完全護憲の会ニュース No.60 2018年12月10日

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目次

第59回例会・勉強会の報告               P. 1
別紙1 政治の現況について             P. 1
別紙2 事務局報告                 P. 4
別紙3 後藤富士子弁護士ブログ           P. 5
別紙4 緊急警告031号 首相による憲法の独善解釈   P. 9
緊急警告032号 憲法を無視する防衛費の増大     P.10
第57回 運営・編集委員会の報告            P.10

第59回例会・勉強会の報告

11月25日(日)、神明いきいきプラザの会議室で開催。参加者5名、会員72名
司会は草野運営・編集委員長が担当。まず、「政治の現況について」(別紙1)で主なニュース一覧と、この間の7本の新聞社説、ニュース記事が提起され(さらに当日の参加者用に北方領土交渉について東京、毎日、読売、日経、産経、以上5社の社説追加)、つぎのような意見があった。

「北方領土交渉については、ポツダム宣言と対日平和条約で千島列島の放棄を決めており、その後、日ソ共同宣言で明記された歯舞群島と色丹島の2島を譲り受けるだけで良い。このことは当会発行冊子シリーズ1にも記されている」「今の日本は北海道さえ持て余しているのに、このうえ4島が返ってきたら、さらにその維持・経営が大変だという意見もある」「立憲・枝野氏の4党返還要求の主張には賛成できない」
「入管法の審議では、現在、外国人労働者に3Kの仕事が当てられ、賃金も差別されている」「借金を背負って来日しており、離日すれば借金が残るので、帰るに帰れない」「2011年3月11日の東日本大震災の際、太平洋沿岸の中国人漁業実習生は全員助かった。網主が良かったからで、こんなことは例外だ」「きつい、汚い、危険の3K労働でも、賃金を上げれば日本人が集まるのだ」

ついで「事務局報告」(別紙2)が行われた。
そのあと緊急警告031号「首相による憲法の独善解釈は歴史的汚点!」と032号「憲法を無視する防衛費の増大!」を審議し、031号の「一行政府の長が、勝手に憲法条文解釈をする独善は許されない。憲法史上歴史的な汚点を見過ごすことはできない」の2行について、「首相も条文解釈をすることはできるし、この2行はオーバーだ」との批判があり、手直しすることになった。032号についても「貿易不均衡の是正が必要であれば民需によるべきで、例えば米を買って最貧国に供与するなどの代案提示の意見があった。
勉強会では『This is a海兵隊』が上映され、人殺し訓練の実態をみて、改めて戦争反対の気持ちを確認した。

<別紙1>   政治の現況について

(1)主なニュース一覧(2018/10/21~11/20)
①政府主催の「明治維新150年を祝う記念式典」開催。天皇・皇后出席せず(2018/10/23)
②臨時国会開会(2018/10/24)
③国土交通相、沖縄県の辺野古埋め立て承認撤回を無効とする「執行停止」を決定(2018/10/30)
④韓国最高裁、徴用工問題で日本企業に賠償を命じる判決(2018/10/30)
⑤防衛省、国交相の「執行停止」決定を受けて辺野古埋め立て工事再開(2018/11/1)
⑥国会、外国人労働者受け入れ拡大の入管法改正案審議入り(2018/11/13)
⑦安倍政権、北方領土問題で「4島一括返還」から「2島先行返還」に転換(2018/11/14)
⑧憲法審査会開催 野党が拒否 改憲案提示今国会は困難に(2018/11/21)

(2)新聞社説、ニュース記事 2018年10月~11月

① 政府が明治維新150年を祝う式典 天皇陛下は出席せず(朝日新聞 10月23日 13:30)

明治維新150年を祝う政府の記念式典が23日、東京・永田町の憲政記念館で開かれた。10月23日は元号が慶応から明治に改められた日にあたり、与野党の国会議員や各界の代表者ら約350人が出席した。
安倍晋三首相は式辞で「明治の人々が勇気と英断、たゆまぬ努力、奮闘によって、世界に向けて大きく胸を開き、新しい時代の扉を開けた」と強調。そのうえで「若い世代の方々にはこの機会に、我が国の近代化に向けて生じた出来事に触れ、光と影、様々な側面を貴重な経験として学びとって欲しい」と述べた。
佐藤栄作内閣のもとで開かれた明治100年式典の際は、昭和天皇と香淳皇后が出席したが、今回天皇、皇后両陛下は出席しなかった。宮内庁は「政府からお声がけがなかった」(西村泰彦次長)としている。共産党は「明治150年の前半は侵略戦争と植民地支配に向かった負の歴史。丸ごと祝い、肯定するような行事には参加できない」(小池晃書記局長)として欠席した。(二階堂友紀)

② 社説 「徴用工」判決 日韓協定に反する賠償命令だ (読売新聞YOMIURI ONLINE 10月31日 06:04)

日本と韓国が国交正常化に際して結んだ合意に明らかに反する。両国関係を長年安定させてきた基盤を損ねる不当な判決は到底容認できない。
日本の植民地時代に朝鮮半島から動員された元徴用工の韓国人4人が新日鉄住金に損害賠償を求めた訴訟で、韓国最高裁は新日鉄住金の上告を棄却した。
これにより、計4億ウォン(約4000万円)の賠償を命じた2013年の高裁判決が確定した。
問題は、1965年の日韓請求権・経済協力協定で、請求権問題の「完全かつ最終的な解決」を定めたにもかかわらず、最高裁が日本企業に対する個人の請求権行使を可能だとしたことだ。
請求権協定の適用対象に元徴用工も含まれることは交渉記録から明白だ。韓国の歴代政権も認めており、盧武鉉政権は2005年に元徴用工に対して韓国政府が救済を行う方針を打ち出している。
最高裁判決は、こうした事実関係を十分に考慮しなかった。「日本の不法な植民地支配に直結した日本企業の不法行為」としての徴用に対する請求権は、協定の対象に含まれない、と断じた。
一部原告が日本で起こした賠償請求訴訟で、敗訴が確定している点についても、日本の判例が「韓国の公序良俗に反する」と主張し、認容しなかった。
韓国最高裁は2012年にも、元徴用工が個人請求権を行使できる、との判断を示している。今回の大法廷の審理でも、反日ナショナリズムに迎合し、不合理な認定を踏襲したと言えよう。
1910年の日韓併合条約が合法かどうかは、国交正常化交渉でも決着しなかった。両国がこの問題を棚上げして、和解の道を進んだ経緯について、韓国司法が無視したのは理解できない。
安倍首相が「判決は国際法に照らしてありえない判断だ」と強く批判したのは当然である。
河野外相は駐日韓国大使に抗議し、「日本の企業や国民が不利益を被ることがないように、韓国政府は毅然きぜんとした、必要な措置をとってもらいたい」と強調した。
放置すれば、新日鉄住金の資産が差し押さえられかねない。元徴用工らによる同様の訴訟も相次いでおり、日本企業への賠償命令が続くことが懸念される。日本政府は国際司法裁判所への提訴など、あらゆる措置を検討すべきだ。
韓国の文在寅大統領は、「未来志向の日韓関係構築」を目指すのであれば、事態の収拾に全力を尽くさねばならない。

③ 【社説】 入管法の審議 共生の思想に欠ける (東京新聞 TOKYO Web 11月14日)

外国人労働者を受け入れる入管難民法改正案の国会審議が始まった。初年度から約四万人も受け入れるのに、生活や賃金、教育などの論点が不透明すぎる。来年春からの導入はあまりに拙速だ。
日本は移民を受け入れるのか-。臨時国会では、まずこんな議論からスタートした。安倍晋三首相は「移民でない」と否定したが、従来は高度な専門人材に限っていた外国人の受け入れを単純労働者に広げる制度である。安倍首相の答弁では、アナウンスなき政策の大転換になりうる。まず、それを強く懸念する。
政府の想定は来年度から五年間で約百三十万人台の労働者が不足する。日本の人口減による深刻な人手不足である。だから同年度は、建設や介護、農業など十四業種で三万三千人から四万七千人の外国人の受け入れを見込む。
新在留資格「特定技能」の1号と2号の合算数だ。だが、心配なのは技能実習生制度の二の舞いにならないかという点だ。昨年中に約四千二百事業所で、長時間労働や賃金不払いなどの法令違反があった。七千人を超える実習生が失踪した。使い捨て同然にしている実態が数字でよくわかる。
奴隷的な労働と同じ構造を持つ制度を撤廃することなく、外国人労働者の受け入れ拡大に方向転換できるのか。まず同制度の廃止から議論のスタートとすべきだ。
とくに技能実習生の場合には入国時にブローカーらが暗躍するケースがあった。「特定技能」の者には国の機関などが職業紹介しないと同じ轍(てつ)を踏みかねない。送り出し国との二国間協定を結び、政府が責任を持つのが前提だ。
劣悪な労働環境を排することをどう構築できるかも未知数だ。法務委員会で山下貴司法相は「スキルを持つ外国人に活躍してもらう」と述べ、「安価な労働力」との見方を否定した。本当なのか。
低賃金の外国人が増えれば、共に働く日本人の賃金減も招く恐れさえある。待遇に不平等があれば、社会での分断も起きよう。
来日すれば生活や社会保障、教育などの問題が待ち受ける。それらを解消する施策はほとんど語られていない。単なる在留資格だけにとどまらぬ問題だ。
政府案に欠けるのは、共生の思想であろう。それなのに「来年四月施行」というスケジュールはあまりに急すぎる。法案の「差別的取り扱いをしてはならない」規定をどう具現化するか。腰を据えた議論がいる。

④(社説)日ロ条約交渉 拙速な転換は禍根残す (朝日新聞デジタル 11月16日05時00分)

日本とロシアの間には、戦後70年以上にわたり平和条約がない。正常な隣国関係をつくるうえで、領土問題を含めた交渉に力を注ぐことは重要だ。
ただし、国境の画定と安全保障がからむ重大な国事である。その基本方針を変えるなら、国民と国際社会の理解を得るための説明を尽くす必要がある。
安倍首相とプーチン大統領が会談し、1956年の日ソ共同宣言を「基礎」として平和条約交渉を進める、と合意した。
宣言は、大戦後の国交を回復させたもので、北方四島については歯舞(はぼまい)群島と色丹(しこたん)島の引き渡しだけが約束されている。今回の合意は、2島の返還を軸にする意思を確認したといえる。
日本政府はこれまで、4島の帰属の問題を解決して、平和条約を結ぶ方針を貫いてきた。菅官房長官は、方針に「変わりはない」としつつ、4島すべてを求め続けるか言及を避けた。
外交交渉の過程で手の内を明かすのは適切ではない。だが少なくとも今回の合意は、日本政府の方針の変化を示している。歯舞、色丹を優先し、択捉(えとろふ)、国後(くなしり)は将来の課題とする「2島先行」方式に、安倍政権は踏み込もうとしているようだ。
はっきりさせておきたい。条約を結ぶ際に、「2島返還、2島継続交渉」といったあいまいな決着はありえない。国境を最終画定させない「平和条約」は火種を先送りするものであり、両国と地域の長期的和平をめざす本来の目的にそぐわない。
妥協の道を開くには、現実を見すえた一定の柔軟さは求められるだろう。しかし4島の要求は、国会も繰り返し決議してきた。19世紀に帝政ロシアとの平和的な交渉で、日本領だと認められたという歴史を主張の基盤としてきた。
その方針を変えるとすれば、なぜか。国民が納得できる説明をするのは当然の責務だ。日本が対外的に発する様々な主張の信頼と正当性にもかかわる。
その点でこれまで安倍首相が続けてきた不十分な説明姿勢には、不安を禁じえない。
「新しいアプローチ」などを掲げて対ロ交渉を演出してきたが、実質的な進展はなかった。その末にプーチン氏に領土問題棚上げを突きつけられ、窮したなかでの「2島」論である。
首相が残り任期をにらみ功を焦っているとすれば危うい。
ロシアは4年前、自ら認めた国境を無視してウクライナのクリミア半島を併合した。その国といま、平和条約を結べば、国際社会からどんな視線を受けるかも留意すべきだろう。

⑤ 立憲・枝野氏「4島の主権、絶対に譲ってはいけない」 (朝日新聞 11月18日 19:18)

■立憲民主党・枝野幸男代表(発言録)
(ロシアとの北方領土交渉について)大事なことは、これは国家主権の問題だ。4島が歴史的にも法的にも日本固有の領土であるという主張は、どういう取引がもちかけられても変えてはいけない基本だ。不当に占拠していても時間が経てば取引に応じて半分くらいよこすんだ、なんていう前例をつくってしまったらとんでもないことになる。国を売るような話だ。
4島の主権が我が国にあるということだけは絶対に譲ってはいけない。このことだけは厳しく言い続けながら、そのプロセスの中で2島先行ならいいが、2島ぽっきりではいけない。あくまでも4島とも主権は我が国にあるということを確認するのが、平和条約を締結する前提だ。(さいたま市での支援者集会で)

⑥ 下村氏が謝罪 野党なお反発 (東京新聞 11月16日)

自民党憲法改正推進本部の下村博文本部長は十五日、改憲論議に慎重な野党の姿勢を「職場放棄」と評した自らの発言について「野党の皆さんに不快な思いをさせてしまい、本当におわびを申し上げたい」と謝罪した。東京都内で開かれた自民党前参院議員の勉強会での講演で言及した。
下村氏は講演後、記者団から発言を撤回するのかと聞かれ「撤回といえば撤回だ」とも話した。野党の怒りを解き、衆参両院の憲法審査会の開催に応じてもらう狙いとみられる
しかし、国民民主党の原口一博国対委員長は同日の記者会見で「謝罪するなら会見を開くなり(野党に)出向くなりした方がいい。メディアから(謝罪を)聞くことは、違和感を禁じ得ない」と不快感を示した。
立憲民主党の辻元清美国対委員長は「自民党の案を提案したいから、早く(憲法審を)開いてという求めには乗れない」と強調。下村氏の発言よりも、改憲条文案を提示したい自民党の都合で憲法審を開くこと自体が問題との見解を示した。
自民党の推進本部メンバーは「(下村氏の発言の)影響が広がっている。党として状況を整理して対処しないといけない」と話した。

⑦ 憲法審開催 野党が拒否 改憲案提示 今国会は困難に (朝日新聞 11月21日)

出入国管理法改正案をめぐる与野党対立を受け、立憲民主党など6野党・会派は20日、与党側が求めていた22日の衆院憲法審査会の開催に応じない方針を決め、与党に伝えた。会期末を来月10日に控え、安倍晋三首相がめざす自民党改憲案の今国会提示は厳しい情勢となった。
6野党・会派の憲法審メンバーは20日、国会内で対応を協議。入管法改正案をめぐる政府による失踪外国人技能実習生への聞き取り調査結果の誤りや、資料の限定的開示への批判が噴出し、「憲法審を開催する状況ではない」との認識で一致した。
一方の自民党は、改憲論議に消極的な野党を「職場放棄」と批判して憲法審幹事の内定辞退に追い込まれた下村博文・憲法改正推進本部長の後任に木原稔衆院議員を充てる方針を決定。幹事互選のための憲法審を22日に開き、29日以降に継続審議中の国民投票法改正案を成立させ、党改憲案を提示する段取りを描く。だが、与野党対立が収束する見通しはなく、党内からは「憲法では(強行的な運営などの)無理もできない。今国会は憲法審の開催自体が厳しい」との声も出ている。

<別紙2>   第59事務局報告
福田玲三(事務局)2018.11.25

1) 後藤弁護士の論考3本、ブログに掲載。
前回の例会で報告いただいた後藤富士子弁護士から、法治国家としての現状と問題点を分かりやすく指摘した論考3本(別紙3)を受け取り、これを当会ホームページ会員ブログに掲載した。

2)緊急警告031号と032号を発信。
緊急警告031号 首相による憲法の独善解釈は歴史的汚点!と032号 憲法を無視する防衛費の増大!(別紙4)を発信した。

3) 次の例会・勉強会、委員会
例会・学習会 12月23日(日)13:30~16:30 神明いきいきプラザ 集会室B
委員会 12月26日(水)14:00~ ばるーん(港区立生涯学習センター)205学習室

4) 集会の案内

① 第130回市民憲法講座「北東アジアの非核兵器地帯構想と核兵器禁止条約」
お話:川崎哲さん(ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN))
12月15日(土) 18:30開始 文京区民センター2階 A会議室 参加費800円
http://www.city.bunkyo.lg.jp/gmap/detail.php?id=1754
主催:許すな!憲法改悪・市民連絡会 TEL 03-3221-4668/HP http://web-saiyuki.net/kenpoh/
今年は「朝鮮戦争の終結」「朝鮮半島の非核化」に向け大きな進展があった。そんな中、「被爆国」であり朝鮮半島分断の当事者である日本はどのような役割を果たすのか、世界中から問われている。

② 改憲と私たちの暮らし
日時:12月20日(木)14:00~1630 会場:日本女子大目白キャンパス新泉山館 大講堂
講師:久保木太一弁護士(明日の自由を守る若手弁護士の会) 参加無料・申込不要
改憲によって私たちの暮らしはどう変化するか、わかりやすく解説。
主催・問合せ:平和を求める日本女子大学有志の会 joshidaiheiwa@gmail.com

③『週刊金曜日』東京南部読者会
12月21日(金) 18:00~20:00 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)
読者会終了後に忘年会を予定。

④ 映画『憲法を武器として 恵庭事件 知られざる50年目の真実』東京上映会 第14回
12月22日(土)13:30開場 14:00~ 文京区民センター 3A会議室(都営三田線・春日駅 出口A2すぐ、メトロ・後楽園駅 出口6から徒歩約3分)一般¥1000 学生¥500
http://eniwahanketsu50.com/movie.html 主催:タキオンジャパン TEL 090-3576-6644(稲塚)
北海道恵庭町、自衛隊島松演習場の騒音などで、近くの酪農家が、家族も牛も健康を損ねたことから演習場の通信線を切断した。裁判では酪農家は無罪になった。自衛隊の憲法判断は回避され「肩すかし判決」と言われたが、自衛隊の違憲性が当時どう論じられたかが今、大きな意味を持つ。

⑤「終焉に向かう原子力」講演会(第19回) 小出裕章氏「原発をやめられない最後の理由、核武装」
12月24日(月・祝日) 14:00~17:00(開場13:30) 【当日先着順350名(予約不要)】
文京区民センター2A会議室 (地下鉄春日駅A2出口徒歩1分)参加費1000円(学生500円)
主催:「終焉に向かう原子力」実行委員会 問合せ:TEL 03-3739-1368 090-9137-2437

⑥ ドキュメンタリー映画『最後の一滴まで』上映会&トーク「世界に逆行し水道民営化へ進む日本」
2019年1月16日(水)18:30~20:50 開場18:10 連合会館 2F 203会議室(御茶ノ水)
地図 https://rengokaikan.jp/access/ 【要予約】 参加費1000円
連絡先:アジア太平洋資料センター(PARC)TEL.03-5209-3455、メール:office@parc-jp.org
◆映画『最後の一滴まで―ヨーロッパの隠された水戦争』上映(59分)
http://www.parc-jp.org/video/sakuhin/uptothelastdrop.html
◆解説トーク「ヨーロッパで起こる水道再公営化と民主主義を求める運動」 岸本聡子さん(アムステルダムの政策研究NGO トランスナショナル研究所(TNI)研究員。新自由主義や市場至上主義に対抗する公共政策と市民発のオルタナティブを支援・研究するプロジェクト”public alternative”のコーディネーター) ◆クロストーク 岸本聡子さん×内田聖子(PARC)
1990年以降、多くの国・自治体が水道の民営化を進めた結果、料金の高騰、水質汚染等々から深刻な問題を引き起こしてきた。そのため公営に戻す住民運動が盛んになり、国連総会では安全な飲料水へのアクセスを「人権」の一つと承認した。現在パリやベルリンをはじめ世界で835件以上の「水道再公営化」が実現、流れは加速中だ。日本政府は逆に民営化を加速すべく、コンセッション契約など水道法のさらなる規制緩和を狙う。多国籍企業ヴェオリアやスエズが食い込み中。

<別紙3>  後藤富士子弁護士会員ブログ投稿記事

① 自衛隊はなぜ「旭日旗」に拘るのか? ――安倍9条改憲が狙うもの
弁護士 後藤富士子
1 朝日新聞記事によれば、韓国は、10月10~14日に韓国済州島で開かれた「国際観艦式」に関し、参加国に「自国の国旗と太極旗(開催国である韓国の国旗)だけを掲揚するのが原則」だと8月31日付で通知していた。
日本の「国旗」は「日の丸」であるが、海上自衛隊は1954年の発足時に艦の国籍を示す自衛艦旗として「旭日旗」を採用した。旭日旗は旧日本軍で使われたものであり、韓国内にはこの旗に対して「日本軍国主義の象徴」との批判がある。そのため、韓国海軍が対応を検討した結果、日本の海上自衛隊に自衛艦旗を使わないよう間接的に要請したのである。但し、「国際法や国際慣例上いかなる強制もできない」とも説明している。
これに対し、日本側は、「非常識な要求。降ろすのが条件なら参加しないまで。従う国もないだろう」(防衛省関係者)としている。また、小野寺五典防衛相は「国内法令で義務づけられており、当然(自衛艦旗を)掲げることになる」と述べ、要請にかかわらず従来通り自衛艦旗を掲げる考えを強調した。
ところが、10月5日、岩屋毅防衛相は、護衛艦の派遣を中止すると発表した。4日には、自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長が定例会見で「海上自衛官にとって自衛艦旗は誇りだ。降ろしていくことは絶対にない」と述べている。

2 国連海洋法条約は「軍艦」に対し、所属を示す「外部標識」の掲揚を求める。海自艦にとっては自衛艦旗が外部標識で、自衛隊法などは航海中、自衛艦旗を艦尾に掲げることを義務づけている。日本側は、これを根拠に韓国側に条件の変更を求めてきたという。
なお、98年と2008年に韓国で開かれた観艦式で海自艦は旭日旗を掲げてきたのに、今回こじれた背景には韓国世論がある。韓国政府は当初、「行事の性格や国際慣例などを考慮願いたい」などと国内世論に対して理解を求めていたが、大統領府ホームページの掲示板に「戦犯国の戦犯旗だ」「国家に対する侮辱だ」などとする書き込みが相次いだため、国民の支持を失うことを恐れた大統領府が対応を変えたという。
ちなみに、昨年5月、アジア・サッカー連盟(AFC)は、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のアウェー水原(韓国)戦で、サポーターが旭日旗を掲げたJ1川崎に対し、1年間の執行猶予付きでAFC主催大会のホーム1試合を無観客試合とする重い処分と、罰金1万5000ドル(約170万円)を科している。AFCの規律委員会は、旭日旗は国籍や政治的主張に関連する差別的象徴と認定し、倫理規定に違反するとされたのである。
この経緯をみると、自衛隊は、「国籍や政治的主張に関連する差別的象徴」と認定されるような旭日旗をやめて、国旗「日の丸」を掲げればいいじゃないか、と単純に思う。それに、こんな忌まわしい旭日旗を自衛官に強制して「誇り」をもたせるというのは、「歴史修正主義」による洗脳というほかない。また、「安倍日本会議政権」の日本と文在寅大統領の韓国とでは、現時点で未来の方向が真逆になっている政治の現実がある。文大統領の訪日の具体的な日程は決まらず、旭日旗に拘ることで海自艦の韓国寄港が実現する見通しが立たなくなっているというのであり、「旭日旗」は、明らかに日本の国益を損なっている。

3 国連海洋法条約29条は、軍艦の定義規定であり、「この条約の適用上、『軍艦』とは、一の国の軍隊に属する船舶であって、当該国の国籍を有するそのような船舶であることを示す外部標識を掲げ、当該国の政府によって正式に任命されてその氏名が軍務に従事する者の適当な名簿又はこれに相当するものに記載されている士官の指揮下にあり、かつ、正規の軍隊の規律に服する乗組員が配置されているものをいう。」と定められている。すなわち、「自衛艦」は、国際法上「軍艦」にほかならない。
一方、自衛隊法4条は、「自衛隊の旗」についての規定であり、1項は「内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、自衛隊旗又は自衛艦旗を自衛隊の部隊又は自衛艦に交付する。」とされ、2項で「前項の自衛隊旗及び自衛艦旗の制式は、政令で定める。」としている。その自衛隊法施行令で、自衛艦旗は、日章が中心より左下に寄った光線16本の旭日旗であり、陸上自衛隊の連隊旗は、日章が中心にあり光線8本の旭日旗とされている。すなわち、旭日旗を自衛隊旗と定めている法的根拠は「政令」にすぎないのである。また、小野寺防衛相が「国内法令で義務づけられている」というのは自衛隊法102条1項のことであり、「自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶は、防衛大臣の定めるところにより、国旗及び第4条第1項の規定により交付された自衛艦旗その他の旗を掲げなければならない。」と規定している。したがって、自衛艦旗である旭日旗の不掲載は、防衛大臣が決めれば足りることである。

4 自衛艦旗が定められたのは、1954年の自衛隊発足時である。一方、「日の丸」が国旗とされたのは、平成11年(1999年)に制定された「国旗及び国歌に関する法律」による。そして、「国旗」を「軍旗」としても、国連海洋法条約29条に抵触しない。ちなみに、米国、フィリピン、インドネシア、ベトナムなどは国旗と軍旗は同じである。
このようにみてくると、自衛隊を憲法に明記させる「安倍9条改憲」は、制服組トップが望む「旧日本軍」の復権を意味すると思われる。しかし、自衛隊が旭日旗を掲げることは、日本が「加害の歴史」を反省していない証であり、日本国憲法の出自と矛盾する。また、自衛隊は、憲法9条2項で「保持しない」とされた「軍隊」であってはならないのだから、旧日本軍が使っていた「軍旗」などやめるべきだ。
一方、国は、法律で国旗と定められた「日の丸」を国民に強制している。したがって、改憲論議よりも優先して、忌まわしい旭日旗を自衛隊旗とすることは止め、自衛隊法施行令を改正して自衛隊旗を「日の丸」とするべきである。                     (2018.10.26)

② 憲法9条2項と自衛隊 ――法律文言のメルトダウン―
弁護士 後藤富士子
1 去る10月10~14日に韓国済州島で「国際観艦式」が開かれた。日本は自衛艦旗をめぐる悶着が原因で、参加を中止した。自衛艦旗の「旭日旗」は旧日本軍で使われたもの。だから韓国内にはこの旗に対して「日本軍国主義の象徴」との批判があり、日本に自衛艦旗を使わないよう間接的に要請したのである。
自衛艦旗は、国連海洋法条約で掲揚を義務付けられている、所属を示す「外部標識」である。日本は当初、旭日旗を掲げて参加する方針であった。しかし、韓国世論が「戦犯国の戦犯旗だ」などと「旭日旗」に対する抵抗が強かったこともあって、「旭日旗を降ろすなら参加しない」と参加を見送った。
ところで、問題の国連海洋法条約29条は「軍艦」の定義規定であり、「この条約の適用上、『軍艦』とは、一の国の軍隊に属する船舶であって、当該国の国籍を有するそのような船舶であることを示す外部標識を掲げ、当該国の政府によって正式に任命されてその氏名が軍務に従事する者の適当な名簿又はこれに相当するものに記載されている士官の指揮下にあり、かつ、正規の軍隊の規律に服する乗組員が配置されているものをいう。」と定められている。すなわち、「自衛艦」は、国際法上「軍艦」にほかならない。そうすると、自衛隊も「軍隊」ということになる。

2 日本国憲法9条1項は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と定め、第2項は、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と定めている。すなわち、9条2項によれば、自衛隊は「軍隊」であってはならない、のである。一方、国際法上、自衛隊は「軍隊」である。
こうなると、憲法9条2項は法規範として死滅している。法律文言のメルトダウン!

3 同じような「法律文言のメルトダウン」現象は、日本では随所に見られ、法治国家というより「放置国家」の様相が顕著である。
たとえば、民法818条3項で「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。」と定められているのに、ある日突然に妻が子どもを拉致同然に連れ去って父子関係を断絶させても、父の親権妨害として不法行為責任が追及されることはない。それどころか、離婚後の単独親権者指定に際しては、連れ去った親が「監護の継続性」を理由に、親権者と指定される。むしろ、離婚後の単独親権者指定を目指して、離婚前の婚姻中に「連れ去り」「引き離し」をするのである。こうなると、民法818条3項の規定はメルトダウンしてしまう。
また、婚姻費用分担について、民法760条は「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と定めている。ところが、実務では、収入だけで算出する「標準算定方式」という「算定表」で決する。すなわち、「資産」も「その他一切の事情」も考慮されないのだから、条文がメルトダウン。
さらに、離婚に伴う財産分与について、夫婦間で協議が調わない場合、民法768条3項は「家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与させるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。」と規定している。しかるに、実務では、「婚姻関係財産一覧表」を作成させて、夫婦の財産の合計の半分から分与をうける側の財産を控除した残額を分与させる。つまり、機械的に夫婦の名義の財産を2分の1に清算するのである。ここでも、条文がメルトダウン。
憲法でも、同じ現象がある。憲法76条3項は「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と定めている。しかるに、裁判所法では、司法修習を終えて採用される裁判官を「判事補」とし、27条で、判事補は、「他の法律に特別の定めのある場合を除いて、一人で裁判をすることができない」とか、「同時に二人以上合議体に加わり、又は裁判長となることができない」と規定されている。すなわち、日本では、憲法76条3項の裁判官ではない「裁判官」が存在するのである。
このように条文がメルトダウンしたのでは、「法の支配」も「法治」もあり得ない。

4 ところで、安倍政権は、憲法9条について改正を企図している。まず、9条1項2項には手を触れず、「9条の2」として次のような条文を加えるという。その1項は「前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置を執ることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。」とし、第2項は「自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。」である。
すなわち、自衛隊は「自衛の措置をとるための実力組織」であって、9条2項が保持しないとしている「軍隊」ではない、という論理である。だからこそ、安倍首相は、「自衛隊を憲法に明記するだけで何も変わらない」と説明するのである。
しかし、少なくとも国際法上、自衛隊は「軍隊」である。したがって、国際法上の「軍隊」を国内法で「自衛の措置をとるための実力組織」と言い換えても、「軍隊」でなくなるはずがない。このような、法律文言をメルトダウンさせることが横行したのでは、もはや日本は法治国家とはいえない。
「安倍改憲」問題は、根の深いところで、私たち市民の日常生活を律する法規範のメルトダウンと繋がっているのである。 (2018.11.2)

③ 憲法9条の「主語」は誰か? ――日本国憲法における国民の主体性
弁護士 後藤富士子
1 日本国民の信念と決意 ― 憲法前文
日本国憲法は、日本国民の総意に基づく新日本建設の礎として、帝国議会の議決を経た大日本帝国憲法の改正を昭和天皇が裁可し、昭和21年11月3日に公布されたものである。
その前文で、日本国民は、1つの信念と3つの決意を表明している。
まず、第1の決意は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすること、である(第1段落)。
第2の決意は、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持すること、である(第2段落)。
そして、信念は、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務である」というものである(第3段落)。
最後の決意は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することの誓い、である(第4段落)。

2 憲法9条で日本国民が宣言した内容
憲法9条の「主語」は、1項2項を通じて、「日本国民」である。そして、日本国民が9条で宣明した内容を箇条書きにすると、次のとおりである。
(1) 正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求する。
(2) 国際紛争を解決する手段として、①国権の発動たる戦争、②武力による威嚇、③武力の行使、の永久放棄。
(3) 前記(2)の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力を保持しない。
(4) 国の交戦権は認めない。

3 安倍9条改憲(案)
現在の9条1項2項には手を触れず、「9条の2」として次のような条文を加えるという。
(1) 第1項は、「前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置を執ることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。」
(2) 第2項は、「自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。」
ここでは、9条の「主語」である「日本国民」が消えている。
そうすると、どういうことになるのか。
日本国民は、諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持することを決意し(前文第2段落)、国際紛争を解決する手段として、①国権の発動たる戦争、②武力による威嚇、③武力の行使を永久に放棄した(9条1項)。また、自国の主権を維持するには、「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」という普遍的な政治道徳の法則に従うと宣明している(前文第3段落)。さらに、日本国民は、陸海空軍その他の戦力を保持しないとも宣明している(9条2項)。
しかるに、同じ「日本国民」が他方で、「9条の2」によって、「我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な実力組織として自衛隊を保持する」などという、全く相容れないことを表明することになる。ちなみに、自衛隊は、国連海洋法条約で「軍隊」と定義されている。保持しないと宣明した自衛隊の行動を、「9条の2」の第2項で「法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する」と、猿芝居のような「シビリアン・コントロール」をかけているつもりのようである。
すなわち、「安倍9条改憲」は、日本国民をジキル・ハイドのような二重人格者に貶めるものである。また、安倍首相は、臨時国会の所信表明演説で、「国家の理想を語るのが憲法」と述べているが、日本国民は、「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成する」ことを誓っている(前文第4段落)。これを否定して、安倍首相の「国家の理想」を国民に強要して、日本国民の名誉を台無しにしようというのである。こうなると、安倍首相は、もはや「国賊」というほかない。

4 「9条名誉裁判」を闘おう!
「安倍改憲」の本質は、「立憲主義」というより「法治主義」の問題であると思われる。そして、素晴らしい日本国憲法の主体である日本国民の一人として、この憲法を誇りに思う。それを、あまりにも低能な「日本語」の濫用によって、日本国民の名誉を完膚なきまで毀損しようとする「安倍9条改憲」は、許すことができない。
そこで、安倍晋三首相個人と自由民主党を被告にして、名誉毀損の損害賠償訴訟を提起しようではないか。原告は、日本国民なら誰でもなれる。自民党が改憲案を国会に提出したら、直ちに提訴できるように準備したい。
「国会の発議を阻止する」などといっていたら、改憲を阻止することはできない。「国会の議決」という正当性が付与される段階に勝負を構える前に、提案者の責任を徹底的に追及すべきである。そして、そのことこそ、「国会の発議を阻止する」力にほかならない。 (2018.11.5)

<別紙4>
緊急警告031号 「首相による憲法の独善解釈は歴史的汚点!」

さる10月24日開会の臨時国会における所信表明演説で、安倍晋三首相は、「国の理想を語るものは憲法です。憲法審査会において、政党が具体的な改正案を示すことで、国民の皆様の理解を深める努力を重ねていく。そうした中から、与党、野党といった政治的立場を超え、できるだけ幅広い合意が得られると確信しています。そのあるべき姿を最終的に決めるのは、国民の皆様です。制定から70年以上を経た今、国民の皆様と共に議論を深め、私たち国会議員の責任を、共に、果たしていこうではありませんか」と述べ、9条に自衛隊を明記する改憲案を、この臨時国会で提示することに意欲を示した。
この所信表明に対する各党代表質問の冒頭に立った枝野幸男立憲民主党代表は、「国の理想を語るものは憲法だ」との首相の言葉をはね返し、「憲法の本質は国家権力を縛ることにある。縛られる側の中心にいる首相が先頭に立って旗を振るのは論外だ」と批判した。
首相はこの批判には答えず、続く稲田朋美自民党副幹事長の質問に「首相として答えることは控える」としながら「お尋ねですので、自民党総裁として一石を投じた考えの一端を申上げる」と自衛隊の存在を明文化する必要を挙げた。
首相の所信表明を、自民党総裁の発言にすりかえる厚顔無恥が、世論調査に現れる「首相の人柄が信用できない」に反映している。
参院の代表質問では立憲民主党の吉川沙織氏が「憲法順守義務を負う首相は、改憲に係る発言は自制的、抑制的であるべきだ」と指摘、衆院二日目の代表質問で共産党の志位和夫委員長も「行政府の長が立法府の審議のあり方に事実上の号令をかけており、三権分立を蹂躙(じゅうりん)している」と批判した。
これに対して首相は憲法63条(閣僚の議員出席の権利と義務)や67条(内閣総理大臣の指名、衆議院の優越)に言及して反論し、99条(憲法尊重擁護の義務)は公務員が改憲を主張するのを禁じてはいないとの見解を示した。
一行政府の長が、勝手に憲法条文解釈をする独善は決して許されない。憲法史上歴史的な汚点を見過ごすことはできない。
与党、自民党内部にさえ首相の改憲発言についてはわだかまりがある。例えば二階派の伊吹文明元衆院議長は「首相が国会にああいうことを言うことはいいのかなという感じはした」と疑問を呈している。
それでも首相は「国民の皆さんと共に」と言い続けるつもりなのか。(2018年11月14日)

緊急警告032号 「憲法を無視する防衛費の増大!」

第一次世界大戦の終結から百年を迎えた11月11日、フランスの首都パリに60ヵ国以上の首脳が参集し開かれた式典で、マクロン仏大統領が演説し、「第1次大戦は1千万人の死者を生んだ。自国の利益が第一で、他国は構わないというナショナリズムに陥るのは背信行為だ。いま一度、平和を最優先にすると誓おう」と呼びかけた。この忠告に、トランプ米大統領はむっとした表情を見せ、同日開かれた平和フォーラムを欠席した。
このようなトランプ米大統領と組んで「自由で開かれたインド太平洋構想」を掲げて中国に敵対しつつ、北朝鮮のミサイル発射を国難と煽り、安倍政権は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージスアショア」を購入したあと、新防衛大綱の策定をこの冬に見込んでいる。
この大綱は「これまでの延長線上ではない、数十年先の未来の礎となる防衛力のあるべき姿を追及していく」(10月29日、衆院代表質問への首相答弁)もので、その真意は「敵にやられっぱなしで、日本が守るしかないでは良くない。攻撃的な技術をやった方がいい」(東京新聞 11月13日「税を追う」)と、防衛省の幹部の間では受け止められている。
防衛予算は、第3次安倍政権下の2016年度当初予算で5兆円を突破し、さらに、高額の最新鋭戦闘機F35や輸送機オスプレイなどの米国製兵器、国産の新型護衛艦なども毎年のように導入し、複数年で支払う兵器ローン残高は累積している。
そこでその抜け道に補正予算が使われ、防衛省は14年度からは北朝鮮情勢など「安全保障環境への対応」を理由に兵器調達費を次々に計上し、17年度の補正予算は2273億円に上った。補正予算を加えると、第2次安倍政権下の14年度から、防衛予算は5兆円を超えている。
防衛装備品の補正予算への計上は、2年目以降の支払いの一部を前倒しすることが多い。防衛省の元幹部は「その分、本予算で新しい装備品を買う枠ができる」(『東京新聞』11月1日、「税を追う」)と本音を語っている。
国産と輸入兵器のローン支払いは、19年度予算の概算要求で2兆708億円に上り、さらにそれを上回る2兆5141億円もの新たな後年度負担が見込まれている。
借金は今後も膨らみ、その先にあるのが、新防衛大綱の策定に伴う防衛費の対国内総生産比「1%枠」の撤廃だ。近隣諸国の脅威を意識的に煽り、防衛費をそれによって増額し、民生を圧迫し、限られた財源を増税によって補う。来年10月に予定される消費税率10%への引き上げは、その一環だ。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」と記した憲法を無視する、そのような悪循環は決して許されない。
近く臨時国会に提出される第2次補正予算案と年末に政府が改定する防衛大綱の内容を注目したい。
(2018年11月16日)

当面の日程について
1)第60回例会・勉強会   12月23日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ 集会室B
2)第58回運営・編集委員会 12月26日(水)14:00~ ばるーん 205学習室
(港区立生涯学習センター・新橋)
3)第5回総会兼第61回例会・勉強会 1月27日(日)13:30~ ばるーん 302学習室
4)第59回運営・編集委員会    1月30日(水)14:00~ ばるーん 202学習室
5)第62回例会・勉強会   2月24日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ 集会室C
6)第60回運営・編集委員会 2月27日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

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