小沢さんが提唱するオリーブの木構想

政権交代こそ野党連携の最大の目的(談話)

平成27年10月2日
代表 小沢一郎

違憲立法を許すならば戦前の昭和史を繰り返すことになる

第189回国会は9月27日に閉会しました。安倍政権は、戦後最長
の会期延長を行い、安保関連法を数の力で強引に成立させました。
今後、日本は時の政府の判断で憲法の前文や第9条にある平和主
義、国際協調という基本理念を全く無視して、海外のどのような
紛争にも無原則に自衛隊を派遣できるようになります。

為政者が国民を蔑ろにして勝手にことを起こそうとする時は、
常に似たような言葉を使って国民をごまかそうとします。安倍首
相は「外国にいる邦人を救出する」、「ホルムズ海峡に機雷が撒
かれて海峡が封鎖されると日本は存立危機事態に陥る」等と説明
しました。
これは戦前の大本営発表で使われた言葉と全く同じです。「邦
人の生命を守る」「満蒙は大日本帝国の生命線だ」・・・。そし
て日本は戦争に突入していったわけですが、安倍内閣は正にそれ
と同じような言葉を使って国民を欺いています。このような考え
方に基づく、今回の違憲立法がまかり通れば、また戦前の昭和史
と同じことを繰り返しかねません。

日本だけでなく古今東西の歴史が示す通り、一強支配体制は政
治から健全な競争をなくし、国民不在の政治をもたらし、その結
果として国民を不幸に陥れてきました。安倍政権は、今またその
道へと突き進み、国民の命と生活を脅かしています。

国民の多くは自公に代わる政権の受け皿を求めている

こうした事態を避けるためのシステムが民主主義です。本来の
議会制民主主義では、与党が国民と約束したことと全く違う政治
を行えば、いつでも政権が交代するという緊張感こそが良い政治
をもたらします。それが小選挙区制の利点であり、民主主義を機
能させる方法です。ところが現在自公に代る政権の受け皿があり
ません。政権交代を現実のものとするためには、何としても野党
が連携していくことが不可欠です。

2014年総選挙で自民党が勝ったとはいえ、得票数が増えたわけ
ではありません。また、投票率をみると、戦後最低だった2012年
の総選挙をさらに7ポイントほど下回り戦後最低を更新しました。
これは国民の皆さんが自公政権にさまざまな面で不満はあるも
のの、それに変わる投票先がないという忸怩たる思いの表れだと
思います。
つまり、多くの国民の皆さんは依然として、もう一度、日本を
立て直すことをきちんとやれる政権の誕生を望んでいます。そし
て、野党各党も政権獲得のために連携していかなければならない
という認識を強くしているように思います。政権交代が実現する
かどうかは、野党の協力次第だと思います。

政権交代を目指さない野党連携は単なる子どもの遊び

野党再編の最大の目的は次の総選挙で政権を取ることにありま
す。国民との約束を果たすには、政権を担わなければ実現できな
いからです。この前提を抜きにして、何を言っても始まりません。
政権獲得を目指さない政党の離合集散は、単なる子どもの遊びに
なってしまいます。
しかし、野党が政権を取るためには、各党がそれぞれ独自の候
補者を立てて選挙を戦ったのでは、小選挙区制の下では自民党に
勝ちようがありません。最近の国政選挙の結果を見れば明らかで
す。来たる参議院選挙、衆議院総選挙では、各選挙区で野党が候
補者調整を行って統一候補を出し、自公と対決する形に持ってい
く必要があります。

その意味で、日本共産党が戦後一貫した選挙方針を大転換し、
「戦争法(安保法制)廃止の国民連合政府」で一致する野党との
選挙協力を提案したことは、野党共闘に向けた大きな弾みとなり、
この決断を私たちは高く評価しています。
それでは野党連携のための最善の策は何か。各党が解党して一
つの党をつくることだと思います。しかし現実的になかなかそこ
までいかない部分もあります。では次善の策をどうするか。それ
が今日の我々の最大の課題です。

政権交代の鍵は「オリーブの木構想」

私は、野党は次の参院選を統一名簿による選挙、つまり「オリ
ーブの木構想」で戦うべきだと思います。これは単なる選挙協力
や選挙区調整と考え方が根本的に違います。「オリーブの木構想」
は、選挙時の届け出政党を既存の政党とは別に一つつくり、そこ
に各党の候補者が個人として参加するというものです。
その際、候補者は所属政党を離党することも既存の政党を解党
する必要もありません。選挙区調整では自党の候補者が選挙区か
ら出ていないと、どうしても自党の比例区の応援に力が入ってし
まい本当の野党結集にはなりません。しかし「オリーブの木構想」
なら選挙区も比例区も一緒に戦うわけですから、本当の力の結集
になります。

野党連携の政治的な旗印は、「非自公」「反安保法」など主要
政策の一致で良いと思います。政策論議で細かいところまで詰め
て一致させる必要はありません。国会の場でも、党議拘束を外せ
ば同じ政党内でも各議員の考えで賛否の意思表示をすることがで
きます。同じように、野党連携も国民にとって重要ないくつかの
問題を共有できればそれで十分です。

野党の本気度が伝われば国民は必ず応えてくれる

来年の参院選をこの方法で戦えば1人区はほぼすべて勝利し、
比例区と合わせてかなりの議席を取ることができるはずです。そ
うなれば、自民党も先の国会のような乱暴なことができなくなり
ます。
その野党連携実現で肝になるのが、各議員の「自分を捨てる」、
「自分を殺す」という利他の精神です。そういう中で連携の輪が
広がり、大事ができるようになります。「オレがオレが」と主張
していては大事を成就できません。

大事とは何か。それは「国民のためにより良い政治を我々が行
わなければならない」という使命と責任感。このことを常に肝に
銘じて個人的な感情を捨て大義につく。極めて常識的なことです
がこうした認識を共有できれば、野党連携は必ず実現できます。
野党はそのくらいの気概をもって参院選に臨み、次の総選挙で
政権を取る道筋を国民に示すべきです。次の総選挙で、きちんと
野党が連携できれば政権交代はすぐにでも実現可能だと思います。
野党が本気でやる心意気と勇気をもって政権交代に立ち向かう
姿勢を示せば、必ず国民の信頼を得ることができ、道は拓かれて
いくと確信しています。

安保法制違憲訴訟準備中の長坂さんが紹介されました

9月30日の東京新聞です。先月の例会で違憲訴訟の準備をされていると話されていた長坂さんが紹介されていました。
安保法制については、少なくとも全国で4人が違憲だと提訴しているようですが、日本は具体的な被害が生じている訴えを裁判する制度なので、いずれも門前払いされています。
20151002

2015年10月2日 | カテゴリー : ①憲法 | 投稿者 : 管理人