完全護憲の会ニュース No.63   2019年3月10日

完全護憲の会ニュース No.63   2019年3月10日

<例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
発行:完全護憲の会
〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312
電話・FAX :03-3772-5095
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目  次

第62回 例会の報告     P1
別紙1 第62回例会 事務局報告  P1
別紙2 韓国の文喜相・国会議長の天皇発言に接し、思い起こすこと
田中宏(一橋大学名誉教授) P2
別紙3 ハノイ米朝首脳会談の波紋
大畑龍次(アジア問題研究者) P3
第61回 運営・編集委員会の報告  P5


第62回 例会の報告

2月24日例会を開催。まず事務局報告(別紙1)が提出された。ついで田中宏・一橋大学名誉教授から寄せられた論考「韓国の文喜相・国会議長の天皇発言に接し、思い起こすこと」(別紙2)が代読され、田中氏の論考について、次の論議があった。
「この論考は素晴らしい」「韓国の文・国会議長が自分では言わず、だれかに代弁させればよいと、私は本音では思っていたが、この論考で目が覚めた」「確かに、日本赤軍の要求は、仲間の解放だけだ。日本の左翼って一体何なのだろう」「天皇が謝るだけで、それで許すのか。『天皇様にお願いしたい』とは、皮肉ではないのか」「戦後サハリンに残された韓国女性の発言は皮肉ではない、素直な肉声だと思う。一方、韓国世論はかねて責任者の謝罪を求めていることから、文・議長の発言は当然の要求だと思う」「天皇について私たちは議論を避ける傾向にある。多くの人の誤った思考を正すために、ぜひ田中先生にこの論考の公表をお願いしたい」
ついで勉強会に移り、山岡聴子氏の報告を受け、DVD「語られなかった戦争・侵略1」の上映準備にかかったが、機械の不具合により、上映は改めて次回に行うこととし、16:30に終了した。
なお後日、大畑龍次氏よりブログ更新のお知らせをいただき、下記の別紙3に掲載させていただく。

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<別紙1> 第62回例会 事務局報告

1) 草野運営・編集委員長は引き続き療養中のため、担当していた例会資料「政治の現況について」はしばらく休載します。

2) 新入会者からの便り
立春を過ぎ暦の上では春。日本も世界も戦争から1ミリでも離れる春を迎えたいです。
定年より2年早く退職し(目の患いで)再雇用として余裕のある分、気になるのは国のこと。社会のこと。自民党草案の社会を弁護士の方が描いた小説風の「未来ダイアリー」を読んだのが始まりでした。巻末の憲法の対比表で「戦争放棄」が草案では「安全保障」になっていることに私は疑問を感じました。ここ2年半、少しずつ勉強してきて安全保障も大切だと思いますが、まずは「戦争放棄」だと思います。
笑われても、丸腰、非武装中立を志向していきたいと思います。
特定機密で1ミリ、安保法案で1ミリ、共謀罪で1ミリ、あわせて3ミリ戦争に近づいたと感じています。この上改憲なったら一気にさらに3ミリ、戦争に近づくと思っています。
私が過ごしてきた平和な時代を、次の世代にもと思っています。その思いでやって来る中で「完全護憲の会」とも出会いました。「日弁連」にも。
戦争体験のない私ですが、戦争から1ミリでも離れること、平和のバトンタッチをすること、私ができることは、ほんのわずかなことですが、これからもやっていきます。
ーP1ー

私は学童保育、児童館で働いています。いろいろ問題や課題はあります。大切にしたいのは子どもの笑顔、保護者(大人)の安心。そのためにコツコツやっています。(埼玉県)

3)当面の日程

第63回例会・勉強会 3月24日(日)13:30~16:30 三田いきいきプラザ・A集会室
第62回運営・編集委員会 3月27日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ・講習室
第64回例会・勉強会 4月28日(日)13:30~16:30 三田いきいきプラザ・A集会室

4) 集会の案内

① 日本反戦平和記憶国際シンポジウム
3月8日(金)16:00~19:30 衆議院議員会館B1 大会議室
※要予約 090-8808-5000
主催・「村山首相談話を継承し発展させる会」
murayamadanwa1995@@ybb.ne.jp

② 沖縄戦の真実に迫ったドキュメンタリー映画『沖縄スパイ戦史』上映会
3月19日(火) 19:00~(18:30開場)
大竹財団・会議室 中央区京橋1-1-5 セントラルビル11階
主催:一般財団法人 大竹財団 ℡:03-3272-3900
※料金や予約方法などは主催者までお問合せください。
※『沖縄スパイ戦史』ホームページ:http://www.spy-senshi.com/
・共同監督:★三上智恵(映画『標的の村』『戦場ぬ止み』『標的の島 風かたか』で現代の闘いを描き続ける) ★大矢英代(琉球朝日放送記者を経て新進気鋭のフリージャーナリスト)
・協力:琉球新報社、沖縄タイムス社、沖縄記録映画製作を応援する会
民間人を含む24万人余りが死亡した沖縄戦。第32軍・牛島満司令官が降伏する1945年6月23日までが「表の戦争」なら、北部ではゲリラ戦やスパイ戦など「裏の戦争」が続いた。米兵たちを翻弄したのはまだ10代半ばの少年たち。彼らを「護郷隊」として組織し、「秘密戦」のスキルを仕込んだのが日本軍の特務機関、あの「陸軍中野学校」出身のエリート青年将校たちだった…。映画は、まさに今、南西諸島で進められている自衛隊増強とミサイル基地配備、さらに日本軍の残滓を孕んだままの「自衛隊法」や「野外令」「特定秘密保護法」の危険性へと深く斬り込んでいく。

③ 『週刊金曜日』東京南部読者会
3月22日(金)18:30~20:30
大田区消費者生活センター 第3集会室(JR蒲田駅徒歩3分)

④ ビザ発給拒否国賠裁判 2名の原告本人を尋問(最大の山場)
4月18日(木)13:30~ 東京地裁103号・大法廷
13:30~ 原告・高鋒さん(中国湖南省の細菌戦被害者)
15:30~ 原告・田中宏さん(一橋大学名誉教授)
18:00~ 裁判報告会 衆議院第1議員会館B1 大会議室(17時半~ロビーにて入館カード配布)
特別ゲスト:森田実さん(政治評論家)
原告からの発言:高鋒さん(湖南省)、田中宏さん、高嶋伸欣さん
私たちは、2015年11月に安倍政権・外務省が強行した ①中国人戦争被害者へのビザ発給拒否、
②戦争法廃止を求める「集会の自由」侵害、という重大な人権侵害の責任を追及し、国家賠償請求裁判を提訴して闘っています。憲法を蹂躙し、民主主義を破壊する、安倍政権による国家権力の乱用は、絶対に許されません!
原告団は、この集会の主催者、およびビザ発給を拒否された中国の細菌戦被害者です。
*日本人原告:田中宏(一橋大学名誉教授)、高嶋伸欣(琉球大学名誉教授)、藤田高景(村山首相談話の会・理事長) *中国人原告:高鋒(湖南省)、胡鼎陽(浙江省)、郭承豪(浙江省)
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<別紙2> 「韓国の文喜相・国会議長の天皇発言に接し、思い起こすこと」
田中 宏(一橋大学名誉教授)
第一報聞いた時、「やはりね…」というのが私の感想だった。その感想には、それなりの経緯があるので、ここに書き留めておきたい。
1960年の「安保闘争」の直後、私は、一橋大の指導教授から、北京大学での留学を終え、帰国途中で日本に寄るインド人青年の世話を仰せつかった。中国語を話すインド青年とひと夏を過ごすことになる。岡山の郷里に一緒に帰った時、村の公民館でのインド青年を囲んでの懇談の席での会話を思い出す。村人が「日本にきて一番驚いたことは何ですか」と問うと、インド青年は「天皇が健在で、東京のど真ん中に大きな居を構えていたことです。すでに退位して、どこか遠くに隠居していると思っていました」。
-P2-

村人:声なし。彼はつづけて「あの大戦では、おびただしい人が犠牲になり、皆さんにも大きな苦難をもたらしたのではないですか」。再び、村人:声なし。要するに、話はかみ合わなかった。通訳をした私も、大きな衝撃を受けたことは言うまでもない。
戦時中、サハリンに送られた韓国人について、戦後、日本政府が、すでに「外国人」であることを口実に、日本人の引揚げから除外し、サハリンに置き去りにした問題は、朝鮮植民地統治が残した問題の一つだった。かつて テレビ朝日の深夜番組「トゥナイト」(司会:利根川裕)が、この問題を取り上げた時のことは忘れられない。ブラウン管に登場した年配の女性の発言は、鮮明に覚えている。「日本政府が何もしないのなら、天皇さまにお願いしたいです、私たちを助けてください」と。利根川氏の番組は1980~94年までであるが、残念ながら、いつの放送かは確認できない。

1977年9月の日本赤軍によるダッカ事件に関して、アジア人留学生からの意外なコメントを思い出す。パリ発東京行きの日航機が、インド上空で日本赤軍にハイジャックされ、バングラデシュのダッカ空港に強行着陸(乗員14名、乗客142人=5人の犯人クループ含む)。日本赤軍は、「身代金600万ドル=当時約16億円、日本で服役・拘留中の9人の釈放と日本赤軍への参加」を要求。拒否された場合は人質を順次殺害するという。
日本政府は、時の福田赳夫首相が、「一人の生命は地球より重い」として、身代金の支払いと「超法規的措置」により収監メンバーの引き渡しを決定。赤軍参加を拒否した3人を除く6人が釈放され、運輸政務次官を長とする派遣団が、日航特別機で身代金ともどもダッカに向かい、人質は全員救助された。
この時、東南アジア出身の華人系留学生が、次のようにコメントしたのが忘れられない。「日本赤軍、自分たちの仲間を得るために、日本政府に『超法規的措置』を取らせることに成功したが、『天皇に戦争責任を取って退位させる』ことを条件としたら、どうなっただろう、その方が『東アジア反日武装戦線』の名にふさわしいように思うのだが…」。日本人とアジアの人びととの間に、「天皇」についての見方に大きな開きがあることは間違いなさそうだ。
戦後に放置された問題の一つに、台湾人元日本兵の補償問題があった。インドネシアのモロタイ島で「中村輝夫」名を持つ台湾人元日本兵が「発見」されたのは、1974年12月のこと。その少し前に「発見」された横井庄一さんと小野田寛郎さんには、恩給法などにより応分の戦後補償がなされたが、「中村さん」には何もなされなかった。日本の恩給法をはじめとする戦争犠牲者援護法令にはいずれも「国籍条項」が設けられ、旧植民地出身者を悉く除外していたのである。そんなことから、1977年8月、台湾在住の13人の元日本兵又は遺族が、日本政府を相手に国家賠償請求訴訟を東京地裁に起こした。台湾人元日本兵の問題を、TBSの「報道特集」が取り上げ、台湾現地を取材して当事者の肉声などを紹介してくれた。その時、一人の傷痍軍属が発した言葉も、やはり私の脳裏に焼き付いている。「私たちは、天皇の赤子として、お国のために尽くしたわけでしょう。日本政府は放置しても、『一視同仁』を説かれた天皇が、そんなことを許すはずがないでしょう」と。
いずれにしても、日本では、凡そ登場しない「天皇」が、アジアの人々が「日本の過去」に言及するとき、こうした形で登場することに、私は遭遇してきた。今回の文議長の天皇発言もその一つではないだろうかと、私は思った。
2016年5月、伊勢志摩サミットの後、オバマ米大統領が広島を訪問し、生存被爆者のお二人に言葉をかけるシーンは印象的だった。原爆投下は、戦争の早期終結のための正しい選択だったとする戦勝国アメリカの大統領が、その被害者と直接対面したのである。その脇に立つ日本の安倍晋三首相は、「米大統領がそこまでされるのなら、自分は韓国のナヌムの家に元慰安婦のハルモニを訪ねよう」と思わないのだろうか。テレビを見ながら、私は、そう感じた。なぜなら、安倍首相は、前年の戦後70年「安倍談話」で、「私たちは、…戦時下、多くの女性たちの尊厳や名誉が深く傷つけられた過去を、この胸に刻み続けます。だからこそ、わが国は、そうした女性たちの心に、常に寄り添う国でありたい」と述べたのである。
このように見てくると、文喜相議長の今回の天皇発言に、私はさほど違和感を感じなかったのである。
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<別紙 3> ハノイ米朝首脳会談の波紋  大畑龍次(アジア問題研究者)

ベトナム・ハノイで行われた米朝首脳会談は合意に至らなかった。一部には「決裂」との表現になっているが、今後米朝関係が緊張するとの指摘はない。トランプ大統領による記者会見
ーP3ー

でも、金正恩国務委員長が核・ミサイルの新たな開発はしないと言及したとされ、トランプもまた緊張を高める発言をしなかったからだ。その後、米韓両軍は春の大規模な合同軍事演習はしないと発表している。トランプも後日、「継続協議する」とつぶやいている。したがって、「決裂」ではなく、「継続協議」というところだろう。相撲用語でいえば、「仕切り直し」。しかし、次回の首脳会談の時期については未定であることから、両者による3回目の会談があるどうかは見通せない。
それでは、どこまで合意され、何がネックだったのだろうか。幻となった合意文書には、①米兵遺骨の追加返還、②双方の連絡事務所設置、③平和宣言などでは合意されていたとされる。ネックとなったのは、朝鮮の非核化措置とそれに相応する米国の制裁緩和の規模についてだった。朝鮮は、寧辺(ニョンビョン)核施設の廃棄の見返りとして2016年から2017年に実施された制裁5件のうち、民需経済と人民生活にかかわる制裁の解除を主張。朝鮮にかけられている制裁は11件あり、11分の5だという。
2016~2017年は、朝鮮が本格的な核・ミサイル開発を実施して核武力の完成を宣言した時期であり、それにかけられた制裁は核心的なものであり、「全面解除」に等しいというのが米国の主張。トランプはこの「取引」に納得できず、さらなる非核措置を要求したものの、合意に至らなかったという。ちなみに、朝日新聞によると、「寧辺の核施設は、東京ドーム166個分にあたる7・8平方キロの敷地に、原子炉や核燃料の製造工場など300以上の関連施設が並ぶ巨大なものだ」という。

なぜ合意できなかったのか
合意できなかった理由として指摘されているのは次のようなものだ。
第一に、事前実務協議の準備不足。首脳会談というものは、通常は事前協議によってほぼ輪郭が確定され、当日はつつがなく終わるものだ。こうした常識からみると、今回は異常事態といえるだろう。ポンペオ・金英哲(キム・ヨンチョル)、ビーガン・金赫哲(キム・ヒョクチョル)などのチャンネルで事前実務協議は進められてきたものの、今回ネックとなった非核措置と制裁緩和のレベルについて首脳間の最終判断となり、「気まぐれ」トランプの「卓袱台返し」によって合意できなかったというところだろう。対朝鮮強硬派のボルトンあたりが追加の非核措置を要求したとの観測もある。
第二に、トランプ大統領の国内政治事情である。米朝首脳会議と同時期に「ロシア疑惑」の核心的な調査として元顧問弁護士のコーエン氏への公聴会が行われ、「ペテン師、人種差別主義者」などと口汚くトランプを非難する証言を行った。首脳会談に臨んだトランプは、ずっとコーエン氏の議会証言をフォローしていたし、記者会見でも質問を受けた。まもなく「ロシア疑惑」の調査結果が出され、野党民主党は大統領弾劾に踏み込むとも言われている。アメリカでは米朝首脳会談以上の関心事だった。したがってトランプとしては、昨年のシンガポール米朝首脳会談合意でも弱腰を指摘されていたこともあり、対朝鮮強硬姿勢を見せる必要があったのだろう。トランプは国境での壁建設問題や米中貿易戦争など難題を抱えており、強硬姿勢を見せるのが得策と判断したと思われる。

今後の朝鮮半島情勢
それでは、今後どのような展開が予想されるのだろうか。まず、三度目の米朝首脳会談はありえるだろうか。トランプ政権は苦境に立たされており、外交的な成果もないなかで大統領選挙モードに突入することから、朝鮮半島問題での「成果」がほしいところだろう。しかし、朝鮮側はどうだろうか。
1日未明に朝鮮は李容浩(イ・ヨンホ)外相と崔善姫(チェ・ソンヒ)外務次官がトランプの記者会見内容への反論を行った。崔善姫外務次官はその場で次のように述べた。「われわれの国務委員長同志は、米国でやるような米国式の計算方式を理解しにくかったのではないか、よく理解されなかったのではないかという感じを受けました。(今後、このような)過去になかったような寧辺核団地をまるごと破棄する、そんな提案をしたにもかかわらず、民需用の制裁決議の部分的決議すら解除できないという米国側の反応を見ていて、われわれの国務委員長同志が今後の米朝の取引について、意欲を失われてしまったのではないかという感じさえ受けました」。
この発言は、トランプが記者会見で朝鮮が全面解除を要求したと述べたことへの反論であり、朝鮮側が米国の交渉姿勢に疑問を投げかけたものだ。もし、次回首脳会談が行われる場合、合意文書は欠かせない。十分な事前協議が必要だろう。選挙戦を前にしたトランプ政権が対応できるだろうか。
米朝協議が不調に終わった以上、朝鮮は中国、ロシア、韓国への接近を図るものと思われる。中ロは朝鮮の段階的非核化を支持し、制裁緩和を主張している。とりわけ中国は朝鮮貿易の90%以上を占めていることから、その影響力は大きい。数度にわたる金正恩・習近平首脳会談において、中国は朝鮮の段階的非核化を支持し、経済協力の推進を確認している。
韓国との間では、昨年9月の首脳会談における「軍事分野合意書」にしたがって平和体制の構築が進んでいる。南北は「平和」から「繁栄」へと向かう途上にある。その突破口は金剛山観光事業と開城公団の再開であることが確認されている。ハノイ米朝首脳会談が合意に至っていれば、すぐにでも再開されるはずであった。文在寅政権が制裁維持の米国の意向を忖度しながら、南北協力事業の進展にためらいをみせてきた。したがって、今後文在寅政権の本気度が試されることになるだろう。昨年9月の南北首脳会談では金正恩のソウル訪問が合意されており、
ーP4ー

その時期が注目される。朝鮮はしばらく対米交渉よりも、多極化交渉を重視すると思われる。今回のハノイ会談の挫折は、金正恩政権にも痛手であることは間違いない。情勢を見極め、動き出すには時間がかかるかもしれない。

許し難い安倍政権の対応
 ハノイ会談の「物別れ」をもっとも喜んでいるのは安倍政権である。安倍は「トランプの決断を全面的に支持する」との立場を明らかにした。安倍政権は昨年6月のシンガポール米朝首脳会談以降、日朝首脳会談を目指すことを強調する一方、対朝鮮対応では強硬姿勢を貫いてきた。その結果、日朝間での単発的な協議は開かれたものの、日朝対話の糸口は見出し得ていない。朝鮮もまた、安倍政権の対朝鮮姿勢を強く批判し、対話を急がない意向を明らかにしている。安倍は、ハノイ会談を前にしたトランプに対し、「安易な妥協をするな」「拉致問題を取り上げろ」と要請するばかりで、政権の最優先課題である拉致問題を前進させる道は閉ざされたままである。北東アジアの平和構築について役割を果たす意図はみられない。
このところ安倍政権は、強硬姿勢の対朝鮮政策だけでなく、韓国との間でも対立を深めている。元徴用工問題、慰安婦合意問題、レーダー照射問題(韓国の立場からすると、日本・哨戒機の異常な低空威嚇行為)、そして韓国国会議長による安倍あるいは天皇の謝罪要求である。両海軍の摩擦以外は、いずれも日本の朝鮮半島の植民地支配にかかわる問題である。日本はこれらの問題が65年の日韓条約時に解決したとしている。しかし、日韓条約には謝罪も賠償も書いていないし、日本政府は個人の請求権を認めてきた。共産党の文書によれば、「1991年8月27日の衆院予算委員会で、当時の柳井俊二外務省条約局長は、日韓請求権協定の第2条で両国の請求権の問題が『完全かつ最終的に解決』されたと述べていることの意味について、『これは日韓両国が国家として持っている外交保護権を相互に放棄したということであり、個人の請求権そのものを国内法的な意味で消滅させたものではない』と明言している」としている。また、最高裁判決については、2007年4月27日、中国の強制連行被害者が西松建設を相手に起こした裁判で「日中共同声明によって『(個人が)裁判上請求する権能を失った』としながらも、『(個人の)請求権を実体的に消滅させることを意味するものではない』と判断」したとしている。その結果、西松建設は被害者との和解を成立させ、謝罪して和解金を支払っている。安倍政権は、こうした政府姿勢に基づいて真摯に解決すべきである。
文在寅政権は、「キャンドル革命」によって生まれた政権であり、朴槿恵前政権の積幣を清算することが運命づけられている。それは韓国国民の民意にほかならない。韓国の最近の世論調査では8割ほどが嫌日姿勢だという。日本政府は韓国の民意を尊重した政治姿勢を見せなくてはならない。歴史修正主義者である安倍は、侵略をこころから反省していない。また、南北による「平和」、「繁栄」、そして「統一」に向かおうとする現下の情勢の歴史的転換を理解せず、北東アジアの平和の敵対物になっている。その姿はハノイ会談の結果に快哉を上げる姿勢にも見られる。こうした安倍政権批判の声をあげなくてはならない。 (2019年3月5日)


第61回 運営・編集委員会の報告
2月27日 14:00~ 出席:鹿島、大西、福田

1.映画「侵略」シリーズ上映の際の報告について
 上映に先立ち山岡聴子さんに報告していただいたが、今後、シリーズ上映の度に報告をお願いし、シリーズ終了の際に、報告集の発行を検討したい。

2・田中宏先生の論考公表について
先生に公表をお願いし、ご快諾を得、あわせて、徴用工問題についての論考もいただいたので、両論考を当会ブログに掲載する。

3・辺野古の埋め立て反対、県民投票の結果を受けて
反対票が有権者の4割をこえる大成果を収めたので、現地闘争に参加しているH氏に現地状況についての短信をお願いしたい。

4・鹿島孝夫氏の運営・編集委員会参加について
第5回総会で言及された鹿島氏の運営・編集委員会参加につき、ご本人から快諾をいただいた。今後の会合に出席して下さることになり、第6回総会で改めて追認することとした。

5.夏の冊子発行予定
夏に発行を予定する冊子として、「戦争体験記」(福田玲三)を検討する。

ーP5ー

完全護憲の会ニュースNo.62 2019年2月20日

<例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
発行:完全護憲の会
〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312
電話・FAX :03-3772-5095
Eメール:kanzengoken@gmail.com

目  次

第5回 総会の概要報告 P.1
第61回 例会の報告 P.2
別紙2  事務局報告
別紙3 「辺野古埋立」を決めたのは誰か? 後藤富士子 P.4
別紙4 フランス・「黄色いベスト運動」に思う 大畑龍次 P.5
第60回 運営・編集委員会の報告 P.7

第5回 総会の概要報告

1月27日(日)、港区立生涯学習センターにて第5回総会を開催し、下記の4議案がいずれも異議無く承認・決定された。

第1号議案 2018年度活動経過報告 第2号議案 2018年度決算報告及び会計監査報告
第3号議案 2019年度活動計画 第4号議案 新役員選出

●2018年度活動経過報告(第1号議案)

2018年度に実施した主な活動は以下の通りである。

1)冊子の発行
シリーズ6 『朝鮮半島をめぐる情勢と私たち――北東アジアの平和と繁栄のために』
大畑龍次 著 7月10日発行 96pp 原価400円 1000部
シリーズ7 『緊急警告第2集:安倍政権下の違憲に対する緊急警告』
12月20日発行 40pp 原価100円 1000部

2)緊急警告の発信(公式ホームページ)
028号 憲法擁護義務に違反し、自衛隊員の命を危険にさらす安倍首相は即時辞任せよ!(2月9日)
029号 安倍首相は慰安婦問題被害者に直接謝罪せよ!(2月14日)
030号 安倍首相に改憲案提出の資格なし、退陣せよ!(8月20日)
031号 首相による憲法の独善解釈は歴史的汚点!(11月14日)
032号 憲法を無視する防衛費の増大!(11月20日)
033号 韓国の元徴用工判決で政府は歴史をゆがめるな!(12月17日)
034号 沖縄の民意と地方自治を踏みにじる違憲・違法行為!(12月19日)

3)例会及び勉強会の主題(月例:第49回-第60回 原則:各月第4日曜日)
第4回総会・第49回例会 1月28日 (勉強会は中止)
第50回 2月25日 「『地球儀俯瞰』で知る『美しい日本』」講師:浜地道雄氏
第51回 3月25日 映画『戦ふ兵隊』上映と懇談
第52回 4月22日 「朝鮮半島をめぐる情勢」講師:大畑龍次氏
第53回 5月27日 「平和に向けて活用したい道徳」起草者・山岡聴子氏を囲んで
第54回 6月24日 シリーズ6「朝鮮半島をめぐる情勢」原稿の検討
第55回 7月22日 『憲法ってなあに?』伊藤真弁護士語りおろしDVD上映
第56回 8月26日 映画『9条を抱きしめて――元米海兵隊員の戦争と平和』上映
第57回 9月23日 「日米地位協定の解説」講師:王道貫氏
第58回 10月21日 「憲法24条26条の自民党改憲案」講師:後藤富士子弁護士
第59回 11月25日 映画『This is a 海兵隊』上映
第60回 12月23日 小冊子『日本がおこなった戦争をこころに刻む11章』の読書会

4)運営・編集委員会(月例:第47回-第58回)
第47回 1月31日:運営・編集委員長に草野好文氏を選出した。

5)その他
・岡部太郎共同代表 4月19日逝去。
・シリーズ5『平和に向けて活用したい道徳』が『週刊金曜日』4月27号で紹介された。

●2019年度活動計画(第3号議案)

1.護憲をめぐる情勢

安倍晋三首相は年明け4日の年頭記者会見で、「この国の未来像について(改憲)議論を深めるべき時に来ている……具体的な改正案を示していくことが国会議員の責務だ」と述べた。憲法擁護義務を負う首相が、同じく憲法擁護義務を負う国会議員に、国民の大半が反対している改憲を「責務だ」と呼びかける。厚顔無恥で無自覚な暴走を、今年こそ食い止めなければならない。
安倍政権は昨年末、自民党改憲案を衆参憲法審査会で提案できなかったため、当初の日程をずらしたにすぎない。今夏の参院選で改憲勢力が3分の2以上を維持すれば、秋の臨時国会で改憲を発議し、2020年夏の東京五輪前に国民投票を実施するつもりだと思われる。現実に改憲は無理だという論もあるが、安倍首相の執念と虚言癖を侮ってはならない。国民を欺すためならGDPの基礎データでさえ政権ぐるみで改竄し、露見しても、世界経済を欺いたという自覚も反省もない。国民投票法は最低投票率や宣伝の規制がない欠陥法であり、油断は禁物だ。
このような状況下で、私たちは何をなすべきか。当面の目標は、憲法や地方自治法に違反する辺野古埋め立てを阻止し、4月21日投票の沖縄と大阪の衆院補選に勝利すること。参院選では改憲勢力を3分の2から追い落とすことが必須である。安倍首相は、野党の候補者調整を阻むためにダブル選挙を行うことも予想され、2019年もまた緊迫した状況が続きそうだ。

2.本年度の護憲活動(新たに決まったこと、確認事項など)

1)例会・勉強会において護憲議論の活発化など充実をはかり、本年も講師を招いての講演や会員による報告、映像上映などを行う。また、冊子刊行やホームページでの発信につなげる。
2)他の護憲運動との連携を積極的に拡大・強化し、安倍政権が狙う改憲の阻止を目指す。
とくに7月の参院選挙では改憲勢力に3分の2以上取らせない、国民投票を実施させない、等を目標として協力していく。
3)当会ホームページ上で違憲告発(緊急警告)などの発信を行うほか、他サイトで発表された論考も含め、勉強会の教材として、また、パンフレットやリーフレットの刊行にも活用する。
4)本年も年2回の刊行物発行をめざす。
5)「日本国憲法がめざす国の形」シリーズ普及のため、会員に協力を仰ぐ。(会員には希望部数を無償で配布し、販売できた金額(カンパ含め)を納入していただく。

●新役員選出(第4号議案)

1)共同代表は福田玲三、会計監査は山岡聴子各氏に決定。
今後も引き続き、共同代表の空席を埋めるべく務める。

第61回 例会の報告

1月27日総会終了後、例会を開催。まず事務局報告(別紙2)を福田共同代表が行ったのち、安倍政権の表裏について若干の論議をし、17:00に終了した。

<別紙2>  第61回例会 事務局報告

1) 草野運営・編集委員長の入院、治療
草野運営・編集委員長は本年初めに入院し、当分の間、治療に専念するため、これまで草野委員長が担当していた例会資料「政治の現況について」は、しばらく休載。

2) シリーズ7『緊急警告第2集』の配本
シリーズ7『緊急警告第2集』(40pp原価100円)は、12月21日納本。メール受信者には直ちに発送し、郵送対象者には新年のニュース61号に同封して発送。

3)ホワイトハウスへの請願署名を呼びかけ
トランプ米大統領宛に、辺野古の工事差し止めを請願するインターネット署名の呼びかけを、当会メール受信者すべてに発信。歓迎の反応をいくつか受信。署名は現在21万人を突破。

4) 後藤富士子弁護士と大畑龍次氏(アジア問題研究者)より論考
・後藤弁護士より当会ホームページ会員ブログに論考が投稿された。 (別紙3)
・大畑龍次氏よりご本人のブログで更新された論考をいただいた。フランスの民度の高さが改めて感じられ、たいへん参考になった。 (別紙4)

5)当面の日程
第60回運営・編集委員会 1月30日(水)14:00~ 港区立生涯学習センター・ばるーん 202学習室
第62回例会・勉強会   2月24日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ 集会室C
映画『語られなかった戦争・侵略1』【日中15年戦争・50分】『侵略』上映委員会制作
第61回運営・編集委員会 2月27日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ 講習室

6) 集会の案内
① 公開シンポジューム「脱 大日本主義のすすめ」  *必ず、事前申し込み。
2月16日(土)18:30~21:20 文京区民センター3A会議室(3階) 参加費1000円
●プログラム● 総合司会:木村 朗(鹿児島大学教授)
Ⅰ 研究会代表からの開会のご挨拶(18:35~19:00)
鳩山由紀夫(東アジア共同体研究所所長)「いまなぜ脱大日本主義なのか」
Ⅱ 個別報告:(19:00~20:20)各20分
・川内博史(衆議院議員)「日本の主権を取り戻す」
・植草一秀(オールジャパン平和と共生運営委員)
「『シェアノミクス』政策連合による市民政権樹立の方策」
・白井 聡(京都精華大学教授)
仮題「国体論から問う戦後日本-対米従属の呪縛からの解放」
・高良鉄美(琉球大学教授)「『大』と『帝』の憲法と東アジア」
Ⅲ 質疑応答:(20:30~21:10)フロアの参加者を交えての質疑討論
Ⅳ 閉会のご挨拶(21:10~21:20)藤田高景(村山首相談話を継承し発展させる会・理事長)
※申し込み:会場は300名定員です。300名で申し込みを締め切りますので、恐縮ですが、なるべく早めに、以下までメールで申し込みを、お願いいたします。
村山首相談話の会 E-mail:murayamadanwa1995@ybb.ne.jp 携帯:090-8808-5000
②「辺野古新基地を止める新しい提案の実践について――小金井市議会での意見書採択の経験から」
【報告者】:米須清真さん(小金井市議会への意見書採択陳情者)
2019年2月19日(火)18:30~20:45 東京ボランティア・市民活動センター(TVAC)会議室A
(JR飯田橋駅隣、セントラルプラザ10階 http://www.tvac.or.jp/images/infomap_large.gif)
資料代300円 【主催・連絡先】:平和創造研究会(宇井宙)peacecreationforum@gmail.com
③『週刊金曜日』東京南部読者会
2月22日(金) 18:30~20:30 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)
④ 第8回講演会「日本の核開発…米国の神話、日本の神話、科学技術のユートピア」
2月23日(土)13:30~17:00 キリスト友会東京月会会堂 都内港区三田4-8-19
講師:加藤哲郎 一ツ橋大学名誉教授 資料代:500円(学生は無料)
主催:米国の原爆投下の責任を問う会

<別紙3> 「辺野古埋立」を決めたのは誰か?――「国民主権」と「権力分立」
弁護士 後藤富士子
1 「普天間飛行場の返還」という政治の欺瞞
事の発端は、「世界一危険な普天間飛行場の除去」であったのではないか。それが、いつの間にか「普天間基地の辺野古移設」になり、辺野古に代替基地が建設されない限り普天間飛行場は除去できないとすりかえられている。
まず、1995年に発生した米兵による少女暴行事件の翌年、日米政府が「普天間飛行場の返還」に合意し、それから四半世紀経過しようとしている。また、辺野古の海を埋め立てて新基地建設工事に着工しても、設計や工法などの変更を余儀なくされて大幅な工期延長が予想されるうえ、超軟弱地盤があるために最終的に完成できないおそれがあるといわれている。
一方、普天間基地所属のオスプレイやヘリの墜落事故、所属機の保育園・小学校への部品や窓の落下事故が相次ぎ、単に騒音(轟音)だけでなく「世界一危険な基地」になっている。そのため、「普天間基地の危険除去」が辺野古推進の理由に強調される有様である。すなわち、「普天間飛行場の返還」「世界一危険な普天間飛行場の除去」は、辺野古新基地完成が条件とされる限り、まるで架空の話であって、政治・政策として実効性をもつとはいえない。
しかし、これは「言語の腐敗」「政治の堕落」の見本にすぎないのだから、「辺野古」にかかわらず、政治の力で速やかに普天間基地の運用を停止すべきである。ちなみに、安倍首相は、辺野古新基地完成前でも普天間基地の運用を停止する方針であったことから、政府は、仲井真弘多知事(当時)に「19年2月」までに運用を停止すると約束していた(赤旗2018年11月3日記事)。

2 「基地移設」か、「新基地建設」か、はたまた「埋立」か?
まず、「移設」は事実に反する。2006年の閣議決定では「普天間飛行場(基地)のキャンプ・シュワブへの移設」とされており、辺野古の海を埋め立てるのは普天間飛行場の現有機能を超える「新基地建設」である。とはいえ、キャンプ・シュワブに附属する形で辺野古の海を埋め立てることを考慮すると、全くの「新基地建設」とも言えないように思われる。
翻って、辺野古の埋め立てに反対するのは、なにも「新基地建設」という理由だけではない。サンゴやジュゴン等々多様な希少生物の絶滅のおそれや自然環境破壊など回復不能な打撃を与えるため、「辺野古の海を埋め立てる」こと自体に反対する意見である。これは、埋め立ての目的・用途にかかわらない絶対的な理由である。そうすると、「辺野古埋立」は、日米安保条約に基づく「日米地位協定」の範疇で処理できる問題ではないのではないかと疑問がわく。
しかるに、現実には2006年の閣議決定で進めているのであり、日米合同委員会で両政府が合意すれば米軍は全国どこでも基地使用が許されるとする日米地位協定2条に準拠しているのであろう。しかし、この場合でも、国権の最高機関であり唯一の立法機関と定められている国会の議決を要さずに、閣議決定だけで足りるというのは疑問である。
一方、具体的な「埋立工事」の法律関係をみると、根拠法は公有水面埋立法(公水法)で、2013年に仲井真弘多知事が国に承認を与えたことから始まった。ちなみに、公水法は、国土の合理的利用、環境保全あるいは災害防止を承認の審査基準とする法律であり、「米軍基地新設」など守備範囲を超えている。そして、ここで「埋立工事」の当事者は沖縄防衛局と県知事であり、「辺野古埋立」を閣議決定し、県民の多数意思に反して知事が承認した形である。すなわち、「辺野古埋立」は、国会の関与も県議会の関与もなしに、行政だけで独断専行している。

3 「辺野古埋立」の民意を問え!
「立憲主義」とは、「憲法による政治」のことである。しかし、大日本帝国憲法と日本国憲法と比べれば、その意味は歴然と異なる。前者は「外見的立憲主義」といわれ、憲法上人権(自然権)の観念が認められていないし、天皇主権であり、権力分立も原理とされていなかった。権力の主要な行使者である天皇は、権力の所有者であるから、憲法で明示的に禁止されていないことは全て行うことができることになる。すなわち、憲法は、権力の所有者たる天皇との関係では、「授権規範」ではなく、「禁止規範」にすぎない。
これに対し、後者では、権力の所有者は国民であり、権力を担当する者は、国民の所有する権力を国民のために行使する国民の手段にすぎないから、憲法で明示的に授権されていることしかすることができない。すなわち、憲法は、権力行使者との関係では「授権規範」なのである(杉原泰雄『立憲主義の創造のために/憲法』10~11頁、岩波書店1991年第3刷)。また、権力分立についていえば、立法とは、広く国政の基準となる一般的抽象的法規範を定立することであり、司法と行政は、ともに立法府が定立した一般的抽象的法規範を個別的具体的な場合にあてはめる執行行為として捉えられ、司法は、一般的抽象的法規範を適用することによって法律上の争訟を裁定する作用、行政は、それ以外の場合における法律の執行作用と規定される(同106~107頁)。
この原理に照らすと、安倍首相の振る舞いは「専制君主」のように見えるが、それは国民主権と権力分立を踏みにじっているからである。これを憲法に適合するようにするには、「米軍基地のための辺野古埋立」についての法案を国会で審議すべきである。その場合、憲法95条は、一の地方公共団体のみに適用される特別法を国会が制定するには、その住民投票で過半数の同意を得なければならないと定めているから、県民投票で過半数の同意が必要である。
考えてみれば、「辺野古」は「沖縄問題」ではなく、日本国の問題である。したがって、国民代表による国会審議と県民投票こそ、憲法で保障された国民主権の実現にほかならない。
(2019.1.21) ⇒文中に戻る

<別紙 4> フランス・「黄色いベスト運動」に思う 大畑龍次

フランスで「黄色いベスト運動」が広がっている。フランスでは自動車に黄色いベストが常備されており、その着用を抗議行動のシンボルとしていることから、「黄色いベスト運動」と呼ばれている。運動は昨年11月17日の土曜日に開始され、毎週土曜日にフランス全土で展開されている。今年1月26日までに11回の行動が行われている。
50年前の1968年にはパリの「5月革命」が起こったが、それを思い起こした人も多いだろう。しかし、当時は学生らによるパリ中心の運動だったのに対し、今回はフランス全土を舞台にした、それも地方を中心にしたものであること、参加者の多くが生活者=市民である点が異なっている。週末に行われたことから、2016年10月頃から韓国で展開された「キャンドル革命」を連想した人もいたかもしれない。直接的な運動の契機は異なっているものの、新自由主義的グローバリゼーションの結果生まれた格差拡大、富裕層優遇政策への怒りが根底にある点では共通している。「黄色いベスト運動」では権力によるフレームアップもあるが、暴力・略奪行為が報告されているが、「キャンドル革命」は全く報告されていないという点も指摘しておきたい。

SNSで拡散

2018年の5月にセーヌ・エ・マルク県の女性が10月中旬までに30万人の署名を呼びかけたのが始まり。さらに、道路封鎖と黄色ベストの着用を呼びかけて始まった。行動の最初は11月17日、フランス全土で30万人が参加したという。さらに、11月24、12月8日と運動は発展し、一部では警察との衝突の場面もあった。こうした混乱の中、12月10日にマクロン大統領によるテレビ演説が行われ、「…2019年の最低賃金の100ユーロ/月の増加、2019年の残業時間、年末ボーナスからの課税の除外を約束した。また、毎月の年金額が2千ユーロ(約26万円)未満の退職者には、社会保障税(CSG)の増税から除外するとした。この演説によって一定の沈静化に成功したものの、その後も運動は展開され、1月26日の11回まで続いている。行動の直接的な契機は燃料税の引き上げだった。地方でのモータリゼーションの拡大によって自動車は住民の足であり、引き上げは地方生活者に高負担を強いることになる。しかし、マクロンが富裕税を廃止するなど、金持ち優遇政策を進めていることへの怒りが根底にある。
彼らは何を主張しているのか。ネットで流れてきた彼らの主張を紹介する。拡散を!

2018年11月29日発表・12月5日改訂

フランスの代議士諸君、我々は諸君に人民の指令をお知らせする。これらを法制化せよ。

1) ホームレスをゼロ名にせよ、いますぐ。
2) 所得税をもっと累進的に(段階の区分を増やせ)。
3) SMIC〔全産業一律スライド制最低賃金〕を手取り1300ユーロに。
4) 村落部と都心部の小規模商店への優遇策(小型商店の息の根を止める大型ショッピング・ゾーン〔ハイパーマーケットなど〕を大都市周辺部に作るのを中止)。+都心部に無料の駐車場を。
5) 住宅断熱の大計画を(家庭に節約/省エネを促すことでエコロジーに寄与)。
6)〔税金・社会保険料を〕でかい者(マクドナルド、グーグル、アマゾン、カルフールなど)はでかく、小さな者(職人、超小企業・小企業)は小さく払うべし。
7) (職人と個人事業主も含めた)すべての人に同一の社会保障制度。RSI〔自営業者社会福祉制度〕の廃止。
8) 年金制度は連帯型とすべし。つまり社会全体で支えるべし〔マクロンの提案する〕ポイント式年金はNG。」
9) 燃料増税の中止。
10) 1200ユーロ未満の年金はNG。
11)〔地方議員も含めた〕あらゆる公選議員に、中央値レベルの給与を得る権利を。公選議員の交通費は監視下に置かれ、正当な根拠があれば払い出される。〔給与所得者の福祉の一部である〕レストラン利用券とヴァカンス補助券を受ける権利も付与。
12) すべてのフランス人の給与と年金・社会給付は物価スライド式とすべし。
13) フランス産業の保護:〔国内産業を空洞化させる、工場をはじめとする〕事業所の国外への移転の禁止。我々の産業を保護することは、我々のノウ・ハウと雇用を保護。
14) 〔東欧等からの〕越境出向労働の中止。フランス国内で働く人が同じ給与を同じ権利を享受できないのはおかしい。フランス国内で働くことを許可された人はみなフランス市民と同等であるべきであり、その〔外国の〕雇用主はフランスの雇用主と同レベルの社会保険料を納めるべし。
15) 雇用の安定の促進:大企業による有期雇用をもっと抑えよ。我々が望んでいるのは無期雇用の拡大だ。
16) CICE〔競争力・雇用促進タックスクレジット〕の廃止。この資金〔年200億ユーロ〕は、(電気自動車と違って本当にエコロジー的な)水素自動車の国内産業を興すのに回す。
17) 緊縮政策の中止。〔政府の国内外の〕不当と認定された債務の利払いを中止し、債務の返済に充当するカネは、貧困層・相対的貧困層から奪うのではなく、脱税されている800億ユーロを取り立てる。
18) 強いられた移民の発生原因への対処。
19) 難民庇護申請者をきちんと待遇すること。我々には彼らに住まい、安全、食べ物、それに未成年者には教育を提供する義務がある。難民庇護申請の結果を待つ場となる受け入れ施設が、世界の多くの国々に開設されるよう、国連と協働せよ。
20) 難民庇護申請を却下された者を出身国に送還すること。
21)実質のある〔移民〕統合政策を実施すること。フランスに暮らすことはフランス人になることを意味する(修了証書を伴うフランス語・フランス史・公民教育の講座)
22) 最高賃金を15000ユーロに設定。
23) 失業者のために雇用を創出すること。
24)障がい者手当の引き上げ。
25)家賃の上限設定 + 低家賃住宅(特に学生やワーキング・プアを対象に)。
26)フランスが保有する財産(ダムや空港など)の売却禁止。
27)司法、警察、憲兵隊、軍に充分な手立て〔予算・設備・人員〕の配分を。治安部隊の時間外労働に対し、残業代を支払うか代替休暇を付与すること。
28)自動車専用道路で徴収された料金は全額、国内の自動車専用道路・一般道路の保守と道路交通の安全のために使うべき。
29)民営化後に値上がりしたガスと電気を再公営化し、料金を充分に引き下げることを我々は望む。
30) ローカル鉄道路線、郵便局、学校、幼稚園の閉鎖の即時中止。
31)高齢者にゆったりした暮らしを。〔劣悪介護施設など〕高齢者を金儲けのタネにするのを禁止。シルバー世代の金づる化はもうおしまい、シルバー世代のゆったり時代の始まりだ。
32)幼稚園から高校3年まで、1クラスの人数は最大25人に。
33)精神科に充分な手立て〔予算・設備・人員〕の配分を。
34)人民投票の規定を憲法に盛り込むべし。わかりやすく、使いやすいウェブサイトを設けて、独立機関に監督させ、そこで人々が法案を出せるようにすること。支持の署名が70万筆に達した法案は、国民議会で審議・補完・修正すべし。国民議会はそれを(70万筆達成のちょうど1年後に)全フランス人の投票にかけるよう義務づけられるべし。
35)大統領の任期は〔国民議会の任期と同じ現行の5年から〕7年に戻す。(以前は〔大統領選の直後ではなく例えば〕大統領選から2年後に行われていた国政選挙により、大統領の政策を評価するかしないかの意思表示ができた。それが人民の声を聞き届かせる方法の一つになっていた。
36)年金受給は60歳で開始。肉体を酷使する職種に従事した人(石積み作業員や食肉解体作業員など)の場合の受給権発生は55歳に。
37)6歳の子どもは独りにしておけないから、扶助制度PAJEMPLOI〔保育支援者雇用手当〕は子どもが〔現行の6歳ではなく〕10歳になるまで継続。
38)商品の鉄道輸送への優遇策を。
39)〔2019年1月1日から施行の〕源泉徴収の廃止。
40)大統領経験者への終身年金の廃止。
41)クレジット払いに関わる税金の事業者による肩代わりの禁止。
42)船舶燃料、航空燃料への課税。

このリストは網羅的なものではないが、早期に実現されるはずの人民投票制度の創設という形で引き続き、人民の意思は聞き取られ、実行に移されることになるだろう。
代議士諸君、我々の声を国民議会に届けよ。
人民の意思に従え。この指令を実行せしめよ。
黄色いベストたち

フランスの現状に疎いので、それぞれの要求の意味を理解しているわけではないが、かくも多くの要求項目が掲げられていることは驚きである。いくつかの政治的要求にまとめ上げられていないが、ここにこの運動の特徴があり、リーダーレスの運動ということだ。政党や労組が指導しているわけではなく、SNSによる拡散によって運動は展開されている。この運動に関与しようとする左右の政治グループが存在するのも確かだが、リーダーシップを発揮しているわけではない。政治党派の指導性が発揮されていないことが、政治的妥協を困難にしている原因だし、マクロン演説によっても沈静化しない理由でもある。いまのところ、どのように収拾されるのか分からない。第二に、これらの要求をまとめ上げるとすれば、新自由主義的グローバリゼーションの結果である格差拡大、富裕層優遇の現実への「異議申し立て」といえるだろう。ニューヨークでのウォール街占拠、韓国の「キャンドル革命」にも通底していると見ることができる。
さて、このような各国の動きがある一方、日本の運動がなぜ停滞しているのだろうか。真剣に考えなくてはならない。いわゆる「モリカケ問題」は安倍による政治の腐敗と私物化であり、朴槿恵前政権と変わらない。また、日本はアメリカに次ぐ格差社会であり、貧困が蔓延し、地方の疲弊が進行している。それはフランス以上かもしれない。それでもなお、日本の民衆は沈黙しているどころか、安倍政権下の国政選挙で自民党の連勝を許している。選挙制度が正しく民意を反映していないとはいえ、政治的な安定が続いている。野党の分裂もあるが、巧妙な支配構造の前に沈黙させられているのが現状だろう。日本においても広範な論議のもとに要求項目を作り上げるべきときだ。フランスは欧州3位の経済大国であり、日本のような先進国といえるだけに、日本との違いを噛みしめなくてはならない。
(出典:http://benidoragon.blog.fc2.com/blog-entry-84.html 1月31日) ⇒文中に戻る

第60回 運営・編集委員会の報告
1月30日 14:00~ 出席:大西、福田
1.第5回総会及び第61回例会の結果を受けて
1)新役員選出の際に言及されたY氏に運営・編集委員会参加を要請したところ快諾され、直近の会議から参加される予定。
2)今後発行する冊子について以下を検討する。
①戦中・戦後の経験報告(担当:福田) ②第2回米朝会談後の北東アジア情勢の分析
③日米地位協定・日米合同委員会の解説 ④種子法の廃止、改正水道法について

2.2月の勉強会の予定
映画『語られなかった戦争・侵略1』を上映(50分)し、小冊子『日本がおこなった戦争をこころに刻む11章』の冒頭部分を論議。
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完全護憲の会ニュースNo.61 2019年2月10日

<例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>

発行:完全護憲の会
〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312
電話・FAX :03-3772-5095
Eメール:kanzengoken@gmail.com

目  次

第5回 総会の概要報告 P.1
第61回 例会の報告 P.2
別紙2  事務局報告
別紙3 「辺野古埋立」を決めたのは誰か? 後藤富士子 P.4
別紙4 フランス・「黄色いベスト運動」に思う 大畑龍次 P.5
第60回 運営・編集委員会の報告 P.7

第5回 総会の概要報告

1月27日(日)、港区立生涯学習センターにて第5回総会を開催し、下記の4議案がいずれも異議無く承認・決定された。

第1号議案 2018年度活動経過報告 第2号議案 2018年度決算報告及び会計監査報告
第3号議案 2019年度活動計画 第4号議案 新役員選出

●2018年度活動経過報告(第1号議案)

2018年度に実施した主な活動は以下の通りである。

1)冊子の発行
シリーズ6 『朝鮮半島をめぐる情勢と私たち――北東アジアの平和と繁栄のために』
大畑龍次 著 7月10日発行 96pp 原価400円 1000部
シリーズ7 『緊急警告第2集:安倍政権下の違憲に対する緊急警告』
12月20日発行 40pp 原価100円 1000部

2)緊急警告の発信(公式ホームページ)
028号 憲法擁護義務に違反し、自衛隊員の命を危険にさらす安倍首相は即時辞任せよ!(2月9日)
029号 安倍首相は慰安婦問題被害者に直接謝罪せよ!(2月14日)
030号 安倍首相に改憲案提出の資格なし、退陣せよ!(8月20日)
031号 首相による憲法の独善解釈は歴史的汚点!(11月14日)
032号 憲法を無視する防衛費の増大!(11月20日)
033号 韓国の元徴用工判決で政府は歴史をゆがめるな!(12月17日)
034号 沖縄の民意と地方自治を踏みにじる違憲・違法行為!(12月19日)

3)例会及び勉強会の主題(月例:第49回-第60回 原則:各月第4日曜日)
第4回総会・第49回例会 1月28日 (勉強会は中止)
第50回 2月25日 「『地球儀俯瞰』で知る『美しい日本』」講師:浜地道雄氏
第51回 3月25日 映画『戦ふ兵隊』上映と懇談
第52回 4月22日 「朝鮮半島をめぐる情勢」講師:大畑龍次氏
第53回 5月27日 「平和に向けて活用したい道徳」起草者・山岡聴子氏を囲んで
第54回 6月24日 シリーズ6「朝鮮半島をめぐる情勢」原稿の検討
第55回 7月22日 『憲法ってなあに?』伊藤真弁護士語りおろしDVD上映
第56回 8月26日 映画『9条を抱きしめて――元米海兵隊員の戦争と平和』上映
第57回 9月23日 「日米地位協定の解説」講師:王道貫氏
第58回 10月21日 「憲法24条26条の自民党改憲案」講師:後藤富士子弁護士
第59回 11月25日 映画『This is a 海兵隊』上映
第60回 12月23日 小冊子『日本がおこなった戦争をこころに刻む11章』の読書会

4)運営・編集委員会(月例:第47回-第58回)
第47回 1月31日:運営・編集委員長に草野好文氏を選出した。

5)その他
・岡部太郎共同代表 4月19日逝去。
・シリーズ5『平和に向けて活用したい道徳』が『週刊金曜日』4月27号で紹介された。

●2019年度活動計画(第3号議案)

1.護憲をめぐる情勢

安倍晋三首相は年明け4日の年頭記者会見で、「この国の未来像について(改憲)議論を深めるべき時に来ている……具体的な改正案を示していくことが国会議員の責務だ」と述べた。憲法擁護義務を負う首相が、同じく憲法擁護義務を負う国会議員に、国民の大半が反対している改憲を「責務だ」と呼びかける。厚顔無恥で無自覚な暴走を、今年こそ食い止めなければならない。
安倍政権は昨年末、自民党改憲案を衆参憲法審査会で提案できなかったため、当初の日程をずらしたにすぎない。今夏の参院選で改憲勢力が3分の2以上を維持すれば、秋の臨時国会で改憲を発議し、2020年夏の東京五輪前に国民投票を実施するつもりだと思われる。現実に改憲は無理だという論もあるが、安倍首相の執念と虚言癖を侮ってはならない。国民を欺すためならGDPの基礎データでさえ政権ぐるみで改竄し、露見しても、世界経済を欺いたという自覚も反省もない。国民投票法は最低投票率や宣伝の規制がない欠陥法であり、油断は禁物だ。
このような状況下で、私たちは何をなすべきか。当面の目標は、憲法や地方自治法に違反する辺野古埋め立てを阻止し、4月21日投票の沖縄と大阪の衆院補選に勝利すること。参院選では改憲勢力を3分の2から追い落とすことが必須である。安倍首相は、野党の候補者調整を阻むためにダブル選挙を行うことも予想され、2019年もまた緊迫した状況が続きそうだ。

2.本年度の護憲活動(新たに決まったこと、確認事項など)

1)例会・勉強会において護憲議論の活発化など充実をはかり、本年も講師を招いての講演や会員による報告、映像上映などを行う。また、冊子刊行やホームページでの発信につなげる。
2)他の護憲運動との連携を積極的に拡大・強化し、安倍政権が狙う改憲の阻止を目指す。
とくに7月の参院選挙では改憲勢力に3分の2以上取らせない、国民投票を実施させない、等を目標として協力していく。
3)当会ホームページ上で違憲告発(緊急警告)などの発信を行うほか、他サイトで発表された論考も含め、勉強会の教材として、また、パンフレットやリーフレットの刊行にも活用する。
4)本年も年2回の刊行物発行をめざす。
5)「日本国憲法がめざす国の形」シリーズ普及のため、会員に協力を仰ぐ。(会員には希望部数を無償で配布し、販売できた金額(カンパ含め)を納入していただく。

●新役員選出(第4号議案)

1)共同代表は福田玲三、会計監査は山岡聴子各氏に決定。
今後も引き続き、共同代表の空席を埋めるべく務める。

第61回 例会の報告

1月27日総会終了後、例会を開催。まず事務局報告(別紙2)を福田共同代表が行ったのち、安倍政権の表裏について若干の論議をし、17:00に終了した。

<別紙2>  第61回例会 事務局報告

1) 草野運営・編集委員長の入院、治療
草野運営・編集委員長は本年初めに入院し、当分の間、治療に専念するため、これまで草野委員長が担当していた例会資料「政治の現況について」は、しばらく休載。

2) シリーズ7『緊急警告第2集』の配本
シリーズ7『緊急警告第2集』(40pp原価100円)は、12月21日納本。メール受信者には直ちに発送し、郵送対象者には新年のニュース61号に同封して発送。

3)ホワイトハウスへの請願署名を呼びかけ
トランプ米大統領宛に、辺野古の工事差し止めを請願するインターネット署名の呼びかけを、当会メール受信者すべてに発信。歓迎の反応をいくつか受信。署名は現在21万人を突破。

4) 後藤富士子弁護士と大畑龍次氏(アジア問題研究者)より論考
・後藤弁護士より当会ホームページ会員ブログに論考が投稿された。 (別紙3)
・大畑龍次氏よりご本人のブログで更新された論考をいただいた。フランスの民度の高さが改めて感じられ、たいへん参考になった。 (別紙4)

5)当面の日程
第60回運営・編集委員会 1月30日(水)14:00~ 港区立生涯学習センター・ばるーん 202学習室
第62回例会・勉強会   2月24日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ 集会室C
映画『語られなかった戦争・侵略1』【日中15年戦争・50分】『侵略』上映委員会制作
第61回運営・編集委員会 2月27日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ 講習室

6) 集会の案内
① 公開シンポジューム「脱 大日本主義のすすめ」  *必ず、事前申し込み。
2月16日(土)18:30~21:20 文京区民センター3A会議室(3階) 参加費1000円
●プログラム● 総合司会:木村 朗(鹿児島大学教授)
Ⅰ 研究会代表からの開会のご挨拶(18:35~19:00)
鳩山由紀夫(東アジア共同体研究所所長)「いまなぜ脱大日本主義なのか」
Ⅱ 個別報告:(19:00~20:20)各20分
・川内博史(衆議院議員)「日本の主権を取り戻す」
・植草一秀(オールジャパン平和と共生運営委員)
「『シェアノミクス』政策連合による市民政権樹立の方策」
・白井 聡(京都精華大学教授)
仮題「国体論から問う戦後日本-対米従属の呪縛からの解放」
・高良鉄美(琉球大学教授)「『大』と『帝』の憲法と東アジア」
Ⅲ 質疑応答:(20:30~21:10)フロアの参加者を交えての質疑討論
Ⅳ 閉会のご挨拶(21:10~21:20)藤田高景(村山首相談話を継承し発展させる会・理事長)
※申し込み:会場は300名定員です。300名で申し込みを締め切りますので、恐縮ですが、なるべく早めに、以下までメールで申し込みを、お願いいたします。
村山首相談話の会 E-mail:murayamadanwa1995@ybb.ne.jp 携帯:090-8808-5000
②「辺野古新基地を止める新しい提案の実践について――小金井市議会での意見書採択の経験から」
【報告者】:米須清真さん(小金井市議会への意見書採択陳情者)
2019年2月19日(火)18:30~20:45 東京ボランティア・市民活動センター(TVAC)会議室A
(JR飯田橋駅隣、セントラルプラザ10階 http://www.tvac.or.jp/images/infomap_large.gif)
資料代300円 【主催・連絡先】:平和創造研究会(宇井宙)peacecreationforum@gmail.com
③『週刊金曜日』東京南部読者会
2月22日(金) 18:30~20:30 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)
④ 第8回講演会「日本の核開発…米国の神話、日本の神話、科学技術のユートピア」
2月23日(土)13:30~17:00 キリスト友会東京月会会堂 都内港区三田4-8-19
講師:加藤哲郎 一ツ橋大学名誉教授 資料代:500円(学生は無料)
主催:米国の原爆投下の責任を問う会

<別紙3> 「辺野古埋立」を決めたのは誰か?――「国民主権」と「権力分立」
弁護士 後藤富士子
1 「普天間飛行場の返還」という政治の欺瞞
事の発端は、「世界一危険な普天間飛行場の除去」であったのではないか。それが、いつの間にか「普天間基地の辺野古移設」になり、辺野古に代替基地が建設されない限り普天間飛行場は除去できないとすりかえられている。
まず、1995年に発生した米兵による少女暴行事件の翌年、日米政府が「普天間飛行場の返還」に合意し、それから四半世紀経過しようとしている。また、辺野古の海を埋め立てて新基地建設工事に着工しても、設計や工法などの変更を余儀なくされて大幅な工期延長が予想されるうえ、超軟弱地盤があるために最終的に完成できないおそれがあるといわれている。
一方、普天間基地所属のオスプレイやヘリの墜落事故、所属機の保育園・小学校への部品や窓の落下事故が相次ぎ、単に騒音(轟音)だけでなく「世界一危険な基地」になっている。そのため、「普天間基地の危険除去」が辺野古推進の理由に強調される有様である。すなわち、「普天間飛行場の返還」「世界一危険な普天間飛行場の除去」は、辺野古新基地完成が条件とされる限り、まるで架空の話であって、政治・政策として実効性をもつとはいえない。
しかし、これは「言語の腐敗」「政治の堕落」の見本にすぎないのだから、「辺野古」にかかわらず、政治の力で速やかに普天間基地の運用を停止すべきである。ちなみに、安倍首相は、辺野古新基地完成前でも普天間基地の運用を停止する方針であったことから、政府は、仲井真弘多知事(当時)に「19年2月」までに運用を停止すると約束していた(赤旗2018年11月3日記事)。

2 「基地移設」か、「新基地建設」か、はたまた「埋立」か?
まず、「移設」は事実に反する。2006年の閣議決定では「普天間飛行場(基地)のキャンプ・シュワブへの移設」とされており、辺野古の海を埋め立てるのは普天間飛行場の現有機能を超える「新基地建設」である。とはいえ、キャンプ・シュワブに附属する形で辺野古の海を埋め立てることを考慮すると、全くの「新基地建設」とも言えないように思われる。
翻って、辺野古の埋め立てに反対するのは、なにも「新基地建設」という理由だけではない。サンゴやジュゴン等々多様な希少生物の絶滅のおそれや自然環境破壊など回復不能な打撃を与えるため、「辺野古の海を埋め立てる」こと自体に反対する意見である。これは、埋め立ての目的・用途にかかわらない絶対的な理由である。そうすると、「辺野古埋立」は、日米安保条約に基づく「日米地位協定」の範疇で処理できる問題ではないのではないかと疑問がわく。
しかるに、現実には2006年の閣議決定で進めているのであり、日米合同委員会で両政府が合意すれば米軍は全国どこでも基地使用が許されるとする日米地位協定2条に準拠しているのであろう。しかし、この場合でも、国権の最高機関であり唯一の立法機関と定められている国会の議決を要さずに、閣議決定だけで足りるというのは疑問である。
一方、具体的な「埋立工事」の法律関係をみると、根拠法は公有水面埋立法(公水法)で、2013年に仲井真弘多知事が国に承認を与えたことから始まった。ちなみに、公水法は、国土の合理的利用、環境保全あるいは災害防止を承認の審査基準とする法律であり、「米軍基地新設」など守備範囲を超えている。そして、ここで「埋立工事」の当事者は沖縄防衛局と県知事であり、「辺野古埋立」を閣議決定し、県民の多数意思に反して知事が承認した形である。すなわち、「辺野古埋立」は、国会の関与も県議会の関与もなしに、行政だけで独断専行している。

3 「辺野古埋立」の民意を問え!
「立憲主義」とは、「憲法による政治」のことである。しかし、大日本帝国憲法と日本国憲法と比べれば、その意味は歴然と異なる。前者は「外見的立憲主義」といわれ、憲法上人権(自然権)の観念が認められていないし、天皇主権であり、権力分立も原理とされていなかった。権力の主要な行使者である天皇は、権力の所有者であるから、憲法で明示的に禁止されていないことは全て行うことができることになる。すなわち、憲法は、権力の所有者たる天皇との関係では、「授権規範」ではなく、「禁止規範」にすぎない。
これに対し、後者では、権力の所有者は国民であり、権力を担当する者は、国民の所有する権力を国民のために行使する国民の手段にすぎないから、憲法で明示的に授権されていることしかすることができない。すなわち、憲法は、権力行使者との関係では「授権規範」なのである(杉原泰雄『立憲主義の創造のために/憲法』10~11頁、岩波書店1991年第3刷)。また、権力分立についていえば、立法とは、広く国政の基準となる一般的抽象的法規範を定立することであり、司法と行政は、ともに立法府が定立した一般的抽象的法規範を個別的具体的な場合にあてはめる執行行為として捉えられ、司法は、一般的抽象的法規範を適用することによって法律上の争訟を裁定する作用、行政は、それ以外の場合における法律の執行作用と規定される(同106~107頁)。
この原理に照らすと、安倍首相の振る舞いは「専制君主」のように見えるが、それは国民主権と権力分立を踏みにじっているからである。これを憲法に適合するようにするには、「米軍基地のための辺野古埋立」についての法案を国会で審議すべきである。その場合、憲法95条は、一の地方公共団体のみに適用される特別法を国会が制定するには、その住民投票で過半数の同意を得なければならないと定めているから、県民投票で過半数の同意が必要である。
考えてみれば、「辺野古」は「沖縄問題」ではなく、日本国の問題である。したがって、国民代表による国会審議と県民投票こそ、憲法で保障された国民主権の実現にほかならない。
(2019.1.21) ⇒文中に戻る

<別紙 4> フランス・「黄色いベスト運動」に思う 大畑龍次

フランスで「黄色いベスト運動」が広がっている。フランスでは自動車に黄色いベストが常備されており、その着用を抗議行動のシンボルとしていることから、「黄色いベスト運動」と呼ばれている。運動は昨年11月17日の土曜日に開始され、毎週土曜日にフランス全土で展開されている。今年1月26日までに11回の行動が行われている。
50年前の1968年にはパリの「5月革命」が起こったが、それを思い起こした人も多いだろう。しかし、当時は学生らによるパリ中心の運動だったのに対し、今回はフランス全土を舞台にした、それも地方を中心にしたものであること、参加者の多くが生活者=市民である点が異なっている。週末に行われたことから、2016年10月頃から韓国で展開された「キャンドル革命」を連想した人もいたかもしれない。直接的な運動の契機は異なっているものの、新自由主義的グローバリゼーションの結果生まれた格差拡大、富裕層優遇政策への怒りが根底にある点では共通している。「黄色いベスト運動」では権力によるフレームアップもあるが、暴力・略奪行為が報告されているが、「キャンドル革命」は全く報告されていないという点も指摘しておきたい。

SNSで拡散

2018年の5月にセーヌ・エ・マルク県の女性が10月中旬までに30万人の署名を呼びかけたのが始まり。さらに、道路封鎖と黄色ベストの着用を呼びかけて始まった。行動の最初は11月17日、フランス全土で30万人が参加したという。さらに、11月24、12月8日と運動は発展し、一部では警察との衝突の場面もあった。こうした混乱の中、12月10日にマクロン大統領によるテレビ演説が行われ、「…2019年の最低賃金の100ユーロ/月の増加、2019年の残業時間、年末ボーナスからの課税の除外を約束した。また、毎月の年金額が2千ユーロ(約26万円)未満の退職者には、社会保障税(CSG)の増税から除外するとした。この演説によって一定の沈静化に成功したものの、その後も運動は展開され、1月26日の11回まで続いている。行動の直接的な契機は燃料税の引き上げだった。地方でのモータリゼーションの拡大によって自動車は住民の足であり、引き上げは地方生活者に高負担を強いることになる。しかし、マクロンが富裕税を廃止するなど、金持ち優遇政策を進めていることへの怒りが根底にある。
彼らは何を主張しているのか。ネットで流れてきた彼らの主張を紹介する。拡散を!

2018年11月29日発表・12月5日改訂

フランスの代議士諸君、我々は諸君に人民の指令をお知らせする。これらを法制化せよ。

1) ホームレスをゼロ名にせよ、いますぐ。
2) 所得税をもっと累進的に(段階の区分を増やせ)。
3) SMIC〔全産業一律スライド制最低賃金〕を手取り1300ユーロに。
4) 村落部と都心部の小規模商店への優遇策(小型商店の息の根を止める大型ショッピング・ゾーン〔ハイパーマーケットなど〕を大都市周辺部に作るのを中止)。+都心部に無料の駐車場を。
5) 住宅断熱の大計画を(家庭に節約/省エネを促すことでエコロジーに寄与)。
6)〔税金・社会保険料を〕でかい者(マクドナルド、グーグル、アマゾン、カルフールなど)はでかく、小さな者(職人、超小企業・小企業)は小さく払うべし。
7) (職人と個人事業主も含めた)すべての人に同一の社会保障制度。RSI〔自営業者社会福祉制度〕の廃止。
8) 年金制度は連帯型とすべし。つまり社会全体で支えるべし〔マクロンの提案する〕ポイント式年金はNG。」
9) 燃料増税の中止。
10) 1200ユーロ未満の年金はNG。
11)〔地方議員も含めた〕あらゆる公選議員に、中央値レベルの給与を得る権利を。公選議員の交通費は監視下に置かれ、正当な根拠があれば払い出される。〔給与所得者の福祉の一部である〕レストラン利用券とヴァカンス補助券を受ける権利も付与。
12) すべてのフランス人の給与と年金・社会給付は物価スライド式とすべし。
13) フランス産業の保護:〔国内産業を空洞化させる、工場をはじめとする〕事業所の国外への移転の禁止。我々の産業を保護することは、我々のノウ・ハウと雇用を保護。
14) 〔東欧等からの〕越境出向労働の中止。フランス国内で働く人が同じ給与を同じ権利を享受できないのはおかしい。フランス国内で働くことを許可された人はみなフランス市民と同等であるべきであり、その〔外国の〕雇用主はフランスの雇用主と同レベルの社会保険料を納めるべし。
15) 雇用の安定の促進:大企業による有期雇用をもっと抑えよ。我々が望んでいるのは無期雇用の拡大だ。
16) CICE〔競争力・雇用促進タックスクレジット〕の廃止。この資金〔年200億ユーロ〕は、(電気自動車と違って本当にエコロジー的な)水素自動車の国内産業を興すのに回す。
17) 緊縮政策の中止。〔政府の国内外の〕不当と認定された債務の利払いを中止し、債務の返済に充当するカネは、貧困層・相対的貧困層から奪うのではなく、脱税されている800億ユーロを取り立てる。
18) 強いられた移民の発生原因への対処。
19) 難民庇護申請者をきちんと待遇すること。我々には彼らに住まい、安全、食べ物、それに未成年者には教育を提供する義務がある。難民庇護申請の結果を待つ場となる受け入れ施設が、世界の多くの国々に開設されるよう、国連と協働せよ。
20) 難民庇護申請を却下された者を出身国に送還すること。
21)実質のある〔移民〕統合政策を実施すること。フランスに暮らすことはフランス人になることを意味する(修了証書を伴うフランス語・フランス史・公民教育の講座)
22) 最高賃金を15000ユーロに設定。
23) 失業者のために雇用を創出すること。
24)障がい者手当の引き上げ。
25)家賃の上限設定 + 低家賃住宅(特に学生やワーキング・プアを対象に)。
26)フランスが保有する財産(ダムや空港など)の売却禁止。
27)司法、警察、憲兵隊、軍に充分な手立て〔予算・設備・人員〕の配分を。治安部隊の時間外労働に対し、残業代を支払うか代替休暇を付与すること。
28)自動車専用道路で徴収された料金は全額、国内の自動車専用道路・一般道路の保守と道路交通の安全のために使うべき。
29)民営化後に値上がりしたガスと電気を再公営化し、料金を充分に引き下げることを我々は望む。
30) ローカル鉄道路線、郵便局、学校、幼稚園の閉鎖の即時中止。
31)高齢者にゆったりした暮らしを。〔劣悪介護施設など〕高齢者を金儲けのタネにするのを禁止。シルバー世代の金づる化はもうおしまい、シルバー世代のゆったり時代の始まりだ。
32)幼稚園から高校3年まで、1クラスの人数は最大25人に。
33)精神科に充分な手立て〔予算・設備・人員〕の配分を。
34)人民投票の規定を憲法に盛り込むべし。わかりやすく、使いやすいウェブサイトを設けて、独立機関に監督させ、そこで人々が法案を出せるようにすること。支持の署名が70万筆に達した法案は、国民議会で審議・補完・修正すべし。国民議会はそれを(70万筆達成のちょうど1年後に)全フランス人の投票にかけるよう義務づけられるべし。
35)大統領の任期は〔国民議会の任期と同じ現行の5年から〕7年に戻す。(以前は〔大統領選の直後ではなく例えば〕大統領選から2年後に行われていた国政選挙により、大統領の政策を評価するかしないかの意思表示ができた。それが人民の声を聞き届かせる方法の一つになっていた。
36)年金受給は60歳で開始。肉体を酷使する職種に従事した人(石積み作業員や食肉解体作業員など)の場合の受給権発生は55歳に。
37)6歳の子どもは独りにしておけないから、扶助制度PAJEMPLOI〔保育支援者雇用手当〕は子どもが〔現行の6歳ではなく〕10歳になるまで継続。
38)商品の鉄道輸送への優遇策を。
39)〔2019年1月1日から施行の〕源泉徴収の廃止。
40)大統領経験者への終身年金の廃止。
41)クレジット払いに関わる税金の事業者による肩代わりの禁止。
42)船舶燃料、航空燃料への課税。

このリストは網羅的なものではないが、早期に実現されるはずの人民投票制度の創設という形で引き続き、人民の意思は聞き取られ、実行に移されることになるだろう。
代議士諸君、我々の声を国民議会に届けよ。
人民の意思に従え。この指令を実行せしめよ。
黄色いベストたち

フランスの現状に疎いので、それぞれの要求の意味を理解しているわけではないが、かくも多くの要求項目が掲げられていることは驚きである。いくつかの政治的要求にまとめ上げられていないが、ここにこの運動の特徴があり、リーダーレスの運動ということだ。政党や労組が指導しているわけではなく、SNSによる拡散によって運動は展開されている。この運動に関与しようとする左右の政治グループが存在するのも確かだが、リーダーシップを発揮しているわけではない。政治党派の指導性が発揮されていないことが、政治的妥協を困難にしている原因だし、マクロン演説によっても沈静化しない理由でもある。いまのところ、どのように収拾されるのか分からない。第二に、これらの要求をまとめ上げるとすれば、新自由主義的グローバリゼーションの結果である格差拡大、富裕層優遇の現実への「異議申し立て」といえるだろう。ニューヨークでのウォール街占拠、韓国の「キャンドル革命」にも通底していると見ることができる。
さて、このような各国の動きがある一方、日本の運動がなぜ停滞しているのだろうか。真剣に考えなくてはならない。いわゆる「モリカケ問題」は安倍による政治の腐敗と私物化であり、朴槿恵前政権と変わらない。また、日本はアメリカに次ぐ格差社会であり、貧困が蔓延し、地方の疲弊が進行している。それはフランス以上かもしれない。それでもなお、日本の民衆は沈黙しているどころか、安倍政権下の国政選挙で自民党の連勝を許している。選挙制度が正しく民意を反映していないとはいえ、政治的な安定が続いている。野党の分裂もあるが、巧妙な支配構造の前に沈黙させられているのが現状だろう。日本においても広範な論議のもとに要求項目を作り上げるべきときだ。フランスは欧州3位の経済大国であり、日本のような先進国といえるだけに、日本との違いを噛みしめなくてはならない。
(出典:http://benidoragon.blog.fc2.com/blog-entry-84.html 1月31日) ⇒文中に戻る

第60回 運営・編集委員会の報告
1月30日 14:00~ 出席:大西、福田
1.第5回総会及び第61回例会の結果を受けて
1)新役員選出の際に言及されたY氏に運営・編集委員会参加を要請したところ快諾され、直近の会議から参加される予定。
2)今後発行する冊子について以下を検討する。
①戦中・戦後の経験報告(担当:福田) ②第2回米朝会談後の北東アジア情勢の分析
③日米地位協定・日米合同委員会の解説 ④種子法の廃止、改正水道法について

2.2月の勉強会の予定
映画『語られなかった戦争・侵略1』を上映(50分)し、小冊子『日本がおこなった戦争をこころに刻む11章』の冒頭部分を論議。
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完全護憲の会ニュース No.60 2018年12月10日

                 <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
           発行:完全護憲の会
              電話・FAX 03-3772-5095
              〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312
           Eメール:kanzengoken@gmail.com
           ホームページ:http://kanzengoken.com/

     目次

       第59回例会・勉強会の報告               P. 1
        別紙1 政治の現況について             P. 1
        別紙2 事務局報告                 P. 4
        別紙3 後藤富士子弁護士ブログ           P. 5
        別紙4 緊急警告031号 首相による憲法の独善解釈   P. 9
        緊急警告032号 憲法を無視する防衛費の増大     P.10
       第57回 運営・編集委員会の報告            P.10

        第59回例会・勉強会の報告

 11月25日(日)、神明いきいきプラザの会議室で開催。参加者5名、会員72名
 司会は草野運営・編集委員長が担当。まず、「政治の現況について」(別紙1)で主なニュース一覧と、この間の7本の新聞社説、ニュース記事が提起され(さらに当日の参加者用に北方領土交渉について東京、毎日、読売、日経、産経、以上5社の社説追加)、つぎのような意見があった。

「北方領土交渉については、ポツダム宣言と対日平和条約で千島列島の放棄を決めており、その後、日ソ共同宣言で明記された歯舞群島と色丹島の2島を譲り受けるだけで良い。このことは当会発行冊子シリーズ1にも記されている」「今の日本は北海道さえ持て余しているのに、このうえ4島が返ってきたら、さらにその維持・経営が大変だという意見もある」「立憲・枝野氏の4党返還要求の主張には賛成できない」
「入管法の審議では、現在、外国人労働者に3Kの仕事が当てられ、賃金も差別されている」「借金を背負って来日しており、離日すれば借金が残るので、帰るに帰れない」「2011年3月11日の東日本大震災の際、太平洋沿岸の中国人漁業実習生は全員助かった。網主が良かったからで、こんなことは例外だ」「きつい、汚い、危険の3K労働でも、賃金を上げれば日本人が集まるのだ」

 ついで「事務局報告」(別紙2)が行われた。
 そのあと緊急警告031号「首相による憲法の独善解釈は歴史的汚点!」と032号「憲法を無視する防衛費の増大!」を審議し、031号の「一行政府の長が、勝手に憲法条文解釈をする独善は許されない。憲法史上歴史的な汚点を見過ごすことはできない」の2行について、「首相も条文解釈をすることはできるし、この2行はオーバーだ」との批判があり、手直しすることになった。032号についても「貿易不均衡の是正が必要であれば民需によるべきで、例えば米を買って最貧国に供与するなどの代案提示の意見があった。
 勉強会では『This is a海兵隊』が上映され、人殺し訓練の実態をみて、改めて戦争反対の気持ちを確認した。

<別紙1>   政治の現況について

(1)主なニュース一覧(2018/10/21~11/20)
①政府主催の「明治維新150年を祝う記念式典」開催。天皇・皇后出席せず(2018/10/23)
②臨時国会開会(2018/10/24)
③国土交通相、沖縄県の辺野古埋め立て承認撤回を無効とする「執行停止」を決定(2018/10/30)
④韓国最高裁、徴用工問題で日本企業に賠償を命じる判決(2018/10/30)
⑤防衛省、国交相の「執行停止」決定を受けて辺野古埋め立て工事再開(2018/11/1)
⑥国会、外国人労働者受け入れ拡大の入管法改正案審議入り(2018/11/13)
⑦安倍政権、北方領土問題で「4島一括返還」から「2島先行返還」に転換(2018/11/14)
⑧憲法審査会開催 野党が拒否 改憲案提示今国会は困難に(2018/11/21)

(2)新聞社説、ニュース記事 2018年10月~11月

① 政府が明治維新150年を祝う式典 天皇陛下は出席せず(朝日新聞 10月23日 13:30)

 明治維新150年を祝う政府の記念式典が23日、東京・永田町の憲政記念館で開かれた。10月23日は元号が慶応から明治に改められた日にあたり、与野党の国会議員や各界の代表者ら約350人が出席した。
 安倍晋三首相は式辞で「明治の人々が勇気と英断、たゆまぬ努力、奮闘によって、世界に向けて大きく胸を開き、新しい時代の扉を開けた」と強調。そのうえで「若い世代の方々にはこの機会に、我が国の近代化に向けて生じた出来事に触れ、光と影、様々な側面を貴重な経験として学びとって欲しい」と述べた。
 佐藤栄作内閣のもとで開かれた明治100年式典の際は、昭和天皇と香淳皇后が出席したが、今回天皇、皇后両陛下は出席しなかった。宮内庁は「政府からお声がけがなかった」(西村泰彦次長)としている。共産党は「明治150年の前半は侵略戦争と植民地支配に向かった負の歴史。丸ごと祝い、肯定するような行事には参加できない」(小池晃書記局長)として欠席した。(二階堂友紀)

② 社説 「徴用工」判決 日韓協定に反する賠償命令だ (読売新聞YOMIURI ONLINE 10月31日 06:04)

 日本と韓国が国交正常化に際して結んだ合意に明らかに反する。両国関係を長年安定させてきた基盤を損ねる不当な判決は到底容認できない。
 日本の植民地時代に朝鮮半島から動員された元徴用工の韓国人4人が新日鉄住金に損害賠償を求めた訴訟で、韓国最高裁は新日鉄住金の上告を棄却した。
 これにより、計4億ウォン(約4000万円)の賠償を命じた2013年の高裁判決が確定した。
 問題は、1965年の日韓請求権・経済協力協定で、請求権問題の「完全かつ最終的な解決」を定めたにもかかわらず、最高裁が日本企業に対する個人の請求権行使を可能だとしたことだ。
 請求権協定の適用対象に元徴用工も含まれることは交渉記録から明白だ。韓国の歴代政権も認めており、盧武鉉政権は2005年に元徴用工に対して韓国政府が救済を行う方針を打ち出している。
 最高裁判決は、こうした事実関係を十分に考慮しなかった。「日本の不法な植民地支配に直結した日本企業の不法行為」としての徴用に対する請求権は、協定の対象に含まれない、と断じた。
 一部原告が日本で起こした賠償請求訴訟で、敗訴が確定している点についても、日本の判例が「韓国の公序良俗に反する」と主張し、認容しなかった。
 韓国最高裁は2012年にも、元徴用工が個人請求権を行使できる、との判断を示している。今回の大法廷の審理でも、反日ナショナリズムに迎合し、不合理な認定を踏襲したと言えよう。
 1910年の日韓併合条約が合法かどうかは、国交正常化交渉でも決着しなかった。両国がこの問題を棚上げして、和解の道を進んだ経緯について、韓国司法が無視したのは理解できない。
 安倍首相が「判決は国際法に照らしてありえない判断だ」と強く批判したのは当然である。
 河野外相は駐日韓国大使に抗議し、「日本の企業や国民が不利益を被ることがないように、韓国政府は毅然きぜんとした、必要な措置をとってもらいたい」と強調した。
 放置すれば、新日鉄住金の資産が差し押さえられかねない。元徴用工らによる同様の訴訟も相次いでおり、日本企業への賠償命令が続くことが懸念される。日本政府は国際司法裁判所への提訴など、あらゆる措置を検討すべきだ。
 韓国の文在寅大統領は、「未来志向の日韓関係構築」を目指すのであれば、事態の収拾に全力を尽くさねばならない。

③ 【社説】 入管法の審議 共生の思想に欠ける (東京新聞 TOKYO Web 11月14日)

 外国人労働者を受け入れる入管難民法改正案の国会審議が始まった。初年度から約四万人も受け入れるのに、生活や賃金、教育などの論点が不透明すぎる。来年春からの導入はあまりに拙速だ。
 日本は移民を受け入れるのか-。臨時国会では、まずこんな議論からスタートした。安倍晋三首相は「移民でない」と否定したが、従来は高度な専門人材に限っていた外国人の受け入れを単純労働者に広げる制度である。安倍首相の答弁では、アナウンスなき政策の大転換になりうる。まず、それを強く懸念する。
 政府の想定は来年度から五年間で約百三十万人台の労働者が不足する。日本の人口減による深刻な人手不足である。だから同年度は、建設や介護、農業など十四業種で三万三千人から四万七千人の外国人の受け入れを見込む。
 新在留資格「特定技能」の1号と2号の合算数だ。だが、心配なのは技能実習生制度の二の舞いにならないかという点だ。昨年中に約四千二百事業所で、長時間労働や賃金不払いなどの法令違反があった。七千人を超える実習生が失踪した。使い捨て同然にしている実態が数字でよくわかる。
 奴隷的な労働と同じ構造を持つ制度を撤廃することなく、外国人労働者の受け入れ拡大に方向転換できるのか。まず同制度の廃止から議論のスタートとすべきだ。
 とくに技能実習生の場合には入国時にブローカーらが暗躍するケースがあった。「特定技能」の者には国の機関などが職業紹介しないと同じ轍(てつ)を踏みかねない。送り出し国との二国間協定を結び、政府が責任を持つのが前提だ。
 劣悪な労働環境を排することをどう構築できるかも未知数だ。法務委員会で山下貴司法相は「スキルを持つ外国人に活躍してもらう」と述べ、「安価な労働力」との見方を否定した。本当なのか。
 低賃金の外国人が増えれば、共に働く日本人の賃金減も招く恐れさえある。待遇に不平等があれば、社会での分断も起きよう。
 来日すれば生活や社会保障、教育などの問題が待ち受ける。それらを解消する施策はほとんど語られていない。単なる在留資格だけにとどまらぬ問題だ。
 政府案に欠けるのは、共生の思想であろう。それなのに「来年四月施行」というスケジュールはあまりに急すぎる。法案の「差別的取り扱いをしてはならない」規定をどう具現化するか。腰を据えた議論がいる。

④(社説)日ロ条約交渉 拙速な転換は禍根残す (朝日新聞デジタル 11月16日05時00分)

 日本とロシアの間には、戦後70年以上にわたり平和条約がない。正常な隣国関係をつくるうえで、領土問題を含めた交渉に力を注ぐことは重要だ。
 ただし、国境の画定と安全保障がからむ重大な国事である。その基本方針を変えるなら、国民と国際社会の理解を得るための説明を尽くす必要がある。
 安倍首相とプーチン大統領が会談し、1956年の日ソ共同宣言を「基礎」として平和条約交渉を進める、と合意した。
 宣言は、大戦後の国交を回復させたもので、北方四島については歯舞(はぼまい)群島と色丹(しこたん)島の引き渡しだけが約束されている。今回の合意は、2島の返還を軸にする意思を確認したといえる。
 日本政府はこれまで、4島の帰属の問題を解決して、平和条約を結ぶ方針を貫いてきた。菅官房長官は、方針に「変わりはない」としつつ、4島すべてを求め続けるか言及を避けた。
 外交交渉の過程で手の内を明かすのは適切ではない。だが少なくとも今回の合意は、日本政府の方針の変化を示している。歯舞、色丹を優先し、択捉(えとろふ)、国後(くなしり)は将来の課題とする「2島先行」方式に、安倍政権は踏み込もうとしているようだ。
 はっきりさせておきたい。条約を結ぶ際に、「2島返還、2島継続交渉」といったあいまいな決着はありえない。国境を最終画定させない「平和条約」は火種を先送りするものであり、両国と地域の長期的和平をめざす本来の目的にそぐわない。
 妥協の道を開くには、現実を見すえた一定の柔軟さは求められるだろう。しかし4島の要求は、国会も繰り返し決議してきた。19世紀に帝政ロシアとの平和的な交渉で、日本領だと認められたという歴史を主張の基盤としてきた。
 その方針を変えるとすれば、なぜか。国民が納得できる説明をするのは当然の責務だ。日本が対外的に発する様々な主張の信頼と正当性にもかかわる。
 その点でこれまで安倍首相が続けてきた不十分な説明姿勢には、不安を禁じえない。
 「新しいアプローチ」などを掲げて対ロ交渉を演出してきたが、実質的な進展はなかった。その末にプーチン氏に領土問題棚上げを突きつけられ、窮したなかでの「2島」論である。
 首相が残り任期をにらみ功を焦っているとすれば危うい。
 ロシアは4年前、自ら認めた国境を無視してウクライナのクリミア半島を併合した。その国といま、平和条約を結べば、国際社会からどんな視線を受けるかも留意すべきだろう。

⑤ 立憲・枝野氏「4島の主権、絶対に譲ってはいけない」 (朝日新聞 11月18日 19:18)

■立憲民主党・枝野幸男代表(発言録)
 (ロシアとの北方領土交渉について)大事なことは、これは国家主権の問題だ。4島が歴史的にも法的にも日本固有の領土であるという主張は、どういう取引がもちかけられても変えてはいけない基本だ。不当に占拠していても時間が経てば取引に応じて半分くらいよこすんだ、なんていう前例をつくってしまったらとんでもないことになる。国を売るような話だ。
 4島の主権が我が国にあるということだけは絶対に譲ってはいけない。このことだけは厳しく言い続けながら、そのプロセスの中で2島先行ならいいが、2島ぽっきりではいけない。あくまでも4島とも主権は我が国にあるということを確認するのが、平和条約を締結する前提だ。(さいたま市での支援者集会で)

⑥ 下村氏が謝罪 野党なお反発 (東京新聞 11月16日)

 自民党憲法改正推進本部の下村博文本部長は十五日、改憲論議に慎重な野党の姿勢を「職場放棄」と評した自らの発言について「野党の皆さんに不快な思いをさせてしまい、本当におわびを申し上げたい」と謝罪した。東京都内で開かれた自民党前参院議員の勉強会での講演で言及した。
下村氏は講演後、記者団から発言を撤回するのかと聞かれ「撤回といえば撤回だ」とも話した。野党の怒りを解き、衆参両院の憲法審査会の開催に応じてもらう狙いとみられる
 しかし、国民民主党の原口一博国対委員長は同日の記者会見で「謝罪するなら会見を開くなり(野党に)出向くなりした方がいい。メディアから(謝罪を)聞くことは、違和感を禁じ得ない」と不快感を示した。
 立憲民主党の辻元清美国対委員長は「自民党の案を提案したいから、早く(憲法審を)開いてという求めには乗れない」と強調。下村氏の発言よりも、改憲条文案を提示したい自民党の都合で憲法審を開くこと自体が問題との見解を示した。
 自民党の推進本部メンバーは「(下村氏の発言の)影響が広がっている。党として状況を整理して対処しないといけない」と話した。

⑦ 憲法審開催 野党が拒否 改憲案提示 今国会は困難に (朝日新聞 11月21日)

 出入国管理法改正案をめぐる与野党対立を受け、立憲民主党など6野党・会派は20日、与党側が求めていた22日の衆院憲法審査会の開催に応じない方針を決め、与党に伝えた。会期末を来月10日に控え、安倍晋三首相がめざす自民党改憲案の今国会提示は厳しい情勢となった。
 6野党・会派の憲法審メンバーは20日、国会内で対応を協議。入管法改正案をめぐる政府による失踪外国人技能実習生への聞き取り調査結果の誤りや、資料の限定的開示への批判が噴出し、「憲法審を開催する状況ではない」との認識で一致した。
 一方の自民党は、改憲論議に消極的な野党を「職場放棄」と批判して憲法審幹事の内定辞退に追い込まれた下村博文・憲法改正推進本部長の後任に木原稔衆院議員を充てる方針を決定。幹事互選のための憲法審を22日に開き、29日以降に継続審議中の国民投票法改正案を成立させ、党改憲案を提示する段取りを描く。だが、与野党対立が収束する見通しはなく、党内からは「憲法では(強行的な運営などの)無理もできない。今国会は憲法審の開催自体が厳しい」との声も出ている。

<別紙2>   第59事務局報告
                   福田玲三(事務局)2018.11.25

1) 後藤弁護士の論考3本、ブログに掲載。
 前回の例会で報告いただいた後藤富士子弁護士から、法治国家としての現状と問題点を分かりやすく指摘した論考3本(別紙3)を受け取り、これを当会ホームページ会員ブログに掲載した。

2)緊急警告031号と032号を発信。
 緊急警告031号 首相による憲法の独善解釈は歴史的汚点!と032号 憲法を無視する防衛費の増大!(別紙4)を発信した。

3) 次の例会・勉強会、委員会
 例会・学習会 12月23日(日)13:30~16:30 神明いきいきプラザ 集会室B
 委員会 12月26日(水)14:00~ ばるーん(港区立生涯学習センター)205学習室   

4) 集会の案内

① 第130回市民憲法講座「北東アジアの非核兵器地帯構想と核兵器禁止条約」
 お話:川崎哲さん(ピースボート共同代表、核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN))
 12月15日(土) 18:30開始 文京区民センター2階 A会議室 参加費800円
 http://www.city.bunkyo.lg.jp/gmap/detail.php?id=1754
 主催:許すな!憲法改悪・市民連絡会 TEL 03-3221-4668/HP http://web-saiyuki.net/kenpoh/
 今年は「朝鮮戦争の終結」「朝鮮半島の非核化」に向け大きな進展があった。そんな中、「被爆国」であり朝鮮半島分断の当事者である日本はどのような役割を果たすのか、世界中から問われている。

② 改憲と私たちの暮らし
 日時:12月20日(木)14:00~1630 会場:日本女子大目白キャンパス新泉山館 大講堂
 講師:久保木太一弁護士(明日の自由を守る若手弁護士の会) 参加無料・申込不要
 改憲によって私たちの暮らしはどう変化するか、わかりやすく解説。
 主催・問合せ:平和を求める日本女子大学有志の会 joshidaiheiwa@gmail.com

③『週刊金曜日』東京南部読者会
 12月21日(金) 18:00~20:00 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)
 読者会終了後に忘年会を予定。

④ 映画『憲法を武器として 恵庭事件 知られざる50年目の真実』東京上映会 第14回
 12月22日(土)13:30開場 14:00~ 文京区民センター 3A会議室(都営三田線・春日駅 出口A2すぐ、メトロ・後楽園駅 出口6から徒歩約3分)一般¥1000 学生¥500
 http://eniwahanketsu50.com/movie.html 主催:タキオンジャパン TEL 090-3576-6644(稲塚)
 北海道恵庭町、自衛隊島松演習場の騒音などで、近くの酪農家が、家族も牛も健康を損ねたことから演習場の通信線を切断した。裁判では酪農家は無罪になった。自衛隊の憲法判断は回避され「肩すかし判決」と言われたが、自衛隊の違憲性が当時どう論じられたかが今、大きな意味を持つ。

⑤「終焉に向かう原子力」講演会(第19回) 小出裕章氏「原発をやめられない最後の理由、核武装」
 12月24日(月・祝日) 14:00~17:00(開場13:30) 【当日先着順350名(予約不要)】
 文京区民センター2A会議室 (地下鉄春日駅A2出口徒歩1分)参加費1000円(学生500円)
 主催:「終焉に向かう原子力」実行委員会 問合せ:TEL 03-3739-1368 090-9137-2437

⑥ ドキュメンタリー映画『最後の一滴まで』上映会&トーク「世界に逆行し水道民営化へ進む日本」
 2019年1月16日(水)18:30~20:50 開場18:10 連合会館 2F 203会議室(御茶ノ水)
 地図 https://rengokaikan.jp/access/ 【要予約】 参加費1000円
 連絡先:アジア太平洋資料センター(PARC)TEL.03-5209-3455、メール:office@parc-jp.org
◆映画『最後の一滴まで―ヨーロッパの隠された水戦争』上映(59分)
 http://www.parc-jp.org/video/sakuhin/uptothelastdrop.html
◆解説トーク「ヨーロッパで起こる水道再公営化と民主主義を求める運動」 岸本聡子さん(アムステルダムの政策研究NGO トランスナショナル研究所(TNI)研究員。新自由主義や市場至上主義に対抗する公共政策と市民発のオルタナティブを支援・研究するプロジェクト”public alternative”のコーディネーター) ◆クロストーク 岸本聡子さん×内田聖子(PARC)
 1990年以降、多くの国・自治体が水道の民営化を進めた結果、料金の高騰、水質汚染等々から深刻な問題を引き起こしてきた。そのため公営に戻す住民運動が盛んになり、国連総会では安全な飲料水へのアクセスを「人権」の一つと承認した。現在パリやベルリンをはじめ世界で835件以上の「水道再公営化」が実現、流れは加速中だ。日本政府は逆に民営化を加速すべく、コンセッション契約など水道法のさらなる規制緩和を狙う。多国籍企業ヴェオリアやスエズが食い込み中。

<別紙3>  後藤富士子弁護士会員ブログ投稿記事   

① 自衛隊はなぜ「旭日旗」に拘るのか? ――安倍9条改憲が狙うもの
                     弁護士 後藤富士子
1 朝日新聞記事によれば、韓国は、10月10~14日に韓国済州島で開かれた「国際観艦式」に関し、参加国に「自国の国旗と太極旗(開催国である韓国の国旗)だけを掲揚するのが原則」だと8月31日付で通知していた。
 日本の「国旗」は「日の丸」であるが、海上自衛隊は1954年の発足時に艦の国籍を示す自衛艦旗として「旭日旗」を採用した。旭日旗は旧日本軍で使われたものであり、韓国内にはこの旗に対して「日本軍国主義の象徴」との批判がある。そのため、韓国海軍が対応を検討した結果、日本の海上自衛隊に自衛艦旗を使わないよう間接的に要請したのである。但し、「国際法や国際慣例上いかなる強制もできない」とも説明している。
 これに対し、日本側は、「非常識な要求。降ろすのが条件なら参加しないまで。従う国もないだろう」(防衛省関係者)としている。また、小野寺五典防衛相は「国内法令で義務づけられており、当然(自衛艦旗を)掲げることになる」と述べ、要請にかかわらず従来通り自衛艦旗を掲げる考えを強調した。
 ところが、10月5日、岩屋毅防衛相は、護衛艦の派遣を中止すると発表した。4日には、自衛隊制服組トップの河野克俊統合幕僚長が定例会見で「海上自衛官にとって自衛艦旗は誇りだ。降ろしていくことは絶対にない」と述べている。

2 国連海洋法条約は「軍艦」に対し、所属を示す「外部標識」の掲揚を求める。海自艦にとっては自衛艦旗が外部標識で、自衛隊法などは航海中、自衛艦旗を艦尾に掲げることを義務づけている。日本側は、これを根拠に韓国側に条件の変更を求めてきたという。
 なお、98年と2008年に韓国で開かれた観艦式で海自艦は旭日旗を掲げてきたのに、今回こじれた背景には韓国世論がある。韓国政府は当初、「行事の性格や国際慣例などを考慮願いたい」などと国内世論に対して理解を求めていたが、大統領府ホームページの掲示板に「戦犯国の戦犯旗だ」「国家に対する侮辱だ」などとする書き込みが相次いだため、国民の支持を失うことを恐れた大統領府が対応を変えたという。
 ちなみに、昨年5月、アジア・サッカー連盟(AFC)は、アジア・チャンピオンズリーグ(ACL)のアウェー水原(韓国)戦で、サポーターが旭日旗を掲げたJ1川崎に対し、1年間の執行猶予付きでAFC主催大会のホーム1試合を無観客試合とする重い処分と、罰金1万5000ドル(約170万円)を科している。AFCの規律委員会は、旭日旗は国籍や政治的主張に関連する差別的象徴と認定し、倫理規定に違反するとされたのである。
 この経緯をみると、自衛隊は、「国籍や政治的主張に関連する差別的象徴」と認定されるような旭日旗をやめて、国旗「日の丸」を掲げればいいじゃないか、と単純に思う。それに、こんな忌まわしい旭日旗を自衛官に強制して「誇り」をもたせるというのは、「歴史修正主義」による洗脳というほかない。また、「安倍日本会議政権」の日本と文在寅大統領の韓国とでは、現時点で未来の方向が真逆になっている政治の現実がある。文大統領の訪日の具体的な日程は決まらず、旭日旗に拘ることで海自艦の韓国寄港が実現する見通しが立たなくなっているというのであり、「旭日旗」は、明らかに日本の国益を損なっている。

3 国連海洋法条約29条は、軍艦の定義規定であり、「この条約の適用上、『軍艦』とは、一の国の軍隊に属する船舶であって、当該国の国籍を有するそのような船舶であることを示す外部標識を掲げ、当該国の政府によって正式に任命されてその氏名が軍務に従事する者の適当な名簿又はこれに相当するものに記載されている士官の指揮下にあり、かつ、正規の軍隊の規律に服する乗組員が配置されているものをいう。」と定められている。すなわち、「自衛艦」は、国際法上「軍艦」にほかならない。
 一方、自衛隊法4条は、「自衛隊の旗」についての規定であり、1項は「内閣総理大臣は、政令で定めるところにより、自衛隊旗又は自衛艦旗を自衛隊の部隊又は自衛艦に交付する。」とされ、2項で「前項の自衛隊旗及び自衛艦旗の制式は、政令で定める。」としている。その自衛隊法施行令で、自衛艦旗は、日章が中心より左下に寄った光線16本の旭日旗であり、陸上自衛隊の連隊旗は、日章が中心にあり光線8本の旭日旗とされている。すなわち、旭日旗を自衛隊旗と定めている法的根拠は「政令」にすぎないのである。また、小野寺防衛相が「国内法令で義務づけられている」というのは自衛隊法102条1項のことであり、「自衛艦その他の自衛隊の使用する船舶は、防衛大臣の定めるところにより、国旗及び第4条第1項の規定により交付された自衛艦旗その他の旗を掲げなければならない。」と規定している。したがって、自衛艦旗である旭日旗の不掲載は、防衛大臣が決めれば足りることである。

4 自衛艦旗が定められたのは、1954年の自衛隊発足時である。一方、「日の丸」が国旗とされたのは、平成11年(1999年)に制定された「国旗及び国歌に関する法律」による。そして、「国旗」を「軍旗」としても、国連海洋法条約29条に抵触しない。ちなみに、米国、フィリピン、インドネシア、ベトナムなどは国旗と軍旗は同じである。
 このようにみてくると、自衛隊を憲法に明記させる「安倍9条改憲」は、制服組トップが望む「旧日本軍」の復権を意味すると思われる。しかし、自衛隊が旭日旗を掲げることは、日本が「加害の歴史」を反省していない証であり、日本国憲法の出自と矛盾する。また、自衛隊は、憲法9条2項で「保持しない」とされた「軍隊」であってはならないのだから、旧日本軍が使っていた「軍旗」などやめるべきだ。
 一方、国は、法律で国旗と定められた「日の丸」を国民に強制している。したがって、改憲論議よりも優先して、忌まわしい旭日旗を自衛隊旗とすることは止め、自衛隊法施行令を改正して自衛隊旗を「日の丸」とするべきである。                     (2018.10.26)

② 憲法9条2項と自衛隊 ――法律文言のメルトダウン―
                   弁護士 後藤富士子
1 去る10月10~14日に韓国済州島で「国際観艦式」が開かれた。日本は自衛艦旗をめぐる悶着が原因で、参加を中止した。自衛艦旗の「旭日旗」は旧日本軍で使われたもの。だから韓国内にはこの旗に対して「日本軍国主義の象徴」との批判があり、日本に自衛艦旗を使わないよう間接的に要請したのである。
 自衛艦旗は、国連海洋法条約で掲揚を義務付けられている、所属を示す「外部標識」である。日本は当初、旭日旗を掲げて参加する方針であった。しかし、韓国世論が「戦犯国の戦犯旗だ」などと「旭日旗」に対する抵抗が強かったこともあって、「旭日旗を降ろすなら参加しない」と参加を見送った。
 ところで、問題の国連海洋法条約29条は「軍艦」の定義規定であり、「この条約の適用上、『軍艦』とは、一の国の軍隊に属する船舶であって、当該国の国籍を有するそのような船舶であることを示す外部標識を掲げ、当該国の政府によって正式に任命されてその氏名が軍務に従事する者の適当な名簿又はこれに相当するものに記載されている士官の指揮下にあり、かつ、正規の軍隊の規律に服する乗組員が配置されているものをいう。」と定められている。すなわち、「自衛艦」は、国際法上「軍艦」にほかならない。そうすると、自衛隊も「軍隊」ということになる。

2 日本国憲法9条1項は、「日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」と定め、第2項は、「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と定めている。すなわち、9条2項によれば、自衛隊は「軍隊」であってはならない、のである。一方、国際法上、自衛隊は「軍隊」である。
 こうなると、憲法9条2項は法規範として死滅している。法律文言のメルトダウン!

3 同じような「法律文言のメルトダウン」現象は、日本では随所に見られ、法治国家というより「放置国家」の様相が顕著である。
 たとえば、民法818条3項で「親権は、父母の婚姻中は、父母が共同して行う。」と定められているのに、ある日突然に妻が子どもを拉致同然に連れ去って父子関係を断絶させても、父の親権妨害として不法行為責任が追及されることはない。それどころか、離婚後の単独親権者指定に際しては、連れ去った親が「監護の継続性」を理由に、親権者と指定される。むしろ、離婚後の単独親権者指定を目指して、離婚前の婚姻中に「連れ去り」「引き離し」をするのである。こうなると、民法818条3項の規定はメルトダウンしてしまう。
 また、婚姻費用分担について、民法760条は「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と定めている。ところが、実務では、収入だけで算出する「標準算定方式」という「算定表」で決する。すなわち、「資産」も「その他一切の事情」も考慮されないのだから、条文がメルトダウン。
 さらに、離婚に伴う財産分与について、夫婦間で協議が調わない場合、民法768条3項は「家庭裁判所は、当事者双方がその協力によって得た財産の額その他一切の事情を考慮して、分与させるべきかどうか並びに分与の額及び方法を定める。」と規定している。しかるに、実務では、「婚姻関係財産一覧表」を作成させて、夫婦の財産の合計の半分から分与をうける側の財産を控除した残額を分与させる。つまり、機械的に夫婦の名義の財産を2分の1に清算するのである。ここでも、条文がメルトダウン。
 憲法でも、同じ現象がある。憲法76条3項は「すべて裁判官は、その良心に従い独立してその職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される。」と定めている。しかるに、裁判所法では、司法修習を終えて採用される裁判官を「判事補」とし、27条で、判事補は、「他の法律に特別の定めのある場合を除いて、一人で裁判をすることができない」とか、「同時に二人以上合議体に加わり、又は裁判長となることができない」と規定されている。すなわち、日本では、憲法76条3項の裁判官ではない「裁判官」が存在するのである。
 このように条文がメルトダウンしたのでは、「法の支配」も「法治」もあり得ない。

4 ところで、安倍政権は、憲法9条について改正を企図している。まず、9条1項2項には手を触れず、「9条の2」として次のような条文を加えるという。その1項は「前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置を執ることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。」とし、第2項は「自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。」である。
 すなわち、自衛隊は「自衛の措置をとるための実力組織」であって、9条2項が保持しないとしている「軍隊」ではない、という論理である。だからこそ、安倍首相は、「自衛隊を憲法に明記するだけで何も変わらない」と説明するのである。
 しかし、少なくとも国際法上、自衛隊は「軍隊」である。したがって、国際法上の「軍隊」を国内法で「自衛の措置をとるための実力組織」と言い換えても、「軍隊」でなくなるはずがない。このような、法律文言をメルトダウンさせることが横行したのでは、もはや日本は法治国家とはいえない。
 「安倍改憲」問題は、根の深いところで、私たち市民の日常生活を律する法規範のメルトダウンと繋がっているのである。 (2018.11.2)

③ 憲法9条の「主語」は誰か? ――日本国憲法における国民の主体性
                    弁護士 後藤富士子
1 日本国民の信念と決意 ― 憲法前文
 日本国憲法は、日本国民の総意に基づく新日本建設の礎として、帝国議会の議決を経た大日本帝国憲法の改正を昭和天皇が裁可し、昭和21年11月3日に公布されたものである。
 その前文で、日本国民は、1つの信念と3つの決意を表明している。
 まず、第1の決意は、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないようにすること、である(第1段落)。
 第2の決意は、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持すること、である(第2段落)。
 そして、信念は、「いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従うことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立とうとする各国の責務である」というものである(第3段落)。
 最後の決意は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することの誓い、である(第4段落)。

2 憲法9条で日本国民が宣言した内容
 憲法9条の「主語」は、1項2項を通じて、「日本国民」である。そして、日本国民が9条で宣明した内容を箇条書きにすると、次のとおりである。
(1) 正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求する。
(2) 国際紛争を解決する手段として、①国権の発動たる戦争、②武力による威嚇、③武力の行使、の永久放棄。
(3) 前記(2)の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力を保持しない。
(4) 国の交戦権は認めない。

3 安倍9条改憲(案)
 現在の9条1項2項には手を触れず、「9条の2」として次のような条文を加えるという。
(1) 第1項は、「前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置を執ることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。」
(2) 第2項は、「自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。」
 ここでは、9条の「主語」である「日本国民」が消えている。
 そうすると、どういうことになるのか。
 日本国民は、諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持することを決意し(前文第2段落)、国際紛争を解決する手段として、①国権の発動たる戦争、②武力による威嚇、③武力の行使を永久に放棄した(9条1項)。また、自国の主権を維持するには、「自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」という普遍的な政治道徳の法則に従うと宣明している(前文第3段落)。さらに、日本国民は、陸海空軍その他の戦力を保持しないとも宣明している(9条2項)。
 しかるに、同じ「日本国民」が他方で、「9条の2」によって、「我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な実力組織として自衛隊を保持する」などという、全く相容れないことを表明することになる。ちなみに、自衛隊は、国連海洋法条約で「軍隊」と定義されている。保持しないと宣明した自衛隊の行動を、「9条の2」の第2項で「法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する」と、猿芝居のような「シビリアン・コントロール」をかけているつもりのようである。
 すなわち、「安倍9条改憲」は、日本国民をジキル・ハイドのような二重人格者に貶めるものである。また、安倍首相は、臨時国会の所信表明演説で、「国家の理想を語るのが憲法」と述べているが、日本国民は、「国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成する」ことを誓っている(前文第4段落)。これを否定して、安倍首相の「国家の理想」を国民に強要して、日本国民の名誉を台無しにしようというのである。こうなると、安倍首相は、もはや「国賊」というほかない。

4 「9条名誉裁判」を闘おう!
 「安倍改憲」の本質は、「立憲主義」というより「法治主義」の問題であると思われる。そして、素晴らしい日本国憲法の主体である日本国民の一人として、この憲法を誇りに思う。それを、あまりにも低能な「日本語」の濫用によって、日本国民の名誉を完膚なきまで毀損しようとする「安倍9条改憲」は、許すことができない。
 そこで、安倍晋三首相個人と自由民主党を被告にして、名誉毀損の損害賠償訴訟を提起しようではないか。原告は、日本国民なら誰でもなれる。自民党が改憲案を国会に提出したら、直ちに提訴できるように準備したい。
 「国会の発議を阻止する」などといっていたら、改憲を阻止することはできない。「国会の議決」という正当性が付与される段階に勝負を構える前に、提案者の責任を徹底的に追及すべきである。そして、そのことこそ、「国会の発議を阻止する」力にほかならない。 (2018.11.5)

<別紙4>
 緊急警告031号 「首相による憲法の独善解釈は歴史的汚点!」

 さる10月24日開会の臨時国会における所信表明演説で、安倍晋三首相は、「国の理想を語るものは憲法です。憲法審査会において、政党が具体的な改正案を示すことで、国民の皆様の理解を深める努力を重ねていく。そうした中から、与党、野党といった政治的立場を超え、できるだけ幅広い合意が得られると確信しています。そのあるべき姿を最終的に決めるのは、国民の皆様です。制定から70年以上を経た今、国民の皆様と共に議論を深め、私たち国会議員の責任を、共に、果たしていこうではありませんか」と述べ、9条に自衛隊を明記する改憲案を、この臨時国会で提示することに意欲を示した。
 この所信表明に対する各党代表質問の冒頭に立った枝野幸男立憲民主党代表は、「国の理想を語るものは憲法だ」との首相の言葉をはね返し、「憲法の本質は国家権力を縛ることにある。縛られる側の中心にいる首相が先頭に立って旗を振るのは論外だ」と批判した。
 首相はこの批判には答えず、続く稲田朋美自民党副幹事長の質問に「首相として答えることは控える」としながら「お尋ねですので、自民党総裁として一石を投じた考えの一端を申上げる」と自衛隊の存在を明文化する必要を挙げた。
 首相の所信表明を、自民党総裁の発言にすりかえる厚顔無恥が、世論調査に現れる「首相の人柄が信用できない」に反映している。
 参院の代表質問では立憲民主党の吉川沙織氏が「憲法順守義務を負う首相は、改憲に係る発言は自制的、抑制的であるべきだ」と指摘、衆院二日目の代表質問で共産党の志位和夫委員長も「行政府の長が立法府の審議のあり方に事実上の号令をかけており、三権分立を蹂躙(じゅうりん)している」と批判した。
 これに対して首相は憲法63条(閣僚の議員出席の権利と義務)や67条(内閣総理大臣の指名、衆議院の優越)に言及して反論し、99条(憲法尊重擁護の義務)は公務員が改憲を主張するのを禁じてはいないとの見解を示した。
 一行政府の長が、勝手に憲法条文解釈をする独善は決して許されない。憲法史上歴史的な汚点を見過ごすことはできない。
 与党、自民党内部にさえ首相の改憲発言についてはわだかまりがある。例えば二階派の伊吹文明元衆院議長は「首相が国会にああいうことを言うことはいいのかなという感じはした」と疑問を呈している。
 それでも首相は「国民の皆さんと共に」と言い続けるつもりなのか。(2018年11月14日)

 緊急警告032号 「憲法を無視する防衛費の増大!」

 第一次世界大戦の終結から百年を迎えた11月11日、フランスの首都パリに60ヵ国以上の首脳が参集し開かれた式典で、マクロン仏大統領が演説し、「第1次大戦は1千万人の死者を生んだ。自国の利益が第一で、他国は構わないというナショナリズムに陥るのは背信行為だ。いま一度、平和を最優先にすると誓おう」と呼びかけた。この忠告に、トランプ米大統領はむっとした表情を見せ、同日開かれた平和フォーラムを欠席した。
 このようなトランプ米大統領と組んで「自由で開かれたインド太平洋構想」を掲げて中国に敵対しつつ、北朝鮮のミサイル発射を国難と煽り、安倍政権は陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージスアショア」を購入したあと、新防衛大綱の策定をこの冬に見込んでいる。
 この大綱は「これまでの延長線上ではない、数十年先の未来の礎となる防衛力のあるべき姿を追及していく」(10月29日、衆院代表質問への首相答弁)もので、その真意は「敵にやられっぱなしで、日本が守るしかないでは良くない。攻撃的な技術をやった方がいい」(東京新聞 11月13日「税を追う」)と、防衛省の幹部の間では受け止められている。
 防衛予算は、第3次安倍政権下の2016年度当初予算で5兆円を突破し、さらに、高額の最新鋭戦闘機F35や輸送機オスプレイなどの米国製兵器、国産の新型護衛艦なども毎年のように導入し、複数年で支払う兵器ローン残高は累積している。
 そこでその抜け道に補正予算が使われ、防衛省は14年度からは北朝鮮情勢など「安全保障環境への対応」を理由に兵器調達費を次々に計上し、17年度の補正予算は2273億円に上った。補正予算を加えると、第2次安倍政権下の14年度から、防衛予算は5兆円を超えている。
 防衛装備品の補正予算への計上は、2年目以降の支払いの一部を前倒しすることが多い。防衛省の元幹部は「その分、本予算で新しい装備品を買う枠ができる」(『東京新聞』11月1日、「税を追う」)と本音を語っている。
 国産と輸入兵器のローン支払いは、19年度予算の概算要求で2兆708億円に上り、さらにそれを上回る2兆5141億円もの新たな後年度負担が見込まれている。
 借金は今後も膨らみ、その先にあるのが、新防衛大綱の策定に伴う防衛費の対国内総生産比「1%枠」の撤廃だ。近隣諸国の脅威を意識的に煽り、防衛費をそれによって増額し、民生を圧迫し、限られた財源を増税によって補う。来年10月に予定される消費税率10%への引き上げは、その一環だ。「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意」と記した憲法を無視する、そのような悪循環は決して許されない。
 近く臨時国会に提出される第2次補正予算案と年末に政府が改定する防衛大綱の内容を注目したい。
(2018年11月16日)

  当面の日程について
1)第60回例会・勉強会   12月23日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ 集会室B
2)第58回運営・編集委員会 12月26日(水)14:00~ ばるーん 205学習室
  (港区立生涯学習センター・新橋)
3)第5回総会兼第61回例会・勉強会 1月27日(日)13:30~ ばるーん 302学習室
4)第59回運営・編集委員会    1月30日(水)14:00~ ばるーん 202学習室
5)第62回例会・勉強会   2月24日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ 集会室C
6)第60回運営・編集委員会 2月27日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

完全護憲の会ニュース №59 2018年11月10日

                <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
              発行:完全護憲の会 電話・FAX 03-3772-5095
                 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312
                 Eメール:kanzengoken@gmail.com
                 ホームページ:http://kanzengoken.com/

          目 次

      第58回例会・勉強会の報告            P.1
      別紙1 政治の現況について           P.1
      別紙2 事務局報告               P.4
      別紙3 「『護憲』と『改憲反対』の間隔     P.5
          後藤富士子弁護士による報告(要旨)
      第56回 運営・編集委員会の報告(略)      P.6

          第58回例会・勉強会の報告

 10月21日(日)、三田いきいきプラザの会議室にて開催。参加者6名、会員72名。
 司会は草野運営・編集委員長が担当。まず「政治の現況について」(別紙1)、主なニュース一覧と、この間の5本の新聞社説、ニュース記事が提出(さらに当日の参加者用に毎日、朝日、産経3社の社説が追加)され、次のような意見があった。
「朝日のニュース『改憲強硬路線に警戒感』では『自民党執行部部内でも、来夏に参院選を控えるなかでの国会発議は困難』としているが、楽観論は危険だ」「『公明党の協力なしに発議はできない』とされているが、参院の現党派別構成は?」「自民126、公明25で計151。総員242の3分2は162で、自民・公明の計に維新11を加えれば、まさに162となり、改憲発議は可能だ。だから公明党の協力なしには改憲発議はできない」
 ついで「事務局報告」(別紙2)が行われた。
 そのあと勉強会に移り、講師の後藤弁護士から前置きとして「まず、たとえば水俣病の現場に行って、現憲法下での実態を学ぶことが大切。新憲法によって、国家主権や刑事手続きなどで旧帝国憲法が一変した。しかし、その運用が全くダメで、米国や韓国でも弁護士試験を通って現場で経験を積んだあと、はじめて裁判官になっているが、日本ではキャリアシステムで、世間を知らない若い裁判官が生まれている。改憲反対を言う前に、実態を憲法に合わせろと主張したい」とし、「『護憲』と『改憲反対』の間隔(要旨)」(別紙3)が報告された。
 この報告をめぐり、「日本国憲法を開花させることが護憲」という考え方が討議の過程で共感され、現憲法下における実態のゆがみが痛感された。

<別紙1>     政治の現況について

(1)主なニュース一覧(2018年9月21日~10月18日)
① 沖縄県知事選、玉城デニー氏自公維候補破り当選(9月30日)
② 安倍第四次内閣発足(10月2日)
③ 柴山昌彦文科相、就任会見で教育勅語「道徳などに使うことができる」と発言(10月2日)
④ 防衛省、沖縄県の辺野古埋め立て承認撤回に「撤回の効力停止」の申し立て(10月17日)
⑤ 安倍首相、自衛隊観閲式で「すべての自衛隊員が誇りをもって任務をまっとうできる環境を整える」と9条改憲推進表明(10月14日)

(2)新聞社説、ニュース記事
① <社説>「新知事に玉城氏 新基地反対の民意示した」 琉球新報 10月1日

 翁長雄志知事の死去に伴う沖縄県知事選挙は、名護市辺野古への新基地建設反対を訴えた前衆院議員・玉城デニー氏(58)が、安倍政権の支援を受けた前宜野湾市長・佐喜真淳氏(54)を大差で下し、初当選した。
 米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古への新基地建設について、玉城氏は「辺野古に新たな基地は造らせない」と主張、知事の持つあらゆる権限を行使して阻止する姿勢を示した。
 佐喜真氏は辺野古移設を推進する安倍政権の全面的な支援を受けながらも、その是非について言及を避け続けた。
 玉城氏が当選したことで、新基地建設に反対する沖縄県民の強固な意志が改めて鮮明になった。政府は、前回、今回と2度の知事選で明確に示された民意を率直に受け止め、辺野古で進めている建設工事を直ちに中止すべきだ。
 沖縄には、普天間飛行場の4倍以上の面積を有する嘉手納基地をはじめ在日米軍専用施設面積の7割が集中している。県内移設を伴わない普天間飛行場の返還は決して法外な要求ではない。
 今選挙で政府・与党は菅義偉官房長官、自民党の二階俊博幹事長、竹下亘総務会長、公明党の山口那津男代表らが次々と沖縄入りし、総力を挙げて佐喜真氏を応援した。
 政権の動きに呼応するかのように、ネット上では玉城氏に対する誹謗(ひぼう)中傷やデマが拡散された。模範となるべき国会議員までが真偽不明の情報を発信した。
 沖縄県知事選で玉城氏ほど、いわれのない多くの罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせられた候補者がかつていただろうか。有権者の中には、デマを本当のことだと思い込んだ人もいたかもしれない。
 戦後、米軍統治下にあった沖縄で直接選挙によって住民の代表を選ぶ主席公選が初めて認められたのは1968年のことだ。自治権の拡大を求める沖縄住民が勝ち取った権利だった。
 その際、自民党は川島正次郎(副総裁)、福田赳夫、中曽根康弘の各氏ら有力者を次々と送り込み、保守側の候補者を強力に支援した。結果は、革新の屋良朝苗氏が当選している。あれから50年。政府与党は知事選に介入し敗れた。
 振興策で思い通りになると考えていたとすれば、県民を軽んじた話ではないのか。
 政権与党対県政与党という対立構図の中で、県民は翁長県政の路線継承を望み、安倍政権に「ノー」を突き付けた。「政府の言いなりではなく、沖縄のことは沖縄で決める」という強い意志の表れだ。
 県は前知事による辺野古の埋め立て承認を8月31日に撤回した。政府は法的対抗措置を取る構えを見せている。
 この期に及んで、なおも新基地を押しつけるというのなら、民主主義国家を名乗る資格はない。政府は沖縄の揺るぎない民意を尊重し、新基地建設を即刻断念すべきだ。

②【社説】「辺野古基地問題 民意再び無視するのか」東京新聞 TOKYO Web 10月18日

 知事選で示された沖縄の民意を再び無視するのか。名護市辺野古への米軍新基地建設を巡り、県が行った沿岸埋め立て承認撤回への対抗措置。政府は対立を解く責任は自らにあると考え直すべきだ。
 辺野古埋め立て承認の撤回は、翁長雄志前知事が亡くなる直前に最後の力を振り絞って方針を表明。県が八月末に実行した。
 九月末の知事選の結果、翁長氏の後継を掲げた玉城デニー氏が、政府与党支援候補を相手に過去最多得票で大勝し、県民は翁長氏の判断を支持した形となった。安倍晋三首相は十二日、知事就任から八日という異例の早さで玉城氏と会談し、沖縄側の要望を聞いた。
 玉城氏はこの場で、米軍普天間飛行場の辺野古移設に反対することが沖縄の民意だと明言。首相は新基地建設の立場は不変としつつも、冒頭では満面の笑みで知事就任に祝意を伝え、沖縄に在日米軍施設の七割が集中する現状を「到底是認できない。県民の気持ちに寄り添いながら、負担軽減に向け成果を出す」と述べたという。
 しかし、きのう防衛省は国土交通相に撤回の効力停止などを申し立てた。一方的な対話打ち切りだ。政府内で不服申し立てから審査まで行うやり方も批判を呼ぼう。
 県民の気持ちに寄り添うとは本来、政府の決定を押しつけるのではなく、県民の意向を尊重する形で基地の在り方を見直すこと。米側との協議も必要だ。二十二年も前の一九九六年に日米合意された辺野古移設は今も妥当なのか。普天間飛行場を閉鎖しても、在沖縄海兵隊の国外、県外への機能分散などにより抑止力維持は可能ではないか、といった論点は多い。
 米紙ニューヨーク・タイムズ電子版は、知事選直後「沖縄の米軍駐留を減らすために」と題した社説を掲載し「日米両政府は妥協案を探るときだ」と訴えた。
 きのうを境に、政府と沖縄県は辺野古移設問題で再び法廷闘争に突入するとみられる。埋め立て承認の取り消しを行った翁長県政時代も、裁判での両者の争いは一年余り続いた。仮に前回と同じく国の勝訴で終わったとしても、県側が今回の撤回理由に挙げた現場の軟弱地盤改良工事などには知事の新たな承認が必要で、玉城氏が拒めば対立は延々と続く。
 選挙を経て、ボールは政府側にある。必要なのは誠意ある姿勢と決断だ。普天間飛行場の危険性を取り除くためにも、一日も早く合意点を見いだすよう望む。

③【主張】「姉妹都市解消 慰安婦像で妥協は不要だ」産経新聞 THE SANKEI NEWS 10月14日

 姉妹都市というには、相手方の対応はあまりに不誠実である。史実の誤認もはなはだしい。
 大阪市の吉村洋文市長が、米カリフォルニア州サンフランシスコ市に姉妹都市提携の解消を知らせる書簡を送った。同市が、中国系団体に寄贈された慰安婦像と碑の受け入れを覆すことはないと判断したためである。
 これに対しサンフランシスコ市長は声明を出し、一方的な関係の解消はできないとした。慰安婦像については「奴隷化」などの言葉を使って正当化した。とても認められるものではない。
 碑文には「日本軍に性奴隷にされた数十万人の女性や少女」などと書かれている。これ自体、史実の歪曲(わいきょく)である。ましてそのような像や碑を海外の自治体が公共物とすることなど、許せない。自治体がお墨付きを与えた形になる。
 吉村市長は受け入れに再三、反対してきた。相手市長が死去し、新市長に改めて撤回を求めたが、期限までに返事はなかった。これだけでも非礼なうえ、開き直ったような今回の声明である。
 残念だが、姉妹都市である必要はない。慰安婦問題で妥協は一切、不要である。
 海外に設置される慰安婦の像や碑は、日本をおとしめる目的を持ったものだ。反日世論を高め、日本と友好国の関係を動揺させる意図があろう。日本の安全保障にも悪影響をもたらしかねない。
 何より、名誉に関わる。「性奴隷」などという悪質な宣伝には毅然(きぜん)と声を上げるべきだ。同時代の日本人だけでなく、先祖と子孫の名誉を守らなければならない。
 本来、外務省が強く抗議して像や碑をなくしていくべきだが、対応が十分とはとてもいえない。そんな中、大阪市のように自治体が抗議する意味は大きい。中傷に屈しない意志を、市民という草の根から示すことになる。
 独フライブルク市では、姉妹都市である松山市の働きかけで慰安婦像の計画が中止になった。同様のケースがあれば、ほかの自治体も毅然と対応してほしい。
 大阪市は昭和32年にサンフランシスコ市と姉妹都市になり、さまざまな交流を続けてきた。市としての交流は止まるが、民間レベルでは今後も大いにあっていい。
 吉村市長の書簡は礼儀にのっとったものだった。サンフランシスコ市の反省と再考を促したい。
 
④ 自民の改憲案提出「反対」42% 朝日世論調査 朝日新聞 10月16日

 朝日新聞社が13、14日両日に実施した全国世論調査で、沖縄県にある米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題について聞いた。県知事選で移設に反対する玉城デニー氏が当選したことを受け、安倍政権が移設方針を「見直す必要がある」と答えた人は55%で、「その必要はない」30%を上回った。(中略)
 自衛隊の明記などを盛り込んだ自民党の憲法改正案を、臨時国会に提出することには42%が「反対」と答え、「賛成」の36%を上回った。「賛成」は自民支持層では61%と高めだったが、公明支持層では「反対」が「賛成」を上回った。
 安倍政権に一番力を入れてほしい政策を六つ挙げて聞くと、「社会保障」30%、「景気・雇用」と「地方の活性化」いずれも17%、「財政再建」15%、「外交・安保」10%、「憲法改正」は最も少ない5%だった。

⑤ 改憲強硬路線に警戒感 朝日新聞 10月17日 

 下村氏(自民党憲法改正推進本部長)らは、24日召集の臨時国会で、憲法9条への自衛隊明記などからなる自民党の「改憲4項目」を提示し、来年の通常国会で議論を進め、改憲案の国会発議に至る道筋を探る。だが、公明党の協力なしに発議はできないうえ、強硬路線に頼れば発議はできたとしても国民投票に影響が出るのは必至だ。首相に近い改憲派のベテラン議員からも「強硬に国民の意見を無視してやるような受け取られ方をしてはダメだ」との声が漏れる。
 自民党執行部部内でも、来夏に参院選を控えるなかでの国会発議は困難との認識が大勢。党幹部の一人は今回の布陣について「ポーズに過ぎない。やるぞ、という姿勢を示しているだけだ」と述べ、求心力を維持するために「改憲」の旗を降ろせない首相の事情が優先した人事と解説する。

<別紙2>    第58回例会 事務局報告

                    福田玲三(事務局)2018.10.21
1) 書評
 『社会評論』193(2018年夏)号に下記の書評が掲載され、あわせて同誌から本冊子20冊の発注を頂いた。
  * * * * *
 『朝鮮半島をめぐる情勢と私たち――北東アジアの平和と繁栄のために』 大畑龍次 著

 本冊子は、完全護憲の会が発行する「日本国憲法が求める国の形」シリーズのひとつとして刊行されたもので、筆者は『思想運動』紙にもたびたび執筆している、長年、朝鮮半島問題に取り組んできた活動家である。
 冊子は、完全護憲の会共同代表の福田玲三氏による発刊辞からはじまり、本文、資料、朝鮮半島略史で構成された九六頁からなる。そのうち本文は、「はじめに、1.朝鮮半島問題とは何か、2.南北関係の過去と現在、3.朝鮮はなぜ核・ミサイル開発を進めたのか、4.金正恩政権をどう見るか、5.文在寅政権の誕生と課題、6.緊迫する朝鮮情勢――朝鮮半島2017、7.新展開を見せる朝鮮半島、8.日朝平壌宣言と拉致問題、9.安倍政権の対朝鮮政策を問う、おわりに、私たちに何ができるのか」の章立てになっており、こんにちわれわれが読むにふさわしいテーマ立てになっている。
 筆者が朝鮮半島問題というとき、「朝鮮半島に統一を実現し、四大国の対峙を克服して北東アジア地域の平和な状況を作り出すこと」(10頁)と指摘しているように、朝鮮半島の南北だけではなく、中露米日を含む北東アジアの広い視野で問題を捉えようとしていることに本冊子の特徴がある。また、朝鮮民主主義人民共和国を見る際に、「あるがままに認めなくてはなりません」(31頁)と主張し、歴史と現状を踏まえて朝鮮を捉えようとしている姿勢にも共感を覚える。「おわりに」の「なぜ『朝鮮反戦運動』は起こらないのか」の項(79頁)は、日本の反戦平和運動の弱点をズバリ突いて、活動家大畑氏の面目躍如たる箇所である。(辻 克) 発行=完全護憲の会 原価=400円

2) シリーズ7パンフの計画
9月23日の勉強会、王道貫氏による「日米地位協定」の解説を基礎に、当会のシリーズ7を計画し、王氏に起草をお願いしたが、ご多忙のために無理と分かり、この計画を中止した。

3)レーバーネット案内
 10月の例会・勉強会案内をレーバーネットに依頼し、10月10日に同カレンダーに掲載された。

4)第16回平和学習会で報告
 第16回平和学習会が、さる10月14日(日)午後、JR飯田橋駅に近い東京ボランティアセンターで開かれ、「学校における権利の衝突」をテーマに、山岡聴子さんが『平和に向けて活用したい道徳』の執筆者として報告。参加者は10数名。
 山岡さんの詳細な報告の後、元教員、娘を米国・ボストンの町立校に入学させた父親、教育専門の若い教授などが発言し、経験を交えた専門的な討議が行われ、公教育の在り方についての検討を深める貴重な機会になった。

5)次の例会・勉強会
 11月25日(日)13:30~16:30 神明いきいきプラザ 集会室C
     『This is a 海兵隊』上映
 12月23日(日)13:30~16:30 神明いきいきプラザ

6) 集会の案内
① 10・31講演と討論の集い 「朝鮮半島問題をめぐる運動の課題」
 講演:「和平にむかう朝鮮半島と日本のわたしたちの課題」
    浅井基文(国際問題研究者)
 10月31日(水)開場18:00 開会18:30 文京区民センター2A会議室 資料代:800円
 主催::改憲NO! 96条改悪反対連絡会議

② HOWS講座 
 「朝鮮民主主義人民共和国がめざす社会とその現状――8月3日から10日までの訪朝の記録と日本人民の課題」
  報告:日朝学術教育交流会・千葉ハッキョの会 合同訪朝団
 11月17日(土)13:00~16:30 本郷文化フォーラムホール(文京区本郷3-29-10 飯島ビル1階)
  参加費:1500円 学生1000円 主催:本郷文化フォーラムワーカーズスクール

③『たいわ けんぽうBOOK +』出版記念 “たいらな けんぽう おはなし会”
 水野スウさんの新著『たいわけんぽうBOOK +』出版を記念して水野スウさんと、二人三脚で本を作られた娘さんの中西万依さんをお招きしてお話を伺います。(共催:しるしる憲法)
 日 時:2018年11月22日(木)午後6時~7時30分
 会 場:教文館ナルニア国店内(都内・銀座・松屋向かい)定員:60名
 参加費:1,500円 ※当日受付でお支払いください。
 ※当日は会場準備のため、午後5時にて閉店いたします。
 当日受付開始:午後5時40分~
 要予約:定員になり次第、受付を終了いたします。
 1.電話番号:03-3563-0730(午前10時~午後8時)
 2.メールアドレス:narnia@kyobunkwan.co.jp(24時間OK)

④『週刊金曜日』東京南部読者会
 11月23日(金)18時半~20時半 大田区消費者生活センター第3集会室(JR蒲田駅3分)

⑤ 軍備拡大と改憲・戦争への道を許すな!「明治150年」徹底批判!侵略と植民地支配の歴史を直視し、アジアに平和をつくる国際シンポジウム
 11月29日(木)14時  ;  11月30日(金)10時、14時
 衆議院第一議員会館・B1大会議室 ※定員(300名)になりしだい締め切り。
 予約申し込み先:e43k12y@yahoo.co.jp または090-3163-3449
 代表呼びかけ人:藤田高景(村山首相談話の会・理事長)他
 主催:アジアと日本の連帯実行委員会
    http://www.chinalaborf.org/meiji100symposium181129/

<別紙3>  「護憲」と「改憲反対」の間隔 (要旨)

                 弁護士 後藤富士子

★ 『教育と愛国―教科書でいま何が起きているか』(斉加尚代)
 2001年検定 → 日本書籍 倒産 ※「慰安婦」「南京事件」の取扱い
 2006年  教育基本法改正
 2012年  安倍 教育再生
 2017年? 73年ぶりに「道徳」教科復活
 ※「国民の教育権」はどこに行ったのか?

★ 「日の丸」と「旭日旗」―「国旗」と「軍旗」
 ・「日の丸」「君が代」反対?不服従?と「護憲」
     教師の思想信条の自由の問題か?
 ・自衛隊旗を「旭日旗」としていることの憲法的評価
  ※ 自衛隊法施行令を改正して自衛隊旗を「日の丸」に

★ 「自衛隊違憲」論の機能 ― 軍拡と安倍改憲案をもたらした
 ・建前―憲法9条2項で保持しないとされている「軍隊」ではない → 合憲
 ・安倍改憲案―9条2項はそのままにし、9条の2として自衛隊を明記
 理由:自衛隊が違憲でないことを明らかにするため
 ※ 憲法からの乖離を限定するための方策―例えば防衛予算縮減―をとることが「護憲」

★ 「リベラル」と「レフト」
 「自由や平等や人権を訴える金持ち」と「自由、平等、人権を求める貧乏人」
 ※「反緊縮」が右翼ファシズムを防ぐ
 米=サンダース、英=コービン、仏=メランション、スペイン、ギリシャ
 cf. ブレイディみかこ『労働者階級の反乱』『子どもたちの階級闘争』etc
 『そろそろ左派は経済を語ろう』(共著)

★ 『NOでは足りない―トランプ・ショックに対処する方法』(ナオミ・クライン)
 ※日本国憲法を花開かせることこそが「護憲」
 ※日本会議は「元号法制化」「国旗国歌法制化」・・政策実現している

    当面の日程について

1)第59回例会・勉強会 11月25日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ 集会室C
  『This is a 海兵隊』上映
2)第57回運営・編集委員会 11月28日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
3)第60回例会・勉強会   12月23日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ
4)第58回運営・編集委員会 12月26日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

完全護憲の会ニュース No.58 2018年10月10日

                <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
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             目 次

      第57回例会・勉強会の報告                 P.1
       別紙1 政治の現況について                P.2
         ① <社説>「知事選きょう告示 沖縄の進路が決まる  P.2
         ②【社説】安保法成立3年 「専守防衛」踏み外すな   P.3
       別紙2 事務局報告                    P.4
       別紙3 緊急警告030号                  P.5
          「安倍首相に改憲案提出の資格なし、退陣せよ!」
      第55回 運営・編集委員会の報告(略)            P.6

         第57回例会・勉強会の報告

     9月23日(日)、三田いきいきプラザの会議室で開催。参加者4名、会員72名。
 司会は草野運営・編集委員長が担当。まず別紙1の通り「政治の現況について」の主なニュース一覧と、この間の2本の新聞社説が提出(さらに当日の参加者用に産経、毎日、東京の3社の社説が追加)され、次のような意見があった。
 「この間、政府は陸上配備型迎撃ミサイル『イージス・アショア』の配備候補地として秋田・山口両県をあげた。秋田はハワイへ、山口はグアムへむかう北朝鮮からの経路の真下にあたる。つまり米軍の防備であり、日本を守るためではない」「韓国に駐留する米軍は国連軍を名目としている。半島の南北間で終戦が宣言されれば、国連軍は撤退せざるをえない。日本駐留米軍の必要も薄れるのではないか」「自民党総裁選に立候補した石破茂元幹事長は『正直、公平』を掲げた。これは、人倫の基本であり、安倍晋三首相への正当な批判になっている。他方、石破氏もタカ派、改憲派だとの冷めた見方もあるが、戦術的に言えば、敵のあいだのあらゆる『ひび』を、どんな小さなものでもすべて利用すべきではないか」
 ついで「事務局報告」(別紙2)が行われた。
そのあと勉強会に移り、講師の王道貫氏から「いわゆる『日米地位協定』に関する知識の整理及び考察」が報告された。その要旨は次の通り。

 地位協定は、条約の下位にあるくせに、明文レベルで、堪え難いほどに酷い(→米軍が明文を守っても理不尽。しかも、守らないことしばしば)。しかし、米国または日本で公開された密約・議事録ではさらに酷い。しかし、公開されていない合意文書では、さらに酷い。
 その遠因は1951年2月、ダレス米国務省顧問が構想した3区分発言にある。すなわち、「条約の細かい議論に入る前に①どの部分を49ヵ国条約に、②どの分を2ケ国条約に、③どの部分を議会承認や国連登録が必要ない秘密の了解にすべきか、だ」と。
 そして同年9月8日、サンフランシスコ講和会議のひらかれたオペラハウスで、日本が『49ケ国条約』に調印、そして同日、町はずれの第6軍司令部下士官クラブで、日本は吉田茂1人の署名で『2ヶ国条約』に調印した。これが『安保条約』だ。翌52年2月28日、『日米行政協定』が結ばれた。この協定の正しい訳は『事務方合意』だ。
 この行政協定が1960年に改訂されて『日米地位協定』と呼ばれたが、その正しい訳は『事務処理合意』だ。このように『安保条約』にもとづく『事務処理合意』に、国民の基本的人権を侵害する懸念の高い条項を紛れ込ませたのが『地位協定』であり、その実態は法の下克上と呼ぶにふさわしく、その遠因は1951年当時の米国務省顧問ダレスの構想にある。
 この様な条約や協定は、実体的にも手続的にも瑕疵(かし)があり、公序良俗に反するものとして無効だ。1947年に締結された米比軍事協定が冷戦終結、緊張緩和にともなって一時解消された(後に復活)例に学び、朝鮮半島の緊張緩和にともない、これら条約や協定は廃棄にむかうべきだ。

 以上の貴重な報告をめぐり、大いに勉強になったとの発言とともに、横田空域問題なども出され、われわれがあまりにもひどいこの実態を知らなすぎた、との反省を込めた議論がなされた。

<別紙1>     政治の現況について

(1)主なニュース一覧(2018/8/21-9/20)
① 沖縄県が辺野古埋め立て承認を撤回(2018/8/31)
② 中央省庁の障害者雇用水増し実態が明らかに(2018/8/28)
③ 防衛省、過去最大の5兆2986億円の概算要求。7年連続増(2018/8/31)
④ 自民党が党の総裁選めぐり報道機関に「公平・公正」報道を「要請」(2018/9/4)
⑤ 北海道「胆振東部地震発生」(2018/9/6)
⑥ 防衛省、海自潜水艦を南シナ海に極秘派遣し対潜水艦訓練実施(2018/9/13)
⑦ 政府が安保法適用、シナイ半島多国籍軍に陸上自衛隊派遣検討の報道(2018/9/18)
⑧ 自民党総裁選、安倍晋三氏が三選。憲法改正推進表明。(2018/8/20)

(2)新聞社説、ニュース記事
① <社説> 知事選きょう告示 沖縄の針路が決まる ――琉球新報(2018/9/13)

 県知事選は13日に告示され、30日に投開票される。沖縄の針路を決める今年最大の政治決戦だ。有権者は立候補者の公約を十分に吟味し、大切な1票を投じてほしい。
 選挙戦は前宜野湾市長・佐喜真淳氏(54)と衆院議員・玉城デニー氏(58)による事実上の一騎打ちとなる。
 翁長雄志知事の死去という不測の事態を受けて行われる今知事選は過去に例のない超短期決戦だ。佐喜真氏は8月14日に、玉城氏は同29日にそれぞれ出馬を正式表明し、前哨戦を展開してきた。
 自民、公明、維新、希望の各党が佐喜真氏を推薦した。玉城氏は政党の推薦を受けない方針だ。安倍政権を中心とする勢力と県政与党を中心とする勢力が激しく対決する構図になっている。
 佐喜真氏は「県民の暮らし最優先」を掲げ、全国平均並みの県民所得300万円の実現や子どもの保育費、給食費、医療費の無償化、跡地利用の推進などを打ち出した。
 玉城氏は「新時代沖縄」を提唱し、各国との交流を促進する万国津梁会議の設置、中・高校生のバス通学無料化、「観光・環境協力税」の導入などを打ち出した。
 日米地位協定は、同じように米軍が駐留するドイツやイタリアに比べると著しく不利な内容だ。両氏とも協定の改定を求める姿勢を示した。
 米軍普天間飛行場の移設に伴う新基地建設が名護市辺野古で進む中、建設に反対する県が、前知事による埋め立て承認を8月31日に撤回したばかりだ。新基地建設の是非が最大の争点になる。
 佐喜真氏は「政府と対等な立場で、一日も早い普天間飛行場の返還を実現する」と述べ、新基地建設の是非については触れない方針だ。
 玉城氏は「普天間の閉鎖・返還を政府に要求する。辺野古に新たな基地は造らせない」と述べ、阻止するためあらゆる権限を行使する構えだ。
誰が知事になるにせよ、就任してすぐに、新基地への判断を迫られる。各候補者は、有権者が抱くあらゆる疑問に真摯(しんし)に答え、正々堂々と選挙戦に臨んでほしい。
 次期知事は、屋良朝苗、平良幸市、西銘順治、大田昌秀、稲嶺恵一、仲井真弘多、翁長雄志の各氏に続く第8代の知事だ。1972年に日本に復帰してから13回目の知事選となる。
 戦後27年間、米軍施政下にあった沖縄では68年に主席選挙が実施されるまで、全住民の代表を直接選ぶ権利さえ認められなかった。主席公選の実現は自治権の拡大を求める沖縄住民が勝ち取った成果の一つといえる。
 沖縄以上に選挙の大切さを身にしみて知っている地域はなかっただろう。
 あれから50年。選挙権年齢が18歳以上に引き下げられてから初の県知事選だ。ぜひ投票所に足を運んでほしい。若い人たちにとっては選挙の意義を学ぶ絶好の機会だ。

② 【社説】安保法成立3年 「専守防衛」踏み外すな  ――東京新聞(2018/9/19)TOKYO Web
 安全保障関連法の成立から三年。今、私たちの眼前にあるのは戦後日本が貫いてきた「専守防衛」を踏み外し、憲法九条が蔑(ないがし)ろにされている現実だ。
 安倍晋三首相率いる内閣が「平和安全法制」と称し、強行した安保関連法の成立から、きょう九月十九日で三年を迎えた。
 安倍氏は、連続三選を目指す自民党総裁選の演説会などで、安保法について「日米はお互いに助け合うことのできる同盟になった。助け合うことのできる同盟は、その絆を強くするのは当然だ」と、その意義を強調し続け、支持を呼び掛けている。

◆違憲性は拭い去れない
 「助け合う同盟」とは、集団的自衛権を部分的ながら日本も行使できるようになったことを指す。
 おさらいになるが、集団的自衛権とは、自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が攻撃されていないにもかかわらず実力で阻止する権利のことだ。
 日本の歴代内閣は憲法九条に基づいて、集団的自衛権について、主権国家として有してはいるが、その行使は憲法上、許されないとの解釈を堅持してきた。
 この解釈を変え、集団的自衛権の行使を一部容認したのが二〇一四年七月一日、安倍内閣の閣議決定であり、安保法はこの閣議決定を基に策定された。
 戦争放棄と戦力不保持の憲法九条が、日本国民だけで三百十万人の犠牲を出し、交戦国にとどまらず、近隣諸国にも多大な犠牲を強いた先の大戦に対する痛切な反省に基づくのは論をまたない。
 日本防衛のための必要最小限の実力組織として自衛隊が発足したが、専守防衛に徹し、他国同士の戦争には加わらない九条の精神を一内閣の判断で独善的に変えていいわけがない。安保法の違憲性は引き続き問われるべきだろう。

◆活動拡大で既成事実化
 にもかかわらず、国会での追及は手ぬるいと言わざるを得ない。安保法成立当時の最大野党、民主党は分裂し、野党共闘にも影を落としている。安保法廃止を求める野党各党はいま一度結束して、憲法論争に果敢に挑むべきである。
 安倍政権が成立後の三年間に進めたのは、安保法の既成事実化と自衛隊の活動領域の拡大、その裏付けとなる防衛費増額である。
 ここ数日、自衛隊をめぐる報道が相次いだ。その一つが、政府が秋田、山口両県への配備を計画する地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」について、だ。
 北朝鮮が、米空軍が戦略爆撃機を配備する米領グアム島に弾道ミサイルを発射した場合、日本の地上イージスが迎撃することもあり得ると、防衛省が認めたという。
 日本を守る名目で導入される防衛装備品が、米国を防衛する集団的自衛権の行使にも使われて当然という、安保法に基づく日米の軍事的一体化を象徴する事例だ。
 安倍内閣はまた、エジプト・シナイ半島でイスラエル、エジプト両軍の停戦監視活動をする「多国籍軍・監視団」(MFO)に、陸上自衛隊の幹部自衛官数人を、司令部要員として派遣することを検討しているという。
 国際平和への貢献は必要だとしても、国連が統括しない米国中心の軍事的活動だ。参加打診は以前からあったとされるが、なぜ今、という疑問は拭い去れない。
 国連以外の国際機関の要請でも自衛隊を派遣できるようになった安保法の適用事例拡大に主眼があるのでは、と疑わざるを得ない。
 海上自衛隊の潜水艦とヘリコプター搭載型護衛艦が十三日に、南シナ海で対潜水艦戦の訓練を初めて実施したことも看過できない。
 南シナ海は、日本にとっても重要な海上交通路であり、中国が一方的に権利を主張し、軍事拠点化を進めることは、航行の安全確保の観点からも認められない。
 首相は「特定の国を想定したものではない」とするものの、中国けん制の意図があるのだろう。
 かといって中国をはじめ各国が領有権を主張し合う「係争地」に乗り込んでの訓練が緊張を高めるのは当然だ。それが、武力による威嚇を、国際紛争解決の手段としては放棄した日本の役割なのか。

◆自衛隊明記で9条変質
 自民総裁選で優位が伝えられる安倍氏は自衛隊の存在を明記する九条改憲を訴え、連続三選を果たした後、今秋の臨時国会に自民党改憲案を提出し、二〇年中の改正憲法施行を目指すと明言した。
 しかし、集団的自衛権の行使など安保法の違憲性を問わず、その活動を行う自衛隊の存在を憲法に明記すれば、他国同士の戦争には参加しない九条の精神を、さらに変質させることになりかねない。
 眼前で起きる安保法の既成事実化や自衛隊の活動拡大を放置していいのか。平和国家の道を歩んできた戦後日本の試練でもある。

<別紙2>    第57回例会 事務局報告

                      福田玲三(事務局)2018.9.23
1) 来信(水谷正信・愛知県)
 残暑お見舞い申し上げます。
 1945,8,15 日本国敗戦記念日です。
 大日本帝国陸海軍のアジア、太平洋侵略戦争について、書物、映画、NHK, 民放の特番ドキュメントの映像を見て、日本の軍隊が中国偽満州、植民地朝鮮、台湾からフィリッピン他太平洋諸国を占領し、約2000万人の命を奪ったことを知りました。
 ◎反戦映画として見た作品は真空地帯、二十四の瞳、ひめゆりの塔、野火、きけわだつみの声、人間の証明、夢千代日記、黒い雨、三たびの海峡、はだしのゲン、一枚のハガキ、キャタピラ、火垂るの墓、等々。
 ◎ドキュメント番組として、インパール白骨街道、泰麺鉄道、フィリッピンマニラ市街戦、南京大虐殺、ノモンハンの闘い、神風特攻隊、沖縄と満州からの開拓民の集団自決、陸軍兵士8000人の精神病者のインペイ、731部隊人体実験等。映像の中で元兵士(生存者)の真実の言葉が、いかに残虐な行為でアジア・太平洋の人民を苦しめたかが良く解りました。
 ◎兵士の証言  ①戦友の死は名誉の戦士ではなく、犬死だ。②上官の命令は天皇の命令とし銃剣で中国人を殺害させる。③野戦病院で、負傷し退却できない兵士に手榴弾か青酸カリを渡すと、涙ながらに語る人。

 敗戦と同時に国は加害の関係書類焼却命令を発するが、心ある人々が自宅に隠した事実がありました。
 以上、あの侵略戦争について理解できました。
◎お送りしました『日本がおこなった戦争をこころに刻む11章』、私が今まで読みました中で、この本の内容が高校生から成人までよく分かるように、真実の歴史が正しく書かれています。私は32冊購入しました。一つのお願いですが皆様のお仲間のため何冊でもお注文下さい。注文先は森正孝さん(静岡市葵区長沼2-18-15) に電話054-263-0989してください。1冊200円です。
    ※参考:完全護憲の会として40冊購入の申し込みをした。

2)新会員
 新会員1名が入会され、1名が逝去され、計72名。

3) 次の例会・勉強会
10月21日(日)13:30~16:30 三田いきいきプラザ(都合により当月のみ第3日曜日)
11月25日(日)13:30~16:30 神明いきいきプラザ、または三田いきいきプラザ    

4) 集会の案内
①米国の原爆投下の責任を問う会 第7回講演会
 題名:核時代における科学者の責任 講師:慶応大学名誉教授 小沼通二氏
    10月13日(土)13:30~17:00 キリスト友会会堂 港区三田4-8-19
    資料代:1000円(学生300円)
②第16回平和学習会
 【テーマ】学校における権利の衝突
 【報告者】山岡聴子(冊子『平和に向けて活用したい道徳』著者)
 【報告の主旨】「学校における生徒、教員、保護者というそれぞれ立場の異なる人間が、各々の主張のはざまで自己を実現する難しさを、いくつかの問題を取り上げて考え、また、そこに常々流れる軍国的要素をあぶり出し、学校教育の平和へ果たす役割を考えてみたい」
    2018年10月14日(日)13:30~16:30 【資料代】:300円
    東京ボランティア市民活動センター(TVAC)A会議室
        (JR飯田橋駅隣、セントラルプラザ10階)
③朝鮮半島の『大転換』と日本の進路
 講師:権 赫泰さん(韓国・聖公会大学教授)中野敏男さん(東京外国語大学名誉教授)
    10月20日(土)18時開場18時半開会 資料代800円
    文京区民センター 3A(地下鉄「春日」or「後楽園」下車すぐ)
 主催:3.1朝鮮独立運動100周年キャンペーン実行委員会 
    連絡先電話:渡辺070-6997-2546 矢野090-2466-5184
④『週刊金曜日』東京南部読者会
    10月26日(金)18:30~20:30 大田区生活センター会議室(JR蒲田駅徒歩5分)

<別紙3>   緊急警告030号
  安倍首相に改憲案提出の資格なし、退陣せよ! (例会検討修正最終稿)

 厚顔無恥の安倍内閣が居座っている。森友・加計問題で行政を私物化し、数々のウソをつきまくり、あげくの果てに官僚たちに公文書を改竄させたり隠蔽させたりと腐敗の極みに達しており、安倍政権の正統性は完全に失われている。にもかかわらず、国会で多数を占める物言わぬ与党議員たちが腐臭漂う安倍政権を支えているのである。
 一時は自民党総裁選での三選が危ぶまれるほどに動揺していた安倍政権であったが、ここにきて自民党内での安倍総裁三選の可能性が有力視されるという嘆かわしさである。
 そんな安倍首相が、8月12日、地元山口県下で講演し、今秋召集予定の臨時国会に「党としての憲法改正案を提出できるよう取りまとめを加速する」と明言したのである。
 憲法の「尊重・擁護」義務のある行政府の長としての首相が、自ら先導して憲法改正案を次期国会に提出するなどということは憲法違反そのものであり、許されることではない。
 さらに安倍首相と自民党総裁は不離一体なのであるから、自民党総裁としての改憲発言も慎むのが行政府の長としての節度と言わなければならない。憲法99条(憲法尊重擁護の義務)が行政府の長に求めるものである。
 マスコミは、こうした重大な憲法違反となる首相の発言を無批判に報道すべきではない。
行政府の長たる首相の改憲発言が何の問題もない、当たり前のことであるかのような認識を多くの国民に浸透させるからである。
 安倍首相の改憲発言に関しては、首相としての発言なのか、自民党総裁としての発言なのかを質しつつ、せめて安倍自民党総裁の発言として報道すべきである。
 さて、肝心の自民党としての「改正案」であるが、先に自民党憲法改正推進本部がまとめた「改憲4項目」案は正式に自民党全体の案とはなっていないようであるが、3月に開かれた自民党大会での二階幹事長の発言を見る限り、党内に異論を残したまま、これが自民党としての「改正案」となるということなのであろう。
 「改憲4項目」とは①9条に「自衛隊明記」、②内閣に絶大な権限を付与する「緊急事態条項」の新設、③国会議員の選出方法を改める「合区解消」、④教育における「国の役割」、の4項目であるが、このうち③の「合区解消」と④の「国の役割」は多くの法律家・憲法学者が指摘する通り、憲法改正のテーマとして取り上げるべきことではなく、法律にかかわる次元の問題として対応すべきことがらなのである。それをあえて取り上げているのは、国民が憲法改正を抵抗なく受け入れやすくするためと、「教育の無償化」をかかげて憲法改正に積極的な日本維新の会を取り込むためのものと言える。
 重大な問題は、①の9条に「自衛隊明記」と②の内閣に絶大な権限を付与する「緊急事態条項」の新設である。この二つについてはすでに当会の緊急警告022号(「自衛隊明記は口実、9条全面改悪の突破口とするもの」2017/8/9)と緊急警告003号(「『ナチスの手口』、緊急事態条項の危険性」2016/2/7)で言及しているので、ここでは再論しないが、自民党の「改正案」が正式に提出された段階で再度の検討を行うこととする。

第55回運営・編集委員会の報告(略)

  当面の日程について
1)第58回例会・勉強会   10月21日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
   勉強会:講師 後藤富士子弁護士
   テーマ:憲法第24条(家族生活)、第26条(教育権)の自民党改憲案について
2)第56回運営・編集委員会 10月24日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
3)第59回例会・勉強会   11月25日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ
4)第57回運営・編集委員会 11月28日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

完全護憲の会ニュースNo.57 2018年9月10日

                   <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
              発行:完全護憲の会
              連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312
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           目 次
      第56回例会・勉強会の報告                P.1
      別紙1 政治の現況について                P.2
       1.「知事、辺野古承認「撤回」を表明 土砂投入阻止に全力」
       2.【社説】「日米地位協定改定/国民の声と受け止めよ」
       3.【社説】「核禁条約 首相は背を向けるな」
      別紙2 事務局報告                    P.4
      別紙3 緊急警告030号                  P.6
         「安倍首相に改憲案提出の資格なし、退陣せよ!」
      第54回 運営・編集委員会の報告(略)           P.6

       第56回例会・勉強会の報告

 8月26日(日)、三田いきいきプラザの会議室で開催。参加者6名、会員72名。
 司会は大西編集委員が担当。まず別紙1のとおり、「政治の現況について」重要ニュース一覧と、この間の新聞記事と社説の計3本を提起、ついで「事務局報告」(別紙2)を行い、討議を求めた。
 辺野古の新基地建設問題などについては、主に以下の意見があった。
 「選挙で自民党が多数を占めている限り、現路線が続く。野党は選挙で有権者に響くように訴え、まずは政権獲得の方法を押さえるべきだ。辺野古をどうするのか、日米地位協定が根本問題だ。沖縄住民の動向も問題だ。米軍が出れば、自衛隊が代わるのか。どうすれば沖縄は平和な島になるのか」「1950年に朝鮮戦争が起きてから米海兵隊が岐阜県や山梨県に配備されたが、住民たちの反対運動に直面し、56年2月、米軍統治下にあった沖縄へ移転したという経緯もある。現在、全米軍基地の70%余りが沖縄に集中している。選挙では棄権者が多く、棄権は与党に与することになる」「自民党は家族重視を打ち出している。それは個人の自由や憲法の軽視につながる」「1996年に小選挙区制が導入され、沢山の死票を生んだ。米軍基地費用に9000億円も国の予算が計上され、国民の健康で文化的な生活が犠牲にされている」
 つぎに、緊急警告030号「安倍首相に改憲案提出の資格なし、退陣せよ!」(別紙3)が提案され、以下の意見があった。
「第5段目『マスコミは……安倍首相と表現するのではなく、せめて安倍首相は自民党総裁としての表現を常に用いるべきである』について、両者は同じ人物であり、使い分けを許さないようにすべきだ」「第6段目『法律の改正で事すむことなのである』について、この問題は、法律を改正して済ましてよいのか?」「第7段目の『緊急事態条項』では、そこに取り上げられている災害の内容を検討すべきだ」。これらの意見は、文章の修正時に検討されることになった。
 これらの討議の後、ドキュメンタリー映画『9条を抱きしめて』(DVD/50分)が上映された。元米海兵隊員アレン・ネルソン氏が語る戦争と平和は、戦争に正義も人道もないことと憲法9条の大切さを訴え、改めて護憲の意義を確認するものだった。ネルソンさんが心を病み、死体の匂いが記憶から消えなかったことや、花火を怖がっていたことから、東京大空襲の被害者も花火を嫌っていることなどが語り合われた。

 <別紙1>     政治の現況について

(1)重要ニュース一覧(2018/7/21~8/20)
① オウム真理教13死刑囚、全員死刑執行。二回に分けて(2018/7/6、26)
② 翁長沖縄県知事、辺野古埋め立て承認「撤回」を表明(2018/7/27)
③ 全国知事会が、日米地位協定の抜本改定を含む「米軍基地負担に関する提言」を全会一致で採択。(2018/7/27)
④ 自民党杉田水脈衆院議員のLGBTに対する「子供を作らない、つまり『生産性』がない」主張(『新潮45』 7/18)に、議員辞職求め自民党本部前で抗議活動(2018/7/27)
⑤ 東京医科大、女子受験者を一律減点。合格者3割に抑える(2018/8/2)
⑥ 沖縄県知事の翁長雄志氏が8月8日午後、膵臓がんのため死去。享年67歳。(2018/8/8)
⑦ 安倍首相、被爆73年広島・長崎両平和式典で国連「核兵器禁止条約」に触れず、核兵器保有国と非保有国との「橋渡し」役を務めると表明。田上長崎市長は式典において日本政府に「核兵器禁止条約」への賛同を求めた。(2018/8/6、9)
⑧ 国連のグテーレス事務総長は9日、長崎市で開かれた原爆犠牲者慰霊平和祈念式典において「長崎を、核の惨禍で苦しんだ地球上最後の場所にしよう」と挨拶した。(2018/8/9)
⑨ 安倍首相、臨時国会に自民党改憲案提出を明言(2018/8/12)

(2)新聞社説、ニュース記事

1.「知事、辺野古承認「撤回」を表明 土砂投入阻止に全力」 琉球新報(2018/7/27)
https://ryukyushimpo.jp/news/entry-769630.html
(写真)米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設で、前知事の埋め立て承認を撤回することを表明する翁長雄志沖縄県知事=27日午前10時30分すぎ、沖縄県庁

沖縄県の翁長雄志知事は27日午前10時半、県庁で臨時会見を開き、米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設について、前知事の埋め立て承認を撤回することを表明した。
 翁長知事は「沖縄防衛局の留意事項違反や事後的不充足などが認められるにもかかわらず、公有水面埋め立て承認処分の効力を存続させることは、公益に適合しえない」と述べ、撤回に向けた手続きに入るよう関係部局に指示したことを明らかにした。県は手続きの初段階として、事業者の弁明を聞く「聴聞」の開催を近く沖縄防衛局に通知する。
 沖縄防衛局が早ければ8月17日にも本格的な埋め立て工事に着手することを県に通知する中で、翁長知事は最大の行政権限の行使により辺野古海域への土砂投入を阻止する。
 翁長雄志知事は会見冒頭、「朝鮮半島の非核化と緊張緩和に向けた米朝の努力が続けられている。20年以上も前に決定された辺野古新基地計画を見直すことなく強引に推し進める日本政府の姿勢は容認できない。平和の大きな流れから取り残されていると危惧している」と安倍政権の姿勢を批判した。
 その上で、現在進められている建設工事について「傍若無人な工事状況だと思っている。環境保全対策がなく、事前協議も調わない中で工事を進めている。県赤土等流出防止条例の基づく土砂投入の通知があったことなどを含めて看過できない状況を判断した」と説明した。さらに「あらゆる方法を駆使し、新基地は造らせないとの公約実現に向け全力で取り組む」と力を込めた。
(「判断の根拠」や「撤回」についての解説は「号外」を参照ください)
 県は埋め立て承認の効力を無効にする手続きに入り、手続きの初段階として、事業者の意見を聴取する「聴聞」の開催を近く防衛局に通知する。
 翁長知事は普天間飛行場の県外・国外移設を主張し、辺野古新基地阻止を公約としてきた。埋め立て承認の「取り消し」を巡って最高裁で県の敗訴が確定したが、翁長知事は任期中の撤回を公言してきていた。
 辺野古沖への土砂投入を前に、新基地阻止を巡る県と国の対立は重要局面に入る。
 県は17日に、代替施設建設事業の即時工事停止を要求する行政指導文書を沖縄防衛局に発送しており、土砂投入前の「最後通告」と位置付けていた。
 一方、国側も撤回の効力を止める執行停止を裁判所などに申し立てて、工事を再開させるなどの対抗措置を取るとみられ、再び国と県の間で裁判闘争に入る可能性が高い。

 辺野古新基地建設を巡っては、2015年10月に翁長知事が埋め立て承認を取り消した。これを受けて国が代執行訴訟を提起し、その後和解が成立したが、改めて国が知事を相手に不作為の違法確認訴訟を起こした。16年12月に最高裁が県による埋め立て承認の取り消しは違法だと判断し、県が敗訴。最高裁判決を受けて、県は埋め立て承認の取り消しを取り消した。国は17年4月、埋め立て本体工事の第一段階となる護岸工事に着手した。
 撤回は、承認後の事情の変化を理由に、公益上の必要が高いとして、許認可などの行政処分を取り消す措置。埋め立て承認の撤回には、事業者である沖縄防衛局の言い分を事前に聞く「聴聞」の手続きが必要とされている。
 行政手続法は事業者側に通知してから聴聞を実施するまで「相当な期間」を置くことを定めており、県は期間を1~2週間と想定する。さらに、聴聞後に防衛局の弁明内容を分析する期間として2週間前後を想定している。【琉球新報電子版】

2.【社説】「日米地位協定改定/国民の声と受け止めよ」 沖縄タイムス+プラス(2018/7/29)
http://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/290468

 住民を代表する全国知事会の心強い提言である。
 札幌市で開かれた全国知事会議で、日米地位協定の抜本的な見直しを盛り込んだ「米軍基地負担に関する提言」が全会一致で採択された。
 米軍基地のない自治体を含む全47都道府県の知事会が地位協定改定を含む提言をまとめるのは初めてである。
 地位協定は米軍に特権的な地位を与えている。改定は米軍基地が集中する沖縄の問題と矮小(わいしょう)化されがちだったことを考えれば知事会が提言した意義は大きい。「国民の声」といっていいだろう。
 提言の内容はこうである。
 (1)米軍機の低空飛行の訓練ルートや時期の事前提供(2)地位協定を抜本的に見直し、航空法や環境法令など国内法を原則として米軍にも適用。事件・事故時の自治体職員の迅速かつ円滑な立ち入りの保障などを明記(3)米軍人らによる事件・事故に対し、実効的な防止策を提示。航空機騒音規制措置は住民の実質的な負担軽減が図られるよう運用し、検証(4)施設ごとに必要性や使用状況などを点検し、整理・縮小・返還を促進-。
 沖縄側の訴えが理解を得た形だが、提言が全会一致で採択された背景にはオスプレイなど米軍機の訓練飛行が「全国展開」され、日本列島に張り巡らされた低空飛行ルートが可視化されたことがある。米軍基地の有無にかかわらず、騒音被害や事故の懸念が高まっているのだ。
 地位協定改定は知事会の総意である。政府はこれに応えなければならない。
■    ■
 沖縄では、「憲法・国内法」の法体系が「安保・地位協定」によって大きな制約を受け、捜査権や自治権が制限されているのが現実だ。
 今年6月、米軍キャンプ・シュワブに隣接する名護市数久田の農作業小屋の窓ガラスが割れ、銃弾が発見された。県警は鑑定した銃弾と同型で未使用の銃弾の提供や、立ち入り調査の意向を米側に伝えているが、実現していない。
 基地内の環境汚染はブラックボックスだ。燃料流出事故は実際の発生件数に比べ通報が極端に少ない。ドイツのように緊急時に通告なしで立ち入りもできない。「環境補足協定」が調査受け入れ義務を明記していないからだ。
 県は昨年、17年ぶりに地位協定の改定案を策定し、日米両政府に提出している。
 県の改定案は条文ごとに示しており、それに比べると知事会の提言は物足りなさが残るのも事実である。
■    ■
 知事会は日米安保は重要との立場である。それでも米軍基地が住民の安心・安全を脅かし、自治体に過大な負担を強いていると指摘せざるを得ない。その観点から研究会を続行し、知事会として具体的な改定案を提示してほしい。
 沖縄に全国の米軍専用施設面積の7割が集中。跡地利用の経済効果が基地経済を大きく上回り、さらなる返還が求められることも書き込まれた。「フェイクニュース」を断つ意味でも重要である。
 「行動する知事会」がキャッチフレーズとして掲げられた。知事会は政府に対し言葉通りの姿勢をみせてほしい。
3.【社説】「核禁条約 首相は背を向けるな」 朝日新聞デジタル(2018年8月10日)
https://www.asahi.com/articles/DA3S13629883.html

 日本政府を代表する首相と、あの惨禍を知る被爆者らとの、痛ましいほどのすれ違い。この夏もまた、不幸な光景が繰り返された。
 広島と長崎への原爆投下から73年。平和を誓う両式典で、被爆者や市長らは口々に核兵器禁止条約への期待を示し、政府に真剣なとりくみを求めた。
 だが首相は式典でのあいさつで、条約に触れもしなかった。被爆者との懇談では、廃絶の目標は同じとしながら「アプローチが異なる」と述べ、条約への参加を否定した。
 国連で122カ国が賛成して昨年採択された核禁条約は、被爆者らの長年の訴えが結実したものだ。核の非人道性を強調する趣旨は、日本外交が柱に据えた「人間の安全保障」にも通じる普遍的な価値をもつ。
 ところが首相は昨年に続き、条約の意義を認めることもなかった。式典でも懇談でも、政府方針の読み上げが目立った姿に、被爆者団体の代表が失望を感じたのは当然だろう。
 首相は核軍縮の現状について「各国の考え方の違いが顕在化している」と語った。確かにそのとおりであり、核保有国と非保有国との間に深い不信感が広がっている。
 その責任はどこにあるか。グテーレス国連事務総長がきのうの長崎でのあいさつで明言したように、核の近代化に巨額をつぎこんでいる核保有国の側にこそ「特別な責任」がある。
 首相は核保有国と非保有国との「橋渡し」役を自任しているが、それならばまず保有国に向かって核軍縮を促す行動をみせなければ説得力はない。
 しかし逆に、トランプ米政権が打ち出した核軍拡の新戦略を「高く評価」(河野外相)している。大国のエゴともいうべき軍事政策を追認するだけの姿勢では、被爆国の責務を果たせるはずがない。
 日本の安全保障政策は、米国による「核の傘」を前提にしているという現実はある。だがそれを理由に核禁条約を拒絶し続けるのは、国際世論に背を向けることに等しい。
 被爆者たちと同様に、世界の多くの市民も危機感を深めている。自国第一主義の広がりとともに、新たな核開発に走る国も増えかねない。
 核の拡散を防ぐ国際枠組みを守るためにも、日本政府は国際世論との結束を強める多角的な外交を進めるべきだ。
 核廃絶へ向けた国際社会の努力を日本は「主導」する。首相はその誓いを言葉だけでなく、行動で示してもらいたい。

<別紙2>     第56回例会 事務局報告
                 福田玲三(事務局)2018.8.26

1) 来信(入会のご挨拶――東京・SNさんから)
 貴会のご活動、ご研究のご努力、その成果である数々の冊子……いつもお送りいただく一方ですが、心から感謝とお礼を申し上げます。忙しさに詳しい感想も添えられず心苦しく思っておりますが、年々増大の反民主主義的現政権への怒りはみな様と同じ、そう考えるだけで力強い限りです。なのに時折送らせていただきますカンパのみで申し訳ありません。
 今回、貴会入会のお誘い、ですが、これからはもしかすると、これ迄以上に連絡が少なくなるかもしれず(名前だけの会員になるかもしれず)そのこと気がかりなのですが……ひとりでも賛同者が増える、ということでお許しいただけるのでしたら、よろしくお願いします。(中略)翁長知事の訃報、大きな打撃ですが、沖縄の人達を後押し出来るよう私達も「辺野古反対」で力を出さねばなりませんね。
 何をするにも身体が一番!です。みなさまどうぞご自愛専一に未来を担う子どもたちの為に二度と戦争を起こすことがないよう現憲法を堅持出来ますようよろしくお願い致します。最後になりました(遅くなり申し訳ありません)共同代表岡部太郎様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。これ迄のご活動にお礼申し上げます。 

2) シリーズNo.6『朝鮮半島をめぐる情勢と私たち』の書評
 『プロレタリア』586号(2018年8月1日)の書評に、当会の最新刊の冊子が下記のように取り上げられた。後日、この書評の読者から当会に発注が届いた。

<パンフレット紹介>
『朝鮮半島をめぐる情勢と私たち――北東アジアの平和と繁栄のために』
著・大畑龍次 発行・完全護憲の会
私たちに何ができるのか
 7月に発行されたばかりの、この百ページ足らずの小冊子に、時節にかなった分析と内容が詰められている。
 著者の大畑龍次さんは、ご夫妻ともども日朝民衆連帯運動で先頭に立ってきた方で、韓国サンケン労組の日本遠征闘争支援でも、大きな役割を果たしておられる。
 本年に入り、南北首脳会談と、朝鮮半島・北東アジア情勢にとって、画期的な情勢が到来した。このパンフは、これを理解するのに分かりやすく、時系列的に諸事象が解説されている。
 構成は、「朝鮮半島問題とは何か」から「安倍政権の対朝鮮政策を問う」までの9項目で、ていねいに歴史的経緯を追って解説されている。日韓・日朝関係に詳しい方にも読み応えがあり、初歩的に学習という方にも分かりやすい。
 しかし、この書の最大の優れた点は、最終章として「終りに 私たちに何ができるのか」との一項目を設け、具体的な行動指針を提案しているところにある。三つの提案がされている。「国交交渉の再開を」「なぜ『朝鮮反戦運動』は起こらないのか」「民族排外主義の克服」の三点である。日本でベトナム反戦、イラク反戦は起きたが、朝鮮反戦はなぜ起きないのか? 重要な問いかけである。
 最後に、板門店宣言はもちろん、今後の日朝交渉再開のベースとなるであろう「日朝ストックホルム合意」も含め、ここ半世紀の重要な共同声明が、多数収録されているのもありがたい。(Ku)

3) 新会員
 新会員3名が入会され、計72名になった。

4) 次の例会・勉強会
 9月23日(日)13:30~16:30 三田いきいきプラザ
 10月21日(日)13:30~16:30 三田いきいきプラザ(都合により当月のみ第3日曜日)

5) 集会の案内
① 第15回平和学習会 水俣病――石牟礼道子さん亡きあと、もう一人の天草出身者が見た「帝国」
 【報告者】王道貫 【報告の主旨】「水俣病? そんなの終わった話でしょ。今更私に関係ない」恥ずかしながら私は、石牟 礼道子さんと同郷の天草出身でありながら、つい最近までこんな意識だった。しかし、そのような思い込みを抑えて虚心に水 俣病の実態を認識すれば、この思い込みが、実は罪深い誤解であったことを思い知る。本報告では、水俣病の歴史が、誇張な しに、明治150年を言祝ぐ大日本帝国の歴史そのものであったことをお示ししたい。
 2018年9月15日(土)13:30~16:30 【資料代】300円
  東京ボランティア市民活動センター(TVAC)B会議室(JR飯田橋駅隣 セントラルプラザ10階)
② 日朝ピョンヤン宣言16周年:朝鮮敵視政策を改め日朝国交交渉の再開を! 9・15集会
 講演:高野孟さん  特別報告:朴金優綺さん
 記録映像:アピール・ソウル平和統一大会など
 9月15日(土)18時開場 18時半開会 資料代:1000円
  文京区民センター 3A (地下鉄「春日」or「後楽園」下車すぐ)
 呼びかけ:2018 9・15集会実行委員会  連絡先:日韓民衆連帯全国ネットワーク/ピースボート/「戦争と女性への暴  力」リサーチ・アクションセンター/許すな!憲法改悪・市民連絡会/反安保実行委員会/在日韓国民主統一連合/完全護憲 の会
③ 『週刊金曜日』東京南部読者会
 9月21日(金) 18:30~20:30 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)

<別紙3>    緊急警告030号

 安倍首相に改憲案提出の資格なし、退陣せよ!

 厚顔無恥の安倍内閣が居座っている。森友・加計問題で行政を私物化し、数々のウソをつきまくり、挙句の果てに官僚たちに公文書を改竄させたり隠蔽させたりと腐敗の極みに達しており、安倍政権の正統性は完全に失われている。にもかかわらず、国会で多数を占める物言わぬ与党議員たちが腐臭漂う安倍政権を支えているのである。
 一時は自民党総裁選での三選が危ぶまれるほどに動揺していた安倍政権であったが、ここにきて自民党内での安倍総裁三選の可能性が有力視されるという嘆かわしさである。
 そんな安倍首相が、8月12日、地元山口県下で講演し、今秋召集予定の臨時国会に「党としての憲法改正案を提出できるよう取りまとめを加速する」と明言したのである。
 憲法の「尊重・擁護」義務のある行政府の長としての首相が、自ら先導して憲法改正案を次期国会に提出するなどということは憲法違反そのものであり、許されることではない。百歩譲って、安倍首相が言う場合には、「自民党総裁として」との断りが不可欠と言わなければならない。(この場合でも、安倍首相と安倍自民党総裁は不離一体なのであるから、党の副総裁なり幹事長に言わせるのが行政府の長としての節度と言わなければならない。)
 マスコミは、こうした重大な憲法違反となる首相の発言を、安易に断わりもなく「安倍首相」と表現するのではなく、せめて「安倍首相は自民党総裁として」の表現を常に用いるべきである。

 さて、肝心の自民党としての「改正案」であるが、先に自民党憲法改正推進本部がまとめた「改憲4項目」案は正式に自民党全体の案とはなっていないようであるが、3月に開かれた自民党大会での二階幹事長の発言を見る限り、党内に異論を残したまま、これが自民党としての「改正案」となるということなのであろう。
 「改憲4項目」とは①9条に「自衛隊明記」、②内閣に絶大な権限を付与する「緊急事態条項」の新設、③国会議員の選出方法を改める「合区解消」、④教育における「国の役割」、の4項目であるが、このうち③の「合区解消」と④の「国の役割」は多くの法律家・憲法学者が指摘する通り、あえて憲法に取り上げるべきことではなく、法律の改正で事すむことなのである。それをあえて取り上げているのは、国民が憲法改正を抵抗なく受け入れやすくするためと、「教育の無償化」をかかげて憲法改正に積極的な日本維新の会を取り込むためのものと言える。
 重大な問題は、①の9条に「自衛隊明記」と②の内閣に絶大な権限を付与する「緊急事態条項」の新設である。この二つについてはすでに当会の緊急警告022号(「自衛隊明記は口実、9条全面改悪の突破口とするもの」2017/8/9)と緊急警告003号(「『ナチスの手口』、緊急事態条項の危険性」2016/2/7)で言及しているので、ここでは再論しないが、自民党の「改正案」が正式に提出された段階で再度の検討を行うこととする。
2.次回及び今後の勉強会のテーマについて
 ① 次回テーマを「日米地位協定」とし、報告を王道貫氏に依頼する。(担当:福田)
 ② 映像についても適切なものがあるか引き続き調査する。(大野氏に依頼)
 ③ 以後のテーマについては決めきれず、テーマのリストアップの必要性について確認した。

4.当面の日程について
 1)第57回例会・勉強会   9月23日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 2)第55回運営・編集委員会 9月26日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
3)第58回例会・勉強会   10月21日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
          (当月に限り、都合により第3日曜日とする)
 4)第55回運営・編集委員会 10月24日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

★ひとくちメモ★ 在日米軍基地      

 防衛省が「在日米軍施設」と称する基地は、日米地位協定に基づき3種類に分類されているそうです。
 (協定の条項:① 2条1-a、② 2条1-aと4-a、③ 2条4-b)

① 米軍が単独で使用する専用の米軍基地
 沖縄23施設ほか岩国(山口)、三沢(青森)、佐世保(長崎)、横田(東京)、横須賀・厚木(神奈川)など 計51施設
② 自衛隊が一定条件下で使用を許される米軍基地
 沖縄8施設ほか長崎、広島、神奈川、東京など 計27施設
③ 米軍が一定期間、使用できる自衛隊基地 計119施設

 以上は琉球新報(2016/5/22)の記事よりまとめました。右表は2016年の①と②の合計面積。米軍基地はこの2年で総面積が1割強減り、沖縄でも面積が減って負担率が70.28%に下がりました。なお、施設数はWikipedia「都道府県別の全ての米軍施設…」を参照しました(全国の施設も一覧できます)。

◆米軍基地の内7個所は国連軍施設に指定されています(横田、横須賀、嘉手納、普天間、ホワイトビーチ地区、キャンプ座間、佐世保)。発端は1950年朝鮮戦争の勃発。日本が後方支援を命じられ、米軍は日本本土の基地を拡大したので住民の反対運動が激化、強まる反米感情は60年安保闘争にもつながります。
そこで米軍は沖縄の地主に銃剣を向けて新たな土地を取り上げ、本土の基地を移しました。朝鮮戦争は今も「休戦」状態なので国連軍の駐留も継続中。南北朝鮮が正式に戦争終結を宣言すれば、国連軍はやっと用済みになります。米軍も用済み??

完全護憲の会ニュース №56 2018年8月10日

                 <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
              発行:完全護憲の会
              連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312
              電話・FAX 03-3772-5095
              Eメール:kanzengoken@gmail.com
              ホームページ:http://kanzengoken.com/

          目 次

   第55回 例会・勉強会の報告                   P.1
     別紙1 東京新聞より「社説」(7月11日・14日付)       P.1
         東京新聞より「本音のコラム」(7月15日・17日付)   P.3
     別紙2 事務局報告                      P.3
     別紙3 岡部さん追悼                     P.5
   第53回 運営・編集委員会の報告(略)              P.6

     第55回 例会・勉強会の報告

      7月22日(日)、三田いきいきプラザの会議室で開催。参加者6名、会員69名。
 司会は草野運営・編集委員長が担当。岡部共同代表ご逝去にともない、「政治現況報告」に代えて、政治の現況を代表する新聞の社説を取り上げて討議することとし、まず試みとして、『東京新聞』7月11日社説:「参院選挙の改変 民主主義の土台壊すな」、同紙7月14日付社説:「『国会改革』論 熱意と実行を注視する」ほかと「本音のコラム」:「耐えられない軽さ」(山口二郎)、「前夜の祝祭」(鎌田慧)(別紙1)を提示した。
 これらの記事について、以下の討議があった。
 「7月14日付社説を取り上げた理由は?」「自民党小泉進次郎副幹事長らの同党内若手有志が提起した『国会改革』論には、特別調査会を設置し、国政調査権を行使して事実を徹底究明することが求められており、時宜を得ている」「小泉氏は自民党の次世代を担うと目されながら、国会で政府首脳が真実を隠し、偽って、いたずらに審議を長引かせているのを、人ごとのように見逃している。そのことを脇において、国会改革論を出すのには同意できない」。
 ついで「事務局報告」(別紙2)が福田共同代表から提示された。
 勉強会では伊藤真弁護士語りおろしDVD『憲法ってなあに?憲法改正とはどういうこと?』が上映された。この語りおろしには次のような意見があった。
 「伊藤先生の話を初めて聞いて、自分をほめたくなった。私の考えとすっかり一致していた」「伊藤弁護士は自衛隊に縛りをかけているが、自衛隊の存在を否認していない。この限度が必要だ。完全に否定すれば、世論は改憲に向かうだろう」「自衛隊を専守防衛で縛ればよい。非武装・中立では、世論の流れに抵抗できない」。

<別紙1>  東京新聞より「社説」(7月11日・14日付)

◆社説1:「参院選挙の改変 民主主義の土台壊すな」(7月11日付より)

 政権与党の傲慢(ごうまん)さが極まったのではないか。自民党が今国会成立を目指す参院選挙制度改革案。民主主義の土台である選挙制度を、自党の都合を優先して強引に変えることが許されてはならない。
 これほど露骨な選挙制度の改変が、かつてあっただろうか。自民党が提出し、参院政治倫理・選挙制度特別委員会で審議されている公職選挙法改正案である。
 参院議員定数を埼玉県選挙区で二(三年ごとの改選数では一)、比例代表で四(同二)増やし、比例代表の一部に、各党が定めた順位に従って当選者を決める「特定枠」を導入する内容だ。
 「一票の格差」是正のための定数増を一概には否定しないが、依然、三倍近い格差が残る。
 特定枠は提案した自民党の動機がそもそも不純だ。二〇一六年の前回参院選から「合区」が導入された「鳥取・島根」と「徳島・高知」両選挙区で公認に漏れた現職議員を比例で救済する狙いだからだ。自党の議席維持を優先する党利党略と批判されて当然である。
 国会は三年前の前回改正で、一九年の参院選に向けて「選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い、必ず結論を得るものとする」と改正法の付則に明記し、抜本改革を約束していた。
 最高裁が前回一六年参院選での格差三・〇八倍を「合憲」と判断したのも、抜本改革という国会の意思を評価したためだろう。
 国会は、国民との約束である抜本改革を怠ったばかりか、司法判断をも顧みない高慢さである。
 伊達忠一参院議長も役割を果たしたとは言えない。野党側が求めていたあっせん案の取りまとめを拒み、各党に法案提出を促し、審議するよう求めただけだからだ。
 確かに、選挙制度をめぐる各党間の隔たりは大きく、意見を集約し、各党が受け入れ可能な案を提示するのは容易ではない。
 しかし、困難な仕事に取り組んでこその議長ではないか。数に勝る自民党案の成立を容認するだけでは、三権の長としての責任の放棄にほかならない。
 自民党はきょうにも参院特別委で可決し、二十二日までの会期内成立を図る構えだが、民意を正しく測るための選挙制度を幅広い合意もなく、拙速に決めてはならない。
 審議を通じて各党案も明らかになった。自民党案の今国会成立は見送り、秋の臨時国会で仕切り直しすべきだ。周知期間は短くなっても、真剣な議論の末での結論なら、有権者の理解も得られる。

◆社説2:「国会改革」論 熱意と実行を注視する(7月14日付より)

 与野党の中堅・若手議員の間で国会論戦の在り方を見直すべきだとの声が高まっている。疑惑追及は必要であり、本来の政策論議も置き去りにはできない。そのためにも「国会改革」は急務だ。
 森友、加計学園問題をはじめ次々噴出する疑惑を追及する野党側を、紋切り型答弁でかわす安倍晋三首相ら政府側。予算委員会を中心に、今国会では何度こんな光景が繰り返されたことか。
 国会の役割とは言うまでもなく法案審議だ。できるだけ多くの政府提出法案を成立させたい与党に対し、野党は自らの主張にそぐわない法案については廃案を狙う。
 与党の事前審査をへて提出される法案に修正の余地はほとんどなく、いきおい国会は与野党の日程闘争に陥る。政権絡みの不祥事は野党には最優先の攻撃材料となり、審議拒否の口実にもなる。与党は多数をもって採決を目指す。政策論議は滞り、疑惑究明も中途半端となりがちだ。
 状況打開のため「テーマごとに論戦の“車線”を振り分けよ」と提言したのが、自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長ら党内若手有志の勉強会だ。
 安全保障、社会保障の展望など国家ビジョンは党首討論、個別の法案や政策は常任・特別委員会、そして疑惑の解明は特別調査会を設置し委ねる。
 調査会は、参考人・証人招致、関係機関からの資料提出などによって事実を徹底究明し、報告書を作成すると位置付けた。
 党首討論は二週に一回、国民が視聴しやすい夜間開催を提案している。
 目玉の調査会は着眼すべきところだ。国政調査権という憲法の保障する強力な権能は、今度の疑惑解明にどれほどの役に立ったか。国民はあきれもした。
 党首討論の改革も当然だ。小泉氏らの呼び掛けで発足した超党派の議員連盟「『平成のうちに』衆院改革実現会議」も十二日、党首討論を含む改革案を発表した。
 議連内では、採決の際の党議拘束をなくすべきだとの意見も出ているという。与党による法案事前審査の変革にもつながる。十分に検討してほしい。
 国会改革はどの国でも繰り返される議論だ。高まる政治不信は国会運営も一因と自認し、与野党を挙げて取り組みを急ぐときだ。若手らの動きをパフォーマンスと呼ぶのはたやすいが、国民は国会に対しその熱意と実行を見ている。

東京新聞より「本音のコラム」(7月15日・17日付)

◆本音のコラム1:「耐えられない軽さ」 山口次郎(法政大教授)(7月15日付より)

 西日本を襲った大水害は、我が国の政治の底知れぬ堕落をあぶり出している。
 七月五日夜、気象庁が今までに経験したことのない集中豪雨について警告を発しているさなかに、総理大臣、防衛大臣、官房副長官が大勢の自民党議員と議員宿舎で酒宴を催した。多くの議員がこの宴会の写真を会員制交流サイト(SNS)にあげた。
 この件について官房副長官は国会で野党議員から追及され、謝罪し、情報発信には今後気を付けると述べたとNHKニュースは報じた。百人以上の人命を奪う大災害が起ころうとしている時に危機管理の責任者が能天気に酒宴を催したことを反省するのではなく、情報発信について反省しているとはどういうことか。指導者の軽さには耐えられない思いである。
 おそらく、安倍首相の最大の関心事は九月の自民党総裁選挙で三選を果たすことであろう。そのために、自民党の議員を手なずけ、パリ祭の行事に参加する可能性を最後まで追求した。
 虚偽、捏造(ねつぞう)の内閣は、国民の生命に対する責任感まで捨て去った。このことに国民が怒らないならば、危機感を持たないならば、日本は安倍政権もろとも滅びの道を進むしかない。山体の崩壊は、政治の崩壊を暗示している。異常気象だけでなく、政治の劣化に対しても緊急警報を鳴らすべき時である。

◆本音のコラム2:「前夜の祝杯」 鎌田 慧(ルポライター)(7月17日付より)

 サッカーW杯決勝戦の高揚もあって、もう忘れられているかもしれない。が、わたしはまだ七人一挙死刑断行にこだわっている。七人にとどまって十三人全員でなかったのは、それではジェノサイド、国際世論に反する、との意見もあったからとか。七人でも大量処刑に変わりはない。
 死刑執行命令書に署名した上川陽子法相が、処刑前夜の五日、東京赤坂議員宿舎のパーティーで安倍首相のそばで、にこやかに笑いながら親指を立てていた。明朝七人が絞首台からぶら下がることを知らない訳はない。
 死刑執行命令書へのサインを拒んで、任期を全うする法相は過去何人かいた。拒否しなかったにせよ、サインした法相は自分の指をみつめ、死者の冥福を祈っている、と想像したりしていたがそれは感傷にすぎない。
 百七年前の一月、大逆事件で二十四名の死刑判決(十二人は減刑)を出したあと、「法官等は横田大審院長の室に集まり三鞭(べん)(シャンパン)の盃(さかずき)を挙げ書記給仕に至る迄茶菓の饗応(きょうおう)を受けたり」とは、「東京朝日新聞」松崎天民記者のスクープである。今は首相の取り巻き議員が、自慢げにツイッターに投稿する。
 なにがあっても世の中変わらない。もやもやして苛立(いらだ)たしい。未来もよく見えない。その閉塞(へいそく)感と悪いやつはきっぱり抹殺する快哉(かいさい)が、つながっているなら、怖い世の中だ。

<別紙2>  第55回例会 事務局報告

                 福田玲三(事務局)2018.7.22
1) 岡部さん追悼
 さる7月14日、都内内幸町で大阪外大フランス語同窓会が行われ、故岡部太郎氏を追悼した。外大で下級生だった女性は、岡部さんが在学中に設立した熟柿会(古美術鑑賞会)に参加した折に感じた、故人の大きな包容力をたたえた。また、同級生だった女性は、岡部さんの強い音楽愛好心について報告した。岡部さんと共に完全護憲の会で行動した福田は、故人を愛惜する言葉(別紙3)をささげた。参加者約30名。

2) シリーズ6『朝鮮半島をめぐる情勢と私たち――北東アジアの平和と繁栄のために』
  * 同シリーズ6を7月10日発刊、部数1000部、次の挨拶状を添付。
 新しいパンフレットへのご支援をお願いします
 暑い日が続いていますがお変わりございませんか。
 本年に入って平昌五輪の頃から、朝鮮半島情勢がにわかに動き始め、6月12日にはシンガポールで米朝首脳会談が実を結びました。
 米トランプ大統領の移り気な性格には気を許せませんが、シンガポール共同声明と韓国文在寅大統領、朝鮮金正恩国務委員長による板門店宣言路線を支持し、朝鮮半島情勢の好転を喜びたいと思います。それにつけても戦前朝鮮を侵略し支配し、戦後は今日に至るまで南北の分断をもたらし、両国国民に苦痛を与えた日本の罪を痛感しないわけにはいきません。
いま朝鮮半島に統一と平和の機運が高まっているとき、最も近い隣国の日本として、この新展開に貢献し、ひいては北東アジアに平和と繁栄をもたらすことができれば、これに勝る喜びはありません。
 しかし、前途は予断をゆるさず、意識的あるいは偶発的な妨害や危険と困難に満ちています。北東アジアの平和と繁栄という気高い使命達成の一助として、このたび当会シリーズ№6『朝鮮半島をめぐる情勢と私たち』を発刊しました。
 当パンフを友人、知人に広めてくださいませんか。
 あわせて恐縮ですが、夏季カンパへのご協力をお願いします。

  * 大畑龍次氏の紹介で在日組織から10冊を受注。
 ほかにも、「小生が知りたいと思ったこと、疑問など全てが述べられており、大変勉強になると同時に勇気づけられました」の添書きがついた5冊の注文をうけ、また「着実、タイムリーな活動、敬服しています」の添書きをつけた受注などをいただいた。

3) 次の例会・勉強会
 8月26日(日)13:30~16:30 三田いきいきプラザ
 DVD上映『9条を抱きしめて--元米海兵隊員の戦争と平和』(50分)、ついで意見交換。
 (参照⇒添付のチラシ表裏画像)

4) 集会の案内
①『週刊金曜日』東京南部読者会
 拉孟(らもう)戦(1944年、中国雲南省)の報告:遠藤美幸(神田外大非常勤講師)
 8月24日(金) 18:00~20:30 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)
②憲法を考える映画の会 8月25日(土)13:30~19:05
 13:30~16:00 映画『在日 歴史編』17:00~19:05 映画『在日 人物編』 
 文京区民センター3A会議室(地下鉄大江戸線/三田線:春日駅 丸ノ内線/南北線:後楽園駅)
 参加費:一般1000円 学生500円
③朝鮮半島和解と東アジア新秩序の模索 8月25日(土)13:30~17:30(開場13:00)
 明治大学 グローバルホール(グローバルフロント一階)
 参加費500円(資料代として) ※必ず、事前申し込みが必要です。
「東アジア共同体・沖縄(琉球)研究会」主催 「村山首相談話を継承し発展させる会」後援
④日朝ピョンヤン宣言16周年:朝鮮敵視政策を改め日朝国交交渉の再開を!9・15集会
 講演:高野孟さん 特別報告:朴金優綺さん 記録映像:アピール・ソウル平和統一大会など
 9月15日(土)18時開場18時半開会 資料代1000円
 文京区民センター 3A (地下鉄「春日」or「後楽園」下車すぐ)
 呼びかけ 2018 9・15集会実行委員会
 連絡先 日韓民衆連帯全国ネットワーク/ピースボート/「戦争と女性への暴力」リサーチ・アクションセンター/許すな!憲法改悪・市民連絡会/反安保実行委員会/在日韓国民主統一連合

<別紙3>    岡部さん追悼          福田玲三

 ご承知のように、私は例の学徒出陣で外地に出て、佐世保に復員したのは1947年10月でした。この年すでに5月に日本国憲法は施行されており、したがって憲法施行前の熱心な議論を経験していません。
 その後も、憲法については特に関心を寄せることなく時をすごしましたが、30余年勤めた国労書記を1984年に定年退職したあと、労働運動関係の雑誌をボランチアで手伝っているとき、Nさんと知り合いました。
 Nさんは東大学法学部出身、大蔵省で事務次官のコースでしたが、日本国憲法の熱烈な支持者であったため、主流から外され、退職後この雑誌に寄稿していました。彼の主張の特色は、第9条だけでなく、この憲法の全条項を高く評価していることです。彼の主張に感化され、私はこの憲法の貴重な意義について考えるようになりました。
 そのうち安倍自民党政権が改憲の企図を進めるにつれて、今こそ、この貴重な憲法を擁護すべき時であるとの思いに突き動かされました。
 しかし、政治的な経験も常識もない私に、そのような運動が成り立ち得るのかどうか、不安でした。相談できる人は岡部さんだけでした。それまで岡部さんには同窓会でお会いしましたが、言葉を交わしたことは一度もありませんでした。
 そして、2013年11月8日金曜日の午後、内幸町のプレスセンター9階談話室で、俳句の会を終えて一人で待っていた岡部さんに会い、命運をかけて質問しました。「いま全面護憲論を主張するのは非常識ではないでしょうか」。岡部さんは「そんなことはない。みんな何かを求めている」と答え、さらに「私が役立つなら使ってもらってよい」と付け加えられた。
 この嬉しいニュースをNさんに伝え、後日、港区赤羽橋近の済生会病院の控室で、初めて三人で会いました。岡部さんはもうこのとき透析を受けていられました。
 最初の月例会は、翌2014年1月26日に神田神保町の学士会館で開き、ここで岡部さんの次の年賀状が披露されました。「謹賀新年/右に跳ねる癖に手綱や午の春/久しぶりに危機感を持って迎える新春です。(中略)本年もよろしく」。
こうして勉強会を重ね、1年後の2015年に小冊子『日本国憲法が求める国の形』を作成しました。そして岡部さんが、素人の私たちを指図し、記者会見の日時、場所、案内状の文案など、すべてを先頭に立って進め、こうして3月20日、プレスセンター9階の会議室で記者会見を開きました。
当日、司会を担当した私に、岡部さんは「マスコミとの関係があるから自分は控えに回る、Nさんを前に立ててもらいたい」さらに「面倒な質問があれば自分に回してもらえばいい、私が何とかする」と、なんとも控えめでありながら頼もしい指導者でした。
翌日の東京新聞を見ておどろきました。「戦争体験だから護憲」の5段抜きの大見出しで記者会見の模様が掲載され、この記事によって冊子への注文とカンパが相次ぎ、会の基礎が作られました。
その後、岡部さんは壊死を防ぐため片足ずつ切断する闘病生活のなかで一度も休むことなく例会に「政治現況報告」を寄せ続けられました。「継続は力なり」は岡部さんのモットーでした。
岡部さんからの最後の原稿は、今年3月28日の例会における次の報告でした。
 「2月の政局レポートでも触れた国内・国外の二つの問題が、3月に入ってさらに大きく展開。(中略)この問題の急展開によって各新聞社の内閣支持率は2月より10ポイント程度マイナスになった。共同通信社によると17,18日の全国電話調査で9.4ポイント急落し、38.7%に落ち込んだ。不支持率は9.2ポイント増の48.2%で逆転した。また財務省文書の改ざんで「安倍首相に責任」66.1%「責任はない」25.8%。明恵氏国会招致必要65%。朝日も毎日も時事通信も10ポイント近くの急落だった。」
亡くなられる1カ月前、岡部さんの頭脳にいささかの乱れもありませんでした。翌4月9日、発熱のため緊急入院、19日不帰の客となられました。享年86歳。数えの米寿のお祝いが用意されていた最中でした。
私が最後にお会いしたのは去る3月23日、プレスセンターでした。そのとき岡部さんは車椅子に乗り、奥様とお嬢様の付き添いで来られ、「現政権退陣まで頑張る。そのあとは後進に交代したい」と言われていましたが、志半ばの急逝が惜しまれてなりません。そのご遺志を引き継ぎ、憲法を守りぬきます。
そのおおらかであるとともに節度をもった生き方は、私たちの模範であり、今日までお付き合いいただいたことを深く感謝しています。

     当面の日程について
1)第56回例会・勉強会
  8月26日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
  勉強会:DVD『9条を抱きしめて--元米海兵隊員の戦争と平和』(50分)
      上映後、意見交換 会場費300円(20代以下は無料)⇒作品については添付画像のチラシ表裏を参照
2)第54回運営・編集委員会 8月29日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
3)第57回例会・勉強会   9月23日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
4)第55回運営・編集委員会 9月26日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
5)第58回例会・勉強会   10月21日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
             ⇒10月の例会は、都合により第3日曜に変更
6)第56回運営・編集委員会 10月24日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

完全護憲の会ニュース №55 2018年7月10日

                 <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
                          発行:完全護憲の会
              〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312
              電話:FAX 03-3772-5095
              Eメール:kanzengoken@gmail.com
              ホームページ:http://kanzengoken.com/

               目 次
           第54回例会・勉強会の報告         P.1
            別紙1 米朝首脳会談後の北東アジア    P.1
            別紙2 第54回事務局報告         P.4
           第52回 運営・編集委員会の報告(略)    P.5

       第54回例会・勉強会の報告

      6月24日(日)、三田いきいきプラザ会議室で開催。参加者6名、会員67名
 司会は草野運営・編集委員長が担当。まず大畑龍次氏より6月12日にシンガポールで開催された「米朝首脳会談後の北東アジア」(別紙1)が報告された。

 この報告に対して以下の意見が交換された。
 「まず何よりも朝鮮と付き合いを始めるべきだ」「(大畑)拉致問題は基本的に解決済みと朝鮮側は言っている。そのうえで何を解決するのか?まず植民地支配に対する賠償から始めなければならない。両国の関係改善が最大の安全保障だ」「安倍政権は朝鮮の核武装を利用しているだけだ。本気で安全保障を考えるのであれば、まず原子力発電を止めなければならない」「安倍政権はこれまで北の崩壊を前提にしていた」「(大畑)2000年6月15日の南北共同宣言で『吸収統一』はしないことを明らかにしている」「安倍政権のいう『国難』がなくなれば、改憲の必要は遠のく。安倍政権は危機に陥る」「今回の米中首脳会談の開催に貢献したのは、韓国のキャンドル革命による政権交代だという説と、北の核開発だという説がある」「韓国から日本にキャンドル8000個と電池が贈られたそうだ」「日本の国会周辺の過剰警備に韓国の人は驚いているという」「(大畑)韓国民は軍事政権と闘って勝利した経験があり、闘争に命をかけている」「日本政府の対朝鮮対応はトランプ大統領の動向に左右され自主性がない」「拉致被害者家族会もトランプ大統領が一時首脳会談中止を述べたとき、それに賛成していた」「朝鮮との国交回復はまず朝鮮高校への補助再開から始めるべきだ」「9月の自民党総裁選前に国交回復はできないだろう」
ついで「事務局報告」(別紙2)が福田共同代表から提出され、了解された。

<別紙 1>
         米朝首脳会談後の北東アジア

                 大畑龍次(アジア問題研究者) 6月24日

 6月12日、歴史的な米朝首脳会談がシンガポールで持たれた。会談は両首脳だけの会談後、拡大会合、昼食会、合意文書署名、トランプ大統領の記者会見と続いた。今年は朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の建国から70周年にあたるが、その節目に敵対関係を続けてきた米朝両国の首脳会談が開かれたことは歴史的なことであり、その成功を心から歓迎したい。合意文書の要点は次の通り。

 1 平和と繁栄を願う両国人民の念願に基づいて新たな米朝関係を樹立していくことにした。
 2 朝鮮半島で恒久的で強固な平和体制を構築するために共に努力する。
 3 朝鮮民主主義人民共和国は2018年4月27日に採択された板門店宣言を再確認し、朝鮮半島の完全な非核化に向けて努力することを確約した。
 4 戦争捕虜および行方不明者の遺骨発掘を行い、すでに身元が確認された遺骨を即時送還することを確約した。

 第4項以外には具体的な言及はなく、全体として包括的な内容となっている。第一項の「新たな米朝関係を樹立」の確認からは、今後米朝国交交渉へ向かうことが期待される。当面は連絡事務所の設置などが糸口になるだろうと思われる。第二項の「恒久的で強固な平和体制を構築」は、終戦宣言から平和協定締結へと向かうかが焦点だろう。第三項は、朝鮮が「朝鮮半島の完全な非核化に努力する」ことを表明したものである。これはこれまでも表明していたことの再確認といえる。なお、前文にトランプが朝鮮に「安全の保障を提供すると確言」したとあるが、これはいわゆる「体制保証」とまでは言えない。
 日米のマスコミの反応は、「金正恩にやられた」という論調が大勢のようだ。会談以前にトランプ政権がCVID(完全で検証可能かつ不可逆的な核廃棄)を声高に主張していただけに、その落差が大きすぎるというところか。米議会も「不満」を表明しているし、金正恩に軍配というのがおおかたの評価。今後もトランプ政権は、朝鮮の非核化を要求することは明らかで、その進展に合わせて「新たな米朝関係」と「恒久的で強固な平和体制」の協議に応じるものと思われる。関係改善の具体化はこれからだが、敵対関係を転換して関係改善に向かうことに合意したのは大きな成果であろう。
 その後、6・12首脳会談の具体化の動きも見られる。この夏の米韓合同軍事演習の中止が決定されたのは、「恒久的で強固な平和体制」の第一歩であり、朝鮮がロケットエンジンの発射施設の廃棄を打ち出したのも朝鮮半島の非核化にむけた行動と評価できる。また、第4項の「戦争捕虜および行方不明者の遺骨発掘」では朝鮮が早くも実施しており、200柱からの遺骨が身分証などとともに引き渡されるという。

 6・12首脳会談の波紋

 米朝首脳会談の波紋が広がっている。
 第一に、南北の板門店宣言推進の環境が整ったことだ。6・12米朝首脳会談によって米朝の関係改善が行われたため、南北は大手を振って南北の関係改善に向かうことができる。すでに高位級会談と将官級会談が開催され、板門店宣言の具体化が進んでいる。南北の合同連絡事務所を開城公団内に設置することが合意され、韓国側は現地視察を行った。アジア・スポーツ大会への合同選手団による参加、8月の金剛山での離散家族再会事業が決まった。京義線と東海線を連結するための会談も行われ、事前の調査活動を共同で実施するという。秋には南北首脳会談が行われることから、それまでにはより具体的な成果が期待される。特に、終戦宣言と停戦協定締結が実現するかが注目される。6月中旬の統一地方選挙で文在寅政権は圧勝したばかりであり、政権への支持と期待は広がっている。
 第二に、安倍政権が日朝首脳会談に言及しはじめたこと。6・12米朝首脳会談によって安倍政権は対朝鮮政策の変更を余儀なくされた。「いまは圧力のとき」という情勢認識ではもはや通用しないことがはっきりした。しかし、朝鮮は安倍政権の「豹変」ぶりには批判的であり、「拉致問題は基本的に解決済」なる公式見解を改めて明らかにしている。安倍政権もまた、拉致問題の解決の見通しの「感触」がなければ首脳会談には応じられないという。
 日朝平壌宣言時の朝鮮の状況とは雲泥の差がある。その頃、朝鮮は八方ふさがりの状況のなか、日朝関係改善に情勢の好転をかけた側面がある。そのためにそれまで否定していた拉致問題の関与を認め、朝鮮の植民地支配にも賠償から経済協力方式という、思い切った要求ダウンに応じた。しかし、現時点は朝鮮側が追いつめられた状況はない。日本以外の関係諸国とは良好な関係にあり、南北関係も板門店宣言の履行過程にある。いわゆる「朝鮮専門家」が主張していたように「朝鮮は日本の経済支援が必要」という状況ではないのである。中韓ロからの経済的支援が期待できるし、米国が動く可能性もある。したがって、日朝交渉の必要性は日本側にこそあっても、朝鮮側は差し迫ってはいない。もちろん、日朝対話は喜ばしいことだが、その主導権は朝鮮側にある以上、安倍政権は思い切った政策変更が必要だろう。
 第三に、中朝ロ関係の前進。金正恩委員長は6月19日、本人3度目となる中朝首脳会談のため北京を訪問した。米朝首脳会談の報告を兼ねながら、①朝鮮半島の非核化の段階的解決、②経済協力を確認したと思われる。朝鮮からは経済視察団がすでに中国を訪問し、金正恩自身も経済関連施設を訪問している。中国はかねてから朝鮮に「改革開放」路線を勧めてきたが、一層拍車がかかるとみられる。中朝国境では経済交流の進展を見込んで不動産価格が値上がりを始めたという。また、ロシアはウラジオストックで9月に開かれる東方経済フォーラムに金正恩委員長を招待していると伝えられる。この間の朝鮮外交の展開から見ると、朝ロ首脳会談に進むことは容易に理解しうる。ここでも朝鮮半島の非核化の段階的解決と経済的連携の確認が行われるだろう。ロシアを訪問した文在寅は韓国、朝鮮、そしてロシアに繋がる経済連携の推進を呼びかけた。南北間では東海線の鉄道・道路連結が板門店宣言によって合意されていることを念頭にした発言である。これまでもパイプラインをロシア、朝鮮、韓国へと伸ばす構想が語られてきたので、一層の具体化に進むだろう。朝鮮の羅津地区の経済特区への投資推進の可能性もある。

 日本は北東アジアの阻害要因か

 このように歴史的な米朝首脳会談によって北東アジアは、友好的な関係が作り出されつつあり、平和に向かっている。このような融和的なムードのなか、関係改善が見られないのは日朝関係だけである。これまでは日本が「蚊帳の外」にあるといわれてきたが、いまや阻害要因と認識すべきなのではないだろうか。安倍政権は「圧力一辺倒」から「対話を模索する」姿勢に変わりつつあるが、いまだとして対話は実現していない。日本は核・ミサイル開発と拉致問題の解決なしに国交交渉に進まないという姿勢を崩していない。核・ミサイル開発は基本的には米朝間で解決されるべき問題であるから、個別問題としては拉致問題の前進がネックとなるだろう。日朝双方が関係改善へのプロセス合意したものに「ストックホルム合意」(2014年5月)がある。この合意にしたがって朝鮮は特別調査委員会を立ち上げ、在朝日本人の調査に着手した。しかし、日本が朝鮮の核・ミサイル開発に対して独自制裁に踏み切ったため、朝鮮は合意に反するとして調査委員会を解散して店晒し状態にある。これまでの経過から考えると、ストックホルム合意の再稼働が必要だろう。そのためには店晒しの原因となった独自制裁を解除すべきだ。米朝首脳会談の成果を尊重するならば、制裁解除は可能だろう。さらに、ストックホルム合意を再稼働するとすれば、朝鮮側の調査報告書を受け入れることが必要だ。朝鮮国内の調査は主権にかかわる問題であり、日本には限界がある以上、基本的には朝鮮の調査を受け入れる姿勢が必要だ。さらに、よりドラスチックに関係改善に向かおうとするなら、懸案事項の解決→国交交渉再開という基本姿勢を改めることだ。「国交正常化ありき」を先行させ、そのなかで懸案事項を解決することだ。これはオバマ政権がキューバとの国交正常化でとった手法であり、学ぶべき価値がある。
 安倍政権はマスコミ各社に拉致問題の優先的報道を要請している。その結果、国民世論は「拉致被害者は生きている」、「北朝鮮は拉致被害者を返せ」という認識になっている。したがって、安倍政権はこの期待に応えられないとき、政権維持の危機に陥る可能性がある。事前の秘密接触によって確かな「感触」を得ることがなければ、前進できない。この数年、そうした努力をせずに時間だけが流れたのではないか。これでは拉致問題の政治的利用と言われてもしかたがない。
 安倍政権は拉致問題の偏重をやめ、日朝関係改善と北東アジの平和のために大局的な政策転換をしなくてはならない。日本の朝鮮侵略の過去を清算するために国交交渉に向かうことを声高に訴える必要がある。そうした声をあげることが求められている。北東アジアが敵対から友好へと好転するなか、日本は阻害要因になってはならない。いま一度、日本の朝鮮侵略の清算と国交交渉の再開を求めるときだ。

<別紙 2>
         第54回例会 事務局報告

                    福田玲三(事務局)2018.6.24

1) 来信
 自民党(改憲)草案の社会を描いた「未来のダイアリー」や日弁連の「こども憲法カレンダー」を30人ほどの友人・知人に送り、私からのメッセージを伝えて来ました。日弁連からのポストカードも分けていただき、国民投票になったときの準備としています。「平和に向けて活用したい道徳」の冊子も、私からのメッセージにしたいと思っています。ありがとうございます。全部読んだらまた連絡させていただきます。
 今の平和を次の世代にも! 戦争から1ミリでも遠ざかるように!(埼玉県・N氏)

2) シリーズNo.6『朝鮮半島をめぐる情勢と私たち――北東アジアの平和と繁栄のために』(仮)
 さる6月12日、シンガポールで開催された米朝首脳会談の論評と今後の展望を加えたテキストが、大畑龍次氏より6月15日到着、仮綴じ本として6月例会で検討した後、成文を作成し、月末に刊行の予定。

3) 岡部共同代表の後任要請
 さる6月12日、運営・編集委員会の大西・福田が国会議員会館にK議員を訪ね、5月に逝去された岡部共同代表の後任について相談したが、議員活動が多忙なため、就任要請を受けたことを光栄とするものの、と辞退された。

4) 集会の案内
①盧溝橋事件81周年 明治150年徹底批判!
 侵略と植民地支配の歴史を直視し、アジアに平和をつくる集い
 日時:2018年7月5日(木)18時~
 会場:文京区民センター3階・3-A会議室
    文京区本郷4-15-14 03-3814-6731
 主催:村山首相談話の会
 資料代:800円
②報告会:朝鮮半島情勢について 講師:大畑龍次
 日時:7月8日(日)13:30~
 場所:松戸市民会館101号室
 主催:市民自治をめざす1000人の会
 連絡先:090-4606-9634 吉野
③被爆者の声をうけつぐ映画祭2018
 7月14日 武蔵大学江古田キャンパス大講堂 18:00から吉永小百合さん登場。
   15日 8号館8階8802
      https://hikakueiga.exblog.jp/
④第14回平和学習会
 「レ・ミゼラブル」から読み解く憲法 報告者:王道貫
 7月22日13:30~16:30 東京ボランティア市民活動センターC会議室(飯田橋)
 資料代:200円
⑤『週刊金曜日』東京南部読者会
7月27日(金) 18:30~20:00 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)

当面の日程について

1)第55回例会・勉強会 7月22日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
勉強会:伊藤真弁護士語りおろしDVD『憲法ってなあに?憲法改正ってどういうこと?』の上映 (55分)、ついで意見交換。
 三田いきいきプラザ(地下鉄三田線・三田駅出口A9より徒歩1分、JR山手線・田町駅西口より徒歩10分)
 港区芝4-1-17
 http://shiba-ikiiki.com/mita/access/
 会場費 300円
2)第53回運営・編集委員会 7月25日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
3)第56回例会・勉強会   8月26日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
4)第54回運営・編集委員会 8月29日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

完全護憲の会ニュース №54 2018年6月10日

                 <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
           発行:完全護憲の会
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          目 次
 
      第53回例会・勉強会の報告           P.1
      別紙1 『朝鮮半島をめぐる情勢』        P.2
      別紙2 事務局報告               P.4
      第51回 運営・編集委員会の報告(略)      P.5

      第53回例会・勉強会の報告

        5月27日(日)、港勤労福祉会館和室で開催。参加者8名、会員67名
 司会は草野運営・編集委員長が担当。会場が新たな場所で迷った参加者があり、30分ほど遅れて開会、まず「事務局報告」(別紙2)が福田共同代表から読み上げられ、ついで大畑龍次氏から、前回の仮綴じ本に、4月27日に開催された南北首脳会談への論評を加えた資料『朝鮮半島をめぐる情勢――北東アジアの安全と平和のために――』(別紙1)による報告が行われた。この報告をめぐって次のような意見が交わされた。
 「6月12日の米朝首脳会談後はどのように想定されるか」、(大畑)「米日は朝鮮に一方的な非核化を主張しているが、段階的な、対話による進行になるだろう。これが国際的な世論であるからだ」「米のいうリビア方式の適用とは?」、(大畑)「ボルトン大統領補佐官の主張だが、この非核化方式でカダフィ大佐が反政府勢力によって殺害された。米は金正恩委員長の断首作戦まで公言している。だがトランプ大統領が最近、朝鮮半島の非核化に言及した(在韓米軍の非核化も含まれる)。もっとも、朝鮮半島を非核化しても、米は大陸間弾道ミサイルや原子力潜水艦、グアム基地の核爆撃機を使えば、核攻撃は可能だ」「ストックホルム合意とは?」、(大畑)「日朝平壌宣言以降に、国交正常化のための予備折衝として合意された。そこには朝鮮側7項目、日本側7項目の課題が示され、それぞれの行方不明者の調査の実施などが合意されている。その後、日本が独自の朝鮮制裁を開始したことで、この合意は無効になった」

 ついで、「シリ-ズ6 検討資料集」(大久保敏明、大野和花、柘植淳平、福田玲三、草野好文の5氏から寄せられた文字校正をふくむ意見を収録)を参考にした意見交換に入り、とくに「自衛的核武装」「内政問題」「朝鮮は好戦的ではない」などの言葉をめぐり、独裁体制に内在する好戦性への批判が弱いのではないかとの指摘に対して、(大畑)「日本国内における圧倒的な朝鮮パッシングへの反論として本冊子を用意した。批判が朝鮮の核武装、体制批判、人権問題、最高権力者の世襲に向けられているが、これらの国際的な批判がダブルスタンダードであることは明瞭であり、また基本的に内政問題であることを理解されたい」。
 この討議では「国際社会には国際法がある。そこには第一に内政不干渉があげられ、また武力による威嚇と武力の行使が禁止されている。人権問題が恣意的に国際外交に利用されていることに注意すべきだ」との発言があり、今後さらに討議を深めることになった。
 ついで『平和に向けて活用したい道徳』についての勉強会に移り、まずこの冊子への批判的な意見が下記のように紹介された。
●この冊子は学校での道徳教育を必要なものとして、肯定的に評価する立場に立っているように思えるが、それは正しいことなのか。学校での道徳教育自体は特定の価値観を子どもたちに刷り込み、強要するものであり、そのような教育はやってはならないものだと思う。
●道徳を学校授業の教科にすること自体の問題性と危険性に対する認識が弱いのではないか。教科としての『道徳』に明確に反対を表明すべきだと思うが、その表明がない。まして評価点を付けるなどという、やってはならないこと、やれるはずもないことをやらせることに明確な反対表明がなされていない。
●現政権や右翼的勢力が目論む戦前の「修身」の復活としての道徳の教科化に、明確な反対姿勢を貫けず、これに融和的な部分改良的な提起になっているのではないか。
●現在行われている「道徳」の授業内容についての分析・検討がなされていない。したがって、現状にいかなる問題点があるのか、あるいはないのか、が不明である。
●現在の教育現場の状況下で、道徳の授業を「平和に向けて活用」できると本当に考えているのか。それは可能なのか。

 これらの批判に対して、「日の丸、君が代に反対して教師をやめた人がいる。いい先生をやめさせる制度になっていて、そこに先生が追い込まれている。だが、やめていいのか。残された子どもたちはどうなるのか。それと同じく、理念として道徳反対、だけでは済まない段階になっている」との執筆者からの表明があった。また、「『平和に向けて活用したい道徳』というタイトルが誤解を招く。道徳に「」を付けるべきだ」との意見もあった。これに対して執筆者は、『原爆の子』の編者である長田新氏の「このような『平和のための人間』を育成することこそ道徳教育の使命でなくてはならない」以下「平和を築くことを、人間としての最高の道徳と考えるような人間」の育成などの記述(冊子100頁)を挙げ、この冊子のタイトルはほとんど、この長田氏の言葉をそのまま使ったと述べた。
 討議はさらに道徳という言葉自体の解釈についても続けられ、その関連で、1940年に北海道で綴方指導に熱心な教員が多数逮捕された事件が報告された(道新選書47 『獄中メモは問う 作文教育が罪にされた時代』 1400円)。討議は今後も続行される。

<別紙 1> 朝鮮半島をめぐる情勢 (4月27日「板門店宣言」以降の追加部分について)

             大畑龍次 (アジア問題研究者)

連続する首脳会談
 南北、米朝の首脳会談が具体化するなか、3月26日に電撃的な中朝首脳会談が行われました。中国が朝鮮の核・ミサイル開発に批判的姿勢をとって関係の冷却化が伝えられていたし、朝鮮は習近平(シー・ジンピン)が平壌よりも先にソウルを訪問し、2015年の戦勝70周年の軍事パレードでは朴槿恵前大統領を天安門のひな壇に立たせたことに不満でした。こうした韓国重視の姿勢に対し、朝鮮は中国と距離をおいてきました。2017年11月には習近平が党対外連絡部の宋濤(ソン・タオ)部長を特使として朝鮮に派遣しましたが、金正恩には会うことができませんでした。こうした冷却した中朝関係のなかでの首脳会談は予想もできないことでした。南北、米朝首脳会談を前にして中国との関係回復に出たものと思われます。この北京訪問は金正恩の初外遊となり、外交デビューでした。この会談が注目されているのは、ひとつは中朝関係が改善されたことであり、もうひとつは金正恩が非核化問題について「段階的解決」を発言したことです。米国が一括解決を主張していることを牽制する意味がありました。
歴史的な南北首脳会談は4月27日、板門店の韓国側施設「平和の家」で開催され、「朝鮮半島の平和と繁栄、統一のための板門店宣言」が出されました。この宣言によって朝鮮半島の平和・繁栄・統一のロードマップが明らかになりました。板門店宣言は三つの部分から構成されています。それらを見てみましょう。
 第一に、「共同繁栄と統一」。ここでは自主統一の原則が明らかにされ、これまでの南北間の合意を履行・発展させるべく協議していくとされました。具体的には
①開城地域に南北共同連絡事務所を設置、
②6月15日などの共同行事開催と2018アジア大会(8・18~9・2)への共同出場、
③8月15日の離散家族再会事業、
④10・4共同宣言の履行と、一次的なものとして東海線および京義線の鉄道と道路の連結事業。
 なお、10・4共同宣言にはそのほかに多くの共同事業が合意されているので、順次進められることが予想されます。10・4宣言では推進のために副首相級の「南北経済協力共同委員会」を組織するとされているので、そのような組織が作られるでしょう。
第二に、南北の「軍事的緊張緩和」。軍事的敵対行為を中止し、非武装地帯を平和地帯に、西海北方地域(海の軍事境界線)を平和水域にするとされました。今後、軍事緊張緩和のための軍事当局間会談を持つこと、5月中に将官級会談を開催すると合意されました。すでに非武装地帯の敵対宣伝とビラ散布は中止されています。韓国政府は脱北者団体の敵対行動を阻止しました。
第三に、朝鮮半島の「恒久的平和体制の構築」。武力行使をしない不可侵合意と段階的な軍縮の推進。年内の朝鮮戦争の終結を目指し、停戦協定を平和協定へと実現すべく三者(南北と米)あるいは四者(南北と米中)の協議を推進するとされています。こうした南北の合意は米軍の武力行使をつよく牽制するものとなるでしょう。そして、「完全な非核化を通じて核のない朝鮮半島を実現するという共同の目標を確認した」。この「核のない朝鮮半島」の表現は米国の核の傘も想定されています。そうでなくては「共同の目標」にはならないからです。宣言の最後には、文在寅大統領の平壌訪問も合意されました。文在寅が望んでいた首脳会談の定例化に一歩前進したことになります。半年後の首脳会談によって宣言の進捗状況「実りの秋」が確認されるでしょう。
 朝鮮半島をめぐる諸問題のうち、南北だけでは解決できない問題がいくつかあります。ひとつは朝鮮半島の非核化問題です。この問題はどちらかというと、米朝間の問題です。朝鮮半島における核問題というとき、中ロの核は含まれず、対峙関係にある米朝の核を指しています。また、朝鮮の核武力は朝鮮敵視政策をとっている米国に対する自衛的なものであるとされてきました。したがって、米国の朝鮮敵視政策の放棄、平和協定締結と国交交渉によって体制保障が担保されなくてはなりません。板門店宣言が朝鮮半島の非核化を目標としたものの、朝鮮が保有する核に言及がないとする批判はあたりません。それは米朝対話において話し合われるべき問題だからです。もうひとつは、停戦協定を平和協定にする問題ですが、そもそも停戦協定に署名したのは米中朝なのですから、少なくとも三者による協議が必要です。より正確に言えば、米国ではなく国連軍であり、中国ではなく中国義勇軍でしたが、実質的には米中といっていいでしょう。しかし、停戦協定によって対峙している韓国を抜きの協議は考えられないことから、四者による協議が妥当でしょう。日本政府が要請した拉致問題はあくまでも日朝間の問題であり、取り上げる理由はありません。その後、文在寅大統領が拉致問題を取り上げたことが伝えられ、金正恩委員長が日朝対話の用意を伝えています。米日中ロの関係国の反応でいえば、日本以外はおおむね歓迎の意を表しているといっていいでしょう。

米朝首脳会談をめぐる神経戦
 舞台は米朝首脳会談に移りましたが、米朝間の神経戦が続きました。
 朝鮮は4月20日、朝鮮労働党中央委員会総会において核・ミサイル開発の中止、核実験場の廃棄を決定したと明らかにしました。核実験の廃棄措置は5月23~25日に行い、米韓などに公開するとしました。核武力の完成によって必要性が減少したこともありますが、米国へのメッセージとなりました。板門店宣言でも「北側が取っている自主的な措置が、朝鮮半島の非核化のための大胆で意義ある重大な措置」として南北によって認識されました。また、中朝首脳会談において金正恩委員長は「段階的措置」に言及しました。六者協議共同声明でも明記されている「約束対約束、行動対行動の原則」にしたがって段階的に進むことができれば、朝鮮半島の非核化は可能だという立場です。さらに朝鮮は5月9日、拘束中だった韓国系米国人3人に恩赦を与えて解放しました。トランプ大統領夫妻が深夜にかかわらず出迎え、自らの成果として大宣伝を展開しました。トランプが米朝首脳会談の開催地と日程を正式発表したのはその直後でした。
 さて、首脳会談を前に米朝間の暗闘はどのように進んだのでしょうか。米国はふたつのポイントで自らの立場を表明しました。ひとつは朝鮮が具体的な非核化措置をとることであり、もうひとつはそれが行われるまで最大限の圧力を行使するというものです。朝鮮が非核化に合意すれば、体制保証と経済建設に協力するとしました。ボルトン大統領補佐官(安全保障担当)がもっとも強硬な姿勢を貫き、リビア方式を主張しました。一方、朝鮮側はあくまでも段階的な解決を主張し、一方的な非核化を拒否しました。米朝間の意見対立があるのは明らかで、金正恩委員長の2度目の中国訪問が5月7~8日に行われたことに端的に示されています。米朝首脳会談を前にして意見調整と経済協力を取り付けたものと思われ、その後朝鮮の経済視察団が派遣されました。中朝の親密化で米国への揺さぶりをかけた格好です。朝鮮側の揺さぶりはさらにエスカレートしました。米韓両空軍による合同演習が実施されたことに抗議し、5月17日に予定されていた南北閣僚級会談の無期限延期を通告しました。この会談は「板門店宣言」を受けた協力事業を論議するはずでした。さらに、この通告があった16日、金桂寛(キム・ケグァン)第一外務次官が談話を発表し、「米国が一方的な非核化を要求するなら、首脳会談の再考もありうる」ことを明らかにしました。金桂寛は長く朝鮮外交を主導してきた人物。こうした朝鮮側の攻勢は、米朝首脳会談の日程と場所が明らかになってからのことで、朝鮮外交の面目躍如ぶりを見た思いでした。ただし、朝鮮の公式メディアは金桂寛談話を取り上げておらず、一定の配慮をしました。米国報道は「朝鮮の非核化」だけを取り上げていますが、朝鮮側は「板門店宣言」にしたがって年内の終戦と平和協定を提案しているはずですし、米朝国交問題も取り上げたと思われます。

<別紙 2>    第53回例会 事務局報告

                福田玲三(事務局)  2018.5.27

1)来信  Y・T氏(兵庫県)より
 週刊金曜日で見ました。『平和に向けて活用したい道徳』とある冊子書名の「道徳」の文字を目にしてさえ、この新学期から教科化(強化?強制化? 歴史的にはまさしく強制化の道を辿って来ています)された「道徳」の方向性にあざとさと危うさとを感じずにはおられない元教員として、ぞわっとした気分になったりもしますが、かつて、現場で、いつも、いつでも、反「日の丸・君が代」を、敢えてひとり孤立無援で、、、、大昔、連帯を求めて孤立を恐れず、と言う親炙されたフレーズが有りましたが、私の日々の学校現場での、孤立の抵抗運動、抵抗の表現は、胸の中で常に無言に、連帯を求めて孤立を恐れず、の思いを反芻しながら、断固として、同時に淡々と行ってきたと振り返ることが出来ます。
なので、現役時、その時々の道徳時間割では、如何に徳目の対極を行く授業を作るか、そういう工夫がいかない場合には、悪いけど、道徳時間割パスという手も使ったりしながら、30年この方をかつかつ過ぎ越してきた、という思いもあります。
そんな抵抗の教員として構える姿勢をつらぬいた(つもりの)当方としてみれば、教科化「道徳」というものに、「完全護憲」という思想的な対置を企図する「完全護憲の会」の問題意識はいたく共感できます。
ということで、本題。週刊金曜日で目にした『平和に向けて活用したい道徳』冊子を、少ない部数で申し訳ないですが、4冊購入したいと思います。
昨日は、二つながら隣国である南北の首脳会談を目にして、かつて教員稼業の最後に辿り着いた夜間中学で、数多くの在日朝鮮人ハルモニ・ハラボジ生徒さん達と過ごした9年間を思い出していました。
 彼らの故地(祖国)と、この国の狭量な政治屋達の虚々実々と言うには歴史の虚々の方が喧伝されやすい、政治空間、言説空間を巡って、生の議論をし、東アジア近現代の歴史を深掘りした日々を振り返っていました。
 昨日の両首脳の映像を見ていたら、ふと老在日生徒さん達の気持ちになって、目の奥に熱いものが通り過ぎました。

2)会員の拡大
 前回以後、会員は1名増加し、逝去者1名で、計66名。

3)岡部さん逝去
 さる4月19日午前2時、岡部太郎共同代表が逝去され、通夜は4月24日18時から京王線幡ケ谷駅近く代々幡斎場で、葬儀は翌25日11時から同斎場でおこなわれた。当会運営・編集委員と事務局員の全員が参列し、在りし日の献身的な指導に感謝の念を捧げた。

4)シリーズ6『朝鮮半島をめぐる情勢――北東アジアの安全と平和のために』(仮題)
 さる4月27日、板門店で行われた南北首脳会談と、6月12日、シンガポールで開催予定の米朝首脳会談への論評を加え、6月末に刊行の予定。

5) 集会の案内
①第13回平和学習会 「コスタリカに学ぶ平和国家の創り方」 【報告者】 楽団ひとり
 軍隊を持たない国、コスタリカに何度も足を運び、政府関係者へのインタビューを重ねるなど、実体験豊富な報告者が、コスタリカの現状と現地の人々の「生の声」をお伝えするとともに、真の平和国家の創り方を参加者とともに考えます。
 6月15日(金)18:30~20:45  【資料代】 200円
 東京ボランティア・市民活動センター(TVAC) A会議室
           (JR飯田橋、セントラルプラザ10階)

②社民党憲法連続講座 第3回 「平和憲法と「緊急事態条項」の危険」
 講師 水島朝穂(早稲田大学法学学術院教授) 
 自民党の改憲案は、緊急時の国会議員の任期延長や、政府への権限集中を規定しようとしています。「緊急事態」を口実に、憲法のルールをなし崩しにする手法は、ナチス政権をはじめ多くの強権体制が悪用してきたものです。安倍改憲を立憲主義の視点から批判します。
 6月20日(水)18:00~ 衆議院第1議員会館 大会議室

③『週刊金曜日』東京南部読者会
 6月22日(金)18:30~20:00 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)

④上映会『コスタリカの奇跡』 
 1948年に軍隊を廃止。軍事予算を社会福祉に充て、国民の幸福度を最大化する道を選んだ国。
 6月28日(木)上映1回目:10:00~ 2回目:18:30~
 お話し:20:00~21:00池川広太さん
 ココネリホール(3階)有楽町線・副都心線・大江戸線・みなとみらい線
           「練馬駅」中央北口から徒歩1分
 参加費:1,000円(18歳未満・学生・障がい者は500円)
 ※予約不要 主催:ねりま九条の会

※お知らせ:下記の集会は主催者身体不調のため延期
 第29回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会 6月15日(金)13:30~16:30
 (予定)安倍晋三を考える/川村茂樹 憲法9条の意味/土取英輝
    私にとっての戦争/福田玲三 通例報告/長坂伝八

当面の日程について
1)第54回例会・勉強会    6月24日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
2)第52回運営・編集委員会  6月27日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
3)第55回例会・勉強会    7月22日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
4)第53回運営・編集委員会  7月25日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ