緊急警告024号 首相は国会解散の権限を持たない

                           2017年9月21日執筆
 9月18日朝の全国各紙は「臨時国会冒頭解散」で色めき立っている。午後には安倍首相は国連総会に出席のためニューヨークに向けて飛び立ち「解散については帰国後に判断したい」と平然と語り、公明党の山口那津男委員長は「国会解散は首相の専権事項」とこともなげに述べている。国会議員は選挙に向けて走り出し、マスコミは選挙情勢の取材に追われている。
 だが待ってほしい。国の命運の重大な課題が忘れられてはならない。国会という国権の最高機関の生殺与奪を、下級機関である行政府の長の胸先三寸に委ねられるだろうか? 続きを読む

緊急警告023号 またしても臨時国会開催要求無視の憲法違反!

 憲法第53条は、衆参いずれか4分の1以上の議員が要求すれば、内閣は臨時国会の召集を決めなければならないとしている。
 2015年10月、第3次安倍改造内閣が発足した直後、野党5党はこの規定にもとづき、「安保法制」強行可決、環太平洋経済連携協定(TPP)の大筋合意や新閣僚の不祥事追及を目指し、臨時国会の開催を求めたが、安倍内閣は首相の外交日程や年末の予算編成を理由に応じなかった。 続きを読む

緊急警告022号 自衛隊明記は口実、9条全面改悪の突破口とするもの

 5月3日の憲法記念日、安倍首相は日本会議が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」の改憲集会にビデオメッセージを寄せ、憲法9条に関して「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む、という考え方、これは国民的な議論に値する」「夏季のオリンピック・パラリンピックが開催される2020年を……新しい憲法が施行される年にしたい」とのべ、具体的改憲項目として、憲法9条改憲に踏み込んだ提起を行った。(憲法尊重擁護義務を負う首相がこのような改憲提起を行うこと自体の違憲性については緊急警告021号で指摘。安倍首相と安倍自民党総裁は不離一体であり、改憲提起に関する限り使い分けはできない。) 続きを読む

緊急警告021号案 安倍首相の改憲発言は違憲、首相は即時退陣せよ!

安倍首相はさる5月3日、憲法記念日の改憲派集会に寄せたビデオメッセージで、憲法第9条1、2項を残し、自衛隊の存在を明記した条文を追加するなどの改憲案を示したうえで、2020年に改正憲法を施行する考えを表明。
ついで5月8日、衆院の予算委員会で野党の質問に答え、首相は改憲発言の真意は読売新聞のインタビューを読めと云い捨て、委員会室を騒然とさせた。
この後、11日に開かれた衆院憲法審査会の幹事懇談会で、野党に追及された自民党は、一連の安倍首相による発言は「党に向けて示したものと理解している」との法外な言い逃れに追いこまれ、さらに「2020年施行」と年限を切った発言に審査会は「縛られるものではない」と釈明して、ようやく18日に審査会の開催を取り付けた。 続きを読む

緊急警告020号 「共謀罪」法案は違憲! 採決強行は許されない。

安倍政権は本年3月21日、「共謀罪」の趣旨をふくむ組織犯罪処罰法改正案を閣議決定し、国会に提出した。今回政府はこの法案を「テロ等準備罪」法案などと呼称し、あたかもテロ対策法案であるかのごとく偽って国民に受け入れさせようとしているが、実態は「共謀罪」法案そのものである。(当初の法案にはテロの文言がまったくなく、批判されてあわてて挿入した経過からも明らかである。) 続きを読む

緊急警告019号 過去の亡霊、教育勅語の復活は違憲

さる3月31日、安倍内閣は教育勅語について「憲法や教育基本法等に反しないような形で教育勅語を教材として用いることまでは否定されることではない」との政府答弁書を閣議決定した。
しかし、教育勅語をめぐっては、すでに1948年に衆院が「根本理念が主権在君並びに神話的国体観に基づいている。基本的人権を損ない、国際信義に疑点を残す」としてその排除を決議し、参院も「われらは日本国憲法にのっとり、教育基本法を制定し、わが国とわが民族を中心とする教育の誤りを払拭し、真理と平和を希求する人間を育成する民主主義的教育理念を宣言した。教育勅語がすでに効力を失った事実を明確にし、政府は勅語の謄本をもれなく回収せよ」と、その失効を決議した。
教育勅語について「日本が道義国家を目指すというその精神は今も取り戻すべきだと考えている」(参院予算委員会、3月8日)と述べた稲田防衛相を、その後で擁護するために作られたこの政府答弁書は、持って回った文面にかかわらず、この勅語を復活させる意図は明らかだ。
国会は、国権の最高機関、国の唯一の立法機関であり、内閣は国会に対して責任を負う行政府に過ぎない。国会の決議に反する閣議決定は明らかに違憲だ。
衆参両院の決議が示しているように、教育勅語は絶対的天皇主権を定めた明治帝國憲法下で発布され、そこで天皇は臣下、つまり従僕に守るべき徳目を列挙した。現日本国憲法になって状況は一変した。臣下は国の主権者となり、天皇は主権を失い、お上は国民につかえる公務員になった。この場合、天皇がかつて下付した勅語を、国務大臣や内閣がふたたび徳目として持ちだすことは、主権者国民を侮辱する越権行為だ。いくつかの徳目の結びとして「一旦緩急あれば義勇公に奉じ、以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」と、天皇家を守るために命を差し出せと指示しているのであるから、なおさらだ。 続きを読む

緊急警告018号 「行政府の長」が国会に改憲論議促すは憲法違反!

第193通常国会が1月20日開かれた。安倍首相は衆参両院で施政方針演説行ったが、この中で、「憲法施行70周年の節目に当たり、私たちの子や孫、未来を生きる世代のため、次なる70年に向かって、日本をどのような国にしていくのか。その案を国民に提示するため、憲法審査会で具体的な議論を深めようではありませんか」と述べたのである。
「行政府の長」が、国権の最高機関たる国会において、国会議員に向かって現憲法の「改正」を促す演説を行ったのである。 続きを読む

緊急警告017号 天皇の生前退位に特例法は憲法違反!

皇位は「皇室典範」によると憲法に明記

 天皇陛下が「生前退位」の意向をにじませたお気持ちを表明された。安倍政権は、天皇陛下の高齢化に絞って問題を矮小化し、特例法で対応しようと画策しているが、憲法第2条に「皇位は、世襲のものであって、国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。」と明記されており、皇室典範以外の法律で皇位の継承を変更することはできない。皇室典範を改正し、生前退位を正式に認める以外に対応策はない。
 例えば、憲法第10条で「国民たる要件は、法律でこれを定める。」とあるなど、他の全ての事案に対しては、特に法律名は決められていないが、天皇に関してのみ「皇室典範」と限定されている。これを他の法律で誤魔化そうというのは明確に憲法違反である。
 天皇陛下の「皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ」という「お言葉」を汲みとるなら、皇室典範を改正して正式に生前退位を認めるべきである。
 さらに皇室典範の改正にあたっては、「男系男子」に限る男女差別は憲法違反であるので、これを改め、女性天皇を認め、女性宮家も認める方向に改めるべきである。現在のままでは宮家がなくなり、皇位継承者も絶えてしまう可能性があるからである。
 憲法第1条に「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であって、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」とあり、皇籍を離れ、一般人となった人を「男系男子」にこだわるあまり、再び皇籍に戻し、皇位継承者にするというのも、国民の信頼が得られず、現在のような良好な象徴天皇になり得ないであろう。
 「生前退位」や「女性天皇」を認めると、戦前のように天皇を、「万世一系の現人神」である「元首」として祭り上げ、国民を戦争に駆り立てることが難しくなる。戦前回帰を目指す安倍政権と右翼保守勢力にとっては、非常に都合が悪い。つまり、皇室典範を変えたくないが故に、特例法の制定でしのごうとしているのである。
 天皇陛下の想いと、憲法と、皇室典範をないがしろにする、このような違憲の特例法制定を許してはならない。