「夫婦別姓」と「子の氏」

(弁護士 後藤富士子)

1 離婚後は「選択的父母同姓」
 戸籍法第6条は「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編製する。」と定めている。だから、夫婦と子は同じ「氏=姓」になる。これが「入籍」という現象である。そして、婚姻時に夫の氏を称するために96%の女性が改姓しているという。
 一方、離婚の場合にどうなるか。戸籍の問題では、まず改姓した妻が夫を筆頭者とする戸籍から出ることになり、自分を筆頭者とする単独の戸籍を編製するのが一般的である。氏は旧姓に戻ることもできるが、離婚時の氏を続称することもできる。民法改正前は、必ず復氏しなければならなかったが、離婚に際し子の親権者になるのは母が多く、必然的に子の氏も変更しなければならなくなる。子どもが小学校高学年以上になると、氏の変更は両親の離婚を世間に周知させるようなもので、そのために不登校になった子もいる。そこで、子の福祉に配慮して、「離婚の際に称していた氏を称する」ことができるようになったのである(民法第768条1項、2項)。すなわち、離婚の場合、原則は「父母別姓」であるが、選択的に「父母同姓」が民法で認められている。とはいえ、父の氏と母の氏が同じでも、戸籍の上では、子は「父の氏」から「母の氏」に変更することになり、「氏の変更」の家事審判が必要となる。
 なお、「親権」と「氏」の問題は、戸籍上は別個の問題である。改姓した母を親権者として母が旧姓に戻る場合でも、子を父の戸籍に残しておくことはできる。戸籍の子の欄に「親権者:母」と記載されるが、「氏」を同じくする父の戸籍に残るのである。
 ところで、離婚による絶対的単独親権制は、子を巡って離婚紛争を熾烈で消耗なものにしている。 続きを読む

2021年2月10日 | カテゴリー : その他 | 投稿者 : 後藤富士子