱える人に「即答できる言葉がありますでしょうか」「教えて欲しい」との問いに対する、Sさんとしての回答。
・戦争は一度始まると簡単には終えられない。戦争は必ず、防衛、平和の名目で始まる事を知るべきだ。防衛力を高めるというが、その防衛戦には負ける可能性もある訳で、負けないためには抑止力どころか際限ない軍事装備が必要になり、かえって緊張は高まる。最後は核武装、核戦争、世界の破滅だ。
・憲法前文の平和の誓いを世界に広める事こそが世界平和を維持するのであり、過去の戦争惨禍の事実を真摯に受け止められないのであれば再び同じ惨禍を繰り返す事になるだろう、と憲法前文は言っているように思える。
Cについて
・4条1項の国政に関する権能とは、旧憲法1章に定められるような立法権や陸海軍の統帥など政治を執り行う権能を有しないということである。
・国政に関する権能をもたないことは旧憲法との違いであって、人権の問題とは別であり、国民より地位が下だと言うことはできないのではないか。
・皇室には内廷費、皇族費などの私的活動に関わる予算もかなりの額であることも考えると、差別があるとしても、国民より下とは言えない。
※上記につき、この問題でのこの間の編集委員会内部の意見も交え、かなりの時間を費やして議論。「天皇は基本的人権が奪われた存在」であるとしてS氏見解に同意する草野編集委員長以外の全編集委員がほぼ上記Sさん見解に賛意。
この結果、先に提案した「草野回答案」は棚上げし、改めてK編集委員が回答書を執筆することとなった。(K委員多忙のため、後に福田委員に交代)
2.パンフレット配布活動について
① 各国大使館への配布活動について
・先に在京大使館をリストアップし、そのすべてとするか、一部選別とするかの作業にとりかかるとしたが、遅れているので早急に結論を出 し、選別は野村共同代表に一任する。発送は事務局が担う。
http://www.plazahomes.co.jp/info/embassy/
・在京大使館への配布に伴って、パンフレットの「発表にあたってのごあいさつ」を英文化し、その翻訳をT氏に依頼した。(編集委員会後 の10月2日、T氏から出来上がったとのメールあり。)
② 先に大学各部局関係への送付はしばらく見合わせる、としたが、パンフの残部がかなりあるので、これを有効に活用するため、あらためて大 学各部局送付先を選択する。(担当決めるに至らず)
3.「パンフ補遺(一試案)」(野村試案)とパンフ追補版について
① 「パンフ補遺(一試案)」を第21回例会・勉強会に提示したので、今後は編集委員会のみの議論とせず、広く会員を含めた検討を加えるものとする。会員の皆様の積極的な参加を期待したい。
② 「パンフ補遺(一試案)」は全般にわたっているので、先に提案した「追補版」(時宜に適したテーマにしぼった、単価100円以内の集会でも無料配布できるような薄い冊子形式)にはおさまらない。
③ パンフ追補版に取り入れるテーマは、「パンフ補遺(一試案)」の検討を通じて抽出することと、併せて、会員からの新たな提起も含めて検討し、取り入れることとする。
4.次回例会における福田共同代表の戦争体験報告について
・福田共同代表から、次回例会報告に関しての考えが提起された。
・自分の戦争体験はあまりドラマチックではないので、治安維持法の犠牲になった若者の事例を紹介したいとのこと。
・これに対して、その紹介もあっていいが、やはり福田さん本人の実体験を語っていただくべきとの意見が出された。
5.その他
・財政問題に関連して、来年の1月総会で決めることだが、年会費を集めるようにしてはどうかとの意見出された。(たとえば年会費1~2千円程度の)
・例会・勉強会の参加会場費を100円程度いただいているが、会場によっては不足する。カンパ形式にしてはどうか、などの意見も。
・ボスニヤ・ヘルツェコビナ大使館からパンフ代300円が届いた。(野村共同代表が関係者にパンフ届けた結果)
6.当面の日程について
① 第22回例会 11月1日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
② 第18回編集委員会 11月2日(月)14:00~ 大阪大学東京オフィス
③ 第23回例会 11月22日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
④ 第19回編集委員会 11月25日(水)14:00~ 大阪大学東京オフィス
⑤ 第24回例会 12月20日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
⑥ 第20回編集委員会 12月21日(月)14:00~ 大阪大学東京オフィス
次の例会・勉強会のご案内
日時 11月 1日(日) 13:30~16:30
場所 港区・三田いきいきプラザ・「憲法研究会」
〒108-0014 港区芝4-1-17 電話03-3452-9421
JR 山手線・京浜東北線、田町駅西口から徒歩8分
地下鉄 三田線・浅草線 三田駅 A9 出口から徒歩1分
報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
違憲の現状について 野村光司(「パンフレット」原案起草者)
事務局報告 福田玲三(事務局担当)
戦前・戦時の回想 同上
討議 報告および提案への質疑、意見
会場費 100円(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
(連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。)
<別紙 1>
政治現況報告 2015年9月27日
岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)
2015年9月19日は、日本現代史の中で特筆される日になろう。戦後70年続いた専守防衛、外国に軍隊を送らない、と云う平和の誓いが破られ、世界中のどこででも米軍や友好国のために、集団的自衛権を行使できる普通の国になったのだから。安倍首相の強引で独善的な安保法制の改定は、憲法調査会で三人の参考人全員が違憲の判断をしたところから、様相がかわった。それまでは国会に提出された安保十二法案の条文解釈など矮小化されていたものが、集団的自衛権は憲法違反と参考人の三人の学者全員が発言、根本の本質論になったのだから。
それでも安倍首相は憲法の範囲内と終始強弁。法曹界ほとんどの反対や、世論調査で国民の6割が反対、8割が理解できないと云う状況の中で、衆参両院で強行採決、90日と云う最長の会期延長の中で成立させてしまった。
国会の回りに自然発生的に集まった市民のデモや全国に広がる反対の中で、「専守防衛はいささかも変更ない」「戦争に巻き込まれることは絶対にない」と断言、安保法制が国民に十分理解されていないことを自ら認めながら、「国民には今後も説明し、解ってもらえる」と全くの無責任発言。法案審議の初めに、「国民にはよく説明する」といいながら、結局、最後まで納得のゆく説明はできなかった。
集団的自衛権発動の具体例として、「米軍艦に日本人の老人や婦人、子供が乗っている時の援助」と「ホルムズ海峡の機雷除去」をあげていたが、野党の追及で、どちらも現実にはあり得ないことと自ら認め、根拠にならないことをさらけだした。 最後には具体例を説明できず、「諸状況を政府が総合判断する」白紙委任せよと言わんばかり。根拠のない安保法制が必要なわけがない。全くの欠陥商品であることを暴露した。
採決直後の世論調査(共同通信)で①安保法制、反対53%、賛成34% ②審議が尽されたと思うか、思わない79%、思う14% ③安倍首相は国民に十分説明したと思うか、思わない81・6%、思う13% ④憲法違反と思うか、思う50・02%、思わない31・8% ⑤自衛隊のリスクが高くなると思うか、思う68%、思わない27%――この結果安倍内閣の支持率は、支持38・9%、不支持50.2%と、どちらも最低、最高になった。
この間、安倍首相は9月8日、無投票で自民党総裁に再選された。野田聖子さんが立候補を表明したが、造反者を締め付け20人が集まらずに断念した。特に宏池会(旧池田派)自民党の良心、絶滅危惧種は、前代表古賀氏が若手を応援に出そうとしたが、現代表の岸田氏が前夜若手をカン詰めにして造反を食い止めた。無投票にこだわった安倍が岸田に次期総裁を約束して、説得したとの情報がある。男はだらしない。
さて二期目の安倍政権だが、月末には国連演説(当然オバマ米大統領に会って慰労されるだろう)がある。米国は国防省と国務省右派、アーミティジ元次官補などが今回の日米安保法制を推進し、それに安倍が乗った。帰国すれば党役員、内閣改造で基本は変えないと云っているので谷垣幹事長、二階総務会長、麻生副総理、岸田外相、菅官房長官らは残留だろう。当面は経済問題に全力をあげるだろう。しかし沖縄問題、TPP、消費税減額要求の公明党、原発問題などの難問があり、安保反対勢力のデモは、今後機会あるごとに表面化しそうだ。
今国会は初めは護憲、議会制立憲主義が問題にされ、終りの方では民主主義の危機という基本・根幹に戻った。後藤弁護士は憲法の運用で日本人は落第と言われているが、たしかに政治部45年をふくめて外から60年近く見て、日本の民主主義はまだまだの感がある。50年前パリ特派員として、その国の政治は国民の民度の上でも下でもないことを知った。権利は自分たちで勝ち取ったものという意識がフランスの庶民一人一人に染み込んでいる。フランスで国民議会選挙は2回投票制で、単独過半数がない場合、上位2候補で決戦投票が行われる。フランス人は最初から本命には投票しない。権力がおごり腐敗することを知っているからだ。
国会閉会後の会見で、「安保法制は『戦争法』だとのデマや悪意のレッテルが張られた。しかしアジアでも欧米でも評価されている」と安倍首相は強調した。しかし、かんじんの日本で8割が理解していない。日本国民の民度をそんなに低いと思っているのか。一体どこの国の総理大臣か、一日も早く退陣させたい。
<別紙 2―1>
パンフレット「補遺(一試案)」について 2015年10月7日
野村光司(パンフ『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)
多くの国民の反対と憲法学者の違憲批判の中で、現政権は戦争法案を強行採決によって可決成立させたことは「完全護憲の会」の立場からは遺憾の極みである。しかしこれは決定的な最後ではない。日本国憲法は厳然として一字も改悪されることなく、そのまま存在し、闇の世界に煌々と光を投げかけて、現国政の非を照らし出している。
この間で思い起こす首相の言葉がある。「多くの学者の批判があることは承知している。しかし、かって(祖父岸首相の時代に)日米安保が猛烈な批判を浴びたけれども今や、これは日本国内の殆どが支持しています。」、「私は最高責任者(権力者)だ。総理大臣の私は、合憲だと確信しています」と。憲法学者や元最高裁判事、法制局長官が何と言おうと彼らは野にある人、総理大臣の私の意見がそれに優先するのだ」と云うのである。
事実、野党も国民も政権の暴走を攻めあぐねている。安倍首相は天才的政治家ではない。かって小泉首相も、参議院で郵政法案が否決されて衆議院を解散する暴挙を行った。複数件の訴訟が起こされたものの、いずれも上告棄却となり、首相になった「権力者」は、憲法に何ら考慮を払うことなく安心して暴走できる体制になっている。ヒトラーの「条約も憲法も一片の紙切れ。民族が優先する」や、東条首相(?)の「黒であっても白と言って断行すれば、国民は付いてくる」を思い起こす。
その原点は、われわれもパンフレットで指摘したように、1960年田中耕太郎最高裁長官の「統治行為論」である。田中最高裁は砂川判決で、米国政府や外務大臣と事前に協議して、東京地裁の違憲判決を超越上告させて、全裁判官一致で「首相の統治行為については、国民の誰が違憲、違法として裁判所に訴えても、裁判所は受理しない」との趣旨の判決をし、これが確定した判例として維持されていることにある。
何の地位もない国民も、権力の違法、違憲にあったとき、これを裁判所に訴え、筋が通れば一市民で権力の行為を否定して救済されるのが、憲法が求める司法権の作用である。憲法32条の「何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪われない」の条文も、81条の「最高裁判所は、一切の法律・・処分が、憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」の条文を最高裁自らが無視して、行政権にべったりと追随した判例を作ったのであった。
更に本件では裁判前に、日米の政府と事前に協議しており憲法76条の、「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」との規定にも反する。つまり最高裁が、行政権を憲法、法律に優越する地位に置き、司法権自らの司法作用を放棄し、行政権にひれ伏した悪例を作ったのである。
先にわれわれは、憲法7条の「栄典授与」が「国民のために」とあるのに、戦争中、全国民生命、住宅を塵芥の如く焼き尽くす作戦を立案し、指揮したカーティス・ルメイに勲一等旭日大綬章を授けた政権の非を挙げたが、この憲法破壊、行政追随、国民無視の判例を作り、憲法擁護、人権尊重の最高使命を持つ最高裁が、その大使命に背き、憲法を無視して行政に奉仕した田中耕太郎長官には、裁判官では唯一、最高の勲章「大勲位菊花大綬章」が授けられていることに注意を払いたい。
この憲法破壊のA級戦犯ともいうべき田中法廷が遺した「統治行為論」に対し、すべての裁判官、弁護士の法曹は、是非、蹶起して司法の良心に戻ってこの悪判例を変更して呉れれば、既に成立した戦争・違憲の法律も、憲法98条で「違憲無効」として雲散霧消させられるべきものである。
その答えは、われわれが3月に発行した「パンフレット」に殆どすべて記載されている。われわれの会がこれからなすべきことは、全力を挙げてこれを世の人々に周知することである。顧みると、左翼、革新、護憲勢力と言われる多くの人々の献身的努力に関らず、政権の画策で違憲の国政が着実に進行し、護憲勢力は衰退の一途をたどらされている。われわれはその反省で、安倍政権の「(戦前)日本を取り戻す」のではなく、憲法制定時の「日本国憲法の求める国の形」を「一切の政治勢力とは独立して、ひたすら憲法の条文、否、前文にある理想のすべてを最高の権威」として、しかもシングルイッシュ―に偏らず全国政において、人々が権力に虐げられているすべての問題を提起して、その憲法的解答を示すことである。
パンフレット発行後も、政権は続々反憲法的政治を打ち出している。本日、当方でキャッチしている 「日本国憲法が求める国の形」補遺(一試案)を配布したがこれは当方で感じた仮の問題であり、これを誘い水として会員諸氏から遠慮なく問題の提起をして頂き、全員の討議を経て、取捨選択の上、会の意見を順次確定し、世間に発表し、国民の期待に応えて行きたいと考えている。
なおこの際、例えば二重国籍問題など、関係者が少数だから、これをマイナーな問題として排除するのではなく、個々の人権が侵されており、或いは、権力の越権があれば悉く取り上げて、人々の信頼に応えて行きたい。
政治による人民への侵害の問題が新たに起きている。これらにも対処して行きたい。例えば今、沖縄では、知事が非常な決意で沖縄のために政権と闘っている。沖縄は400年間ヤマトの植民地的な待遇を受けており、独立によってのみ国連憲章の「民族自決権」が獲得できるだろうことも、われわれの考察から排除しないことにしたいと考えている。
<別紙 2-2>
「日本国憲法が求める国の形」補遺(一試案)2015年9月6日
野村光司共同代表(『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)
憲法前文
第1項「日本国民は、・・国会における代表者を通じて行動し、・・政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることの無いように決意する」
国政権力の源泉は、国民が選挙した代表者よりなる国会に発するものであり(第41条参照)、かっての悲惨な戦争が、すべて行政府のみによって引き起こされたことを銘記し、政府独自に国民を縛る権能を決して与えてはなるまい。行政権において法律の根拠なく、国民の権利を制約することがあれば、憲法第12条が「自由及び権利は、国民の不断の闘争によって維持する義務がある」とするよう、国民はこれに抵抗する義務がある。
第2項「人間関係を支配する崇高な理想を深く自覚する」
(現行建国記念日の改定)
憲法は個人の「人間関係の崇高な理想」(high ideals controlling human relationship)と国家間の理想とを区別していないが、この理想は「心の中に人間愛、口に出す言葉にウソがない」ことに集約されよう。我が国の国家・社会の生活には偽装が充ち満ちており、その代表として建国記念日がある。全くの架空である紀元前660年2月11日を建国とすることは「(偽装国家日本の)建国記念日」としているので、これは改めねばならない。
同項「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの生存と安全を保持しようと決意した」
(永世中立宣言)
われわれが既に国連軍の存在に希望を掛けたところであるが、なお敗戦当時に国民の多くが考え、連合国からも示唆された「永世中立宣言」も考えるべきだと思う。スイスは 1815年に、オーストリアは1955年に、トルクメニスタンは1995年に、それぞれ周辺諸国との間で永世中立宣言をして、それぞれ200年間、60年間、20年間の全き平和を維持している。このためには先ず周辺諸国との間で国境問題と歴史問題とをクリアして、これらの国を我が国との関係で「平和を愛する国」としなければならないが、我が憲法はすでにその解決を用意している。なお、このためには米軍駐留の問題もクリアしなければならないだろう。
同項「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」
(難民受け入れへの努力)
われら日本国民は先の大戦で、ほとんどすべての国民が殺戮の戦場に動員され、たとえ国内に残っても爆撃で肉親を失い、恐怖にさいなまされ、飢えに苦しみ、家を焼かれ、山野に逃れ、困苦のなかに生き延びた経験を持つ。現在、中東に、アフリカに、アジアに、為政者たちの権力闘争の故に、国内、国外に難民となって流浪する無数の人々を見ている。これらの為政者の戦いを止め、平和をもたらす努力をするとともに、不幸にして難民となった人々をその恐怖と欠乏から救う努力をせねばならない。日本はこれらの難民を受け入れることに極端に消極的であることを国際社会から非難されていることに鑑み、その政策を抜本的に改め、戦乱が収まるまで安息の地を提供しなければならない。 (参考)ドイツ憲法16条2項「政治的に迫害された者は、庇護権 (Azylrecht) を有する」
(武器の製造、輸出の廃絶)
警察は国民を救うため犯罪者を検挙し、裁判にかけるのを目的とするが、軍隊の兵器はひたすら人間を殺すために用いられる物である。これを製造し、販売し、輸出することは、いわゆる「死の商人」であって、どこの国民をも恐怖に追い込む武器は、製造し、販売し、輸出してはならない。
第3項「「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」
(敵味方慰霊)
日本が周辺諸国を侵略したことは間違いない歴史的事実であり、1974年の国連総会決議「侵略の定義」からもそれは言える。われわれは侵略された側に立ってその気持ちを察しなければならない。例えばわが国が韓国に行った数々の非行、皇后を殺害し、総督政治を布き、政治的権利を全面的に奪い、日本語を強制し、日本名に創始改名を強いたことを反転して、日本の皇后が殺害され、韓国軍人を日本総督と仰ぎ、朝鮮語を強制され、朝鮮風に創始改名させられ、日本女性を韓国軍人の慰安婦に動員された屈辱を思いやらねばならないだろう。ドイツがやったように首相が被害者の記念碑に跪いて謝罪し、被害者に十分な補償をすべきことである。また戦争被害者の慰霊については、我が国には日本軍人の慰霊のみならず、日本軍に殺された敵方についても慰霊する「敵味方慰霊」の風習の多くの例を持つ。最近は沖縄の「平和の礎」に見るのみである。日本の戦争によって死んだ敵方の犠牲に対しても、併せて慰霊する行事が無くてはならない。
憲法本文
第7条第7号「国民のために栄典の授与を行う」
佐藤内閣のとき、カーティス・ルメイ米空軍将軍に勲一等旭日大綬章を授与した。ルメイは、45年の東京大空襲等、それまで軍事施設を中心に爆撃していたのを全国諸都市に無差別焦土作戦を建言し実行、数十万の同朋を殺害し、家屋を消滅させた敵将軍である。これに最高級の叙勲をしたことは、栄典法の制定が政権の恣意ではなく国民的見地からいかに必要かを示している。
文化勲章、国民栄誉賞、いずれも政権の恣意で行われている。文化も国民的栄誉も、その優劣を国家権力が判断すべきものかどうかも疑問がある。すべからく民間に任せて政府としては内閣賞勲局の存廃を含めて抜本的に整理すべきものであろう。
第9条第1項「武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
(集団的安全保障は明白に違憲)
外国軍と共に国外で行使される武力は、国内事件ではなくすべて国際紛争に対処するものであって当然に本項違反である。現政権が目論む米軍との集団的安全保障は、ほぼ米軍日本人部隊として参戦するものと言える。フランス外人部隊、インドネシア兵補、米軍二世部隊などは、外国主力部隊に「植民地兵」として参戦するのであって、自衛隊員の生命と日本国の血税を米軍に無償で提供する現政権の政策は、米議会ではスタンディングオベーションを得るのは当然で、一種の「売国的行為」と言える。
第10条「日本国民たる要件は法律で定める」
(国際結婚の子は当然二重国籍を認められる)
国籍取得の条件は法律で定められるが、その法律は第13条の規定によってすべての人に個人としての尊重が払われねばならない。国際結婚は益々増加しておりいわゆる混血児も多く存在するに至っている。これらの子供にとって、両親それぞれの国籍は本人のアイデンティティにとして尊重されねばならない。往時は国家間の戦争によってどちら側で戦うかで重要な意味を持ったが、戦争を廃絶した日本国憲法下のわが国ではこの配慮は殆ど必要が無い。双方の国を愛し、両国の平和を求める気持を尊重して二重国籍を認めても不都合なことは殆ど無いと思われる。
第14条「法の下に平等」
(賭博場経営における平等)
刑法では賭博場経営を犯罪として禁圧するが官僚立法によって経営される賭博は、競馬、競輪、競艇など当該官庁の利権として許されている。更にパチンコは当該犯罪取締り当局の協力によって、法的根拠もなく巨大賭博産業として成立している。「法の下の平等」は、法律さえ作れば回避できるのではなく法律自体も平等でなければならない。賭博関連の政治はカジノ法案を含め混乱を極めている。全体を見直して平等なものにしなければならないが、巨大すぎて改めて禁止するのは困難である。一旦、すべての賭博を自由化して、国論の統一を見てから新たに取締法を制定するのも一案であろう。
「性別により、政治的、経済的又は社会的関係において差別されない」
(女子クォーター制は違憲)
女子を男子に比べて不利に差別する事案があれば国はこれに制裁を加えて是正さるべきであるし、月経、出産など現実の不利があるときもこれを救済することは必要である。しかし「女子」であることだけで、これを男子より優遇するのは違憲である。
第15条第1項
「公務員を罷免することは、国民固有の権利である」
(公務員弾劾法の制定)
裁判官の身分は、憲法78条により、その身分は一般行政公務員より遙かに厳重に保障されている。しかし最高裁判所裁判官は憲法79条第2項以下で国民の審査によって罷免されることが規定され、また一般裁判官も裁判官弾劾法第15条によって「何人も、裁判官について弾劾による罷免の理由があると思料する時は、訴追委員会に対し、罷免の訴追をすべきことを求めることができる」として憲法15条に定める「国民固有の権利」に配慮されている。しかるに行政官僚については国家公務員法に基づき任命権者が懲戒処分として免職の処分もできるが、一般国民からの罷免の請求は国家公務員制定当初は「公務員の弾劾については別に法律で定める」としていたものを、やがて官僚起案の法律でこの条文は削除された。官僚は永く「お上」として人民に君臨し、人民からの批判は往々これに報復を加えて来た国情から削除されたものである。立法権は国会に専属し、国会は国民が有する官僚に対する固有の罷免権が適切に行使できるよう立法措置を講じなければならない。
同条3項「公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する」
(選挙権は公権であり、義務を含む)
例えば国会議員の選挙で投票する場合、個々の有権者は、自らの私益のために投票するのではなく、国民の代表者たるに適した国会議員の任命に参画する公権である。従って権利であるとともに、公益のために賢く選ぶ義務がある。若し常に自分の都合で常に棄権する者があるとすれば彼は「全体の奉仕者たるべき公務員」になる資格が無い。投票したかどうかは選挙管理員会において把握されているので、中央、地方の公務員の採用に当たっては、棄権常習者を受験資格から排除すべきである。公務員が棄権しなければ一般国民も棄権をしなくなる。
同条第4項「投票の秘密は、これを侵してはならない」
(出口調査)
マスコミが出口調査と称して、誰に投票したかを聞きただすことは本条に反する行為であるし、開票早々に候補者の当落を発表することは、公の選挙機関の多大な労力を侮辱するものであるから出口調査は禁止すべきである。
第20条第1項第1文「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する」
(A級戦犯の分祀を求めることはできない)
宗教団体である靖国神社がA級戦犯も神と崇めるのは自由であり、国や第三者が「分祀」を求めることはできない。近隣諸国との関係では、首相その他の公務員が本条第3項により、参拝しさえしなければ済むことである。
(植民地兵の分祀も求められない)
宗教団体などが何を神として尊崇するかはその宗教団体の自由である。宗教はそれを信じない者にとっては何の効果もない。「丑の刻参り」が秘かに行われる限り何らの犯罪も構成しないと同じく、他人はこれを放任する他ない。悪魔扱いを公然とされれば名誉棄損罪などの犯罪を構成すると思われる。
第21条第1項「一切の表現の自由は、これを保障する」
(公の施設の利用に当たって思想上の制限を加えてはならない)
自治体の公民館の利用について政権批判の集会に対して「政治的」を理由にこれを拒否する例が散見されるが、地方自治法10条2項の定める通り、住民は自治体の「役務の提供をひとしく受ける権利を有する」のであって、思想の内容によって制約を受けることはない。
(参考)ドイツ基本法第8条「すべてのドイツ人は、届け出又は許可なしに平穏に、かつ、武器を携帯しないで集会をする権利を有する。屋外の集会については、・・法律の根拠に基づいてこれを制限することができる」
(政府は外国での民間人の言論に非難を加えるべきではない)
言論の自由は、日本国民に対してのみならず外国人に対しても尊重しなければならない。外国の民間人が慰安婦像を建てようが、領有権を主張しようが、彼らの言論に対して我が政府機関が居丈高に非難することは、却って日本の道徳的権威を落すだけである。
ロシアの高官が北方四島に、韓国高官が竹島に上陸しても、彼らがある程度の領土権を持ち、かつ、実効支配中である限り、領域侵犯と非難すべきではない。無益な非難よりは速やかに領域確定の外交交渉をなすべきである。国連事務総長の中国パレードへの出席に抗議を申し入れるのも事務総長に対する云われなき非難である。
(教科書検定は検閲に当たる)
検閲とは出版物を発行する前に当局に審査され発行の是非を決められるもので、教科書会社が当局の検定を受け、結果によって販売が差し止められることは本条が禁止する検閲に当たる。この検閲制度により若者が日本の正しい近代史が教えられず、近隣諸国との平和が破壊されている現実がある。最高裁の判例では、検定が通らなくとも第三者にで売れるから合憲とするようであるが、正に情報の受け手である学校への販売を許されないのであれば、本条が禁止する検閲に当然該当する。
第22条第1項「何人も職業選択(営業)の自由を有する」
(経済制裁はしない)
北朝鮮との間で交通、貿易の制限が厳しいが、善意の中小事業者の営業権を阻害することが大きく、政治的効果も見ていない。自由に貿易させて、日本海側の経済の沈滞を止めねばならない。
第2項「何人も外国に移住する (move to a foreign country) 自由を侵されない」
(出国の制限をしてはならない)
本項は、住居を永久的に移転する移住のみならず、外国への旅行を含めてその自由を保証したものである。ジャーナリストが取材のためシリアに出国しようとしたところ、政府はその旅券を返納する命令を出して阻止したが、外国人の入国は一定の制限があっても、出国は完全に自由とすべきである。政府は本人の危険を慮り、かつ、外国で人質になった場合、その救出に多大の困難が伴うことを配慮するものであろうが、外国で犯罪に遭った場合、自衛隊を派遣するなど直接的な救出はできず、自己責任の原則を維持する他は無い。「政府が危険と考えれば、いつでも国民の自由を制限できる」とすることは、政府が政治上危険と判断する人物もまた自由に拘束できることになる。
北朝鮮拉致被害者が日本に来て再び北に帰って向こうの家族と落ち着き先を相談するときに、政府間の約束に反して「本人の意思に関らず出国させない」措置を取ったことは当時の官房副長官の権力取得の契機とはなったが、政府間の約束をこちらが破ったことになり、その後の交渉を困難ならしめている。すべからず被害者には両国往来の自由が確保されるべきものであった。
第23条「学問の自由はこれを保障する」
大學の自治は不可侵?
現政権は、大学に対し、行事ごとに日の丸を掲げ、君が代を斉唱することを求めた。学問の自由が大学の自治に直結するかどうかは検討の余地はあるが、大学における研究活動と教育活動ともに無条件に干渉を控えるべきである。
(文系予算の削減)
文科省から大学に文系学部の縮小、予算削減の通達があった。太平洋戦争が終盤近くなって、文系学徒の徴兵猶予が取り消されて学徒出陣となり、理系学生は兵器の開発に向ったのと同じ時代を招来しようとしているように見える。政治、哲学、社会の真実を究める学問は政治を批判するものとして削減を図っているようであるが、国民の文科的基礎を破壊する政治と思われ、これは阻止すべきである。
第25条「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
国は、すべての生活部面において社会福祉、社会保障、及び公衆衛生の向上及び増進に努めねばならない。」
(地球温暖化対策)
夏の猛暑は年々激しさを増して、異常気象による災害が多発し、多くの人が熱中症に苦しんでいる。その原因は二酸化炭素を主とする地球温暖化ガスの排出であることは明らかになっている。火力発電所の抑制、過度の自動車優遇措置の排除、そして充分抑止するに足る炭素税を課するなど、抜本的な措置を必要としている。
第26条「すべて国民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。すべて国民は、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負う」
(政治教育)
選挙年齢が18才に引き下げられ、学校教育において良き有権者を養成する必要性は高まった。政権筋からはこの教育に当たり偏向教育をする教員を処罰すべき旨の意向が示されている。教育は権力が望むところを国民に教え込むのではなく、生徒本人の幸福の為の権利として規定されている。従って政治教育も憲法第12条で定めるよう、その権利を不断の努力で保持させ、また97条で人類が獲得した基本的人権を日本国民に永久の権利として信託されたとし、また国の公務に服する場合もこの憲法99条で憲法を尊重し擁護する義務を学ぶものでなければならない。従って憲法を正しく教えることは学校の政治教育でも必須のことであり偏向教育として罰せられるものではない。憲法を曲げて人権を否定するような教育こそ、偏向教育として罰せられねばならないのである。日本でもアメリカでもその国民となる帰化の許可にあたっての宣誓は、「日本国憲法及びその他の法律を遵守する」となっている通りである。
(いじめの撲滅)
いじめは学校現場で広く存在し、被害者個人の人格の尊厳を根底から破壊し、しばしば死に至らしめる重大な犯罪行為であり、教育現場にとっても、国民に必要な教育を授ける施設たり得なくなる。学校はしばしば被害者に対して転校を勧めたり強くなれと教訓を与えるが、国家権力は先ず強制力を用いて加害者の加害行為を鎮圧して被害者を救済し教育の場を回復する責任がある。すなわち学校当局に懲戒権を認め、懲戒を担当する教員を指定し、或いは専担の警備員を置いて、苛めの探索と加害者の矯正に当たらせねばならない。
またいじめは、「村八分」と同じく、加害者・被害者の関係を解消させ難い閉鎖社会で起るものであり、この閉鎖性を打破することも重要である。すなわち憲法が求める「普通教育を受けさせる義務」とは、必ずしも一定地域の生徒をすべて同じ学校に行かせることではなく、一定の学習基準を充たす学習指導要領を遵守すれば、公私立を通じて複数の学校のいずれかに就学する自由を与えるべきである。
第29条「私有財産は正当な補償の下にこれを公共の為に用いることができる」
(領土を譲歩して平和が回復させる場合の補償)
択捉・国後や竹島は、ロシアや韓国の領有と認めて平和を回復した方が、公共の利益は遙かに大きいが、これに損害ありとする者は、本条を準用して補償すれば、僅かな譲歩で大きな平和を獲得する国益に適うことを知るべきである。石橋湛山は大正デモクラシーの頃、朝鮮・満州の植民地は放棄した方が遙かに国益に適うと論じたものであるが、これに倣うべきである。
第31条「何人も、法律の定める手続きによらなければ刑罰を科されない」
(被疑者呼ばわりの禁止)
対日平和条約で我が国が遵守を約した世界人権宣言では「公開の裁判で有罪の立証があるまでは無罪と推定される権利」を定めている。捜査段階で検挙されても無罪になる事件も多々あり、警察の捜査で直ちに「容疑者呼ばわり」をされるのは、法定外の制裁を受けていることになる。肩書がある人に対しては有罪が確定するまではその肩書を用いるべきである。また軽微な行政規則違反で名前をマスコミに公表するのも、法定されざる刑罰となり違憲であろう。
第66条第2項「国務大臣は、文民でなければならない」
「自衛官を大臣にしてはならない」
現政権には自衛官出身の防衛大臣が戦争法案成立に努力しており、本条の合理性を示ししているところである。
第73条「内閣は、左の事務を行う」
(官房長官の記者会見)
内閣官房長官が記者会見で、国会における審議状況、政治状況について語ることは越権である。
第80条「下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣でこれ任命する」
(裁判員は裁判に関与できない)
アメリカ憲法第3章第3条で「すべての犯罪の審理は陪審員をもってする」との規定があるが、日本の裁判員は憲法に規定が無く、法廷を構成することができない。
第81条関係
「最高裁判所は、一切の法律・・・又は処分が、憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である」
(「統治行為論」を許さない)
田中耕太郎を長官とする最高裁判所は、1960年「統治行為論」を持ち出し、政権が統治行為として判断する行為に対する訴訟は、裁判所がこれを受理しないという、国民の権利を確保する裁判所の司法権を全面的に抹殺する恐るべき判決を出し、以後、これが踏襲されている。よって現首相の集団的安全保障論を殆どの憲法学者、最高裁長官、法制局長官が違憲と断じても「私が国の最高責任者(最高権力者)、総理大臣の私が合憲と信ずる」と称しても何人もこれを司法の場で覆すことはないとの安心感によって暴走を重ねている。すべての裁判官、弁護士は、国民の権利を守るためこの判例を覆す最大限の努力を傾けるべきである。
第84条「あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには法律によることを必要とする」
(租税特別措置法は全廃)
憲法14条は「すべて国民は法の下に平等」たるべきことを要求している。たとえ法律で規定した税法であっても、他の者と平等の条件で税が定められていないとなれば「法の下に平等」とは言えない。所得税法、法人税法など基本税法は、原則として課税要件、税率などが規定されているが、租税特別法にはこれを大きく離れて政治家や官僚の「お友達」の業界、企業には様々な免税を施し、日本一の儲け頭も殆ど課税されていない不公平が多々ある。すべからく租税特別措置法は全廃すべきものである。
第90条「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査・・しなければならない」
(官房機密費も検査すべし)
首相、官房長官が支出する「官房機密費」は、領収書も不要、検査もしない慣例が続いているようであるが、これは「内閣から独立の地位を有する」(会計検査院法第1条)立場からも会計検査院は厳正に検査し、国民の血税の使い方について国民全体の立場から不適正なものがあれば、すべてを外部に公表するかどうかは別として矯正の措置を講じなければならない。トップの税金に対する姿勢は全行政機構に影響するからである。
第95条「一の地方公共団体のみに適用される特別法は、・・その地方公共団体の住民の投票に於いてその過半数の同意を得なければ、国会は、これを制定することはできない。」
(沖縄関連諸法には改めて住民投票に付する)
沖縄は1609年、薩摩の侵攻を受けて以来400年間、常に本土から植民地的な待遇に甘んじてきたところ、米軍基地を辺野古に新たに建設されるに至って県民も本土政府から独立して自己を主張するようになった。沖縄には沖縄振興開発特別措置法や米軍用地特別措置法など、沖縄にのみ適用される特別法が数個存在する。これらは憲法の本条に従って住民投票に掛け、全住民が納得できる特別法かどうかを確かめる必要がある。
条約についても内容が沖縄のみに過重な負担を掛けるものであれば、国会承認の前に沖縄県民の住民投票に付すべきものと思われる。
第98条2項「日本国が締結した条約は、これを誠実に遵守することを必要とする」
(政府間協定も尊重すべし)
国会で承認され批准された条約でなくとも首脳間で約束された協定は、政府間においては特段の事情がなければこれを遵守すべきものと準用されねばならない。日朝平壌宣言などは、棚ざらしなっているが復活して国交を回復すべきものと考える。
第99条「天皇、大臣、議員、裁判官その他の公務員はこの憲法を尊重し擁護する義務を負う」
(「憲法不敬罪」)
かつての帝国憲法では「天皇は神聖にして侵すべからず」と規定され、最高存在たる天皇に対する不敬は、死刑をも含む「不敬罪」が規定されていた。日本国憲法下では、この憲法が国の最高存在であり、96条による国会議員の職務以外で、総理大臣その他のすべての公務員において憲法を公然と誹謗し改悪を主張する場合は当然、第15条で一般国民からも罷免の請求を受け、或いは懲戒処分を受けるべきものである。
<別紙 3>
第21回例会 事務局報告
福田玲三(事務局)
1)ニュース21号への意見など
龍平四郎氏
今回も、ニュースの配信ありがとうございました。
9月18日付け 東京新聞朝刊で法案賛成派の小さい記事を見つけました。
政治に関心がある人には、それなりの説明して議論にもなりますが、多くの人は、添付したような意識です。
添付した記事のような問いに、「即答できる言葉がありますでしょうか」
みなさんは、どのように応えておられるか教えていただければと思います。
<添付>
安保賛成派も官邸前で集会
参加者の声として「戦争をしないための必要な法案」と訴えていた。
「いくら「戦争はしません」と言っていても向うから攻められたらどうするのか。 国の抑止力を高めるためにも必要だと思う」と話している。
「防衛力を高めての日本を守る体制をつくらないと、子供や孫が心配で仕方がない」
「九条を守れと言うけれど平和を守れるならこんな楽なことはない」
珍道世直氏
「ニュースNo21」をお届けいただき有難うございました。事務局報告の中で、私の「最高裁決定」の報告について多くの紙面をお取りくださり、報告いただきましたこと、心から感謝をいたしております。
この戦いは、今後も継続しなければと、心いたしております。
どうか今後ともご指導をお願いいたします。誠にありがとうございました。
2)S氏(『週刊金曜日』徳島読者会)意見書への回答について
① S氏意見書(要旨)
「日本国憲法によれば『天皇』は第4条第1項で『国政に関する権能』を認められておりません。一方、国民は第1条において「主権の存する」存在だとされていて、参政権を初めとする数々の権利が認められています。
私の考えでは、主権を凌駕する法的存在を認めることは出来ません。ところで『天皇』は、国政に関する権能を認められていないのですから、主権の存する国民と同等の法的地位を有する存在ではあり得ません。上でもあり得ないのですから、残るところは下だけではありませんか?すると、『天皇』は国民の権利をしのぐ特権的存在では到底あり得ません。」
② 野村回答 「天皇の憲法上の地位」(要旨)
「天皇は人間であり、外国人では無い日本国民の一人であることに疑問の余地は無い。」
「天皇は憲法の特別規定から14条とは別に生まれによって特別の地位を与えられた公務員の一人と解される。」
「天皇は国民統合の象徴として、すべてを包摂した義務を負っているので、国会議員、国務大臣その他、特定の職務を持った公職に就くことはできないが、国民すべてが持っている選挙権についてはこれを奪われる憲法規定は存在しないので、皇族も選挙権は否定されないと考える。」
③ S氏再意見書(要旨)
「お送りいただいた『天皇の憲法上の地位』は、先の手紙で私が指摘した問題に対して、直接応じる内容にはなっておりません。」
「『天皇』をして『日本国民の一人』だとみなす貴会のご見解には同意できません。なぜなら日本国憲法に言う日本国民は主権の存する存在のことだからです。そして先の手紙で『天皇』は日本国民とは別の法的地位にあると言っているのですから。そして、その法的地位は『国民』の地位より低いということを、日本国憲法の規定を論拠にして明確に示しています。」
これに対する草野、K、O、野村、福田の回答案、見解(省略)
3)戦争法案廃案!安倍政権退陣!国会行動
8・30国会10万人行動、9.14~9.18国会前行動に会員および支持者はそれぞれ積極的に参加した。
4)今後の日程
11月 1日(日)13:30~16:30 例会。港区・三田いきいきプラザ集会室。
11月 2日(月)14:00~17:00 編集委員会。虎ノ門・大阪大学東京オフイス。
11月22日(日)13:30~16:30 例会。港区・三田いきいきプラザ。
5)『日本会議の実態、そのめざすもの』入手希望
『週刊金曜日』種子島読書会W氏から表記パンフ入手の希望が事務局に寄せられ、手持ちのものを郵送。
6)青年劇場公演「真珠の首飾り」観劇
1946年2月、皇居前の第1生命ビルの1室でGHQ民政局のメンバーが極秘裡に日本国憲法草案を準備した。「真珠の首飾り」とはこの作戦行動の暗号だ。そこで行われた議論、そしてベアテ・シロタの果たした役割……作者・ジェームス三木がこの難題に取り組み、見事にひとつのドラマを作っていた。(9月24日、大田区民プラザでの公演)
<別紙 4>
立憲主義の保障―憲法の番人は誰か?
(2015年9月27日 弁護士 後藤富士子)
1)立憲主義をどのようにして保障するか ★「憲法の番人」の問題
権力担当者は立憲主義のもとでも権力を濫用しがち
人権や民主主義が憲法で定められていても、その侵害に対する救済手段が用意されなければ画餅
A.ハミルトン:違憲立法審査は裁判所がその権限と義務をもつ(1788年「ザ・フェデラリスト」)
E.J.シェイエス:違憲立法審査権をもつ憲法陪審制度(1795年共和暦3年憲法制定時)
☆番人が番人としてうまく機能するか(番人が狼に変身しないか)
☆誰が番人に適しているか、誰が番人の番をするか
☆うまく機能するための条件は何か
2)近代市民憲法と違憲立法審査制度
A.アメリカにおける導入
連邦議会制定法が連邦憲法に適合するかどうかの審査
1803年マーベリーVSマディソン事件連邦最高裁判決
「なにが法であるかを明らかにするのは、司法部の権限に属し、且つその義務である。特定の事件に対して法規範を適用する者は、必然的にその法規範を解明し解釈しなければならない。」「憲法が立法府の制定するすべての通常法に優越するものであるならば、憲法と通常法がともにあてはまるような事件を規律するのは、通常法ではなく、憲法でなければならない」
☆ ゲルマン法思想に由来する「司法権の優越」の思想
cf. イギリス:名誉革命で議会主権が樹立、硬性憲法が樹立されなかった→司法権の優越及ばず
B.フランスにおける排除
議会のみに、国政の基準となる法律(一般意思)を形成表示する「国民代表」の地位を認めた
=裁判所に、「国民代表」府が法律として表示した一般意思に干渉することが禁止された
☆ 「司法権の優越」の観念が成立しない背景事情
・立法権の優越 → 司法権の劣位
・革命期における裁判官(専門技術的知識が不可欠)に対する不信
・裁判所の判例でも裁判所による違憲立法審査は認められないとしている
★ 差異:議会と裁判所のいずれが立憲主義の擁護に適合的であるかの問題
3)現代市民憲法と違憲立法審査制度
現代市民憲法の際立った現象の一つ 違憲立法審査制度の一般化
審査機関 裁判所と政治機関 cf.フランス・・・憲法評議会(憲法院)
A.通常裁判所型(アメリカ、日本)
司法作用の一環:具体的事件を解決するために、当事者の主張により、審査する
下級審裁判所も審査権をもつ。当該事件についての個別的効力。
B.憲法裁判所型(ドイツ、韓国)
具体的な事件を前提とすることなく抽象的な憲法適合性の判断を目的とする「1審にして終審」
違憲と判断された法律は一般的に無効 ☆司法作用ではない
4)違憲立法審査制度の限界
① 制度上の限界 憲法問題の大部分は違憲立法審査の対象とならない
② マイナス機能への期待 憲法についての最高の有権解釈(国家機関による解釈)を認める(最高裁)
独裁のための手段として悪用 cf.ナポレオン1世、3世
③ 「憲法の番人」の番をどのようにするか
イ.構成員(裁判官)の任免について公平な人事 cf.グリシャム『ペリカン文書』
ロ.国民による統制制度 cf.リコール権=国民審査(憲法79条2項)
ハ.提訴権者を広くする
ニ.複数度の公開審査の保障
ホ.〈国民―国会〉のルートが正常に機能
国民の多数意思・利益が法律に反映されていることを前提として、少数者が憲法や憲法上の人権の名において争う制度。〈国民―国会〉のルートを機能マヒの状況にしておきながら、社会的多数者が政治的少数者として違憲立法審査制度によって民意を反映しない法律を争っていくことは、民主主義の観点からみて病理的かつ非能率。
★日本の現実・・・マイナス機能が目立つ
イ、ロ、ホの条件を充足させることが必要 ☆法律の改廃によって可能
違憲立法審査制度の機能は、国民代表制のあり方によって規定される。
完全護憲の会ニュース No.21 2015年 9月10日
さる8月23日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で8月例会を開催、参加者18名。入会者 計43名。
第20回 例会の報告
O編集委員が司会し、怪我のため欠席した岡部太郎共同代表(元『東京新聞』政治部長)からの政治現況報告(別紙1)を、宮崎会計監査が代読した。
ついで野村光司共同代表(『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)が都合により欠席のため、福田玲三共同代表(事務局担当)が事務局報告(別紙2)を行った。
その後、後藤富士子弁護士が「立憲主義と戦争放棄」の報告(別紙3)を行った。
これらの報告にたいする質疑応答は要旨次のとおり。
「岡部報告にある従軍慰安婦の強制連行については韓国に謝罪して解決すべきだ」
「従軍慰安婦は多くの場合仲介業者を経ている。ただ命にかかわる戦地に連れて行かれたのは問題だ」「騙されて慰安所に行かされた例が多い」「連行の契機・経緯だけを論ずることは妥当ではない。『慰安所』で、毎日、十数人を超える兵士の相手を次々にさせられたことを思うと身の毛がよだつ。これこそ性奴隷だ」(後藤弁護士)
「女性に対してだけではなく、男性に対する戦時の強制(徴兵)も考えるべきだ」「戦前は国民皆兵を疑うことができなかった。疑うとしたら非国民として一家一族が指弾された」「帝国軍隊は、兵站無しの片道切符で兵を海外に送った。また戦陣訓で『生きて虜囚の辱めを受けず』と、捕虜になることが許されなかった。捕虜の口から軍事機密の漏れるのを恐れたのだ」。
「当会の『設立趣意書』にある『日本国憲法の理念』の要約について、問題提起者のI氏と原案筆者のN氏との間で編集委員会の際に討議されたが、合意には至らなかった。本日はN氏欠席されているので、I氏から討議の感想を伺いたい」(福田共同代表)
「『理念』には立憲主義を明示的に掲げられていないので、立憲主義を加えたうえでの概念整理を提案したい。立憲主義を理念として掲げれば、『行政権の制限』『議会主義』などの他の理念は自ずから導出される。筆者本人のご体験は尊重されるべきとしても、万人が会の趣旨に賛同しやすくするためには、パンフの次期改版の際に見直しも必要ではないか」(I氏)
「第三者の立場で見て、I氏に分がある。憲法全文を暗記している私から見れば、『平和主義』『議会主義』『法治主義』というネーミングに、感心しない。またその列挙の仕方に、整合性・網羅性が見られない。憲法の骨格は、一言で言い尽くせる。『人間の尊厳は不可侵である。これを尊重し擁護することは、全ての国家権力の義務である』ということだ。
これはドイツ連邦共和国基本法(憲法)第1条だ。第2条以下は、全て、この第1条から導出される。他国の憲法だからと言ってこれを無視してはいけない。日本国憲法も、この『①人権尊重→②国家権力はそのための手段』という『二段構え』である。第十章最高法規の97条→98条→99条と、憲法前文『そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来する』に、それは端的に示されている」
「『完全護憲の会』の名称通り、天皇条項も含めて全条項を守らせるようにしよう、でいいではないか。現状で政治参加は投票だけになっている。権利闘争によって国民は幸福を追求すべきだ」(後藤弁護士)
「今、多くの人はそこそこ裕福だから、権利闘争といっても実感が湧かない。政治に関心がなく、選挙しないでも生きて行ける。ブラック企業で働かざるを得ないと言っても、家賃を払えてスマホを持てるくらいには裕福だ」
「私には、今が豊かだという実感はない。寧ろ、私が学生だった1968年頃の方が豊かだったように思う。公営住宅の家賃1万5000円滞納を理由に立ち退きを迫られた母親が、思い余って娘を絞め殺し、係員が踏み込んだときに、娘の生前のビデオを茫然と見ていた、という先般の事件を想起してほしい。現時点では職にあり付けている人も、いつ職を失うかわからない状態にしているのが、現下の法律と経済環境だ」(後藤弁護士)
「消費増税分はすべて社会保障に使うと首相は断言したが、消費税創設以来の増収分は220兆円以上、その間の法人税減税は200兆以上。消費税の9割が大企業の減税と同額だ」
「私は『立憲フォーラム』に所属している。この『フォーラム』で、日本最大の右派組織『日本会議の実態、そのめざすもの』という冊子を作成した。希望者には配付したい。政治に関与するには地元の都議や区議に電話するのが非常に有効だ」
「フランス革命当時、サンジュストという議員が言っている。『我々はこの国で、貧しい人、苦しんでいる人を、一人でも放置してはいけない。そのような人が居なくなって初めて我々は、フランス革命を達成したと言えるのだ』この発言は、後藤弁護士が本日推薦された岩波ジュニア新書シリーズで紹介されている。(遅塚忠窮著『フランス革命』)。このサンジュストは、『ベルサイユのばら』にも出てくる。遅塚忠窮著『フランス革命』や『ベルサイユのばら』を読まれることを、強くお勧めしたい」
「後藤弁護士は、日本人がGHQから良い憲法を与えられても、それをキチンと運用できない要因として、『革命を経験していない』ことを挙げられた。しかしそれでは、『今後も日本では、革命などできっこない。だから日本人は今後も憲法を充分に使えない』という結論につながってしまう。だから私は、日本人が革命を経験していないことを論う(あげつらう)のは間違いだと思う。戦後日本には、水俣病裁判、八幡製鉄政治献金訴訟、自衛官合祀違憲訴訟で闘ってきた人たちがいる。今のフランス人だって、実際に革命の場に居合わせたわけではなく、言葉や文化的表象(祝祭など)を通じてフランス革命を繰り返し擬似体験してきたからこそ、フランス革命の精神を体現した人権宣言をわが身のこととして捉えることが出来るのだ。それなら、日本の人々だって、時間的にも空間的にも離れていていても、後藤弁護士の紹介された岩波ジュニア新書等を勉強し、本日のご報告で怒りを新たにして、日本国憲法をその精神通りに実現するよう行動することが出来るはずだ。イェーリングという法学者は、『権利のための闘争』という古典でこう述べている。『何の苦労も無しに獲得された権利などというものは、コウノトリが持ってきた赤ん坊のようなものだ。コウノトリが持ってきただけならば、それはいつ、ハゲタカに持って行かれるか分からない。しかし、生命の危険を冒してまでわが子を産んだ母親は、ハゲタカがこれを奪うことを、断じて許さない。権利とは正にこれと同じだ』。この観点から、後藤弁護士の本日のレジュメには、モンテスキューなどの先達に加えて是非、イェーリングも挙げていただきたい」
「『完全護憲の会』が貴重なことは、明治憲法下の現実を体験された方々が実感していらっしゃると思う。だからこそ私は、『完全護憲』という言葉が大切だと思っている。しかし、『完全護憲の会』を掲げているのに、憲法が理解されていない現状には、泣きたくなる。(後藤弁護士)
次の例会・勉強会のご案内
日時 9月27日(日) 13:30~16:30
場所 港区・神明いきいきプラザ・集会室「憲法研究会」
〒105-0013 港区浜松町1-6-7 電話03-3436-2500
JR 山手線・京浜東北線、浜松町駅北口から徒歩4分
都営地下鉄、大門駅A2 出口から徒歩4分、B1出口から徒歩3分
報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
違憲の現状について 野村光司(「パンフレット」原案起草者)
事務局報告 福田玲三(事務局担当)
未定 後藤富士子(弁護士)
討議 報告および提案への質疑、意見
会場費 100円(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
(連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話 03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。)
次の編集委員会のご案内
日時 10月1日(木)14時~17時半
場所 大阪大学東京オフイス多目的室
東京都千代田区霞ケ関1-4-1 日土地ビル10階
アクセス:「虎の門」駅7番出口から北へ徒歩1分
「霞ケ関」駅A12号出口から南へ徒歩3分
(編集委員会に、ご都合のつく会員もご参加ください)
編集委員会(8月)の報告
第20回例会後の編集委員会が8月26日、大阪大学東京オフイス会議室で開かれた。出席者は草野、福田ほかO委員とK委員の4名で、以下の議題について討議し、合意した。
1.パンフレット配布活動について
① 諸集会における配布活動について
・集会参加者への無差別配布は反応少なく、財政上の問題もあり在庫の確保も必要なので当分見合わせる。
・集会主催者・講演者などの特定者への配布は継続する。
・上記特定者へのパンフ費用は「完全護憲の会」の負担とする。
・日本弁護士連合会主催の安保法制反対8・26日比谷集会(18:00~)にはK委員が参加対応する。
② 大使館など配布先リスト
◆在京大使館のリスト(住所・電話・ホームページURL付き)
http://www.plazahomes.co.jp/info/embassy/
USA・英・仏・独・露・中・韓・台湾・インドネシア・マレーシア・フィリピン・タイ・ベトナム・トルコ
・上記リストのすべてを配布対象とするか、選択するか、野村共同代表に一任する。実際の送付は事務局が担当する。
・大学各部局関係への送付はしばらく見合わせる。
③ 在京大使館への配布に伴って、パンフレットの「発表にあたってのごあいさつ」を英文化する。翻訳依頼をTさんに依頼。了承いただいた。
2.今後のパンフ制作活動について
① パンフ普及版の制作は中断し、当面先送りとする。
・普及版の原案作成を一任されていたK委員から、内容を詰めることの難しさと、現下の憲法情勢にそぐわないとの提起を受け、議論の結 果、中断・先送りを確認。
② 上記に代わって、野村共同代表の「第2版への活動」の提起も踏まえ、時宜に適した憲法問題を取り上げ、パンフ原本の「追補版第1集」「第2集」などとして適時制作・発行する(集会などでも無料配布できるように原価100円未満のもの)。これらを集約した形で原本の「第2版」発行につなげる。
3.例会における後藤弁護士の報告(講演)について
① 法律の専門家からの意欲的・刺激的な提起をいただき、大いに勉強になった。
② 8月23日の例会では、今後の3回にわたる報告テーマも構想されているが、当初、2回の予定でお願いした経過もあり、他の企画(福田共同代表の戦争体験報告や田中伸氏の憲法講談、パンフ追補版の内容検討など)もあるので、それら三回のテーマについては機会をあらためてお願いするとして、次回例会では後藤弁護士が現時点で最も提起したいテーマに絞っていただき(三つのうちの一つでも可)、報告をお願いすることとする。(担当:草野)
4.S氏の再回答要請・再意見書について
① S氏の最初の意見書に対して、野村共同代表が回答した内容に対する再回答要請を受け再回答が必要である。
② 憲法の法理論上の問題提起であり、難しい内容を含んでいる。私たちがこれに回答をなしうるかどうか議論。難しいがなんらかの回答をすべきとの結論。
③ 回答は最初の回答者でもある野村共同代表にお願いすべきだが、同代表の現在の健康状態を考慮すると無理させてはならない。代わりに草野編集委員長が原案を作成し、Eメールにて各編集委員に配付し、議論・検討の上、回答書を作成することとする。
5.完全護憲の会のホームページについて
① 8月20日付で「工事中」の表示を削除し、正式公開とした。会員の皆さんも随時閲覧できるので、周知する。(例会日程、会場案内なども把握できる)
② ホームページ管理担当者をO委員とする。
6.当面の日程について
① 9月第21回例会 9月27日(日)港区・神明(しんめい)いきいきプラザ
② 9月第17回編集委員会 9月30日(水)を10月1日(木)に変更
③ 10月第22回例会 10月25日(日)を11月1日(日)に変更
④ 10月第18回編集委員会 10月27日(火)を11月2日(月)に変更
ご案内
青年劇場創立50周年記念公演。ジェームス三木=作「真珠の首飾り」(国民主権・戦争放棄・基本的人権の尊重)9月11日~20日(紀伊國屋ホール)、9月24日(大田区民プラザ)、9月25日(かめありリオホール)。前売り=一般5150円、30歳以下3100円、高校生2000円。青年劇場チケットサービス(03-3352-7200)
<別紙 1>
政治現況報告 2015年8月23日
岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)
敗戦後70年のこの夏は過去や今後を改めて考える夏だった。6月の沖縄玉砕、8月6日、9日の広島・長崎の原爆忌。そして8月15日の敗戦記念日。政府は戦後70年の安倍首相談話を14日に閣議決定した。終戦記念日の談話は戦後50年の村山首相談話、60年の小泉首相談話の2回あった。特に村山首相談話は日本の侵略と植民地支配の誤りを初めて公式に認め、「痛切な反省」と「心からのお詫び」を表明する画期的なもの。この点は小泉談話も完全に踏襲した。
ところで安倍首相は昨年から「70年談話」にこだわっていた。かねてから「戦後レジーム」(体制)の刷新を旗印にしていた安倍は、機会あるごとに、従来の談話とは違う未来型の談話にすると表明。村山談話には批判的で、内閣に自分の考えに近い有識者を集めた「21世紀懇談会」を設け、談話内容を検討させていた。
恐らく、この70年間で、日本は平和を守ったのだから、戦後に一区切りをつけ、将来の「積極的平和主義」転換を約束、米軍あるいは友好国の平和戦略を「日本が支援する」との安倍流、集団的自衛権構想を表明する計画だった。じかし、閣議決定された談話は、この思惑に反し、「侵略」「植民地支配」「反省」「お詫び」の4つのキーワードを従来通り使ったものになった。しかも「私は」の主語ではない「我々は」とか「国は」とか間接話法を使った抽象的表現で、本当の反省やお詫びにはほど遠い。これは意に反して懇談会の答申が、侵略や反省を入れろというものであったり、公明党の山口委員長から「村山談話を明確に踏襲を」と迫られたため、初めの意図とちがうものに。自民党の幹部や側近から「わざわざ談話を出す意味がなかった」とまで言われた。
これなら潔く侵略の歴史認識を明言し、はっきり謝罪をし、70年を機会に、これからは前向きに付き合おうと明言した方がよかった。また韓国の従軍慰安婦問題も「女性の人権侵害問題」とあいまいにした。「次の世代に謝罪を続ける宿命を負わせてはならない」というのなら、自ら日韓首脳会談で従軍慰安婦賠償にケリをつけ、日韓の懸案を無くすべきだろう。その事は中国との歴史問題の決着についても云える。
自ら解決の意欲なく、口先だけの談話なら、まさに必要なかった。談話の翌日、全国戦没者慰霊祭での天皇のお言葉「過去の大戦への深い反省」と「戦後70年、平和の存続を切望する国民の意識に支えられ、日本は今日の平和と繁栄を築いて来た」の方が、ずっと心に染みる平和への発言だった。
<別紙 2>
第20回例会 事務局報告
福田玲三(事務局)
1)ニュース20号への意見など
龍平四郎氏
今回も読んで勉強させていただきました。
岡部太郎氏の政治現況報告は、おさらいとして状況の再確認ができました。
野村代表よりの憲法問題(案)はすこし理解しにくかったです。
稲田氏意見(別紙5)は、会の理念などがすこし理解しやすい内容(文章)に近づいたかなと思います。今後検討されるようですので、方向性としてはいいのではないでしょうか。
弁護士 後藤富士子氏(別紙4)について。読ませていただくと、お話の内容はそのとおりだと思います。大筋の記事が、重箱の隅をほじくるように思えてなりません。
「法律主義」は合憲か?の最後の下り、「事実婚」擁護の場面で近親者や重婚でも、当事者の自治に任せればいい。「個人の尊厳」は国家が付与してくれるものではなく、人が実現するものである。 私は思う。個人の尊厳も秩序のうえに成立するのではないでしょうか。
今回もたいへん勉強になり、ありがとうございました。(後略)
『週刊金曜日』倉敷読書会(堀井進)
先日は『日本国憲法が求める国の形』10冊を確かに受け取りました。読書会で話し合ったところ、今後1年間、テキストとしてみんなで討論、学習してみようということになりました。昨日(7/29)、5000円を送金しましたので再度(前回と同じく)10冊送付して下されば幸いです。(後略)
『週刊金曜日』東濃読者会
ぎふ東濃読者会のTです。昨日(ニュース20号が)届きました。今週末の読者会にて紹介させて頂きます。
S・K氏(東京)
いつも(例会の)案内をいただきましてありがとうございます。申し遅れましたが、会のニュースはあらためて身のひきしまる思いで拝読させていただきました。(後略)
2)珍道世直氏からの最高裁決定についてのご報告
「完全護憲の会」におかれましては、本件訴訟についてご注視賜り、心から感謝いたしております。
ご承知のように私は、平成26年7月1日、安倍内閣が行った「集団的自衛権の行使を容認する閣議決定(正式名称-国の存立を全うし、国民を守るための切れ目のない安全保障法制の整備について)」の「3 憲法第9条の下で許容される自衛の措置」は、憲法第9条に違反する決定であり、無効であることの確認を求める請求を行って参りました。
このたび、最高裁判所第二小法廷(裁判長 山本庸幸)から、調書(決定)が送達(7月30日)されましたので、ご報告いたします。
決定の内容は、「本件上告を棄却する。」とし、理由として、「民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、 本件上告の理由は、違憲をいうが、その実質は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。」とされております。
本件上告は、民訴法312条1項に基づき、「憲法の違反があることを理由として」行ったものでありますが、裁判所は、「違憲をいうが、その実質は単なる法令違反を主張するものであって、」として、「違憲の主張」を「法令違反の主張」ととらえて、「違憲」か「合憲」かの憲法判断を回避したものと推量されます。
「違憲な閣議決定」から「違憲な安全保障法制案」が発出され、国会で違憲、合憲が激しく対決し、多くの憲法学者や弁護士らが違憲と表明し、300を超える地方議会から、国会や政府に意見書が提出されている中、今この時にこそ、最高裁は国家・国民の為に、司法としての使命を果されるべきであります。
本件訴訟を通じて、このことを示されなかったことは、最高裁は「違憲審査権」を放棄したに等しく、「三権分立の原則」の崩壊につながる憂慮すべき事態であると考えます。最高裁が、速やかに「安全保障法制」について、憲法判断を下されるよう切望する処です。
本件訴訟が、このような形で終審しましたことは、誠に無念であります。
しかし、最高裁に対しては「抗告」手続きがないとのことですので、本件については終結せざるを得ないと考えております。
「完全護憲の会」におかれましては、本件訴訟を進めるに当って、大きなお支えとお励ましを賜りました。ご厚情に心から感謝申し上げます。
誠にありがとうございました。謹んで、ご報告申し上げます。(太字は原文のまま)
3)パンフの普及
①野村光司氏が8月15日、プロテスタント教会主催「平和を祈る憲法研究会」で講演、質疑を受け、受講者に当会パンフを紹介。
②『週刊金曜日』奈良五条読者会より5冊受注。
③『週刊金曜日』札幌西読者会より2冊受注。
④『週刊金曜日』東三河読者会より13冊受注。
⑤『週刊金曜日』徳島読者会より10冊受注。
⑥『週刊金曜日』足利読者会より22冊受注。
⑦『週刊金曜日』京都読者会より5冊受注。
⑧『週刊金曜日』倉敷読者会より20冊受注。
⑨名古屋市S・S氏より10冊受注。
4)今後の日程
9月27日(日)13:30~16:30 例会。港区・神明いきいきプラザ集会室。
10月 1日(木)14:00~17:00 編集委員会。虎の門・大阪大学東京オフイス。
11月 1日(日)13:30~16:30 例会。港区・三田いきいきプラザ集会室。
11月 2日(月)14:00~17:00 編集委員会。虎ノ門・大阪大学東京オフイス。
11月22日(日)13:30~16:30 例会。港区・三田いきいきプラザ。
<別紙 3>
立憲主義と戦争放棄(要旨)2015年8月23日
弁護士 後藤富士子
1)近代立憲主義の特色
米仏で市民革命の結果導入された立憲主義
政治の基本的ルールを憲法で定め、それに反する権力の組織と行使を排除しようとする
①人権の目的性と権力の手段性
②国民主権と権力分立制 ☆権力は国民の所有物
1789年仏人権宣言16条
「権利の保障が確保されず、権力の分立が規定されない社会は、すべて憲法をもたない」
☆「憲法による政治」・・権力担当者は、憲法で国民から明示的に授権されていることしかできない
憲法=授権規範 cf. 立憲主義・・「憲法は権力者を縛るもの」(憲法の拘束力)
2)「外見的立憲主義」・・「上からの近代化」=旧特権階級のイニシアチブによる資本主義化
①人権の観念の否認
②国民主権の排除
③権力分立の外見性
☆「憲法による政治」・・権力者は、憲法で明示的に禁止されていないことは全て行うことができる
憲法=禁止規範 cf. 立憲主義・・「憲法は権力者を縛るもの」(憲法の拘束力)
3)日本国憲法と立憲主義
明治憲法から日本国憲法への移行 法的には革命
①基本的人権の観念
②国民主権の原理
③権力分立制
④立憲主義の宣言 99条、98条1項、81条
⑤憲法の拘束力 国会・内閣・裁判所等は憲法上明示的に授権されていることしかできない
憲法を運用する現実の政治は、明治憲法的な運用の仕方を多面で継承し、立憲主義の実行に消極的
①憲法の拘束力 憲法上明示的に禁止されていないことはできる
②「解釈改憲」の手法 cf.「立法」概念、「戦力」概念
③違憲立法審査による正当化 cf.「砂川判決」、戸別訪問禁止
政治が憲法の規制から解放される状況をもたらしている要因
①市民革命の実体を欠いた日本国憲法の制定
②憲法から離脱する政治を求めてやまない日米安保体制
③憲法改正を党是とする自民党の長期政権独占 ☆政権交代・・・
立憲主義のために
①国民が憲法を自己のものとして、憲法によって政治を監視し、批判し、抵抗すること
②立憲主義の創始者たちの視点の再確認
モンテスキュー「権力を担当する者は、権力を濫用しがちである」
ヴァレル「人間は本来傲慢に創られており、高位につくと必然的に専制に向かっていく」
ジェファーソン「信頼はどこでも専制の親である」「憲法の鎖によって非行を行わないように拘束する必要がある」
4)戦争の放棄
(1)「戦争の放棄」を「国民の権利及び義務」に先行させたのは何故?
・市民憲法・・人権の保障が政治の目的であり、政治・統治機構はそのための手段
・伝統的な軍隊・戦争観・・外国の侵略から国家の独立と国民の権利・利益を守る手段
・その破綻・・国家の独立と人権を守るための戦争そのものがジェノサイド的性格をもつに至る
・戦争は基本的人権を破壊する手段であり、平和こそがその享受のための不可欠の前提条件
(2) 第9条の構造
①前文の平和主義、②第9条の解釈、③憲法制定時における政府の説明
(3) 第9条の運用
①警察予備隊の発足、②旧日米安保条約と米軍の駐留、③保安隊・海上警備隊の発足、④MSA協定の締結と自衛隊の発足、⑤現行日米安保条約の締結、
⑥「日米防衛協定のための指針(ガイドライン)」、⑦「指針」後におけるエスカレーション
(4) 現代における「戦争の放棄」の意義
①立憲主義の観点から 「解釈改憲」は専制政治の親
②軍事の観点から
・文明と戦争は両立しない 幣原の指摘
・日米安保体制による他律的な核戦争の危険
③経済・財政の観点から
・ディグラスの指摘 『軍拡と経済衰退』
・第9条の経済的効果 cf.軍拡と社会主義 ソ連崩壊
(5) 初心に戻る・・第9条の出番
(以上)
(注・事務局)聴者にとって印象深かった箇所をゴチックにさせていただいた。
なお後藤弁護士は、杉原泰雄著『憲法読本』第4版(岩波ジュニア新書)を、とくに推薦された。
完全護憲の会ニュース №20 2015年8月10日
さる7月26日(日)、神保町・学士会館地下1階大阪大学連絡室で7月例会を開催、参加者22名。入会者 計42名。
第19回 例会の報告
草野好文(編集委員会・委員長)が司会し、まず岡部太郎共同代表(元『東京新聞』政治部長)が政治現況報告(別紙1)を行った。
ついで野村光司共同代表(『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)が最近の事例にかかわる護憲上の問題点として「3月パンフ発行以後の憲法問題(案)」(別紙2)を提起し、これは今後の検討に委ねられることとなった。
ついで福田玲三共同代表(事務局担当)が事務局報告(別紙3)を行った。
次に後藤富士子弁護士が憲法24条(家庭生活における個人の尊厳と両性の平等)について報告(別紙4)を行った。
新参加者の自己紹介では、栃木県から参加した週刊金曜日の読者会として、当会パンフ23部の注文をいただいた。また参加者の田中伸氏からは、『東京新聞』7月25日(夕)に文京区の市民憲法学習会で安保法案をテーマに語った創作小話が写真入りで紹介されたことが報告された。
各種報告にたいする全般的な質問として、「『現在の日米条約は、日本がアメリカから守ってもらうだけの片務的なものだから、日本も自衛隊員をアメリカのために出動させることで双務的なものにすべきだ』との主張に対し、どう対抗すべきか?」の発言。これに対しては「この『日米安保=片務』論は、典型的な言いがかりだ。今でさえ日本は、年間7,000億円ものカネを米軍駐留に支出している。東京上空の広大な空域は米軍専用とされているために、西日本に向かう民間航空機は千葉まで遠回りを強いられる。また、強姦を始めとする悲惨な犯罪が米軍軍属によって犯されても、治外法権であり、容疑者はフリーパスで本国へ帰れる。このような事実は、矢部宏治著『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』が具体的に詳述している」と参加者相互が回答した。
「山梨県で中学生から30代の若い女性が白装束で、お経を唱えながら行列していた。観光バス5~6台くらいを連ねる大規模なものだった。前日には男性も同様の行列を行ったとのこと。こういう宗教団体による動員にくらべ、『完全護憲の会』も、若い人たちがたくさん参加してもらえるようにすべきではないか。」の貴重な意見もあった。
以上のような意見が交わされた後、事務局から8月の例会と編集委員会について次の案内があった。
次の例会・勉強会のご案内
日時 8月23日(日) 13:30~16:30
場所 三田いきいきプラザ・集会室A「憲法研究会」
〒108-0014 港区芝4-1-17 電話03-3452-9421
JR 山手線・京浜東北線、田町駅西口から徒歩8分
地下鉄 三田線・浅草線 三田駅 A9 出口から徒歩1分
報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
護憲の現状について 野村光司(「パンフレット」原案起草者)
事務局報告 福田玲三(事務局担当)
憲法と司法制度(案) 後藤富士子(弁護士)
討議 報告および提案への質疑、意見
参加費 無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
(連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。)
次の編集委員会のご案内
日時 8月26日(水)14時~17時半
場所 大阪大学東京オフイス多目的室
東京都千代田区霞ケ関1-4-1 日土地ビル10階
アクセス:「虎の門」駅7番出口から北へ徒歩1分
「霞ケ関」駅A12号出口から南へ徒歩3分
(編集委員会に、ご都合のつく会員もご参加ください)
編集委員会(7月)の報告
第19回例会後の編集委員会が7月30日、大阪大学東京オフイス会議室で開かれた。出席者は野村、草野、福田のほか3名の編集委員と稲田氏の7人。以下の議題について討
議、決定した。
1.パンフレット配布活動
① 議員会館における国会議員全員への配布について。しばらく時期を検討する。
② 著名人、大使館など配布先リストの作成。(担当:K、福田)
・一定数作成しだい、順次送る。(担当:O)
2.会員・読者からの手紙(批判的意見含む)
① 山岡氏から当会に期待する手紙をを紹介。
② 白井氏からの手紙を検討。
・第1条、第2条の天皇条項に関して、天皇を特権的存在と認識する貴会パンフの見解と大きく異なる旨。―→返信担当:野村
③ 長坂氏よりの訴状を紹介
・「集団的自衛権行使容認」閣議決定に対して違憲訴訟準備。―→返信担当:福田
3.Sさんの意見と例会の持ち方
① 例会の時間配分不適切。出席者が一言も発言できないことあり。運営の見直しを。
・Sさんの意見にしたがい、討議の時間を確保するため、主催者側の報告を以下の時間配分としたい。
岡部報告:20分、野村報告10分とし、この後、質疑応答30分とる。
このあと、福田事務局報告10分とする。
・特別報告(講演)は提起30分、質疑15分とする。
・参加者ができるだけ多く発言できるよう、質疑の時間を多くとる。
② 新参加者(入会者に限らず)の紹介を行い、その発言の時間も確保する。
③ 戦争体験を聞きたい、という要望に応える企画を考える。
4.稲田氏意見(別紙)と稲田意見採用草野修正案(別紙)の検討
① パンフ設立趣意書の「日本国憲法の理念」の内容をめぐって議論。
・稲田意見、草野修正案を採用すべき、との意見多。(O、K、川本)
・現行パンフの「理念」のままで良い、変える必要なし(野村)。特に「行政権力の抑制」は不可欠、削ることに反対(野村、福田)
・現行野村理念は夢・詩がある。草野修正案は理屈っぽい。草野修正案を各項目1行で表現したい。(福田)
② 上記稲田意見、草野修正案、野村現行案、福田修正案を継続議論とし、例会にも提示して議論することで合意。
5.パンフ普及版について
① 普及版の内容についてそのイメージが定まらない、ということで議論。
・田中氏のアイデアを活かして、自民に対抗する漫画版にしてはどうか、との提案あり。田中氏と相談してみる。(福田)
・重要10項目をもとに検討している。(K)
② 当面、上記2案を併行してすすめる、との結論。
6.「完全護憲の会」ホームページについて
① これまで、「工事中」としてホームページの作成に携わってきた川本さんが、他のホームページ作成も抱えて多忙なため、正式にHP担当者を決定。全体の管理責任者として福田、直接の担当者をOとすること確認。
② 近日中にトップページの「工事中」を削除し、正式公開とする。
③ 多くの会員にも参加(会員ブログの活用)してもらい、充実したHPとしたい。
ご案内
戦争体験者による講演会。8月28日(金)18:00~20:30 於:大田区消費者生活センター第4集会室(JR蒲田東口徒歩4分)
講師:野村光司氏(完全護憲の会・共同代表)、信太正道氏(厭戦庶民の会・代表)。
会費 500円 。 問合せ 090-6711-9251(週刊金曜日東京南部読者会・杉本)
青年劇場創立50周年記念公演。ジェームス三木=作「真珠の首飾り」(国民主権・戦争放棄・基本的人権の尊重)
9月11日~20日(紀伊國屋ホール)、9月24日(大田区民プラザ)、9月25日(かめありリオホール)。
前売り=一般5150円、30歳以下3100円、高校生2000円。
青年劇場チケットサービス(03-3352-7200)
<別紙 1>
政治現況報告
岡部太郎共同代表
憲法の専門家や過半数を超える多くの国民が反対する中、安倍首相と自民・公明両党は、今国会に提出した安保関連12法案の審議を打ち切り、7月15日に衆院安保特別委で野党反対の中で強行採決。16日には衆院本会議で、民主・維新・共産・社民など野党五党が 採決を拒否、退席したあと強行採決し、参院へ送った。安倍首相自身が「国民の理解が進んでいない」ことを認めながらの暴挙だった。何が何でも解釈改憲で「違憲」の集団的自衛権を押し通すハラだ。参院の審議も来週から始まる。
ところで何故、自民党は憲法改正を結党以来主要政策として掲げ、こんなに急いで軍備拡張の安保法制へ突き進むのか。簡単に振り返ってみよう。
太平洋戦争に破れて無条件降伏、米軍など連合国に占領された日本は、外交官の吉田茂が首相になって、自由党が政権を握った。いわばアメリカ寄りの政権だ。また米国は戦犯裁判と同時に、戦争に協力した政治家を公職追放して、政治にかかわれなくした。その代表が岸信介や鳩山一郎だった。その間、昭和22年新憲法(平和憲法)が制定され、日本は戦争を放棄、交戦権も軍隊も持てなくして70年が過ぎた。
追放されたものは、日米講和条約の発効で独立を果たすと解除され、続々と政界へ復帰した。鳩山は岸や石橋湛山、三木武吉などと鳩山自民党を立ち上げ、昭和30年の保守合同で自由民主党の総裁・首相になると、親米の吉田路線を排し、日ソ友好条約を締結した。戦犯・追放の憎い米国や吉田と距離を置き、新憲法に対しても憎いアメリカから押し付けられた憲法として、党の政策に改憲を盛り込んだ。吉田は佐藤栄作などと共に最初の自民党に参加できなかった。
鳩山から石橋と体調が悪く引退した中で、戦犯だった岸が外相から首相となった。岸は日米安保が不平等条約だと改正に取り組み、訪米してアイゼンハワーに改正を約束。日本へ招待した。安保騒動は、成立に合せたアイク訪日、そのための安保条約強行採決とムリを重ねたため、一気に拡大、衝突で樺美智子が死んだため、デモが拡大、アイクは訪日を取り止め、条約が自然成立した日に岸は退陣した。そのあと、池田・佐藤と長く本流政権が続いたため、改憲気運は遠のき、今日に至った。安倍は全く岸と同じ路線を歩いている。しかし鳩山自民党や岸の憲法改正、非米路線につながる安倍が、超親米路線で、自衛隊を紛争米軍の先頭に立たせると云うのだから、こんな矛盾はない。支離滅裂と云うことになる。
今回の安保法案強行採決で、予想以上に国民の反対世論が持ち上がっている。その後、行われた各紙の安保法での世論調査で、大半が「反対」に回った。
読売(反対50 賛成36) 朝日(反対56 賛成26) 毎日(反対58 賛成29)
日経(反対57 賛成25) NHK(評価しない61 評価32)
共同通信(反対61 賛成27)
サンケイを除いて全ての調査で反対が過半数を超えた。
また内閣支持率では、朝日が支持37%、不支持46%と安倍第二次内閣で初めて不支持が上回り、安保法案の強行採決は「よくない69%」「今国会で成立させる必要あり20%」だった。また共同通信社による調査結果でも、内閣支持が6月の46%から37%に急落、支持しないは43%から51.6%と増え、これも初めて不支持が増えて逆転した。また「安保法案が憲法に違反していると思う」が56.6%、「政権が安保法案について十分に説明しているとは思わない」は82.9%にのぼり、与党の公明党支持層でも94%、自民党支持層でも64.4%、無党派層でも90.8%とほぼ潰滅状態。それでも安倍首相は「支持率で政治をやっていない」とうそぶく。
国民の声に従って国政を動かすのが民主主義の政治家。自分で俺は独裁者だと云っているのと同じだ。
参院では10増10減の選挙区改正が成立した。初めての2合区。自公の対応が初めて別れた。
<別紙 2>
3月パンフ以後の憲法問題(案)
野村光司共同代表
憲法前文
(1項第1文関係)
「日本国民は、国会における代表者を通じて行動」
国会で発議、制定された法律以外の、行政府要請には決して従わない決意。
陸軍刑法では捕虜になっても罰せられないのに、陸軍大臣の訓令に過ぎない戦陣訓で多くの青年が自決させられた。
現在も幾多の行政指導で数多の自由が制限されている。国歌・国旗法には強制規定がないのに教委が教員を処罰している。
(2項第1文関係)
「人間関係を支配する崇高な理想」の確認。
法学者にどう読まれているか?人間愛(人権)と言葉の神聖(法治主義)、
あらゆる虚偽を国政から排除。
建国記念日のウソ。紀元前660年の2月11日は、全くの虚偽。(偽装大国)日本の建国記念日。
「消費税」のウソ。現実は「付加価値税」消費者に租税行政に関係なし。納税義務者は事業者であって一般消費者ではない。「税込」の販売価格のみを表示すべし。
「全世界の国民 (all peoples of the world) が、等しく恐怖から免れ、平和のうちに生存する権利」の確認。
「死の商人」となって武器輸出をしない。
(3項関係)
「他国を無視してはならない」
「日本が韓国の植民地になる」民族感情を理解する。日本の皇后陛下が韓国外交官に惨殺される。日本人に選挙権その他の参政権無く、韓国軍人の日本総督の命令が法律となり、死刑にもなる。
卑しい日本語の使用を禁止、卑しい日本名を改め韓国姓を名乗らされる。韓国からの独立運動は徹底的に弾圧される。日本人は強制的に徴用され、韓国の鉱山、工場で重労働に服させられる。日本女性を韓国兵の慰安婦とし、戦場に連れまわされる。
天皇皇后の敵味方慰霊の旅、日本各地の敵味方慰霊の事例。
対照的な首相の靖国参拝、圧力重視のアジア外交、戦国秦の遠交近攻政策(戦争準備の外交)。
憲法本文
(第1条関係)
「天皇の地位は主権の存する日本国民の総意に基づく」
天皇制か特定天皇の地位か。国民投票で退位して貰う国民投票法もできず、現天皇家を否定する民意は今のところない。
(第7条関係)
栄典授与(国民のために)の悪例
東京大空襲等、無差別都市絨毯爆撃による焦土作戦を建言し、数十万の同胞を殺し数十万の家屋を焼く作戦を指揮したルメイ将軍に勲一等旭日大綬章を授与(佐藤政権)。
巨額の血税を消費し、違憲でもある航空自衛隊創設を賞すべきか。
(第9条関係)
「国際紛争を解決する手段」
日本国土で発生した紛争、侵略には武力を用いても、国外での武力行使は一切できない。
集団的安全保障:米軍補助部隊。インドネシアの日本軍「兵補」、英国軍のグルカ兵、関東軍の満州国軍。
戦時の統合指揮権:韓国軍は米軍に、と協定、日米秘密協定。
他国の傭兵で、戦費は日本負担:米議会のstanding ovation(全員起立拍手)は当然。
(第14条関係)
従軍慰安婦。特に朝鮮人女性を動員して日本兵士の慰安に供したのは民族差別。
ギャンブルと国政。統一した政策が無い。 カジノ、パチンコ、競輪・競馬、競艇、麻雀。
被害者無き犯罪。麻薬、マリファナ、売春。
(第15条関係)
18才以上に選挙権が与えられた。若者の棄権が多い中で更なる若者に公民教育の必要、自民党は教員の「偏向教育」に罰則。憲法教育は教員の義務。
投票権の本質。選挙権は選挙人に私益を与えるものでなく、全体の利益のため適正な代表者を選定する公の権限である。公権には義務が伴う。この公務を果たさない常習的棄権者は、その他の公職に任ぜられる資格なし。
(第18条関係)
自民憲法改正案「何人も、その意に反すると否とにかかわらず、社会的又は経済的関係において身体を拘束されない」
国防的、軍事的、政治的関係において政権から求められれば、兵役も警察的拘留も忍ばねばならない。
(第20条関係)
何人も、靖国神社にA級戦犯の分祀を要求できない。何人を神と崇めても、止めさせることはできない。
公然と呪いの儀式をしない限り、秘かに「丑の時参り」をしても現世的害悪は何も無い。
(第21条関係)
「一切の表現の自由は(無条件に)保障する」
政権批判集会への公民館貸出拒否。
多数申し込みの整理、使用料以外に、言論内容での差別は職権乱用。「住民は、自治体提供の役務を均しく受ける権利あり」(自治法10条2項)。
参考:ドイツ基本法(8条)は、屋内集会と屋外集会を区別し屋内は完全自由。
「検閲をしてはならない」
教科書検定は「検閲」。「表現の自由」は無条件。予想される需要者(学校)への発信が権力に妨げられてはならない。
検定を廃止した場合の学校現場の教科書選択はどうするか?PTA、学識経験者の合同委員会?
自民党「文化、芸術、政策懇談会」
「国を過つメディアには広告を載せるな」「沖縄2紙はぶっつぶせ」
スターリン、ナチス、戦前日本の思想表現統制。政権に不利な文化を弾圧し、有利なものだけに整理する。
ヘイトスピーチと言論の自由
言論の自由は、思想の自由な交換のため。少数民族の生命、身体、名誉を害することを主目的とする言論は許されない。
(第22条関係)
「対話と圧力」で経済制裁。「敵」政府への打撃よりも、彼我の民間企業への打撃が大きい。
(第23条関係)
「国立大學に対する圧力」。
君が代、日の丸の実施要求。「国費を使う以上?」国民の血税で、政権の金ではない。
「全体の利益」(the whole community)(憲法15条)。「学問の自由を守る会」。
文系学科の予算削減。「学問の自由はこれを保障する」(憲法23条)。大学の自治。戦前の文系教授に対する弾圧。政権批判の学問は許さず。大戦時、文系の徴兵猶予を取り消し、前線に動員。理系には兵器開発研究を要求した時代を再現か。防衛省、大学への軍事研究費供与。
(第25条関係)
「猛暑対策」。
年々、猛暑が激しくなり熱中症で死亡する人が増えつつある。あらゆる熱源を統制す。る施策が求められる
自動車対策。自動車は極めて有用な物材であるが、並はずれた殺傷率、温暖化ガス排出量、公衆交通サービス破壊。有用性を大きく害さず、抜本的な抑制策を講じなければならない。
(第26条関係)
自民党、「政治偏向教育の教員には刑罰を」。
教育公務員の憲法を遵守し尊重する義務。憲法教育は、生徒のための当然の公民教育。憲法誹謗の教育こそが政治偏向教育。
学校での虐め。「すべて国民は教育を受ける権利を有する」故に、国は「生命、自由、幸福追求の権利は、国政の上で最大の尊重を必要とする」(13条)
苛めは、被害者に死の苦しみを与え、自殺に誘導する犯罪であり、かつは、教育の場を破壊する。国家権力は、不法の暴力が人民を傷めるとき、それに優る合法の実力で抑制することに存立の根本的第一義がある。被害者に我慢、転校を勧めるのではなく、加害行為を禁圧し、加害者を懲戒しなければならない。
(第31条関係)
「被疑者」呼ばわりの禁止。
わが国が締結した対日平和条約で世界人権宣言の順守を約す。11条1項「公開の裁判で有罪の立証あるまで無罪と推定される権利」。 杜撰な検挙も多い中、警察の逮捕で即、「被疑者呼ばわり」は許されない。肩書有る者は、その肩書で呼ばるべし。
(第66条関係)
「大臣の文民条項」
自衛官出身の防衛大臣は、盛んに戦争法案を推進している。本人の罪ではなく、文民条項に違反して任命した首相の責任。
(第76条関係)
「司法の独立の回復」
1960年、田中耕太郎氏を長官とする最高裁は、「良心の独立に背き、米国と協議し」、政権の統治行為は、憲法・法律にいかに違反しても訴訟を受け付けない、と云う「統治行為論」を導入、遂に現政権の憲法無視の暴走に到らせた。
司法権自ら「統治行為論」を否認することを強く求めたい。
(84条関係)
「租税特別措置法の廃止」。
法人税、所得税が、税率その他の課税条件を決定しながら、租税特別措置法は、各種「お友達」事業の所得について減免税をしている。憲法14条の「法の下に平等」は、法律で規定しても「法」に反すれば違憲、無効。
(第90条関係)
「地方議員の政務活動費と官房機密費」
地方議員の政務調査費の杜撰な処理より遙かに重い内閣官房機密費の処理。「国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院が検査」に反し、「領収書不要、会計検査なし」の政治慣行が確立。検査結果のすべてを公表しないまでも検査は必要。浪費血税額と国民的効用との比較の指摘も必要。
(第99条関係)
「不敬罪」
かっては天皇が「至高の存在」であり、その侮辱は不敬罪を構成。現憲法下、「憲法」が「至高の存在」。現在、天皇・皇后・皇太子、いずれもこれを弁えているが、首相を筆頭に裁判官、議員、その他の高官の侮辱は甚だしい。「憲法侮辱」は15条1項で、第一の弾劾原因となる。 ▲
<別紙 3>
第19回例会 事務局報告
福田玲三(事務局)
1) ニュース19号への意見など
M氏
いつも護憲ニュースを送っていただきありがとうございます。添付の1番目はウイルス感染とかで、開けませんでした。2番目の岡部太郎氏の「政治現況報告」は読め、正確な情報をえることができ、感謝しております。NPO中帰連平和記念館(川越市、私が代表理事をつとめています)の総会6・13では安保関連法案を廃案にという決議をし、首相、マスコミ、平和民間団体などに送付しました。その日6・13日の午後はむのたけじ氏100歳をお招きし、公開講演会をもちました。安倍政権の悪政きわまれり、というところまできました。
O氏
護憲ニュース、緊迫する政治状況についてのお知らせ、踏み込んだ解説、拝受、熟読しました。お礼申し上げます。
W氏
ニュースありがとうございました。「戸隠9条の会」が発足しました。
珍道世直氏
ニュースNo19をお届けくださりありがとうございました。別紙3 事務局報告の中で、私の所感までお取り上げいただき恐縮に存じます。ありがとうございました。
野村代表様の「護憲の現状報告」の中で、「統治行為論の克服」として“砂川判決以降、半世紀、司法界がこれに屈従して現在に至っていることを、全法曹関係者は厳粛に反省してもらいたいものである”とされておりますが、私も、違憲訴訟提起以降、このことをしみじみと感じて参りました。
この度の上告に当っては、砂川判決で述べられている後段の「一見、極めて明白な違憲無効であると認められない限りは、裁判所の司法審査権の範囲外のものである」との判決を踏まえて、「閣議決定は、一見極めて明白な違憲無効であり、司法審査権の範囲内のものである」として最高裁に、憲法適合性の審査を求めております。
国会の中で、違憲、合憲が対決している今こそ、最高裁判所は、違憲審査権を行使して、司法の使命を果されることを強く願っております。いつも大切な資料を有難うございます。
Sさん
ニュース19号ほかお送りいただきました。有難うございました。お暑い中ご活動に深く感謝申し上げます。私も微力ながらやや若い仲間たちと、国会周辺や地元での行動に参加しています。今日明日にも、採決などと。この国に芽生えた悪の細胞は何時になったら退治できます事か、日々の動きに苦しみはますばかりです。
龍 平四郎氏
さて 今回も 東京新聞より理解しやすくたすかります。
18回 例会の報告中のSさん発言(1頁)後半「その主張の後ろ盾になってくれるのが憲法第何条だ」、同感です。別紙 1 政治現況報告、岡部太郎氏はやはり 読みやすく理解しやすいです。 助かります。護憲の現状報告ではa 後半の 我が天皇は常に「憲法に従い」から三行はその通りと感じております。
私事ですが、過日、旅行に行った夜の懇親会で政治の話題がありました。年代は70代多く7名です。向うから仕掛けたらどうするんだ!!やはりこちらも、やり返さなければと、これば多数でした。平和外交にもって力を注ぐべきとの返答には力がなかったです。 懇親会ですので深い議論不要ですのでほどほどに終わりましたが。感じますが首相が集団自衛権を仲間内に説明したように、「アソウ君、アベ君」と低いレベルの人たちが多いのが現状だと思います。いずれ、自衛隊募集には手配師が現れ、一人入隊すれば○○円報償となるような怖いことも実現するのではないかと思っております。(ターゲットは貧困若者)。いろいろ書きましたが今後もよろしく。
2) 稲田恭明氏よりの提案(別紙5)
3)パンフの普及など
①7・7公開シンポジウム「安倍政権と歴史修正主義を考える」、於・衆議院第一議員会館会議室、主催・村山談話の会、参加者に約170冊(振替用紙挿入)配付、当会から真田、川本、福田ほか2名参加。
②7月10日、東京フランス会(大阪外大同窓会)、35部配付、福田ほか参加。
③7月11日、東アジア近現代史研究会、於・神奈川県大和市、約20部配付、草野。
④『週刊金曜日』読書会36箇所と連絡、同、奈良五条5冊、東三河13冊、徳島10冊、倉敷10冊受注。
⑤岡部、野村氏より各10冊受注。
4)今後の日程
7月30日(木)14:00~17:00 編集委員会、於・大阪大学東京オフイス(虎ノ門)
8月23日(日)13:30~16:30 例会、於・三田いきいきプラザ。
8月26日(水)14:00~17:00 編集委員会、於・大阪大学東京オフイス
8月28日(金)18:00~20:30 憲法講演会 野村光司氏ほか、於・大田生活センター
9月以降、例会会場は神明いきいきプラザ(JR浜松町駅から徒歩5分)の予定
<別紙 4>
憲法と「法律婚主義」「夫婦同氏」「単独親権」
弁護士 後藤富士子
1 「法律婚主義」は合憲か?
日本国憲法24条1項は、「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」と定めている。すなわち、婚姻を成立させるには、「合意」の外に何もいらない。
ところが、民法では、戸籍法の定める「届出」をし、その届出が法令に違反していないとして「受理」されて初めて婚姻が成立する(民法739条、740条)。そして、婚姻適齢(男18歳、女16歳)、重婚禁止、女の再婚禁止期間、近親婚の禁止、直系姻族の婚姻禁止、養親子等の婚姻禁止、未成年者の婚姻に父母の同意・・と色々ある。これでは、「合意のみ」で婚姻が成立するという憲法の規定に反している。
一方、憲法は「同性婚」を排斥しているのだろうか?これについては、「性同一性障害者性別取扱特例法」により性転換した者は「異性」として法律婚が認められる。しかし、生物学的な性別が変わるわけではないから、「同性婚」とも見ることができ、憲法は排斥していないと解することになる。なお、最近の最高裁判決で、女から男に性別変更した夫と妻との間のAID(非配偶者間人工授精)で生まれた子について、生物学的にも異性の夫婦間のAIDで生まれた子と同様に、「嫡出子」と認められた。これは、民法772条「妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。」という規定に基づく。こうなると、父子関係を定めるために設けられた「嫡出推定」制度は陳腐化するのではないか。
惟うに、生きた人間の社会では、「法律婚制度」の枠から外れるケースが出てくることは避けられない。その場合の対処について、二つの方向性が異なる方法が考えられる。一つは、枠から外れたケースを枠内に取り込む方法であり、他は、枠自体を取り払う方法である。前者の場合、必ず枠内に取り込む要件が設けられて線引きされるから、枠内に入れる者と入れない者とで差別化される。性同一性障害者の性別変更が認められる要件は厳格で、性転換手術が必要である。つまり、「異性婚」が擬制されなければならないのであり、あるがままの「同性婚」を許容しない。
「同性愛」の性的嗜好をもったり、生物学的な性別と心理的な性別の不一致に苦しんだりする人が現にいる以上、「法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない」とする憲法24条2項に照らせば、法律婚の枠を取り払う方法こそ採用されるべきである。すなわち、「法律婚主義」は法律婚優遇制度であり、差別を生み出す。これに対し、「事実婚主義」は、人が婚姻生活を営んでいる事実に対し婚姻の法的効果を付与する。近親婚や重婚でも、当事者の自治に任せればいい。「個人の尊厳」は、国家が付与してくれるものではなく、人が実現するものである。
2 「夫婦同氏」強制の違憲性
民法750条は、「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」と定め、夫婦のどちらか一方に改氏を強制している。
しかしながら、これでは「婚姻の自由」と「両性の平等」が両立しないのであり、憲法24条、14条に違反する。
このことを考えると、不平等の起源が「法律婚主義」にあることが分かる。「事実婚主義」なら、夫婦の同氏が強制されることはない。同氏を望む夫婦が選択的に同氏を称することができるようにすれば足りる。
ちなみに、民法改正として論じられている「選択制夫婦別姓」は、倒錯している。「優遇された法律婚に取り込め」と要求することは、事実婚差別を温存するものであり、破廉恥ではなかろうか?
3 「単独親権」の違憲性
民法は、「婚姻中は父母の共同親権」としている。換言すれば、未婚や離婚は単独親権である。なお、未婚や離婚自体が「親権喪失事由」とはされていない。
しかし、2人いる親のうち必ず「どちらか一方が親権を喪失する」制度は、「未婚・離婚の自由」と「両性の平等」が両立しないから、「夫婦同氏」の強制と同様、憲法24条、14条に違反する。
さらに問題なのは、父母間で協議が調わない場合に、裁判官が決めることである。戦前の「イエ制度」の下では「家の自治」があり、家族は国家の直轄ではなかった。それが、憲法24条により「イエ制度」が廃止された結果、皮肉なことに、国家が家族・家庭を支配することになったのである。
言うまでもなく、親は日本国憲法で「主権者」とされている。それに対し、日本の裁判官は、官僚にすぎない。そう考えると、どうして裁判官が片方の親から親権を剥奪できるのか、全く不思議である。
(2015.7.25)
<別紙 5>
稲田氏意見
2015年7月3日
(前略)入会以後、パンフレットの設立趣意書を眺めながら、申し上げてよいものかどうか迷いに迷っている問題がございます。
ことは、設立趣意書の「諸原則」に関わる問題ですので、これを承認しなければ会員となる資格が失われることにもなりますが、他方で、パンフレットの「発表にあたってのごあいさつ」(特に最後の一文)を拝見しますと、現在の文書を「不磨の大典」として一言一句修正できないと考えることも適切ではないようにも思います。
そこで、新入りの分際で大変生意気なようですが、一言私見を申し上げさせていただきたく存じます。
実は、設立趣意書の「われわれの使命」にある「日本国憲法の理念」の定式化の仕方に若干の疑問がございます。
まず、「絶対平和主義」「議会主義」「行政権力の抑制」「国民主権」「基本的人権」「法治主義」の6項目が掲げられていますが、私は、中学や高校の教科書で日本国憲法の3大原理として教えられている「国民主権」「基本的人権の保障」「絶対平和主義」に、近代憲法の指導理念である「立憲主義」を加えた4項目でよいのではないかと思います。
「議会主義」は国民主権の、「行政権力の抑制」と「法治主義」は立憲主義のコロラリーなので、あえて挙げるまでもないと思うからです。
また、それぞれの項目に付されている憲法条文からの引用にも若干の疑問がございます。
「行政権力の抑制」の項目に付されている「政府の行為により再び戦争の惨禍を起こさない」という決意は「平和主義」の項目に付すべきではないでしょうか。また、「国民主権」の項目に付されている「これに反する一切の憲法、法令、詔勅を排除」という文言は、むしろ「立憲主義」を示す条項と解すべきではないでしょうか。
さらに、「法治主義」の項目(前述の通り、これ自体不要だと私は思いますが)に付されている「憲法と法律とのみに拘束される」(この文言は司法の独立を定めた76条に、裁判官を主語とする述語として登場します)には主語が存在しないため、何を意味しているのかが不明です。
以上のことから、「日本国憲法の理念」としては、例えば、次のように修正してはいかがでしょうか?
・基本的人権の保障・・・「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であり、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託される」(97条)
・国民主権・・・「主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」。「国政の権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」(前文第1項)
・絶対平和主義・・・「戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認」(第9条)。「政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こさない決意」(前文第1項)。「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」(前文第2項)
・立憲主義・・・「これ(人類普遍の原理)に反する一切の憲法、法令、詔勅を排除」(前文第1項)
新入りの分際で誠に差し出がましいとは存じましたが、これもひとえに、「完全護憲の会」の理念を一層明晰でわかりやすいものにしたいとの一念によるものです。(後略)
<別紙 6>
稲田意見を採用した「日本国憲法の理念」草野修正案
2015年7月24日
日本国憲法の理念
国民主権 「主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」。「国政の権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する」(前文第1項)
基本的人権 「人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であり、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託される」(第97条、第11条)
絶対平和主義 「政府の行為によって再び戦争の惨禍を起こさない決意」(前文第1項)。
「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利」(前文第2項)
「戦争放棄、戦力不保持、交戦権の否認」(第9条)。
立憲主義 「人類普遍の原理に反する一切の憲法、法令、詔勅を排除」(前文第1項)「この憲法は国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」(第98条)
「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う」(第99条)
※ 「絶対平和主義」の「絶対」を入れず、「平和主義」と表現したいのですがいかがでしょう?
<理由>
① 自衛隊を「国連軍に」との整合性
② 絶対という言葉が一切の「武力」「強制力」の否定として用いられている。
完全護憲の会 ニュース№19 2015年7月10日
さる6月28日(日)、神保町・学士会館地下1階北海道大学連絡室で6月例会を開催、参加者23名。入会者 計39名。
第18回 例会の報告
草野好文(編集委員会・委員長)が司会し、まず岡部太郎共同代表(元『東京新聞』政治部長)が政治現況報告(別紙1)を行った。
ついで野村光司共同代表(『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)が岡部報告および最近の事例にかかわる護憲上の問題点を報告(別紙2)した。
ついで福田玲三共同代表(事務局担当)が事務局報告(別紙3)を行った。
これらの報告のあと、新しい例会参加者の自己紹介と討議があわせて次のように行われた。
G弁護士
『完全護憲』という主旨に共感して、入会させていただいた。現在の裁判制度は、憲法が本来求めているあり方とは異なる。戦前の大陸法系の憲法に対して、現憲法は英米法系だ。
アメリカは元々陪審制の国であり、法曹一元制だ。国民が裁判の場に出る際の「代弁者」として弁護士がいる。裁判官は、そのような弁護士の中から、選ばれる。司法修習所の二回試験に合格したらいきなり裁判官や検察官のキャリアシステムに乗る日本の現在のやり方は、戦前の系譜をひくものであり、憲法が本来求めている姿とは異質だ。
(なお、戦前は、「司法官」と言えば裁判官と検察官であり、弁護士は除外され、法廷では姓を名乗ることも許されなかった。)
S氏
今頃、「憲法が求める国の形」というテーマでパンフレットを作るのは妥当なのか?そもそも、憲法制定の1947年の直後から、憲法を蔑ろにする動きが続いてきた。なぜ、憲法違反の実態を、ここまで許してきたのか?
Sさん
私は法学部出身だが、それでも、このパンフレットは、読んで眠くなる。
そもそも、憲法の条文の順番に書いてあるので読みにくい。「これは違憲だ。あれは違憲だ」と、違憲の現実を列挙していくよりも、「今、若者はこういう現実で苦しんでいる。これは、憲法に違反する。その主張の後ろ盾になってくれるのが、憲法第何条だ」のようにする方が、多くの人に訴えるのではないか。
T氏
同感。「憲法が本来求めている姿はこのようなものであって、憲法違反の事実は、これこれだ」という議論は貴重。他方、権力者側は、百田氏も含め、「一般民衆は新聞で文字を追うよりテレビに左右される」など、「お客様」たる国民の深層心理やニーズをよく見据えたうえで策を練っている。我々は先ず、これに対抗しなくてはならない。だから、「憲法が本来求めている姿」関連は、資料の「パート3」「パート4」くらいの扱いにして、若者の切実な欲求や、俗流の集団的自衛権行使容認論に対抗するダイジェスト版をパート1として作ってはどうか。自民党は「ほのぼの一家」という漫画本を作って改憲を宣伝している。
以上のような意見が交わされた後、事務局から例会の議事要旨を記録する人を、という要請があり、T氏が積極的に応募され、会を閉じた。
編集委員会の報告
第18回例会後の編集委員会が7月1日、大阪大学東京オフイス会議室で開かれた。出席者は野村、草野、福田ほか5名が参加し、以下の議題について討議、決定した。
1.例会開催時間の変更について
7月例会に提起し、8月例会(8/23)から午後1時30分~4時30分とする。7月例会(7/26)は午後2時からで変わらず。
2.後藤弁護士への報告依頼
1)7月例会で、後藤弁護士に司法関係上の憲法問題について提起(約30分)をいただくよう要請する。連続2回くらいで。要請の担当は川本さん。
2)他にも会員で弁護士の方がおられるので、要請してみる。
3.パンフ普及版について
1)普及版のイメージについて意見交換。
2)担当のKさんに素案を出していただく。
3)福田氏が普及版に取り上げる条項を以下にピックアップ。1条、7条、9条、15条、28条、42条、43条、51条、68条、72条、81条、84条、99条。あわせて条項を主とせず、事例によって条項をみちびく発想転換の検討が要望された。
4.パンフレットの普及活動について
1)村山談話を継承し発展させる会主催7月7日シンポジウム参加、参加者にパンフを200部ほど配布する。行動参加:川本、真田、福田ほか2名。
2)週間金曜日読者への普及。読者会に連絡とる。(担当・福田)
東京南部読者会から8月28日の集まりに野村氏の参加要請。
.司法関係者、学者、研究者、大学関係学部など、引き続きリストアップする。司法関係ではG弁護士にも相談してみる。
5.完全護憲の会ホームページの開設について
1)担当の川本さんからホームページ制作の現状について説明をうけた。モニター画面上でホームページの検索の仕方や閲覧の方法、会員ブログの書き込み方法など。
2)まだ「工事中」として半公開状態だが、間もなく正式版を公開できる。
6.平正和さんから『集団的自衛権の行使に反対する――総理大臣を訴えた私の裁判記録――』(ウインかもがわ刊・定価1000円+税)の贈呈をうけた。
7.会報その他の文書を公表するにあたって会員名を匿名とすべきか否かについて
1)3共同代表以外、原則匿名とする。
2)本人が公表是とした場合は載せる。
次の例会・勉強会のご案内
日時 7月26日(日) 14:00~16:30
場所 東京・神田 学士会館地下1階 大阪大学連絡室
(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)
報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
護憲の現状について 野村光司(「パンフレット」原案起草者)
事務局報告 福田玲三(事務局担当)
憲法24条をめぐる課題(案) 後藤富士子(弁護士)
討議 報告および提案への質疑、意見
参加費 無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
(連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。)
次の編集委員会のご案内
日時 7月30日(木)14時~17時半
場所 大阪大学東京オフイス多目的室
東京都千代田区霞ケ関1-4-1 日土地ビル10階
アクセス:「虎の門」駅7番出口から北へ徒歩1分
「霞ケ関」駅A12号出口から南へ徒歩3分
(編集委員会に、ご都合のつく会員もご参加ください)
<別紙 1>
政治現況報告
(安保法制の審議・重要な時期に差しかかる)
岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)
政府与党は6月24日までの通常国会の会期を、これまでで最長の95日間、9月27日まで延長した。アメリカにも公約した今国会での成立に向けて、安倍首相の執念を示したもの。衆院を通過してから60日経過すれば、参院で可決されなくても、衆院で再可決(2/3で)すれば成立する。参院での可決は、それだけ難しいと判断しているためだ。ただ安保法制11法案の行方は、この1ヵ月の間に大きく潮目が変わった。政府は最初から集団的自衛権を認めることを前提に、各法案、各条項の具体例での論争に野党を引きづり込み、局地戦で説得、抑え込む作戦で、野党もそれに乗って作戦が成功しているかに見えた。
そこに晴天のへきれきのように、6月4日、衆院憲法調査会に参考人として出席した三人の憲法学者が、自民党推薦の長谷部恭男氏(早大教授)を含め、小林節慶大名誉教授、笹田栄司早大教授全員が、集団的自衛権を“違憲”と断定し、従ってそれを含む安保法制法案は立憲主義に反する解釈変更、国民を納得させられぬ違憲立法だと糾弾した。特に小林氏は「戦争に参加するなら戦争法案だ」と言い切った。「九条は一貫して集団的自衛権を容認していない」とも。
思わぬレッドカードは政府与党にとっても寝耳に水で、この法案の一番の根幹、集団的自衛権そのものが憲法違反になるとの最初の時点に引き戻されてしまった。安倍首相らは法案は「裁量の範囲」と必死に防戦につとめたが、この三人の憲法違反発言の影響は大きく、その後も山崎拓元自民党幹事長や武村正義氏の長老議員による仕切り直し要請、五人の元法制局長官も「集団的自衛権は国民を危険にさらす」と政府の解釈変更を「違憲」と批判した。
第1次安倍内閣の長官だった宮崎礼壹氏が「憲法をどう読んでも許されないのが論理的帰結」としたのを始め、四人が「違憲」、一人は「法案が抽象的すぎて解らぬ」とした。あと五人の経験者は老齢や病気を理由に解答なし。特に批判が厳しかったのは安倍首相がこだわっているホルムズ海峡の機雷除去で、現実にないものを危険とする満州事変と同じと断罪している。フジTVによる調査では120人余いる憲法学者にアンケートしたところ、110人が違憲、9人が違憲の疑いが濃い、合憲としたのは3人だけだったという。
この潮目の変わったのを政府はどう乗り切るのだろうか。世論調査でも安倍内閣の支持率は落ち、安保法制への反対は6割を越える。これからの暑い夏を乗り越えられるか。九月の自民総裁選への影響も注目される。
<別紙 2>
護憲の現状報告
野村光司(パンフ『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)
(今後の活動方針)
先ず、発行されたパンフレットを普及させ、われわれが正しいと考える憲法解釈を知って貰い、政界、言論界、労働界などの理解を得ることであろう。このパンフレット上の立論の誤り、不適切な表現などを訂正する作業もある。
第二に、発行されたパンフレットは、少数の会員による問題意識に基づいており、それ以来、世間では憲法問題にかかわる種々の政治現象が起きている。私も2~30のテーマは用意しているが、今後はこれまで参画していなかった人たちが提起する問題を優先的に取り上げて、組織で検討して、それを次の成果物に反映させて行く作業があろう。
例えば今日の政治報告の中からも一例を挙げるので今後の検討をお願いしたい。
a. 「統治行為論」の克服
現政権は、憲法が定める権力の制約を全く無視した傍若無人の政治を行っているが、これは総理一人の罪ではない。逆コース以来、各代政権の違憲の政治が長く積み重ねられた結果として今日があるのである。今、集団的自衛権の問題でも議員、学者、あるいは元法制局長官の出馬を煩わせているが、憲法問題に決着を付けるのは憲法76条3項で「その良心に従い、独立して職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」裁判所に訴え、裁判所が憲法9条各条項を適用すれば、明白な違憲行為として、まがまがしい政府の集団的自衛論は雲散霧消するはずである。しかし1960年、退官を控えた田中耕太郎長官の最高裁が、「政権が統治行為として断行したものは、いかほど違憲、違法であろうとも、人民がこれを裁判所に訴えても裁判所は取り上げないと」いう、驚くべき「統治行為論」判決を出し、またこの法廷は、砂川事件についてもアメリカ当局と協議の上、全員一致で米軍合憲の判決を出している。以後、半世紀、司法界がこれに屈従して現在に至っていることを全法曹関係者は厳粛に反省してもらいたいものである。
(現在の立憲王政下の国では古くからの「王は何人にも従わないが、神と法とには従う」の諺を受け入れている。わが天皇は常に「憲法に従い」と発言しているのに対
し、首相の方は「最高権力者の総理大臣である私は合憲と確信している『それで文句
があるか』」との態度である。天皇を超えて、統治行為論に安住した発言と言える。)
b. 国政から一切の虚偽を排除
法治主義、或いは法の支配とは、事実を確かめ、それに法を適格に適用することであるが、政権のウソがまかり通っている現状がある。憲法前文の「人間社会を支配する崇高な理想」は人権の尊重とウソの排除であろう。2月11日を建国記念の日とするが皇紀や2月11日の設定は、政権の大きな虚偽に基づいており、今年も多くの人のこれに反対する行動があったが、これが継続され、「うそつき大国日本」建国の日となっているので、真に日本国が統一された日を事実に基づいて再考すべきものである。
c. 選挙権の行使は権利のみでなく義務
今回、選挙権の行使を18才まで認めることになった政治的背景はつまびらかではないが、現在でも若者を中心に棄権が多く、候補者の選定にも公共の利益のため、熟慮されることもない実態がある。選挙権は、自己の私的な利益のためにあるのではなく、候補者の中から誰が最も「全体の奉仕者」に適した者であるかを選定する重大な公権であり、公権である以上、選挙民はこの公務を果たすべき一種の公務員として公務を果たす義務がある。高等学校以上ではこのための政治教育を施すことが必要であり、棄権者に刑罰を科すまでは控えるとしても棄権を常としている者には「公務員になる資格」を否定すべきではなかろうか。
(会員の安全確保)
われわれは日本国憲法のみを最高権威として一切の国政をここから批判している。
現パンフレットの中にも右翼勢力をいたく刺激する意見を述べており、代表のところにも2、3の「右翼跳ね上がりによる暗殺に注意」と云う忠告もある。「代表は犠牲になっても惜しくない年齢、甘受すべきだ」の冗談的意見もあったが、われわれはパンフレット冒頭に「どこの政党政派にも属せず、誰にも隷属せず、誰をも憎むものでもありません」とうたい、闘争する考えはなく、不偏不党、何処からか攻撃を受けても「私たちの意見ではなく、憲法にはそう書いてありますね」と答えることにしている。闘争を旨とする政治活動はせず、会員にも求めず、仲間の安全も図っている。
そこで会員についても自ら会員を名乗るのは差支えないが、他の人が会員であるとは暴露しない配慮をしているつもりである。
<別紙3>
事務局報告
福田玲三(事務局)
1) ニュース18号への意見など
珍道世直氏
岡部太郎様の政治現況報告(安保法制)について、「これらは日米同盟や日米安保の
質的転換であり、戦争放棄の憲法9条の違反を改憲なしに一内閣の閣議決定で実現 しようという暴挙。提案権のない内閣が、国会の立法権を犯す国民への挑戦と言える」
としておられますが、正にその通りだと思います。
日米同盟のガイドラインの改定内容は、日米安全保障条約の変更手順を 経ずして合意
することは許されない内容と考えております。
「護憲の現状報告」の今後の検討課題に掲げられました、「集団的自衛権」をはじめとする各項目は、正にご主張のとおりであると、共感いたしております。
大切なご提言等 ありがとうございました。
龍 平四郎氏
今回も勉強になる内容でありがたいです。
別紙1 政治現況報告。岡部太郎氏の6月のまとめを楽しみにしております。
別紙3 護憲の現状報告。日本の司法の崩壊、安倍政権誕生の帰結、田中耕太郎氏の件 初めて知りました。沖縄問題、以前はまったく書かれた記事のとおり、でも、今は少し変化しているように思う。知事の渡米、ヘノコ基金などで本土の人間に変化あり。
提案。「ヘノコ基金」「5・3憲法集会」のように カンパをゆうちょ振込ができれば いいなーと思っております。
Tさん
東京新聞の取材にお答えするため、中日新聞東京本社にいってまいりました。記事は、7月中になるようです。
平正和氏
私の裁判記録を近々出版する運びとなりました。ご参考になればと思い、ご迷惑でなければ、一冊贈呈いたしたく存じます。
(護憲の会ニュースを確かに受け取りました。ありがとうございました。私も珍道さんと同様に昨年7月の閣議決定の無効確認訴訟を起こしています。私のほうは、先月18日付で、東京高裁によって口頭弁論も開かれずに却下されました。その後上告して、現在上告理由書を作成しているところです。私は、どの政治団体、どの宗教団体、その他何の団体にも属していません。個人で活動しています。)
『週刊金曜日』杉並・世田谷 読者会
ご連絡いただき、ありがとうございます。『週刊金曜日』5月29日号「金曜日で逢いましょう」をあらためて読み直してみました。興味深い試みと思いますが、今ひとつよくわからないことも事実です。パンフ「日本国憲法が求める国の形」を下記宛てにお送りください。
T氏
先日は、17号で私のことを紹介してくださり、ありがとうございました。東京新聞記者 M様が、昨日取材してくださり、私の拙い話を約2時間に亘って聞いてくださいました。
7月中旬から下旬にかけて、私の講談を発表する機会があり、そちらにお来しくださるご意向です。
T氏
此度東京新聞の記事に接し「完全護憲の会」に入会出来ました事嬉しく存じます。日本の有るべき姿を真摯に模索、追及する皆様の運動に敬意を表します。毎回、恵送戴く議事録、会員の皆様の意見を拝聴するに、日本の未来を案ずる方々が多く居る事に意を強くした次第です。憲法をないがしろにする為政者との闘いは続きます。頑張りたいと思います。
『週刊金曜日』N読者会I氏
「日本国憲法が求める国の形」ご送付頂きまことに有り難うございました。「発表のごあいさつ」拝読しましたが、同感いたしますこと多く感動いたしました。早速入会の手続きをとらせて頂くことにしましたが、他にも賛同者の一人でも増えますことを念願し、冊子数冊を、お願いいたしましたのでよろしくお願い申し上げます。
2) パンフの普及などについて
① 研究会。6月13日、主催・労働運動研究所、於・大阪経済法科大学会議室、川副詔三著「憲法闘争およびこれからの日本労働運動の基本思想と基本路線」について、参加者11名、日本労働運動の再建をめざす画期的な構想をめぐって熱心な議論、本会から野村、福田ほか1名参加。
② 集会。6月12日。「日本政治の劣化を食い止めよう」講演会、於・衆議院第1議員会館会議室。弁士・森田実、孫崎享、天木直人、植草一秀、主催者・辻恵、伊東章氏を初め参加者にパンフ約170冊を配付、参加者約220名、本会から真田、川本、福田ほか1名参加。
6月14日。主催・日本民主青年同盟ほか、於・世田谷区民会館、若者憲法集会、パンフ約200冊を配付、参加者約1300名、本会から真田、川本、福田ほか2名参加。
③ 目玉を10~15項目に絞った普及版の作成を準備、担当K。
④ ホームページを新設中、担当・川本。
3) 今後の日程
7月1日(水)14:00~17:00 編集委員会(会員の参加自由)於・大阪大学東京オフイス(虎ノ門)
7月26日(日)14:00~16:30 例会。於・学士会館地下1階大阪大学連絡室。
7月30日(木)14:00~17:00 編集委員会(会員の参加自由)於・大阪大学東京オフイス
8月23日(日)14:00~16:30 例会。於・三田いきいきプラザ(地下鉄三田駅A9番出口より徒歩1分)会場費支払のため参加費100~200円の予定。
9月以降、例会会場は神明いきいきプラザ(JR浜松町駅から徒歩5分弱)の予定。