裁判での違憲判断相次ぐ

今年の9月から10月初めにかけて、憲法判断に関わる裁判判決が何件か出された。裁判官が違憲判断することに躊躇せずに、真剣に取り組んでいく良い傾向ではないかと考える。以下にその判決事例を簡単に記す。

1.9月22日、東京高裁が難民申請を却下されたスリランカ人男性2人を、決定不服裁判を起こす時間を与えずに強制送還したことが、憲法32条の「裁判を受ける権利を侵害した」と判断し、60万円の賠償を命じる。同じスリランカ人女性のウィシュマ・サンダマリさんが名古屋の入管施設で亡くなったことをきっかけに、入管行政に批判が高まった影響も大いにあることは間違いないが、今後はより柔軟な難民認可を期待したい。

2.10月1日、岐阜地裁が成年後見制度を利用したがために、警備員の仕事をしていた知的障害がある男性が、警備業法の「欠格条項」の規定により失職したのは、憲法22条の「職業選択の自由」に違反するとの判断を示し、警備員の仕事を失った男性に10万円の損害賠償を支払うよう国に命じた。すでに欠格条項は2019年に削除されてはいるが、その法律の違憲性を判断したのは初めて。

3.10月1日さいたま地裁は、公立小学校教員の男性が県に未払い賃金の支払いを求めた訴訟の訴えを棄却した。ただし、裁判官の付言で「残業代の代わりに月給4%分を一律で支給するとした教職員給与特措法(給特法)について、もはや教育現場の実情に適合していない。勤務時間の管理システムの整備や給特法を含めた給与体系の見直しなどを早急に進め、教育現場の勤務環境の改善が図られることを切に望む」と述べ、労働基準法に則った法整備に言及した。

最後の教職員の残業代については、給特法の違憲性を判断してほしかったが、異例の付言で、国への警鐘を鳴らした。

2021.10.06 栁澤 修

 

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