完全護憲の会ニュースNo.47 2017年11月10日

                <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>

        連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
        電話・FAX 03-3772-5095
        Eメール:kanzengoken@gmail.com
        ホームページ:http://kanzengoken.com/

     目次  第46回例会・勉強会の報告         P.1
         第43回運営・編集委員会の報告(略)    P.1
         別紙 1 政治現況報告          P.2
         別紙 2 事務局報告           P.3
         別紙 3 緊急警告025号
         「小池百合子都知事の改憲発言は許されない」P.4          .

     第46回 例会・勉強の報告

 10月29(日)、港区・専売ビル集会室で開催、参加者5名、会員56名。
司会を草野編集委員長が担当し、まず「政治現況報告」(別紙1)が代読されたのち、「事務局報告」が行われ、これらの報告をめぐり次のような意見が交わされた。
 「若い人の保守化傾向が恐ろしい」「公明党がなぜむきになって立憲民主党批判をするのか理解できない」「だれが民進党分裂の筋書きを作ったのか。策略を巡らしたものがいるに違いない」「自由党の小沢一郎氏ではないか」「いや、小沢氏は野党共闘支持者だ」「「野党共闘が成立していれば自民党を減らせたはずだ」「お父さんが運動していなければ自民党に投票するだろう、と子供に言われた」「自民党支持は必ずしも改憲支持ではない」「労働者は正社員になることに必死だ。労組がないから社会運動の経験もない」「昔は臨時雇用員を正社員にするのが労組の務めだった」「連合は『無所属の会』に期待しているようだ」「社共は立憲民主党にふり飛ばされてしまった」……。
 ついで緊急警告025号「小池百合子都知事の改憲発言は許されない」の検討に入り、「敗戦時に権力者を自力で倒していないことが、護憲運動の甘さにつながっている」「いま、護憲活動をしているさなかに、改憲された後のことにまで言及するのは適当でない」などの意見が出され、さらに修正を加えることとした。
その後、新冊子「教育勅語と子供たち――歴史から見る道徳の教科化」案について、起草者安立きくこ氏から各章にわたって執筆の意図が報告され、12月初旬発行を目途に、この原案を検討する場を設けることとし、第1回を11月12日(日)13:30~と決めた。

     当面の日程について
 1)新パンフレット編集会議 11月12日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ(浜松町)
 2)第47回例会・勉強会  11月26日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 3)第44回運営・編集委員会11月29日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
 4)第48回例会・勉強会  12月24日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 5)第45回運営・編集委員会12月27日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

<別紙 1>
       政治現況報告     2017年10月29日

               岡部太郎(東京新聞元政治部長)

 第48回衆院選挙は10月10日公示、22日投票で行われた。安倍首相の臨時国会召集日の冒頭解散から始まって、いろいろ紆余曲折のある山あり谷ありの選挙だったが、結局は自民党が解散時と同じ284議席の絶対過半数をとって圧勝。29議席の公明党(5議席)とあわせて313議席を得て、憲法改正に必要な310議席を上回った。一方、野党は公示直前に小池都知事の都民ファーストの会が、全国組織「希望の党」を立ち上げたものの、対応がまずく、分裂選挙となり、小党が票を分散させたため、自公に漁夫の利を占められた。
 9月25日に「希望の党」を立ち上げ、自ら代表の地位についた小池氏に対し、民進党の前原代表が党を解党しても全党をあげて希望の党に参加すると表明。8月の都議選での都民ファーストの会で小池ブームを見せられた自民党に緊張が走った。小池ブームが続いていれば、民進党の小選挙区300人近い候補者は確実に戦力になり、自民党は過半数を割り惨敗することになる。私なども一瞬、安倍が破れ、護憲の会も終わりになるか、と思ったほどだ。安倍が冒頭解散に踏み切った唯一の理由は、強敵の希望の党は、まだ十分選挙準備ができておらず、候補者の人数をそろえられないと思っていたからだ。それが民進党との合同となれば話が違う。大希望の党に共産や維新の他の野党が協力、安倍に対する大野党連合が成立すれば、これ以上の強敵はない。
 しかし、この心配も僅か3日ほどで、相手のミスで霧消する。こともあろうに小池都知事が、新党について「革新的保守」と規定した上に、新党参加の条件は①安保二法の賛成、②憲法改正に賛成すること――とし、「これに合わない民進党議員は排除する」と断言した。
 ただでさえ、時の政権にタテついて、政権を狙うものは、反対勢力の全てを糾合しなければ勝てないのは常識。味方の一部を敵に回すなど、おごり以上の何ものでもない。
 小池都知事はかねてからアメリカの二大保守党(民主と共和)が交代で政権を担うのが理想としていたという。しかし大統領制で、議会と対立しているアメリカと議院内閣制で政府と首相があり、保守・革新と別れるのが普通のイギリスや日本と同じわけがない。ましてや日本も英国も島国で、黒白をつけたい性格をもっている。
 選挙民はこの小池の“排除発言”に、独裁的な面を感じ、日本の希望を託すわけにはいかない、とアッという間に冷めてしまった。小池ブームは去った。そして希望の党をシャット・アウトされた民進党のリベラル議員は枝野氏を代表に「立憲民主党」を急遽設立。13人の現職(小選挙区)を中心に選挙を闘った。その結果、200人以上を公認した希望の党は50人当選で野党の第二党に。立憲民主党は有権者の同情票を得て、現有勢力の3倍以上の票を集めて55人当選の野党第1党へ。野党共闘の思惑の狂った共産党は公示前の21人から12人と敗退。維新の党も橋下前大阪市長が党をやめたため、14人の現職が10人に減った。社民は同じ2人。民進党は希望へも立憲へも行けない野田元首相、岡田元党代表など大物が21人も無所属で出馬、18人が当選した。無所属当選者の総数は22人。三つに別れた民進党は今後の国会で野党再編に向けて動き出すだろう。
 ただ問題は投票率が非常に悪く、53・68%。前回に続いて二番目に悪く、特に心配なのは選挙権をもらった18歳が50・74%、19歳に至っては、何と32・34%だった。国民の半分が選挙に行かないことは、日本にまだ民主主義が定着せず、特に若年層が悪いのは、中・高校からの政治教育、選挙教育が絶対に必要になる。
 また、ほとんどの選挙区で2、3の野党の票を合計すると、自民党を上回るなど、小選挙区と野党協力のあり方についても再考したい。
 国会は11月1日、特別国会を召集、安倍首相が再任されるが、11月5日には、トランプ米大統領が初来日するなど、政局が動き出す。

<別紙 2>
      第46例会 事務局報告

                福田玲三(事務局)2017.10.29
1)来信
 29日はちょうど、横浜市学童保育の市政からの補助を訴える署名活動を桜木町で行ない、こちらの出席が叶いません。残念です!
 しかしながら、いまどきの高校三年生は、投票は多くが自民党、なんとなれば、「安部でないと、ぐちゃぐちゃになりそう」「トランプと仲良くできなくなりそう」「政治はニガテ」だそうです。
 東大に毎年30-40人送り込む進学校で、この様相です。(そういえばどこかの週刊誌に、「東大生は自民支持」と報道が有りました)有る意味彼らも「既得権益層」なのでしょうか。お父さんが一部上場企業の部長であったり、自らも官僚を希望していたり。
 広島出身の私としては、改憲、原発再稼動だけで、ガックリします。
 また皆様にお会いできますことを、心待ちにしております!   (神奈川県・H)

2)「安倍9条改憲NO!」3000万人署名始動
 「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」の呼びかけによる署名の第1次集約は12月20日、第2次集約は4月25日、第3次集約は5月末になっています。
 現在までに佐賀県、愛知県、埼玉県、都内から各1通(いずれも5筆)届いています。
 来る11月3日(金・休日、憲法公布記念日)には国会議事堂周辺(14:00スタート、15:30終了)で10万人規模の集会を開き、全国で100万人の参加を呼び掛けています。ご協力ください。
 当会は「署名取り扱い団体」に当会の名前を入れた署名用紙を用意しています。

3)第46回例会・勉強会の延期、会場の変更
 当初予定の10月22日が重要な選挙の投票日となったため、急遽29日に延期し、会場を変更しました。変更の案内はニュース第46号で行いました。

4)集会の案内
① 第10回平和学習会――「『ナチスの手口』を学べ~世界最先端の憲法を『ナチス』の魔手から守るために~」(仮題)
  報告:王道貫 氏
  2018年1月13日(土) 13:30~16:30  資料代:200円
  東京ボランティア市民活動センター 会議室B (JR飯田橋駅隣・セントラルプラザ)
② 第24回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会
   ――控訴完了:憲法前文「排除」が意味するもの――
   11月17日(金) 13:30~16:30 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩4分) D室
   参加費:200円
③ 『週刊金曜日』東京南部読者会
  11月24日(金) 18:30~20:30 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)

<別紙 3>

 緊急警告025号 小池百合子都知事の改憲発言は許されない(10月17日)

 小池百合子・東京都知事はさる9月25日、都庁で臨時記者会見を開き、「希望の党」代表に自らが就く考えを示し、目指す政策に、憲法改正、情報公開の徹底、議員の定数や報酬の削減、原発ゼロなどをかかげた。
 4日後の9月29日、小池都知事は「希望の党」代表として記者会見を行い、安全保障や改憲で考え方が一致しない民進党離党者が、衆院選で党の公認を申請してきても「排除する」と明言した。
 さらに小池都知事は、9月30日、大阪市内で、松井一郎・大阪府知事、大村秀章・愛知県知事と会談し、改憲や脱原発などを柱とする共通政策を打ち出した。
 その小池氏は、2016年に衆院議員から都知事に転身する以前から一貫して改憲を主張している。2000年の衆院憲法調査会で小池氏は、占領下で生まれた憲法が武力行使を制約し「日本をがんじがらめにしている」と主張、「現行憲法を廃止し新しいものを作る、て・に・を・はを変えるというような議論では間に合わない」と語り、参考人として出席していた石原慎太郎都知事(当時)の現憲法廃止論に呼応した。ここに小池都知事の本心がある。
だが、公務員には憲法尊重擁護義務があり、この義務に違反する改憲発言は許されない。その趣旨の改憲発言をするなら職を辞してからするべきだ。
 閣僚の改憲発言は1999年まで辞任を招いていた(中村正三郎法相の場合)。2012年、石原慎太郎都知事はワシントンの記者会見で占領下制定憲法の無効破棄をとなえ、ついで都議会本会議で、その趣旨を再び言明した。安倍首相は、同じ2012年衆院選のさい、現憲法を「みっともない」とまでけなした。これらの憲法軽視の姿勢に習い、地方公務員のトップクラスである小池東京都知事、松井大阪府知事、大村愛知県知事まで公然と改憲を主張し、しかもマスコミをはじめ世論は、そこに今は何の抗議もしていない。
 内外2000万人の犠牲を生んだ侵略戦争に敗北した代償として、現憲法は当時世界で最も進んだ民主的潮流(日本の進歩的伝統を含む)から日本国民に授けられた。その頃の日本国民にとって夢のような民主的・平和的憲法を国民は歓呼して迎えた。ここに甘さがあった。流血によって憲法を獲得した諸国民の厳しさを欠いた。
 憲法尊重・擁護義務のある公務員が、憲法廃止発言を公言すれば、諸外国ではどうなるだろうか。弾劾を受け、即座にその職を失うだろう。日本では憲法誕生のいきさつから、当時やむを得ず現憲法を受け入れた一部の支配層が、いま「占領軍によって強制された憲法だ」と発言すれば、一瞬とまどう弱さを私たち国民は持っている。国家公務員のトップ、地方公務員のトップクラスが廃憲発言を公然と行い、黙認されるところに国民のその当時の甘さが尾を引いている。
 こうした改憲攻撃に対する長期の苦闘を経験するなかで、はじめて現憲法は真に私たちのものとなり、国民のこの至宝への愛着が広がるだろう。憲法は教えている。「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によってこれを保持しなければならない」(第12条)と。
 かれら権力者が現憲法を敵視するのは、現憲法の理念がかれらの言動を拘束するからだ。だからこそ、なおさら主権者国民は、彼らの憲法軽視を厳しくとがめ、憲法の尊重・擁護義務を果たさせることが強く求められる。

完全護憲の会ニュース№46 2017年10月10日

                         <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>

            連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
            電話・FAX 03-3772-5095
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◎注意! 10月例会・勉強会の日取りと会場を変更しました。
(10月22日が衆院選投票日になったため1週間延期 ⇒参照「当面の日程について」)

    目次   第45回例会・勉強会の報告       P1
         第42回運営・編集委員会の報告(略)  P2
         別紙 1 政治現況報告        P2
         別紙 2 事務局報告         P3
         <別添> 訴追請求状         P6
         別紙 3 緊急警告022号(確定)    P10
         別紙 4 緊急警告023号       P11  

     第45回 例会・勉強会の報告

 9月24(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で開催、参加者9名、会員56名。
 司会を草野編集委員長が担当し、まず「政治現況報告」(別紙1)が代読されたのち、「事務局報告」が行われ、これらの報告をめぐり次のような意見が交わされた。
 「民進党から離党者が続出している現状では、共産党に票が行くだろうか。でも共産党にアレルギーのある人もいる。民進党は決定的にダメなところまで行って折り返す以外ににない」「小池都知事は就任以来何もしていない。学校の敷地内の全面禁煙は恐ろしいことだ。どこかに抜道を作らねば」「安倍の用意している国会冒頭解散は追いつめられての逃げだ。だが、票が小池新党に流れても、安倍政権の弱体化につながるだろうか」「前原民進党は小池新党に合流するのではないか、今のままでは民進党は消滅にむかう」「共産党は党首の交代がないので、信用が置けない」「安倍を支持しなくても、地元の自民党候補は支持する人がいる。生活密着型で票を集めている」「TV5チャンネルで首相の国会解散を違憲だと批判していた」「林文科大臣は『首相大権』と言っていた(笑)」「北朝鮮対策で安倍首相は『対話に意味はない、圧力あるのみ』と言っている」「イージス艦2隻2800億円を買って、拉致問題をトランプ大統領に言及してもらった」「戦争をさせないことをスローガンにすべきだ」「迷ったときには慣れた方に行く。自民党依存症だ。憲法は埃をかぶっている。情報の中から真実をつかむ努力が必要だ」「1票の格差で最高裁は『違憲状態にある』と言っている。『状態にある』というのは、専門家の判断でない場合の用語だ。つまり最高裁判事はプロでないことを自認している。罷免に値する」「米国と自民党が組んでいる限り、現状は打破できない。日米合同委員会の密約を鳩山由紀夫元首相は知らなかったと言っている。安倍首相は密約を知っており、これを国会の上位に置いている」「安倍首相は自衛隊を国会で称揚した。憲法上、公務員に差をつけられるのか。消防や警察はどうなるのか」「事務局報告で紹介された珍道世直氏の取り組み(上告を棄却した最高裁第1小法廷の判事全員の罷免を求める訴追請求)はすばらしい」……
ついで緊急警告022号「自衛隊明記は口実、9条全面改悪の突破口とするもの」の検討に入り、自衛隊に対する「国民の信頼は9割を超え」という安倍首相の言葉を無批判に引用すべきではない、文末の「緊急事態条項」などへの言及は、この際不用だ、との意見が出された。
 あわせて行われた緊急警告024号「首相は国会解散の権限を持たない」の検討では、「閣議決定・安全法制」が「閣議決定・安保法制」に字句修正された。
 そのあと、勉強会に移り年末に刊行予定の新冊子『道徳の教科化と教育基本法』(仮題)について執筆者の安立きくこ氏より、予定目次全体について報告があり、10月の勉強会で本文の検討を行うことになった。

当面の日程について
 1)第46回例会・勉強会 10月29日(日)13:30~16:30 専売ビル8階 会議室2
(港区芝5-26-30 地下鉄三田駅出口A3歩3分 JR田町駅西口 歩5分 三田図書館裏)
 2)第43回運営・編集委員会11月 1日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
 3)第47回例会・勉強会  11月26日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 4)第44回運営・編集委員会11月29日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

<別紙 1>
          政治現況報告      2017年9月24日
                岡部太郎(東京新聞元政治部長)

 8月初めに内閣改造をしながら、野党の要求する臨時国会に応じなかった安倍自民党が9月28日にこれを召集すると決めた途端に、あっと云う間に冒頭解散、10月22日総選挙の日程が固まってしまった。一天にわかにかき曇りが政界の常とは云いながら、この急変は何か。私が先月指摘したように、9月1日、民進党は委員長選挙で執行部が決まったばかりで、選挙の準備が全く整っていない。さらに8月2日の都議選で東京都議会第一党に躍進し、国政選挙にも野望を持つ、小池都知事の新党もまだ出来ていない。誰が見ても解散の絶好のチャンスだが、問題は自民党と安倍首相の強引な政局運営に対する反発と不人気だった。
8月の新聞各紙の世論調査で、安倍内閣の支持率は、軒並み前月より10ポイント近くマイナスの35%ぐらいに急落。もちろん不支持率も増えて、理由も「安倍首相が信頼できない」と云うのがトップだった。
 このままでは、総選挙をやっても勝利はおぼつかないし、最悪惨敗のケースもある。全ては国民の支持率の回復にかかっている、との見方があった。日本人は昔から物忘れが激しい。これは地震や台風が毎年忘れずにやって来て、悔やんでも始まらぬ、忘れようとのあきらめが強いからだ。9月の世論調査の結果は前ほどではないが、みな40%台へ支持率が回復した。これなら仮に衆議院の3分の2は確保できなくても、自民・公明の与党で過半数は確実に取れる。もちろん臨時国会で審議をすれば、安倍首相の加計学園の獣医学部問題、大阪の森友学園のスキャンダルで、再び野党の追及を受け窮地に陥ることも考えられる。解散でこのさい一挙にゼロにしてしまうと云う思惑もある。まさに「今なら勝てる」。
 首相は国連総会で「北朝鮮追討」の大演説とトランプ米大統領などとの会談を終えて22日帰国したあと解散、総選挙の日程を正式決定。25日には記者会見を開いて、ここで総選挙を実施する意味について国民に語る。
 これに対して野党側はどうか。野党第一党の民進党は9月1日の全党員選挙で前原誠司元外相と枝野幸男元官房長官が一騎打ちの結果、下馬評通り前原氏が圧勝した。(502ポイント332ポイント)
 前原氏は新執行部の目玉として当選2回の山尾志桜里元政調会長を幹事長に据えるつもりだったが、こともあろうに山尾氏が「週刊新潮」で若手弁護士との不倫をスクープされ、直ちに離党してしまった。スタートでの大失態で、幹事長は自派の大島敦氏に差し換えたが、前途多難。また細野豪志氏ら離党者も相次いでいる。前原氏は枝野氏とちがい、共産党などとの選挙協力に慎重な立場だが、急な解散・総選挙で孤立し、かつての社会党のように惨敗消滅の悲劇になる可能性もある。まさに前原氏にも民進党にとっても存亡の時と云える。野党共闘以外に助かる道はないのが現実だ。
 一方、小池都知事は若狭勝衆議院議員に都民ファーストの全国版、国民ファーストの会の設立を依頼。若狭氏は民進党を離党した細野氏らと緊密な連絡を取り合い、三者会談も11日に実現した。新党の設立を27日にも予定し、党名、綱領、政策、選挙公約などの調整に入っている。ただ今月の16日に政治塾を開校したばかりで、新人立候補者の擁立もかんたんに行きそうもない。全部で何人ぐらい公認できるかで、新党の先行きが決まりそうだ。ただ世論調査では、民進党よりはるかに政党支持なし層では支持率が高く、場合によっては一波乱ありそう。またどこと選挙協力するかも関心の的で、民進党とでもあれば一挙に政界再編へ動き出そう。ただ新党側が、民進党と提携する気はなさそうだ。また小池都知事を新党の総裁とする、東京の全選挙区に候補者を立てるなどの案もある。
 安倍首相は解散の大義として、2019年秋までに延期している消費増税を持ち出し、増税分を教育無償化と社会保障に宛てることを打ち出しており、公示と同時に各党の選挙公約が競い合う。果たしてどの政党が、国民のふり向く政策を発表できるだろうか。

<別紙 2>
         第45回例会 事務局報告     
              福田玲三(事務局)2017. 9.24

1)来信
 私の訴訟につきましては、今日まで格別の御厚情と御支援にあずかり心から感謝いたしております。
ご承知のように、『集団的自衛権の行使を容認する「閣議決定・安全保障法制」は、憲法第9条に違反する』として上告していた「閣議決定・安保法制違憲訴訟(事件名 憲法違反及び無効確認等請求上告事件)」につきましては、去る平成29年6月29日、「本件上告を棄却する」との「最高裁決定」が下されました。
 これをもって、私の裁判闘争は終了したと思っておりましたが、どう考えても、本件「最高裁決定」には承服できない為、この度、「最高裁判所裁判官の罷免の訴追請求」をすることといたしました。
 本件「最高裁決定」を下した最高裁判所第一小法廷裁判官全員(5人)は、「職務上の義務に著しく違反するとともに職務を甚だしく怠った(裁判官弾劾法第二条 弾劾による罷免の事由)」として、憲法第15条(公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である)の条規に基づき、罷免の訴追を求める「訴追請求状」を「裁判官訴追委員会」に本日8月22日提出いたしました。       

「訴追請求の事由」は、主に次のとおりです。
① 最高裁決定による「棄却の理由」には、「食違い」と「瑕疵」があり、「棄却の理由」は失当である。
② 訴追を求める裁判官は、裁判官としての職責を放棄するとともに憲法の条規に違背している。

 別添のとおり「訴追請求状」(別添)をお届けいたしますので、お目通し賜れば幸いに存じます。
 このことが、裁判官に「憲法の条規に違背すれば、その存在の根拠を失う」ことを警鐘するともに、司法改革のはじまりとなればと切望して、空しいことかもしれませんが行動をおこしました。
 どうか、今後ともよろしくお願いいたします。                                   
                      珍道世直

2)「安倍9条改憲NO!」3000万人署名始動
 「安倍9条改憲NO!全国市民アクション」のキックオフ集会が9月8日に東京都中野区で開かれ、約1500人が参加した。
 結成主旨では、安倍首相が5月3日に表明した9条改憲案――1項と2項を残しつつ自衛隊を明文で書き込み、2020年に施行する――に対し、「戦争法」を合憲化し戦争への道をさらに進めることになる、と強く批判した。
 具体的な行動として、「安倍9条改憲NO! 憲法を生かす全国統一署名」に取り組み、来年の5月3日までに3000万人分の獲得を目指す。(連絡先:1000人委員会03-3526-2920、壊すな!実行委員会03-3221-4668、憲法共同センター03-5842-5611)
 今年11月3日には国会前で10万人規模の集会を開き、全国で100万人の参加を呼び掛ける。
 当会は「署名取り扱い団体」に当会の名前を入れた署名用紙を例会向けに用意した。

3)衆院憲法審、欧州視察概要メモ
 衆院憲法審査会の議員団(与野党7人)が欧州3か国を視察し概要メモをまとめた。自民党内で議論されている9条改憲について、英国の議員は「理解できない。60年も現行憲法の解釈でやってきたのだから、そのままのことを認めるだけの改正など、わざわざ行う必要はないのではないか」と話した。
 イタリアの議員は「憲法のような基本ルールを定める場合は、共通認識を醸成する努力をすべきだ」と助言した。(「東京新聞」9月15日付け朝刊)

4)集会の案内(レイバーネット全国イベントカレンダー:http://www.labornetjp.org/EventItem)
1 第9回平和学習会――報告:王道貫氏「今、日清・日露戦争を考える意味」
  11月4日(土) 13:30~16:30 資料代:200円
  東京ボランティア市民活動センター 会議室C (JR飯田橋駅隣・セントラルプラザ)
2 第23回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会――控訴(9月4日)について
  10月20日(金) 13:30~16:30 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分) 参加費:200円
3 『週刊金曜日』東京南部読者会
  10月27日(金)18:30~20:30 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)

5)新冊子目次

一 はじめに―――耳目を集めた道徳と教育勅語
二 教育基本法と憲法
 1 教育勅語から教育基本法への転換
 2 旧法から新法へ
 3 修身と国定教科書
三 教育基本法改正に至る過程
 1 内閣による改正への取り組み
 2 教育基本法改正の理由
 3 財界の要請
 4 政界の要請
 5 中央教育審議会答申
 6 関連法の改正
四 学習指導要領
1 小学校学習指導要領
2 これまでの道徳
五 道徳の教科化
 1 考える力と愛国心 (文部科学省による解説から)
 2 わだつみのこえから考える教育と愛国心
ⅰ 愛国心に向き合う
ⅱ 愛国と個人
ⅲ 愛国と自由の抑圧
ⅳ 教育のさらされた実情
ⅴ いじめによる人間性の粉砕
ⅵ 軍隊における教育
3 道徳の授業と愛国心
六 教育勅語の時代
 1 文部省と徴兵制
 2 大日本帝国憲法と教育勅語
 3 教育勅語
ⅰ 失効した教育勅語
ⅱ 問題視された勅語の内容
ⅲ 儒教思想による成り立ち
 4 日清戦争
 5 徴兵制
 6 地方改良運動と青年会
 7 関東大震災  
 8 第二次大戦期の教育を取り巻く環境
 9 わだつみと大戦末期
10 植民地における教育
七 勅語の時代を生き抜いた人々
 1 むのたけじ
 2 山口 彊
 3 大島孝一
八 戦争とメディア
九 これからの展望

<別添> 訴 追 請 求 状
                    平成29年8月22日

裁判官訴追委員会 御中
訴追請求人
(住所)514-0823 三重県津市半田1209番地22
(氏名)珍道世直(ちんどうときなお)
(電話)■■■■■■■■

 下記の裁判官について弾劾による罷免の事由があると思われるので、罷免の訴追を求める。

               記
1 罷免の訴追を求める裁判官
  (所属裁判所) 最高裁判所 
  (裁判官の氏名) 木 澤 克 之
池 上 政 幸
大 谷 直 人
小 池   裕
山 口   厚

2 訴追請求の事由
(1)裁判所、事件番号、当事者
  最高裁判所第一小法廷
  平成29年(オ)第489号 憲法違反及び無効確認等請求上告事件
  (原審・名古屋高等裁判所 平成28年(ネ)第722号)
  
三重県津市半田1209番地22 
   上告人 珍 道 世 直 
大阪府大阪市北区西天満6丁目7番4号大阪弁護士ビル6階606号
上告人訴訟代理人弁護士代表 辻  公 雄 ほか
  
  東京都千代田区霞が関1丁目1番1号
   被上告人(被控訴人) 国
   同代表者 法務大臣 金 田 勝 年
   同指定代理人    前 田 和 樹

(2)審理経過
 ①第一審 津地方裁判所
提訴日 平成27年11月16日
請求の趣旨
1.「集団的自衛権」の行使を容認・法定した「閣議決定(憲法第9条の下で許容される自衛の措置)」及び「安全保障法制(武力攻撃・存立危機事態法、自衛隊法等)」は、憲法第9条に違反する決定或は法制であり、無効であることの確認を求める。
2.「重要影響事態法」による「後方支援」、「国際平和支援法」による「協力支援」のうち、「軍事支援」については、憲法第9条に違反する支援であり、無効であることの確認を求める。
3.損害賠償請求 「閣議決定」及び「安全保障法制」によって原告は身体的・精神的苦痛を被り、憲法に規定する平和的生存権など諸権利が侵害されたので、国家賠償法第1条の規定に基づき、金10万円の損害賠償を請求する。

判決日 平成28年7月21日 1.2. 却下、 3. 棄却
 
 ②控訴審 名古屋高等裁判所
控訴日 平成28年7月29日
判決日 平成28年12月22日 1.2.3. 棄却

 ③上告審 最高裁判所(第一小法廷)
・上告日 平成29年1月4日、名古屋高等裁判所を通じ上告
・「上告提起通知書」 平成29年1月6日付、名古屋高等裁判所民事第3部より上告人宛送達
・「記録到着通知書」平成29年3月29日付、最高裁判所第一小法廷より上告人宛送達
・決定日 平成29年6月29日、最高裁判所第一小法廷より「調書(決定)」が上告人宛送達

 「調書(決定)の内容」
  裁判官全員一致の意見で、次のとおり決定。
 第1 主文
1 本件上告を棄却する。
2 上告費用は上告人の負担とする。
 第2 理由
 民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は、違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。
          
(3)請求の事由

 ① 最高裁決定による「棄却の理由」には、「食違い」と「瑕疵」があり、「棄却の理由」は失当である。

 ・「棄却の理由」として、「民事事件について最高裁判所に上告をすることが許されるのは民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られるところ、本件上告の理由は、違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、明らかに上記各項に規定する事由に該当しない。」としているが、本件上告は、上告状・上告理由書のとおり、「集団的自衛権の行使を容認する閣議決定・安全保障法制は一見極めて明白に違憲無効であると認められるもの」として上告しており、どこが違憲か、その内容を、閣議決定・安全保障法制の具体的条規等を示して訴えている。
 「法令違反を主張するもの」では全くない。

 「上告することが許されるのは、民訴法312条1項又は2項所定の場合に限られる」としているが、上告人は、民訴法312条1項の「憲法の違反があることを理由」として上告している。
 民訴法312条2項に「判決に理由を付せず、又は理由に食違いがある」とき上告することが出来るとされているが、正に最高裁決定の「理由」には、上告人の上告の理由と「食違いがある」。

 また、決定の「棄却の理由」の中に、「その実質は事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって、」としているが、「又は」の接続詞は、「新選国語辞典 新版 金田一京助ら編 小学館」によれば、『「又は」は前のことと、後のことのどちらかを選ぶかの意味をあらわす。「あるいは」「もしくは」は、同じように用いられる。』とされている。
 「棄却の理由」に、「又」ではなく(同辞典によると、『「又」は前の事がらにつけ加えたり、ならべあげる意味では、もっとも一般的に使われる。』とされている)、「又は」とされており、「事実誤認又は単なる法令違反を主張するものであって」ということは、「事実誤認」あるいは、もしくは、「単なる法令違反」と訳すべきであって、「棄却の理由」が、“どちらか”として、はっきり位置づけられていない。
 このような曖昧な「棄却の理由」はあってはならず、最高裁決定として瑕疵がある。
 最高裁決定による「棄却の理由」は、正に失当である。
 仮に、「法令違反の主張」というのなら、その内容を明示すべきであり、又、「事実誤認」というのなら、何をもって「事実誤認」というのか、その内容を明らかにすべきである。訴追を求める裁判官は「説明責任」を果すべきであるが、その責任を放棄している。

 ② 訴追を求める裁判官は、裁判官としての職責を放棄するとともに憲法の条規に違背している。

 国是(集団的自衛権の禁止・専守防衛)の大転換をもたらす本件「閣議決定」「安全保障法制」について、国会の内外・国民の間に「違憲」「合憲」が対立して国家的大問題となっている時、本件「違憲訴訟」に対し、最高裁判所から「記録到着通知書」(平成29年3月29日付)が上告人に送達されてから、6月29日までのわずか3カ月で「決定」を下すことについても、実体判断がなされる場合の通常の手順では短かすぎ、最高裁判所は充分な審査をしたとは到底考えられない。その証左が、先に述べた訴追を求める裁判官による失当な「棄却の理由」である。5人の「裁判官全員一致の意見」とされているが、このような失当な「棄却の理由」に誰一人異見を吐くものがいないとすれば、正に、裁判官の職責の放棄である。

    訴追を求める裁判官は憲法の次の条規に違背している。

ア. 訴追を求める裁判官は、憲法第76条(裁判官の独立)「すべて裁判官は、良心に従ひ独立して職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される」という憲法の条規に従って最高裁決定を成すべきである。
 上告人は、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定・安全保障法制は、憲法第9条に違反するとして、上告理由書(全72頁)で提起している。訴追を求める裁判官は、本件事件について、特に「憲法第9条に拘束」されて、憲法適合性を審査すべきである。
 訴追を求める裁判官は、憲法第76条に違背している。
 ・憲法第76条(司法権・裁判所、裁判官の独立)
①すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。
②(略)
③すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。
 
イ. 訴追を求める裁判官は、憲法第98条(最高法規)の条規に かなうよう憲法第81条(法令審査権と最高裁判所)に基づき憲法適合性を審査すべきである。
 裁判所は、憲法の条規により「一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する」とされており、司法裁判所型違憲審査制(付随的違憲審査制)のみならず、憲法裁判所型違憲審査制(抽象的違憲審査制)を含め一切の憲法判断を行う権限が与えられている。
 同時に、裁判所の「裁判」する権限は、憲法第32条 国民の「裁判所において裁判を受ける権利」と表裏の関係にあり、国民の訴えに応えて、これをすべき職責を負っている。
 
・ 失当な「棄却の理由」によって、本件上告が「棄却」されたため、「当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争ではない」として「却下・棄却」した津地方裁判所・名古屋高等裁判所の判決が確定することになった。
 上告人は、失当な「棄却の理由」による最高裁決定によって、憲法第32条の「裁判(上告審)を受ける権利」が奪われた。訴追を求める裁判官は、憲法第32条に違背している。
   
・ 上告人は、本件上告理由書において、最高裁判所に対し、『上告人の「具体的争訟性」を認定、もしくは「警察予備隊違憲訴訟に係る昭和27年最高裁大法廷判決」の判例を変更して、「憲法適合性」を審査されたい。』として訴えてきた。
 裁判所は今日まで、警察予備隊違憲訴訟に係る昭和27年10月8日最高裁大法廷判決に基づき、「裁判所は、具体的事件を離れて抽象的に法律命令などの合憲性を判断する権限を有するものではない」(具体的争訟性がなければ裁判の対象とならない)として、裁判所の実務において、「付随的違憲審査制」がとられ、憲法裁判の大部分が「具体的争訟性」がないとして却下、棄却されてきた。
 「具体的争訟性」については、先に挙げた憲法及び法律(裁判所法)に条規されていない。警察予備隊違憲訴訟に係る最高裁大法廷判決の判例が、憲法及び法律の上位に位置づけられ、以来64年間、当該判例が踏襲されてきた。
 これは法理の逆転であり、憲法に違背する。
 裁判所は、この法理の逆転を正し、憲法の条規に基づき、裁判所の実務において、抽象的違憲審査制の行使に取組むべきである。

 国民のニーズと時代の要請に応えるとともに、違憲審査の国際的動向を踏まえ、
司法裁判所型違憲審査制<付随的違憲審査制>をとるアメリカにおいても、イスラム圏からの6カ国入国禁止大統領令に対し、具体的事件が生じる前に、抽象的違憲審査制を行使して、違憲を宣言し、執行を一時差止める命令を出している。

 「最高裁の判例変更」(法理の逆転を正すこと)の出来る立場にある最高裁判所こそが、今この時に、「違憲立法審査権」を行使して「憲法適合性」を審査すべきである。
 本件「違憲訴訟」について、上告を棄却し、「憲法適合性」を審査されない決定を下されたことは、正に、「違憲立法審査権」を放棄したに等しい。
 憲法第98条(最高法規)の条規にかなうよう憲法第81条(法令審査権と最高裁判所)に基づき憲法適合性を審査すべきである。
 訴追を求める裁判官は、憲法第81条、第98条の条規に違背している。

・憲法第32条(裁判を受ける権利)何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

・憲法第81条(法令審査権と最高裁判所)最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

・憲法第98条(最高法規)この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。

・裁判所法第3条(裁判所の権限)裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。

ウ. 裁判官は憲法第99条の条規に基づき、憲法尊重擁護の義務を負う。
 裁判官の持つ力の源泉は憲法を尊重し、これを実践することにある。
 裁判官が憲法の条規に違背すれば、その存在の根拠を失う。
 訴追を求める裁判官は、憲法第99条の条規に違背している。
     ・憲法第99条(憲法尊重擁護の義務)天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
       
 以上の事由のとおり、訴追を求める裁判官は、職務上の義務に著しく違反するとともに職務を甚だしく怠っており、罷免の訴追を求める。
 「三審制」の中で、更なる審査を求めることが出来ないので、裁判官訴追委員会において審査され、訴追されたい。
                       (本文 以上)

<別紙 3>

緊急警告022号 自衛隊明記は口実、9条全面改悪の突破口とするもの
 (追加修正2017年9月28日)

 5月3日の憲法記念日、安倍首相は日本会議が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の改憲集会にビデオメッセージを寄せ、憲法9条に関して「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む、という考え方、これは国民的な議論に値する」「夏季のオリンピック・パラリンピックが開催される2020年を……新しい憲法が施行される年にしたい」とのべ、具体的改憲項目として、憲法9条改憲に踏み込んだ提起を行った。(憲法尊重擁護義務を負う首相がこのような改憲提起を行うこと自体の違憲性については緊急警告021号で指摘。安倍首相と安倍自民党総裁は不離一体であり、改憲提起に関する限り使い分けはできない。)
 これは9条3項に自衛隊を明記する加憲論として論じられているが、一部報道によれば、自民党は安倍首相の提起を受けて9条現行条文を維持したまま、新たに「9条の2」の別条を設け、ここに自衛隊を明記する方向で検討に入ったとのことである。
 「9条3項」加憲にせよ、「9条の2」加憲にせよ、具体的に案文が示されたわけではないので案文に沿った検討はできないが、いきなり本丸の9条改憲に手を付けてくることはないだろうとの大方の予想に反しての、安倍首相ならではの極めて危険な「クセダマ」である。案文が示されてからでは遅いので、その危険性について警告を発しておかなければならない。
 安倍首相はビデオメッセージで「例えば憲法9条です。今日、災害救助を含め命懸けで、24時間365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊の姿に対して、国民の信頼は9割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が今なお存在しています。『自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ』というのは、あまりにも無責任です。
 私は、少なくとも私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきであると考えます。」と述べた。
 このメッセージは、自衛隊に対する国民の信頼が「9割を超えている」(内閣府調査、2015年1月)という現状を踏まえた、自衛隊を合憲と考えている多くの国民(9条護憲派も含めた)の心に届く言葉である。
 これまでのところ、安倍首相の自衛隊明記改憲についての世論は「9条をいじるべきではない」とする国民の根強い反対もあって、「朝日」が賛成41%、反対44%、「毎日」賛成28%、反対31%、32%(わからない)、と賛否拮抗しているが、「読売」賛成53%、反対35%、「時事通信」賛成52%、反対35%と過半数が自衛隊明記賛成となっている。
 しかしこのままでは、具体的に改憲文案が提示され、大々的なキャンペーンが行われるならば、国民投票において賛成多数となる可能性は大きいと見ておかなければならない。
 それゆえ、この自衛隊明記の安倍9条改憲に賛成する国民の選択は極めて危険な間違った選択になるということを訴えたい。
 その理由の第一は、安倍9条改憲「自衛隊明記」は単なる口実であり、憲法9条全面改悪の突破口に過ぎないからである。自民党改憲草案に明記されているように、現行9条2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これをみとめない。」を全文削除し、自衛隊を軍隊としての「国防軍」(「草案」第九条の二)とするための突破口なのである。自衛隊を大切に思う国民の自衛隊明記の選択が、自衛隊とは異なる「国防軍」という軍隊を選択することになるのである。
 第二は、これはこれまでの自衛隊(集団的自衛権行使を容認した安保法制成立以前の)を合憲と考える大多数の国民の見解に立っての立論であるが、現行憲法第9条に明記されようとしている自衛隊は、安倍内閣によって集団的自衛権容認の7・1閣議決定がなされ、安保法制強行成立によって集団的自衛権行使を付与された自衛隊なのである。「専守防衛」の「戦力」ではないとされた自衛隊であることによって、かろうじて維持されてきた「合憲
の自衛隊が、あらためて憲法違反の自衛隊となってしまったのである。このあらためて憲法違反となってしまった自衛隊を9条3項として(あるいは九条の二として)書き加えることなど不可能なことである。
 何故ならそれは、「専守防衛」を破り集団的自衛権行使によって他国の戦争にまで参加する自衛隊は、明白に現行9条1項(戦争の放棄)、2項(戦力及び交戦権の否認)と対立し、相反するからである。
 第三は、しかし論理の矛盾など意に介さない安倍政権はこれを強引に遂行するであろう。その時、現行憲法9条1項、2項は完全に無効化され、憲法に明記された集団的自衛権行使の「自衛隊」が独り歩きを開始することになる。
 独り歩きを開始した「自衛隊」は、「集団的自衛権」行使の戦争参加により限りなく軍隊としての性格を強め、軍隊としての扱いを要求してくる。結果は第二、第三の9条改憲をもたらし、自民党改憲草案がめざす「国防軍」に行き着く。
 第四は、「集団的自衛権」行使容認の安保法制が成立させられ、南スーダンに派遣された自衛隊に「駆けつけ警護」が付与されたことなどによってその兆候が現れはじめたのであるが、ひとたび「集団的自衛権」行使の戦争参加が行われるならば、「自衛隊」に応募する青年は激減する可能性がある。その結果もたらされるのは「徴兵制」である。
 第五は、「自衛隊」が「集団的自衛権」行使によって他国の戦争にまで参加するということは、国内が戦争体制下となるということなのであり、その結果、国民の基本的人権がさらに制約され、自由と民主主義が失われるということである。
 すでに安倍政権下で教育基本法改悪、盗聴法改悪、特定秘密保護法制定、安保関連法制定、「共謀罪」制定と、国民の基本的人権を制約する悪法が次々と成立させられてきたが、すべてはこの戦争体制構築のためと言わなければならない。そして今また、「大規模な自然災害」への対処を口実とした「緊急事態条項」(自民党改憲草案第98条、99条)の制定が着手されようとしている。これはナチスが全権を掌握した「全権委任法」と同質のもので、国民の自由と民主主義を圧殺し、政権の独裁を招くものである。

<別紙 4>

緊急警告023号 またしても臨時国会召集要求無視の憲法違反!
      (9月2日)

 憲法第53条は、衆参いずれか4分の1以上の議員が要求すれば、内閣は臨時国会の召集を決めなければならないとしている。
 2015年10月、第3次安倍改造内閣が発足した直後、野党5党はこの規定にもとづき、「安保法制」強行可決、環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意や新閣僚の不祥事追及を目指し、臨時国会の開催を求めたが、安倍内閣は首相の外交日程や年末の予算編成を理由に応じなかった。
 これは「安保法制」の強行可決に対して盛り上がった国民の怒りを回避しようとするもので、憲法第53条を無視する憲法違反であり、私たちは当時緊急警告002号を発して抗議した。
 これと同じ憲法無視が、さる8月3日発足した第3次安倍改造内閣でも踏襲されている。憲法53条にもとづき、野党が召集を要求したのは、内閣改造まえの6月末だった。自民、公明両党の幹事長らが、改造後の8月23日、臨時国会の召集を9月末に行う方針で一致した。ここまで召集を延期する理由として、与党は首相の外遊日程や予算編成作業を挙げている。国権の最高機関である国会の開催の要求を、下部機関である内閣の都合に合わせるという与党の見識を疑う。野党が求めているのは予算の審議ではなく、森友学園、加計学園そして陸上自衛隊の「日報」隠しをめぐる一連の疑惑の解明である。
 ここまで国会の召集を先延ばしする首相や与党の姿勢から見えてくるのは、かずかずの疑惑追及を求める国民の怒りをそらそうとする安倍内閣の一貫した術策だ。安倍内閣は教育現場に道徳を持ち込もうとしているが、彼らの行為は不誠実、権力優先であり、一時代前の「教育勅語」の復活を思わせる。このような公然とした憲法無視は到底許されない。
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完全護憲の会ニュースNo.45 2017年9月10日

        <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
        連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
        電話・FAX 03-3772-5095
        Eメール:kanzengoken@gmail.com
        ホームページ:http://kanzengoken.com/

  目次  第44回例会・勉強会の報告            P.1
      第41回運営・編集委員会の報告(略)       P.2
  別紙 1 政治現況報告                 P.3
  別紙 2 事務局報告                  P.3
  別紙 3「アピール 今、あらためて米国の
       原爆投下の責任を問う」他           P.4
      今、ふたたびアメリカの原爆投下の戦争責任を問う P.5
 <再掲> 緊急警告022号 「自衛隊明記は口実…」     P.13

       第44回例会・勉強会の報告

 8月20日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で開催、参加者13名、会員56名。
 司会を大西運営委員が担当し、まず「政治現況報告」(別紙1)が代読されたのち、「事務局報告」が行われた。これらの報告をめぐる意見交換に先立ち、司会者が「今回は初参加者が多いので、完全護憲の会の紹介をしたらどうか」と提案し、事務局が次のように紹介した。
 「本会は2013年の年末に準備会を開き、14年1月に第1回例会を開き、以後毎月1回例会を開催し、ニュース(月報)を発行。本会設立の理由は、2013年の年末に誕生した第2次安倍政権が憲法改悪を公言したこと、現憲法がひろく国民に理解される前に解体される恐れがあったためだ。日本国憲法は、戦争放棄を定めた9条や生存の権利を保証した25条など、個々の条項がつまみ食い的に使われたが、この憲法の精髄である国民主権や基本的人権は十分に理解されぬまま、改廃される危険が迫っている。その危機感から、文字通り完全護憲を提唱したが、第1章天皇の諸条項は、第14条に定める法の下における平等に矛盾しているとの批判がある。だが、われわれが1章の改憲を主張すれば、現情勢下では極右の全面的改悪企図に便乗されるだけである。天皇の地位は『国民の総意に基づく』ものであるので、私たちは総意の熟するのを待つことにしている。入会金は1000円で、いまのところ会費は集めず、これまで発行した冊子の収入などで運営している。年末には道徳の教科化と教育問題についての冊子発行を準備している。会員は現在56名」
 ついで討議に移り、「天皇制はこのままでよい。戦跡慰霊や遺骨収集を行ってほしい。現憲法は悲惨な戦争体験から生まれている。この体験が継承されていない。学校教育に期待してもダメ。いまの先生に平和教育を期待するのは、ストーカー行為をやめさせろと警官に期待するのと同じだ」「友人が学び舎の歴史教科書に執筆している。良い本だが進学校以外ではあまり使われていない。実教出版の教科書は日の丸・君が代の強制を扱っているとして、東京都で禁止されている。主権者教育はあまりされていないが、そういうなかで努力している教員もいる。見限らず、応援してほしい」「区の教育委員会審議に立ち会ったが、学び舎の教科書が一番良かった。加害責任を十分取り上げている」「私の経験ではよい教師は教科書は使わず、人間対人間で教育している」「しかし若い教師は教科書を使う。神奈川県では育鵬社の教科書を使っている。恐ろしい状況だ」「私の父は戦場のことは一切話さなかった。伝承と云っても限りがある」「みんなの目指す頂上は同じで、登り口が違うだけだ。和気あいあいで話し合おう」……。

 ついで定刻になり、勉強会に移った。「米国の原爆投下の責任を問う会」の設立趣旨について、同会の共同代表・水澤寿郎氏から「アピール 今、あらためて米国の原爆投下の責任を問う」と「今、ふたたびアメリカの原爆投下の戦争責任を問う」の2文書(別紙3)の説明があった。
 これに対しては「責任を問うとは、だれに問うのか」など若干の質疑につづいて、原爆投下と、ポツダム宣言の発表、ソ連の進攻開始との関連、米国世論の動向、核兵器禁止条約の採択などについて熱心な討議があった。

当面の日程について
 1)第45回例会・勉強会    9月24日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 2)第42回運営・編集委員会  9月27日(水)14:00~ 港区立勤労福祉会館
 3)第46回例会・勉強会   10月22日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 4)第43回運営・編集委員会 10月25日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

<別紙 1>    政治現況報告      2017年8月27日

              岡部太郎(東京新聞元政治部長)

 加計学園問題や籠池問題、そして防衛省の公電隠蔽問題で揺れ続け、ダウン寸前だった安倍首相が、何とか8月3日の内閣改造までたどりついた。まさにゴングに救われたと云うところだろう。最後はよれよれだった前内閣の反省から、麻生財務副総理、菅官房長官そして党の高村副総裁、二階幹事長の骨格だけは残しながら、問題の文部科学相には林芳正、防衛相には小野寺五典、法相には上川陽子(いずれも岸田派)の経験者を当て、ほかにも茂木敏充(経済再生)加藤勝信(厚生労働)と要所に経験者を置いた。そして一本釣りで野田聖子(総務相)河野太郎(外相)とうるさ型を配置して堅実、守り主体の安倍第三次改造内閣を発足させた。そして最初から外相として首相を助けて来た岸田文雄氏が本人の希望もあって党の政調会長に岸田派の優遇と合せて、ポスト安倍の一番手につけた。ただ手堅さといっても副大臣新人五人、野田、河野の造反も不安だ。
 また文部科学相にと首相が懇願した伊吹元衆院議長は就任を固辞するなど、安倍一強体制はかなり変化していると見られる。そのへんは首相自身もわかっているようで、組閣後の初会見でも「国民に十分説明してゆく」と述べ、また改憲についても「秋の提出など、スケジュールには、こだわらない」と軌道修正。党側も高村副総裁が「憲法は党に任せ、政府は経済に全力を」と注文。岸田政調会長も「とにかく改憲論議は国民に丁寧に話すこと」と慎重な構えをみせた。また公明党の山口委員長も「憲法改正は政府の仕事ではない」とバッサリ。少なくとも、ゆけゆけではなくなりそうだ。
 一方、野党の民進党も都議選の敗戦の責任をとって蓮舫委員長が突然辞任した。8月20日公示、9月1日党員投票で委員長選出を行う。前原元外相と枝野元官房長官の一騎打ちだ。
 共産党との選挙野党共闘を狙う枝野氏と野合反対。都民ファーストとの共闘で政界再編狙いの前原氏どちらが勝っても党の完全一本化は難しく、秋から来年衆院解散までの政局は、民進党を中心に離合集散が繰り広げられる可能性がある。
 他方、次の選挙の台風の目となりそうな小池都知事の都民ファーストの会だが、小池氏がいち早く、都知事専任を打ち出し、国政レベルの活動は同志の若狭勝衆院議員に一任した。若狭氏は8月7日、記者会見で全国組織の政治団体、日本ファーストの会を設立、同会が運営する政治塾「輝照塾」を9月に開講、希望者を募集するほか、年内に国政新党を目指すことを明らかにした。同会は小池都知事と連動、9月16日に開講、塾生から今後の国政選挙の候補者を選ぶと云う、全く都民ファーストと同じ手口。民進党を離党した細野豪志元環境相とも新党について意見交換した。民進党を離れた長島昭久氏や渡辺喜美、松沢成文の両参院議員のほか、民進党や自民党から多くの議員が参加することも考えられ、目が離せない。
 もう一つのアキレス腱、南スーダン国連平和維持活動(PKO)の日報隠蔽(ぺい)問題は、7月28日に防衛省が特別防衛観察の結果を発表した。しかし、その焦点である陸自の隠蔽を稲田大臣が知っていたかどうかについては陸自が今年の二月に会議で稲田氏に報告した“可能性”はあるが、稲田氏が「報告された認識はない」と否定し、事実認定には至らなかった。データ不公表は黒江事務次官が2月16日の会議で岡部陸上幕僚長に指示。保管しているのは隊員の個人的データで、情報公開の対象となる行政文書には当たらないとした。
 結局、稲田大臣の責任には踏み込まなかったが、稲田氏は混乱の責任をとって、同日防衛相を辞任。黒江・岡部両氏も辞任した。
 安倍首相は稲田氏をポスト安倍の有力馬に育てようと、失言やミスの続いた稲田氏を最後までかばい続けたが、最後には自ら辞任する以外に道がなかった。当然これらは首相の任命責任が問われる事項である。

<別紙 2>    第44回例会 事務局報告

               福田玲三(事務局)2017.8.27

1)例会・勉強会の案内掲載

① 『東京新聞』8月16日朝刊「カルチャーインフォメーション」
② 『週刊金曜日』1148号(8月18日付け)「きんようびのはらっぱで」  
③ 「レイバーネット」イベントカレンダー(告知サイト labornetjp.org/EventItem)

2)勉強会の講師

勉強会:「『米国の原爆投下の責任を問う会』設立趣旨について」の講師について、同会の共同代表・水澤寿郎氏に依頼、快諾。

3)集会の案内

① 第8回平和学習会――報告・花岡蔚氏
 「2020年までに自衛隊を廃止する―コスタリカとアメリカの実情に触れながら」
  9月9日(土)13:30~16:30
  東京ボランティア市民活動センター 会議室 (JR飯田橋駅隣・セントラルプラザ)
② 第22回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会
  9月22日(金) 13:30~16:30 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分) 
  参加費:200円
③ 『週刊金曜日』東京南部読者会
  9月22日(金)18:30~20:30 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)
④ 「米国の原爆投下の責任を問う会」第1回拡大呼びかけ人会議
  9月23日(土)14:00~17:00 基督友会東京月会3451-7002 港区三田4-8-19
  資料代1000円 連絡先:090-1769-6565 水澤

<別紙 3> アピール 今、あらためて米国の原爆投下の責任を問う
 
 米国は1945年8月6日広島に、8月9日長崎に原爆を投下し、計34人余の民間人、軍人、外国人(15か国、4万人)、連合国軍捕虜を殺害した。この無差別大量虐殺は人道上決して許されるべきものではなく、明白な国際法違反である。だが、米国政府は一貫して原爆投下を正当化してきた。原爆を投下したのは、日本がポツダム宣言受託を拒否して降伏しなかったからであり、原爆投下が日本の降伏を早めたというのがその主な理由である。
 原爆を投下せず米軍が日本本土上陸作戦を決行したならば、米兵100万人の犠牲が予測され、従って原爆投下は多数の米兵(と日本人)の命を救い、戦争を終結させて平和をもたらしたという。米国政府は原爆投下以来70年余にわたりそう喧伝しつづけ、多くの米国国民もそう信じてきた。私たちはこの「原爆正当化論」を到底容認することはできず、改めて米国の無差別大量虐殺の責任を問うものである。
 ルーズベルト米国大統領が原爆開発予算6000ドルを議会で通過させた(1941・12・6)のは、真珠湾攻撃の2日前であった。また、原爆投下は日本を目標とすることは、「ハイドパーク覚書」(1944・9・18)でルーズベルトとチャーチルの間で秘密裡に決められていた。このように原爆は開発当初から日本に投下することが目途とされていたのであり、ナチス・ドイツが降伏したから投下目標をドイツから日本に変えたものではなかった。
 さらに、原爆投下指令はポツダム宣言(1945・7・26)の一日前に出されている。そもそもポツダム宣言は日本に対する正式な文書ではなく、回答期限もないものであり、さらに当初宣言草案にあった降伏条件の「国体護持」を日本の降伏を引き延ばすためにあえて宣言から外している。それは日本が降伏する以前に原爆を投下したいという思惑があったからであった。
 日本の降伏は8月9日のソ連参戦が決定的な要因であった。原爆の開発には20億ドルという莫大な予算をかけた米国政府は、その物理的破壊力と人体にたいする放射線などの「効果」を確認するために原爆を投下することに追い込まれた。それは原爆の威力を全世界に誇示することによって、戦後ソ連に対し絶対的優位性を示そうにする戦略でもあった。原爆投下は又、ルメイ指揮下の日本の諸都市への無差別空爆の延長線上でなされたことも見落としてはならない。
 日本本土上陸作戦になれば100万人の犠牲が出るというのも虚偽の数字である。マッカーサー他各軍指導者は犠牲者は最大で6万6千人(戦死者はその4分の1)と推定していた。トルーマン大統領は犠牲者数を次々と増やしていき、最後の「100万人」が独り歩きしはじめた。そう言わなければ正当化できないほど原爆投下の被害は悲惨だった。
 原爆投下に対する戦争責任が問われてこなかった原因の一つに、日本のアジアに対する侵略戦争のなかで行なった野蛮で非人道的な戦争犯罪がある。日本軍による上海や重慶爆撃も長期間行われた。日本の良心的市民には、日本が加害国だったから、米国による日本の諸都市への空爆も広島・長崎への原爆投下を批判できないと考えがちであった。だが、原爆投下の被害国国民として米国政府を告発してこなかったことが、戦後、米国の南太平洋上の核実験の継続を許し、「核抑止論」の名の下に各国が核兵器を開発することを誘発した。原水爆禁止、核廃絶の運動が粘り強くなされてきたにもかかわらず、今なお新たな核開発が止まる兆しはない。広島・長崎への原爆投下を告発してこなかった私たちの反省を含め、今、改めて米国の原爆投下を戦争犯罪として告発する必要がある時点にきているのではないだろうか。
 それと併行して、日本の侵略戦争によりアジアで犯した数々の残虐な戦争犯罪を直視し、戦争責任の所在を明らかにし、日本政府に謝罪と補償を求める運動をいっそう強化する必要があることはいうまでもない。
 オバマ米国大統領は広島演説を「死が空から降ってきた」という文言で始めた。誰が死を空から降らせたかを隠すこの言葉は、欺瞞的である。私たちは速やかな核廃絶を願うものとして、今、原点に立ち戻って米国政府の広島・長崎への原爆投下の責任を問うものである。
   2017年1月10日
           米国の原爆投下の責任を問う会

      
   今、ふたたびアメリカの原爆投下の戦争責任を問う
                                          
1.原爆投下の正当化論のままでよいのか?

 アメリカは1945年8月6日に広島にウラン原爆を投下し、年内に14万人、5年以内に合計20万人を殺した。
 さらに3日後の8月9日に長崎にプルトニウム原爆を投下し、年内に9万人、5年以内に合計14万人を殺した。両都市で合計34万人を殺したのである。
 この無差別大量虐殺は国際法違反(ハーグの陸戦条約参照)であり、アメリカの原爆投下責任は厳しく問われなければならない。

オバマ大統領の広島訪問
 アメリカ政府は過去70年間広島・長崎への原爆投下を一度も公式に謝罪したことがなく、反対に、原爆投下「正当化論」を主張してきた。 ブッシュ・シニア大統領は1991年、「原爆投下は何百万もの米国民の命を救った」と述べたし、クリントン大統領は1995年、「トルーマン大統領が下した原爆投下の決断は正しかった」と述べている。
 プラハ宣言(2009年4月)で「核兵器なき世界」を提唱しノーベル平和賞を受賞したオバマ大統領も、原爆投下を公式に謝罪したことはない。
 オバマ大統領の広島訪問に先立って来日したペリー元米国防長官は、2016年4月16日NHKのインタビューに応えて「(オバマの広島訪問は)すばらしい決断だ。世界に核兵器の危険性と二度と使われてはならないということを呼びかける又とない機会で、そのための具体的行動を提起することを望む」と述べた一方で、「原爆の犠牲がなければ本土決戦で何百万人の命が失なわれていただろう。原爆投下について謝罪する必要はない」と述べている。(2016年5月17日のNHKのニュースでは流れたが、19時のニュースでは後半の「謝罪する必要はない」の部分はカットされていた。)
5月27日のオバマ大統領の広島訪問の際の17分間の演説は、冒頭「空から死が降って、世界は変わった」death fell from the sky and the world was changed)ではじまったが、原爆投下がアメリカによるものであることは触れず、従って投下の責任にも触れず、謝罪の一言もなかった。
 核兵器廃絶を訴えたが、具体的政策は何も提案されていない。それどころかオバマ政権の下で進んだことは、核兵器の近代化に多額の予算をつぎこんだことである。また、オバマ大統領は広島に来る直前に岩国の米軍基地で日米同盟を賛美する演説を米兵に向けて行い、その足で広島に来て「平和」を訴えたのである。
 平岡敬・元広島市長は次のように述べている。「いまでも多くの人があのスピーチをそのまま受け止めて、『すごい演説だ』『素晴らしい』ともてはやして、『オバマ賛美』が続いています。アメリカ国内にある『原爆投下は正しかった』という声を振り切って、広島に来たこと自体は評価するという声もあります。/しかし、彼は何のために広島に来たのかということを思うと、私は結局、オバマ大統領は任期中に大した実績があげられなかったから最後の自分のレガシー(遺産)づくりに広島を利用したのではないかと思っています。/これは日本政府との共謀です。安倍政権もおそらく強烈に願ったでしょうね」(平岡敬「被爆者はアメリカの原爆投下で殺された―オバマ大統領の広島訪問/謝罪なく、口先だけの『核廃絶』に強烈な違和感」『日本の進路』2016年8月号、NO.288、17頁)。 
 オバマ大統領のスピーチのあと安倍首相も「日米同盟は世界に希望を生み出す同盟」といい、最近12月には真珠湾攻撃の慰霊に行くと発表したのである。ハワイ真珠湾訪問も日本のジャーナリズは賛美している。それならば安倍首相は何故日本が植民地支配した東アジアの国々を訪問しないのかという非難の声が起こるのは当然であろう。
 とまれ、米国政府が広島・長崎への原爆投下に謝罪しないのは、その背景に多数の米国民が依然として「原爆投下正当化論」に立っていることがあるといってよい。
 
「原爆正当化論」とは
 「原爆正当化論」とは、(1)原爆投下が戦争終結を早め(「早期日本降伏説」)、その結果(2)戦闘継続による人的被害(特にアメリカ軍人の)を減少させた「人道的行為」である、と主張するもの(「人命救済説」)である。その正当化論の出発点はトルーマン声明にある。
 アメリカでは正当化論批判はオリバー・ストーンやピーター・カズニックなど少数が主張しているにすぎない。ストーン(映画監督)とカズニックは2013年夏に来日し、8月8日、広島でシンポジウム「アメリカ史から見た原爆投下の真実」で報告した。ストーンは、「アメリカでは原爆投下が成功だと語られているが、それは神話に過ぎない。一般的なアメリカの高校生は、原爆投下が戦争を終らせた、と教えられている。1945年に起きた本当のことを教えられていない。戦争を終らせたのは原爆ではない。」と発言し、カズニックは、「アメリカは[日本が]降伏寸前だということを知っていた。アメリカはソ連への威嚇として原爆を投下したのだ」と指摘した。だが、このような見解を持つアメリカ人は依然として少数なのである。
 人命救済説についていえば、日本の本土上陸作戦により100万人以上の犠牲者がでるというのも虚偽の主張である。米軍犠牲者はマーシャル、キング、リーヒ、マッカーサー各元帥が推定した数字は上限6万人、細かくは31、000人から66、500人の間と見積もられ、そのうち戦死者は上の数字の4分の1とされている。トルーマンは戦闘犠牲者を25万人から100万人まで増やしていき、最後の100万人説が一人歩きしてきたのである。
 アメリカ人の意識も、最近(2015・4)のビュー・リサーチ・センター(米民間調査機関)によれば、原爆投下を正当とする者は56%、不当とする者は35%である。1945年のギャラップでは、85%が原爆投下を正当としていたので、正当とする者の比率は低下してきているが、投下70年を経てなお正当化論が過半数を占めている。
 このことが重要なのは、原爆投下正当化論が、核抑止論と表裏一体であるからである。このようなアメリカ世論のなかで、オバマ大統領も謝罪外交であると批判されることを恐れて、謝罪などできなかったのである。

日本がアメリカの原爆投下責任を問うてこなかった理由 
 日本は敗戦後今日に至るまで、原爆の被害を調査しその悲惨な被爆の実態を日本の国内外に示してきた。そして、そうすることの重要性はますます大きくなっているのは間違いないが、他方で、原爆投下という無差別大量虐殺を実施した戦争犯罪としてアメリカ政府を告発することがほとんどなされなかった。
 原爆碑の「安らかに眠ってください。過ちは繰り返しませぬから」に象徴されるように、主語は不明、批判対象も不明にしたまま、ひたすら「祈る」ことを推奨してきたのである。その祈りの原型の一つは長崎浦上天主堂の永井隆にある。
 これは原爆を製造した国家も、投下するに至った経緯も、投下したあとの対処も捨象し、言い換えれば歴史性を捨象することによって事実上アメリカ政府の責任を問わない方法が取られてきたということである。それは抽象的に反戦、平和を唱える・祈るという態度であるといってもよい。
 原爆投下したアメリカを厳しく告発してこなかったことが、戦後、アメリカの南太平洋上の核実験の継続を許し、さらに原発の日本への導入を容易にしたとするならば、2011年のフクシマ3・11以後5年余経った現時点において、遡って「原爆正当化論」を批判的に検討し、アメリカの戦争犯罪として告発することが、70年余過ぎて遅きに失した感があるとはいえ、必要不可欠なのではないだろうか。
 その際、原爆を抽象的に「平和の敵」として捉えるのではなく、原爆の歴史を具体的に辿ることによって初めて、アメリカの原爆投下の責任を問うことができると考える。
 原爆投下にたいする戦争責任が問われてこなかった原因の一つに、日本はアジアに対して侵略戦争を実行し野蛮で非人間的は殺戮を行なった加害国であったから、被害国として原爆投下を批判することなぞできないという心情が日本人のなかにあったことは否定できない。
 良心的日本の知識人の中でも、日本がアジア諸国に侵略し、細菌兵器や化学兵器を使用した加害国であるから、アメリカの原爆投下を被害国として批判する資格はないとする考えである。
 例えば、『戦争責任と核廃絶』(三一書房、1998年)の著者若松繁俊でさえ、『原子科学者評論』1982年2月号の論文「戦争犯罪の背景」で、「私自身、原爆被曝の体験をもつが、多くの被爆者が看過してきた重要な問題がある。原爆被害がどんなに悲惨であろうとも、日本の戦争責任をきびしく自己批判したあとでなければ、原爆の被害を世界に訴えるべきではない。原爆による死は日本帝国主義ファシストによる死と同じである」(180頁)と指摘している。
 ここには原爆投下をそれ自体切り離してアメリカの責任を問う視点はみられないが、私たちはそのような見解をとらない。
 私たちは原爆投下の責任を追及するさい、その前にではなく、それと同時併行して日本が侵略戦争によりアジアの人びとを残虐な方法で殺傷した事実を直視し、日本の戦争責任を確認し、日本政府に事実認定・謝罪と補償をもとめる被害者を支援し、そのための活動を引き続き推進しなければならないと考える。
 具体的には、重慶爆撃に見られる大量無差別爆撃、三光作戦などの焦土作戦による民間人虐殺、南京虐殺、731部隊による人体実験と生物兵器(細菌兵器)の使用、化学兵器(毒ガス兵器)の使用による大量虐殺、毒ガス遺棄、朝鮮人・中国人などの強制連行・強制労働、朝鮮・中国・その他のアジアの女性の「慰安婦」への強制、捕虜虐待などである。それと同時に併行してアメリカの原爆投下の責任を問い、その謝罪を求めなければならないと考えるものである。その歴史的根拠を以下で示したい。

2.マンハッタン計画と三発の原爆

原爆の製造
 ナチス・ドイツが原爆開発をしていることに危惧の念を抱いた理論物理学者たちはアメリカに亡命し、ドイツよりも早く原爆を製造することをめざした。「アインシュタイン=シラード」書簡が、ルーズベルト大統領に提出され、「ウラン諮問委員会」が設置された。
 核分裂と原爆製造については、1939年1月、理論物理学会でイタリア人エンリコ・フェルミが報告し、核分裂の仮説はウラン235の分裂により証明された。フェルミはアメリカへ亡命し原子炉をつくる。 ニールス・ボアもデンマークのコペンハーゲンで同様な核分裂の実験をしていたが、アメリカに亡命。
 ルーズベルト大統領が原爆開発の6000ドルの予算を議会通過させた(41・12・6)のは、真珠湾攻撃の直前。この予算により原爆製造が始動。その後マンハッタン計画には20億ドルが支払われ、20万人を雇用し、学者だけで2000人以上になるという大規模なものとなった。
 「マンハッタン・プロジェクト」と名づけたのは、総司令官になるレスリー・リチャード・グローブスである。1945年3月には3個の原爆を製造し、5月には兵器として完成した。1945年7月16日早朝午前5時29分、人類最初の核実験「トリニティー」がニューメキシコ州の砂漠で実行された。
 実験はオッペンハイマー(ロスアラモス研究所所長)の指揮のもと、グローブスの直属の部下であるトーマス・ファーレル准将(マンハッタン計画副責任者)が現地の責任者であった。
 ファーレルは爆心地から10キロ離れたコントロール・タワーからみていて、「効果は、まさに前代未聞。印象的で美しい。恐ろしいほどである。誰がこのような大規模な爆発を考えることができたであろうか。閃光のすさまじさは筆舌に尽くしがたい」と記している。
 製造された原爆は3個であるが、残り2個はトリニティー実験から21日後の8月6日に広島に、さらに3日後の8月9日に長崎に投下された。
 広島に投下されたリトル・ボーイは、ウラン型原爆であり、構造は砲身型で簡単であるが、濃縮ウラン製造が困難なため量産は困難である。
 長崎に投下されたファットマンは、プルトニウム型原爆であり、原子炉運転がプルトニウムを量産するため、量産が可能であるが、構造は爆縮型で複雑である。起爆装置が作動するか実験が必要であり、1945年7月16日のトリニティー実験はこのプルトニウム型原爆の実験だった。
 広島の原爆投下は実験なしで投下したもの。原爆投下の二発目を3日後に長崎に投下したのは、量産可能な原爆をアメリカが所有することを世界に向けて(特にソ連に向けて)誇示すことにあった。

原爆投下の目標は当初から日本だった
 日本への原爆投下を目標とすることは、ルーズベルトとチャーチルの間で1944年9月の「ハイドパーク覚書」で決まった。
 アメリカが原爆をドイツには落とさず、日本に落とすことを企図していたことには黄色人種にたいする人種差別が根底にあったとみてよい。
 ナチス・ドイツの原爆実験をおそれた物理学者たちがアメリカに亡命し原爆開発に取り組んだが、白人であるドイツ人には落とすことは当初から考えていなかった。アメリカ大統領や軍幹部は、ドイツへではなく日本への投下を当初から意図していたのである。それ故、原爆投下の問題は欧米のアジア人にたいする人種差別の問題としても捉えなければならない。
 ルーズベルト大統領は、1945年4月12日に死去。トルーマンが新大統領になる。真珠湾攻撃の復讐に燃えて、ルーズベルトは、「犬の飼い主が悪ければ、犬も罰しなければならない。日本の指導者の残虐で不法な行為の責任を、日本国民が受けるのは当たり前だ」と言った。
 広島への原爆投下18時間後に発表された「トルーマン声明」も真珠湾攻撃にたいする報復として原爆投下を正当化しているが、その下地はルーズベルトにより敷かれていたといえよう。
 1945年4月12日、突然副大統領から大統領になったトルーマン(1884年生まれ)は、政治力もなく、歴史観も世界観も持たない”small man”であった。ルーズベルトは歴代、自分に反抗することを恐れて副大統領には力量のない者を選んできたからである。
 トルーマンは「マンハッタン計画」も知らされていなかった。4月25日になって、スティムソンとグローブスが 原爆計画についてトルーマン新大統領に初めてその計画を説明した。以後、”small man”と言うコンプレックスを克服するために「何か大きなことをする」(トルーマンの日記)ことに向って突き進んでいった。 

ポツダム宣言
 早期降伏説も人命救済説も、歴史事実とは違っている。アメリカは原爆投下の以前から、日本が降伏を求めていたことを知っていたからである。日本がソ連に対してアメリカとの和平交渉の仲介を何度も打診していたことを、アメリカ陸軍省は日本外務省の暗号電報を傍受して掴んでいた(「マジック報告」)。
 事実、1944年8月11日の「マジック報告」で、「重光外相は、ロシアに和平交渉の仲介をする意思があるかどうかを確かめるように佐藤大使(在モスクワ)に指示している」ことをつかんでいた。打診の内容は、日本降伏のために「国体護持」、即ち戦後も天皇制を存続させることを認めるか否かにあった。この打診をアメリカは無視することになる。
 1944年7月9日サイパンで日本軍が全滅、東条内閣が7月18日総辞職して以降、米軍はサイパンの基地からB-29による本土空襲が可能となった。
 東京大空襲は1945年3月10日未明、米軍は334機のB29を投入し焼夷弾33万発を投下した。死者・行方不明者は10万人を超えた。東京以外にも名古屋、大阪、京都、神戸など主要都市への空爆がなされ、66都市で死者約40万、負傷者約百万人を生み出した。日本の敗戦は時間の問題になっていた。
 原爆以外での方法による戦争終結の可能性について、1945年6月29日の米統合参謀本部史料によると、「日本政府は完全に破壊される前に・・・・・直ぐにも条件付き降伏を申し出る可能性がある」と記されている。
 また、アイク、マッカーサー、リーヒ各元帥も日本の軍事的敗北は時間の問題と見ていたことが戦後に公表された記録や回顧録に明らかにされている。
 リーヒ元帥は回顧録のなかで「軍事的に見て完全にうちのめされた日本に地上軍を投入して侵攻する理由は全くないと考えていた」と述べている。
 ポツダム会談は、ナチスドイツの降伏後の1945年7月17日から8月2日までソ連占領地のベルリン郊外のポツダムで開かれた。
 米からトルーマン大統領、英からチャーチル首相、ソ連からスターリンが参加し、戦後占領をめぐって会談した。ポツダム会談開始の翌日、トリニティ実験が成功したとの報がトルーマンに届いた。チャーチルもトルーマンの態度が変わったのに気づいたほどだった。
 自信を深めたトルーマンは、「ソ連側に反論を許さぬきっぱりとした態度で対応するようになった。」(チャーチル) トルーマンの妻宛の手紙(7月20日)には、「昨日は厳しい会談になった。わたしは憤然と立ち上がって、この線で妥協しろといい、イギリスもソ連もその線で妥協した。」(ロナルド・タカキ、152頁)とある。
 原爆投下命令書は1945年7月25日、ポツダム宣言を発する1日前に、トーマス・ハンディ陸軍参謀総長代理が署名し、当時ポツダムにいたマーシャル将軍と陸軍参謀長官スティムソンに電話で伝えられ、カール・スパーツ将軍(マリアナ諸島駐屯の陸軍戦略航空司令官)に宛てて送られた。   
 そこにはトルーマン大統領の署名はない。そのため、8月10日広島の被害状況の報告を受けたトルーマンは、8月10日の閣議で大統領の許可なしに原爆の使用を停止することを決定させている。
 ポツダム宣言は7月26日に発表された。その宣言草案には国体護持が含まれていたが、宣言には「降伏条件の明確化」に国体護持は含めていない。米代表団がポツダムに出発する直前(7月2日)、スティムソン陸軍長官からトルーマン大統領宛に「対日宣言案」が提出され、その第12項に「現在の皇統の下での立憲君主制も含む」とあったが、実際のポツダム宣言ではそれを削除して、トルーマン大統領が発表したのである。
 それは日本が降伏する前に原爆を投下する必要があったからである。
 ポツダム宣言にはスターリンの署名がない。ソ連は日本と交戦状態にないとの理由で、トルーマンがスターリンを排除したのであった。チャーチルはイギリスの総選挙で予想に反して敗北し、ポツダム会談の途中でイギリスに戻らざるを得なかった。ポツダム宣言の署名者の蒋介石はポツダムには来ておらず、署名はトルーマンが代筆した。
 つまり、宣言の署名者にはスターリンの名はなく、トルーマン、チャーチル、蒋介石が記されているが、トルーマン以外の2人はトルーマンによる代筆なのである。それ故、トルーマン一人の意思が示された文書であり、「降伏条件の明確化」に国体護持を含めなかったのである。
 そのためポツダム宣言は、つぎのような問題点をもつことになった。
 1)ポツダム宣言は「対日本」が主題ではなく、戦後処理が主たる議題であった。ポツダム会議に参加した国と署名した国とが異なる。ソ連が署名していないことが、日本に日米の和平交渉に可能性があるかのごとき幻想を抱かせた。
 2)ポツダム宣言は日本に対する正式な文書ではなく、日本には短波放送で伝えられた。回答期限もない宣伝・広告の類であった。日本の鈴木貫太郎首相はこれを「黙殺」(ignore)したとみなされた。
 3)鈴木首相の発言前に原爆投下命令は出ていた。宣言は7月26日、命令書は7月25日付け。
   命令書によれば、日本時間で鈴木首相の「無視」発言の2日前に原爆投下は決定していたことになる。
 4)トルーマンは鈴木首相を日本の代表とは認識しておらず(彼らと複数形で表現している)、鈴木首相の発言により投下の決定を変える気はなかったと思われる。
   このポツダム宣言の約3週間後の8月6日に広島へ、9日に長崎の原爆が落とされたのであった。
   「ポツダム宣言」を受諾する意向を示した8月14・15日も大阪、岩国、奥山、伊勢崎、桐生、熊谷、小田原などが空爆されている。

広島・長崎への原爆投下
 広島・長崎が原爆投下の候補地として上がるのは、1945年4月27日の第1回目標選定委員会であり、その委員会(トーマス・ファーレルは委員)でグローブズ委員長は、広島・長崎の他に東京湾と、川崎、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、呉、下関、山口、八幡、小倉、熊本、福岡、佐世保の計17都市を選定した。
 第2回委員会(5月10~11日)では、京都AA、広島AA、横浜A、小倉A、新潟Bの5箇所に絞られた。うち最有力候補地AAには、広島と心理的効果を目指すため京都が選ばれた。
 これらの5都市は通常の空襲から除外されたのは、原爆の効果を的確に測定するためであった。
 第3回暫定委員会(5月31日)では、横浜は占領政策に使うので除外され、京都もスティムソンの反対で除外された。彼は京都に投下すると、日本人の心情からして米国の占領政策が難しくなると主張し、トルーマンが賛同した。それに代わって長崎が加わった。
 7月25日までに広島、小倉、新潟、長崎が候補地に決まった。広島は第1候補であり、天候の条件が整った8月6日に投下され、2発目の第1目標は小倉だったが、8月9日当日小倉の空は視界不良だったため、長崎に変更された。3発目のプルトニウム型原爆は8月19日までに東京に投下される予定であった。
 長崎への原爆投下の翌8月10日に、「『天皇統治の大権を変更する』要求が含まれていないという了解の下に受諾する」との意向を伝えた日本に対し、アメリカは「バーンズ回答」で暗黙の了解を与え、8月14日、日本は降伏を伝えたのである。
 以上のことから、アメリカは原爆投下によって日本の降伏を早めたのではなく、日本の要求(国体護持)を受けいれるのを原爆投下まで引き伸ばしたことが明らかであろう。原爆投下する前に、日本が降伏しては、壮大な人体実験をする機会を失うからである。
 日本の降伏の決定打になる「ソ連の対日参戦」(8月9日午前0時)の以前に広島に、そしてその日に長崎に投下し、戦後の対ソ連に対して圧倒的な力を誇示することができたのである。

3.アメリカの原爆投下後の隠蔽工作ー放射線の影響を否定

日本の原爆調査とアメリカへの調査報告の提供
 1945年8月6日に広島に原爆が投下されると、直ちに日本軍と行政機関が大学・研究所の科学者の協力を得て広島に入った。
 第1の目的は、投下爆弾が原爆であるか否かを確定することであった。爆弾投下直後、ホワイトハウスはトルーマン大統領の「原子爆弾に関する声明」を公表し、原爆投下は真珠湾攻撃の復讐であると明言し、日本にポツダム宣言受諾を求めた。
 広島へは多くの調査団が入るが、大本営調査団は、参謀本部第二部長の有末精三を団長にして参謀本部から他に三名、陸軍省軍事課新妻清一以下三名、陸軍航空本部技術部片桐少佐、陸軍軍医学校から島田軍医中佐、それに理化学研究所の仁科芳雄という30人ほどの構成になった。
 仁科芳雄は陸軍から指示により原爆開発「二号」を一九四一年から行なっており、海軍は京都大学の荒勝文策にF研究を依頼していた。有末を団長とする陸軍大本営の調査団は、8月7日午後2時ごろ所沢基地に集合したが、「折から硫黄島を飛び立った敵機B29の爆撃機隊の一団がわが本州中部に向けて北上飛行中との情報が入った。仁科博士以下全員難を避けて」一日延期し8日に出発することになったが、有末精三と山田副官の2名は広島に向かって飛び立ち、午後5時半広島上空に着いた。
 広島到着後、有末は数人の軍指導者と会い宇品の船舶司令部に行き、翌8月8日の朝には総軍司令部の広島庁舎に行き、岡崎清三郎参謀長、真田譲一郎参謀副長、井本熊雄作戦主任参謀を見舞い、畑俊六元帥にも会っている。仁科や新妻らはその日の夕方6時半に広島に着いている。
 仁科らは8月7日離陸したがエンジン不調で所沢に引き返し、翌日8日に所沢を飛び立ち広島に着いたと言われてきたのは、1日広島行きが遅れたことからそれだけ原爆かどうかの確認が遅れたので、責任を取らされないように誰も明確にしてこなかったからだろう(この点は資料紹介「核とミサイルに関する新妻清一関連資料」(1)『戦争責任研究』87号、2016年冬季号を参照されたい)。
 広島に到着すると、仁科など6名は宇品の船舶司令部に向かった。広島の惨状から仁科が原子爆弾に違いないと確信し、夕刻そこから大本営に電報で第1報を送った。
 電報の内容は、一、特殊爆弾である。 二、熱傷に備える必要。三、詳細は仁科の今後の調査を待て、というものだった。そして、内閣書記官長・迫水久恒に、電話で「残念ながら原子爆弾に間違いない」と「涙を流して報告」した。迫水から報告を聞いた鈴木首相は翌朝閣議を開くことを迫水に指示した。
 8月9日朝、新妻は仁科などと共に高射砲隊本部を訪れ、加藤から爆発地点の方向と高度の情報を聞いた。その後仁科、片桐、新妻などは爆心地付近の調査を行い、爆心地が「細工町19番地」で高度が約580メートルであると結論し、また、中心から東西南北に500メートルおきに土などのサンプルを集めた。
 新妻は爆心地近くの写真やで未現像のフィルムを現像し灰色に感光していることを確認した。日赤病院のレントゲンフィルムが感光していたことが放射線の検出の決定的証拠になった。
 8月10日大本営調査団の陸海軍合同特殊爆弾研究会議が比治山町の陸軍兵器補給廠で開かれ「本爆弾ノ主体は・・・・原子爆弾ナリト認ム」とした。司会をした新妻がその報告書をまとめている。
 荒勝は前夜広島に来ていた。団長の有末は9日午前零時、ソ連軍がソ満国境を超えて南下した(ソ連参戦)ため、急遽東京に戻ったので,この合同会議には出席していない。広島平和記念館が所蔵する新妻ファイルに含まれる新妻メモには鉛筆で「人間ニタイスル損害ノ発表ハ絶対ニ避ケルコト、コレニ関連スル発表モ避ケルコト 中央ヨリ調査隊を派遣ノコト」と書かれている。新妻は原爆の被害を発表しないように強調している。ここでいわれている中央より調査隊ヲ派遣とは大本営の第2次調査団のことであり、8月14日広島に到着し、17日まで広島市内各所で放射能を測定した。この報告書は英訳される際、意図的に数ヶ所誤訳し、原爆の被害をできるだけ小さく見せようとしている。
 新妻は被害状況について次のような記録を残している。
「新妻メモ―損傷状況昭和二〇・八」によれば、「一一日迄、収容患者数 約一五〇〇〇不収容患者数推定 約七五〇〇〇、計約九万 
一一日迄 収容屍体数(埋没又は消失)約一万、計約二万、合計一一万」とある。
 極めて正確な数字を掴んでいたことがわかる。それを一般に知らせることを避けるよう指示したのである。
 8月13日には新妻は東京に戻り、2日後の8月15日敗戦の日には、陸軍省軍事課の名前で「特殊研究処理要領」をまとめ、原爆の被害の隠蔽に続いて陸軍の特殊研究を隠蔽するよう指示をだした。その指示の内容は「一 方針 敵に証拠ヲ得ラルル事ヲ不利とする特殊研究ハ全テ証拠ヲ陰滅スル如ク至急措置ス」とし、ふ号登戸関係(風船爆弾)、七三一部隊、一〇〇部隊など陸軍の秘密研究の隠蔽も図ったのである。
 原爆による被害の惨状は、9月3日に原爆逓信病院を訪れたウィリアム・バーチェット記者により打電され、『デイリー・エクスプレス』(1945年9月5日)に報道された。
 その記事の見出しは「原爆病(The Atomic Plague)とあり、「広島では、最初の原子爆弾が都市を破壊し世界を驚ろかせた30日後も、人々は、かの惨禍によって怪我をうけていない人々であっても、『原爆病』としか言いようのない未知の理由によって、未だに不可解かつ悲惨にも亡くなり続けている。」と残留放射線の恐ろしい影響についても記した。
 原爆の惨状が世界に知られ始めたその日(9月5日)マッカーサーは海外特派員に取材禁止命令をだし、広島に立ち入ることを禁じ、報道することも禁じた。この取材禁止令は45年12月まで続いた。
 
アメリカの広島調査報告
 アメリカは日本進駐と同時に「マンハッタン管区調査団」を来日させ、原爆の被害の調査を開始した。同調査団はトマス・ファーレル(マンハッタン計画の副指揮者)を指揮官とし、フォード・ウオレン(マンハッタン計画の医学部長)以下約30名で構成されていた。
 マンハッタン計画には当初から原爆投下後の「効果」の測定が含まれていたと見るべきだろう。彼らは8月31日に来日し、調査を準備した。ファーレルは9月6日、広島に現地調査に入る前に、東京帝国ホテルで記者会見し、「広島・長崎で原爆症で死ぬべきものは死んでしまい、9月上旬現在、原爆症で苦しんでいるものは皆無である」と声明した。
 同調査団が広島入りする2日前に、現地に行かずにこのような声明をだしたのは、アメリカが原爆の人的被害、とくに残存放射能による被害を過少にみせようとする戦後アメリカ政府が一貫して採った方針の開始を意味していた。
 この9月6日のファーレルの記者会見には、W.バーチェットが参加していた。それは9月3日に広島逓信病院で被爆者の患者の付添い人から、「アメリカは原爆を造ったのだから、原爆症の治療法はわかっているはずだ。アメリカから医師を派遣してもらわないことには、治療法がないのではないか」といわれ、バーチェットは東京に帰ってその旨GHQに訴え、記者会見にも参加していたのである。
 もちろんアメリカも原爆症の治療方法をもっていたわけではない。バーチェットは目撃した広島の惨状とファーレルの声明が余りにかけ離れていたので、そのことを問うたのに対し、ファーレルは次のように答えた。「残存放射能の危険を取り除くために、相当の高度で爆発させたため、広島には原子放射能が存在しえない。若し今現に亡くなっている人がいるとすれば、それは残留放射能によるものではなく、原爆投下時に受けた被害以外にはありえない。」 
 その後もアメリカは原爆投下後の残留放射能を否定するのである。
 この「ファーレル声明」(8月31日)は、日本政府が横浜に駐留していた米占領軍に自主的に提出した『原爆被害報告書』に依拠していた。その『報告書』の結論のひとつは、「爆心地の周辺には人体に被害を及ぼす程度の放射能は存在していない」というものだった。
 報告書には、陸軍軍医学校の軍医らによる被爆者の解剖結果が含まれていた。戦後日本のアメリカ追従の一例である。
 9月8日ファーレル以下13名の第1班は、厚木飛行場から米軍機6機で広島に向った。ファーレルの第2班は9月9日長崎に入ったが、ファーレル自身は9日に東京にもどり、12日に再度記者会見をおこなった。
 今回は、原爆の爆風・熱戦による破壊が予想以上のものであったことは認めざるを得なかったが、それと対照的に放射線の効果は限定的であったと発表した。ここでも一貫して、原爆の爆風・熱戦による被害は認めるが、放射能による被害は否定したのである。
 これはマンハッタン計画の医学部門責任者スタッフォード・ヴォレン(マンハッタン工兵管区調査団の団長として広島・長崎を調査)が、戦後放射線医学の権威として広島の残留放射能の存在を否定し、ファーレルに伝達したことによる。
 ヴォレンはマンハッタン計画のなかで兵器としての放射線の有効性を最も主張していた科学者だったのが、戦後は正反対の見解を述べているのである。
 アメリカは広島・長崎の原爆被害が日本国内外に漏れることを恐れて、1945年9月19日にGHQはプレスコードを指令し、言論・報道・出版などを規制したが、同年11月30日の「原子爆弾災害調査研究特別委員会」(10月24日発足)の第1回報告会の席上、GHQ経済科学部の担当官は、日本人による原爆災害研究はGHQの許可を要すること、またその結果の公表を禁止する旨通告している。
 1945年9月14日には学術研究会議(会長林春雄)は「原子爆弾災害調査研究特別委員会」を設置することを決定した。これは文部省科学教育局、学術研究会議、理研の仁科芳雄が検討してきた結果であった。
 アメリカと日本側の打ち合わせ会議は9月22日東京帝国大学医学部で開かれ、「日本に於ける原子爆弾の影響に関する日米合同調査団」が設立された。
 この「合同調査団」は日本側の命名であって、アメリカの正式な名称は「日本における原子爆弾の効果を調査するための軍合同委員会(The Armed Forces Joint Commission)」であり、アメリカの国益のための調査であった。
 事実それはオターソンが全権代表者であり、彼の指揮下のGHQ軍医団、ファーレル指揮下のマンハッタン管区調査団、都築正男東大教授指揮下の日本人研究者からなっていた。
 都築正男を初めとする原爆調査をおこなった日本人科学者は、戦争中の自身の行動から戦犯免責されることを願ってアメリカに積極的に協力し、調査報告は大部分がアメリカに提供されることになった。
 翌年にはABCCが組織され、原爆の「効果」を示すデータをアメリカが取得した。「原爆乙女」は治療と称して渡米するが、治療は行われず、原爆の影響のデータを取得されるだけであった。
 原爆投下は大規模な人体実験であったから、アメリカは投下後そのデータを組織的に収集したのであり、それでも不十分であったから、広島・長崎への原爆投下後1年を経ないうちに、日本への原爆投下と同じ米軍スタッフが南太平洋で核実験(クロス・ロード作戦)をやり、被爆した島民からデータをとるのである。
 その数年後、ビキニ環礁での水爆実験が第五福龍丸事件を起こすが、現在では福竜丸以外にも数百隻の日本漁船が被爆していることが分かっている。
 久保山氏死去をきっかけに原水爆反対運動が起こり、それを恐れた米国は、原子力の平和利用なるものを喧伝し、正力や中曽根や物理学者たちにより、原子力発電がはじまったことは周知のことであろう。
 2011年3月11日の福島の第1原発の爆発のときも、直ちに米艦を福島沖に派遣し、無人機を飛ばして放射線の拡大と人体への影響などを調査した。その艦隊の米兵が帰国後米国で被曝の補償を求めて裁判を起こしている。

 以上のべたように、アメリカの広島・長崎の原爆投下による無差別大量虐殺の責任は、いかなる理由を示そうが、免れるわけにはいかない。
 その戦争責任を問わなかったことが、アメリカが原水爆の実験を続行することを許し、「核抑止論」の名の下に各国が核兵器を開発することを誘発した。
 そしてアメリカの原爆投下の責任を問うことは、現実の世界の核状況に無知だからであると冷笑し、核兵器の速やかな廃絶なぞは夢物語だと冷笑する者には、人っ子ひとりいないすべてが破壊された放射能に包み込まれた地球の光景を想像はできないのだ。

 そんな政治学が経済学が歴史学に何の意味があるのだろうか。

 「核兵器は人類の罪だ」というほど欺瞞的な言葉はない。誰が落とした原爆かが問題なのである。「死が空から降ってきた」というほど欺瞞的な言葉はない。誰が空から死を降らせたかが問題なのである。
    2017年1月10日

<再掲> 緊急警告022号

 自衛隊明記は口実、9条全面改悪の突破口とするもの

 5月3日の憲法記念日、安倍首相は日本会議が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の改憲集会にビデオメッセージを寄せ、憲法9条に関して「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む、という考え方、これは国民的な議論に値する」「夏季のオリンピック・パラリンピックが開催される2020年を……新しい憲法が施行される年にしたい」とのべ、具体的改憲項目として、憲法9条改憲に踏み込んだ提起を行った。(憲法尊重擁護義務を負う首相がこのような改憲提起を行うこと自体の違憲性については緊急警告021号で指摘。安倍首相と安倍自民党総裁は不離一体であり、改憲提起に関する限り使い分けはできない。)
 これは9条3項に自衛隊を明記する加憲論として論じられているが、一部報道によれば、自民党は安倍首相の提起を受けて9条現行条文を維持したまま、新たに「9条の2」の別条を設け、ここに自衛隊を明記する方向で検討に入ったとのことである。
 「9条3項」加憲にせよ、「9条の2」加憲にせよ、具体的に案文が示されたわけではないので案文に沿った検討はできないが、いきなり本丸の9条改憲に手を付けてくることはないだろうとの大方の予想に反しての、安倍首相ならではの極めて危険な「クセダマ」である。案文が示されてからでは遅いので、その危険性について警告を発しておかなければならない。
 安倍首相はビデオメッセージで「例えば憲法9条です。今日、災害救助を含め命懸けで、24時間365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊の姿に対して、国民の信頼は9割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が今なお存在しています。『自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ』というのは、あまりにも無責任です。私は、少なくとも私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきであると考えます。」と述べた。
 このメッセージは、自衛隊に対する国民の信頼が「9割を超えている」という現状を踏まえた、自衛隊を合憲と考えている多くの国民(9条護憲派も含めた)の心に届く言葉である。
 これまでのところ、安倍首相の自衛隊明記改憲についての世論は「9条をいじるべきではない」とする国民の根強い反対もあって、「朝日」が賛成41%、反対44%、「毎日」賛成28%、反対31%、32%(わからない)、と賛否拮抗しているが、「読売」賛成53%、反対35%、「時事通信」賛成52%、反対35%と過半数が自衛隊明記賛成となっている。
 しかしこのままでは、具体的に改憲文案が提示され、大々的なキャンペーンが行われるならば、国民投票において賛成多数となる可能性は大きいと見ておかなければならない。
 それゆえ、この自衛隊明記の安倍9条加憲に賛成する国民の選択は極めて危険な間違った選択になるということを訴えたい。
 その理由の第一は、安倍9条加憲「自衛隊明記」は単なる口実であり、憲法9条全面改悪の突破口に過ぎないからである。自民党改憲草案に明記されているように、現行9条2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これをみとめない。」を全文削除し、自衛隊を軍隊としての「国防軍」(「草案」第九条の二)とするための突破口なのである。自衛隊を大切に思う国民の自衛隊明記の選択が、自衛隊とは異なる「国防軍」という軍隊を選択することになるのである。
 第二は、これはこれまでの自衛隊(集団的自衛権行使を容認した安保法制成立以前の)を合憲と考える大多数の国民の見解に立っての立論であるが、現行憲法第9条に明記されようとしている自衛隊は、安倍内閣によって集団的自衛権容認の7・1閣議決定がなされ、安保法制強行成立によって集団的自衛権行使を付与された自衛隊なのであり、「専守防衛」の「戦力」ではない自衛隊であることによってかろうじて維持されてきた合憲の自衛隊が、あらためて憲法違反の自衛隊となってしまったのである。このあらためて憲法違反となってしまった自衛隊を9条3項として(あるいは九条の二として)書き加えることなど不可能なことである。
 何故ならそれは、「専守防衛」を破り集団的自衛権行使によって他国の戦争にまで参加する自衛隊は、明白に現行9条1項(戦争の放棄)、2項(戦力及び交戦権の否認)と対立し、相反するからである。
 第三は、しかし論理の矛盾など意に介さない安倍政権はこれを強引に遂行するであろう。その時、現行憲法9条1項、2項は完全に無効化され、憲法に明記された集団的自衛権行使の「自衛隊」が独り歩きを開始することになる。
 独り歩きを開始した「自衛隊」は、「集団的自衛権」行使の戦争参加により限りなく軍隊としての性格を強め、軍隊としての扱いを要求してくる。結果は第二、第三の9条改憲をもたらし、自民党改憲草案がめざす「国防軍」に行き着く。
 第四は、「集団的自衛権」行使容認の安保法制が成立させられ、南スーダンに派遣された自衛隊に「駆けつけ警護」が付与されたことなどによってその兆候が現れはじめたのであるが、ひとたび「集団的自衛権」行使の戦争参加が行われるならば、「自衛隊」に応募する青年は激減する可能性がある。その結果もたらされるのは「徴兵制」である。
 第五は、「自衛隊」が「集団的自衛権」行使によって他国の戦争にまで参加するということは、国内が戦争体制下となるということなのであり、その結果、国民の基本的人権がさらに制約され、自由と民主主義が失われるということである。
 すでに安倍政権下で教育基本法改悪、盗聴法改悪、特定秘密保護法制定、安保関連法制定、「共謀罪」制定と、国民の基本的人権を制約する悪法が次々と成立させられてきたが、すべてはこの戦争体制構築のためと言わなければならない。そして今また、「大規模な自然災害」への対処を口実とした「緊急事態条項」(自民党改憲草案第98条、99条)の制定が着手されようとしている。これはナチスが全権を掌握した「全権委任法」と同質のもので、国民の自由と民主主義を圧殺し、政権の独裁を招くものである。

 自民党は安倍首相の9条自衛隊明記の提起を受けて6月6日、「憲法改正推進本部」会議を開き、年内をめどに(後に秋の臨時国会までと前倒しされた)党としての改憲案を取りまとめることを確認するとともに、具体的な改憲項目として、①9条に自衛隊の根拠規定を追加、②大規模災害時に国会議員の任期を延長する緊急事態条項の創設、③幼児教育から高等教育までの無償化、④参院選挙区の「合区」解消の4項目をかかげた。ここにはしっかりと最も恐ろしい「緊急事態条項」の創設が取り上げられているのであり、9条加憲に目を奪われて見過ごしてはならないものである。

完全護憲の会ニュースNo.44 2017年8月10日

             <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>

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          ホームページ:http://kanzengoken.com/
            
     目次  第43回例会・勉強会の報告          P.1
         第40回運営・編集委員会の報告(略)     P.1
         別紙 1 政治現況報告            P.2
         別紙 2 事務局報告             P.3
         緊急警告022号 自衛隊明記は口実、
              9条全面改悪の突破口とするもの(案) P.6
         勉強会 日本の核政策をめぐる「虚像」と「実像」(略)            
            
            
         第43回 例会・勉強会の報告

 7月23日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で開催、参加者11名、会員56名。
 司会を草野編集長が担当し、まず「政治現況報告」(別紙1)が代読されたのち、「事務局報告」が行われ、これらの報告をめぐり次のような意見が交わされた。
 「『事務局報告』に最高裁で上告を棄却された珍道世直氏と訴訟代理人弁護士代表・辻公雄氏の『最高裁決定に対する共同意見表明』が掲載されている。これは上告棄却に際し、原告側より司法記者クラブ各社に配布され、並行して大手6社宛にファックス送信されたものだが、この『意見表明』はどの社にも掲載されなかった。これこそ原告が最も訴えたかった問題であるのに。その内容は、最高裁が『違憲審査権』を現在放棄しているが、憲法にもとづき、憲法裁判所型『抽象的違憲審査制』を裁判所が今後行使することを訴え、裁判所法の改正などによる、その具体的な道筋を明示しているものだ。この『意見表明』はわが会の今後の活動にたいする貴重な指針になろう」「具体的な争訟制を持つ違憲については、保育所から人権の問題に至るまですべてが憲法裁判になっている」……

 「今回の『政治状況報告』は明快で、岡部氏に感謝したい」「都議会選挙のあと都民ファーストの代表に復帰した極右の野田数が六本木で豪遊したという記事がある」「民進党の野田(佳彦)幹事長が辞任するとのうわさがある。彼は民主党をつぶした戦犯だ」「蓮舫代表は原発を30年代になくす方針を取り下げて評判を落とした」「東電役員を訴える裁判がやっと始まった」「石原慎太郎を選んだ都民を当てにしていなかったが、都議会自民党は大敗した」「安倍を切る動きが自民党でも始まった」「歴史的チャンスだ」「前川前文科省次官の発言がきっかけになった」「私たちが憲法違反と考える共謀罪が法律になり、その法律に私たちが縛られるのか」「憲法を日本の最高法規として行動し続ける必要がある」「野田数氏は明治帝国憲法の復活を図っている」「安倍政権を打倒した後、日本とアジアの平和をどう作ってゆくのか」「岸信介のような戦犯の亡霊(孫)を、主権者である国民が許しているところに問題がある」「小沢自由党首の唱えるオリーブの木連合は護憲を軸に展望を開くべきだ」……

 ついで15:00から勉強会に入り、「日本の核政策をめぐる『虚像』と『実像』」について、飯島滋明・明治学院大学教授からパワーポイントを使った報告があり(添付ファイル)、核兵器禁止をめぐる日本政府の二心ある恥ずべき態度と、国連における核兵器を持たない国々による真摯な条約への取り組みが報告され、その後の質疑応答では、この条約の効力について、その実効をさらに広げる展望が示された。
         
当面の日程について
 1)第44回例会・勉強会   8月27日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 2)第41回運営・編集委員会 8月30日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
 3)第45回例会・勉強会   9月24日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 4)第42回運営・編集委員会 9月27日(水)14:00~ 港区立勤労福祉会館

<別紙 1>
            政治現況報告
                   岡部太郎(共同代表) 2017年7月23日

 7月2日投開票の東京都議会議員選挙の驚きの結果は、津波のように全国へ広がっていった。国会では安倍政権の一強、都議会では第一党57議席の自民党はマイナス34議席の23議席の歴史的惨敗。小池都知事の新党・都民ファーストは55人(無所属6人を含む)で、選挙協力を組んで23人全員当選の公明党などと合わせ、過半数の64を越える79議席という圧勝だった。また共産党は1議席増やして19議席。民進党は現有7議席を2議席減らす5議席と壊滅的だった。なぜ都議会自民党は惨敗したのか。原因は①小池都知事への期待と圧倒的な集票力、②自民党との選挙協力を解消した公明党と都民ファーストの選挙協力、③一強の力に頼った安倍政権の強引な国会運営と、おごる自民党の数々のミス。特に選挙後半に集中した加計学園問題や「共謀罪」の採決強行、豊田真由子衆院議員の秘書殴打事件、稲田防衛相の憲法違反とも云える自衛隊の名を使った投票依頼、自民都連会長の下村幹事長代行の加計学園からの寄付などの暴露に国民の怒りが集中した――ことなどであろう。恐らくこの三つの要因のどれが突出したと云うのではなく、この三つがからみ合って、こんな大差になったと思う。特に選挙の応援演説の要請がなかった安倍首相が、初めて応援に立った投票前日の秋葉原で、聴衆から「帰れ!」「安倍辞めろ!」の怒号で迎えられたシーンは、今選挙の象徴だった。国民は怒っていたのだ。
 2月の千代田区長選で、都民ファーストの候補が、自民党候補の7倍も票を獲得して圧勝したものの、7月時点では小池ブームも少し下火になっていると思われていたが、全くの杞(き)憂だった。国民は、主権者である国民や国会をバカにするように無視し続けた安倍首相と自民党への反撃の機会を狙っていたのだ。別に小池知事や都民ファーストでなくても良く、逆転の受け皿となるものであれば、何でも良かった。自民党が獲得議席だけでなく、得票率でも、当選率でも過去最悪だったことが、それを物語っている。
 2009年都議選で自民145万8千票(25.87%)→今回126万票(22.52%)当選率65.52%→38.33%。
 また自民党は公明党との選挙協力によって衆参両院でも地方議会でも過半数を維持してきた。自公の選挙協力がなくなれば自民が一挙に過半数を割るとの試算もあった。それが現実となった今、公明党の今後が、政局で一番注目されることになろう。山口那津男党首は衆参両院選挙の自公選挙協力は別としながらも安倍首相の主張する臨時国会での憲法改正には「内閣が改憲を云うのは筋が違う」と少し距離を取り始めた。都民ファーストも都議選での大勝をテコに、国政選挙や他の地方選挙にも関心を示し始めた。何しろ出口調査で3人に1人が都民ファーストに投票しており、これを衆院の東京選挙区に当てはめると小選挙区では都民13、自民11、比例区では都民7、自民4で、合計都民20、自民15で都民がリードする(自公選挙協力の場合)。もちろん、自公選挙協力が解消すれば、結果はこんな数ではすまなくなる。
 安倍首相は選挙結果を自民におごりがあったとし、「大いに反省」と云っているが、選挙後の世論調査では、内閣支持率がいずれも先月より10%程度下降し、朝日で支持33%女性では 27%(不支持47%)、特に加計問題の政権の解明姿勢では「評価せず」が74%になった。安倍政権はこれに危機感を持ち、前川前文科省次官を参考人とする閉会中審査を11日に開いたほか、今月中に安倍首相も出席する予算委員会で加計集中審議を開くほか、8月初めには党・内閣改造をして反転攻勢に転じたいとしている。
 しかし、これまでは一度下がった内閣支持率が「他よりまし」と、しばらくすれば回復したのに対し、今回は不支持の理由が「首相が信用できない」が61%でトップになっており、加計問題も森友問題も安倍首相夫妻自身のスキャンダルで、回復は難しいとの見方も強い。
 このように都議選自民大敗の政局への影響は目を離せないが、これまでの都議選でも、大敗のあとの国政選挙では、いずれも与野党が逆転。政局転換が行われている。1993年の都議選では巨額脱税事件や党分裂で42議席の現状維持にとどまり、2議席から20議席へと大幅に議席を伸ばした日本新党が、その後の参院選でも35議席を獲得、8党連立の細川内閣が誕生した。前々回の2009年の都議選では自民が38議席と惨敗。民主党は54議席で第一党となり、直後の衆院選で圧勝して民主党政権を実現した。現在の衆院議員の任期は来年の末で、それまでに解散・総選挙がある。安倍自民党は野党の選挙体制が整わぬうちと、今年中に解散する手もなきにしもあらずだが、小手先のことに走るとシッペ返しを受ける可能性も高い。やはり来年に向けて党への信頼を回復することしか無さそうだ。

<別紙 2>
          第43回例会 事務局報告
                    福田玲三(事務局長) 2017年7月23日
1) 来信より

① 私の「閣議決定・安保法制違憲訴訟」につきましては、いつも大きなお励ましとアドバイスを賜り心から感謝いたしております。
 昨日30日午後2時ごろ、「最高裁決定」(本件上告を棄却する)が突然送達されました。東京司法記者クラブに情報提供するため、送り文を作成すると共に、弁護士代表と協議した「意見表明」と「最高裁決定文」を整えて、別添のとおり、午後4時ごろ、司法記者クラブ各社に配布していただくよう、幹事社にFAXで依頼いたしました。
 並行して大手6社宛にも、こちらからFAX送信いたしました。
 昨日は、東京地裁で東電会長らの福島事故初公判など、大きな裁判があったのと、資料提供が遅かったため、本日の朝刊には貼付の2社のみの掲載となりました。意見表明は、掲載には至りませんでした。
 今回の「最高裁決定」の理由は、全く意味不明で、理解することも承服することも出来ません。
憲法審査について裁判所は、機能不全に陥っているように私には思われます。
 これで、私の裁判闘争は終わりでございます。後は、全国19地裁に提訴されている「集団訴訟」で、最高裁が違憲審査権を行使するかどうかです。司法が歴史的使命を果されるよう心から希求致しております。
 完全護憲の会の皆様には、今日まで大変なお励ましとご指導にあずかり、心から感謝いたしております。本当にありがとうございました。
 先ずは、取り急ぎご報告申上げます。   珍道世直

<別添:「意見表明」>

最高裁決定に対する上告人珍道世直、訴訟代理人弁護士
代表 辻 公雄共同意見表明 (平成29年6月30日)

最高裁は「違憲審査権」を放棄
憲法の条規に基づき、憲法裁判所型「抽象的違憲審査性」の行使を

1. 国是(集団的自衛権の禁止・専守防衛)の大転換をもたらす本件「閣議決定」「安全保障法制」について、国会の内外・国民の間に「違憲」「合憲」が対立して国家的大問題となっている時、最高裁が、地裁・高裁が判断して却下した「具体的争訟性」に固執して、上告を棄却し、「憲法適合性」を審査されない決定を下されたことは、正に、「違憲審査権」を放棄したに等しい。

2.裁判所は、憲法の条規により「一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する」とされており、司法裁判所型違憲審査制(付随的違憲審査制)のみならず、憲法裁判所型違憲審査制(抽象的違憲審査制)を含め、一切の憲法判断を行う権限が与えられている。
 同時に、裁判所の「裁判」する権限は、国民の「裁判所において裁判を受ける権利」と表裏の関係にあり、国民の訴えに応えて、これをすべき職責を負っている。

 (参考)関係法令
・憲法第32条(裁判を受ける権利)何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

・憲法第76条(司法権・裁判所)①すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。②特別裁判所は、これを設置することができない。③すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

・憲法第81条(法令審査権と最高裁判所)最高裁判所は、一切の法律、命令規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

・憲法第98条(最高法規)この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、
命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部 は、その効力を有しない。

・憲法第99条(憲法尊重擁護の義務)天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、
裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
・裁判所法第3条(裁判所の権限)裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。

3.しかし、裁判所は今日まで、警察予備隊違憲訴訟に係る昭和27年10月8日最高裁大法廷判決に基づき、「裁判所は、具体的事件を離れて抽象的に法律命令などの合憲性を判断する権限を有するものではない」(具体的争訟性がなければ裁判の対象とならない)として、裁判所の実務において、「付随的違憲審査制」のみがとられ、憲法裁判の大部分が「具体的争訟性」がないとして却下、棄却されてきた。

4.「具体的争訟性」については、先に挙げた憲法及び法律に条規されていない。警察予備隊違憲訴訟に係る最高裁大法廷判決が、憲法及び法律の上位に位置づけられ、以来64年間、当該判例が踏襲されてきた。
 これは法理の逆転であり、憲法に違背する。
 裁判所は、この法理の逆転を正し、憲法の条規に基づき、裁判所の実務において、抽象的違憲審査制の行使に取組むべきである。

5.現憲法及び現裁判所法のままでも、その意思さえあれば、「抽象的違憲審査制」を行使することが出来るが、現状、上告件数の膨大さから、実務において行使する事が困難であるなら、裁判所法及び最高裁判所裁判事務処理規則を改正し、最高裁判所の組織及び裁判官の定員を拡充するなどして、可能な限り早期に「抽象的違憲審査制」の行使に取組むべきである。

6.裁判所法等改正(案)提言
(1)裁判所法改正(案)
  ・(現行第5条一部改正)最高裁判所判事の員数(除最高裁判所長官)を14人から18人にする。
  ・(新設)最高裁判所に、通常の上告事件を審査する「上告部」と憲法適合性
を審査する「憲法部」を設ける。
(その下に、現行第9条の大法廷・小法廷を置く)

(2)最高裁判所裁判事務処理規則改正(案)
 ・(新設)「上告部」の判事は9人、「憲法部」の判事は9人とする。
 ・(現行第8条一部改正)各部大法廷では、最高裁判所長官を裁判長とする。
 ・「上告部」「憲法部」の小法廷の裁判官の員数、必要出席者数などについて必要な規則改正を行う。

② 都議選自民党の大敗(について)、護憲派としては都民ファーストの大勝を喜んではいられません。
 小池さんが日本会議メンバーなのはもちろんですが、7月3日に都民ファーストの代表に戻った野田数は極めつけの右翼です。
 都民ファーストが都政に専念しているならいいけれど、憲法改正の動きが具体的になれば、小池-野田がマスコミと組み、改憲の流れを加速しかねません。完全護憲の会は都民ファーストを改憲勢力として監視していくべきでしょう。
 以下、朝日新聞やリテラから野田数情報の要旨をまとめました。 (川本久美恵)

 野田氏は2012年、「戦勝国におしつけられた」日本国憲法を無効とし、大日本帝国憲法の復活を求める請願を紹介議員として提出。請願書には、「交戦権のない占領憲法ではなく、帝國憲法に基づく正当な防衛であることを認識し」て領土を防衛し、占領された場合は「速やかに奪還」するべきとあるほか、「我々臣民としては、国民主権といふ傲慢な思想を直ちに放棄して、速やかに占領典範と占領憲法の無効確認を行つて正統典範と正統憲法の現存確認を」する必要があるなどと書いてある。
 彼は早稲田大学を卒業し教科書を作る出版社に就職するも、歴史教科書のあり方に同意できず1ヶ月で辞め政治の道に進む。2000年の衆院選で保守党から立候補し落選、保守党の花形議員小池百合子の秘書を経て出身地の東村山市議を2期、09年には自民党公認で都議に初当選した。
 一貫して歴史修正主義で、「従軍慰安婦問題は存在しない」、「日本の戦争は侵略ではなく、自衛のための戦争だった」、「南京虐殺を歴史教科書から削除」すべきなどと主張。新しい歴史教科書をつくる会から分派した日本教育再生機構の常任理事も務めた。12年衆院選には「日本維新の会」公認で立候補したが落選。同年には石原都知事の尖閣諸島購入に賛成し国会議員の「尖閣視察団」に参加した。「北朝鮮および在日朝鮮人組織への一切の支援を断ち、圧力を強めるべき」とも主張する。
 最近はアントニオ猪木から公金1100万円の横領疑惑や六本木ハレンチ豪遊が話題になっている。
 (http://www.asahi.com/articles/ASK5D4VSGK5DUTIL01L.html、
  http://lite-ra.com/2017/07/post-3291.html)

③ 今回は、シリーズ4『明治帝國憲法下のくらし』、美しい小冊子にまとめられ、……濱口さんのすばらしい詩など、それに、明治憲法下での貴重で、親しみのある資料、旧憲法、教育勅語、軍人勅諭、戦陣訓など、手近かに見ることができて重宝です。是非多くの人たちに見ていただきたいと存じます。シリーズNo.4の美しい小冊子をみて、小生も、いつかこのようなものをつくりたいとの気持ちになり、大いに励まされました。(大阪府・S氏)

④ お送りくださった「明治帝國憲法下のくらし」は「戦陣訓」や、今はなかなか見ることもできない法律など掲載されていて、勉強になります。「教育勅語」など学校で暗記させられたものでした。(静岡県・U氏)

⑤ うそつき官邸 (「もしもし亀よ」のメロディーで)

うそつき うそつき 安部首相 うそつき うそつき 空恵さん
鹿児池 加気さん 親友で 森友学園 大好きで
国のお金を横流し ポンと寄付金百万円
口を拭って知らぬ顔 子供はパクパク御名御璽

夫婦そろって うそつきで うそを言わない前河さん
菅原官房長官と 文科省の元次官
密室ひそかに口合わせ ないとは言わない男伊達
厚さ何寸 面の皮 首相になってほしい人
(ゆき・ゆきえ)

2)勉強会の講師

 第39回運営・編集委員会できまった勉強会:「国連・核兵器禁止条約」の講師は、先に「国連・平和への権利宣言」の講師、飯島滋明先生に再度お願いできることになった。

3)集会の案内
(ご参考:イベント告知サイト、レイバーネットのイベントカレンダー labornetjp.org/EventItem)

1.第7回平和学習会――報告・宇井宙「9条3項加憲論を考える」
   8月12日(土)13:30~16:30
   東京ボランティア市民活動センター 会議室C  (JR飯田橋駅隣・セントラルプラザ)
2.第21回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会――第1回口頭弁論に向けて
   8月25日(金) 13:30~16:30 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分)
   参加費:200円
3.『週刊金曜日』東京南部読者会
   8月25日(金)18:30~20:30 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)

緊急警告022号 自衛隊明記は口実、9条全面改悪の突破口とするもの(案)

 5月3日の憲法記念日、安倍首相は日本会議が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の改憲集会にビデオメッセージを寄せ、憲法9条に関して「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む、という考え方、これは国民的な議論に値する」「夏季のオリンピック・パラリンピックが開催される2020年を……新しい憲法が施行される年にしたい」と述べ、具体的改憲項目として、憲法9条改憲に踏み込んだ提起を行った。(憲法尊重擁護義務を負う首相がこのような改憲提起を行うこと自体の違憲性については緊急警告021号で指摘。安倍首相と安倍自民党総裁は不離一体であり、改憲提起に関する限り使い分けはできない。)
 これは9条3項に自衛隊を明記する加憲論として論じられているが、一部報道によれば、自民党は安倍首相の提起を受けて9条現行条文を維持したまま、新たに「9条の2」の別条を設け、ここに自衛隊を明記する方向で検討に入ったとのことである。
 「9条3項」加憲にせよ、「9条の2」加憲にせよ、具体的に案文が示されたわけではないので案文に沿った検討はできないが、いきなり本丸の9条改憲に手を付けてくることはないだろうとの大方の予想に反しての、安倍首相ならではの極めて危険な「クセダマ」である。案文が示されてからでは遅いので、その危険性について警告を発しておかなければならない。
 安倍首相はビデオメッセージで「例えば憲法9条です。今日、災害救助を含め命懸けで、24時間365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊の姿に対して、国民の信頼は9割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が今なお存在しています。『自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ』というのは、あまりにも無責任です。
 私は、少なくとも私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきであると考えます。」と述べた。
 このメッセージは、自衛隊に対する国民の信頼が「9割を超えている」という現状を踏まえた、自衛隊を合憲と考えている多くの国民(9条護憲派も含めた)の心に届く言葉である。
 これまでのところ、安倍首相の自衛隊明記改憲についての世論は「9条をいじるべきではない」とする国民の根強い反対もあって、「朝日」が賛成41%、反対44%、「毎日」賛成28%、反対31%、32%(わからない)、と賛否拮抗しているが、「読売」は賛成53%、反対35%、「時事通信」賛成52%、反対35%と過半数が自衛隊明記賛成となっている。
 しかしこのままでは、具体的に改憲文案が提示され、大々的なキャンペーンが行われるならば、国民投票において賛成多数となる可能性は大きいと見ておかなければならない。
 それゆえ、この自衛隊明記の安倍9条加憲に賛成する国民の選択は極めて危険な間違った選択になるということを訴えたい。
 その理由の第一は、安倍9条加憲「自衛隊明記」は単なる口実であり、憲法9条全面改悪の突破口に過ぎないからである。自民党改憲草案に明記されているように、現行9条2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」を全文削除し、自衛隊を軍隊としての「国防軍」(「草案」第九条の二)とするための突破口なのである。自衛隊を大切に思う国民の自衛隊明記の選択が、自衛隊とは異なる「国防軍」という軍隊を選択することになるのである。
 第二は、これはこれまでの自衛隊(集団的自衛権行使を容認した安保法制成立以前の)を合憲と考える大多数の国民の見解に立っての立論であるが、現行憲法第9条に明記されようとしている自衛隊は、安倍内閣によって集団的自衛権容認の7・1閣議決定がなされ、安保法制強行成立によって集団的自衛権行使を付与された自衛隊なのであり、「専守防衛」の「戦力」ではない自衛隊であることによってかろうじて維持されてきた合憲の自衛隊が、あらためて憲法違反の自衛隊となってしまったのである。このあらためて憲法違反となってしまった自衛隊を9条3項として(あるいは九条の二として)書き加えることなど不可能なことである。
 何故ならそれは、「専守防衛」を破り集団的自衛権行使によって他国の戦争にまで参加する自衛隊は、明白に現行9条1項(戦争の放棄)、2項(戦力及び交戦権の否認)と対立し、相反するからである。
 第三は、しかし論理の矛盾など意に介さない安倍政権はこれを強引に遂行するであろう。その時、現行憲法9条1項、2項は完全に無効化され、憲法に明記された集団的自衛権行使の「自衛隊」が独り歩きを開始することになる。
 独り歩きを開始した「自衛隊」は、「集団的自衛権」行使の戦争参加により限りなく軍隊としての性格を強め、軍隊としての扱いを要求してくる。結果は第二、第三の9条改憲をもたらし、自民党改憲草案がめざす「国防軍」に行き着く。
 第四は、「集団的自衛権」行使容認の安保法制が成立させられ、南スーダンに派遣された自衛隊に「駆けつけ警護」が付与されたことなどによってその兆候が現れはじめたのであるが、ひとたび「集団的自衛権」行使の戦争参加が行われるならば、「自衛隊」に応募する青年は激減する可能性がある。その結果もたらされるのは「徴兵制」である。
 第五は、「自衛隊」が「集団的自衛権」行使によって他国の戦争にまで参加するということは、国内が戦争体制下となるということなのであり、その結果、国民の基本的人権がさらに制約され、自由と民主主義が失われるということである。
 すでに安倍政権下で教育基本法改悪、盗聴法改悪、特定秘密保護法制定、安保関連法制定、「共謀罪」制定と、国民の基本的人権を制約する悪法が次々と成立させられてきたが、すべてはこの戦争体制構築のためと言わなければならない。そして今また、「大規模な自然災害」への対処を口実とした「緊急事態条項」(自民党改憲草案第98条、99条)の制定が着手されようとしている。これはナチスが全権を掌握した「全権委任法」と同質のもので、国民の自由と民主主義を圧殺し、政権の独裁を招くものである。

 自民党は安倍首相の9条自衛隊明記の提起を受けて6月6日、「憲法改正推進本部」会議を開き、年内をめどに(後に秋の臨時国会までと前倒しされた)党としての改憲案を取りまとめることを確認するとともに、具体的な改憲項目として、①9条に自衛隊の根拠規定を追加、②大規模災害時に国会議員の任期を延長する緊急事態条項の創設、③幼児教育から高等教育までの無償化、④参院選挙区の「合区」解消の4項目をかかげた。ここにはしっかりと最も恐ろしい「緊急事態条項」の創設が取り上げられているのであり、9条加憲に目を奪われて見過ごしてはならないものである。

完全護憲の会ニュースNo.43 2017年7月10日

            <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>

         連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
             電話・FAX 03-3772-5095
             Eメール:kanzengoken@gmail.com
             ホームページ:http://kanzengoken.com/

      目次  第42回例会・勉強会の報告         P1
          第39回運営・編集委員会の報告(略)
          別紙 1 政治現況報告          P2
          別紙 2 事務局報告           P3

          第42回 例会・勉強会の報告

 6月25日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で開催、参加者7名、会員58名。
 司会を草野編集長が担当し、まず「政治現況報告」(別紙1)が代読され、この報告をめぐり次のような意見が交わされた。
 「印刷されている『政治現況報告』は読みやすい。冊子シリーズNo.4は余白が少なくて読みにくい。読んでいて疲れる」「都議会議員選挙では、都政について、生活に密着している問題について訴えるべきだ。国政問題だけでは票をさらわれる」「若者の間に自民党支持が多いし、棄権も多い」「若者も様々で、レッテル貼りをしない方がいい。無関心の人をどう取り込むか。危険を訴えてもオオカミ少年として遠ざけられ、声を荒げても伝わらない。ゆっくりと地味に話すしかない」「小池ブームの行き先を考えると絶望的だ。共産票が小池に流れて減るとの話もある」「前川前文部次官の二度目の記者会見報道が、市川海老蔵夫人死亡のニュースに一斉に切り替えられた」「官僚が官邸に反旗をひるがえし始めた」「自民党石破氏の発言が特異だ」「9条加憲問題を政治状況報告に入れてほしかった。なぜ自衛隊を憲法に書き込まなければならないのか。大蔵省が財務省になっても憲法に書き込むわけではない」など。
 次いで事務局報告(別紙2)が福田事務局長から行われた。その後の勉強会は、9条加憲その他、当面の課題について、次のような意見交換が行われた。
 「いずれ国連軍を創設し、各国の紛争に介入し、平和維持にあたらせるべきだ」「自衛隊を合憲と云い切れる人がどれだけいるだろうか」「自衛隊を災害救助隊と国境警備隊に分けるべきだ」「9条の加憲提案は安倍首相の厚顔無恥を象徴している。その2項と自衛隊が背反していることは一目瞭然だ。臨時国会を召集させ、加計問題を追及し、政府に加憲を提起できなくさせることだ」「風待ちではなく、9条加憲に論理的に反論し、また感情的な説得の方法を探るべきだ」「北朝鮮問題では、南北連邦国家を目指し、米朝平和条約を結ばせることが大切。野党はこぞってアジア諸国を歴訪し、東アジア共同体を実現させたい。安倍を理論的に批判したい。たとえば『われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を廃止する』(前文)を活用すべきだ」「韓国の朴槿恵が弾劾されたのも便宜供与と憲法を守らないことからだ。安倍は憲法秩序から浮いている」など。

<別紙 1 >      政治現況報告

                     岡部太郎(共同代表) 2017年6月25日

 平成28年度の通常国会は会期の延長もなく、6月18日150日間の会期を終了した。強引な安倍内閣は、今国会に成立させる重要法案として、戦前の治安維持法の再現とされる「共謀罪」(組織的犯罪処罰法改正案)の成立を目指していたが、衆議院の強行採決に続き、参議院では、委員会での採決を省略、本会議で中間報告を求め、全く違法づくめの中で、14日、自民・公明・維新の会の賛成多数で可決成立した。この法案は提出の当初から、金田法相の答弁が二転三転した上、内容そのものも「心の中の自由を侵害するもの」「準備段階で逮捕するのは、実行刑の日本刑法の原則に合わない」「対象が不明確」など多くの不安があり、それに全く答えていない。安倍首相は「一般人は対象にならない」と力説するが、治安維持法も初めは「庶民が対象になることはない」と云いながら、最後は左翼系の本やパンフレットを持っているだけで、逮捕され、拷問まで受けた。官憲とはそう云うものだ。
 この法案では日本が「監視社会」「密告社会」になる可能性がある。
 委員会採決でなく、本会議での中間報告になったのは、参院の法務委員長が公明党で強行採決に慎重だったためで、戦前、治安維持法で弾圧された創価学会が共謀罪成立に手を貸したのは不可解である。また国連の人権委員会のケナタッチ氏が首相に対し、同法にプライバシー保護の規定がないと修正を迫ったのに対し、日本政府は黙殺したまま。安倍首相は閉会の翌日の記者会見で、形だけは反省して見せ、「国民には今後十分説明する」と語った。しかし、集団的自衛権でも安保法制でも、強行採決のあとは国民に納得のゆく説明は一切ない。安倍氏には民主政治家としての資質が全く欠如しているようだ。
 政府・自民党が大あわてで国会の幕をおろしたもう一つの要因は、安倍さんのお友達の学校、岡山の加計学園の獣医学部新設問題だ。昭恵夫人の大阪・森友学園スキャンダルもまだ結論が出ないが、加計問題は文部科学省の前川前次官が、文書の存在を確認しただけだが影響は大きかった。最初は「問題の文書は見つからなかった」と云っていた。しかし同省内部で前川同調者が出るなどして、シラを切ることができなくなり、再調査の結果、16日、松野博一文科相が「総理のご意向」「官邸の最高レベルが云っている」などの内容のある文書14点が見つかったと発表した。
 また官邸側・内閣府のこの問題の担当者は首相の最側近、萩生田光一官房副長官で、首相の強い意向を示したものだった。これを受けて内閣府担当の山本幸三地方創生担当相も同省に文書の所在確認を指示。こちらも8点を確認したが、「総理の意向を示すものはなかった」と否定。二つの省の調査結果が大きく食い違った。野党はこのため関係者の証人喚問や予算委員会での集中審議を求めている。
 このように安倍一強の自民党も思わぬほころびが見られ、誰が見ても不自然な強弁だけに世論の反感も強い。19日に発表された各紙の世論調査でも、内閣支持率はいずれも10ポイント以上も落ち込んでいる。東京新聞加盟の共同通信の調査では内閣支持率は44・9%(前回55・5%)不支持率43・1%(34・5%)。朝日新聞は支持率41%(前回47%)不支持率37%(31%)また毎日新聞は支持率が33%まで下がっている。その他、東京新聞では加計学園の安倍説明は「納得できない」は73・8%。共謀罪の採択は「よくなかった」67・7%。「政府は十分説明したか」そうは思わない81・3% 思う12・5%。朝日新聞も加計問題の首相説明に「納得できない」(66%)「納得」(18%)。週刊誌はもっと激しく、文春は前川証人喚問賛成86%反対18% 安倍内閣支持率22%不支持78%だった。
 そのほか今国会では現天皇の老齢退位の意向を受け、国会は天皇退位特例法を成立させた。3年以内に退位、200年ぶりに上皇が誕生する。天皇は皇室典範改正で恒久的に退位できることを希望されていたが、安倍首相は一世一代の皇室にこだわり、特例法にした。昔なら不忠の臣だ。実際は来年末で退位。元号も変わり、皇太子が正月に即位する。
 政府与党が通常国会をいち早く店仕舞いしたいもう一つの理由は、東京都議選が23日告示、7月2日投票で実施されるからだ。都議会の自民党は過半数はないものの第一党であるが、昨年の都知事選で小池百合子氏が無所属で当選して以来、少し情勢が変わって来た。小池知事は「都民ファースト」を旗印に、自民党のボス政治を攻撃。特に築地市場を豊洲市場へ移転する計画が汚染など計画通りに出来ていないことを追及。石原元都知事の計画を白紙に戻すなど、改革を進めた。特に2月に行われた千代田区長選では、小池氏が押した現職の石川雅己氏が、自民党の推す新人に7倍もの大差で圧勝。小池旋風が巻き起こった。市場問題の決定が遅れるなど、少し勢いは下火になったものの、それでも東京新聞の都内調査では「都民ファースト」22%、自民党17%の支持で小池新党がリードを保っている。
 特に大きいのは、これまで自民党と選挙協力をしてきた公明党が、都議選に限るとはいえ、都民ファーストと選挙協力の約束を交わしたこと。民進党の候補の半数近くが小池新党に流れたことなど、都民ファーストが都議会の過半数を握ることも十分考えられる。
 小池新党への自民からの移籍が11人、民進から5人(選挙協力8人)、政治経験のないものも11人おり、実力は未知数。投票の結果が待たれる。

<別紙 2 >     第42回例会 事務局報告

  福田玲三(事務局) 2017年 6月25日
1)来信より

1 先日護憲の会からシリーズNo.4、「明治帝國憲法下のくらし」頂きました。私はこのところ関係している事件(中国人強制連行事件、原発避難者事件、各種じん肺事件)などが山積しており、ご返事が遅くなりましたが、このパンフ10冊戴きたいと思います。……
皆さんが書かれた内容にも感動しましたが、明治憲法の外、教育勅語なども掲載されているのが何よりです。若い弁護士などは何も知らないのが実情です。このパンフを身近な若い弁護士に渡して、反応を見ると同時に、更に広く普及したいものと考えています。(M弁護士)
2 このたびは『明治帝國憲法下のくらし』をご恵送に預かり、誠にありがとうございます。解説は的確でたいへんわかりやすく、また資料も充実しております。さすが「完全護憲の会」の錚々たる方々が手がけていらっしゃるだけあります。……
 「幼にしては親に従い、嫁しては夫に従い、老いては子に従え」という儒教に基づく三従の教えに縛られた社会で、お母様が悩み、苦しまれた姿が、リアルに伝わりました。そんな中でもお母様の子どもを思う気持ち「5人の子5本の指になぞらえて母の願いは落ちなき幸ぞ」は宝石のように輝いて見えます。
 過去の話というよりも、どこかで自分に繋っていると感じられ……(お母様が手紙を書いては泣き、泣いては書きしているときの……お母様とのやりとりは何よりも印象的です)。それとも、いまの女性たちに、程度の差は違いはあるにせよ同様の葛藤があるからでしょうか。
 14条、あるいは24条についての普遍的な価値を、いまさらながらかみしめる次第です。(雑誌編集者・K氏)
3 活動に敬意を表します。(京都府・k氏)
4 大変良い資料を送っていただき有難う。教育勅語は現代語訳を併記していただけたらもっと良かったのに残念です(H氏・埼玉県)
5 最近よく若い人たちから聞くことなのですが、今の憲法は米国から押し付けられたものだから日本人の憲法ではないというのです。父から聞いていた話では当時……何らかの考えを持っていた人々はことごとく追いやられていた……大学に入った時には教授も憲法もなかった。そんな中で今の憲法の主権在民などどいう考えが自主的に作れる環境にはなかったのではないかと思うのですがどうなのでしょうか。この憲法のおけげでこんな疑問も自由に言えるのだと思うのです。(K氏・千葉県)

3)集会の案内 (敬称略)

1 2017憲法講演会「憲法『改正』に向き合う」
  (主催) 法学館憲法研究所・日本評論社
  リレートーク   http://www.jicl.jp/jimukyoku/backnumber/20170613.html
  浦部法穂(法学館憲法研究所顧問、神戸大学名誉教授) 白取祐司(神奈川大学教授)
  村井敏邦(法学館憲法研究所客員研究員、一橋大学名誉教授) 白藤博行(専修大学教授)
  木下智史(関西大学教授) 伊藤 真(法学館憲法研究所所長、伊藤塾塾長)
  7月16日(日)  14:30~17:00 伊藤塾 東京校(JR渋谷駅南改札西口徒歩5分)
  参加費 一般 500円(事前予約の場合400円) 定員100名 当日参加可
2 第20回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会――第1回口頭弁論に向けて
  7月21日(金) 13:30~16:30 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分) 参加費:200円
3 講演会「共謀罪後の闘いの方向 萎縮しない市民運動 知恵・方針を出し合う」
  ○安倍改憲反対!安倍政権打倒を目指して 福山真劫(総がかり行動実行委員会共同代表)
  ○加計学園問題を追及する 浅野健一(ジャーナリスト)
  7月23日(日)  18:00開場 18:30~21:00 資料代:800円
  スペースたんぽぽ(JR水道橋駅徒歩5分)http://vpress.la.coocan.jp/tanpopotizu.html
4 『週刊金曜日』東京南部読者会
  7月28日(金) 18:30~20:30 大田区生活センター(JR蒲田駅徒歩5分)
5 第7回平和学習会――「9条3項加憲論を考える」 報告者:宇井宙
  8月12日(土)  13:30~16:30 資料代:200円
  東京ボランティア市民センター 会議室C (JR飯田橋駅隣・セントラルプラザ10階)

(以上、例会後の加除を含む)

完全護憲の会ニュース№42 2017年6月20日

                 <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>

         連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
             電話・FAX 03-3772-5095
             Eメール:kanzengoken@gmail.com
             ホームページ:http://kanzengoken.com/

      目次 第41回例会・勉強会の報告        P1
         第38回運営・編集委員会の報告      P1
         別紙 1 政治現況報告          P2
         別紙 2 事務局報告           P3
              緊急警告020号案        P4       
              緊急警告021号案        P4
         別紙 3-1 改正前後の教育基本法の比較  P5
         別紙 3-2 愛知弁護士会長声明      P9

      第41回 例会・勉強会の報告

 5月28日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で開催、参加者7名、会員57名。
 司会を草野編集委員長が担当し、まず「政治現況報告」(別紙1)が代読され、この報告をめぐり次のような意見が交わされた。
 「岡部氏が前川・前文科省事務次官の『週刊文春』インタビューとケナタッチ・国連人権理事会特別報告者の安倍首相宛て勧告を取上げたことに感謝したい。その上で、安倍首相の5月3日付読売インタビュー記事の件や、緊急事態条項の追加提起を取上げてほしい。第9条はすでに解釈が変更されてしまったが、この新たな緊急事態条項の追加にも首相の重要な狙いがある」「首相は易しい言葉を使って庶民の気持ちをあおっている」「緊急事態条項については『シンポジウム・大規模災害と法制度・記録集』(日弁連編集)が参考になる」「国民は安倍首相提起を受け入れるのではないだろうか。提起の最終的狙いは9条の廃棄だが」「自衛隊の存在は国民に認知されているが、自衛隊を縮小する方向で考えるべきだ。国民が認知しているから、と容認すべきではない」「ヨーロッパのリヒテンシュタイン侯国は35000人の人口、一人当たり年収は1000万円で、軍隊を持っていない」「前川前次官を国会に証人として呼ぶべきだ」「鳥インフルエンザは国境を越えて広がるので、研究レベルを上げる必要があり、加計学園の獣医学部新設は、そのためだと一部のメディアは言っている」「共謀法を阻止するためには、安倍首相を退陣させるのが筋だ」「忖度と云われているが、安倍首相の直接の命令ではないか。前川氏が出会い系バーに行ったと非難しているが、国はこうしたバーを容認している。こうした非難が横行すれば公務員は何も言えなくなる。安保法制は戦時に適用されるが、共謀罪は常時ついてまわる。かつて毎日の西山太吉記者が沖縄返還協定にかかわる密約を報道した際、『ひそかに情を通じて』というスキャンダルがばらまかれ密約への視線がそらされた。『それがどうした』と居直るべきだ。共謀罪は警察にさらに仕事を与える」「民進党の山尾議員の共謀法批判は見事だ。法務大臣には彼女が適任だ。岩波ブックレット『共謀罪の何が問題か』(高山加奈子・著)は良書だ」など。
 次いで事務局報告(別紙2)が福田事務局長から行われ、緊急警告020号案では金田法相の答弁能力欠如を加筆すること、021号案では、国会が「国権の最高機関」である以上、行政府・内閣はその下位にあって国会に従属するものであり、「行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負う」(憲法66条3項)ことなどを加筆するよう要望された。
 その後の勉強会は前月に引き続き、安立きくこ氏から「道徳の教科化と教育基本法」について別紙3の資料2点に基づき、明快な報告が行われた。

      第38回運営・編集委員会の報告

 5月31日に予定されていた運営・編集委員会は、当日、福田共同代表が慢性硬膜下血腫で大森日赤に入院し手術が行われたため、延期された。なお手術後の経過は順調で、福田共同代表は6月13日に無事退院した。

<別紙 1 > 政治現況報告
             
                  岡部太郎(共同代表) 2017年5月28日

 5月3日、施行70周年の憲法記念日、安倍首相はビデオ・メッセージで、憲法改正の段取りについて①第9条の1項、2項は現行のままに残し、第3項に自衛隊の存在を明記する②高等教育の無償化を明記する③改憲施行時期を東京オリンピック開催の2020年とする――との具体論を初めて明らかにした。首相は就任以来、機会あるごとに憲法改正への期待を表明していたが、改憲の具体案と時期を明らかにしたのは初めて。国会の憲法審査会の論議が進まぬのに、しびれを切らして、まず自民党に総裁として促進を指示したものと見られている。もちろん自民党総裁の立場とはいえ、安倍氏は現実に内閣総理大臣。憲法を守る特別公務員としては、まさに憲法違反の行動である。これまで、自民党の改憲論は第9条2項の「(第1項の戦争放棄を受けた)陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない。国の交戦権はこれを認めない」を削除し、自衛隊保持を明記することであった。
 それを9条1項2項を温存したのは、9条改正に慎重な公明党への配慮であり、授業料免除は日本維新の会への配慮と思われる。しかし、どう考えても、2項の「戦力不保持」と自衛隊の「存在の明記」は両立しない。さらに問題は、2020年の東京オリンピックに合わせて施行するという改憲時期。いうまでもなく、オリンピックは世界のスポーツの平和の祭典。それに合わせて平和憲法を後ろ向きに改正すると云うのは、集まる世界のスポーツマンに失礼な話。特にアジアでは日本の軍事力台頭に不満もあり、国内の安倍反対勢力にも五輪ボイコット論なども出かねない。
 野党の民進党や共産党の反対はもとより、自民党にも反対論や慎重論が出ている。高村副総裁は、国民への説得や野党との協議なしに自民が一方的に改憲へ走るのは危険とし、次期総裁選を狙う宏池会の岸田外相も「9条の改憲は必要ない。保守本流の私たちには、現憲法に対する愛着は特別なものがある」と述べた。石破茂氏は「勢いで改正して良いはずがない」船田元自民党憲法改正推進本部長は「野党の反発を招くのは必至で急ぐべきでない」。
 また民放の番組で枝野幸男・民進党憲法調査会長が「国論が二分され、国民投票で圧倒的に可決される状況でもないのに、自衛隊明記を国民投票にかけるのは無責任」と指摘し、公明党憲法調査会長も「野党第一党の民進党とも理解できる形にもってゆかねばならない」と語った。また各社の世論調査でも改正可、不可は41%、44%(朝日)、32%、20%(NHK)などだが、2020年に施行については「時期にこだわるべきでない」56%、20年実施20%で慎重派が圧倒的に多かった。
 その安倍首相に降ってわいたのが、ごく親しい友人が理事長を務める岡山加計学園の今治・獣医学部新設の忖度問題だ。昭恵夫人の森友学園の口きき疑惑と瓜二つで、今治の国家戦略特区諮問会議(議長-安倍首相)が昨年11月9日に「今治の加計学園の構想が適当」としたことだ。共産党の小池晃氏は入手した内部文書で、内閣府が文科省に対し「官邸の最高レベルが言っている」「総理の意向だ」との文言で、加計学園を指名したことを明らかにした。安倍首相は「覚えがない」と否定。松野文科相も「文書の存在を確認できない」と逃げた。
 しかし、25日発売の週刊文春が、この一月に再就職あっせんで辞任した文科省前次官の前川喜平氏(62)のインタビューで「私が去年10月、報告を受けた。総理の意向の文書は本物です」と証言。野党は前川氏の国会での証言を求める構えだ。
 安倍首相は「何か働きかけた証拠があれば、私は直ちに止める」と森友問題と同じ大見得を切っているだけに、事件の発展によって首相辞任という大政変に発展する可能性もある。
昭恵夫人の森友学園の成功に、安倍首相も同じ方法で、昨年末、文科省に忖度を強いたものと見られ、婦唱夫随も極まれりというところ。
 また治安維持法の再来として反対の強かった「共謀罪」は、19日、衆院法務委で自民・公明・維新の三党が強行可決。23日の衆院本会議でも三党が可決して参議院に送った。金田法務大臣のあいまいな答弁や不信任案否決の後、十分な説明や審議ができないままだった。
 折も折、国連の人権理事会の特別報告者のジョゼフ・ケナタッチ氏から安倍首相あてに、日本の「共謀罪」法案が①「計画」「準備行為」の文言が抽象的で恣意的に運用されかねない②対象犯罪が幅広く、テロや組織犯罪と無関係のものも含む③令状主義など、プライバシー保護の適切な仕組みがないと指摘。日本政府はいったん立ち止まって熟考し、必要な保護措置を導入すべきだ、と勧告した。政府は「共謀罪」の法案作成に当たって「国際犯罪防止条約」を批准のために必要としてきた。ケナタッチ氏は「プライバシーを守る適当な措置を取ることなく、法案を通過させることにはならない」と述べた。実際、国際条約加盟のためテロ対策の国内法を法案化したのは、ノルウエーとマルタの二ヵ国だけという。
 そのほか、今月はフランス大統領選で中道のマクロン氏(39)が当選。EU のワク組みに変化がなかったことと、お隣韓国の大統領選で北朝鮮と話し合うとした革新系の文在寅(ムンジェイン)氏(64)が大統領に選ばれた。

<別紙 2 > 第41回例会 事務局報告

                  福田玲三(事務局)  2017年5月28日

1)来信

1 濱口國雄作「地獄の話」をノンフィクションとしてではなく、作品として読んで欲しいと言うご意見に全く賛成です。(清林保:国鉄詩人連盟)
2 早々の対応、恐れ入ります。兄をはじめ、職場の友人等に配布し護憲の思いを広めたいと思います。立派な冊子となったことうれしいです。(濱口順二:濱口国雄氏次男)
3 貴重なパンフ有難うございます。濱口國雄の詩が載っているのが嬉しく、布施辰治は知っていましたが、その子杜生さんのこと、初耳でした。(I.I)
4 シリーズ4お送りくださり、杜生についての歳枝の文章をご紹介くださり有難うございました。あの逮捕は、歳枝には不意打ちでしたが、杜生は予期していたと思います。そのことは、妻には語っていなかったと思います。少し前に、京大時代の仲間、西田勲が逮捕されていて、その対策を有楽町にあったなんとかパーラーで話し合ったという事実があるからです。政治的な背景ゼロの勲の弟を呼び出して、丸の内署だかに話を聞きに行かせたという事実があります。
 今日秋篠宮眞子の婚約が報じられました。女性宮家問題に光が当てられると思います。天皇家と安倍一族との十年戦争を思わずにはおれません。(S.O)
5 今、流布することが増々重要になっているすばらしいパンフです。(T.M)
6 ニュースNo41をお送りいただき有難うございました。事務局報告の中で、「来信」として私のこともお取上げいただき恐縮いたしております。……どうか、あまりお気遣い下さいませんようお願いいたします。(珍道世直)

2)訃報

 当会創立時からの会員、鹿野淳二氏(87歳)が亡くなられた旨、5月18日ご遺族からご連絡をいただきました。

3)シリーズNo.4 『明治帝國憲法下のくらし』

 今回は記者会見を設定せず、4社の記者に仮綴じ本を4月24日に送り紙上での紹介を依頼。うち1社は部内で相談中。別の1社には岡部共同代表の仲介を依頼、残る2社からはまだ返信なし。
 ニュース発信アドレス(郵送及びEメール送信)に次の挨拶文を付けて郵送。(約400部)

 みなさま
 安倍内閣は、明2018年を明治維新150周年として華々しく祝おうとしています。11月3日の「文化の日」を、「明治の日」に改めようとする動きさえあります。
 明治帝國憲法下の日々が庶民にとって、現憲法下の日々よりもよかったでしょうか。
 明治維新後の新政権は天皇を絶対君主とする体制を作り、軍事大国に驀進しました。憲法発布からわずか5年後に日清戦争、その後10数年ごとに侵略戦争を繰り返し、その原点が明治帝國憲法でした。
明治維新への賛美は、国民主権を定めた現憲法を、国家主権に戻そうとする自民党改憲草案の意図と重なっています。
 私たちは、戦争に明け暮れた明治憲法下のくらしが、どれほど悲しく苦しいものであったかを示すために、小冊子『明治帝國憲法下のくらし』をまとめました。
 ご一見下さいますようお願いします。
 なお恐縮ですが、当活動の資金として、本冊子原価と夏季カンパを、同封の振替用紙でお送りいただければ幸いです。
   2017年5月1日 完全護憲の会
         
4)緊急警告020号案 「共謀罪」法案は違憲! 採決強行は許されない。

 安倍政権は本年3月21日、「共謀罪」の趣旨をふくむ組織犯罪処罰法改正案を閣議決定し、国会に提出した。今回政府はこの法案を「テロ等準備罪」法案などと呼称し、あたかもテロ対策法案であるかのごとく偽って国民に受け入れさせようとしているが、実態は「共謀罪」法案そのものである。(当初の法案にはテロの文言がまったくなく、批判されてあわてて挿入した経過からも明らかである。)
 「共謀罪」法案は過去3回にわたって国会に提出された。この法案の眼目は、犯罪実行の合意をもって、処罰対象にしようというもので、「刑罰の対象は外部に客観的に表れた行為に限られる(行為原理)」「どのような行為が犯罪になるかをあらかじめ法律で明確に定めなければならない(罪刑法定主義)」といった近代刑法の大原則を根本からくつがえし、ひいては、個人の尊重(憲法第13条)、内心の自由(憲法第19条)、表現の自由(憲法第21条)、法定手続きの保障(憲法第31条)など憲法で定められた人権保障と真っ向から対立する本質から、過去3回の法案はいずれも廃案となった。
 そして、以下に見るとおり、この度の組織犯罪処罰法改正案には重大な違憲性がなお指摘される。
 すなわち、この法案が成立すれば、
1 共謀を立証するために捜査機関が電話やメールなどの通信傍受を拡大する可能性があり、これは憲法第13条「(個人の尊重と公共の福祉)すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。」(個人情報を守る「プライバシー権」の根拠とされる)に抵触する。
2 犯罪が実行される前に、合意しただけで処罰でき、人の内心を罰することが可能になる。安倍首相は準備行為があって初めて処罰対象とすると説明しているが、何が準備行為なのかはあいまいで、これは憲法第19条「(思想及び良心の自由) 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。」に真っ向から違反する。
3 米軍基地反対や反原発など、自らの主張を表現する市民団体の行動が捜査対象になり、その活動を委縮させるものであり、これは憲法第21条「(集会・結社・表現の自由) 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。」に違反する。
4 何が準備行為と判断されるか分からず、これは憲法第31条「(法定の手続きの保障)何人も、法律の定める手続によらなければ、その生命若しくは自由を奪われ、又はその他の刑罰を科せられない。)に違反する。

さらに安倍首相は「一般人には全く関係ない」と強調するが、戦前の治安維持法も、当初は、国体を変革する共産主義者が取り締まりの対象とされたが、後に政府の政策を批判する人、戦争に懐疑的な人まで、警察は容赦なく逮捕した。

与党は、この「共謀罪」法案について、現国会の会期末である6月18日から逆算して、5月17日衆院法務委で審議、採決、18日衆院本会議で採決、衆院通過、22日参院本会議で審議入り、23日参院法務委で審議入り、6月中旬での参院で採決、成立を狙っている。
しかし、法務委員会での審議を通じて、本法案への理解は深まるどころか、国民の懸念はいっそう広がるばかりだ。憲法違反の「共謀罪」法案の強行採決は許されない。

5)緊急警告021号案 安倍首相の改憲発言は違憲、首相は即時退陣せよ!

 安倍首相はさる5月3日、憲法記念日の改憲派集会に寄せたビデオメッセージで、憲法第9条1、2項を残し、自衛隊の存在を明記した条文を追加するなどの改憲案を示したうえで、2020年に改正憲法を施行する考えを表明。
 ついで5月8日、衆院の予算委員会で野党の質問に答え、首相は改憲発言の真意は読売新聞のインタビューを読めと云い捨て、委員会室を騒然とさせた。
 この後、11日に開かれた衆院憲法審査会の幹事懇談会で、野党に追及された自民党は、一連の安倍首相による発言は「党に向けて示したものと理解している」との法外な言い逃れに追いこまれ、さらに「2020年施行」と年限を切った発言に審査会は「縛られるものではない」と釈明して、ようやく18日に審査会の開催を取り付けた。
 18日に開かれた同審査会では、野党からの批判が噴出、審査会の森英介会長(自民党)は「憲法改正の発議権を有しているのは国会で、与野党で丁寧な議論を積み重ねていかなければならない」となだめたが、野党の反発は収まらず、「国会の立法権を侵害すると同時に議事の混乱を引き起こす行為だ」、首相の提起は「憲法を根底から覆すことにほかならない」と民進、共産、社民の各議員がこもごも批判した。
 さらに安倍首相は21日、ニッポン放送のラジオ収録番組で自衛隊の存在を明記する自民党の憲法改正原案を「年内にまとめて、お示しできればなと思う」と、自民党の改憲原案作りの期限まで明言した。
 首相の改憲提起に対する野党の「立憲主義に反する」との批判に、首相は「まったく理解できない。私は内閣総理大臣であると同時に自民党総裁だ。第1党のリーダーとして、国民に訴えていく責任がある」と反論している。
 裏を返せば安倍首相は自民党総裁であると同時に、総理大臣であり、憲法第99条により、公務員・行政府の長として憲法尊重、擁護の重責を担っている。首相の役割は、憲法に従って政治をすることだ。行政府の長が憲法審査会という立法府の審議に介入する権限はない。首相は越権を謝罪し、即時退陣せよ。

6)集会の案内

 1 第5回平和学習会――憲法原文を忠実に読み直す
    6月3日(金)13:30~16:30
    東京ボランティア市民センター 会議室C  (飯田橋駅)
 2 6.10 国会大包囲 止めよう!辺野古埋め立て 共謀罪法案は廃案に!
    6月10日(土) 14:00~15:30 国会周辺
    主催・戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会、他
 3 第19回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会
    6月16日(金) 14:00~16:30 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分) 
    参加費:200円
 4 週刊金曜日』東京南部読者会
    6月23日(金)18:30~20:30 大田区生活センター(JR蒲田駅徒歩5分)

<別紙 3-1 >     改正前後の教育基本法の比較(略)

<別紙 3-2 >     愛知県弁護士会会長声明 (2006年5月)

教育基本法「改正」法案並びに日本国教育基本法案に反対する会長声明 -愛知県弁護士会-

 政府は、本年4月28日、教育基本法「改正」法案を閣議決定し国会に上程した。衆議院に特別委員会が設置され、また、同年5月23日には、民主党からも「日本国教育基本法案」が提出され、本日、両法案ともに実質審議に入った。
 しかし、愛知県弁護士会は、以下の理由により、この両法案に反対し、この両法案をいずれも廃案とすることを求める。

1 教育基本法の改正は、国民に十分な情報を提供し、国民的論議をふまえて十分な審議をつくした上で行われるべきである。
 教育基本法は、前文で、「われらは、さきに、日本国憲法を確定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界の平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本において教育の力にまつべきものである。」と謳っているように、憲法施行を控えた1947年3月に憲法と一体のものとして公布・施行された準憲法的性格を持つ。その準憲法的性格と「教育」の役割の重要性は現在も何ら変わってはいない。それは、一人ひとりが自由に学び、人間らしく成長する権利の保障を謳う基本法として、1989年国連で採択された子どもの権利条約とも調和している。その改正は、後述するとおり憲法の理念や基本原理にもかかわる重要な問題であり、改正の是非を含め、憲法の改正に準じた十分な国民的な論議が不可欠である。
 しかるに、政府「改正」法案は、非公開の与党協議会において論議されたに過ぎず、その議事録さえ公開されていない。また民主党案についても、非公開の「教育基本法に関する検討会」において議論されたに過ぎない。このように、国民に十分な情報が提供されておらず、議論されてもいない状況のもとで、政府及び民主党が今国会に両法案を提出したこと自体が問題である。

2 なぜ今教育基本法の改正なのか不明である。
 文部科学省は、子どものモラルの低下、学ぶ意欲の低下、家庭や地域の教育力の低下等の問題があることから、教育基本法を改める必要があるとしている(文部科学省「教育基本法案について」平成18年5月説明資料)。しかし、これらの問題が教育基本法の不備や欠陥によるものではないことは明らかである。むしろ、偏差値教育などと評される知育偏重の選別的、競争的教育や教員による体罰等も含む管理教育の弊害、平和教育や社会参加のための教育の不足など、教育基本法の理念に反する教育現場の問題が容易に改善されない現状に対する認識と具体策が必要とされている。しかし、両法案では、現行法のどこに問題があり、どこを変えれば、どのような問題が克服されるのかもまったく不明である。このように現実的な立法事実に基づかない法改正は不要であるばかりか、有害であり、真に国民のための教育の実現とは別の政治的意図があるとの疑いを抱かせるものである。

3 両法案は、教育基本法を180度転換するものである。
 教育基本法は、教育に対する国家支配が不幸な戦争に国民を導いたことへの深い反省から、子どもをはじめ国民一人ひとりが学び、成長する権利主体として教育への権利を有することを基本として、国家権力-とりわけ教育行政の権力の濫用を戒めた。すなわち、現行教育基本法第10条第2項は、「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接責任を負って行われるべきものである。」との同条第1項を受けて、教育行政の役割を、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立に限定している。
 しかるに、両法案は、現行法第10条第2項の規定をあえて削除した。これは教育行政の役割を「条件整備」を超えて、教育内容の決定にまで拡大させる意図があるからとしか考えられない。
 さらに、政府「改正」法案第2条は、第1号から第5号までの5項目の「教育目標」を定め、それぞれに「態度を養う」と規定している。要するに、国が法の名の下において教育目標を定め、子どもをはじめ国民に対してその目標に添う「態度」を求めるのである。達成することを目指す教育目標である以上、学校教育においては、その達成度が評価されることが前提となる(政府「改正」法案第6条第2項参照)。
 政府「改正」法案は、教育基本法を、子どもをはじめ国民一人ひとりが求める教育の実現をめざすものから、国民に対し国が定めた教育目標に従う「態度」を求める法律へと180度理念を転換させるものである。それは、国民を不幸な戦争に導いた国家主義の教育が新たな装いをして再現することを強く懸念させるものである。

4 両法案は、憲法第19条「思想および良心の自由」の保障に反する。
 政府「改正」法案前文第2段は、「公共の精神を尊び」「伝統を継承」する教育を推進するとし、第2条において、「道徳心を培う」「伝統と文化を尊重し、」「我が国と郷土を愛する」という「態度を養う」ことを教育の目標として掲げている。また、民主党案前文は、「我々が目指す教育」を「美しいものを美しいと感ずる心を育」むこと、「個人や社会に起こる不条理な出来事に対して、連帯して取り組む豊かな人間性と、公共の精神を大切にする人間の育成」、「日本を愛する心を涵養し、祖先を敬い、子孫に想いをいたし、伝統、文化、芸術を尊」ぶこと等とし、「国政の中心に教育を据え」「新たな理念に基づく教育に日本の明日を託す決意」を謳い、第7条第2項において、「道徳心の育成、文化的素養の醸成」を義務教育の旨として掲げている。
 しかし、両法案は、何が「公共の精神」で、何を継承すべき「伝統」とするのかを、国が定めて国民にそれに従う「態度」を求めることになる。そして、教育の現場においては、これに従って指導し、かつ、その達成度を評価することになるから、国が求める一定の価値観を国民に押しつけることになる。
 さらに、「我が国と郷土を愛する」という「態度を養う」こと、また「日本を愛する心を涵養す」ることを教育の目標とすることは、たとえば、君が代・日の丸に対し起立・礼・唱和などの「態度」を求めるというような指導によって、国の権力を持つ者が求める愛国心を国民に強制することを許す道を開くものである。国旗及び国歌に関する法律について、当時の内閣総理大臣が「強制は考えていない」と国会答弁をしたにもかかわらず、実際には学校教育現場では起立・礼・唱和などの「態度」の強制が広がっている現実を見れば、国が個人の心の自由に強制を加えることが強く懸念されるのは当然である。したがって、「改正」法案は、前文において「憲法の精神にのっとり」と記述しているにもかかわらず、憲法第19条「思想および良心の自由の保障」に反しており、法律として自己矛盾を犯している。

5 結語
 両法案は、教育基本法の基本理念を逆転させ、憲法第19条「思想および良心の自由」、第23条「学問の自由」、第26条「教育を受ける権利」などの人権保障規定と整合しない重大な問題点をはらむものである。
 よって、当会は、両法案に強く反対するとともに、両法案をいずれも廃案にするよう求めるものである。

  2006年5月24日
                     愛知県弁護士会 会長 山田 靖典

完全護憲の会ニュースNo.41 2017年5月10日

             <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
             連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
             電話・FAX 03-3772-5095 Eメール:kanzengoken@gmail.com
             ホームページ:http://kanzengoken.com/

      目次  第40回 例会・勉強会の報告       P.1
          第37回 運営・編集委員会の報告(略)  P.1
          別紙 1 政治現況報告        P.2
          別紙 2 事務局報告         P.3
          別紙 3 緊急警告019号        P.4
          別紙 4 道徳の教科化と教育基本法  P.5

        第40回 例会・勉強会の報告

 4月23日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で開催、参加者8名、会員57名。
 司会を草野委員が担当し、まず「政治現況報告」(別紙1)が代読され、この報告をめぐり次のような意見が交わされた。
 「報告では極東地域の緊張について、『必要以上に声高に危機を叫んでいるフシもある』となっているが、万一米朝交戦になれば日本が必然的に巻き込まれる危険が軽視されている」「安倍首相は危機をあおりながら観桜会に出ている。危機をあおっているが、はったりだ」「『対話と圧力』とよくいわれるが、『圧力』という言葉は嫌だ。本当に、誠実に語るべきだ」「北朝鮮の扱いを中国に任せるべきではなく、日本が最大限、自力で努力すべきだが、安倍首相の外交能力には信用がおけない。日ロ首脳会談は成果なし、韓国駐在大使引き上げは意味がなかった」「情けない内閣だ。よく自民党が黙って見ているものだ。末期的症状だ。自民党にもまともな人がいるはずだ。反抗すれば昔のスキャンダルが持ちだされる。小選挙区制だけのせいではない。清廉潔白な議員がいなくなっているのではないか」「報告に『シリア政府軍が反政府軍にサリン攻撃を仕掛け』とあるが、このように断定できるか?」「断定はまずい、『と伝えられる』位にすべきだ」「ジュバからのPKO撤退は安倍の大敗北だ。安保法にもとづく『駆け付け警護』の派遣を閣議決定しながら、目的を達成できぬままの引き上げだ。これは憲法の画期的な勝利だ。トランプ、朴槿恵とも憲法裁判で敗れた。この教訓に学ぶべきだ」「高度成長期が終わり、自分に不安な人々が中国や北朝鮮を見下して自分を慰め、安倍政権を支えている」など。
 ついで事務局報告(別紙2)が福田共同代表から行われ、「緊急報告019号 過去の亡霊、教育勅語の復活は違憲」案の字句について修正意見があり、それにもとづいて一部書き直すこととした。
 そのあと都内で家庭教師をしている初参加者1名の自己紹介があり、休憩の後、勉強会にうつり「道徳の教科化と教育基本法」(別紙4)について、安立きくこ氏から報告があった。この報告をめぐり、東京都の教育委員会が試験の模範解答で愛国心や忠誠心を賛美する事例が参加者から出された。安立報告の多面的で秩序だった報告については、次回に引き続き討議することとして勉強会を終えた。

 当面の日程について
1)第41回例会 5月28日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
2)第38回運営・編集委員会 5月31日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
3)第42回例会 6月25日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
4)第39回運営・編集委員会 6月28日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

<別紙1>
         政治現況報告
                  岡部太郎(共同代表) 2017年4月23日

 4月も内外共に重要な政治ニュースがあったが、その中でも太平洋を中にはさんだ超大国の米国・中国の両首脳が初めて顔を合わせたことであろう。中国の習近平国家主席は12日、米国のトランプ大統領をフロリダに訪問、2日間にわたって会談した。最大の懸案だった北朝鮮問題では「中国が傘下にある北朝鮮の横暴を止めないなら、米国一国で(軍事的に)対処する」とトランプ氏が最大の圧力をかけたのに対し、習氏は「努力する」と答えただけで、実質、平行線に終わった。しかし、この会談期間にシリア政府軍が反政府軍にサリン攻撃を仕掛け、トランプは人道上許せないと直ちにシリア空軍基地を海上からミサイル攻撃をした。しかも首脳会談で、この事実を習氏に伝え、習氏も受け入れざるを得なかった。
 ロシアのプーチン大統領はシリア政府を支援するだけに直ちに米国を非難。安倍首相はトランプを支持、EU諸国も支持したため、膠着状態が続いている。
 一方、北朝鮮は五年ぶりに金日成生誕祭を軍事パレードで飾り、ICBM(大陸間弾道弾)や潜水艦発射のミサイルなど新兵器の示威運動を展開。習訪米やペンス米副大統領の訪中、訪韓に向けてミサイル発射実験(失敗)などで挑発した。これに対し、トランプもインド洋にあった原子力空母カールビンソンを北朝鮮海域へ送り込み「北朝鮮に対する全ての選択肢はテーブルの上にある」と対抗。ペンスも日本で「平和は力のみで達成される」と大見得を切った。またトランプはアフガンに〝全ての爆弾の母″という名の大型爆弾を使ってみせた。
 そんなことで、極東地域の緊張はこれまでになく高まっているが、安倍首相ら政府・自民党が必要以上に声高に危機を叫んでいるフシもある。と云うのも、トランプは会談後は習近平を大いに持ち上げ、対米輸出第一位も攻撃しなかった。また口先では強いが、北朝鮮のことは、しばらく中国の説得に任せよう、との空気が強い。当然北朝鮮も余り派手な火遊びは控えるだろう。ただ当分は極東地域から目が放せない。
 一方、国内では安倍政権が戦前の〝治安維持法″の再来「組織犯罪処罰法改正案」(テロ等準備罪)を閣議決定の上、6日衆院で審議入りした。
 政府は03年~05年三度にわたって「共謀罪」を新設する改正案を国会に提出したが、いずれも適用範囲があいまいで廃案となっている。
 今回は2020年の東京オリンピックに向けて「テロなどの組織犯罪を未然に防ぐ」という鳴りもの入りで、適用は「組織的犯罪集団が、計画・実行段階に入った時」としているが、治安維持法もどんどん拡大し、本を持っているだけでも逮捕された。 しかも「テロ等」とあるものの、あくまで集団で、個人のテロは逮捕されない(これは治安維持法も最初は集団だけだった)。対象は一応277にしぼられたが、まだあいまいな部分が多く、政府・与党は数だけを頼りに五月連休までに衆院を通過させ、今国会での成立を図る。民進や共産は「思想の自由を侵す」と言論界、法曹界の反対を支えに廃案を目指す。ただ担当大臣の金田勝年法相は、これまでも数々あいまい答弁や失言で野党から追及されており、このへんが波乱要因か。
 そう云えば一強と云われた安倍首相も、絶対多数のおごりから、閣僚の失言や取り消しが相次いでいる。金田法相(テロ法案は国会提出後に議論せよ)、稲田防衛相(森友学園の問題で裁判所に出ていた)、務台復興政務官(台風被害で長靴業界はもうかった=辞任)、今村復興相(原発自主避難者は本人の責任。自己判断だ)、山本地方創成担当相(一番のガンは文化学芸員)そして安倍首相(妻昭恵は云われたようなことは絶対やっていない)。
 昔ならみな辞任もので野党もだらしない。
 森友学園の説明 不十分 75% 十分 12%  首相夫人国会で説明 必要 53% 不要39%(朝日新聞)
 これから三カ月、フランス大統領選、韓国大統領選、イギリス総選挙、東京都議選……重要選挙が目白押しです。

<別紙2>
        第40回例会事務局報告
                    福田玲三(事務局)2017.4.2

1)来信

①最新ニュース受信いたしました。毎号の記事のなかで特に「政治現況報告」(岡部さんレポート)が楽しみです。
 つきましてはニュース6ページの集会案内中『週刊金曜日』東京南部読者会 4月28日(金) 18:30~20:30 大田区生活センター第6集会室(JR蒲田駅徒歩5分)の場所は「正」第3集会室(誤・第6集会室)です。案内訂正方よろしくお願い致します。 週刊金曜日東京南部読者会・事務方(松島)

②新年度も4月半ばになりましたが、お元気でお取組みのことと拝察いたしております。
 ニュースNo40号頂戴いたしました。すべての内容が価値あるもので、私にとって貴重なものとなっております。
「平和への権利宣言」国連総会採択についての中で、日本が「平和への権利」の国際法典化に反対していることを知り驚いております。(核実験禁止条約に反対した日本が情けないですが、それと同根ですね。)ありがとうございました。 (珍道)

2)訃報

当会創立時から編集委員を務めていただきました榊山今日児氏(87歳)が去る3月30日闘病の末、逝去されました。

3)新しい冊子の発行

『 明治帝國憲法下のくらし――自民党改憲草案のめざすもの/羽毛よりも軽かった人のいのち 』
2017年5月/完全護憲の会
3月29日入稿/ 4月7日初校/ 4月13日再校 /4月21日校了 /5月1日納本(予定)

目次
まえがき
自民党改憲草案のめざすもの
戦前の我が家と憲法――三従の教え
死を奨励した異常な世界――露営の歌
死の五段活用と総立ち拍手の光景――第192臨時国会
布施杜生――人間を解体する治安維持法
地獄の話――西部ニューギニア戦場の飢餓
天皇の「生前退位」問題――護憲派は積極的な関与を

資料:大日本帝国憲法/教育勅語/軍人勅諭/戦陣訓/自民党改憲草案

4)集会の案内

1.5・3憲法集会
  5月3日(水・祝)11:30 開場 12:00 開会 有明防災公園5月19日(金) 
2.戦争と共謀罪に反対する大集会
  5月19日(金) 18:30 東京・霞が関 弁護士会館2階講堂 クレオ
  主催・憲法と人権の日弁連をめざす会、他 入場無料
3.第18回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会
  5月20日(土) 14:00~16:30 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分) 
  違憲訴訟 出発式  参加費:200円
4.『週刊金曜日』東京南部読者会
  5月26日(金)18:30~20:30 大田区生活センター(JR蒲田駅徒歩5分)
5.第5回平和学習会~憲法原文を忠実に読み返す
  6月3日(土)13:30~16:30 東京ボランティア市民活動センター 会議室C(飯田橋駅に隣接)
6.6.10国会大包囲 止めよう!辺野古埋め立て 共謀罪法案は廃案に!
  6月10日(土) 14:00~15:30 国会周辺
  主催・戦争させない・9条壊すな! 総がかり行動実行委員会、他

<別紙3>
      緊急警告019号 「過去の亡霊、教育勅語の復活は違憲」

 さる3月31日、安倍内閣は教育勅語について「憲法や教育基本法等に反しないような形で教育勅語を教材として用いることまでは否定されることではない」との政府答弁書を閣議決定した。
 しかし、教育勅語をめぐっては、すでに1948年に衆院が「根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている。基本的人権を損ない、国際信義に疑点を残す」としてその排除を決議し、参院も「われらは日本国憲法にのっとり、教育基本法を制定し、わが国とわが民族を中心とする教育の誤りを払拭し、真理と平和を希求する人間を育成する民主主義的教育理念を宣言した。教育勅語がすでに効力を失った事実を明確にし、政府は勅語の謄本をもれなく回収せよ」と、その失効を決議した。
 教育勅語について「日本が道義国家を目指すというその精神は今も取り戻すべきだと考えている」(参院予算委員会、3月8日)と述べた稲田防衛相を、その後で擁護するために作られたこの政府答弁書は、持って回った文面にかかわらず、この勅語を復活させる意図は明らかだ。
 国会は、国権の最高機関、国の唯一の立法機関であり、内閣は国会に対して責任を負う行政府に過ぎない。国会の決議に反する閣議決定は明らかに違憲だ。
 衆参両院の決議が示しているように、教育勅語は絶対的天皇主権を定めた明治帝國憲法下で発布され、そこで天皇は臣下、つまり従僕に守るべき徳目を列挙した。現日本国憲法になって状況は一変した。臣下は国の主権者となり、天皇は主権を失い、お上は国民につかえる公務員になった。この場合、天皇がかつて下付した勅語を、国務大臣や内閣がふたたび徳目として持ちだすことは、主権者国民を侮辱する越権行為だ。いくつかの徳目の結びとして「一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」と、天皇家を守るために命を差し出せと指示しているのであるから、なおさらだ。
 「すべて国民は、個人として尊重される」(現憲法第13条)ことを教えるべき学校で、個性を否定するいじめが広がっている現状では、上下の厳格な秩序と画一化を狙う教育勅語の復活は百害あって一利もない。
 稲田防衛相が教育勅語を「全体として」肯定し、安倍内閣がその教材としての使用を否定しないと閣議決定したのは、彼らの公務員としての自覚の欠如であるとともに、現憲法を彼らが敵視している表れだ。
 だが、敗戦時の時勢に助けられてこの憲法を手にした私たちの多くが、その至宝の価値を十分には認識せず、そこに彼らの付け入る隙を与えている。私たちはこの弱点を痛感し、その主権者意識を高める長期的な運動を行っている。
 この緊急警告は現政権に対する告発であると同時に、私たち自身の反省を深めるための呼びかけでもある。

<別紙4>
       道徳の教科化と教育基本法
                    安立きくこ  2017年4月23日                               

【 最近の社会状況 】
2012  中学校で武道必修
2015.3  文科省、道徳を小学校で「特別な教科」 に格上げすることを告示
2017.2.19 子多いほど税軽減「N分N乗(世帯課税)方式」検討、自民有志
2017.2  憲法改正のテーマに教育の無償化を据えようとする動き
2017.3.15 ベア前年割れ続出
2017.3.17 大卒内定率90.6% 今春卒業予定 6年連続で改善
2017.3.21 稲田防衛相、教育勅語について「戦前のように教育の唯一の根本理念として復活させるべきだとは全く考えていない」
2017.3.23 森友学園の籠池理事長、証人喚問(大阪の国有地売却問題について)
     (森友学園の塚本幼稚園では園児達に教育勅語を暗唱させる指導を行っていた)
2017.3.24 道徳教科書 初検定(小学校で2018年度に正式教科)結果公表
 「伝統と文化の尊重、国や郷土を愛する態度」を学ぶ題材中の「パン屋」を、和菓子を扱う「お菓子屋」に変更。文部科学省の審議会において「学習指導要領に示す内容に照らして扱いが不適切」「『我が国や郷土の文化と生活に親しみ、愛着を持つこと』という内容項目について考えさせる内容になっていない」との検定意見がついたため。
 これに対して、パン業界憤慨「郷土 愛してるのに」
 〔道徳の教科化: 2011年の大津市の中学二年生のいじめによる自殺をきっかけに、道徳教育の大切さが注目され、2013年に政府の「教育再生実行会議」が道徳の教科化を提言、2014年に中央教育審議会が小中学校の道徳の教科化を答申。数値ではない成績がつく。小学校は2018年度から、中学校は2019年度から教科化される。中学の教科書検定は2017 年度に実施〕
2017.3.31 保育所で「国旗国歌」 に「親しむ」
      厚生労働省、保育所の運営指針を正式決定、2018年度に施行
2017.3.31 新学習指導要領(中学)に、「銃剣道」明記
2018(平成30)年度から移行期間、2021(平成33)年度から全面実施
2017.4.1 教材に教育勅語 否定せず、答弁書を閣議決定
 「わが国の教育の唯一の根本とするような指導を行うことは不適切だ」とする一方
 「憲法や教育基本法などに反しないような形で教材として用いることまでは否定されない」
2017.4.3 「教材に教育勅語」 菅官房長官、記者会見発言
 「戦後の諸改革の中で唯一の教育の根本として取り扱うことは禁止され、その後の教育基本法の制定で、政治的、法的な効力は失っている」とする一方で、「親を大切にする、兄弟仲良くする、友達を信じ合うことまで否定すべきでない」として道徳の教材としては否定しない考えを示した。(安倍内閣、答弁書を閣議で決定)
2017.4.4 「生涯未婚」男性23%、女性14%(2015年)、 厚生労働省調査
2017.4.18 稲田防衛相、女性自衛官の配置制限撤廃を発表
2018年度~ 小学校で、教科書に基づく教科としての「道徳」の授業開始
2019年度~ 中学校で、教科書に基づく教科としての「道徳」の授業開始

【 歴史 】
1890年10月 明治天皇の名で教育勅語発布(起草は井上毅・元田永孚ら)
1891年 9月 教育勅語の解説書「勅語衍義」刊行
1945年10月以降
     (GHQ)軍国主義的教職員の追放、国家神道の禁止、修身・日本史・地理教育の停止など
1946年3月 アメリカ教育使節団来日
      民主主義教育の理念、教育内容への文部省の介入排除など
      日本教育委員会(南原繁委員長)
1946年10月 文部次官通牒で教育勅語を教育の唯一の根本とする考え方や奉読を廃止
1947年3月  教育基本法の公布
1947年5月  日本国憲法の施行
1948年6月 「主権在君や神話的国体感に基づき、基本的人権を損なう」として衆院で排除、参院で失効確認の決議採択
2006年12月 教育基本法改正(第一次安倍内閣)、教育目標に愛国心が盛り込まれる

【 教育基本法改正の流れ 】
1.制定当時からの強い不満
  占領下における制定、日本国憲法を補完する性格、教育勅語の代替物としての役割、政治的な “主義”の文言(平和主義、民主主義、平等主義などの政治的イデオロギー)
2.類型
  「復古的・国家主義的改正論」
   基本法の内容を教育勅語のようなものにする
  「未来思考型改正論」
新しい時代に対応した内容に変えようとする
3.1951年、吉田内閣、天野貞祐文部大臣「国民実践要領」(国家の道義、愛国心など41の徳目)
  「国家の道義的中心は天皇にある」と発言し、反対論強まり白紙撤回
4.1956年、鳩山内閣、臨時教育制度審議会設置法案、廃案
5.1963年、池田内閣、荒木文相「 期待される人間像について」中央教育審議会に諮問
  1966年、中教審による答申(16の徳目)
 ◎個人として(ア)自由であること(イ)個性を伸ばすこと(ウ)自己を大切にすること(エ)強い意思をもつこと(オ)畏敬の念をもつこと
 ◎家庭人として(ア)家庭を愛の場所とすること(イ)家庭をいこいの場とすること(ウ)家庭を教育の場とすること(エ)開かれた家庭とすること
 ◎社会人として(ア)仕事に打ち込むこと(イ)社会福祉に寄与すること(ウ)創造的であること(エ)社会規範を重んずること
 ◎国民として(ア)正しい愛国心を持つこと(イ)象徴に敬愛の念を持つこと(ウ)すぐれた国民性を伸ばすこと
 作成の趣旨(高坂正顕主査):「教育基本法の内容はあれでけっこう」「教育基本法は抽象的であり、世界のどこにも適用する普遍性」「日本人の精神的風土に定着させるためには、もっと具体化する必要がある」
6.1984年、中曽根内閣、臨時教育審議会設置(基本法の解釈変更)
  1986年、答申 「教育基本法の精神をさらに深く根付かせ、21世紀に向けてこの精神をさらに創
造的に継承、発展させ、実践的に具体化」するうえで、「平和国家、文化国家、民主主義の成熟を目指す正しい国家意識の涵養(略)、個性ゆたかな文化や伝統の継承…」の必要性から、「公共のために尽くす心、他者への思いやり、社会奉仕の心、郷土・地域、そして国を愛する心、(略)異質性・多様性への寛容の心などを育成することが必要」
7.1990年代、グローバリゼーションの進展、新自由主義による社会の変化
8.1999 年、小渕内閣、教育基本法の見直し着手を明言
  2000年、教育改革国民会議の設置
9.2000 年 、森内閣、「教育を変える十七の提案」において改正を提言「新しい時代にふさわしい教育基本法を」
  2001年、小泉内閣の遠山敦子文科大臣「1 教育振興基本計画の策定について 2 新しい時代にふさわしい教育基本法の在り方について」中教審に諮問
  2003年3月20日、中教審の答申「新しい時代にふさわしい教育基本法と教育振興基本計画の在り方について」[注]
10.2006年4月28日、小泉内閣、改正法案を閣議決定、同日政府法案として国会提出
「我が国と郷土を愛する」という場合の国とは何かについて、「歴史的に形成されてきた国民、国土、伝統、文化などから成る、歴史的、文化的な共同体としての我が国を愛するという趣旨であり」、「統治機構、すなわちそのときどきの政府や内閣等を愛するという趣旨ではない」と答弁
11.2006年12月、安倍内閣、改定教育基本法施行

[注] 中央教育審議会答申 2003.3.20
 「2 具体的な改正の方向」
 (社会の形成に主体的に参画する「公共」の精神、道徳心、自律心の涵養)
 「…国民が国家・社会の一員として、法や社会の規範の意義や役割について学び、自ら考え、自由で公正な社会の形成に主体的に参画する「公共」の精神を涵養することが重要である。」

 (日本の伝統・文化の尊重、郷土や国を愛する心と国際社会の一員としての意識の涵養)
 「…なお、国を愛する心を大切にすることや我が国の伝統・文化を理解し尊重することが、国家至上主義的考え方や全体主義的なものになってはならないことは言うまでもない。」

 (参考)学習院大学法科大学院教授、野坂泰司氏 2016 岩波書店『世界』8月号
 安倍内閣が七・一閣議決定により、憲法九条の下でも集団的自衛権の行使は容認されると憲法解釈の変更をしたことに対し、従来の政府解釈を変更すること自体は許されないことではないとした上で、「 問題は、その解釈変更(変更後の新たな解釈)が当該条項の解釈として妥当なものであるかどうか、すなわち、制憲者の意図=当該条項の趣旨・目的に反することなく、その枠内で、本来の意味(原意)を具体化し、補充するものであるかどうかの一点に尽きる。このような観点から見るとき、今回の安倍内閣による憲法九条解釈の変更が解釈として許される限度を超えた不当なものであることは明白である。」

【 改正の理由 】
①押しつけ論:今の教育の荒廃の原因は今の教育基本法からきている
②規定不備論:第10条、誰が教育の責任者かわからない、法文の表現に恣意的解釈が入りこみ不要な混乱を招く
③規範欠落論:一連の教育荒廃現象は、教育勅語にあったような徳目が規定されていないため
④原理的見直し論:教育荒廃の背景は、病める近代文明と近代学校システム。アジア型道徳教育、教育勅語、日本人のアイデンティティー
⑤時代対応論:生涯学習、男女参画、国際化・情報化
⑥改正派の改正不要論批判:「愛国心に反対の人、今の日本が嫌いなら自分が愛せる国にすべく、国づくりに積極参加すればいい。それが主権在民の理念だ。」「国家と国民を対立したものと見るのは主権在民の制度を無視した空論」「理念と徳目は何が違うのか」→ 理念は名宛人が国家、徳目は名宛人が国民個々人

* 徳目を基本法に規定する必要性
参考1)森喜朗元首相、2002 年
「やはり根拠法をつくって初めて、円滑に学校に国歌が響き、国旗が掲揚される」ということを「国旗・国歌法案の経験から知っている」
 憲法改正への布石「憲法改正を視野に入れつつ、国民レベルの幅広い議論の中に教育基本法改正を積極果敢に推し進めるべき」
参考2)民主党 西村真悟衆院議員、2004 年「 教育基本法改正促進委員会」
「お国のために命を投げ出しても構わない日本人を生み出す。お国のために命をささげた人があって、今ここに祖国があるということを子どもたちに教える。これに尽きる。」

* 統治行為としての教育

* 優生思想
三浦朱門「平均学力が下がらないようでは、これからの日本はどうにもならん…できる者を限りなく伸ばす…“ゆとり教育”の本当の目的。エリート教育とは言いにくい時代だから、回りくどく言っただけの話だ」
江崎玲於奈「ある種の能力が備わっていない者が、いくらやってもねえ。いずれは就学時に遺伝子検査を行い、それぞれの子供の遺伝子情報に見合った教育をしていく形になりますよ。」

【 小学校学習指導要領 】
① 小6社会
 大日本帝国憲法の発布、日清、日露戦争、条約改正、科学の発展などを手掛かりに、我が国の国力が充実し国際的地位が向上したことを理解すること。
「天皇の地位」について、天皇についての理解と敬愛の念を深めるようにすること。
② 音楽
 国歌「君が代」は、いずれの学年においても歌えるよう指導すること。
③ 指導計画の作成と内容の取扱い 1 指導計画の作成に当たっての配慮
第1章「総則」の第1の2の(2)に示す道徳教育の目標に基づき、道徳科などとの関連を考慮しながら、第3章「特別の教科道徳」の第2に示す内容について、算数科の特質に応じて適切な指導をすること。
(上記「算数科」の箇所に、国語科、理科、社会科、生活科、音楽科、図画工作科、家庭科、体育科、外国語科、外国語活動、特別活動と、すべての科目が入れられている。)
(愛国心、歴史や伝統、文化の尊重などすべて旧法に含まれているというのが旧法制定以来の一貫した文部省解釈で、学習指導要領はこれらの徳目を明文化してきた)

【 教育勅語の時代(1890年~1948年失効) 】
1. 出来事
(1)文部省設置、1871 年

(2)学制を公布、兵部省設置、徴兵の詔、1872年

(3)徴兵令、1873年
 およそ95%の庶民を兵士に仕立て上げる

(4)伊藤博文、憲法制定の根本精神について所信を披瀝、1888 年
 「今憲法ノ制定セラルゝニ方テハ先ツ我国ノ機軸ヲ求メ、我国ノ機軸ハ何ナリヤト云フ事ヲ確定セサルヘカラス。機軸ナクシテ政治ヲ人民ノ妄議ニ任ス時ハ、政其統紀ヲ失ヒ、国家亦タ随テ廃亡ス……抑、欧州ニ於テハ…宗教ナル者アリテ之カ機軸ヲ為シ、…然ルニ我国ニ在テハ宗教ナル者其力微弱ニシテ一モ国家ノ機軸タルヘキモノナシ。仏教ハ…傾キタリ。神道ハ…宗教トシテ人心ヲ帰向セシムルノ力ニ乏シ…我国ニ在テ機軸トスヘキハ、独リ皇室アルノミ。…専ラ意ヲ此点ニ用ヒ君権ヲ尊重シテナルヘク之ヲ束縛セサラン事ヲ勉メリ。…君権ヲ機軸トシ、偏ニ之ヲ毀損セサランコトヲ期シ、敢テ彼ノ欧州ノ主権分割ノ精神ニ拠ラス。固ヨリ欧州数国ノ制度ニ於テ君権民権共同スルト其揆ヲ異ニセリ。是レ起案ノ大綱トス」
  新しい国家体制の精神的機軸としての皇室 ; 国體「将来如何の事変に遭遇するも…上元首の位を保ち、決して主権の民衆に移らざる」1889年
⇒「家族国家」:「国體」 の最終の「細胞」

(5)日清戦争(1894年7月~95年11月) 「疫病との戦争」決して文明的な戦争ではなかった
* すもうと愛国
力士も軍夫として戦争協力
 「報国の志」を示すため。当時、“裸体踊(はだかおどり)”と軽蔑され廃止論まで出ていた相撲の地位を向上させるため。
* 福沢諭吉〈 日清の戦争は文野の戦争 〉 ※文野:文明と野蛮
⇔ 討清軍歌 “膺(う)てや懲らせや清国を”
* 実物教育としての戦利品の公開(天皇→大阪の博物館→靖国神社→全国巡回)
* 旅順虐殺事件、1894年
 司令官、山地元治中将による指令「婦女老幼を除き皆殺しにしてもかまわない」
 実際は「老爺は嬰児と共に斃(たお)れ老婆は嫁娘と共に横たわる、惨状名状すべからず」(輜(し)重輸卒、小野六蔵)という状況
「大抵の人家二三人より五六人死者のなき家はなし…実に愉快極りなし」(長野出身、窪田仲蔵、11/21日記)
 世界中に報道され苦境に立たされた日本政府は、通信社のロイターを買収し事件のもみ消しをはかる。(伊藤博文首相、「不問に付」すことを指示)
* 台湾領有戦争(1895年)
 台湾民衆のゲリラ的抵抗は1902(明治35)年まで続く。

(6) 全国青年大会 1910年
 「青年団規十二則」採択
一、教育勅語並に戊申詔書の御趣旨を奉体すべきこと。 一、忠君愛国の精神を養ふべきこと。 一、国体を重んじ祖先を尊ぶべきこと。……

(7) 石橋湛山の小国主義
 『大日本主義の幻想』1921年 (「東洋経済新報」1895年創刊)
  朝鮮、台湾、樺太も棄てる覚悟、軍備の縮小、平和主義

(8) 関東大震災 1923年
 死者の最大のものは焼死者。悲劇は、避難者の持ち出した家財によるものであった。
 江戸時代には持ち出し禁止の通告があった。江戸時代に防火のための火除原と称された広場や広い道路も、無駄な場所として民家で埋まる。(火災に対する処置などは、むしろ江戸時代よりも後退 ――中村清二、 寺田寅彦)
* 1882年、太政官布告第36号「戒厳令」を規定

(9) * 国民学校令公布 1941年
 小学校が国民学校に改められる
 国民学校の教育目的は「個人の発展完成」を目指すものではなく、教育勅語を奉じ「皇国の道に則りて国民を錬成し皇運を無窮に扶翼」するにある、とした。(文部省)
 教育勅語の暗唱と奉安殿への敬礼
 但し、戦前の軍国主義教育はイデオロギーそれ自体を直接注入するようなものばかりではなく、子どもたちが好きな歌、物語、お芝居、映像、画像など当時あったあらゆるメディアで子どもの欲望に答えるかのような巧妙なやりかたで行われた。
 **『臣民の道』文部省発行、1941年
 「我等は私生活の間にも天皇に帰一し国家に奉仕するの念を忘れてはならぬ」天皇と国家への忠誠を国民に要求

(10)第二次世界大戦、1945年終結
  戦死者約2000 万人(日本人 約300 万人)

2.体験
(1)むのたけじ(1915年生まれ)
  隣組は、隣近所で互いに監視するためのもの。軍事訓練を怠けると「あいつは非国民だ」と非難。それが家庭にも入りこみ親子、夫婦も信じ合えなくなる。だから家族がバラバラになった。

(2)山口 彊(1916年生まれ)
 1925年から、中学校での軍事教練
「陸軍現役将校学校配属令」教練指導として現役将校が配属され、授業の一環として週3~5時間ほど実施
「軍人がそうやって威張り出したのは、昭和になってからだという感じがどうもある。いまからすれば、戦前は軍国主義一辺倒で、ひたすら暗い時代であったようなイメージがあるかもしれないが、大正時代は、少なくともそうではなかった。」
「何が善くて何が悪いかは国家が決める。自分独自で物事を考え表現する人は、権力によって殺害される時代になっていた。…心に思ったことを言っては罰せられる。それは何も特定の思想に限ったことだけではなかった。やがては素直に感情を表すことすら禁じられるようになっていった。…学校教育そのものが、ますます天皇至上主義に傾いていった。」

(3)大島孝一(1916年生まれ)
 当時は「神社は宗教でない」という理屈で、他にどのような宗教を信じていようといまいと、日本人である以上、神社参拝を拒むことは許されなかった。…靖国神社の前を走っていた都電に乗る乗客は車掌の指示でいっせいに拝礼しなければならなかった。

(4)福島菊次郎(1921年生まれ)
小学校時代、早く兵隊になって天皇陛下に忠義をして死ぬのが最高の名誉。毎日、「 国民は天皇陛下の赤子で、天皇陛下からもらった命は天皇陛下にお返しすべきである」「天皇のために手柄を立てて名誉の戦死をせよ」
満州事変後には小学校高学年に軍事教練を義務づけ。銃剣術、匍匐前進。卒業すると少年志願兵の道も。
「名誉の戦死」は国家に強制された無惨な死にすぎなかった。それでも男たちが戦場に引かれて行ったのは、「卑怯者、非国民」呼ばわりされる人の目を恐れていたからだった。

* 植民地支配(朝鮮)
1925年7月 朝鮮神社完成(10余年の歳月)
10月、朝鮮神宮に改称(朝鮮全土の神社の総鎮守に据えるため)
1935年 神社参拝強要
1937年10 月 「皇国臣民の誓詞」
一、私共ハ、大日本帝国臣民デアリマス
二、私共ハ、心ヲ合ワセテ天皇陛下ニ忠義ヲ尽シマス
三、私共ハ、忍苦鍛錬シテ立派ナ強イ国民トナリマス
(小学生は毎朝、学校で唱える。怠れば学校ではびんた。)
1937年12月 朝鮮中の学校などに御真影を配布、奉安殿に安置
1940年 創氏改名

* メディアの役割
 ( 新聞 )
 各府県にあった二つの有力紙を一県一紙という政府の政策で統合
→ライバル紙の批判、自分たちの方が国策に協力しているという嘆願書を情報局へ送付
 ( ラジオ )
 日本の優越性を強調。「天皇」に関するキー・シンボルの多用。この戦いは「聖旨」すなわち天皇の意思、天皇の命令によるものだと強調し、その大命にしたがうことが臣民の道であると国民に訴える。

【 その他の視点 】
◇愛子さんの卒業文集 平和について
 「…唯一の被爆国に生まれた私たち日本人は、自分の目で見て、感じたことを世界に広く発信していく必要があると思う。『平和』は、人任せにするのではなく、一人ひとりの思いや責任ある行動で築きあげていくものだから。」

◇「共にある」(2016年8月の天皇のお言葉) ⇔ 為に死ぬ(教育勅語)の大きな隔たり

◇籠池町浪(ちなみ)新理事長のメッセージ(抜粋)
 (塚本幼稚園ホームぺージ「新理事長より皆様へ」2017.3.30より)
…教育基本法が平成18年に改正された際に新たに設定された「我が国と郷土を愛する態度を養う」との教育目標を、幼児教育の現場で生かそうとした前理事長なりの努力と工夫の結果であると理解しております。
…今後は、教育基本法が昭和22(1947)年に制定された際に示された「われらは、個人の尊重を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成を期するとともに、普遍的にしてしかも個性ゆたかな文化の創造をめざす教育を普及徹底しなければならない。」との指針を常に念頭におきつつ、内容、カリキュラムを柔軟に見直して参ります。

◇「外国人教員から見た日本の大学の奇妙なグローバル化」
 『中央公論 』2015.7 エドワード・ヴィッカーズ、ジェルミー・ラプリー
 「日本の生徒たちに学校で日本の「伝統、文化、歴史」を学ぶようさらに強要することは、世界と疎遠になることに拍車をかけるだけであろう。そして日本が国際的役割を担う舞台への参加をいっそう難しくする。日本人と外国人という単純な線引きをし続けることにより、現政権は日本の若者の内向き思考を助長する恐れがある。」
 「改革は教育全ての段階で、教室の若者たちが「日本人」の概念に疑問を持ち批判的になれる場にするべきであろう。」
 「内向き志向(ママ)は、国家体制側の価値を教えることを過度に強調してきた必然の結果である。」

参考文献
市川昭午『教育基本法改正論争史』2009年、教育開発研究所
大内裕和『 教育基本法改正論批判』2003年、現代書館
小森陽一 大原穣子『読んでみませんか 教育基本法』2005 年、新日本出版社
杉田敦 編『丸山眞男セレクション』2010 年、平凡社ライブラリー
由井正臣『大日本帝国の時代』2000 年、岩波ジュニア新書338
大島孝一『戦争のなかの青年』1985 年、岩波ジュニア新書103
吉村昭『関東大震災』2004 年、文春文庫
山口彊『ヒロシマ・ナガサキ 二重被爆』2009年、朝日文庫
福島菊次郎『ヒロシマの嘘』2003年、現代人文社
片野次雄『日韓併合』2010 年、彩流社
NHKスペシャル取材班 編著『 日本人はなぜ戦争へと向かったのか』2015年、新潮文庫
『日本の歴史14 「いのち」と帝国日本』小学館
毎日新聞など

完全護憲の会ニュースNo.40 2017年4月10日

               <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
             連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
                 電話・FAX 03-3772-5095
                 Eメール:kanzengoken@gmail.com
                 ホームページ:http://kanzengoken.com/

    目次  第39回例会・勉強会の報告           P1
        第36回編集・運営委員会の報告(略)
        別紙1 政治現況報告             P2            
        別紙2 事務局報告              P3
        別紙3 「平和への権利宣言」国連総会採択について P6

    第39回 例会・勉強会の報告

 3月26日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で開催、参加者12名、会員57名。
 司会を草野が担当し、まず政治現況報告(別紙1)が代読され、ついで事務局報告(別紙2)を福田が行った。
 質疑・意見に入り、「岡部さんの『政治現況報告』にあるように、安倍首相が『わたしも妻も関係したということになれば総理大臣も国会議員もやめる』と断言した以上、内閣総辞職の可能性がある。この件を第一義的に追及すべきではないか」「与党が多数で、総辞職は無理だろ」「籠池問題は、教育勅語賛成という思想的に近い人々の間で起きている。2006年に教育基本法が改訂されて、2018年度に小学校で道徳が教科化されることになった。こうした思想の危険を指摘したい」「マスコミは籠池問題を派手に扱っているが政権交代まで行くかどうか。共謀罪を通すための策謀との見方もある。
 「南スーダンからのPKO撤収を政府は決めたが、薄氷を踏む思いの派遣だったのではないか」「駆けつけ警護の実績を作りたかったのだろうが、死者が出ると大変だ」「自衛隊の死者を靖国にまつる先例にしたい思惑を指摘する人もいる」「死者を無駄にするのかと戦意を煽るのが過去の例だ。撤収は秘密裏に行うのが普通。公表は危険を招く愚行だ」「18歳まで選挙権が与えられたが、彼らはほとんど自民党に投票したという。憲法の改正を彼らは当然と予想している。『地獄の話』に衝撃を受けた。この詩を若者たちに読んでもらいたい」などの発言があった。なお冊子の「まえがき案」は了承された。
ついで15:00~16:00、「『平和への権利宣言』国連総会採択について」飯島滋明氏より報告(別紙3参照)があり、その後、この宣言の意義について意見を交換した。この報告は飯島氏の了解で録音し、その成文化を検討中。

<別紙1>
         政治現況報告

                岡部太郎(共同代表) 2017年3月26日
                     
 3月は内外共に大きなニュースがテレビや新聞に踊った。国際では、お隣の韓国で、朴槿恵(パククネ)大統領が、国会の弾劾訴追を審理していた憲法裁判所によって10日、8人の裁判官の全員一致で罷免された。大統領の罷免は初めてで、朴氏は同日失職。2日後には青瓦台の官邸を出て、私邸に帰った。朴氏は長年の友人の崔順実(チエスンシル)被告による国政介入事件をめぐる職権乱用と、サムスン・グループによる贈賄罪の収賄共犯など、13の憲法違反で訴追されていた。
 朴氏は21日に検察で2日にまたがる事情聴取を受けたが、起訴は確実。韓国では5月8日に次期大統領選がおこなわれるが、野党の文在寅(ムンジェイン)候補が圧倒的に有利。北朝鮮がミサイルを連発し、東アジア情勢が緊迫するなか、日本外交にとっても、北朝鮮との融和に向く韓国野党の新大統領と、どう向き合うかは難しい問題だ。
 「政界とは一天にわかにかき曇り、何がおこるか解らない所」と云ったのは、故川島正次郎自民党副総裁だが、まさに台風の目となったのが、大阪・森友学園の安倍首相夫妻や稲田防衛大臣を巻き込んだ豊中での小学校設立をめぐる籠池騒動だ。園長の籠池泰典氏の望む国有地取得のための国との折衝が、親交のあった安倍首相夫人昭恵さんとの関係により、例外的に安く、しかも異例の特典を与えて払い下げられたと云う疑惑だ。それはついには23日の籠池氏の国会証言にまで発展したが、その中で昭恵さんが「安倍からです」と100万円の束を学園側に渡した、との爆弾発言があり、さらに混迷が深まった。
 塚本幼稚園は、教育勅語を児童に毎朝朗唱させたり、運動会で「安倍首相頑張れ」「安保法案成立よかった」「中国や北朝鮮は心を入れ換えよ」などと声をそろえさせるなど、時代錯誤の右寄り教育で有名な籠池園長や、安倍首相、稲田防衛大臣は、いずれも右派団体「日本会議」の同人で、そのため4月から開校予定の小学校には「安倍晋三小学校」とネーミングすることを打診していた。そして昭恵夫人は新小学校の名誉校長に就任していた。
 そんなことから安倍首相は当初、籠池氏のことを「明確な主張をもった有為な人物で、妻(昭恵さん)もその教育理念に心酔している」と持ち上げていたが、事件が表面化してくると「強引でしっこい人。時代錯誤である」と一転。森友土地取得問題にも「私も妻も土地取得には一切かかわっていない。もし関係があるなら、首相も国会議員もやめる」と大見得まで切った。
 それだけに証言で籠池爆弾が破裂すると、内閣・自民党あげて献金問題など、全ての否定に大わらわ。昭恵夫人は三回も幼稚園に講演にいっているが「謝礼は一切もらっていない」とブログで否定。(籠池氏は「100万円受け取った時、菓子折と共に10万円謝礼した」と証言)両者の主張は全て真っ向から対立。真相を知るには昭恵夫人からの証言が不可欠だ。
 首相が国会の場で「一切関係がない」と云い切っているだけに、対応を誤れば内閣総辞職もありうるので、政府・自民党も必死だろう。
 一方、稲田防衛相は南スーダンの現地情勢で数々の失言や、あとから取り消す失態を演じていたが、森友問題でも虚言癖が出た。議員になる前、弁護士として森友幼稚園と拘わりがあったのに、「一切関係がない」、籠池氏とも「10年以上も前に会っただけ」と断言。これも2年前に会ったことが分かり、「記憶に自信を持って」いたが、「どうやら間違っていたようだ」と全面的に訂正、国会で謝った。
 稲田大臣は、昨年PKOで南スーダンに派遣されている自衛隊が、隣接地で戦闘が起こり、危険が迫っているにも拘わらず、昨年末には、「PKOの日報は廃棄された」と報告せず、その後見つかったのに、防衛省が稲田氏に報告したのは1カ月後の?27日だった。完全な隠蔽で、稲田氏はバカにされたわけで、シビリアン・コントロールにも反する。何度も国会で訂正したり、謝ったりの上、〝戦闘″を〝武力衝突″と云い替えたり、何度も野党から辞任を突きつけられた。そして政府は11日に、陸上PKO部隊の5月末撤収を発表した。
 ほかに都議会の百条委の石原喚問や、テロ共謀罪の閣議決定もあったが、途中経過なので4月に回す。

<別紙2>
        事務局報告

                 福田玲三(事務局) 2017.3.26

1)集会の報告
● 重慶大爆撃裁判
 さる3月17日午後2時から、東京高裁101号室で重慶大爆撃裁判の控訴審・第2回口頭弁論が開催された。中国から来日した控訴人や学者のほか、定席80余名を埋め尽くした傍聴者の前で弁護団は10人の専門家証人(医師、歴史学者、法学者)の人証調べの必要なことを力説したが、永野厚郎裁判長は審理の打ち切りを告げ、抗議の声の中を退席した。
そのあと、傍聴者は参議院議員会館101会議室に移り、今後の活動の展望を語り、また鑑定意見書を提出した聶莉莉さん(東京女子大教授)前田哲男さん(軍事ジャーナリスト)の講演などを聞いた。
重慶大爆撃は昭和13~18年に、当時の中国の首都に日本が行った無差別戦略爆撃で、その後の世界の戦略爆撃の走りとなり、ついには米空軍による東京爆撃を招いた。

● 第4回平和学習会
 3月18日午後6時15分から、飯田橋・セントラルプラザ10階会議室で平和創造研究会・第4回平和学習会(主催・宇井宙)が開かれ、「ガンディーと非暴力主義」について高橋静香氏(ガンディー研究会員)の報告に基づき、主として戦争と平和の問題をめぐって質疑・討議が交され、当会から4人が参加した。

2)新しい冊子の発行について
本年度活動計画で決められた新たな冊子(「明治帝國憲法下のくらし――自民党改憲草案のめざすもの」)発行について、次の日程案と冊子冒頭の「ごあいさつ」案が提出された。

1.冊子発行日程案
3月29日 原稿取り揃え入稿
4月 5日 初校校正
4月12日 校了
4月20日 納本、配布

2.まえがき案
 安倍政権は、明治維新150年に合わせた記念行事の実施を2016年10月に発表した。菅官房長官は記者会見で「わが国にとって大きな節目。明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは重要。明治以降の歩みを次世代に残す」と強調した。(『東京新聞』2017・1・12「こちら特報部」)
 これに符節を合わせるかのように、「明治の日推進協議会」は2011年結成以来、11月3日の文化の日を、明治の日に改める運動をしている。
 同協議会参与の大原康男・国学院大名誉教授は「11月3日はもともとは明治節なんです。日本が欧米列強の侵略の脅威に遭いながら、天皇も国民も一丸となり、日清・日露戦争にも耐えた。今からみればいろいろな批判があるかもしれないが、近代的な国民国家が建設された背景として、父祖たちの国民的団結の中心に明治天皇がおられた。であれば、本来の意義に沿う明治の日に改めるのがいいではないか」と主張している。これがこの運動の趣旨だ。(同上)
 だが、この主張は明治憲法時代の言い分だ。現日本国憲法下の現状には全くそぐわない。
 明治の初期、「民権是れ至理也、自由平等是れ大義也」(中江兆民著『一年有半』)を旨とし、「対外政略よりも内治の改良が先決である」(色川大吉著『自由民権』岩波新書87頁)ことを要求した自由民権運動を、明治維新政府は非道過酷に弾圧し、欽定憲法を下付して絶対的天皇主権を押し付け、日清・日露の侵略戦争に国民の目をそらした。
この伝統は明治以後に受け継がれ、昭和初年、「満州は日本の生命線」がスローガンにされ、これが中国侵略の導火線になった。明治以来の侵略政策は結局決定的敗北によって素寒貧になっただけだった。日本は海外侵略をすることなく生存できることが、この敗戦によって実証された。それまで、天皇権力は対外侵略を正当化するウソをつき続けた。
 大原教授がいうように、「天皇も国民も一丸」となったのではない。天皇権力のもとで、臣民は従僕であり、ある種の奴隷だった。「父祖たち国民的団結の中心に明治天皇がおられた」のではない。ありもしない大逆事件によって無実の人々を死刑にして国民を戦慄させ、天皇を守るために命を捧げることを命じた。300万人の兵隊が、大半は飢えで、戦死させられた。親類・縁者をふくめて戦死者を出さなかった一家があっただろうか。
 内外2000万人の戦争犠牲者を生んだ大きな悲劇の果て、幸いにして世界の民主主義勢力の援助を得て、日本国民は国民主権の憲法を手にした。明治帝國憲法と、きっぱりと異なる民主憲法の意味について、残念ながら、国民の多くにまだその自覚が及ばず、その間隙をついて、自民党は改憲をねらい、明年に迫った明治維新150年を利用し、明治ブームを演出しようとしている。
 私たちは、明治政府をたたえる反動的な現政権の意図を究明するとともに、明治帝國憲法下の国民の暮らしがどれほど屈辱的であり苦しみに満ちていたかを本冊子で明らかにしたい。

 添付した資料を簡単に紹介すれば
1 「大日本帝国憲法」の「第3条 天皇は神聖にして侵すべからず」「第4条 天皇は国の元首にして統治権を総攬し此の憲法の条規に依り之を行ふ」は、明治憲法が絶対的天皇主権であることを明示している。「第18条 日本臣民たるの要件は法律の定むる所に依る」は国民が生まれながらにして臣下であることを明記している。
2 「教育勅語」の3段目「爾(なんじ)臣民、父母に孝に兄弟に友に夫婦相和し、朋友相信じ……一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」は、臣民、すなわち従僕に対する説諭であり、さまざまな徳目の結びは、天皇家を守るために命を差し出せと命令している。文字通り、このことが明治、大正を通じ、昭和の敗戦まで国民に強制され続けた。敗戦による降伏の際の、唯一の条件は国体の護持であり、国民の生命の保全ではなかった。この思考はこんにちまで及び、自衛隊の主たる任務が「わが国を防衛すること」であり、国民を守ることではない。
 敗戦時、満州移民が関東軍によって放棄され、沖縄戦で県民が軍によって自決させられたように。
3 『軍人勅諭』の前文「朕(ちん)は汝等軍人の大元帥なるぞ。されば朕は汝らを股肱(ここう)と頼み、汝等は朕を頭首と仰ぎてぞ、其親(したしみ)は特に深かるべき」は、国民皆兵の制度の下、男子はすべて生まれながら天皇の手下であり、それは死ぬまで変わらないことを宣言している。そしてその第1項目「軍人は忠節を尽くすを本分とすべし」では「義は山嶽よりも重く、死は鴻毛よりも軽しと覚悟せよ」と、お前たちの生命は羽毛よりも軽いと公言している。
 その第2項目「軍人は礼儀を正しくすべし」では、「下級のものは上官の命を承ること実は直に朕が命を承る義と心得よ」と述べ、これが軍隊で下級者に絶対的服従を求める根拠になっていた。
4 「戦陣訓」の「(其の一)第3 軍紀」では「命令一下欣然として死地に投じ、黙々として献身服行の実を挙ぐるもの、実に我が軍人精神の精華なり」と奴隷的服従を要求している。また「(其の二)第8 名を惜しむ」では「生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」と、捕虜の口から機密の漏れることを恐れて、死を強要している。

3)集会の案内
1 韓国・朝鮮人BC級戦犯者「同進会」――早期立法解決を求めて――
    4月1日(土) 14:00~ 岩波セミナールーム(神保町)
    お話:李鶴来さん、内海愛子さんほか
2 第17回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会
    4月21日(金) 14:00~16:30 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分) 
    講演:「トランプと中東・世界――今、平和憲法革命が求められるとき――」
    講師:栗田禎子・千葉大教授
    報告:長坂伝八  参加費:500円
3 STOP! 沖縄ヘイト
    4月23日(日) 14:00~16:30 東京しごとセンター・地下講堂(飯田橋) 
    パネルディスカッション:香山リカ/木村朗/前田朗/安田浩一
    発言:新垣毅(琉球新報)/宮城栄作(沖縄タイムス)
4 安倍政権に退陣を迫ろう!4/25緊急労働者集会
    4月25日(火) 18:30~ 文京区民センター・2A会議室
    講演:「森友問題からみる日本会議の正体」木村真氏(大阪府豊中市会議員)
    会場費:500円
    主催:壊憲NO!96条改悪反対連絡会議
5 3.11から6年 福島を忘れない4/27「神田香織一門世直し講談会」
    4月27日(木) 19:00~ 高円寺グレイン(JR高円寺駅北口中通り商店街2分)
    出演:高橋織丸「人を喰う魚-豊洲移転騒動の巻」
       神田伊織「三方ヶ原戦記」
       神田香織「ルポ母子避難-消されていく原発事故被害者」
    主催:オルタナミーティング 定員:40名
    料金:前売 2500円 当日3000円(いずれも1ドリンク500円別)
6 『週刊金曜日』東京南部読者会
    4月28日(金) 18:30~20:30 大田区生活センター第6集会室(JR蒲田駅徒歩5分)

<別紙3>

   「平和への権利宣言」国連総会採択について (資料より抜粋)

             2017年3月26日 飯島 滋明

2016年12月19日(現地時間)には「平和への権利宣言」は国連総会で採択(賛成131ヵ国、反対34ヶ国、棄権19ヵ国)。

【4】「平和への権利」の内容
(1)前文
「武力不行使原則」
「平和的手段による紛争解決」
「内政不干渉原則」
「民族自決」
「平和の文化の十分な発展」
「宗教的多様性の尊重」 など
(2)1条
すべての人は、すべての人権が促進及び保障され、並びに、発展が十分に実現されるような平和を享受する権利を有する。
(3)2条
国家は、平等及び無差別、正義及び法の支配を尊重、実施及び促進し、社会内及び社会間の平和を構築する手段として、恐怖と欠乏からの自由を保障すべきである。
(4)3条
国家、国際連合及び専門機関、特に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は、この宣言を実施するために適切で持続可能な手段を取るべきである。国際機関、地域機関、国家機関、地方機関及び市民社会は、この宣言の実施において支援し、援助することを奨励される。
(5)4条
平和のための教育の国際及び国家機関は、寛容、対話、協力及び連帯の精神をすべての人間の間で強化するために促進されるものである。このため平和大学は、教育、研究、卒後研修及び知識の普及に取り組むことにより、平和のために教育するという重大で普遍的な任務に貢献すべきである。
(6)5条
この宣言のいかなる内容も、国連の目的及び原則に反すると解釈してはならないものとする。この宣言の諸規定は、国連憲章、世界人権宣言及び諸国によって批准される関係する国際及び地域文書に沿って理解される。

【5】国際社会の対応
アフリカ諸国、ASEAN、南米諸国は「平和への権利」の国際法典化に賛成
・アメリカ、EU諸国、オーストラリア、カナダ、韓国、そして日本が「平和への権利」の国際法典化に反対!

【6】平和への権利の効力
(1)国際社会レベル
「平和への権利宣言」は条約ではないため、加盟国に対する直接的な法的拘束力はない
「平和への権利が採択されれば、それを完全に無視することはできなくなる」(新倉修青山大学教授の指摘)。
「平和への権利宣言」に法的な拘束力はないとはいえ、事実上の拘束力が働く。

(2)国内的レベル
宣言が採択されれば、すべての国家に宣言を履行する義務が発生
「国際協調主義」(憲法前文、98条)が基本原理とされている日本国憲法では、国連総会で採択された「平和への権利宣言」を遵守する憲法的な要請

(3)市民活動の場面で
「平和への権利宣言」は、市民が平和を求めるさまざまな活動をする際にも根拠。
・「安保法制違憲訴訟」のさまざまな文書でも引用。
・地域の平和を作るために平和運動が連帯し、各国政府に平和のための協調を求める根拠
たとえば、隣国との紛争の平和的解決をったり、非核地帯条約や非武装地帯の設定を追及したりすること
「平和への権利宣言」では、教育について多くの規定。
堀尾輝久東京大学名誉教授が指摘するように、「平和への権利が国際法になれば、日本の平
和教育への取り組みにとって大きな力となるでしょう」

【7】市民社会の役割
・憲法で措定されているのは、「国際平和」実現のために積極的行動を行なう個人。

・平和への権利が骨抜きにされそうになった2014年、市民社会に呼びかけ、再び平和への権利の内容を充実させたのは、笹本弁護士をはじめとする日本のNGO!
大きな政治的成果を実現させるためには、多くの人々に「平和への権利」の重要性を周知させ、支持させる取り組みが必要。

・「平和への権利宣言」だが、「宣言」であって条約ではないことから法的拘束力がない。

・多彩な権利が明記されていた、「サンチアゴ宣言」を土台とした「平和への権利国連宣言草案」(諮問委員会案)に対し、12月19日に採択された「平和への権利宣言」ではそうした権利がそぎ落とされ、前文と5条からなる宣言にとどまった。

・スペインのNGO「スペイン国際人権法協会」自体が2016年12月に採択された案では不十分として賛成していない。

ただ、平和が国家間の政策の問題ではなく、個人や集団の「権利」とされたことの意義は小さくない。

国際社会では「武力行使の違法化」にむけた動きがあるが、「平和への権利宣言」採択は、そうした「武力行使の違法化」にむけた流れの中での重要なステップ。

「武力行使の違法化」の流れをさらに強化するためには、「平和への権利宣言」を法的拘束力のある「条約」にすることなどが、今後目指されることになる。

「平和への権利宣言」の条約化など、武力行使の違法化の流れをさらに強化する動きの中では、NGOなどの活動が重要。

飯島滋明(いいじま しげあき)
1969 年生まれ。名古屋学院大学経済学部教授 専門 憲法学・平和学・医事法。
【今日の内容に関連する主な文献】
 本文中に入れたもののほか、「平和への権利」に関する文献として、
・平和への権利国際キャンペーン・日本実行委員会編
『いまこそ知りたい 平和への権利 48のQ&A』(合同出版、2014年)
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完全護憲の会ニュースNo.39 2017年3月10日

                <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
        連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
            電話・FAX 03-3772-5095
            Eメール:kanzengoken@gmail.com
            ホームページ:http://kanzengoken.com/

   目次 第38回例会・勉強会の報告          P1
      第35回運営・編集委員会の報告        P2
      別紙 1 政治現況報告           P3             
      別紙 2 事務局報告            P5
      別紙 3 緊急警告018号           P6
      別紙 4 自民党改憲草案がめざすもの    P7

   第38回例会・勉強会の報告

 2月26日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で開催 参加者7名、会員57名
 司会を草野委員が担当し、まず政治現況報告(別紙1)を代読した。次いで事務局報告(別紙2)を福田委員が行った。
 質疑に入り、「『政治現況報告』の日米首脳会談評価は良すぎるのではないか」、「数字には出ていないが米国に武器購入を約束しているはずだ」、「首相は防衛力強化を錦の御旗にしている。その危険性を表現して欲しかった」、「岡部さんの早期のご回復を願っている。トランプ新大統領の就任演説はすばらしかった。権力は国民のものだとか、問題の平和的解決などが力説された。戦争と貧困への不満がトランプを生んだ。だが、新大統領に480万人のも女性が反対デモをしている。今後を見守りたい」、「トランプの言う労働の創出と右傾化はヒトラーを思わせる」、「トランプには良いところもある。パレスチナ人民を無視したり、水責めの拷問を肯定したのは良くないが、メキシコとの国境に壁をつくり密入国を防ぐのは当然ではないか」、「トランプへの評価は揺れている。メディアの選別には反対だが、メディアにも信頼が置けない」、「国境に壁を作らなくても、就労ビザ監視を強化すれば密入国は防げるだろう。メキシコでの自動車製造を制限すれば、両国の経済格差はさらに広がるだろう」などの意見が交換された。
 次いで緊急警告018号(別紙3)の検討に入り、「安倍首相が『新しい国造り』を強調している。このことへの警戒を加筆すべきだ」、「『新しい』の中身は復古だが、この言葉に多くのひとが騙されている、加筆は慎重に」などの意見があり、編集委員会で字句の調整することになった。
  ほかにも憲法解釈で第24条「婚姻は両性の合意のみに基づいて成立」について、「これは日本社会の実情を反映していないのではないか」との提起があり、これに対しては、「両親や親族に対する配慮と、国民の権利とは、別次元の問題だろう」との見解が出された。
次いで、昨年末に国連総会で多数によって採択された「平和への権利宣言」の条文が紹介され、日本の実行委員会へ講師派遣を要請し、勉強会を開くこととした。

   第35回 運営・編集委員会の報告

 2017年2月28日(月)14時00分~16時15分 三田いきいきプラザで開催
 出席者は大西、草野、福田。

1.運営・編集委員会分担について
 ・運営・編集委員長を草野委員が担当する。
2.第38回例会・勉強会の結果を受けて
 1)緊急警告018号(「行政府の長」が国会に改憲論議促すは憲法違反!)への修正意見について
  ・例会で、「安倍首相の施政方針演説には『新しい国創り』との表現が強調されている。この『新しい国創り』とは何かを指摘する必要があるのでは」との提起がなされた。
  ・あらためて安倍首相の施政方針演説全文を検討してみると、確かに、「はじめに」のところで、「『戦後』の、その先の時代を拓くため、新しいスタートを切る時」、「新しい国創りに挑戦」、「共に、新しい国創りを進め」などの言葉が目立つ。意図するところは、現行憲法を改正し、自民党憲法改正草案に示された「新しい国創り」をめざす、ということなのであろう。
  ・発言の内容は大きな問題を含んでいるが、これらの言葉が「はじめに」のところでなされていて、直接に憲法改正をめざすとは言っておらず、「憲法改正」については演説の締めくくりのところで触れている。
  ・緊急警告018号は、「行政府の長」が国権の最高機関たる国会において改憲議論促進を提起することの越権性と違憲性を指摘することが目的ゆえ、改正の内容には踏み込んでいない。
  ・よって運営・編集委員会としては、冒頭の「新しい国創り」が直接憲法改正に触れていないこと、緊急警告が越権性と違憲性を指摘することが主目的であることから、ここではあえて取り上げない方がよいのではないかと判断する。
 2)長坂氏提起問題について(トランプ米大統領イスラム圏7カ国「入国禁止」大統領令と連邦地裁・高裁「差し止め」判決)
  ・「7・1閣議決定」違憲訴訟を準備している長坂氏は、上記連邦地裁・高裁判決の意義について触れ、「抽象的違憲訴訟は不可(アメリカ型)と聞いてきたが、当のアメリカで、大統領令そのもの(具体的争訟、国民の被害ではない)を「違憲」とし、その執行停止を司法が決定した。ということは、「アメリカ型」を金科玉条として、数々の違憲審査権の行使を回避、放棄してきた日本の戦後の裁判(の判例)は根本的に間違っていることになる」と指摘した。このアメリカの裁判例は、日本の法曹界にも影響を与えるものとして注目していきたい。  
  ・長坂氏はまた、最高裁砂川判決(1959年12月・裁判長は田中耕太郎)が「統治行為論」によって案件を違憲審査の対象外とした、その際の少数意見(小西、奥野、高橋、石坂裁判官)に注目をうながした。4裁判官による少数意見の概略は次の通りである。
「高度の政治性などの理由だけでは、『法の支配』を根本理念とする新憲法が、裁判所の本質に内在する固有の権能と認めて特に裁判所に付与した違憲審査権を否定する理由にはならない。多数意見のごとく、国の存立の基礎に重大な関係がある高度政治性の国家行為に対し違憲審査権を否定することは、国の重大事項と憲法との関係において憲法を軽視するものと言わざるをえない。また国会や政府の行為によって憲法が侵犯されることのないように配慮した憲法の精神に沿わないのみならず、憲法76条、99条により特に憲法擁護の義務を課せられた裁判官の職責を全うするゆえんでもない。本件安保条約についても、その国内法的効力が憲法9条その他の条章に反するか否かは、司法裁判所として純法律的に審査することが可能であり、特にいわゆる統治行為論として裁判所がその審査を回避すべき特段の理由はない」
   この少数意見こそ真の憲法解釈であり、田中耕太郎裁判長の罪は重大だと言わざるをえない。
 3)勉強会 国連「平和への権利宣言」について
  ・上記テーマについて講師を呼んでの勉強会を開催することを例会で決めた。
  ・「平和への権利国際キャンペーン・日本実行委員会」の事務局に問い合わせ、講師派遣を依頼する。具体的には福田委員が笹本弁護士事務所を訪ね、依頼する(笹本潤弁護士は日本実行委員会の事務局長)。その際、予算の関係上、薄謝のみとなることを伝える。
  ・講演が可能となったら、その日の例会には多くの参加者を募る。
3.「文集」掲載予定草野論文について
 ・「文集」掲載予定の草野論文「自民党憲法改正草案がめざすもの」(別紙4)について検討。
 ・一部追加修正をする方向で文案を練ることとした。
4.違憲「緊急警告」のテーマについて
 ・今後も違憲性に対する「緊急警告」を発信していくために、対象となるテーマを検討。
 ・共謀罪、マイナンバー制度、地方自治蹂躙(沖縄)、交付金などがあがった。
5.当面の日程について
 1)第39回例会 3月26日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
          当日、勉強会 「国連:平和への権利宣言」について
          講師:飯島滋明(名古屋学院大学)      
 2)第36回運営・編集委員会 3月29日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
 3)第40回例会 4月23日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 4)第37回運営・編集委員会 4月26日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

<別紙1>
          政治現況報告

                   岡部太郎共同代表 2017.2.26

トランプ・安倍 初首脳会談

 安倍首相は2月10日、ワシントンでトランプ米大統領と初会談を行った。トランプにとって英国のメイ首相に次いで、政権発足後二人目の首脳会談で、安倍首相と日本を優遇した形の会談となった。ワシントンでの正式会談では、日米同盟の強化で一致。米国が安保条約第5条で日本と尖閣諸島を引き続き守る決意を示し、心配された経済問題では、日米2国間貿易のワク組みを含め、麻生副総理とペンス米副大統領をトップとする新しい対話の場を作った。日本側はトランプが広言していた在日米軍の撤退や駐留経費の負担増、自動車輸入の公平、円安誘導などを米側が会談で持ち出さず、むしろ日本が米軍を受け入れていることに感謝さえしていてホッと胸をなでおろした。しかし、これは安倍首相お得意の問題解決の先への引き延ばしにトランプが乗っただけで、本質的な解決にはなっておらず、むしろ米側は今後、あらゆる場面で日本に注文することが予想される。
 確かにトランプは共同声明のあとも、安倍夫妻をマイアミの別荘に招待、ゴルフを27ホールやったり、夕食を二日にわたって共にするなど、最大級の歓待をした。しかし、これは商売人の常で、歓待は何も持ち出さず、政治・外交でのマイナスはない。
 冷静に見れば、米側は今、何も懸案のない日本の首相を招いて、政権発足後、足元の全く固まっていない時期だけに、時間稼ぎと味方を増やすことにウエイトを置いたことがわかる。
 トランプ政権発足以来、大統領令を次々と発表。特にイラン・シリアなど中東7ヵ国の難民などの入国をストップしたことは、ワシントン連邦地裁がすぐに効力停止を決定、さらに連邦9控訴裁が、その停止を支持したことは、政権にとって痛いことだった。これは米世論を二分しているだけでなく、EUの中心であるドイツ、フランスなどヨーロッパ全体にも反対が強い。いわば四面楚歌の中で、安倍首相だけが反対せず、2国間貿易でもすり寄るなどトランプを支持していた。
 さらに云えば南太平洋でもメキシコ、オーストラリアと喧嘩別れだ。世界の中では北太平洋の日本とカナダがトランプと協調している。最初、中国に対して台湾を認め、二つの中国を主張していたトランプが習主席との初の電話会談で、掌を返すように“一つの中国”を認めたのは、やはり一個所ぐらいは安全・安定の場所が欲しかったからだろう。それはマティス国防相が来日した時から、すけて見えたものだが、日本はラッキーな立場にいた。
 そんな中で11日のゴルフが終わったところへ北朝鮮が、日米会談を狙ったように、日本海に新型の弾道ミサイルを発射した。夕食中だった安倍首相は直ちに記者会見をして非難しようとしたが、同席していたトランプも「オレも出る」といい、タイミングよく日米両首脳の会見になった。北朝鮮を非難する安倍首相に次いで、トランプも「アメリカは100%日本を支持する」と口をそえ、日米一体を視覚で世界に示した。くしくも、このシーンが今回の訪米で最大のハイライトになった。金正恩にとって、これは思わぬマイナスの判断材料になった。北朝鮮ではこのあと15日にクアラルンプルで正恩の異母兄が毒物で暗殺された。正恩の指示は確実で、金王国にもかげりがしのび寄っている。
 トランプ政権はこのあとも騒ぎは収まらず、最側近で安全保障関係の柱であるフリン大統領補佐官が、就任前にロシア駐米大使と対ロ制裁で協議、辞任に追い込まれた。またイスラエルの首相との会談で、世界の趨勢であるパレスチナとイスラエルの“二国両立”の世界世論を「一国だけでも良い」と発言。これもアラブだけでなく、世界的議論と混乱を招くこと確実だ。
 このようにトランプは政権発足3週間で、まだ政策も固まらぬうちに数々の問題を抱え、米共和党の中には「1年もたない」との声もあると云う。安倍首相も相手のふところに飛び込んだのはよいが、共倒れにならぬよう、気を引き締めねばなるまい。
 そのほか稲田防衛相の南スーダン“戦闘”問題、小池・石原都知事の豊洲市場汚染問題は次へ回す。

<別紙2>
          事務局報告

                    福田玲三(事務局)2017.2.26
1)来信
・珍道世直氏より
 ニュース38号お届けいただき有難うございました。
 岡部共同代表様がご退院されたとの御事、何よりと存じます大切なご使命を、お体をかばいながらお取組み賜れれば嬉しく存じます。
 事務局報告の中で、私の「違憲訴訟」について、多くの紙面をお取りいただきまた、「不屈の闘いを支持する」とのお言葉をいただき、恐縮に存じますと共に御礼申し上げます。何とか裁判所が違憲審査に入るよう、強く願っております。
 完全護憲の会の運営に大変ご苦労なことと存じますが、どうか継続した活動が出来ますよう、お元気でお取組みくださいませ。

・会員、T.W. 氏(神奈川県)より
 このところ、欠席が続きまして申し訳ありません。仕事が忙しかったこと、正直な所、町田と田町はそれなりに遠いこと、地元での活動に参加するようになったこと、参議院議員選挙が終わったこと等の理由により、欠席をしております。
 完全護憲の会ニュースは、毎回拝読させていただいています。今は、衆議院東京23区の民進党の候補者(浪人中)の後援会活動を中心に、市民連合にも参加しております。
 貴会の地道ですが、論理明快で分かりやすい理論構成を全面的に支持・信頼することにかわりはありません。アベの改憲のデタラメさ、アベクロコンビのとめどない量的緩和政策(いずれ必ず大インフレを起こし、国民に付けを回すことになるでしょう)に加えて、トランプという大かく乱要因が生起し、まことに将来が危ういと思います。
 私は全面的に「完全護憲の会」の憲法理論の賛同者です。町田の知人にも貴会の紹介もしております。会合に参加できることもあると思いますが、その時はよろしくお願い申しあげます。

2)「平和への権利宣言」
 「『平和への権利宣言』が国連総会で採択された。… 日本の非政府組織(NGO)も深く関与し、日本国憲法の理念も反映された。NGOは宣言を具体化する国際条約をつくるよう各国に働きかけていく。」(『東京新聞』2月19日朝刊)この宣言は、昨年12月19日の国連総会で131ヵ国の賛成、34ヵ国が反対(棄権9ヵ国)で採択された。日本は反対、中国、ロシアの賛成が注目される。日本の実行委員会(050-3395-8735)は「条約化を目指す。これからが本番」と呼びかけている。

3)ハフィントン・ポスト紙より取材申し入れ
 プレスセンターに事務所を置くフォーリン・プレスセンター(FPCJ)の招聘で来日したハフィントン・ポスト紙(ニューヨークに本社を置くインターネット新聞)ジェシカ・シュールバーグ記者の取材を受けた。日本の元兵士の安保法制を巡る問題で意見を聞きたいということだった。2月22日17:30~18:45にプレスセンター9Fラウンジで福田が取材を受け、加藤委員が同席して要所を補った。
 質問は①兵歴について、②完全護憲の会の趣旨について、③安保法制についての見解、④記者の感想が間違っているかもしれないがと前置きして、「この一両日の取材で、日本の元官僚や経済界は日本の若者たちが軍国化に反対していない、と考えているようだが、どうか」。
④については、大半の若者は社会問題に無関心で体制に順応しているが、学生たちの間に今の国の進路に反対する強力な運動があり、二極化していると答えた。
 シュールバーグ記者は小柄な若い女性で、目は灰色がかった緑、ルーツはドイツとハンガリーで、専門は中東問題ということだった。「記事になったら報告する」との追信があった。

4)集会の案内
 ①ビザ発給拒否集会妨害の第4回裁判
  3月2日(木)14:00 東京地裁415号法廷
  中国人戦争被害者への「ビザ発給拒否」で、戦争法廃止を求める「集会の自由」を侵害した安倍政権の責任を追及する
  連絡先:村山談話継承発展の会

 ②市民と野党をつなぐ会@東京
  3月13日(月)17:00開会 衆議院第一議員会館大会議室
  東京衆議院25小選挙区、市民と野党が大集合!
  主催:市民と野党をつなぐ会@東京 

 ③重慶大爆撃裁判 控訴審 第2回
  3月17日(金)14:00~ 東京高裁101号法廷

 ④第4回平和学習会 「ガンジーと非暴力主義」
  3月18日(土)18:30~20:45 東京ボランティアセンター会議室C
  (飯田橋駅隣 セントラルプラザ10階)

 ⑤週刊金曜日 東京南部読書会
  3月24日(金)18:30~20:30 大田区生活センター(蒲田駅徒歩3分)

<別紙3>

緊急警告018号 「行政府の長」が国会に改憲論議促すは憲法違反!

 第193通常国会が1月20日開かれた。安倍首相は衆参両院で施政方針演説を行ったが、この中で、「憲法施行70周年の節目に当たり、私たちの子や孫、未来を生きる世代のため、次なる70年に向かって、日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか」と述べたのである。
 「行政府の長」が、国権の最高機関たる国会において、国会議員に向かって現憲法の「改正」を促す演説を行ったのである。
 「行政府の長」がなすべきことは、ひたすら憲法に則り、国政を執行するべきものである。憲法第99条が「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」と定めるように、「国務大臣」の長たる首相には、憲法の尊重・擁護義務があるからである。
 安倍首相の施政方針演説における「改憲」促進発言は、明白な憲法違反と言わなければならない。
 しかしながら、この安倍首相の施政方針演説を、憲法違反と指摘する国会議員も野党もいないのである。マスコミの報道もこれを当然のごとく報じている。これは何んとしたことであろうか。
 ここには、明治帝国憲法下に培われた、元首である天皇の下で行政府が国権の最高機関であるとの認識が根付いているとしか言いようがない現実がある。
 憲法第41条が「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。」としているように、三権分立の頂点にあるのが国会であって、その下に内閣と司法があるのである。
 それゆえ、安倍首相の施政方針演説における「改憲」促進発言は、「行政府」としての立場をわきまえない国会に対する越権行為であり、憲法第99条の憲法「尊重・擁護」義務違反であると言わなければならない。

<別紙4>

 自民党改憲草案がめざすもの
 戦前「日本を取り戻す!」/ 国民主権から国家主権へ

主語の逆転が示す主権の逆転

 安倍自民党政権はこの国を一体どんな国にしたいのであろうか。どんな国民をつくりたいのであろうか。
 自民党の「日本国憲法改正草案」は明確にこの国と国民のありようを定めている。一言でいうなら、国民主権から国家主権の国にすることであり、国民はこの国家につき従うべきというものである。
 「草案」の前文の出だしはこうである。
 「日本国は、長い歴史と固有の文化を持ち、国民統合の象徴である天皇を戴く国家であって、国民主権の下、立法、行政及び司法の三権分立に基づいて統治される。」
 これに対して、現日本国憲法前文の出だしは、次の文章である。
 「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。」
 見てのとおり、「草案」の主語は「日本国」であり、現憲法の主語は「国民」である。
 「草案」が「国民主権」、「三権分立」の文言を残していたとしても、それはもはや本来の意味での国民主権ではなく、国家に従属した「国民主権」でしかない。そのことは「草案」全体が示しているが、とりわけ明瞭に示すのが現憲法第12条に付け加えられた、「国民の責務」の新設である。
「草案」の第12条は、「この憲法が保障する自由及び権利は……国民は、これを乱用してはならず、自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない。」(傍点引用者)と言う。
 さらに「草案」第13条は、「全て国民は、人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公益及び公の秩序に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大限に尊重されなければならない。」(傍点引用者)と述べる。(現行憲法第13条が、「全て国民は、個人として尊重される」とし、「人」一般ではなく、「個人」としていることの重要性は留意しなければならない。)
 ここに言う「公益及び公の秩序」とは、現憲法13条の「公共の福祉」を置き換えたものであるが、同じ公の字を使ってはいるが、全く意味の異なるものである。「公共の福祉」とは各人の自由や権利が、他の多くの人々の自由や権利と衝突した場合にこれを調整し、より多くの人々の自由や権利を優先しつつ共存を図っていこうとするものであるのに対して、「草案」の「公益及び公の秩序」は「国益及び国家の秩序」を意味しているからである。
 「公益及び公の秩序」の内実を決めるのは誰か、それは国家権力であり、その一部である時の行政権力にあることは自明であろう。
 こうして国民は、国家の許容する範囲で基本的人権が保障される、言い換えれば基本的人権が制約された「主権者」に降格させられるのである。国家権力によって基本的人権を制約された国民はもはや主権者とは言えないのであり、「国民主権」は名ばかりとなり「国家主権」に取って代わられるのである。
 その意味で自民党改憲「草案」は近代民主主義と立憲主義とは相いれない敵対物なのであり、憲法の構造としては、天皇に主権(即ち国家に主権)のあった明治帝国憲法と同質のものと言える。「草案」第1条が天皇を日本国の「元首」と規定していることも見事に一致している。
 まさに戦前「日本を取り戻す」、ということである。

 際立つ基本的人権の制約

 自民党改憲「草案」の際立つ特色は、現憲法が国民に保障している基本的人権を敵視しこれに制限を課していることである。
 それは前述した「草案」第12条、13条に明確に示されているが、第21条「表現の自由」においても、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は保障する。」としながら、その2項において「前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは、認められない。」(傍点引用者)とする、1項の規定を完全に否定する恐るべきものである。
 さらに、「勤労者の団結権等」の第28条において、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、保障する。」として、現行憲法第27条を踏襲していながら、その2項において「公務員については、全体の奉仕者であることに鑑み、法律の定めるところにより、前項に規定する権利の全部又は一部を制限することができる。この場合においては、公務員の勤労条件を改善するため、必要な措置が講じられなければならない。」として、現行憲法のもとでは憲法違反となる国家公務員法、地方公務員法及び人事院規則におけるスト権はく奪や政治活動の禁止規定を、憲法において正当化するものである。
 そして極めつけは、現行憲法が第10章「最高法規」として定めた第97条、98条、99条中、「草案」は第97条をまるごと削除しているのである。削除された第97条の文章を以下に示す。
 「この憲法が国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪へ、現在および将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。」
 現憲法があえて「最高法規」規定の中にこの97条の文章をおいたのは、いかに基本的人権が侵すことのできない一番大切な権利であるかということを強調し、現憲法がこれをまるごと体現したものであることを宣言したものと言える。
 基本的人権を国家権力の制約下に置こうとする自民党改憲「草案」は、敵意を込めてこれを全文削除したのである。
 さらに、現憲法第99条「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。」に対応した「草案」第102条は「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない。」とし、その2項において「国会議員、国務大臣、裁判官、その他の公務員はこの憲法を擁護する義務を負う。」とする。
 ここには驚くべき逆転がある。現憲法99条がこの憲法の尊重擁護義務を課しているのは、すべて国家権力側に立つ者に対してのみなのに対して、「草案」102条は「天皇」を除外した上で、国民に対してこの憲法を尊重する義務を課しているのである。
 憲法は「国家権力をしばるもの」とする立憲主義とは反対に、「草案」は憲法が「国民をしばる」ものとしているのである。まさに立憲主義とは正反対の「国家主義憲法」そのものである。国民主権と基本的人権不可侵を定めた現行「民主主義憲法」は、この「国家主義憲法」に取って代えられようとしているのである。
 そしてさらなる極めつけは、「草案」に新たに設けられた第9章「緊急事態」条項である。

 「緊急事態条項」の恐るべき危険性

 「大規模な自然災害」に対処することを名目として、内閣に絶大な権限を与えるこの「緊急事態」条項の恐るべき危険性については、当会のリーフレット第1集「安倍政権下の違憲に対する緊急警告」において、「『ナチスの手口』、緊急事態条項の危険性」において詳しく解説している。
 「大規模な自然災害」などへの緊急対応は現行法で十分対応可能であることは、東日本大震災の被害にあった地方自治体関係者や防災専門家が明確に指摘していることである。「大規模な自然災害」は国民を欺く口実である。
 「草案」第98条が「内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。」としていることからも、「大規模な自然災害」が口実として使われていることは明らかでする。
 そして「草案」第99条は、「緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。」とし、3項において「緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示にしたがわなければならない。この場合においても、第14条、第18条、第19条、第21条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。」としている。
 唯一の立法機関にして国権の最高機関である国会の議決を経ずして「法律と同等の効力を有する政令」を内閣の判断一つで制定できるとなれば、後段の「基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。」が単なる付け足しでしかないのは自明である。
 まさにこの「緊急事態条項」はナチスが全権を掌握した「国家授権法」(「全権委任法」)そのものであり、民主主義と基本的人権を圧殺する独裁政治を招くものと言わなければならない。

 再び戦争をする国へ、9条改憲

 現日本国憲法の3大原理である「国民主権」「基本的人権不可侵」「平和主義」のいずれもが、自民党改憲草案において否定されている。とりわけ、「平和主義」の放棄と言えるのが現行憲法第9条「戦争放棄」の改変である。
 「草案」ではまず、現行憲法第二章「戦争放棄」が「安全保障」の文言に変えられている。そして現行憲法第9条2項「前項の目的を達成するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」をまるごと削除し、「草案」第9条2項は「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。」としている。
 過去の戦争が多くの場合、「自衛」と「平和」の名のもとに行われてきたこと、そして先の日本帝国が行った戦争も「自衛」の名のもとに行われた教訓を踏まえれば、「自衛権」や「自衛権の発動」については「戦争への道」へとつながっていると言わなければならない。増して「草案」は、現憲法前文にあった「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないやうにすることを決意」するという文言を消し去った上、前述した9条2項をまるごと削除した上で「自衛権の発動を妨げるものではない」と言うのである。
 「草案」が九条の二において「我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。」として、「国防軍」を規定していることは、「自衛」を名目としていながら「自衛隊」とは異なる「軍隊」を設けるということであり、再び「政府の行為」によって「戦争の惨禍」がもたらされる可能性が強まるということである。
 すでに先の安保関連法制の強行可決により、自衛権の発動としての「専守防衛」は破られ、「自衛」や「国際貢献」を名目として海外への自衛隊派遣が先行している状況にある中、「草案」の第九条の二の3項は「国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。」としている。
 これは「国防軍」が世界のどこにでも出てゆくという宣言であり、もはや「自衛」を名目とした「専守防衛」を投げ捨てる、ということである。さらにこれは、「国防軍」が「公の秩序」の維持を名目に、自国民に対して出動することを公言しており、決して見過ごすことはできない。
 第1次安倍政権、第2次安倍政権が推し進めてきた自由と人権の抑圧、戦争準備の悪法の代表例を列挙して見る。
 教育基本法改悪(2006年)、盗聴法改悪(2016年)、特定秘密保護法制定(2013年)、安保関連法制定(2015年)である。そして今、戦前の治安維持法の再来とも言われる「共謀罪」制定へと突き進んでいる。国民を「見ざる、聞かざる、言わざる」という状況に追い込んでいる。
 この一連の流れはすべて新たな戦争遂行の準備作業と言えるであろう。
 過去の歴史の教訓を踏まえれば、いま、私たちのこの国は再び戦争をする国へと少しずつ接近していると言わなければならない。
 誰も戦争なんか望まないし、まして日本国民はそんなことを望んでいないのだから戦争なんて起こりっこない、と楽観している人も多いであろう。
 しかしながら、この人間の世界では、自己の既得権益を守るために適度な戦争(一旦戦争が起こったら適度で済んだためしはないが)を必要とし、望む者が現にいるのである。そしてこの者どもは、始末の悪いことに国家権力の中枢を握り動かすことができるのである。一般国民の意思など問題外なのである。
 わかりやすい例が原発問題である。国民の過半数が脱原発を望み、原発の再稼働に反対しているにもかかわらず、何故に安倍政権は原発を推進し外国にまで売り込むのか。「美しい国」日本を掲げる安倍政権の所業としては理解に苦しむが、これが現実である。

 以上見てきたように、自民党憲法改正草案は、現行憲法前文が「そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基づくものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。」として排除の対象とした、もはや「改正草案」とは言えないまったく別の「憲法」そのものなのでる。
 自由も人権も抑圧され、戦争の惨禍に苦しめられ、女性の参政権すらなかった明治帝国憲法下のような暮らしに陥らないよう、私たち一人ひとりが自覚すべき時である。
 自民党と右翼保守派改憲勢力は、来年2018年を明治150年として祝賀行事を行うとのことである。

完全護憲の会ニュース No.38 2017年2月10日

        <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>

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     ホームページ:http://kanzengoken.com/

  目次  1.第3回総会の報告  P.1
        別紙1 第3回総会 承認・決定事項  P.2
      2.第37回例会・勉強会の報告  P.6
        別紙2 政治現況報告  P.6
        別紙3 事務局報告 P.7
      3.第34回 運営・編集委員会の報告(略)

  1.第3回総会の報告

 さる1月29日(日)、港区・三田いきいきプラザ講習室で第3回総会を開催した。参加者7名。入会者 累計58名。
司会を草野編集委員長が担当し、議長に大西編集委員を選出し、以下の議案の審議に入った。
1)第1号議案 2016年度活動経過報告
2)第2号議案 2016年度決算報告
3)第3号議案 会計監査報告
4)審議(質疑応答・承認)
5)第4号議案 規約第7条の改訂と編集委員会の名称変更について
6)第5号議案 2017年度活動計画について
7)審議(質疑応答・決定)
8)第6号議案 新役員選出

 まず第1、2号議案を福田共同代表が報告したあと、第3号議案の会計監査報告書が代読された。質疑の後、いずれも異議なく承認された。
 ついで草野編集委員長から第4、5号議案が提案され、質疑と一部字句修正の後、異議なく決定された。
 最後に第6号議案が提出され、異議なく決定された。
 承認、決定された全議案は別紙1のとおり。

<別紙 1>
  第3回総会 承認・決定事項

● 第1号議案 2016年度活動経過報告

 昨年1月24日の第2回総会以後、野村共同代表は代表辞任を表明、2月22日に共同代表会議を開き、岡部、福田代表が慰留に努めたが遂に翻意に至らなかった。
 その後、4月30日にリーフレット第1集として「安倍政権下の違憲に対する緊急警告」を、緊急警告001号から013号までを収めて、2000部発行し、5月3日の憲法集会で1000部を配付。さらに岡部共同代表起草の「発表にあたってのごあいさつ」を追加した新版を4000部作成、6月5日の国会集会で会外の応援をお願いして1000部配付、6月8日には、この新版発表記者会見を開いた。
 この間、緊急警告の起草を担っていた加東遊民氏が用語の解釈をめぐる討議の際の誤解がもとで退会され、おもな起草者を失った当会は身の丈に合った活動を展開することとした。
 そして、7月24日の例会では結城祐弁護士を招いて「安保法制について」の勉強会を行った。
 7月13日に天皇の生前退位の意向が報道されたのに合わせては、「天皇陛下の『生前退位』に賛同を」(大西、8月3日)、ついで「護憲派は天皇の『生前退位』問題に見解表明を」(草野、8月17日)が当会ブログに投稿され、その後の例会で論議された。
 また朝日新聞(8月11日付)声欄に掲載された「改憲派から護憲派へ3点質問」に草野、福田がそれぞれ回答を投稿したが、掲載されなかった。
 この後、当会発足後3年にわたる毎例会の「政治現況報告」をまとめた『戦前の悪夢・戦争への急カーブ――政治現況報告集』の発行を計画し、八木雪雄氏のカットを添え、12月15日に500部納本、「年末カンパのお願い」とあわせて配本した。
 さらに、ブログに投稿された「私と憲法――三従の教え」「死を奨励した異常な社会――露営の歌」「天皇の『生前退位』問題――護憲派は積極的な関与を」「布施杜人――人間を解体する治安維持法」と「長編詩・地獄の話」に明治憲法、教育勅語、軍人勅諭、戦陣訓などの資料を添えた『明治帝國憲法下の日々――自民党改憲草案がめざすもの』(仮題)の冊子の発行を計画している。
 なおこの間、岡部共同代表が怪我のため入院、その後、壊疽を防ぐため足指の手術を受け、さらに12月6日には再手術もあったが無事終了した。自宅のバリアフリーが出来上がる1月中旬に退院の予定。入院中も11月、12月の「政治現況報告」や『政治現況報告集』の序文執筆など活動を継続した。

 なお2016年度の例会、編集委員会の開催状況は以下のとおり。
 総会: 1月 1回 (第2回) 参加総数 19名
 例会: 1月~12月 12回 (第25回~第36回) 参加総数139名
 編集委員会:2016年1月~17年1月 13回 (第21回~第33回)
  ※2016年末時点の会員数は57名。
  ※2016年末時点の月例ニュース郵送先は126名、メールによる送信先は235名。

● 第2号議案  2016年度決算報告

完全護憲の会  収支報告書 (2016月1月1日~12月31日)
    収入の部           支出の部
内  訳    金  額    内  訳    金  額
繰越金     282,123     会議費     20,982
入会金      8,000     通信費     246,944
寄付金     455,650     事務費      35,066
冊子売上     90,200     印刷費     389,256
会場費      38,200     交通費      4,440
                 会場費     41,766
                 振替料金    14,120
                 支出計     752,574
               繰り越し金
                 預金      13,828
                 現金      71,821
                 郵便振替    35,950
                繰越金計     121,599
収入計    874,173    支出および繰越金計 874,173

● 第3号議案 会計監査

会計監査報告書

2016年1月より12月まで振替用紙、通帳、領収書等を監査の結果、
決算報告書の通り相違ないことを認めましたので報告します。

               2017年1月19日
  完全護憲の会 代表殿
               会計監査  平川和恵

● 第4号議案  会則7条の改定と編集委員会の名称変更について

1.会則第7条の改訂
 現行会則
 (共同代表と事務局員)
 第7条 共同代表はそれぞれ、および共同で会を代表する。事務局員は事務を行う。委員と事務局員をそれぞれ若干名選出する。任期は1年とする。
を以下のように改定する。

 改定案 (下線部  を変更)
 (共同代表と運営・編集委員、事務局員)
 第7条 共同代表はそれぞれ、および共同で会を代表する。事務局員は事務を行う。運営・編集委員と事務局員をそれぞれ若干名選出する。任期は1年とする。

2.「編集委員会」を「運営・編集委員会」に改称する。

 [理由]
 完全護憲の会がパンフレット『日本国憲法が求める国の形』を編集・発行する作業から出発したために、会の運営・執行機関としての性格を持ちながら「編集委員会」という名称を用いてきました。
 しかし、この名称では、会の日常的運営・執行機関がどこにあるかが判然とせず、一部に越権行為との批判もあったことから、その性格を明確化するために「運営・編集委員会」とします。

● 第5号議案 2017年度活動計画について

1.例会・勉強会について
1)毎月1回、例会・勉強会を開催する。(基本として第4日曜日)
2)例会・勉強会の充実をはかる。
・憲法問題の議論の活発化(パンフ、リーフ、ホームページでの発信に向けて)
・講演・学習会の開催(講師料なしでの)
3)会場費・資料代として参加費300円をいただく。

2.運営・編集委員会につて
1)毎月1回開催する。会員は誰でも参加して意見を述べることができる。
2)運営・編集委員会は事務局と協力して会の運営全般に責任を持つ。
3)憲法問題の議論の活発化のために努力する。

3.他の護憲活動とのかかわりについて
1)会としてかかわるにふさわしい運動が提起された時は、その都度、運営・編集委員会、例会で検討し決定する。

4.インターネット上での発信について
1)日々生起する憲法の違憲状況について、会のホームページ上で違憲告発の発信を行う。
2)上記の内容は運営・編集委員会で検討し発信するが、例会に報告し、さらに検討を加えて、リーフレット第3集やパンフレット第2集につなげる。
3)ブログに投稿された文章のなかで、適切なものを運営・編集委員会で検討を加え、リーフレットなどに活用する。

5.文集の発行について
1)今年の春に文集を発行する。
2)文集のタイトル「明治帝国憲法下の暮らし――自民党改憲草案がめざすもの」(仮)
3)内容
①「私と憲法――三従の教え」
②「死を奨励した異常な社会――露営の歌」
③「布施杜生――人間を解体する治安維持法」
④ 濱口國雄「地獄の話」(西部ニューギニアにおける戦場の悲惨を画いた400行近い長詩)
⑤ 「天皇の『生前退位』問題――護憲派は積極的な関与を」
⑥ 資料
・大日本帝国憲法
・教育勅語
・軍人勅諭
・戦陣訓

6.3月パンフ、リーフ第1集、2集の普及・販売活動について
1)リーフレット第2集の配布活動を通じて、3月パンフレット、リーフレット第1集の普及・販売活動に取り組む

● 第6号議案  新役員選出
(任期1年 2017年1月総会~2018年1月総会)

1)共同代表
  岡部太郎、福田玲三
2)事務局員
  福田玲三、川本久美恵(HP担当)
3)運営・編集委員
  大西喜与志、加藤和香、草野好文、福田玲三
4)会計監査
  平川和恵

2.第37回例会・勉強会の報告

 ついで第37回例会・勉強会に移り、司会は草野委員が担当、まず岡部共同代表からの「政治現況報告」(別紙2)が加藤委員によって代読された。
 質疑・討論では、米国のトランプ新大統領誕生をめぐる日米マスコミの報道について、民主党政権時代に小沢一郎氏に向けたマスコミによる情報操作との関連を指摘する意見があった。
 そのあと、「事務局報告」(別紙3)が事務局から行われ、昨年末、名古屋高裁で棄却された違憲訴訟を最高裁に上告した珍道世直氏の不屈の闘いを支持する声が上がった。
 勉強会では、天皇の退位表明とのかかわりで、日本の左翼がかつて現憲法をブルジョア憲法と呼んで過小評価し、第1章天皇条項に反対し、第9条のみを評価する9条護憲にとどまっていた弊害も指摘された。

<別紙 2>

  政治現況報告

            岡部太郎共同代表 2017.1.29

安倍施政方針演説とトランプ就任演説
 2017年は正月早々、日米で重要な二つの首脳演説があった。一つは安倍首相の日本における今年の政治・外交・経済を展望した通常国会冒頭の施政方針演説であり、一つはアメリカ新大統領、共和党トランプ氏の就任、年頭教書(演説)である。特にアメリカ大統領選の間、云いたい放題を云っていたトランプ氏が、現実に、大統領になって、どのような政策、演説をするかであった。
 まず、1日早い19日に演説した安倍首相は、トランプ演説が翌20日に控えるだけに、難しい施政方針だったに違いない。大体、年頭の施政方針演説は、この一年間の内政問題の重要政策を語り、次いで外交政策を語るのが通例だが、今年は最初まず外交、それも日米同盟は外交・安全保障の基軸で「不変の原則」であると強調、「米国との同盟の絆」をさらに強化すると発言した。これはトランプ氏と米国をかなり意識したものと言える。
 安倍首相は最初、昨年末のオバマ大統領とのハワイ真珠湾訪問を取上げ、戦後70年の一つの区切りとして「次なる70年を見据え、新しい国造りを始めよう」と日本国民に訴えた。しかし、その国造りの具体的なものとして、首相は「どのような国にするかは、憲法審査会で具体的に議論を深めようではないか」と改めて改憲項目のしぼり込みを計りたいとし、改憲に意欲を示した。
 首相周辺は、このあたりの首相の強調は今国会での来年度予算案の成立にメドがついた3月末ごろから、憲法調査会で改憲論議に入りたいという願望であり、現在の衆参での改憲議員数が2/3議席を超えているのは絶好のチャンスだから、と見る。ただ今年の通常国会閉会後の6月には東京都議選があり、小池百合子都知事のグループ「都民ファーストの会」の都議選乱入なども予想され、そんなに首相の思惑通りにゆくかどうかは解らない。しかも現衆議院議員の任期は来年12月13日までで、残り任期1年になる今秋以降いつ解散になってもおかしくないだけに、まだ波乱要因はたくさんある。また首相は演説で、内政の柱として、小中校の無償化拡大や大学の奨学金の無利子化や給付型など、「教育の無償化」に力を入れていくものと注目される。
 さて一方のトランプ新大統領の初演説はどうであったか。選挙の広言とは違って実際はもっとマトモになるか、広言通りの政策で、世界の政治、経済、外交は混乱する、の二つの見方があった。結論はやはりトランプはトランプだった。
20日のワシントン就任式でのトランプ大統領の第一声は「米国第一主義」を強烈に打ち上げたあと、「イスラム過激派テロを根絶やしに」、「TPP脱退」、医療保険制度「オバマ・ケア」の見直しなど、オバマ民主党政権からの政策転換を明言した。
特に目の敵にしているメキシコに対しては、大統領令に署名し、「米国とメキシコの国境すべてにフェンスを建設する。建設費はメキシコ持ちだ」と強腰。メキシコが代金を払わないなら、メキシコからの全輸入品に20%の税金をかける、と追いうち。メキシコのペニャニエト大統領は直ちに31日のトップ会談をキャンセルした。なおメキシコの対外貿易は8割が米国向け。混乱は必至だ。
 これらはトランプが選挙中に国民に訴えていたものとほぼ一致している。さらに「NAFTA(北米自由貿易協定)」の見直し、再交渉、軍備増強、ミサイル防衛システムの開発、温室効果ガスの削減計画廃止と石炭、シェールガス生産の推進――など、ほとんどのオバマ政策を否定。アメリカ第一主義、超大国への変身を強調した。
また他国防衛のために米国が軍事費を多く支出していることに不満を示し、日本や韓国、ドイツ、メキシコなど同盟国に、 さらに軍備の負担を求めることも明言した。さらに貿易赤字解消では、日本を第一に名指しして、二国間貿易交渉に切り換えるよう要求。安倍首相もTPPにこだわらず、対応する構えを見せている。また中国の人民元高、日本の円高など他国の為替介入政策に反対してゆく姿勢を見せた。アメリカ第一主義に変更する結果、世界経済がこの後どう動くかも予測できず、アベノミクスに対する影響も困難を増すだろう。
 このトランプ演説と前後して、英国のメイ首相も正式にEU脱退を表明、米英が「自国第一」「反移民」で共同歩調を取ることになった。このようなトランプ流に対し、アメリカ民主党を中心に「トランプ政権NO!」の空前のワシントン大行進があり、さらに世界各地でも混乱が続くものとみられる。首相は正式の日米首脳会談を2月上旬にも求めているが、決して楽観はできまい。

<別紙 3>

 事務局報告

           福田玲三(事務局) 2017. 1.29

1)岡部太郎共同代表の退院

 岡部共同代表より1月18日、脚の手術を終え、無事退院の電話あり、20日のトランプ米新大統領の就任演説を待って「政治現況報告」を作成して届ける由。声が元気でした。

2)珍道氏の違憲訴訟に不当判決

「九条の会・津ニュース」は標題の件について以下のように伝えた。

12月22日名古屋高裁珍道氏に不当判決、最高裁へ上告!

司法が歴史的使命を全うされることを希求する
「閣議決定・安保法制違憲訴訟」の最高裁への上告
上告人 珍道世直
「九条の会・津」のご支援を得て、本人訴訟で、去る平成27年11月16日 津地裁に提訴いたしましたみだしの訴訟(正式名称―憲法違反及び無効確認等請求事件)につきましては、平成28年7月21日 津地裁において、「違憲無効確認請求については却下」「損害賠償請求については棄却」するとの判決が言渡されました。
平成28年7月29日 名古屋高裁へ控訴いたしました処、同年12月22日「本件控訴を棄却する」との判決が言渡されました。
(1)控訴人としては「判決は受け入れられない」ので上告することとし、1月4日午前、名古屋高裁を通じ「上告手続」をいたしました。
(2)「上告理由」は、次の4点です。
Ⅰ.本件「閣議決定」「安全保障法制」について、違憲無効であることの確認を求める。
Ⅱ.本件「閣議決定」「安全保障法制」の影響による上告人の権利の侵害について認定を求める。
Ⅲ.「平和的生存権」等の具体的権利性について、確認を求める。
Ⅳ.上告人の「具体的争訟性」の認定、もしくは「警察予備隊違憲訴訟に係る昭和27年最高裁大法廷判決」の判例を変更して、「憲法適合性」を審査されたい。
(3)本件「違憲訴訟」に係る今日までの裁判の全ては、「当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争とは認められない(具体的争訟性がない)」として却下・棄却されてきた。しかし、「具体的争訟性」については、「憲法及び法律」に条規されていない。警察予備隊違憲訴訟昭和27年10月8日最高裁大法廷判決から発出されている。「最高裁判例」が「憲法及び法律」の上位に位置づけられている。
これは、法理の逆転であり、このことが正され、裁判所が本件訴訟を通じて、本来の機能を回復・発揮されるよう、求めました。
(4)本件上告に当っては、弁護士7名の方に「上告人訴訟代理人」として就任いただきました。弁護士代表 辻 公雄氏はじめ訴訟代理人の方々は、今日まで「砂川事件・航空自衛隊百里基地訴訟などの違憲訴訟」や「森永ヒ素ミルク中毒被害者訴訟・新潟水俣病訴訟など社会的に重大な訴訟」に携わって来られた方々であり、裁判所が違憲審査に入るよう強く促して参りたいと考えております。
憲法九条は日本の宝、世界の宝、人類の宝、世の光である。  (上告理由書より)

事務局からの追記
12月22日私たち傍聴支援参加者は裁判所前で珍道さんを激励する集会を開きました。この日も岐阜や名古屋からの力強い支援者の参加がありました。また九条の会・津の会員だけでなく、平和フォーラムからも参加があったことも大事なことでした。テレビ局一社も前回以来この裁判に注目、取材が行われました(放映は当日夕方)。法廷では傍聴人から裁判長に対して、裁判が公開されている意味を考え、明瞭な発言をすべしとの申し入れも行いました。
 しかし判決は控訴理由に誠実に向き合わない、一方的で官僚的な不当なものでした。終了後に私たちは再び集会を開き、最高裁上告を決意された珍道氏の訴えを聞き支援を約束しあいました。
 珍道さんの文にあるように最高裁での裁判には辻公雄、西山明行、加地修、菊池史憲、坂東克彦、杉浦龍至、清水善朗氏が弁護団として参加することが決まりました。(K)

3) 集会の案内

① 労働運動研究所、研究会
 2月4日(土)14:00~16:00 大阪経済法科大学セミナーハウス6階B会議室
 象徴天皇制の行方ー戦後憲法体制と天皇制
 報告者:伊藤晃氏(日本近代史研究、元千葉工大教授)

②『週刊金曜日』東京南部読者会
 1月20日(金)18:00~20:00 大田区生活センター第6集会室(JR蒲田駅徒歩5分)

当面の日程について

1)第38回例会 2月26日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
2)第35回運営・編集委員会 2月28日(火)14:00~ 三田いきいきプラザ
3)第39回例会 3月26日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
4)第36回運営・編集委員会 3月29日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
5)第40回例会 4月23日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
6)第37回運営・編集委員会 4月26日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ

集会の案内

①2月総がかり行動日 「格差ノー 心豊かにみんなが尊重される社会を!」
 2月19日(日) 13:30~14:30 日比谷野外音楽堂 集会後銀座パレード
南部共同行動の集合場所: 13:00 日比谷図書館玄関前(南部共同行動のぼり旗)

②『週刊金曜日』東京南部読者会
 2月24日(金)18:30~20:30 大田区生活センター第6集会室(JR蒲田駅徒歩5分)

③第16回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会
 2月25日(土) 14:00~16:00 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分)