完全護憲の会のニュース

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完全護憲の会ニュース №18 2015年6月10日

さる5月31日(日)、神保町・学士会館地下1階北海道大学連絡室で5月例会を開催、参加者20名。入会者 計 36名。

第17回 例会の報告

草野好文(編集委員会・委員長)が司会し、まず岡部太郎共同代表(元『東京新聞』政治部長)が政治現況報告(別紙2)を行った。なお政治現況報告(別紙1)は時間の関係で紙面での報告とした。
ついで野村光司共同代表(『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)が岡部報告および最近の事例にかかわる護憲上の問題点を説明(別紙3)した。別紙3には会場で出された意見への回答を含む。
その後、福田玲三共同代表(事務局担当)が事務局報告(別紙4)を行った。
これらの報告と討議のあと、新しい例会参加者の自己紹介では、「私が小学校に入ったとき、新しい憲法の話は、もう教えられていませんでした。私は専主防衛の自衛権はあると思い、北朝鮮による拉致事件や小笠原のサンゴ密漁事件などを考えると警察や海上保安庁の部隊だけでは足りないと考え、戦争体験のある皆さんの思いを理解したく入会しました」という感想が一人の人から述べられ、ついで、その他の参加者全員から簡単な自己紹介。
それから、パンフ『日本国憲法が求める国の形』を読んだ後の感想または意見が司会者から求められ、20ページ、第15条「国民による公務員罷免の権利」をめぐって、安倍総理ほか閣僚から繰り返される違憲発言問題が提起され、あわせて「統治行為論」によって違憲政治行為の免責をはかる最高裁判所に対して今行っている批判運動の経験が紹介された。
司会者から、今後さらにパンフの内容に対する意見や疑問を出してほしいという要望があって会を閉じた。

編集委員会の報告

第17回例会後の編集委員会が6月3日、大阪大学東京オフイス会議室で開かれた。出席者は8名。以下の議題について討議、決定した。
1.6月諸集会への対応
1)若者憲法集会 6月14日(日)世田谷区民会館 全体集会(13:30~15:30)
主催者に断ったうえ(スタッフに配布)、会場入り口で参加者にパンフ配布(目標:300部)。カンパ募るが無料配布。行動参加者:4人
2)国会内集会 6月12日(金)主催者及び挨拶・講演者にパンフ
行動参加者:3人
3)例会会場の変更について(参加者増に対応するため)
6月は学士会館、7月から公共施設
2.村山談話支持の院内集会 7月7日(火)(衆議院会館) 対応、次回会議で検討
3.パンフ普及版の制作について(初心者向け=凖若者向け)
担当:KT  福田(10項目ほど選定)
4.週刊金曜日読者会へのパンフ配布→リストアップする。
5.労働運動研究所研究会 6月13日(土)川副論文「憲法闘争およびこれからの日本労働運動の基本思想と基本路線」をめぐって参加要請。
6.「完全護憲の会」ホームページ開設について
次回例会の確認を経て開設することを確認。担当:KM(事務局員として)
7.パンフ第2版について
逐次、検討・議論する。そのための素材を提供する。担当:野村
8.パンフの配布のありかたについて(有料か、無料か)
原則:無料配布とする。カンパを要請する。
9.「完全護憲の会」の名刺作成について
作成する。(共同代表、編集委員など)
10.当面の会議日程について
例 会: 6月28日(日)、7月26日(日)
編集委: 7月1日(水)、7月30日(木)

次の例会・勉強会のご案内

日時 6月28日(日) 14:00~16:30
場所 東京・神田 学士会館地下1階 北海道大学連絡室
(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)
報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
護憲の現状について 野村光司(「パンフレット」原案起草者)
事務局報告 福田玲三(事務局担当)
討議 報告および提案への質疑、意見
参加費 無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
(連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。)

次の編集委員会のご案内

日時 7月1日(水)14時~17時半
場所 大阪大学東京オフイス多目的室
東京都千代田区霞ケ関1-4-1 日土地ビル10階
アクセス:「虎の門」駅7番出口から北へ徒歩1分
「霞ケ関」駅A12号出口から南へ徒歩3分
(編集委員会には編集委員のほか、会員希望者はだれでも参加できます)

< ニュース>当会員のひとり吉田英夫氏(85歳)の活動が「朝日新聞」(島根版)5月29日付に写真入りで紹介された。「A4判『かまきり通信』月2回発行10年」という小見出で、政治・社会を批評する通信が毎回「50人の読者にファックスで送」られているという。

<別紙 1>
政治現況報告(大阪住民投票)

岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)

5月17日に大阪市を大阪都にして5区に編成する初めての住民投票が行われた。
維新の党の橋下市長の公約の一番目玉で、大阪府と市の二重行政の解消を目指し、自民・公明・共が反対に回った。結果は70万4千票が反対、賛成は69万4千票とわずか1万票の僅差で否決された。220万有権者で1万票差の接戦は、実際には勝敗はつかなかったに等しい。しかし、この勝敗の意味は非常に大きかった。橋下市長は負けたら政治家をやめると公言していたが、その夜のうちに任期の12月で市長はもちろん、政治から身を引くと会見で引退表明。
維新の党の共同代表江田氏も敗北の責任を取って辞任。翌日の18日には議員による投票で幹事長の松野頼久氏が党代表に、柿沢政調会長が幹事長に選出された。
国政にも大きな影響がある。自民大阪府連は大阪都に反対だが、安倍首相や菅官房長官は、むしろ橋下が勝ことを大いに期待していた。もともと橋下に政治家になるよう最初に勧めたのは菅だし、大阪府知事・大阪市長の橋下と安倍は何度も会っている。基本的にタカ派的政治姿勢で安倍と橋下は話が合ったからだ。安倍官邸は橋下が勝って維新の党内での求心力が強くなれば、これからの安保法制の審議や憲法改正で協力を要求できると期待していたからだ。
安倍にとって憲法改正の発議に必要な衆参での2/3の議席確保には野党第2党の維新の会の協力が欠かせない。衆院は自公で何とかギリギリ2/3議席だが、参院ではまるで足りず、維新の議席でやっと三分の二に到達する。また選挙協力のために、自公連立政権は手を結んで来たが、安保法制や集団的自衛権問題では、公明党に厳しくチェックされ、かなり危機感を持っていた。そこで維新との協力関係をチラつかせ、強気の公明党を牽(けん)制してきた経緯がある。そのはったりが利かなくなり、来年度の参院選後の憲法改正発議にも赤信号がともった。
さらに江田の推薦で元民主党の松野が代表となり、反自民・野党共闘・民主党への接近が現実のものとなって来た。今後の国会運営にも影響が出そうだ。代表選出の翌19日には今年初めての党首討論があったが、松野は安倍公約である議員定数の削減がまだ未実行だと鋭く迫った。維新の党は、もともとの国会議員の多い東京関東勢と橋本子飼いの大阪議員勢とに分裂する可能性もあるので、橋下任期の今年末まで見届ける必要がある。
なお、この党首討論で共産党の志位委員長がポツダム宣言について「太平洋戦争は日本の世界征服のための戦争だったと定義している、どう思うか」と質問したのに対し、安倍は「まだ、その部分はつまびらかに読んでいないので、直ちに論評するのは差し控えたい」と答弁した。ポツダム宣言を読んでもいないのに「戦後レジーム(体制)からの脱却」という安倍のキャッチフレーズは無責任極まるといえそうだ。
今国会の最大の対決法案である安保法制も国会に法案が提出され、22日から特別委員会も始まった。六月にはこの問題をまとめたい。

<別紙 2>
政治現況報告(安保法制)

岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)

安倍は4月21日、訪米、オバマ大統領と会談、上下両院議員への演説で、日本の集団的自衛権を可能にする安保法制を今年夏までに成立させると約束、5月11日の自公協議で新しい安全保障法制を構成する11法案の内容を合意した。14日に閣議決定、15日に国会提出、28日から衆院安保特別委員会で審議を始めた。11法案は自衛隊の海外派遣の恒久新法「国際平和支援法案」と自衛隊の海外活動など現行法10本を一括して改正する「平和安全法整備法案」の二本立て。改正案10本は一括して委員会での審議を早めるため①「日本の平和と安全」と②「世界の平和と安全」に寄与、の二つに分れる。
日本については、従来の個別的自衛権に昨年閣議決定の集団的自衛権が可能な「存立危機事態」が設定される。歯止めの三要件は①日本と密接な関係にある他国への武力攻撃が発生、日本の存立が脅かされ、国民の生命・自由・幸福追及の権利が根底から覆される明白な危険がある②この状況を排除し日本の存立を全うし、国民を守るため、他に適当な手段がない時③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと――そして例外なく、国会の事前承認を必要とする。(この点は公明党が強く要請、自民党が歩み寄った)
専守防衛の憲法を逸脱し、他国への攻撃でも日本が武力行使できることになる。自衛隊は米艦の防衛や機雷掃海、米への弾道ミサイル防衛、戦闘現場での米軍支援を実施する、など米国の戦争への参戦可能。さらに米軍支援は「日本周辺」「極東の範囲」という地理的ワクを撤廃、世界中どこでも米軍支援できることになる。「重要影響事態」の新設(米軍だけでなく他国軍支援も可)さらに「国際社会の平和と安全」で海外の他国軍の戦闘支援も可(国際平和共同対処事態)。
そのほかPKO(国連平和維持軍)以外にも自衛隊を海外での復興支援活動を可能にする「PKO協力法改正案」、在外邦人の救出や米艦護衛を可能にする「自衛隊法改正案」、米軍や他国軍への協力や役務提供を追加する「米軍等行動円滑法案」など、米軍や他国軍への支援や協力が大幅に拡大された。
これらは日米同盟や日米安保の質的転換であり、戦争放棄の憲法九条の違反を改憲なしに一内閣の閣議決定で実現しようという暴挙。提案権のない内閣が、国会の立法権を侵す国民への挑戦といえる。
28日から衆院安保特別委で本格的な論戦が始まったが、野党各党の追及に対し、安倍らはあいまいな答弁を繰り返し、また首相・外相・防衛相の発言が食いちがうなど、政府内部での統一解釈も出来ていない。とくに首相は答弁を長々と繰り返し、質問にない答弁をするなど、意識的に論点をずらして正面から答えていない。最後は多数決でといった結論ありきの答弁は民主主義のカケラもない。あまりにも仮定の多い政府答弁、判断規準がないといわれても釈明の余地がない。
灯油不足で凍死者がバタバタでる(ホルムズ海峡封鎖)とか、根本的な世界情勢の変化(集団的自衛権)とか現状認識に疑問が多い。なぜ東アジアから出てアラブまでゆくのかも疑問だ。

<別紙 3>
護憲の現状報告

野村光司(パンフ『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)

1.当面の作業
3月パンフは当分の間、わが会の基本文書として維持し、世間にこれを周知して貰う努力をし、これに対するあらゆるコメントは誠実に検討し、新たに統一した見解を獲得して行くことになる。
同時に日々の政治から、その違憲性も明らかになると思われるので、会員一同でその題材をキャッチし、それに対する模範の解答を共同で準備し、理解し合わねばならない。
本日、岡部代表からあった政治報告の中でも、幾つか新たな憲法問題が提供されていると考えられる。それを例示すると次のようなものがある。これは暫定的な意見を提供するもので、正式に新たなパンフレットに今後掲載する項目とするかどうかは、会員一般からの問題提起を優先しながら編集委員会、例会で徹底的に論議して、最終的に決定されることになろう。相互に真摯な勉強をして行かねばならないであろう。

2.今後の検討課題

集団的自衛権
現政権は、集団的安全保障で、「鬼面人を驚かす」長文の改正法律案を提案しているが、憲法9条1項の「国権の発動たる戦争と・・武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては永久にこれを放棄する」条項が正しく適用されれば、国外に軍隊(自衛隊)を戦争参加のために送るなど絶対にできず膨大な法律案は雲散霧消されてしかるべきものである。同条2項第2文「国の交戦権は認めない」ことからも、あるべき武力行使に備えて自衛隊を海外派遣することは絶対にできない。憲法に違反して自衛隊を送る政権の行為は国の行為としては無効で(98条)、これを推進した為政者は「私闘」をさせたものとして刑事、民事、行政の全責任を負わねばならない。
また現在、自衛隊出身者が防衛大臣を務め、盛んに戦争法案を推進しているのは、正に憲法66条2項が懸念したところである。

首相のアメリカ議会演説
首相がアメリカ議会の場で、即ち米国に対して、集団的安全保障の法律改正達成の時期までを約束したが、「国会は、国権の最高機関であって唯一の立法機関である」(41条)のに一行政官の身分で、この権威を侵したことは、日本国の憲法よりも国会よりも、アメリカの要求に応えた一種のクーデター(中南米諸国ではアメリカ指導のクーデターが多発した)であり、憲法上許されることではない。
議会でスタンディング・オベーション(立ち上がって拍手)を得たことも、自衛隊を挙げて米軍指揮下におくようなことは、日本も占領地で、例えば、満州国で関東軍の指揮下に満州国軍を置き、インドネシア等では現地人を日本軍指揮下で「兵補」に編成した歴史に鑑みても、自衛隊を「米軍の兵補」として、しかもその費用を日本で賄えばアメリカ議会がスタンディング・オベーションで酬いることは当然である。いわばこれは、自衛隊員をアメリカに売る(進呈する)行為といえるかも知れない。

「国の存立に重大な影響がある」、「密接な関係がある」
法律とは、一定の条件が起れば、国が国民にその意志に反しても強制できるもので、その条件は明確なものでなければならない。「重大な」とか、「密接な」とかの人によって異なる感覚的な条件は、法の世界では通常、執行不可能なことである。民間人の判定など通用することは決してなく、為政者の権力有利、人権不利の判断で、国民の権利が自由に否定されて来た。現政権ではすべて「安倍首相御一人」の判断で決まることになる。小泉首相もイラク派兵で、「(私によって)自衛隊が送られた場所が非戦闘地域だ」と言ったことがある。
自衛戦争しかないとして自衛隊に入隊したものは当然、外国への派兵は拒否できる。憲法18条は「何人もその意に反する苦役に服させられない」とあり、徴兵されて戦場に送られることは最悪の苦役であり、現行憲法上は決して徴兵はあり得ない。そこで自民党の改憲案では18条は「社会的、経済的関係において、苦役に服させられない」とし、外交上、国政上では、国民を徴兵の強制的苦役に服させ、「政府の行為により、再び戦争の惨禍を起こす」(前文第一文)ことができるように準備している。

勤労者の立候補障害
日本の国会は、山口県の岸、佐藤、安倍一族に見るような「地盤、看板、かばん」の確立した世襲議員で占められている。憲法44条は「議員の資格は収入および財産によって差別されてはならない」としているが、労働をもって生計を維持しなければならない勤労者の立候補を困難にする、高額な立候補補償金や、立候補するには職を止めねばならない制度は、「収入および財産による差別」と解して、すべて改めねばならないだろう。

日本の司法の崩壊
憲法76条3項は、「裁判官はすべて・・独立して職権を行い、この憲法及び法律にのみ拘束される」とあるが、法曹界では、憲法無視、人権軽視、行政追随、権力追随との声がかまびすしいが、司法の中でも最も司法の独立と憲法の遵守に責任がある最高裁こそが、最も問題である。「完全護憲の会」は、この最高裁にその良心を呼び戻して欲しいささやかな声となっている。
最高裁を退廃させた第一の責任者(「A級戦犯」)は、1950年から60年まで最高裁長官の職に在った田中耕太郎氏と思われる。氏は59年12月判決の砂川事件ではアメリカと連絡を取りつつ15人の裁判官一致で米軍駐留合憲の判決をしたし、退官直前の60年6月には苫米地事件について、いわゆる「統治行為論」、すなわち政権がおやりになることは、如何に憲法、法律に反しようとも、これに関する国民の提訴は受け付けないとしたのである。憲法の制約を全く気にしない安倍政権の誕生もその帰結である。
われわれは、全裁判官が、統治行為論を脱却して、憲法76条3項に復帰して頂くことを心から願っている次第である。

「大阪都」問題
大阪市長の政治姿勢は、基本的にわれわれの理念と一致しないが、府県と市町村の二重行政に問題があることは肯定できる。憲法92条以下では中央政府に対して「地方公共団体」とのみあり、都道府県、市町村との組織は憲法を変えずに現行法律の改変だけでできる。
現在国の行政は、中央政府と都道府県と市町村と三段建てになっており、その間の事務分配原則も不分明であり、これがそれぞれの責任範囲を曖昧にして、すべて中央の采配で動かされる弊害がある。狭い日本では中央政府と、やや大規模な市町村で充分であろう。これらの市町村は、所掌すべき事務範囲を明確にし、厳格に「地方自治の本旨」、すなわち分掌事務を明確にして、これには国の支配、指導を一切否定して、市町村の創意と工夫に任せるべきであろう。現政権の「地方創生」は、更に地方自治の本旨を否定し、地方を中央の支配下に置くようになることが心配される。

沖縄問題
沖縄は薩摩の「琉球征伐」以来、ずっとヤマトから武力支配を受け、自らの意思が尊重されず、ヤマトの犠牲を強いられて来た歴史と現状とがある。少なくとも憲法95条により、沖縄のみに適用される法律、条約は、すべて住民投票を経なければ法律となり得ないはずであるが、これが全く実行されず、本土の意思で支配されて来た。軍用土地の地主を優遇したり公共事業予算を投下するだけで、軍事基地の殆どを引き受けることが、沖縄県民全体の希望かどうか、住民投票を経なければそれらの法律は無効とされなければならない。
軍事基地を完全撤廃するには、沖縄が独立すればすべて解決できようが、どこの国も独立のための憲法条項は用意されていない。しかし国連憲章第1条で民族自決の原則があるので、沖縄県民がヤマト民族とは独立の一民族と意識できるか、それに向けての胆力があるかを問われる。英国におけるスコットランド、スペインにおけるカタルーニャ、カナダにおけるケベック州、中国におけるチベットの動向も研究すべきものである。ヤマトンチュウに沖縄をことさら苛めようとする意志はなかろうが、沖縄がどんなにヤマトの犠牲を強いられていても、殆ど罪の意識がないことに問題の根源にある。

<別紙 4>

事務局報告

福田玲三共同代表(事務局担当)

1)ニュース17号へのご意見
R氏
添付 読ませていただきました。
特に質問への返答、適切であると思います。
平和に持っていくための接点を見出す努力がお互いしないといけないと思います。
特に質問者へ努力がほしいように感じております。
現首相には戦争をしない(平和)への外交努力をもっと、もっとすべきと思っております。
いい内容のニュースで勉強になりました。
ありがとうございました。
C氏
より良い国の形を目指してお元気でお取組みの事、心から敬意を表します。
第16回例会のご報告誠にありがとうございました。
お送りいただいた資料を心をこめて拝読いたしておりますが、一つ一つ大切なものばかりで、学ばせていただいております。
事務局報告では、私のことをお取上げいただき有難うございました。
どうか、どうか今後ともご指導、ご支援よろしくお願い申し上げます。
感謝をこめて。
Yさん
いつもお世話になっております。ニュース17号BCCの為開示できないとありましたので、見られませんでした。会のお知らせありがとうございます。集会の件ですが、夫婦の考えがくい違い、お前に何ができるんだなどと言われ、また私も車椅子のためと難聴の為に参加できません。申し訳ありません。妹の知り合いの七十代の方も東京新聞で記事を見て完全護憲の会の会に入会されたそうです。憲法記念日の前日2日の日改憲反対の集会が横浜であり、大江健三郎、沢地久代、雨宮かりん、落合恵子さんらも来て30000人の大集会、これからも、漫画、うたなんでも分かりやすく、取っ付き易くして、みんなの理解を得られるよう運動していくと新聞に記載されていました。完全護憲の会でも前回のニュースで、冊子を平易なものにしようと考えておられると、会員数も増加しますように、祈っております。
S氏
過日会則などの冊子ありがとうございました。
病気の会ですので、少ない人数ですが細く長くの交流会などで活用させていただく所存です。6月14日(調布福祉センター)、7月15日(祖師谷地区会館)予定しています。
K炎の会
Tさん
種々の、資料有難うございました。
昨日、Tさんの、講談を聞きに行ってまいりました。東大の五月祭もやっていたようですが、Tさんの、護憲に根差した、講談はなかなか面白うございました。5月31日は又、勉強に伺うつもりでおります。有難うございます。
T氏
いつもご親切な資料をありがとうございます。
プリントしてじっくり読んで勉強いたします。
すでにご存知かと思いますが神奈川新聞の「時代の正体」を面白く読んでいます。
今日の内田樹さんの解説がとても解りやすく参考になりました。
http://www.kanaloco.jp/
31日の例会に出席させてもらいます。よろしくお願いいたします。
Yさん
いつもお世話になっております。17号ニュース携帯で送信してくださり、お手数をおかけして申し訳ありません。早速見させて頂きました。会の役員の方々お世話になります。東京新聞の記事やテレビで一時も今回の安保法案に関する問題で目が離せません。何か報道陣としての矜持は、東京新聞素晴らしく感じています。妹にも勧めました。完全護憲の会の活動これから、一日一分一秒惜しんで一生懸命後進の為に頑張って下さっている事に感謝致します。宜しくお願い致します。

2)パンフの普及について
① 5月3日、みなとみらい臨港パークで行われた憲法集会で大江健三郎氏を初めとする主催者と来賓に計10人に各1冊を贈呈。
② 5月18日、都内全水道会館大会議室で行われた総評OB会主催の「村山元首相講演会」で参加者全員約170人に各1冊配付。
③ 5月2日付け「朝日新聞」に「理想でも遺物でもない現実的指針」「改憲すれば全て失う」という優れた護憲論を寄稿した作家島田雅彦氏に1冊郵送。
④ 増補版(2000部印刷)への取り組み
第1刷500部印刷費の約2倍を回収、これを増補版2000部印刷費、封筒作成費、ニュース郵送費などに充当。
パンフ普及の課題
イ)無料配付(振替用紙付き)か、有料配付か
ロ)6月14日(日)13:30~15:30 若者憲法集会、世田谷区民ホール
ハ)衆参国会議員、議員会館、約700冊、紹介議員が必要
ニ)法務省、外務省などの省庁へ
ホ)大学図書館、市町区立図書館などへ
ヘ)明日の自由を守る若手弁護士の会http://www.asuno-jiyu.com/ 労働弁護団ほかへ
ト)インターネット政党「新党憲法9条」http://new-party-9.net/へ
チ)当会ニュースのe-メール便発信先、約100箇所(郵送先約50箇所には配付済み)
リ)憲法擁護闘争の緊急性、第一義性を訴えた「地域と労働運動」誌の読者リストへの配付要請
ヌ)会員による普及活動
⑤ 目玉条項を10~15項目に絞り、解説を平易にした普及版の作成
⑥ ホームページの新設

3)今後の日程
6月3日 (水)14:00~17:00 編集委員会(会員参加自由)於・大阪大学東京オフイス
6月13日(土)14:00~16:30 研究会・主催労働運動研究所(参加自由・無料)<緊急提言>「憲法闘争およびこれからの日本労働運動の基本思想と基本路線」(「地域と労働運動」176特別号)於・大阪経済法科大学(港区麻布台1-11-5、地下鉄神谷町)6階会議室
6月28日(日) 14:00~16:30 例会。於・

2015年6月13日

完全護憲の会ニュース №17 2015年5月15日

さる4月26日(日)、神保町・学士会館地下1階北海道大学連絡室で4月例会を開催、参加者17名。入会者 計 31名。

第16回 例会の報告

まず草野好文司会者(編集委員会・委員長)の求めにより、岡部太郎共同代表(元『東京新聞』政治部長)が政治現況報告(別紙1)を行った。
ついで野村光司共同代表(『日本国憲法が求める国の形』原案起草者)が「パンフ第2版に向けた活動方針案」(別紙2)を提出し、また岡部氏の政治現況報告にかかわる護憲上の問題点を説明(別紙3)を行った。
その後、福田玲三共同代表(事務局担当)が事務局報告(別紙4)を行った。
最後に草野編集長から、当会に届いた意見2通と、それへの返信(資料5)が報告された。

討議は「パンフ第2版に向けた活動方針案」について行い、若干の不必要な記述を削除した。
これらの報告のあと、『東京新聞』の報道などによる新参加者の自己紹介が行われた。
昨年末に米国から帰国されて親子で参加された方は「帰国したばかりで様子がまだ分からぬが護憲活動に参加したい。息子は英語が堪能なので、その仕事があれば手伝いたい」。
藤沢市から参加された70歳の方は「数年来、憲法について疑問に思っていたことが、この冊子で裏付られてうれしい。ただ国連軍の日本駐留については釈然としない。現天皇については3・11大地震以後、尊敬している」。
42歳の婦人の方からは「戦争反対の一致点で行動したい。『原爆の子』や『きけわだつみの声』でしか戦争を知らないので、今後、みなさんの戦争体験を共有したい」。
「通勤でこの近くを往復しているが、終戦を迎えたのは中学4年生のときで、それを機に授業内容が一転したのに驚いた。戦前復帰の風潮を危惧している」。
などの心情が吐露された。また講談師の修業をしている若い男性からは「現憲法の全文を完全に暗記している」として、憲法を最高法規と定めた第97条、天皇の世襲を定めた第2条、納税の義務を定めた第30条などについての意見が披露された。
そのあと出席者全員の簡単な自己紹介があり、ついで事務局から次の日程が報告されて閉会した。

<strong次の例会・勉強会のご案内

日時 5月31日(日) 14:00~16:30
場所 東京・神田 学士会館地下1階 北海道大学連絡室
(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)
報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)
護憲の現状について 野村光司(「パンフレット」原案起草者)
事務局報告 福田玲三(事務局担当)
討議 報告および提案への質疑、意見
参加費 無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)
(連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会
電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。)

編集委員会の報告

第16回後の編集委員会が4月30日(木)14時から大阪大学東京オフイス会議室で開かれた。出席者、5人。
まず「当面の憲法問題意見」(別紙6)が野村委員から提出された後、パンフ第2版の作成は今後のこととし、とりあえず今のパンフに「完全護憲の会 設立趣意書」「会則」「入会申込書」を加えて、印刷に都合の良い80頁建てで、直ちに2000部増刷することにし、その配付先を検討した。
自民党が予定している2年後の改憲国民投票を前にして、1日、1分、1秒を惜しんで現憲法擁護の運動拡大に役立つよう、『日本国憲法が求める国の形』普及に全力を挙げることとし、まず会員や支持者による普及活動のほか、全国の各大学法学部、護憲派弁護士、国の省庁(法務省、外務省、宮内庁など)、衆参の全国会議員などを配付対象にあげたが、さらに例会で参加者の提案を求めることとした。

次回編集委員会のご案内

日時 6月3日(水)14時~16時半
場所 大阪大学東京オフイス多目的室
東京都千代田区霞ケ関1-4-1 日土地ビル10階
アクセス:「虎の門」駅7番出口から北へ徒歩1分
「霞ケ関」駅A12号出口から南へ徒歩3分
地図:大阪大学ホームページ
http://www.osaka-u.ac.jp/ja/academics/facilities/tokyo/off

(編集委員会には編集委員のほか、会員はだれでも参加できます)

横浜市のみなとみらい5・3憲法集会に参加

5月3日、横浜市のみなとみらい臨港パークで行われた5・3憲法集会に福田他2名が参加、舞台裏の通路で主催者と来賓の計10名(下記)にパンフを贈呈した。
大江健三郎、澤地久枝、樋口陽一、佐高信、落合恵子、鎌田慧、山口二郎、山本太郎、吉田忠智(社民党委員長)、木内みどり(順不同)
なお草野は神奈川県護憲グループの1員として、この集会に参加した。参加者3万人。

<別紙 1>
政治現況報告

岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)

前回の例会から1ヵ月の間に、ずい分政治に動きがあった。みな今後の政局に影響のある出来事なので、触れておく。
まず平成27年度予算が年度内には決らず、4月10日に成立した。長期債務残高が1000兆円の大台を超え、世界的に見ても膨大な借金で、格付けでもAプラスからAに落ちた。しかも公共事業や防衛費が増額になったのに、老齢年金や福祉関連予算は減額された。減税も大企業にあつく、贈与税の減額など金持優遇策が目立った。
株価も17年ぶりに2万円台を回復したが、これも積立て年金の中から大幅に株式に投資したため。もし、中国のバブルがはじけ、日本経済に影響が出ると、将来の年金が大幅に減る危険性があるなど、綱渡りのアベノミクスの経済運営だ。
原発問題では、福井地裁が高浜原発の差しとめ判決を出し、原子力安全委員会の安全規準が甘いとの判断をくだした。そのあと鹿児島地裁が川内原発について再開同意の判断を出した。この原発訴訟は全国で行われており、今後その行方が注目される。
インドネシアのバンドンで開かれた首脳会談では初めて日中首脳会談が本格的に行われた。安倍・習会談は昨年12月に顔合せはあったが、今回は30分にわたって両国の和解と将来が形式だけ話し合われた。このバンドン会議での安倍は「先の大戦には深い反省」はしたものの、植民地支配や侵略の“お詫び”はなかった。
また3月末までに、中国のアジア投資開発銀行(AIIB)が設立され、英独仏やインド、豪州、ブラジルなど世界の57カ国が参加した。主要国では日米だけが不参加で、今後の折衝が注目される。
沖縄県知事当選以来、一年以上会談のなかった翁長・安倍会談が20日、首相官邸で行われた。その前に菅官房長官が5日、沖縄を訪問、翁長知事と会って下相談。これは安倍首相が27日訪米、28日オバマ大統領と日米首脳会談をするため、急きょ実現したもの。日米防衛指針の改訂もあり、さすが現地の沖縄知事と会わないのはまずいと思ったか。しかし、かんじんの辺野古基地移転問題など、双方、平行線のままで終った。
菅官房長官や政府は、辺野古移転の根拠を、1999年、時の稲嶺知事(選挙は自民党支持)と「普天間から辺野古移転を合意」したことに置いていた。しかし稲嶺氏は、このあと、さる4月21日の記者会見で「基地の軍民共用化と辺野古の15年間の使用期間とする暫定的な米軍施設にすることが、当時の決定の条件だった。その条件が2つとも無視されて15年間が経ったのだから、同意の前提が崩れた以上、合意は「無効」と語った。今後安倍内閣にとって沖縄はアキレス腱になりそう。
また自公による安保の法制化協議は自民党が次の五法制を提示。
①「武力攻撃事態法」集団的自衛権の行使
②「国際平和支援法」世界の平和と安全のため他国軍の戦闘を支援
③「周辺事態法」「重要影響事態安全確保法」日本の安全確保のため、世界で他国軍の戦闘を支援
④「PKO協力法改正」PKO以外の国際平和協力活動に参加
⑤「自衛隊法改正」平時の米軍などの防護
自民は五月以降、国会に提出、今国会で成立を狙っているが、公明は自衛隊の海外活動の“戦闘支援”には否定的で、また他国支援にも国会の事前承認を求めている。この問題は、なお流動的なので、今後まとめる。

<別紙 2>
パンフ第2版に向けた活動方針案(不必要な記述を削除したもの)/strong>                         2015年5月14日
フレット宣伝活動
3月発行のパンフレットは、中間製作物とは言え、その提言の斬新性と包括性の故に、心ある人に読まれさえすれば、現政権の日本国憲法全否定の政治が白日の下に理解され、必ずや大きな政治変革の資と成り得ると信ずる。それ故に我らは、あらゆる機会を捉えて、同じ志を持つ人々に広め、検討し理解を得る努力をする。

3月パンフレットの問題点の研究
このパンフレットは会の内部で真摯に検討されたとは言え、未だ、少数の会員の間で到達した仮の結論である。よって宣伝活動の間に寄せられた外部からのコメントは、すべて会の組織に還流して、その是非を検討し、次なるパンフレットの完成に資する。
今後、同志の参加も広く求めて、わが会のすべての会合は真剣な憲法の勉強会となる。

新規憲法問題の発掘
現政権とそれに追随する国内諸政治勢力は、近隣アジア諸国を挑発し、国民を再び軍事国家へと誘導し、またアメリカをはじめ諸国を勧誘して「遠交近攻」の政策(近隣諸国を侵略、併呑する秦の始皇帝に到る秦の政策)を実行しつつ、戦前日本を復活すべく精力的に種々の政策を発動している。わが会もこれを検討し、日本国憲法に違反するものを逐次、明らかにしてゆかねばならない。

3月パンフレット発効後に探知された憲法問題で仮に用意したものは、別紙のごときものであるが、会員から広く、考えられる憲法問題を集積し、会の組織(例会、編集委員会)に上せて、厳格な検討を加え、回答を得て行かねばならない。これは同時に3月パンフレット宣伝の過程でも外部から指摘される問題点に対して賢明に対応する理論武装となろう。

改定パンフレットの編集方針
以上の作業を終えた適当な時点で、これらを集大成した改訂版を出すことになろうが、補足分を発行するか、3月版に統合した決定版を出すか、の選択がある。

違憲国政追加検討事項(参考)
憲法前文
第2項
「人間相互の関係を支配する崇高な理想」
人類愛と言葉の神聖  対日平和条約1条、世界人権宣言1条
国政から虚偽を徹底的に排除
「建国記念の日」は「(偽装大国)日本の建国記念の日」
(参考)ロシアは11月7日の「10月革命記念日」を止め
11月4日の「民族統一記念日」に変更(1612年同日のポーランド軍撃退)
「全世界の人民 (all peoples of the world) が恐怖と欠乏から免れ平和に生存する権利」
(恐怖)戦争、内戦は人民の最大の恐怖
「死の商人」(武器輸出)とならない
政治的迫害を受ける亡命者の難民受け入れ
(欠乏)諸国難民の人道的救済に努める
財界支援のひも付き援助を止める
第3項
「他国を無視しない」
旧敵国の戦争犠牲者にも慰霊・謝罪・補償に留意
円覚寺、蒙古塚、興亜観音(松井石根)等々
「平和の礎」、ブータン国王、天皇・皇后慰霊の旅
議員を含めすべての公務員の靖国神社参拝禁止
A級戦犯に拝礼する被害国国民感情の無視(20条3項違反と「併合罪」)
憲法本文
第1条
「天皇の地位は国民総意に基づく」
「天皇」とは天皇制か、特定天皇の地位か
第4条
「天皇は国政権能を有しない」
「君が代」は、時間、国土、国民を支配する天皇の統治を寿ぐ違憲の歌詞
(悪しき例) 国歌法に強制規定なし
強制する教育委員会こそ職権乱用で処罰さるべし
第7条
「国民のために栄典を授与」
(悪しき例)
都市絨毯爆撃のCurtis LeMayに勲一等旭日大綬章授与(佐藤栄作政権)
空襲被害の国民に補償なし
以後の航空自衛隊に莫大な血税
米の軍需産業に奉仕
第9条
「国際紛争を解決する手段」
国外での武力行使はすべて「国際紛争」対応
米軍のための後方支援
実質、米軍日本人部隊としての参戦
経費を日本国民の血税で賄う
国外に参戦するなら基地を貸せない
(参考例)日本占領地で現地人を「補兵」として戦わす
台湾、朝鮮の植民地兵
第14条
「法の下に平等」
カジノ法 巨大な利権対象
本質刑法犯罪:公営賭博(官僚利権)、パチンコ(取締官憲共犯)の無原則
第15条
「公務員選定の固有の権利」
有権者の投票権は重要な公権:権利であるとともに義務
棄権者常習者は、公務員になる資格はない
全体(the whole community)の奉仕者に成り得る者を選ぶ義務
国家公務員は国政選挙で、地方公務員は地方選挙で
第18条
「奴隷的拘束」
徴兵は最も過酷な奴隷的拘束
(悪しき例)自民党改憲案「社会的又は経済的関係において」と限定
政権の政治的利益で国民を徴兵
(参考)ローマの奴隷 剣闘士 (gladiator) の死闘を楽しむ貴族
改憲案関係者は誰も徴兵されない確信
第20条
「信教の自由の保障」
何人もA級戦犯の分祀を求め得ない
何人を神と崇めるかは当該宗教の自由
(参考)「悪魔」として外部に宣伝すれば名誉棄損罪
議員を含めすべての公務員は、公職を表示して参拝できない
第21条
「集会の自由」
公民館などの借用に目的などの条件を付けられない
(参考)地方自治法10条
ドイツ基本法(憲法)第8条
「(屋内の)集会に届出、許可制を課し得ない」
「出版その他一切の表現の自由」
言論機関への圧力・干渉は一切許されない
「検閲はしてならない」
教科書検定制度は違憲
「通信の秘密は侵せない」
盗聴はテロリストなど人命に重大な危険が差し迫った場合のみ
第22条
「出国の自由」
拉致被害者の自由往来の権利
ジャーナリストの出国に危険が予測されても制限できない
拘束されても外交的交渉はするが救出作戦はない
第23条
「学問の自由」
大學に自治には、一切干渉できない
君が代の強制はもっての外(法的根拠なし)
第24条
「婚姻に関して個人の尊重と両性の平等」
女子のみの再婚禁止期間
親子鑑定は完璧に可能
同性婚 表面上同性であっても実質両性か?
第25条
「最低限度の生活権の確保」
生活破壊危険の化学的評価
危険の深刻度(死亡数)と発生率との積を考慮
原発、地球温暖化ガス、航空機、自動車等
第26条
「能力に従って教育を受ける権利」
国は教育を受ける環境の整備
能力別教育の導入
中学校からの能力別教育
英才教育は或る程度必要では?
旧制高校の教養教育
職業別高等教育
再チャレンジの可能性は確保
国は、勉学阻害要因の除去義務
「虐めっ子」の隔離教育
第27条
「勤労の権利」
完全雇用をいかに達成するか
第29条
「正当な補償の下に公共の用に」
領土問題への適用
第31条
「法定の手続きによる刑罰」
「無罪の推定」(世界人権宣言11条、憲法98条2項)
有罪の確定まで「被疑者」呼ばわりしない
第36条
「残虐な刑罰は絶対に禁止」
(良き例) 日本も818年(嵯峨天皇)~1156年(保元の乱)死刑停止
韓国は20年近く執行停止中
第43条
「全国民を代表する」
当選者の得票が投票有権者の過半数を超えることを要す
決選投票の多用
(参考)共産党立候補による革新候補落選の例多し
立候補の制限はできない(香港の「雨傘革命」)
第44条
「財産又は収入による差別」
立候補供託金の廃止
立候補による退職制度を許さない
第51条
「議員の議院での発言責任」
他党から責任を問えない。国会内の討論で対抗するのみ
第58条
「院内の秩序をみだした議員」
暴力行使、長時間演説等ではあり得るが発言内容で懲罰されない
第66条
「大臣は文民」
自衛官出身大臣の弊害既にあり(civilian controlの否定、辺野古推進)
第76条
「裁判官はその良心に従い独立してその職権を行い憲法と法律にのみ拘束される」
最高裁以下が「護憲」に徹すればすべての違憲国政は忽ち雲散霧消
第84 条
「課税における平等」
累進所得税の格差是正効果
租税特別措置法の全廃
すべてが「お友達免税」、政治献金疑惑(補助金で証明済)
「法三章」:複雑税法は伏魔殿
「法の下の平等」は、立法においても
第90条
「国の決算はすべて検査」
官房機密費の会計検査
年数十億の血税の支出が、領収書不要、検査なし、とされる
遠交近攻外交の経費
違憲政治の予算支出はすべて否定
第92条
「地方自治の本旨」
自治の確立がなければ地方選挙に関心湧かず
無投票当選、低投票率、地方消滅
地方事務仕分け
地方に固定される政治はすべて地方へ
都市計画、公園、
小中学校教育
中央政府から地方への通達、訓令の廃止
財源の配布
消費税(付加価値税)は地方に(シャウプ勧告)
第95条
「一の地方に適用される特別法」
「沖縄」を冠した法律はすべて住民投票が無ければ違憲無効
日本の米軍基地の大半を負担させる制度はすべて住民投票必要
(参考)「琉球民族」独立の法制
憲法に規定されることは通常ない
権力は権力の空白を許さない
国連憲章にあり(1条2項)
沖縄県民に別民族の意識があるか?
400年余の「植民地」沖縄県民に気力ありや   ▲

<別紙 3>
「政治情勢報告」に関連する憲法問題

現政権の集団的安全保障論の憲法問題
現政権の「集団的安全保障論」は、自衛隊が随伴する米軍が第三国軍と戦闘状態になったら自衛隊も米軍と共にこの第三国軍と戦闘をさせようとするものである。自衛隊は決して国内暴力団などと対決する警察ではなく、他国との戦争を行い得る戦力を持つ軍隊である。これが日本が保持する戦力であれば憲法9条2項が明確に禁ずる違憲の存在である。しかしその創設の事情や米軍との関係の実質を考えると、発足当初から米国の強い要求ににより米軍の装備と米軍の教官と米軍の教程によって活動を始めたもので、「米軍日本人部隊」であったと言える。創設当初はその目的や兵器の名称など種々偽装して「警察予備隊」と称した。しかしこれが軍隊であることを隠し切れず、やがて憲法9条の解釈を変更して、侵略の軍隊は持てないが他国から侵略を受けた場合の自衛の軍隊の保持は禁じないという新たな詭弁を設けて陸海空の「自衛隊」となった。
国内でも各人の正当防衛権はあるが、それは現在所持を許され、また行使を許される範囲で行われるべきもので、自宅に盗賊が侵入した場合、これを追い払ったり、自力での逮捕は許されるが、直ちに殺害するのは過剰防衛となるし、自衛のためと称すれば日本の法律で所持を許されていないピストルを各人が備えられるわけではない。アイスランドは日本と同じく軍隊を持たないことを国是としているが、1958年から20年近く、イギリスの間で沿岸漁業権を巡りいわゆる「タラ戦争 (Cold WarならぬCod War)と称せられる紛争が起きた。イギリスは軍艦を差し向けたが、アイスランドは沿岸警備隊がこれに対決して、結局アイスランドの主張を、英国も国際社会も承認した。
また国家を組織することは、個人が自ら用心棒や警備会社を雇うのではなく国が警察を創設し、人民はその費用を負担し、或いは自ら警察官に応募して共同の武力によって安全を保障することである。日本国憲法は第9条で日本国が保持する軍隊を廃絶し、前文「平和を愛好する諸国民の公正と信義 (justice and faith:法と執行力と価値観) に信頼して我らの安全と生存を保持する決意」をしたのである。これは当時既に国連が加盟国の安全保障を担当するものとして設立されており、日本は国連に資金、職員、隊員の協力をして安全保障を確保するのが日本国憲法の立場である。
なお日本軍としての自衛隊のまま、現地軍だけの判断で第三国と戦闘を開始することは、戦前の陸軍刑法も「司令官、外国に対し故なく戦闘を開始したるときは死刑に処す」(35条)としていたように、現地軍の判断で外国と戦争を開始する行為は、現地軍の一存で日本国全体を新たな戦争に投入することで、最も許されざる行為である。満州事変は関東軍の謀略で開始され、朝鮮軍司令官の判断で日本国(朝鮮)から満州国に越境した。司令官は死刑に処せらるべきものを黙認されてその後の軍部の独走を許し、内外2千万人を犠牲にする人類の大悲劇となった。現政権の考える「日本の軍隊としての自衛隊」を残したままでの「集団的自衛権」は絶対に認められてはならない。

<別紙 4>
第16回例会 事務局報告
2015年4月26日

1)パンフ代収支
パンフ代実費とカンパをあわせてパンフ500冊印刷代金を越え、次期増刷代金に充当の予定。
なお振替通信蘭には返信を必要とする論議風のもの2件を除き、すべて歓迎と激励。
2)新規入会者 10名 従来会員21名 計31名
3)珍道氏による違憲訴訟、東京高裁で控訴棄却
集団的自衛権の行使を容認した昨年7月の閣議決定は憲法9条に違反するとして、元三重県職員珍道世直さんが、安倍普三首相と当時の閣僚18人に閣議決定の無効確認などを求めた訴訟の控訴判決が4月21日、東京高裁であった。大段裁判長は一審同様「閣議決定がただちに原告の権利を侵害するわけではない。具体的な法律関係の争いがなく、訴えは不適法」と判断し、この控訴を棄却した。法廷で判決主文以外の朗読を省略したため、公判はわずかに一分だった。その後、珍道さんは全国の正義派弁護士の協力を得て、来る5月1日、最高裁に上告すると語った。
なお昨年同時期同じく提訴を伝えられた松坂市長は現在その準備を終えて近く提訴するとのこと。
4)長坂氏が違憲提訴の準備
いつも例会に参加していただいている長坂伝八氏が、この度、以下の「訴状」案を作成、五月提訴を予定している。
原告人 長坂伝八、他 被告人 内閣総理大臣 安倍普三
第1, 請求の趣旨
安倍普三内閣が2014年7月1日の「集団的自衛権」に関する閣議決定は、日本国憲法(前文、9条、99条、98条、97条、15条、13条および゙25条)に相反する。
よって当該閣議決定の憲法違反宣告および無効確認を求める。次いで、安倍普三内閣総理大臣に憲法16条にもとづいて罷免勧告を行うことを求める。(前文、81条)
第2, 請求の原因および要点
1,安倍普三内閣総理大臣は、2014年7月1日、上記の閣議決定の強行に拠って、従来の政府解釈を逸脱し、日本国憲法前文および9条に反して、海外に無制限に自衛隊を派遣して、武力行使をさせ、軍隊化し、戦争(交戦)=違憲の私戦を行わせることを可能にする、との国家意志を決定した。それを上位概念に掲げ、法=「具体化」へ襲いかかろうとしている。
これは、日本の帝国主義侵略戦争とアジアへの植民地支配・軍事占領の敗北と否定の結果としての「8.15革命」が、やがて人類史・世界史の達成として結実した日本国憲法への反革命クーデターである。(中略)珍道世直氏の後塵を拝して――。
5)「ベアテ 若き日のエポック」大盛況
さる4月18、19日に都内・内幸町ホールで行われた朗読とピアノで語る「ベアテ(日本国憲法の起草に関わった) 若き日のエポック」に19日11時開演に行ってみると心配をよそに大盛況でキャンセルを待って入場した。戦前、都内の乃木坂で子供時代を過ごしたベアテさんの日本への郷愁がよくでていた。

<別紙 5>

1941年1月生まれO氏のご意見。(神奈川県伊勢原市在住)

終戦の年は四歳で、暫くは空襲警報のサイレンの音が耳にのこり工場の昼時のサイレンが怖かった経験があります。
3歳位の時に戦死した短剣姿の叔父のことも今に鮮明に覚えています。
照明弾や低空で飛ぶB29も見たこともあります。
日本国憲法にはいろいろと意見がありますが、ご意見をお聞かせ下さい。

安倍総理は集団的自衛権を進めていますが、私の想像では現在中国共産党が蹂躙しているチベット、南沙西沙諸島のことや、日本国固有の領土である尖閣が脅かされている現在これらを念頭にあるのではないかと思いもいます。
中国潜水艦が日本の領海に進入し悠々と航行したり、尖閣でも同様の状態です。
中国は中華思想の基に太平洋を米国と2分割して支配をしようとしています。
中国共産党が解体されない限り日本にとっても一番危険な国と私は常日頃思っています。
中国共産党は狡猾的で彼等の主張は絶対に引き下げません。
韓国、朝鮮人の不正確な歴史を日本に一方的に押しつけている現在では話し合いにはならないと思います。
韓国では日本を仮想敵国としていますし、この様なキチガイ民族の隣国を安倍総理は念頭に置いて集団的自衛権を発議したそもそもの理由だと私は思っています。
最危険国中国共産党、北朝鮮の特定アジア2ヶ国、安倍総理は繰り返しますがこれ等を危険しし、防衛力を
考えていると思っています。
ついては、これ等についてご意見をお聞かせ下さい。

O氏への返信

ご丁寧なメールをいただきましたのに、事情がありましてご返事が遅れましたこと、誠に申し訳ありません。ご容赦ください。
さて、ご質問の内容はこのメールでお答えするには大変難しい内容を含んでいまして、簡単ではありません。また、意見交換するにしても、議論の土台となるある程度の共通認識も必要かと思います。
私ども「完全護憲の会」は、現日本国憲法について約1年間の議論を重ね、それをまとめたパンフレット「日本国憲法が求める国の形」を発表いたしました。ここには現憲法全体、及び各条項に関する私どもの共通(すべてが一致しているわけではありませんが)の考えが記されています。
それゆえ、ご質問の提起に直ちにお答えするより、私どもの基本的な考え方がどのようなものかを知っていただいたうえで意見交換した方が、お互いの理解が得やすいのではないかと考えます。
差し支えなければO様のご住所をお知らせ下さい。パンフレットをお送りいたします。このパンフレットをお読みいただいたうえで、再度、ご提起いただければ幸いです。
私どもは、このパンフレットに対してさまざまな意見が寄せられることを歓迎します。そして、お互いの議論をとおして、その内容が新たにパンフレットに追加され、豊富化されてゆくことを期待しています。
ご返信が遅れたことを重ねてお詫びしまして、ご返事にかえさせていただきます。

2015年3月26日
パンフレット編集担当 草野好文

会社員 61歳 W氏のご意見。(千葉県八千代市)

日本国憲法を是として、その制定の思想に鑑み詳細に研究され国の形に言及されたことの努力と、結果としての成果に先ずは敬意を表したいと存じます。
これに対する当方の見解を以下、申し述べさせていただきます。

1>近接諸国や諸民族とは何れを指すのか不明ですが、中国・韓国・北朝鮮は「和解と友好」の気持は無いものと存じます。
従って、「和解や友好」が無い相手に、日本国憲法が求める国の形を追及することは亡国に至らしめるものであります。
会の思想は、敗戦後の「東京裁判史観」に基づくもので、2600年に亘る天皇を中心とする我が国の歴史、伝統を否定するものです。P23日本国家の最高存在は天皇でもなくヤマト民族でもなく、ましてや首相ではなく、憲法という「法」としていますが、「法」の前に我が国が出来、我が国民が存在しています。「法」の前に「国」「国民」であります。
貴会の見解は、「左翼」思想、「お花畑」思想に終始しています。
2>p9アジア国民に戦いを挑む p10アジア全域に侵略の軍 p14紛れもない侵略戦争
P17中国、韓国初めアジア諸国に侵略の軍を進めた
以上の表現がございます。確かに中国とは戦争状態にありましたが、これを侵略と謂える根拠は何でしょうか。又、韓国とは併合であり、戦争も特にございません。それ以外の国々は殆ど白人支配の植民地で、これも侵略では無く、白人と戦い結果として植民地から解放の一助となっております。
3>p10いたずらに諸国を挑発 中略 好戦的な政策を推進 p12周辺国諸国の反日感情を挑発 p14異民族に対するヘイトスピーチに始まる民族憎悪 相応の謝罪と補償をしなければ周辺諸国と 中略 友好の確立は覚束ない p15在日韓国朝鮮人への差別
P40現政権は周辺国との 中略 好戦的意図をにじませている。
以上の表現がございますが、話は逆であります。日韓基本条約で国家予算の数倍の援助を受けた韓国。日中国交正常化の後、日本からの援助を受け高倉健の人気に見られたように友好関係を演出していた中国。何れも国内事情により反日に転じた両国であり、我が国又は安倍政権が対立を煽っているものではありません。事実誤認も甚だしいと存じます。
4>p14A級戦犯 という言葉がありますが、A級戦犯とはそもそも何でしょうか。A級とは「平和に対する罪」と承知していますが、これは国際法のどこに規定がありますか。要件が「戦争をしたこと」とすれば、各国の政治指導者は遍く問われなければなりません。
5>以上述べました通り、基本的な認識に誤りがあるため、P26特定秘密保護法、P29夫婦別姓、P42内閣法制局、P48外国人の地方参政権、P50領土問題に於いて左翼思想による偏波な結論に陥っています。

W氏への返信

当会のパンフレット『日本国憲法が求める国の形』作成に労いのお言葉をいただきましてありがとうございます。また、併せて貴重なご意見もいただきましたこと、重ねてお礼申し上げる次第です。
さて、パンフレットの内容を読み込んだうえで、大きくは5項目に及ぶご批判をいただきました。W様の認識では当会パンフレットに「基本的な認識に誤りがある」こと、「左翼思想による偏頗な結論に陥っている」とのことでした。
確かにW様のご意見と当会の認識には「基本的な認識の違い」があるようです。それゆえ、ここでご指摘の個々の問題に反論するのは生産的ではないように思われます。とは言え、なぜにこれほどに見解が異なるのか、どこかで共通する一致点はないものか、との思いは強くあります。
これは私どもにも言えることではありますが、「固定観念」の問題があります。例えば今回、W様は私どもの主張を「左翼」思想と断じられました。私どもからすると、W様の思想は旧来の「右翼」思想ではないかと思い込んでしまいます。
でも、右翼とか左翼とか言っても、その内容は明確ではありません。問題とすべきはその内実なのだと思います。
今回の当会パンフレットの起草者は旧来の意味での「左翼」などではありません。近代の普遍的価値と言える「民主主義」思想なのです。そして、現日本国憲法がこの民主主義思想を体現している、という立場からの提起なのです。
W様が指摘されている個々の事実が真実か否かの議論の余地はありますが、基本的立場が違うということで、お互いの主張を切り捨てたり否定しあうことは避けたいと思っています。
W様の個々のご指摘にこのメールでお答えするのは至難のわざです。ですが、ご意見は何らかの形で検討し、私どもの今後の活動に活かしていきたいと思っています。
まことに不十分なご返事しかできませんが、私どもの意を汲んでいただきご容赦いただきたいと存じます。
W様のご健勝を祈念いたします。

2015年3月31日
パンフレット編集担当 草野好文

<別紙 6>

当面の憲法問題野村意見
2015年4月28日

我が会は、最近の政権による危険な政治状況について、完全護憲の見地から常に批判的に見て世間に発表できるよう準備しておかねばならない。既に同代表はその幾つかを別に提示しているが、本日の岡部共同代表の政治報告に即して次の点が指摘している。今後の編集委や例会における自由な討論を経て今後の「パンフレット宣伝活動」、またはその改定における参考とすることを望んでいる。
大衆負担の増加と金持ち優遇制度
昨今、地方議員の政治調査費の配分で杜撰な使用ぶりが問題になったが、憲法上、注意すべきものに、年間数十億に上るらしい官房機密費である。この使用については慣例として領収書不要、会計検査院の検査も行われないこととなっているが、機密費も国民の血税であり、憲法90条が「国の収入支出の決算はすべて毎年会計検査院がこれを検査・・しなければならない」との規定に明らかに違反する。
現政権の党利党略(首相の私利私欲かも知れない)に基づく違憲の衆議院議員解散で数百億円の血税が使われ、いたずらに中国を敵視する「地球を俯瞰する」巨額な外遊費用なども、納税者全体から見て妥当なものかどうか、内閣から独立する立場を法定さらている会計検査院の検査と報告があってしかるべきものと考える。
また税法における「法の下の平等」とは、担税力、負担感の平等であって累進課税を原則としなければならない。血税による補助金の交付が、権力の「お友達」企業に渡り、それが権力者に黒い献金として還流していることが判明したが、更に注目すべきものは租税特別措置法である。この法律は膨大な条文をなしており、巨利を博している「お友達」大企業に対して巨額な免税をし、庶民には数々の負担を増大させ、関係政治家への還流も広くあるだろうことも推測できる。租税特別措置法は全廃して税法の簡易、透明化を図らねばならない。
天皇皇后への護憲、戦争反省の熱意
天皇皇后はさきにサイパン、沖縄などの訪問その他数々の会見で、現政権と対置して憲法尊重の精神、先の大戦への反省、敵兵をも含む戦争犠牲者への誠実な弔意が認められ、大部分のマスコミを含めて称賛されている。天皇の地位は憲法第14条の「門地による差別」ではあるけれども、特別規定の「憲法第1条の特別規定」の故に違憲ではない。しかし同時に第1条には「その地位は国民の総意に基づく」とあり、「天皇制廃止国民投票法」が制定され、その結果、退位乃至廃止を求める者が多ければ、憲法改正を経ないで廃止できる憲法解釈は成り立つ。しかしこれを会として正式に主張することは、現天皇一家が我々と同じ護憲の立場を取っていることが明らかな間は、これを外部に対して主張することは、我が会への結集を図る上からは得策でないとも考えられる。なお共産党は2004年の第23回党大会で「将来天皇制の廃止の気運が熟するまでは」この天皇制の廃止を論議しないとした。これで共産党に対する一般のアレルギーは減殺されて今日、党勢が拡大している一因をなしていることも考慮すべきであろう。
原発仮処分の決定と裁判所人事
最高裁判所は、これまで政権の意向に沿わない裁判を行う裁判官に対して不利益人事を発する傾向が認められる。裁判官の間で裁判官独立の精神に反して最高裁の意向を忖度する「ヒラメ裁判官」と言われる現象が心配され、また大胆な政権批判の裁判は定年間際の裁判官によって出される状況も観察される。砂川事件の東京地裁裁判官がいわゆる「ドサ周り」を強いられたことも記憶されるが、今回の異なる裁判をしたそれぞれの裁判官の今後の人事が注目されるところである。
政権与党の公明党
公明党は創価学会を基盤とするが、政権与党の道を選んでから本来の平和の精神がどこかに行「第二自民党」となって戦争への暴走を抑える役割を果たせなくなっている。自民党が10、戦争への道を進むのに対し僅か2、3の抑えはあるが、結局は7、3、自民党の暴走を進める役割を果たしている。これは公明党幹部個人の悪徳を意味せず、誰でも権力の魔物的魅力に勝てないことを証明している。それ故にこそ権力を抑制する憲法を十二分に働かせる努力がなされねばならない。
集団的安全保障
憲法9条1項の「戦争と武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」の「国際紛争を解決する」とは、国内紛争には警察力などで武力を用いることはあっても国外の国際間の紛争に乗じて武力を行使することは絶対に無いものと解釈される。「我が軍」(自衛隊)の武力が外国での戦争に直接にも間接にも参加することは憲法上、絶対に認められない。「後方支援」と言うが、暴力団の抗争の一方に機関銃を届ける行為は全くの共犯で刑事責任を負わなければならないと同じ理屈である。
我が国土が攻撃を受けた時は国際紛争ではなく我が国での危険であって9条1項は免責されるかも知れないが、9条2項で「(我が軍)自衛隊を保持することができない」ことも当然である。
福島議員「戦争法」発言と自民党物議
憲法51条は「議員が議員で行った演説は院外で責任を問われない」とされ、憲法に規定のない自民党議員の集団から圧力、詰問をされることがあってはならない。自民党議員は議場で反対討論をすることはできるが、圧力団体自民党から責任を問われることがあってはならない。又58条は「院内の秩序をみだした議員」とは、暴力を揮うとか、演説時間を議長の制止があっても止めず長広舌をふるうことについては懲罰できるが、議員の演説内容について懲罰されることは絶対にあってはならない。
沖縄問題
沖縄は「琉球征伐」以来400年間、ヤマトの一方的支配とヤマトのための犠牲を強いられてきた。現行憲法でも、沖縄についての特別法規があればすべて住民投票を経なければすべて違憲無効として処理されるべきである。法律と条約はもちろん、行政的に沖縄だけに過大に負担を課する制度は、憲法の類推解釈で住民投票を経なければならないであろう。
沖縄(琉球)独立の気運があるが、我が憲法は独立の手続きを定めていない。権力は権力の空白を認めたくないからである。デモ等でヤマト政府に圧力を掛けるのは自由であるが暴力を用いると刑法77条によって「首謀者は死刑又は無期懲役の刑」を科せられるので注意を要する。
しかし国連憲章第1条には「人民の同権及び自決の原則の尊重」が規定されているので、若し沖縄県民が「ヤマトの人と異なる人民であると自認し、かつ多数民族から不利益措置を受けている」と自覚できるならば、憲法98条2項によってヤマト政府はそれを尊重しなければならなくなると考える。    ▲

 

完全護憲の会ニュース No.16 2015年04月10日

本紙前号記載のとおり、さる3月20日14時から日本プレスセンタービル(都内千代田区内幸町)9階大会議室で、パンフレット発表記者会見を行った。マスコミ関係の出席者は「東京新聞」「社会新報」「IWJ」の3社で、参加者は総計16人だった。

パンフ発表記者会見

翌21日付け「東京新聞」31面は横1段「戦争体験 だから護憲」縦4段抜き「『次世代のために』会結成」の大見出しで要旨次のように伝えた。

集団的自衛権の行使を可能にする安全保障法制の大枠に自民、公明両党が合意した二十日、八十代以上の戦争体験者らが東京都内で記者会見し、反対の声を上げた。自ら作成した護憲の小冊子を手に、憲法が掲げる理想と懸け離れた政治を批判し、戦争を知る人間として「そのとき何をしていたの、と言われたくない」と危機感を募らせた。

第二次安倍政権が発足し、集団的自衛権の行使容認などの動きが出てきた昨年一月、首都圏に住む戦争体験者や、憲法を守りたいと願う人たちが、護憲の会を立ち上げた。社会の変化に合せて憲法を変えるのではなく、憲法の理想に沿った社会の実現を目指す、その名も「完全護憲の会」だ。

「今、組織を作って動かなければ、後悔することになる。次世代のために種をまいておきたい」と月一回の勉強会を続け、小冊子「日本国憲法が求める国の形」にまとめた。その発表が与党合意の日と重なった。

A5判七十五ページの冊子には、憲法と今の政治、社会状況との隔たりを列挙した。例えば、憲法前文には「国政は国民の厳粛な信託による」とあり、政府が得た情報はすべて国民の財産で、特定秘密保護法は国民への反逆だと指摘。また、「諸国民との協和」を求める憲法に反し、現政権は平和への外交努力が見られないとし、憲法の理念を厳格に守る政治を、と訴える。法的根拠のない行政手続きで流通が滞る問題では「法治主義なんだから、好き嫌いなく完全に(憲法通りに)やれと主張したい」と。(後略)

東京新聞の記事全文はネット版で:

 戦争体験 だから護憲 「次世代のために」会結成 安保法制合意

 http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2015032102000168.html

会見では「集団的自衛権の最近の動きをどう思うか」「日本を元に戻すとあいさつで言われたが、敗戦直後か、憲法発布時か、どこに戻そうとするのか」「今後運動をどう進めるのか」などの質問があった。

また参加者の中から「第1章天皇条項は民主主義に反する」「第9条関係で集団的自衛権を拒否した伊達判決支持を貫きたい」などの意見があった。

                         3月例会の討議

その2日後、3月22に開かれた3月例会には、「東京新聞」による記者会見報道のお陰で、新参加者5人を含め、これまで最高の19人が出席し、まず記者会見の感想など語りあった。そのなかで墨田区の元教師の方から「高校1年のときに習った教科書」で忘れられない頁として、次の箇所が朗読された。

現にそういうふうにして日本も無謀きわまる戦争を始め、その戦争は最も悲惨な敗北に終り、国民のすべてが独裁政治によってもたらされた塗炭の苦しみを骨身にしみて味わった。これからの日本では、そういうことは二度と再び起こらないと思うかもしれない。しかし、そう言って安心していることはできない。独裁主義は、民主化されたはずの今後の日本にも、いつ、どこから忍びこんで来るかわからないのである。独裁政治を利用しようとする者は、今後はまたやり方を変えて、もっとじょうずになるだろう。

今度は、だれも反対できない民主主義という一番美しい名まえを借りて、こうするのがみんなのためだと言って、人々を操ろうとするだろう。弁舌でおだてたり、金力で誘惑したり、世の中をわざと混乱におとしいれ、その混乱に乗じてじょうずに宣伝したり、手を変え、品を変えて、自分たちの野望をなんとか物にしようとする者が出て来ないとは限らない。そういう野望を打ち破るにはどうしたらいいであろうか。

それを打ち破る方法は、ただ一つある。それは、国民のみんなが政治的に賢明になることである。人に言われて、その通りに動くのではなく、自分の判断で、正しいものと、正しくないものとをかみ分けることができるようになることである。民主主義は「国民のための政治」であるが、何が、「国民のための政治」であるかを自分で判断できないようでは民主国家の国民とはいわれない。

国民のひとりひとりが自分で考え、自分たちの意志で物事を決めて行く。もちろん、みんなの意見が一致することは、なかなか望めないから、その場合には多数の意見に従う。国民はみんな忙しい仕事を持っているから、自分たちがこれはと思う人を代表者に選んで、その代表者に政治をやらせる。しかし、あくまで他人任せではなく、自分たちの信念が政治のうえに反映するように努める。そうすれば、ボスも、独裁者もはいりこむすきはない。

これは1948年、つまり新憲法が施行された翌年に文部省が作成した『民主主義』という中3と高1あて教科書の部分であると聞いて、その素晴らしさに参加者一同は驚嘆した。

そのほとぼりのなかで、このパンフを広める方法を討議したあと、岡部太郎共同代表(「東京新聞」元政治部長)が次の報告を行った。

 

政治現況報告

日本にとって3月は8月と共に問題のある重要な年だ。古い方からいうと、3月10日は70年前の敗戦の年に、米軍東京大空襲で20万人が焼け死んだ。20年前はオウム真理教のサリン事件で東京地下鉄での無差別殺人があり、いまだに苦しむ人がいる。そして4年前の東北大地震と大津波、フクシマの原発事故で、まだ故郷へ帰れない人がたくさんいる。また今月の20日には70年前の平和憲法から離れ、安倍政権と自民党は、米軍支援の名のもとに、自衛隊の海外派遣を可能にする安保法制を閣議決定するために、自公両党だけで憲法解釈変更に同意した。初めは派兵歯止めを強く要望していた公明党も、最終的には自民案を了承した。

しかし一番問題になっていた海外派遣のための①国連決議②国会の事前承認③自衛隊の安全――については両党で結論を先送りしたので、中途半端なものになった。この問題は国会論戦などを通じて再終結論が出てから改めて検証したい。

またこの3月9日は7年ぶりにドイツのメルケル首相が来日した。ドイツは日本と第二次大戦中、日独伊同盟で共に戦い、同じように廃墟の中で敗戦を迎えるなど、似たところが多い。そして戦後復興と経済繁栄では似たような道を歩いたが、現状ではかなりの違いも出てきている。

その一番の違いは、第二次大戦の侵略に対する総括・反省にあるように思う。ドイツは戦後にワイツゼツカー大統領が、欧州各国を回り、反省だけでなく、謝罪をして回った。特に長年の戦争の相手、隣国のフランスとは、歴代の大統領・首相がひんぱんに訪問、共同歩調をとることを約束、この両国を中心に欧州の経済はもちろん、外交・防衛・政治も統一するEC(欧州共同体)にまで発展させた。

これに対し、日本は戦後の自民党は言を左右にして公式の謝罪はせず、形のうえでもかつての植民地支配と侵略を初めて遺憾としたのは、戦後50年の村山談話(社会党)である。その後60年には小泉首相が、これを踏襲して形だけでも謝った。

しかし今の安倍首相は靖国神社を参拝し、後ろ向きの発言や行動を繰り返し、中国や韓国と摩擦を起こし、東アジアの平和を不安定にしている。メルケル首相は保守党首だが安倍首相に過去の総括と正しい歴史認識が地域の和平に不可欠だと訴えた。しかし安倍首相は、この問題で何も答えなかった。いやなことには答えない首相には、国民や野党の疑問に答えて説得する民主政治家としての素質が全くないようだ。この差は原発問題でも一緒だった。

この報告を受けた討議では、自民党が来夏の参院選後に憲法改悪国民投票を予定しており、これに的を絞った活動を行うこと、とくに1年後の参院選で改憲勢力3分の2を阻止する取り組みが焦眉の急であることなどの意見がつづき、緊張のうちに討議を終えた。

ついで事務局から以下の日程が紹介された。

                    次の例会・勉強会のご案内

日時 4月26日(日) 14:00~16:30

場所   東京・神田  学士会館地下1階  北海道大学連絡室

(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)

報告   政治の現況について   …………岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)

日本国憲法の現状について ……野村光司(「パンフレット」起草者)

報告への質疑、意見、パンフ普及について

今後の日程について   事務局

参加費  無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)

 

3月例会から3日後の3月25日14時から、虎ノ門大阪大学東京オフイス会議室で編集委員会が開かれた。

                         編集委員会の討議

編集委員会には5人の各委員が出席、パンフ発表記者会見以後殺到したパンフ注文と入会希望についての報告がされた後、今後の活動方針として野村委員から要旨次の提案があった。

今後の活動方針

現「パンフレット」についての解釈の統一

 しばらくは今回のパンフレットが会の基本文書となる。今後、読者から多くの疑問点が出て来るものと考えられるので、「想定問答」を用意しなければならない。

部外者からの当初処理例

丁重ながら画一的に処理できる案文を用意する。

改訂版の編集方針

(文体)

文章が難し過ぎると言う意見がある。今回は政党、マスコミ等知識層を対象にして憲法についての法律論を展開したものであるが、今後、並行して優しい言葉で書かれた「解説版」を用意することを考える。

(増補)

今回のパンフレットに時々刻々に発生する政治問題に関連して、更に改訂増補を行って、日本の憲法政治の全貌を示す決定版を世間に提供する。それに備えてこれから発生する種々の政治問題に関連した憲法問題を順次、蓄積する。

(例)

前文第2項関係

「恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚する」

架空・虚偽の建国記念日

「人間関係を支配する崇高な理想」とは世界文明諸国で共通している倫理は、「人を愛する。言葉の神聖を自覚してウソをつかない」ことである。現在の我が国の「建国記念日」は、諸外国のそれと異なり架空の(虚偽)の「神武天皇即位の年月日」を用い、「(偽装国家日本の)建国記念日」となっている。現行の建国記念日を廃止し、「憲法記念日」に吸収するか、日本歴史学会などの答申を得て新しい建国記念日を制定すべきである。

前文第3項関係

「いずれの国家も自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」

 首相は「侵略については定義が無い」と発言しているが1974年12月の国連総会決議「侵略の定義」が出ており、戦前の日本のアジア侵攻の事実はすべてこの侵略の定義に当てはまる。

第22条関係

何人も、外国に移住する (to move to a foreign country) 自由を侵されない」

政府はシリア渡航のジャーナリストの出国を禁止したが、これは憲法22条の規定に違反する。政府が単に「危険である」と判断するだけで国民の自由権利を侵し得るなら今後、「この人間は危険だ」と政府が判断すれば容易に国民の権利を侵害されることになる。

第66条関係

「国務大臣は文民でなければならない」

 沖縄県辺野古に米軍基地を建設するにあたり元自衛隊幹部であった防衛大臣が、沖縄県民を罵倒し軍事基地建設に邁進しているが、これはまさに本条が憂慮したことである。

第90条関係

 「国の収入支出の決算はすべて毎年、会計検査院がこれを検査し」

最近、地方議会の政務活動費の不当経理が問題になっているが、政府の官房機密費は毎年、数十億が支出されながら「領収書不要、会計検査は行わない」こととしている。

国の経費は国民の血税で支出されており、また会計検査院法では、「検査院は内閣から独立の機関」と規定されており、内閣であろうと総理大臣であろうと「上官」の経理に容喙するとの遠慮があってはならない。真に国民全体の利益のために運用されているかどうかを検査して内閣を指導しなければならない。

今後の会の活動方針

政治活動との関連

会員は所属または関係を持つ諸団体とともに自由に活動できると言う会則に従って、「完全護憲の会」としては政治活動を行わないが、会員はそれぞれの縁を活用してパンフレットを宣伝し、各団体にパンフレットを参照して活動して貰うのが、当面の「政治活動」である。

各種団体等に働きかけてパンフレットの勉強会を開催して貰い(既に「労働運動研究所」で行われることになっている)、会から編集委員を中心に講師を派遣することとしたい。

これに対して福田委員から口頭で、来る6月末までに、①会員を100名に拡大、②パンフを500冊増刷し、その配付を完了する、などの提案があった。

討議の結果、「完全護憲の会」は当面、政治活動は行わず、会員・パンフの拡大目標は設けず、会員・支持者の自発的協力によってパンフの普及に努めることを決めた。また事務局多忙のため、例会の司会は福田委員に草野編集長が代わることなどを了承した。

                        パンフ研究会のご案内

労働運動研究所主催のパンフレット『日本国憲法が求める国の形』研究会が、4月18日(土)14:00~16:30、大阪経済法科大学東京セミナーハウス(港区麻布台1-11-5、地下鉄神谷町)6階B会議室で行われますので、ご都合のつく方はご参加下さい。

朗読とピアノで語る ベアテ、若き日のエポック

日本に男女平等の夜明けをもたらした女性  主催 NPO日本朗読文化協会

4月18日(土)13:00,17:30/4月19日(日)11:00,14:30/千代田区立   内幸町ホール/チケット  2500円(全席自由)

パンフ『日本国憲法が求める国の形』お求めの方はご連絡ください。振替用紙を付けて郵送します。

連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会

電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com

 なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。

完全護憲の会ニュース No.15 2015年03月10日

さる2月22日(日)、神保町・学士会館地下1階北海道大学連絡室で2月例会を開催、参加者10名。入会者 計 21名。

岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)はご家族のお祝い事があって欠席、届けられた次の報告をMY会員が代読した。

政治現況報告(安倍外交と70年談話)

安倍首相は自らの外交姿勢を「積極的平和外交」と名付け、就任以来、任期の半分ぐらいは、世界の多くの国々を歴訪。友好親善に務めると共に、各国へ積極的に経済支援やODA援助、借款を進めて来た。その努力は多とするが、反面、外遊が多く、国会論議がお座なりになると野党などには不満があった。しかし一方、もっとも日本外交が力を入れるべき東アジア外交、近隣外交は、中国・韓国両国と2年以上も対立が続き、アジア情勢、太平洋地域に不安定さをもたらせている。親米へ傾斜する安倍首相にオバマ大統領も、この点は心配し、強く改善を直言している。

この一種二元外交が、安倍外交の特色であるが、はからずも、今年はアラブ連合・ヨルダン・イスラエルなど親米のアラブ諸国を歴訪し「イスラム国と戦う周辺国に対策費として2億ドルを贈与する」と発言したため、イスラム国の怒りを買い、湯川・後藤両日本人の拘束を明らかにした。最初は同額の2億ドル、途中で人質交換要求となったが、政府は適切な手を打てず、結果的に二人を殺されてしまった。安倍積極的平和外交の明らかな失敗である。

湯水のようにバラまいている訪問国援助資金も、反イスラム2億ドル援助も、みな国民の税金である。政府の外交、金の誤った使い方のために、殺されるのでは、国民はたまったものではない。

中国外交の冷戦は、安倍首相の靖国参拝に、前大戦の反省や、歴史認識を変更するものだと、中国側が怒り、日中首脳は一度握手しただけで、まだ一度も実のある会談をしていない。アジアの二つの経済大国の反目は、アジア全体の安定を著しく損ねている。中国側は安倍首相に、もう二度と靖国に行かぬよう要請しているが、首相は頑として、それを約束せず、膠着状態が続いている。

一方、お隣の韓国とは、やはり戦時中の韓国女性の強制売春問題で、韓国側の賠償要求を無視、この問題を謝罪した河野洋平衆院議長の談話まで否定しかねない発言を続け、これも歴史認識を理由に、内閣発足以来、両首脳は顔を一度も合せていない。

これに対し、安倍首相はプーチン・ロシア連邦大統領とはたびたび会談、北朝鮮の拉致問題では接近と、その外交姿勢に一貫性がない。そのロシアともウクライナ問題で米ソ間の対立が強まり、日本の立場が微妙になっている。

この外交姿勢に関連して、今後国内でも問題になりそうなのが、安倍首相が戦後70年を機会に意欲を燃やしている“70年談話”である。このような談話は社会党の村山首相が1995年、戦後50年に、日支事変から太平洋戦争にかけて日本が行った侵略行為と植民地支配を反省し、謝罪した“村山談話”が初めてだ。談話は閣議決定された。この時、自民党は選挙で惨敗し、時の河野総裁は第一党の社会党との連立で村山政権を成立させ、同時に社会党は初めて自衛隊を正式に認めた。

このあと戦後60年の2005年、時の小泉内閣が“小泉談話”を発表したが、過去の反省と謝罪は村山談話を踏襲した。今回の安倍談話も、この二つを意識したもので、できれば、これまでと違う画期的なものにしたいと希望を語っている。しかし村山・小泉談話の先の大戦への反省や謝罪はできれば触れず、「日本の将来へ向けたものにしたい」との意向も伝わってくる。これにはさすがに公明党山口委員長が「安倍談話は事前に与党で充分に検討」と引き戻しをはかり、自民党内でも二階総務会長が、野党も含め国会の意見を充分聞くようにけん制した。この問題は8月15日の戦後70年記念の日まで大きな政治問題になりそうだ。

例会における討議

ついで、野村光司氏(「日本国憲法が求める国の形」起草者)が、さる1月28日に行われた編集委員会における討議(本紙前号既報)を紹介し、とくに1月例会で反対論の強かった第9条関係での国連軍への言及について、これまでの非武装平和論で国民の多くを納得させえなかった経験を踏まえ、違憲の自衛隊に代わる合憲の国連軍を選択することを説得的に加筆するに至った経緯を報告した。

この報告に対しては「日本が平和外交に徹していれば、いずれの国も攻めてこないとの意見は、残念ながら、国民の共通認識にはなっていない」「自衛隊の存在を容認している大半の人々に、論議の場に加わってもらうために、この提起は必要だ」などの意見が続いた。

野村氏はまた、政府が防衛省設置法の改正案を閣議決定し、武器輸出に向けた取り組みを強化したり、「文官統制」を見直して、武官が文官と対等に防衛大臣を補佐するよう図っていることに懸念を表明した。

昨年末、総選挙と同時に行われた最高裁裁判官の国民審査結果で、罷免要求率は前回の7%台から8%台へと約1%増加したことが話題になった。「米国では大統領の指名した最高裁裁判官候補者の約4分の1が上院の審議などで否決されているが、日本では内閣に任命されれば国民審査で罷免されることは絶対にない仕組みになっている」と野村氏は日本の現状を批判した。

その後、事務局から「昨年7月に集団的自衛権行使を認めた安倍内閣の閣議決定を違憲とした珍道世直氏による控訴審の最初の公判が、3月3日、東京高裁で行われることが紹介された。

編集委員会における討議

さる2月27日、学士会館北大連絡室で編集委員会が行われた。参加者は5名。
討議は ①パンフレット『日本国憲法が求める国の形』の装丁、内容の詰め ②パンフレット送付先表の作成 ③パンフレット発表記者会見の段取り ④記者会見案内状の作成 ⑤パンフレット発送事務の日取り設定(2月28日14:00、3月3日15:00)について行われ、必要な決定をした。

なお記者会見を控え、岡部氏の示唆にもとづき、編集委員の全員一致でパンフレットの編集長に草野好文氏を選出した。

記者会見案内状の送付先

自由民主党/民主党/公明党/維新の党/次世代の党/社会民主党/生活の党と山本太郎となかまたち/日本を元気にする会/新党改革/長崎新聞社東京支社/民主党プレス民主/九条の会/市民の意見広告運動/週刊新社会/連合通信/連合/安倍靖国参拝違憲訴訟の会/大塚茂樹(岩波書店)/日本共産党/朝日新聞社/毎日新聞社/読売新聞社/日本経済新聞社/産経新聞社/ジャパンタイムズ/共同通信社/時事通信社/中日・東京新聞社/北海道新聞東京支社/河北新報東京支社/神戸新聞東京支社/山陽新聞東京支社/中国新聞東京支社/西日本新聞東京支社/沖縄タイムス東京支社/琉球新報東京支社/AP通信社/AFP通信社/しんぶん赤旗/社会新報/週刊金曜日/思想運動/地域と労働運動/人民の力/聖教新聞社/先駆社/憲法改悪反対共同センター/日本放送協会/TBSテレビ/日本テレビ放送網/テレビ朝日/フジテレビジョン/テレビ東京/㈱IWJ岩上安身/「週刊朝日」/「アエラ」/「サンデー毎日」/「週刊読売」/「週刊現代」/「日刊ゲンダイ」 /「フライデー」/「週刊文春」/「週刊新潮」/「週刊ポスト」/「SAPIO」/「週刊プレイボーイ」/「別冊 宝島」(以上68社・団体)

パンフ発表記者会見

パンフレット発表の記者会見は3月20日(金)14:00から日本プレスセンタービル(都内千代田区内幸町2-2-1)9階大会議室 です

会員はご出席下さい。

                       次の例会・勉強会のご案内

日時 3月22日(日) 14:00~16:30

場所   東京・神田  学士会館地下1階  北海道大学連絡室

(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)

報告   政治の現況について   岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)

「日本国憲法が求める国の形(パンフレット)」の発表記者会見報告

野村光司(「パンフレット」起草者)

今後の日程について   事務局

討議  報告および提案への質疑、意見

参加費  無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)

連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 完全護憲の会

電話03-3772-5095 メール:kanzengoken@gmail.com

なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。

完全護憲の会ニュース No.14 2015年02月10日

さる1月25日(日)、神保町・学士会館地下1階北海道大学連絡室で1月例会を開催、参加者13名。入会者 計 21名。
岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)が風邪で欠席し、後日、書面で以下を報告された。

政治現況報告

新年早々、1月18日に野党第一党の民主党の委員長選挙が行われた。年末の総選挙で民主党は再び惨敗(と言ってもよいと思う)東京1区の海江田万里委員長は比例区にも残れず落選した。全国の党員・地方議員も巻き込んだ後任委員長争いは、若手の支持を集めた細野剛志が6票差で岡田克也代行を破り1位となったが、過半数に達せず、国会議員による決戦投票では、本命の岡田氏が逆転、委員長の座を射止めた。

はからずも、自民党総裁選での党員も含む本選で1位になった石破氏を国会議員選による決戦投票で安倍首相が破り、首相の座を射止めたのと同じ形にになった。岡田氏は細野氏を政調会長にするなど、挙党一致体制をとったが、雄弁で生まじめな新委員長が、バラバラな党内をどう一本にまとめ、再び政権を争える党に再建するか、今後の課題となろう。

そこへ飛びこんだのがイスラム国が湯川遥菜さんと後藤健二さんの二人の日本人を拘束したというニュースだった。人質の交換要求などがあったが、結果的に二人の人質は殺された。戦後70年の平和を守ってきた日本にとって、歴史的な転換点ともなる大事件に発展してしまった。

安倍首相は就任以来、秘密保護法の制定や集団的自衛権の閣議決定など戦前回帰路線ともいえる後ろ向き政策を進めて来たが、外交についても「積極的平和外交路線をとる」と強調していた。これまでは全く意味不明だったが、はからずも今回のイスラム国人質事件で、その正体と意図することが明白になった。

日本はこれまで外国に自衛隊を派遣することは自重。自ら紛争に積極的に介入することは避けて平和を守ってきた。しかし今回、安倍首相は紛争地ヨルダン、エジプト、イスラエルと、いずれも米国との友好国だけを訪問、しかも1月17日にはエジプトのカイロで「イラク、シリア難民・避難民支援、トルコ、レバノンへの支援をするのはISIL(イスラム国)がもたらす脅威を少しでも食い止めるためです。地道な人材開発・インフラ整備を含め“ISILと戦う周辺各国”に総額2億ドルの支援を約束します」と公言してしまった。つまり米国と共同歩調をとって日本が友好国を積極的に支援するのが”積極的平和外交“だったわけだ。表立ってアメリカを積極的サポートする外交である。わざわざISILを名指しして、それと対抗することを明言したのだから、イスラム国が日本人二人を人質として確保したのは、むしろ当然だろう。

しかも政府は昨年10月には二人が拘束されたとの情報を知り、内密で交渉していたのだという。いかにもタイミングの悪い歴訪であり、しかも2億ドルをイスラム国対応で拠出すると明言するのは危険極まりない。まさに挑発ではないか。安倍首相は二人殺害の政治責任について、“私に最終責任がある”と開き直ったが、誰がこの文章を書き、発言時期を決めたのかと云う野党の質問に「文章も発言自体も私が決めた」と予算委で答弁した。「それが間違ったとは思っていない」とも強調したが、さすがに鋭く追及されて「その発言の可否についても、今回の人質事件の検証の中で明らかにしたい」と述べた。

いずれにしても、戦後初めて日本人が人質にとられ、政府の折衝にもかかわらず殺された。国民が“積極的平和外交”の犠牲になった。しかも、もっと問題は、日本が米国のお先棒を担ぐ図式が世界に知れ渡ったことだ。今後、国民が危険な立場に立つことの安倍首相の責任を、野党はもっと追及していい。国民もまた安倍が首相になったのは運が悪かったでは済ませず、一日も早く退陣させるべきだ。

例会における討議

ついで、野村光司(「日本国憲法が求める国の形」起草者)氏が、予め例会出席予定者に配付し、検討を要請していたパンフレット第4次案について、次のように報告した。

まず第1点は、憲法9条(戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認)関係で、先に「戦力保持の禁止」として記述していたものを、「違憲の自衛隊を合憲の国連軍に」の見出しに代え以下の記述に差し換えた。

(第9条関係)

違憲の自衛隊を合憲の国連軍に

法治主義とは真実に基づいて法を適格に適用することであって真実を偽装してそれで済むならば法治とは言えない。自衛隊は発足時から用語でも政府説明でも種々の偽装を施して来た。第9条は「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」とあり、自衛隊の組織・装備は、外国と戦争するために整備された陸海空軍であり、決して国内犯罪を鎮圧する警察ではない。自衛隊が日本の軍隊ならば違憲と言わざるを得ない。

また、正当防衛の権利は、国内法でも国際法でも普遍的に認められている自然権であるがわが刑法36条は、「急迫、不正の侵害に対して自己又は他人の権利を防衛するため止むを得ない」行為についていうのであって、例えば強盗に押し入られたとき、合法的に所持している物を用いて抵抗するのは許されるが、所持を禁止された物を予め準備することは許されない。日本では銃砲刀剣の所持が禁止されており、有り得べき侵入者に備えてピストルや機関銃を準備することは許されない。公の警察力に頼るべきものである。

日本は憲法上許されない「自衛隊と言う名の軍隊」が持てない。そこで憲法は前文で「平和を愛する諸国民 (peace-loving peoples) の公正と信義 (justice and faith) に信頼して、われらの安全と生存を保持」するとする。憲法制定時、既に国連が世界各国の平和を守る国際機関として存在しており、国連憲章第47条では「国連軍事参謀委員会」が国連軍を運用する規定を設けている。この規定は主として多国籍軍の運用にかかるものであるが、国連自体の直轄軍を創設することを排除するものではないと考える(参考:PKOは国連規定には存在しないが国連総会の決議で創設された)。いずれにしても、わが国は他国の侵略を受ける恐れがあるならば、クウェートがイラク軍の侵略を受けたとき多国籍軍によってイラク軍が排除されたような体制を国際的に整備することが必要である。ここに主として日本を防衛する日本駐留の日本防衛の国連軍部隊が創設されれば憲法上の問題はなくなる。現在、アメリカも一国で世界の警察官たる負担に堪え兼ねており、EUも国際軍の性格を帯びて来ており、すべて一国のみでの防衛はできなくなっているので、国連軍の創設には欧米諸国の協力も期待できる。また中国、韓国、ロシアも日本軍に苦しめられた経験から、自衛隊が日本の軍隊ではなく国連軍部隊であるならこれを歓迎できる。政治的外交的には困難であるが、日本国憲法の理想に向かって努力すべきである。

もとよりこうした軍備に努力するよりは、憲法随所に規定される「恒久の平和を念願し」「自国のことのみに専念して他国を無視してはなら」ず、普遍的な「政治道徳の法則」に従って「自国の主権を維持し」(前文)、「大臣は、文民でなければなら」ず(66条)、ポツダム宣言、対日平和条約など敗戦で結んだ「条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守」して(98条)、先ずは近隣諸国で日本を攻めようとする敵対国を無くし、近隣諸国との平和を確立することが、わが国の安全を守る第一義であることを認識すべきである。

自衛隊が違憲であるとするならば軍隊としての自衛隊は解散せざるを得ない。しかし自衛隊にはこれまで軍隊としての訓練の他、災害救助、南極探検支援など国民の必要に応じ、危険な業務を負担して来た。日航機墜落事件、阪神大震災、東日本大地震・大津波の災害に対して被災者救済に多大な活動をし、国民の自衛隊への親近感は著しく増大したと言われる。今後は順次、軍隊の要素を減じ、災害救助隊としての活動範囲を拡大することが望まれる。これまで、中国、韓国初めアジア諸国に侵略の軍を進めたのに代わって、今後は国内ばかりではなくアジア全域、或いは全世界に対し、災害救助に、難民救助に、と危険な業務に迅速に対応し、全世界に感謝される組織になることが期待される。

第2点は36条(拷問及び残虐刑の禁止)関係で、これまで「死刑の廃止」として、主として人間の生命権を奪う殺人、さらに残虐な刑罰としての死刑の廃止を要求したが、編集委員会からの注文で冤罪による死刑の危険について加筆することになり、いま文案の作成中である。

以上、主として2点の報告をめぐって討議が交わされ、次のような意見が提出され、意見はほとんど第9条関係に集中した。

「国連軍部隊による日本の防衛は現憲法の趣旨に反する。国土の防衛はあくまで近隣諸国と友好を保つ外交努力によるべきであり、国民意識をそこに先導するよう努めるべきだ」

「中程に『自衛隊が違憲であるとするならば軍隊としての自衛隊は解散するしかない』という記述があるが、『将来、自衛隊は解散するしかない』、などとして、時間的な余裕を持たせた方がよい」

「9条関係では、別に『集団的交戦国にはなれない』という見出しで、集団的自衛権の行使容認を決定した閣議決定を批判しているが、この決定が『違憲』であることを明記した方がよい」

「第99条(憲法尊重擁護の義務)関係で、『公然、憲法を侮辱する公務員は、公職から排除されなければならない』と記述しているが、この記述の冒頭に『首相以下、』と明記した法がよい」

これらの意見に対して「憲法の規定には、ある程度の理想が含まれても許容されるので、国連軍部隊の日本駐留については、国連創設当時の、世界の平和を守る国際機関としての役割の復権に努力することと合せて、国連軍部隊にへの言及についてご理解願いたい」旨、起草者側から答弁があり、提起された様々な意見をあわせて編集委員会で文案を作成することとなった。

さらに、「昨年7月1日の集団的自衛権行使容認の閣議決定以降、安倍首相が進めている露骨な改憲活動批判をパンフレットにどう取り込むのか?」「この度の湯川、後藤さんの拘束事件で、折から中東訪問中の安倍首相が『ISILと闘う周辺各国に、総額で2億ドル程度、支援をお約束します』公表し、しかも、アラブの宿敵であるイスラエルを訪れネタニアフ首相とともに『テロとの戦い』を宣言し、『イスラム国』に報復の口実を与えていることを、どう受け取るのか?」などの切迫した意見も提出され、いずれも編集委員会が検討することとなった。

ついで、パンフレット発表に当たっての下記「あいさつ文」の案が事務局から配付され討議された。

「日本国憲法が求める国の形」(パンフレット)

発表について完全護憲の会からのごあいさつ(案)

私たちは、皆、無位無官の庶民であり、学者でもありません。どの政党政派にも属せず、誰にも隷属せず、誰をも憎む者でもありません。ただ私たち庶民の目で見ると、日本が日本国憲法を最高法規として戴く法治国家であるとすれば、今の国政が憲法の理念、条文と余りにもかけ離れていることに驚いています。

いわゆる左翼、護憲を標榜する方々も現行憲法を非難する方々もおられます。例えば第1章天皇規定の存在が許せない、と言う方が少なからずおられます。しかし護憲と称しながら現行憲法を否定したのでは、改憲派が憲法の権力抑制や人権尊重の規定を否定するのを非難することはできません。この場合は、現憲法否定の政治勢力の方が遙かに現実を動かす力が強いことを知らねばなりません。

私どもは憲法と現実の国政との乖離の幾つかを列挙させて頂きました。その殆どが憲法制定の根本目的である権力の抑制を外し、国民の人権を否定することにあります。私たちは右にも左にも、現行憲法の理想と条文とに完全に合致する政治を求めなければならないのです。

私たちは政治活動をしませんが、戦前の事情をいささか経験し学んだ者として、現日本国憲法が国民全体のため、また周辺諸国との友好、諸民族との和解のため非常に優れたものであり、現憲法の完全な適用が日本と世界との利益であることを信じていることを告白させて頂きます。

しかし憲法の理想と条文から曲りに曲がった政治の現実のすべてをいきなり是正することができないことも承知しています。できるものから順次、憲法に沿って正されるよう心から望んでいます。現に違憲の国政で利益を得られている方々には申し訳なく思いますが、できるだけ痛みが少ない方法で転向できる方策が取られることを願っています。

今、私どもが提示する現行政治違憲論が間違っているならば、それを教えて頂けるようお願いします。ただ憲法の理想と条文に即したものであることをお願いします。

2015年(平成27年)3月

完全護憲の会 共同代表、編集委員名 列記

意見としては「第1章天皇規定への言及はとくに必要ではないのではないか」「安倍政権の最近の改憲策動に触れるべきではないか」などが表明され、成文は編集委員会に委託された。
その後、事務局から次の文書が配付され、承認された。

 パンフレット発表の手順(案)

  1. 日程

統一地方選挙前に発表するために逆算して

統一地方選挙第1次 投票日                          4月12日(日)

パンフレット発表の記者会見

3月20日前(岡部、野村さんの都合で3月16<月>か20日<金>)

パンフレット発行・配付                              2月25日(水)

パンフレット入稿                                    2月10日(火)

編集委員会(パンフレット成稿)                      1月28日(水)

例会(パンフレット最終案決定)                      1月25日(日)

パンフレット第4次案を例会出席予定者に郵送、配信    1月19日(月)

2. パンフレットの大要

A5版    横書き

内容  「日本国憲法が求める国の形」と「日本国憲法原文」、目次を詳しく。

500部     単価300円

発行所  東京都品川区西大井 4-21-10-312 完全護憲の会

3人の共同代表、岡部、野村、福田の名を入れる。

編集委員名は?

  1. 者会見の場所
  2. 事前のパンフレット配付先

マスコミ、政党、学会など

つぎに事務局の方から2014年の「会計報告書」が配付され、宮崎会計監査員からの「適正にして妥当である」との「監査報告書」とあわせて承認された。

ついで、郵便局で振替口座を開設するための便宜として、事務局担当の福田玲三を共同代表の一員にすることが求められ、「完全護憲の会」会則施行の2014年4月27日にさかのぼって、選出したとすることが承認された。

また、昨年7月に集団的自衛権行使を認めた安倍内閣の閣議決定を違憲とした珍道世直氏による訴訟が、東京地裁で一二月一二日に棄却され、控訴されたことが報告された。配付された1審判決文のコピーに見られる原告の主張の誠実さが参加者に感銘を与えた。

               編集委員会の報告

例会から3日後の1月28日、第9回編集委員会が虎の門の大阪大学東京オフィスで開かれた。参加者は5名。

まず、例会で反対論の強かった第9条関係での国連軍への言及については、これまで非武装平和論では大半の国民大衆を納得させることのできなかった経験を踏まえ、違憲の自衛隊を廃止した後の実力組織として、合憲の国連軍を選択することが最良であることを説得的に加筆するとともに、自衛隊の廃止に時間的猶予をもたせよという反対論のなかの助言を取り入れることとし、その成文を草野委員に委任した。

また99条関係で「公然、憲法を侮辱する公務員は、公職から排除されねばならない」の前に、例会の意見を踏まえ、「首相を始め」を挿入することとした。

次に、「ごあいさつ」の案文中、批判的意見のあった「第1章天皇」規定への言及については、天皇条項が14条(法の下の平等)に原則的に反しており、この章への批判は当然であると認めた上で、日本国憲法全体をまもるために、この第1章をやむをえず容認する理由を丁寧に加筆することとした。また集団的自衛権行使容認以降における現政権の強権的な違憲行動に対して例会で示された強い批判を「あいさつ」の文中に反映させることとし、加藤委員の案文を基礎に、榊山委員に成文を委任した。

ついで、例会で承認された「今後の日程」「パンフレットの仕様」「パンフレット発表記者会見の準備」等を確認したが、パンフレットには頒価は入れず、カンパの呼びかけにするとし、閉会した。

2月6日、会場を確保し、パンフレット発表の記者会見は3月20日(金)14:00から日本プレスセンタービル(都内千代田区内幸町2-2-1)9階大会議室 と決定した。

               次の例会・勉強会のご案内

日時 2月22日(日) 14:00~16:30

場所   東京・神田  学士会館地下1階  北海道大学連絡室

(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)

報告   政治の現況について   岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)

「日本国憲法が求める国の形(パンフレット)」の発表について

野村光司(「パンフレット」起草者)

今後の日程について   事務局

討議  報告および提案への質疑、意見

参加費  無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)

連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 福田玲三

電話03-3772-5095 メール:rohken@netlaputa.ne.jp

なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。

完全護憲の会ニュース No.13 2015年01月10日

さる12月21日(日)、神保町・学士会館地下1階北海道大学連絡室で会合、参加者15名。入会者 計 20名。

まず、岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)氏 から政治の現況について次のような報告があった。

政治現況報告(要旨)

12月14日、前回選挙からわずか2年で解散・総選挙があった。全く安倍自民党の党利党略選挙だったが、与党の自民党は290(-4)公明党は35(+4)で、合計325議席は前回と全く同じで、何のための選挙だったか。この数字は世論調査の結果とほぼ同じ。ただ争点もない党利解散だったため、投票率は52.66%で最低。二人に一人棄権だったのは、無言の世論の意志表示か。欧米なら無理な解散として、政権が攻撃されるが、日本では安倍の責任が追及されることもなく、民主政治の基盤の弱さが、改めて浮き彫りになった。

しかし、細かく見ると、これまでの選挙とかなり違う特色もある。その特長を見る。

①自民・公明は現状維持だったが、その大きな理由は、突然の解散で、野党の準備が整はなかった。争点を全く見通し困難なアベノミクス・経済一本に絞った。前回から、僅か2年の選挙で、有権者にまだ前回の記憶があったなど。これまでの選挙では一年生議員は約2/3が落選していた。しかし今回は100人以上の一年生議員がほぼ全員当選して、自公で2/3の議席を守ることに成功した。つまり安倍の思惑通りの選挙結果となった。

この勝利により、安倍は来年9月の自民党総裁選での再選を確実にし、与党は来年4月の統一地方選、再来年夏の参院選での勝利にも大きく近付いた。

②民主党は73人と10人程度増えたが、むしろ惨敗といえる。前回の衆院選では、民主党は200人近く落選しており、従来なら同情票もあって、半数ぐらいがカムバックするのが通例だった。しかし今回の元職の当選は10人ぐらい。一つは準備不足で、全小選挙区に候補を立てられず、各党が比例区で議席を伸ばしたのに、伸びなかった。また海江田党首がこの二年間、復活のため何の手も打たなかったのが大きい。そして海江田自身も落選した。

③分裂した維新の党は-1の41人当選でむしろ善戦した。一年生議員が頑張ったこと、大阪・関西で前回の余熱があったこと、石原慎太郎が出て江田が入ったことで、党内がすっきりしたこと――などが理由だ。
④共産党は8議席から21議席となり3倍増に躍進した。反自民の受け皿となったこと、全小選挙区に候補を立て、比例区での集票に成功したのが理由。小選挙区での当選が一人なのに、比例区20人当選が目立つ。

⑤維新から分裂した次世代の党は17人の現職が平沼党首、園田前幹事長2人の当選だけで惨敗した。比例区では一人も当選せず、石原慎太郎や都知事選で60万票とった田母神も東京13区で4位の惨敗だった。また分裂・消滅したみんなの党、渡辺喜美も落選した。

⑥もう一つ従来の選挙と違うのは、これまで6対4で野党に入れていた無党派層が、今回は6対4で自民党に投票したことが、出口調査で解っている。争点が経済だけであったこと、棄権票が多かったためとみられる。

――以上、自・公与党で325議席と、憲法改正に必要な2/3議席(316議席)を上回ったものの、自民補完勢力の次世代の党が潰滅したため、公明党の態度次第では改憲勢力が2/3に達しないことになった。

ただ棄権票が多く、結局、自公に圧倒的多数を取らせたことなど、日本の民主政治のぜい弱さが出ており、長いものに巻かれろの島国根性が目立つ。ヨーロッパやアメリカの戦い取った民主主義に比べ、まだマッカーサーの“13歳の日本人”にとどまっているようだ。

ただ安倍政権も、沖縄での4敗、原発・円安・石油安の経済不安定など、不確定要素も強く、あと4年間安体かどうかは、まだ解らない。

例会における討議

ついで、さる12月3日(水)、大阪大学東京オフィスで行われた第7回編集委員会における討議が、野村光司(「日本国憲法が求める国の形」起草者)氏から次のように報告された。

第7回編集委員会では第22条(居住・移転及び職業選択の自由、外国移住及び国籍離脱の自由)に関連して北朝鮮より帰国した拉致被害者の扱いが問題にされた。パンフレットにこの問題はこう書かれている。

「国家は外国人の入国を認めるかどうかの自由を有するが、出国したり、国籍を棄てたりする自由は本条の基本的人権として保障される。拉致被害者が日本に一時帰国した後『本人の意思に拘わらず、かの地に赴くことが認められない』のは憲法違反である。また世界人権宣言は『何人も自国に帰る権利を有する』としており、拉致被害者は特殊の境遇にあったことに鑑み、日本と拉致国との間を自由に往来する権利は確保されねばならない。拉致被害者及びかの地に居るその家族が、拉致の事実を申し出れば日本にほぼ強制的に連行されるとなると、拉致を申し出ることが出来なくなることも考慮すべきである。」

この記述に対して、帰国者がすでに日本で落ち着いているのだから、いまさら書く必要はないとの意見が会議では強く、会議終了後の日々にも議論は続けられ、拉致問題では「まず原状回復し、自由な往来はそれ以後の話だ」「両国政府間の約束を破ったのは悪いが、本人たちの真意をいま確認できないので、あえて取り上げなくてもよい」「原発事故による一律の強制避難・移住問題の方が重大で、拉致問題にパンフの紙面を割かなくてよい」などの意見があった。

しかし、拉致問題で小泉首相の引連れた使節団が北政府と約束したことは、5人の拉致被害者を日本に一時的に帰国させる、こちらの家族と話し合いをさせ、北にいる家族と話しして、どちらに住むかを決めるということだった。その約束を日本政府が破った。また憲法22条など知ったことかという安倍官房副長官の意志が働いた。現実の生身の人間の意思はどうでもよい、国家権力が決めたらその通りに動くべきだ、というのだ。憲法・人権・政府間の約束を無視し、圧力と制裁にむかったのが当時の安倍官房副長官で、これによって彼は小泉首相の後継者に引立てられ、その後、日本の政治が急速に右傾化するのだが、この記述の扱いは例会の意見に任せたい。

野村氏のこの報告に対しては、「本人たちがすでに落ち着いているのだから、この記述は必要ない」「国家犯罪だから原状回復が先決だ。今から、わざわざもちだす必要はない」との批判的な意見が出された。

ついで12月14日に投票された総選挙をめぐる論議があり、選挙制度については、パンフレットに第43条(両議院の組織)の関連で次のように書かれている。

小選挙区制も比例代表制も違憲

憲法は政党について規定していない。政党の結成自体は憲法21条(結社の自由)によって自由であるが、政党内部の規定によって憲法の規定なり精神を否定することはできない。本条43条では、国会は『①全国民を代表する、②選挙された議員でこれを組織する』と規定する。

小選挙区制は、全国民を代表する議員を選ぶのではなく、国会議員の殆どすべてを多数党員で占め、少数党を排除するため導入されたものと理解され、違憲と言わざるを得ない。投票者が、全国区千人以上の候補者相互の中から適任者を判定して直接選ぶのが困難であるとすれば、選挙区から数人の議員を直接選ぶ中選挙区制とすべきであろう。

現在の政党名簿にもとづく比例代表制とは、憲法に規定がない政党の選任に対する信任投票であり、憲法の求める『全国民を代表する、(国民に)選挙された議員』とは言い得ないので違憲である。主権者国民が直接指名した候補者のみが国会議員となるべきである。」

この立場からも、戦後最低の投票率であったことからも、選挙結果が批判された。また、「選挙権は公権であるから義務も伴う。これを行使しなかったものに罰則を設けるべきだ」との意見が出された。他方で、選挙制度改革には時間がかかるので、今回「選挙区毎に自民党に対する野党候補の統一を呼びかけた」団体の例が当面の取り組みとして紹介された。また上位2候補の決選投票に持ち込むヨーロッパの2回投票制という合理的な仕組みも披露された。今回の衆議院解散が第69条(衆議院の内閣不信任と解散又は総辞職)違反との指摘も当然出された。

ついで編集委員会が成文化した、パンフレット冒頭につける「ごあいさつ」の文案が配られた。この文案については対象が護憲派になっているが、それで良いのかという意見が出された。

事務局からは、「日本国憲法が求める国の形」(パンフレット第2次案)の扱いについて、統一地方選挙以前に発表できるよう第8回編集委員会で作業をすすめ、パンフレット発表の具体的な段取りを1月の例会で提案したい、とされた。

なお、パンフについては「『QとA』(問答)形式にするのが適切」との意見、「若者には文章が難解だ、対象をどこに置いているのか」との質問もあった。これに対して、事務局からは「パンフ配付の対象はまずマスコミ、政党、学会などに置き、運動のすすむ過程で、中高校生や労働組合あての記述を分かりやすくした版を用意したい」との答弁があった。
パンフの内容を箇条書きにした次の試案も事務局から示された。

違憲国政の例示(案)

(「パンフレット」記載の一部)

2014年12月5日(MN)

第1章 天皇

皇室典範「男系男子」は違憲にして男尊女卑の根本規定(14条)

首相の7条解散権、二重、三重の違憲(4条、41条、65条、69条)

第2章 戦争の放棄

外国に対する武力行使(集団的自衛権論)は明白な違憲(前文1項、9条)

自衛隊は戦力であって違憲(前文2項、9条)

第3章 国民の権利及び義務

国籍によって人権は否定されない(10条、97条)

ヘイトスピーチの放任は違憲(前文2項、14条、98条2項)

庶民にも政治家及び官僚の罷免(弾劾)の権利(15条1項)

すべての行政指導は違憲(15条2項)

宗教団体の権力獲得を目指した政治活動は違憲(20条1項)

首相らの靖国参拝は明白な違憲、首相の伊勢神宮参拝も(前文3項、20条3項)

公務員の身分を隠した政治活動は合憲(21条)

夫婦別姓は認める(24条2項、13条)

教育現場の「君が代」強制は違憲、違法(26条、前文1項)

勤労の権利は労働者とその家族の生活を継続的に維持する権利(25条、27条)

死刑の廃止(36条)

第4章 国会

小選挙区制違憲、比例代表選挙制、ともに違憲(43条)

政党助成金は憲法で認めず、個々の議員に豊かな立法事務費を(49条)

党議拘束は違憲(51条)

第5章 内閣

内閣から法案を提出できない(41条、65条、73条1号)

行政権は合議体、内閣にあり、首相ではない(65条)

自衛官等「武官」は大臣になれない(66条)

第6章 司法

「違憲状態」判決は許されない(76条3項)

最高裁裁判官国民審査で、審査する意志がない者は参加しない(80条)

裁判員は憲法に根拠なく認められない(80条)

「統治行為論」は許されない(81条)

第8章 地方自治

「自治の本旨」で政府の指導、干渉を許さない(92条)

外国人居住者にも地方参政権はある(93条2項、97条)

特定地方に関する法律で住民投票を経ないのは無効(95条)

沖縄自治特別法こそ地方特別法が必要

第9章 改正

国会議員の憲法改正論議を阻止できない(96条)

その他の公務員はすべて現行憲法を尊重し擁護し、改正を論議できない(99条)

第10章 最高法規

領土問題は国際法に従う政治意思を持てばすべて解決できる(98条2項)

               次の例会・勉強会のご案内

日時 1月25日(日) 14:00~16:30

場所   東京・神田  学士会館地下1階  北海道大学連絡室

(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)

報告   政治の現況について   岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)

「日本国憲法が求める国の形(パンフレット)」の発表について

野村光司(「パンフレット」起草者)

会計報告および今後の日程について   事務局

討議  報告および提案への質疑、意見

参加費  無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)

連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 福田玲三

電話03-3772-5095 メール:rohken@netlaputa.ne.jp

なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。

完全護憲の会」入会申込書            No.

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入会年月日 20    年    月    日
e-mail
住所
電話番号
入会金 支払           未払

完全護憲の会ニュース No.12 2014年12月10日

さる11月23日(日)、神保町・学士会館地下1階京都大学連絡室で会合、参加者12名。入会者 計 20名。

まず、岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)氏 から政治の現況について次のような報告があった。

政治現況報告(要旨)

3週間前、11月2日の会議の時には解散・総選挙の話は全くなかった。しかし20日もたたないのに解散、12月2日公示、14日投票で選挙戦に入っている。昔、川島正次郎自民党副総裁が、政界というものは「ピーカン照りと思っていると、一天にわかにかき曇り、ドシャ降りの大雨になる。何があってもおかしくない」と言っていたが、その通りの展開になった。

安倍首相は、北京でのASEAN首脳会議に9日出発したが、その前に自民党幹部と公明党山口委員長に、帰国までに選挙準備を進めるよう、言い残した。夏すぎに行った党の全国調査の結果が、自民党にとって非常に良かったからだ。

即解散の理由は①野党の準備がない今なら、自民が圧勝する②4月の8%消費税の影響が予想より大きく、半年のGDPはマイナスで、放置すればアベノミクスが危機を迎える③小渕、松島と目玉の女性閣僚が選挙違反で辞任、さらに他閣僚にも飛び火して、防戦一方、先細りになる④10%への消費税増税を2017年4月まで延期、これを争点にできる⑤例え、現有議席(自民295、公明31)326議席を30~40議席減でも多数を維持でき、今後4年間政権を担える、来年の総裁選にも勝てる――などだ。

安倍首相は外遊から帰国後、21日に臨時国会の会期を10日も残して予定通り解散、自ら“アベノミクス解散”と称し、争点も「アベノミクス経済政策に国民の信任を得るため」と強論した。経済を争点にすれば勝敗がわかりにくく、株高など環境も悪くない。ただ経済は生きもの、先行きは誰にもわからない。隠れ簑(みの)には、こんな便利なものはない。

ただ国民にとって選挙はこの2年の安倍政治の総括だ。争点は①反平和・反護憲・反自由の逆コース政策、特に集団的自衛権と特定秘密保護法の可否②脱原発、再稼働を認めるか③沖縄選挙と基地問題④中国・韓国との東アジア政策⑤アベノミクスによる格差の拡大――にある。

安倍首相・自民党による党利党略解散への国民の反応は?A紙によると解散理由に納得せずが65%あり、内閣支持率も39%、不支持率40%と互角である。

ただ政党支持率は自民が37%、民主が13%と圧倒的。しかし、選挙では1年生議員の2/3が落選とのジンクスがあり、保革伯仲を望む人が40%もあって、結果はフタを開けてみるまで解らない。それに民主・維新を中心とする野党の選挙協力も進んでいるので、安倍の思惑通りになるか、混迷の時代の方向を決める重大な選挙となりそうだ。

 

パンフレット第2次案の討議経過

 

ついで支持者から会に寄せられたブログ「現時点で衆議院解散は憲法上重大な問題」(郷原信郎弁護士)のコピーが参考資料として配られた後、さる11月12日(水)に行われた第6回編集委員会における討議の模様が事務局から次のように報告された。

1)例会で出された(第1章天皇関係)で、皇族の高円宮典子さんに今回の結婚による皇籍離脱に際して1億675万円が支払われたのは黙視できない特権である、という意見については、天皇関係で出される批判の一つとして、同感を禁じえないが、現憲法全体の擁護によって反動攻勢に対峙するという大きな目的から、適法であるかぎり容認することとした。

2)第20条(信教の自由)関係で、宗教団体による平和擁護その他の政治活動をめぐって出された例会での意見については、パンフ原案に、憲法によって「宗教団体の政治活動一般が否定されているわけではない」と記載しており、ただ「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」という憲法条文は厳格に守られなければならない、とした。

3)第66条(内閣の組織)の第2号「国務大臣は文民でなければならない」関連で、パンフ案の「高級軍人は戦争を好む」という記述をめぐり、現自衛隊幹部の間に憲法擁護の動きがあること、アメリカのパウエル参謀総長がイラク戦争に慎重であったことなどから例会で出された異論については、「傾向にある」と付け加えて表現を和らげることとした。

4)第65条(行政権)の「行政権は、内閣に属する」の関連で、パンフ案の「行政権は合議体である内閣にあり……その内閣の下に首相がある」の記述に対する批判に対しては、「国会は国権の最高機関であり、首相はその指名によって始めてその地位を得る下級の『使用人』である。使用人が主人であり国権の最高機関の全員を、ほしいままに罷免できるなど条理の上からあり得ない」(パンフ<第7条>関係の記述)の立場から、「内閣の下に首相がある」との記述は再確認された。

おおむね以上のような報告の後、野村光司(日本国憲法が求める国の形―「パンフレット第2次案」起草者)氏から国政の現況と憲法のかかわりについて次のような解説があった。

1)女性閣僚の中でも稲田朋美、高市早苗両氏などは夫婦別姓に反対している。これは24条(両性の平等)に反して違憲であり、夫婦別姓についての記述をパンフ原案に加えた。こうしたことでパンフレットの発表が遅れることになるが、違憲の言動が目立っているので遅延もやむをえないと思う。

2)現内閣が提唱している地方創生は、地方独自の政策提案に資金を優先的に配分するという地方陳情を促すものになっており、第8章で定められた「地方自治の本旨」に反している。

3)最近、英国のスコットランド地方やスペインのカタロニア自治州で独立の動きがあった。沖縄でも第95条(特別法の住民投票)に基づき、住民投票によって特別法を制定すべきであろう。

以上の提起をめぐって次のような意見が出された。

「パンフレットは安倍が政権にあるうちに出したい。発表後に必要な追加すればよい」

「パンフ発行後に出される批判については、引き続き例会で討議する必要がある」

「早くまとめ、早く出すのがいい」

「来年の4月の統一地方選挙以前に出すべきだ」

「となると来年1月の例会には原案を例会に提出しなければならない」

「12月3日の編集委員会でパンフ発行の構想を、体裁や頁数、部数を含めて検討すべきだ」

「資料として、現憲法条文を入れるか、旧大日本帝国憲法、五日市憲法、鈴木安蔵氏らによる『憲法草案要綱』などを入れるかどうか」

「パンフ発行に際してのあいさつ文も必要だろう」

以上の討議でパンフレット発行の手順案を12月3日の編集委員会で取りまとめることとされた。

ついでパンフ第2次案の記述に対する意見として

「第10条(国民の要件)で記述されている韓国・朝鮮人の参政権については、93条(地方公共団体における直接選挙)に移すべきではないか」

「第20条(信教の自由)関係で、地方公務員の宗教行事参加を容認しているのには問題がある」

「第22条(職業選択の自由)関連でパンフ原案に『(営業目的で)組合、会社を組織し』とあるのは、労働組合と間違われやすいので、協同組合とせよ」

「第36条(残虐刑の廃止)関連で、パンフ原案は死刑を、残虐な刑であることを理由に、廃止するよう求めているが、死刑の廃止は誤審の虞も大きな理由だ」

「この頃、条約の順守が憲法に勝るとの意見をよく聞かされるが、どうなのか」

「第98条の2号で『条約及び……国際法規は……誠実に順守することを必要とする』とあるものの、憲法が最高法規であることに変わりはない。」

以上のような討議の後、これら発言の趣旨を12月3日(水)の第7回編集委員会で討議し、パンフ原案に生かすことになった。

また来年1月の例会では会計報告が予定されており、そのための会計監査員に宮崎国雄氏が拍手によって承認された。

               次の例会・勉強会のご案内

日時 12月21日(日) 14:00~16:30

場所   東京・神田  学士会館地下1階  北海道大学連絡室

(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)

報告   政治の現況について   岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)

「日本国憲法が求める国の形(パンフレット第2次案)」の討議経過

野村光司(「パンフレット」起草者)

今後の日程   事務局

討議  報告および提案への質疑、意見

次の例会について  その他

参加費  無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)

連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 福田玲三

電話03-3772-5095 メール:rohken@netlaputa.ne.jp

 なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。

完全護憲の会ニュース No.11 2014年11月15日

さる11月2日(日)、神保町・学士会館地下1階京都大学連絡室で会合、参加者12名。入会者 計 20名。

まず、岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)氏 から政治の現況について次のような報告があった。

政治現況報告(要旨)

臨時国会が開かれて、まだ1ヵ月しか経っていないのに、9月2日に改造したばかりの安倍内閣で目玉の閣僚2人が同日辞任した。その1人は小渕優子経済産業相で、自民党が日本のサッチャーとして、初の女性総理を期待していたホープだった。小渕はまず第1に毛並みがいい。元総理の娘で、若いし、美人で清潔感がある。それは自民党長老たちの暗黙の了解で、優遇していた。まだ40歳になったばかりで、二度目の入閣。しかも経産相という重要ポストで、それが後援会の観劇会で説明できない収支。公選法違反を視野に検察が地元後援会や事務局を家宅捜索した。

小渕の選挙区は群馬5区で山間の過疎地、中之条。中曽根、福田、の大物2人に挟まれて、親父の小渕自身、いつも最下位スレスレ当選だった。

その中之条町長が昔からの選挙参謀で、小渕も金庫番を含めて、全て任せていたのが、仇となった。後援会の観劇会も会費12,000円といっても、参加費は2000円。あとはバス代、おみやげ代まで、全て事務所の負担だ。自民党の後援会は、みな大なり小なり、このような形で地元と結びついている。捜査の進展では辞任もありうる。

もう一人の松島みどり法相の方は全くとばっちりでの辞任だった。夏祭に似顔絵入りのうちわを配り、そこに堂々と松島法相と書いたのが命取りになった。菅官房長官に呼ばれ同時辞任を説得されても、最後まで抵抗したようだ。

しかし安倍は第一次内閣の時の5人辞任のドミノを警戒、同時を強要したようだ。決め手は法相という法律の番人であることだった。引き続き、宮沢経産相(後任)、江渡防衛相、西川農相、有村女性相にも疑惑があり、野党はなお追及の手をゆるめていない。その影響で会期は20日残る程度なのに法案は何も成立していない。年内に決めるべき来年10月での消費税10%の最重要課題もそのあおりで決定延期やむなしとの見方も強まっている。

このように国会は何も動かなかったが、10月14日に特定秘密保護法の12月10日施行を閣議決定、外交・防衛・スパイ・テロを秘密扱いとすることになった。さらに10月9日には米国と日米防衛指針(ガイドライン)改訂の中間報告を採用。これまで極東・東アジアを中心とした専主防衛という地域を全世界に拡大、世界のどこでも米軍と共同歩調を取れる体制を固めた。先に閣議決定した集団的自衛権発動の下準備とも言える。

パンフレット第2次案の討議

ついで野村光司(日本国憲法が求める国の形―「パンフレット第2次案」起草者)氏から国政の現況と憲法のかかわりについて次のような報告があった。

1.政権は「集団的自衛権」の閣議決定を行い、その立法化をめざしている。だが国外

にある日本人の救援など外国での紛争に対する自衛隊戦力の行使や、それによる威嚇は、憲法第9条第1項で永久に禁止されており、また第2項第2文の「国の交戦権は認めない」とする以上、自衛隊の行動は違憲、無効のものであり、その交戦費用は責任者自らが負担しなければならず、敵を殺傷した場合は刑法の殺人、傷害の罪を負わねばならず、これで戦死することがあっても何らの栄誉も与えられず、その補償も違憲・違法の行為を命じた者で負担しなければならない。

2.首相は「女性の輝く社会づくり」を提案しているが、日本における女性の社会的位

置は142ヵ国中104位と世界的に見て最下位に属している。この歪みの是正はアファマーテイブ アクション(差別修正措置)によるよりも、現実に起きている性差別の根源を追及し、責任者を厳しく罰することで両性の平等を実現するのが、第24条(両性の平等)の趣旨である。

皇位の継承を男系の男子に限っている現皇室典範は違憲である。現女性閣僚に夫婦別姓に反対の論者がいるが、問題だ。従軍慰安婦として女性を軍需品扱いにしたことについては、その反省を世界に示さなければならない。

3)地方自治(第8章)の本旨に基づき、地方公共団体の機能に国は介入してはならないし、地理的に離れ、特別な歴史・経済・文化を持つ沖縄には、大幅な自治を認めた特別法を考えるべきだ。

大略以上のよう報告の後、要旨、以下のような討議がおこなわれた。

「憲法9条の前を違憲の自衛隊が闊歩しているのは見ていられない。憲法を現実に活かすべきだ。わが国は大統領制なのか君主制なのか、1項目を入れて明らかにしたらどうか」

「そのことについては、憲法前文で『主権が国民にあることを宣言』すると、明確に規定されている」

「第20条(信教の自由)の関連で、宗教団体を含めた様々な意向が政治に反映される必要がある。ガンジーはヒンドゥー教徒としてインド独立のために闘った。宗教団体の政治活動を否定すべきではない」

「この第20条によって『宗教団体の政治活動一般が否定されているわけではない』ことはパンフ原案でも認めている。ただ、宗教が政治と一体化することの弊害と危険性は日本歴史の教訓として受け止めなければならない」

「たとえば仏教団体が過去の反省に立って平和活動をしているのは当然と思う。政治活動とは何を指すのか」

「人事院規則に政治的行為についてくわしい定義があり、これにより公務員の政治活動は厳しく制約されている。もっとも現行の人事院規則は、憲法と法律の定めを著しく超えて公務員の政治活動を禁止する不当なものであり、違憲と言わざるを得ない」

「公明党の活動は何度も議論されており、そのうえですでに公認されている」

「だが自民党はときどき創価学会池田会長の国会喚問をちらつかせて公明党を脅しているのは、公明党が創価学会とつながっていると踏んでいるからではないか」

「宗教団体が人心を和ましているのは認める。ただ、それが国政にかかわる場合には慎重さが求められる。欧米諸国の憲法で宗教団体の政治活動については日本の憲法のように詳しく取り上げられてはいない。日本の場合、戦前の国家神道の弊害が身に染みているからだ」

「第5章(内閣)の第66条『国務大臣は文民でなければならない』の関連で、パンフ案文に『高級軍人は戦争を好む』とあるが、現自衛隊幹部は田母神元航空幕僚長など一部を除き護憲の傾向にあるといわれており、表現を和らげるか、説明を加える必要があろう」

「ご指摘にしたがい表現を和らげよう」

「同じ章の第65条『行政権は、内閣に属する』の関連で、パンフには『行政権は合議体である内閣にあり……その内閣の下に首相がある』とあるが、『内閣の下に』は言い過ぎではないか」

「憲法は首相に大臣の任免権を認めているが、組閣後は合議体である閣議の決定に首相も従わねばならない。『私が国政の最高責任者』のような現首相の発言はもっての外の越権である」

「学校では立法、司法、行政の3権分立と教わっている。3権は平等ではないのか」

「日本国憲法は第4章(国会)で『国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である』と定めている。国権の中で最上位にあるのは立法機関である国会であり、行政機関である内閣、司法機関である裁判所はその下位にある」

「大日本帝国憲法では第38条で『両議院は政府の提出する法律案を議決し及各々法律案を提出することを得』とあり、法案提出の主体を政府に置いているが、現憲法では、条約の締結について国会の承認を経ること、および予算案を国会に提出することのみが、内閣の議案提出職務として記載されているに過ぎず、内閣に立法権限はない」

以上のような討議の後、これら発言の趣旨を11月12日(水)の第6回編集委員会でパンフレット案文に取り入れることとされた。

次の例会・勉強会のご案内

日時 11月23日(日) 14:00~16:30

場所 東京・神田 学士会館地下1階 京都大学連絡室

(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)

報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)

「日本国憲法が求める国の形(パンフレット第3次案)」の討議経過

野村光司(「パンフレット」起草者)

今後の日程 事務局

討議 報告および提案への質疑、意見

次の例会について その他

参加費 無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)

連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 福田玲三

電話03-3772-5095 メール:rohken@netlaputa.ne.jp
なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。

完全護憲の会ニュース No.10 2014年10月15日

さる9月28日(日)、神保町・学士会館地下1階京都大学連絡室で会合、参加者13名。入会者 計 19名。

まず、岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)氏から政治の現況について次のような報告があった。

政治現況報告(要旨)

安倍内閣は9月3日(水)内閣発足後、1年10ヵ月で初の内閣改造を行った。通常は1年で改造だが、民主党から政権を奪取したあと、外交問題や消費税8%増税などで経済も落ち着かず、一次内閣で2年近く過ごしてしまった。この改造は、地方創生と女性活用を目玉ということで、地方創生担当相には石破幹事長、女性大臣には小泉第一次内閣と同じ最多の五人を登用した。しかし真の狙いは来年4月の統一地方選に勝ち、来年9月の自民党総裁選で安倍再選を果たすことにある。

そのため最大のライバルとなるとみられる石破氏を閣内に取り込み、集団的自衛権法制の担当大臣にしようと画策したが、石破氏が安保への姿勢が異なるとして、断られたため、急拠、地方担当相を提示、石破氏も一年間無職では、党内の求心力がなくなるのを恐れ、入閣を最終的に了承した。また同じように、ハト派代表として、総裁選に出る可能性のある谷垣法務大臣も、党幹事長に就任を要請し、内閣・党の共同責任体制の形で取り込んだ。

しかし、内閣の中核、麻生財務、岸田外務、下村文部、菅官房、甘利経済、公明の太田国交の主要閣僚はそのまま留任させたので、基本姿勢は変わらない。

一方、女性は党総務会長の高市早苗を総務相、松島みどりを法務、山谷えり子を国家公安、有村治子を女性活躍相と、いずれも党内の右派“タカ女”を登用した。また党側でも行政改革相だった稲田朋美を政調会長に起用した。秘密保護法案、集団的自衛権関連法案など、安倍の戦前復活路線の先頭に立つことになる。そのほか二度目入閣の小淵優子は経済産業相で、原子力発電の再稼働を担当する。

ただ表面は9月29日召集した臨時国会を、地方創生と女性登用の二つにしぼって対応、そのまま地方選になだれ込むという作戦だ。従って本来の目標である秘密保護法や集団的自衛権の法案審議は地方選後の来年の通常国会後半に持ち越すハラだ。その他、年内の最大の焦点である消費税10%の再値上げでは、慎重に判断するとしており、現在のような円安や停滞が続けば、これは先へ延期する可能性が強い。

また福島や沖縄知事選、中国、韓国、北朝鮮など東アジアの外交も年内一つのヤマ場を迎える。とりあえずは11月北京でのAPEC会議で、日中、日韓首脳会議が行われるか注目される。

国内的には来春の地方選まで、野党も含め大きな動きはないとみられる。

9月28日例会の討議

本例会には野村光司(日本国憲法が求める国の形―「パンフレット案」起草者)が会議が重なって欠席したため、「パンフレット案」の条項に代案を提出した草野、加藤両氏から、さる9月3日、虎の門・阪大東京オフィス会議室で行われた第4回編集委員会の報告が、それぞれ関係条項について行われた。

草野氏は別途配付済みの「8・6編集会議時間不足で討議できなかった条項についての疑問・意見」(2014/8/9/)について、加藤氏は「第25条関係 生活環境の改善」(2014/9/3)について、編集委員会での討議の模様を説明し、報告した。

これらの各条項は討議の結果、いずれの代案も大筋で取り入れられることになり、その成果は、「パンフレット案」に収められることになった。

この報告の後、要旨、以下のような討議がおこなわれた。

「第1章天皇の第1条から8条までは不用だ。天皇は伊勢神宮の神主にでもなればよい」「現憲法そのものが保守の側から改廃されようとしている。この貴重な条項に満ちている民主憲法全体を維持するためには、実害のない天皇条項は容認してもよいのではないか。『この地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく』と、現憲法を擁護しながら、本条項を廃止する道も開かれている」「今の天皇は人気がある。天皇も皇后も平和主義者のようだ」

「ヒトラーも選挙で選ばれながら独裁者になった。今の日本も独裁に向うのではないか」

「戦後の民主教育がある程度普及しており、選挙のルールもまだ残っている。これが最後の保障になろう」「憲法前文の理想は現実に追い抜かれたと言う人もいるが、憲法は現実に追随するだけでなく、崇高な理想を掲げてよいと思う」

「内需は国民総生産の80%を占めている。円安による輸出の一方的な重視は誤りだ。消費税値上げによる5兆円の増収分のうち社会保障に回されているのは1割だけで、あとは企業向けだ。円安と消費税による物価の値上げには買い控えで対抗したい」「私たち中小企業は買い控えされ売れ行きが落ちると首を締められる。労働法制改悪による非正規労働や低賃金労働者の拡大こそ問題だ」

「私は公務員として仕事に追われ憲法について考えないで過ごして来た。今後、人権について幸福について考えてみたい」

「完全護憲の会という名称は戦略的に入口で排除している感じがある。『護憲の会』だけでよいのではないか。マルクス主義の現状は何ともだらしない。動態経済を追及すべきだろう」

7月例会の際に配付された「日本国憲法が求める国の形―パンフレット案」とその後提起された代案については特に疑問、意見はなく、7月以降の討議を織り込んだ「パンフレット第2次案」を次の例会までに配付し、さらに検討してもらうことになった。

第5回 編集委員会の論議

第5回編集委員会が10月8日、虎の門・阪大東京オフィスの会議室で、午後2時30分から6時30分まで行われた。出席者は野村、草野、大西、加藤、福田。

討議は「日本国憲法が求める国の形(パンフレット案)」7月27日付とその後提起された代案を巡って行われ、まず第9条(戦争の放棄、軍備及び交戦権の否認)については、代案のなかで在日米軍が「明白な違憲ではない」根拠に最高裁判決(昭34.12.16)が挙げられているが、この砂川判決については最高裁田中耕太郎長官が裁判情報を事前に米側に伝えていたことが判明している以上、この疑義のある判決に依拠できないとして、関係する3段落の削除を決めた。

ついで第24条(家庭生活における個人の尊厳と両性の合意)関係では、話題の「夫婦別姓を認める」を挿入することとした。

第25条(生存権、国の社会的使命)関係では、地震や噴火などの自然災害や自動車や放射能などの人為災害の脅威を科学的に計量し、被害量の大きいものから順次、制御、廃棄に努めるべきであろうとの意見などがだされた後、「文化的な最低限度の生活」への草野代案の併記と「生活環境の改善」につての加藤代案の追加が行われた。

第96条(改正の手続、その公布)関連では、「国民投票法」における公務員や最低投票率の扱いをめぐって、安倍首相の「河野談話」継承の言明に見られるように、現政権の超反動政策は国際世論の前にじょじょに後退しており、憲法改正まで進むことは不可能と思われるので、この項目で論議を深める必要はないとする意見と、迫りくる憲法改正の危険を直視する必要があるとの意見の間で論議が交わされ、意見は一致しなかったが、とりあえず「国民投票法」をめぐる草野代案は取り下げることとした。

主として以上のような論議をへて、「パンフレット第2次案」を決定し、ニュース10号とともに、これを読者に配信、配送し、会員、読者からの意見を求めることとなった。

次の例会・勉強会のご案内

日時 11月 2日(日) 14:00~16:30

場所 東京・神田 学士会館地下1階 京都大学連絡室

(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)

報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)

「日本国憲法が求める国の形(パンフレット第2次案)」の討議経過

野村光司(「パンフレット」起草者)

今後の日程 事務局

討議 報告および提案への質疑、意見

次の例会について その他

参加費 無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)

連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 福田玲三

電話03-3772-5095 メール:rohken@netlaputa.ne.jp

なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。

本ニュースには「日本国憲法が求める国の形―パンフレット第2次案」を添付します。同案に対する意見を次の例会、その他でお聞かせ下さい。

2014年10月10日

完全護憲の会ニュース No.9 2014年09月10日

さる8月20日(日)、虎の門・大阪大学東京オフィス会議室で会合、参加者13名。入会者 計 19名。

まず、岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)氏から政治の現況について次のような報告があった。

政治現況報告(要旨)

防衛庁幹部が安倍首相の解釈改憲による集団的自衛権よりも、国連平和維持軍への参加を重視しているという背景について説明する。

現実の国連平和維持軍というのは、イラク戦争の折のように、国連における米国の要請に対して、各国が個別に参加し、多国籍軍を形成するということだった。日本もブッシュ大統領の小泉首相への要請、またアーミテージ国務次官補の「旗を立てろ」「戦地に靴で立て」などのアジに外務省が参加を強く希望、最終的に小泉首相が決断して、自衛隊のイラク派兵が決りまった。その第一の理由は米国の「イラクは核をもっている」という挑発によるものだったが、後にこれが虚偽の情報とわかり、英国でも大問題となって、今でも真相究明が行われている。日本は小泉の責任は一切追及されていない。

防衛庁は、基本的に自衛隊の多国籍軍参加に消極的だったが、小泉の要請に最大限の安全策をとった。専主防衛を基本とし、外国へ自衛隊が出ることに戦後教育を受けた幹部が慎重だったからだ。

そこで①自衛隊は後方支援とし、一切戦闘地域に出ない②役割はイラクの民生支援、現地の土木建設に限る。重火器は持たず、最小限の自衛、大規模攻撃には外国軍の援助を求める③多国籍軍の仕事は連合軍の輸送、空・陸・海の補給活動のみとする――などとし、交戦は禁ずるとした。全く苦しい妥協の産物で、陣地の回りに塹壕を掘り、鉄条網を張って、穴熊・もぐら戦術をとった。自衛隊が外国で戦うことには反対が強く、その結果、隊員に一人の戦死者も出さなかった。

戦後の民主(平和)教育を受けた幹部には、専主防衛は絶対的なものであり、安倍の今回の内閣による解釈改憲、集団的自衛権の行使には、小手先の手段、ドサクサまぎれの卑怯な手法との批判が強い。これでは、いつまでたっても自衛隊は表に出られぬ、影の軍隊に留まってしまう。自衛隊はあくまで正面・表玄関から日本の防衛を考えるべきだとし、国会および国民の支持を得て、安全保障基本法、日本防衛基本法を策定し、法に基づく自衛隊にする。これは防衛庁長官を歴任した石波自民党幹事長の考えでもある。安倍首相は来秋の総裁選のライバルとなる石波氏を内閣改造で、新設の集団的自衛権担当大臣に取り込もうとしたが、石波氏は集団的自衛権での安倍首相との考え方がちがうと正式に要請を断った。この問題は来年の通常国会で本格的な論戦が始まる。

8月20日例会の討議

「完全護憲の会」設立趣意書を決定

ついで「完全護憲の会」設立趣意書(別紙添付)について野村光司氏(起草者)から、ながらく案のままに止まっていた同案を決定したいと提案され、討議に移り、「完全護憲」の名称について、最初から間口を狭くしている感じがするので「護憲の会」でよいのではないか、との意見があり、これに対して後発のわれわれの会の特色を出すためには「完全」をつける必要がある、また規約案には略称「護憲の会」とあるので、「完全」で差し障りのある場合は略称を使うことができるなどの意見があり、とりあえず試行ということで原案どうり採択された。

「第2章 戦争の放棄」――自衛隊の転換で論議

そのあと第3回編集委員会(8月6日)で行われた27条(勤労の権利その他)と96条(憲法改正の手続き、その他)をめぐる――草野編集委員が提言していた(ニュース8号に添付)――討議と、逐条審議の模様が野村氏から報告された。

逐条審議では9条(戦争の放棄、その他)まで進み、その2項(戦力)に関連して現自衛隊の違憲を編集委員会の全員で確認、その転換の具体策の討議が行われた。

例会ではその報告を受けて、引き続き9条2項をめぐる論議が行われ――

「憲法は守りたい、しかし自衛隊は残したいというのが今の一般的な世論だ。将来自衛隊を廃止するとしても、当面は自衛隊による国内外の貢献を維持しながら、次第に縮小すべきだ。そうでなければ護憲運動はつぶれる」「戦争放棄の憲法と自衛隊の存在には矛盾を感じるが、自衛隊の災害救助活動は感謝されており、雇用面でも逐次、国家警察に含めて行くべきではないか」「自衛隊員自身が平和部隊としての役割を希望している。災害救助に次第にシフト行くなど、自衛隊の転換に夢を描くことが必要だ」などの意見が出され、討議はさらに編集委員会で煮詰めることとされた。

なお岡部氏から、参加者の質問に答え、自衛隊の一部幹部に、国連軍を創設して日本の防衛を任せ、これに自衛隊は参加できないが、自衛隊員の自発的な参加を認めるという構想がある、との説明があった。

この討議に関係する資料として、「パンフレット案(9条関係)」「9条2項関係」(いずれも別紙添付)が席上配付された。

第4回 編集委員会の論議

第4回編集委員会が9月3日、虎の門・阪大東京オフィスの会議室で、編集委員の全員が出席し、午後2時から7時まで開かれた。

討議は「日本国憲法が求める国の形(パンフレット案)」7月27日付――原案は「日本国憲法が求める政治(全)」4月10日発信および「日本国憲法が求める国政(中間案・追加案)」5月19日発信―― に基づいて要旨、次のように行われた。

(第20条関係)

宗教団体の政治活動、選挙活動についての草野提言(「未討議部分の疑問・意見(草野)」別紙添付)をめぐって論議し、宗教団体の政治活動をめぐる違憲と合憲をどこで線引きするかを明確にして「パンフレット案」に記述する。

(第21条関係)

特定秘密保護法は憲法違反と明記する。

勤務時間外に自己の信念によって行う政治活動などには大幅な自由が与えられねばならず、現人事院規則は憲法の定めを著しく超えて公務員の政治的行為を禁止するもので違憲と明記する。

(25条関係)

地球環境、生活困窮者問題などの具体的な事例を指摘する。

大飯原発運転差し止めを命じた福井地裁判決の論理をパンフレット案に展開する。

福島第一原発の巨大事故後における国の対応は怠慢の域をはるかに越えた25条違反を指摘する。(別紙添付参照)

(26条関係)

教育環境に対する国の支配・介入の現実を指摘する。

(第30条関係)

納税者の訴訟が当事者適格に欠けるとして却下されているのは第81条最高裁の法令審査権放棄として違憲を強調する。

(43条関係)

「パンフレット案」の記述は小選挙区制の批判にとどめる。

(92条関係)

「パンフレット案」の記述は地方自治の本旨を明確にするにとどめる。(以上)

9月の例会・勉強会のご案内

日時 9月 28日(日) 14:00~16:30

場所 東京・神田 学士会館地下1階 京都大学連絡用室

(地下鉄・神田神保町駅 A9 出口から徒歩1分)

報告 政治の現況について 岡部太郎(元『東京新聞』政治部長)

「日本国憲法が求める国の形(パンフレット案)」の討議経過 編集委員会

経過報告と今後の日程 事務局

討議 報告および提案への質疑、意見

10月例会について その他

参加費 無料(できれば、ご参加の予定をメール、葉書あるいは電話などで予めお知らせください。)

連絡先 〒140-0015 東京都品川区西大井4-21-10-312 福田玲三

電話03-3772-5095 メール:rohken@netlaputa.ne.jp

なお本配信ご不用の方は恐れ入りますが、その旨ご返信ください。

本ニュースには次の資料5点を添付します。① 「完全護憲の会」設立趣意書(決定)

② 野村(パンフレット案―9条関係)③草野(9条2項と完全護憲)④草野 未討議条項についての疑問・意見 ⑤加藤(第25条関係)生活環境の改善

「日本国憲法が求める政治(全)」を中心に既発表文書に対する意見をお聞かせ下さい。

2014年9月10日