河井克行前法務大臣と妻の案里参議院議員が、通常国会閉会後の6月19日、案里氏の参議院選挙における公職選挙法違反容疑で逮捕された。多額の現金を選挙区広島県の首長や自治体議員、支援者など、100名近い人に配ったことが報道されており、現に受領したことを公表して、辞職した人もいる。時期的に見て、選挙協力依頼の為と誰もが推測できる。自民党から1.5億円の多額の資金を提供されていたこともわかっており、お金は余るほどあったことは間違いない。
検察は、今のところ現金をもらった収賄側の首長や議員などは起訴しない方針と言われる。これを聞いて思い出したのが、志布志事件である。
17年前の2003年、鹿児島県議選で鹿児島県警が捏造し、鹿児島地検が加担した志布志事件。数万円の金銭のやり取りや焼酎等飲食接待を捏造して、立候補して当選した中山信一県議と妻が贈賄、志布志地区の住民11名が収賄罪に問われ、長期の拘留による人質司法で6名が自白し、これを唯一の証拠に検察が起訴。鹿児島地裁の公正・正当な判断で無実となった公選法違反事件。こんなちっぽけな事件で収賄したとされる住民が起訴されたのに、河井事件での収賄側は不起訴。志布志事件で、身に覚えのない罪で苦しんだ方から見れば、許容できるものではない。常習賭博麻雀容疑で告発されていた、検察NO.2の東京高検検事長だった黒川弘務氏も不起訴となり、検察の判断に首を傾げざるを得ない。日本の刑事司法の正義はいったいどこにあるのか?
検察庁法改悪案には、国民がSNSで大きな声を上げ、巨悪追及に対する検察への期待感が示された。河井事件で中途半端な追及は決して許されない。
1.5億円の政治資金の原資と使途を含めて、検察と裁判所は、法と正義に基づいて、公正に裁いてもらいたい。
2020.07.12
柳澤 修