完全護憲の会ニュースNo.44 2017年8月10日

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     目次  第43回例会・勉強会の報告          P.1
         第40回運営・編集委員会の報告(略)     P.1
         別紙 1 政治現況報告            P.2
         別紙 2 事務局報告             P.3
         緊急警告022号 自衛隊明記は口実、
              9条全面改悪の突破口とするもの(案) P.6
         勉強会 日本の核政策をめぐる「虚像」と「実像」(略)            
            
            
         第43回 例会・勉強会の報告

 7月23日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で開催、参加者11名、会員56名。
 司会を草野編集長が担当し、まず「政治現況報告」(別紙1)が代読されたのち、「事務局報告」が行われ、これらの報告をめぐり次のような意見が交わされた。
 「『事務局報告』に最高裁で上告を棄却された珍道世直氏と訴訟代理人弁護士代表・辻公雄氏の『最高裁決定に対する共同意見表明』が掲載されている。これは上告棄却に際し、原告側より司法記者クラブ各社に配布され、並行して大手6社宛にファックス送信されたものだが、この『意見表明』はどの社にも掲載されなかった。これこそ原告が最も訴えたかった問題であるのに。その内容は、最高裁が『違憲審査権』を現在放棄しているが、憲法にもとづき、憲法裁判所型『抽象的違憲審査制』を裁判所が今後行使することを訴え、裁判所法の改正などによる、その具体的な道筋を明示しているものだ。この『意見表明』はわが会の今後の活動にたいする貴重な指針になろう」「具体的な争訟制を持つ違憲については、保育所から人権の問題に至るまですべてが憲法裁判になっている」……

 「今回の『政治状況報告』は明快で、岡部氏に感謝したい」「都議会選挙のあと都民ファーストの代表に復帰した極右の野田数が六本木で豪遊したという記事がある」「民進党の野田(佳彦)幹事長が辞任するとのうわさがある。彼は民主党をつぶした戦犯だ」「蓮舫代表は原発を30年代になくす方針を取り下げて評判を落とした」「東電役員を訴える裁判がやっと始まった」「石原慎太郎を選んだ都民を当てにしていなかったが、都議会自民党は大敗した」「安倍を切る動きが自民党でも始まった」「歴史的チャンスだ」「前川前文科省次官の発言がきっかけになった」「私たちが憲法違反と考える共謀罪が法律になり、その法律に私たちが縛られるのか」「憲法を日本の最高法規として行動し続ける必要がある」「野田数氏は明治帝国憲法の復活を図っている」「安倍政権を打倒した後、日本とアジアの平和をどう作ってゆくのか」「岸信介のような戦犯の亡霊(孫)を、主権者である国民が許しているところに問題がある」「小沢自由党首の唱えるオリーブの木連合は護憲を軸に展望を開くべきだ」……

 ついで15:00から勉強会に入り、「日本の核政策をめぐる『虚像』と『実像』」について、飯島滋明・明治学院大学教授からパワーポイントを使った報告があり(添付ファイル)、核兵器禁止をめぐる日本政府の二心ある恥ずべき態度と、国連における核兵器を持たない国々による真摯な条約への取り組みが報告され、その後の質疑応答では、この条約の効力について、その実効をさらに広げる展望が示された。
         
当面の日程について
 1)第44回例会・勉強会   8月27日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 2)第41回運営・編集委員会 8月30日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
 3)第45回例会・勉強会   9月24日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 4)第42回運営・編集委員会 9月27日(水)14:00~ 港区立勤労福祉会館

<別紙 1>
            政治現況報告
                   岡部太郎(共同代表) 2017年7月23日

 7月2日投開票の東京都議会議員選挙の驚きの結果は、津波のように全国へ広がっていった。国会では安倍政権の一強、都議会では第一党57議席の自民党はマイナス34議席の23議席の歴史的惨敗。小池都知事の新党・都民ファーストは55人(無所属6人を含む)で、選挙協力を組んで23人全員当選の公明党などと合わせ、過半数の64を越える79議席という圧勝だった。また共産党は1議席増やして19議席。民進党は現有7議席を2議席減らす5議席と壊滅的だった。なぜ都議会自民党は惨敗したのか。原因は①小池都知事への期待と圧倒的な集票力、②自民党との選挙協力を解消した公明党と都民ファーストの選挙協力、③一強の力に頼った安倍政権の強引な国会運営と、おごる自民党の数々のミス。特に選挙後半に集中した加計学園問題や「共謀罪」の採決強行、豊田真由子衆院議員の秘書殴打事件、稲田防衛相の憲法違反とも云える自衛隊の名を使った投票依頼、自民都連会長の下村幹事長代行の加計学園からの寄付などの暴露に国民の怒りが集中した――ことなどであろう。恐らくこの三つの要因のどれが突出したと云うのではなく、この三つがからみ合って、こんな大差になったと思う。特に選挙の応援演説の要請がなかった安倍首相が、初めて応援に立った投票前日の秋葉原で、聴衆から「帰れ!」「安倍辞めろ!」の怒号で迎えられたシーンは、今選挙の象徴だった。国民は怒っていたのだ。
 2月の千代田区長選で、都民ファーストの候補が、自民党候補の7倍も票を獲得して圧勝したものの、7月時点では小池ブームも少し下火になっていると思われていたが、全くの杞(き)憂だった。国民は、主権者である国民や国会をバカにするように無視し続けた安倍首相と自民党への反撃の機会を狙っていたのだ。別に小池知事や都民ファーストでなくても良く、逆転の受け皿となるものであれば、何でも良かった。自民党が獲得議席だけでなく、得票率でも、当選率でも過去最悪だったことが、それを物語っている。
 2009年都議選で自民145万8千票(25.87%)→今回126万票(22.52%)当選率65.52%→38.33%。
 また自民党は公明党との選挙協力によって衆参両院でも地方議会でも過半数を維持してきた。自公の選挙協力がなくなれば自民が一挙に過半数を割るとの試算もあった。それが現実となった今、公明党の今後が、政局で一番注目されることになろう。山口那津男党首は衆参両院選挙の自公選挙協力は別としながらも安倍首相の主張する臨時国会での憲法改正には「内閣が改憲を云うのは筋が違う」と少し距離を取り始めた。都民ファーストも都議選での大勝をテコに、国政選挙や他の地方選挙にも関心を示し始めた。何しろ出口調査で3人に1人が都民ファーストに投票しており、これを衆院の東京選挙区に当てはめると小選挙区では都民13、自民11、比例区では都民7、自民4で、合計都民20、自民15で都民がリードする(自公選挙協力の場合)。もちろん、自公選挙協力が解消すれば、結果はこんな数ではすまなくなる。
 安倍首相は選挙結果を自民におごりがあったとし、「大いに反省」と云っているが、選挙後の世論調査では、内閣支持率がいずれも先月より10%程度下降し、朝日で支持33%女性では 27%(不支持47%)、特に加計問題の政権の解明姿勢では「評価せず」が74%になった。安倍政権はこれに危機感を持ち、前川前文科省次官を参考人とする閉会中審査を11日に開いたほか、今月中に安倍首相も出席する予算委員会で加計集中審議を開くほか、8月初めには党・内閣改造をして反転攻勢に転じたいとしている。
 しかし、これまでは一度下がった内閣支持率が「他よりまし」と、しばらくすれば回復したのに対し、今回は不支持の理由が「首相が信用できない」が61%でトップになっており、加計問題も森友問題も安倍首相夫妻自身のスキャンダルで、回復は難しいとの見方も強い。
 このように都議選自民大敗の政局への影響は目を離せないが、これまでの都議選でも、大敗のあとの国政選挙では、いずれも与野党が逆転。政局転換が行われている。1993年の都議選では巨額脱税事件や党分裂で42議席の現状維持にとどまり、2議席から20議席へと大幅に議席を伸ばした日本新党が、その後の参院選でも35議席を獲得、8党連立の細川内閣が誕生した。前々回の2009年の都議選では自民が38議席と惨敗。民主党は54議席で第一党となり、直後の衆院選で圧勝して民主党政権を実現した。現在の衆院議員の任期は来年の末で、それまでに解散・総選挙がある。安倍自民党は野党の選挙体制が整わぬうちと、今年中に解散する手もなきにしもあらずだが、小手先のことに走るとシッペ返しを受ける可能性も高い。やはり来年に向けて党への信頼を回復することしか無さそうだ。

<別紙 2>
          第43回例会 事務局報告
                    福田玲三(事務局長) 2017年7月23日
1) 来信より

① 私の「閣議決定・安保法制違憲訴訟」につきましては、いつも大きなお励ましとアドバイスを賜り心から感謝いたしております。
 昨日30日午後2時ごろ、「最高裁決定」(本件上告を棄却する)が突然送達されました。東京司法記者クラブに情報提供するため、送り文を作成すると共に、弁護士代表と協議した「意見表明」と「最高裁決定文」を整えて、別添のとおり、午後4時ごろ、司法記者クラブ各社に配布していただくよう、幹事社にFAXで依頼いたしました。
 並行して大手6社宛にも、こちらからFAX送信いたしました。
 昨日は、東京地裁で東電会長らの福島事故初公判など、大きな裁判があったのと、資料提供が遅かったため、本日の朝刊には貼付の2社のみの掲載となりました。意見表明は、掲載には至りませんでした。
 今回の「最高裁決定」の理由は、全く意味不明で、理解することも承服することも出来ません。
憲法審査について裁判所は、機能不全に陥っているように私には思われます。
 これで、私の裁判闘争は終わりでございます。後は、全国19地裁に提訴されている「集団訴訟」で、最高裁が違憲審査権を行使するかどうかです。司法が歴史的使命を果されるよう心から希求致しております。
 完全護憲の会の皆様には、今日まで大変なお励ましとご指導にあずかり、心から感謝いたしております。本当にありがとうございました。
 先ずは、取り急ぎご報告申上げます。   珍道世直

<別添:「意見表明」>

最高裁決定に対する上告人珍道世直、訴訟代理人弁護士
代表 辻 公雄共同意見表明 (平成29年6月30日)

最高裁は「違憲審査権」を放棄
憲法の条規に基づき、憲法裁判所型「抽象的違憲審査性」の行使を

1. 国是(集団的自衛権の禁止・専守防衛)の大転換をもたらす本件「閣議決定」「安全保障法制」について、国会の内外・国民の間に「違憲」「合憲」が対立して国家的大問題となっている時、最高裁が、地裁・高裁が判断して却下した「具体的争訟性」に固執して、上告を棄却し、「憲法適合性」を審査されない決定を下されたことは、正に、「違憲審査権」を放棄したに等しい。

2.裁判所は、憲法の条規により「一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する」とされており、司法裁判所型違憲審査制(付随的違憲審査制)のみならず、憲法裁判所型違憲審査制(抽象的違憲審査制)を含め、一切の憲法判断を行う権限が与えられている。
 同時に、裁判所の「裁判」する権限は、国民の「裁判所において裁判を受ける権利」と表裏の関係にあり、国民の訴えに応えて、これをすべき職責を負っている。

 (参考)関係法令
・憲法第32条(裁判を受ける権利)何人も、裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

・憲法第76条(司法権・裁判所)①すべて司法権は、最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。②特別裁判所は、これを設置することができない。③すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

・憲法第81条(法令審査権と最高裁判所)最高裁判所は、一切の法律、命令規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

・憲法第98条(最高法規)この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、
命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部 は、その効力を有しない。

・憲法第99条(憲法尊重擁護の義務)天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、
裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。
・裁判所法第3条(裁判所の権限)裁判所は、日本国憲法に特別の定のある場合を除いて一切の法律上の争訟を裁判し、その他法律において特に定める権限を有する。

3.しかし、裁判所は今日まで、警察予備隊違憲訴訟に係る昭和27年10月8日最高裁大法廷判決に基づき、「裁判所は、具体的事件を離れて抽象的に法律命令などの合憲性を判断する権限を有するものではない」(具体的争訟性がなければ裁判の対象とならない)として、裁判所の実務において、「付随的違憲審査制」のみがとられ、憲法裁判の大部分が「具体的争訟性」がないとして却下、棄却されてきた。

4.「具体的争訟性」については、先に挙げた憲法及び法律に条規されていない。警察予備隊違憲訴訟に係る最高裁大法廷判決が、憲法及び法律の上位に位置づけられ、以来64年間、当該判例が踏襲されてきた。
 これは法理の逆転であり、憲法に違背する。
 裁判所は、この法理の逆転を正し、憲法の条規に基づき、裁判所の実務において、抽象的違憲審査制の行使に取組むべきである。

5.現憲法及び現裁判所法のままでも、その意思さえあれば、「抽象的違憲審査制」を行使することが出来るが、現状、上告件数の膨大さから、実務において行使する事が困難であるなら、裁判所法及び最高裁判所裁判事務処理規則を改正し、最高裁判所の組織及び裁判官の定員を拡充するなどして、可能な限り早期に「抽象的違憲審査制」の行使に取組むべきである。

6.裁判所法等改正(案)提言
(1)裁判所法改正(案)
  ・(現行第5条一部改正)最高裁判所判事の員数(除最高裁判所長官)を14人から18人にする。
  ・(新設)最高裁判所に、通常の上告事件を審査する「上告部」と憲法適合性
を審査する「憲法部」を設ける。
(その下に、現行第9条の大法廷・小法廷を置く)

(2)最高裁判所裁判事務処理規則改正(案)
 ・(新設)「上告部」の判事は9人、「憲法部」の判事は9人とする。
 ・(現行第8条一部改正)各部大法廷では、最高裁判所長官を裁判長とする。
 ・「上告部」「憲法部」の小法廷の裁判官の員数、必要出席者数などについて必要な規則改正を行う。

② 都議選自民党の大敗(について)、護憲派としては都民ファーストの大勝を喜んではいられません。
 小池さんが日本会議メンバーなのはもちろんですが、7月3日に都民ファーストの代表に戻った野田数は極めつけの右翼です。
 都民ファーストが都政に専念しているならいいけれど、憲法改正の動きが具体的になれば、小池-野田がマスコミと組み、改憲の流れを加速しかねません。完全護憲の会は都民ファーストを改憲勢力として監視していくべきでしょう。
 以下、朝日新聞やリテラから野田数情報の要旨をまとめました。 (川本久美恵)

 野田氏は2012年、「戦勝国におしつけられた」日本国憲法を無効とし、大日本帝国憲法の復活を求める請願を紹介議員として提出。請願書には、「交戦権のない占領憲法ではなく、帝國憲法に基づく正当な防衛であることを認識し」て領土を防衛し、占領された場合は「速やかに奪還」するべきとあるほか、「我々臣民としては、国民主権といふ傲慢な思想を直ちに放棄して、速やかに占領典範と占領憲法の無効確認を行つて正統典範と正統憲法の現存確認を」する必要があるなどと書いてある。
 彼は早稲田大学を卒業し教科書を作る出版社に就職するも、歴史教科書のあり方に同意できず1ヶ月で辞め政治の道に進む。2000年の衆院選で保守党から立候補し落選、保守党の花形議員小池百合子の秘書を経て出身地の東村山市議を2期、09年には自民党公認で都議に初当選した。
 一貫して歴史修正主義で、「従軍慰安婦問題は存在しない」、「日本の戦争は侵略ではなく、自衛のための戦争だった」、「南京虐殺を歴史教科書から削除」すべきなどと主張。新しい歴史教科書をつくる会から分派した日本教育再生機構の常任理事も務めた。12年衆院選には「日本維新の会」公認で立候補したが落選。同年には石原都知事の尖閣諸島購入に賛成し国会議員の「尖閣視察団」に参加した。「北朝鮮および在日朝鮮人組織への一切の支援を断ち、圧力を強めるべき」とも主張する。
 最近はアントニオ猪木から公金1100万円の横領疑惑や六本木ハレンチ豪遊が話題になっている。
 (http://www.asahi.com/articles/ASK5D4VSGK5DUTIL01L.html、
  http://lite-ra.com/2017/07/post-3291.html)

③ 今回は、シリーズ4『明治帝國憲法下のくらし』、美しい小冊子にまとめられ、……濱口さんのすばらしい詩など、それに、明治憲法下での貴重で、親しみのある資料、旧憲法、教育勅語、軍人勅諭、戦陣訓など、手近かに見ることができて重宝です。是非多くの人たちに見ていただきたいと存じます。シリーズNo.4の美しい小冊子をみて、小生も、いつかこのようなものをつくりたいとの気持ちになり、大いに励まされました。(大阪府・S氏)

④ お送りくださった「明治帝國憲法下のくらし」は「戦陣訓」や、今はなかなか見ることもできない法律など掲載されていて、勉強になります。「教育勅語」など学校で暗記させられたものでした。(静岡県・U氏)

⑤ うそつき官邸 (「もしもし亀よ」のメロディーで)

うそつき うそつき 安部首相 うそつき うそつき 空恵さん
鹿児池 加気さん 親友で 森友学園 大好きで
国のお金を横流し ポンと寄付金百万円
口を拭って知らぬ顔 子供はパクパク御名御璽

夫婦そろって うそつきで うそを言わない前河さん
菅原官房長官と 文科省の元次官
密室ひそかに口合わせ ないとは言わない男伊達
厚さ何寸 面の皮 首相になってほしい人
(ゆき・ゆきえ)

2)勉強会の講師

 第39回運営・編集委員会できまった勉強会:「国連・核兵器禁止条約」の講師は、先に「国連・平和への権利宣言」の講師、飯島滋明先生に再度お願いできることになった。

3)集会の案内
(ご参考:イベント告知サイト、レイバーネットのイベントカレンダー labornetjp.org/EventItem)

1.第7回平和学習会――報告・宇井宙「9条3項加憲論を考える」
   8月12日(土)13:30~16:30
   東京ボランティア市民活動センター 会議室C  (JR飯田橋駅隣・セントラルプラザ)
2.第21回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会――第1回口頭弁論に向けて
   8月25日(金) 13:30~16:30 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分)
   参加費:200円
3.『週刊金曜日』東京南部読者会
   8月25日(金)18:30~20:30 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)

緊急警告022号 自衛隊明記は口実、9条全面改悪の突破口とするもの(案)

 5月3日の憲法記念日、安倍首相は日本会議が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の改憲集会にビデオメッセージを寄せ、憲法9条に関して「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む、という考え方、これは国民的な議論に値する」「夏季のオリンピック・パラリンピックが開催される2020年を……新しい憲法が施行される年にしたい」と述べ、具体的改憲項目として、憲法9条改憲に踏み込んだ提起を行った。(憲法尊重擁護義務を負う首相がこのような改憲提起を行うこと自体の違憲性については緊急警告021号で指摘。安倍首相と安倍自民党総裁は不離一体であり、改憲提起に関する限り使い分けはできない。)
 これは9条3項に自衛隊を明記する加憲論として論じられているが、一部報道によれば、自民党は安倍首相の提起を受けて9条現行条文を維持したまま、新たに「9条の2」の別条を設け、ここに自衛隊を明記する方向で検討に入ったとのことである。
 「9条3項」加憲にせよ、「9条の2」加憲にせよ、具体的に案文が示されたわけではないので案文に沿った検討はできないが、いきなり本丸の9条改憲に手を付けてくることはないだろうとの大方の予想に反しての、安倍首相ならではの極めて危険な「クセダマ」である。案文が示されてからでは遅いので、その危険性について警告を発しておかなければならない。
 安倍首相はビデオメッセージで「例えば憲法9条です。今日、災害救助を含め命懸けで、24時間365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊の姿に対して、国民の信頼は9割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が今なお存在しています。『自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ』というのは、あまりにも無責任です。
 私は、少なくとも私たちの世代のうちに、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置付け、『自衛隊が違憲かもしれない』などの議論が生まれる余地をなくすべきであると考えます。」と述べた。
 このメッセージは、自衛隊に対する国民の信頼が「9割を超えている」という現状を踏まえた、自衛隊を合憲と考えている多くの国民(9条護憲派も含めた)の心に届く言葉である。
 これまでのところ、安倍首相の自衛隊明記改憲についての世論は「9条をいじるべきではない」とする国民の根強い反対もあって、「朝日」が賛成41%、反対44%、「毎日」賛成28%、反対31%、32%(わからない)、と賛否拮抗しているが、「読売」は賛成53%、反対35%、「時事通信」賛成52%、反対35%と過半数が自衛隊明記賛成となっている。
 しかしこのままでは、具体的に改憲文案が提示され、大々的なキャンペーンが行われるならば、国民投票において賛成多数となる可能性は大きいと見ておかなければならない。
 それゆえ、この自衛隊明記の安倍9条加憲に賛成する国民の選択は極めて危険な間違った選択になるということを訴えたい。
 その理由の第一は、安倍9条加憲「自衛隊明記」は単なる口実であり、憲法9条全面改悪の突破口に過ぎないからである。自民党改憲草案に明記されているように、現行9条2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」を全文削除し、自衛隊を軍隊としての「国防軍」(「草案」第九条の二)とするための突破口なのである。自衛隊を大切に思う国民の自衛隊明記の選択が、自衛隊とは異なる「国防軍」という軍隊を選択することになるのである。
 第二は、これはこれまでの自衛隊(集団的自衛権行使を容認した安保法制成立以前の)を合憲と考える大多数の国民の見解に立っての立論であるが、現行憲法第9条に明記されようとしている自衛隊は、安倍内閣によって集団的自衛権容認の7・1閣議決定がなされ、安保法制強行成立によって集団的自衛権行使を付与された自衛隊なのであり、「専守防衛」の「戦力」ではない自衛隊であることによってかろうじて維持されてきた合憲の自衛隊が、あらためて憲法違反の自衛隊となってしまったのである。このあらためて憲法違反となってしまった自衛隊を9条3項として(あるいは九条の二として)書き加えることなど不可能なことである。
 何故ならそれは、「専守防衛」を破り集団的自衛権行使によって他国の戦争にまで参加する自衛隊は、明白に現行9条1項(戦争の放棄)、2項(戦力及び交戦権の否認)と対立し、相反するからである。
 第三は、しかし論理の矛盾など意に介さない安倍政権はこれを強引に遂行するであろう。その時、現行憲法9条1項、2項は完全に無効化され、憲法に明記された集団的自衛権行使の「自衛隊」が独り歩きを開始することになる。
 独り歩きを開始した「自衛隊」は、「集団的自衛権」行使の戦争参加により限りなく軍隊としての性格を強め、軍隊としての扱いを要求してくる。結果は第二、第三の9条改憲をもたらし、自民党改憲草案がめざす「国防軍」に行き着く。
 第四は、「集団的自衛権」行使容認の安保法制が成立させられ、南スーダンに派遣された自衛隊に「駆けつけ警護」が付与されたことなどによってその兆候が現れはじめたのであるが、ひとたび「集団的自衛権」行使の戦争参加が行われるならば、「自衛隊」に応募する青年は激減する可能性がある。その結果もたらされるのは「徴兵制」である。
 第五は、「自衛隊」が「集団的自衛権」行使によって他国の戦争にまで参加するということは、国内が戦争体制下となるということなのであり、その結果、国民の基本的人権がさらに制約され、自由と民主主義が失われるということである。
 すでに安倍政権下で教育基本法改悪、盗聴法改悪、特定秘密保護法制定、安保関連法制定、「共謀罪」制定と、国民の基本的人権を制約する悪法が次々と成立させられてきたが、すべてはこの戦争体制構築のためと言わなければならない。そして今また、「大規模な自然災害」への対処を口実とした「緊急事態条項」(自民党改憲草案第98条、99条)の制定が着手されようとしている。これはナチスが全権を掌握した「全権委任法」と同質のもので、国民の自由と民主主義を圧殺し、政権の独裁を招くものである。

 自民党は安倍首相の9条自衛隊明記の提起を受けて6月6日、「憲法改正推進本部」会議を開き、年内をめどに(後に秋の臨時国会までと前倒しされた)党としての改憲案を取りまとめることを確認するとともに、具体的な改憲項目として、①9条に自衛隊の根拠規定を追加、②大規模災害時に国会議員の任期を延長する緊急事態条項の創設、③幼児教育から高等教育までの無償化、④参院選挙区の「合区」解消の4項目をかかげた。ここにはしっかりと最も恐ろしい「緊急事態条項」の創設が取り上げられているのであり、9条加憲に目を奪われて見過ごしてはならないものである。

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