完全護憲の会ニュースNo.40 2017年4月10日

               <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>
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    目次  第39回例会・勉強会の報告           P1
        第36回編集・運営委員会の報告(略)
        別紙1 政治現況報告             P2            
        別紙2 事務局報告              P3
        別紙3 「平和への権利宣言」国連総会採択について P6

    第39回 例会・勉強会の報告

 3月26日(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で開催、参加者12名、会員57名。
 司会を草野が担当し、まず政治現況報告(別紙1)が代読され、ついで事務局報告(別紙2)を福田が行った。
 質疑・意見に入り、「岡部さんの『政治現況報告』にあるように、安倍首相が『わたしも妻も関係したということになれば総理大臣も国会議員もやめる』と断言した以上、内閣総辞職の可能性がある。この件を第一義的に追及すべきではないか」「与党が多数で、総辞職は無理だろ」「籠池問題は、教育勅語賛成という思想的に近い人々の間で起きている。2006年に教育基本法が改訂されて、2018年度に小学校で道徳が教科化されることになった。こうした思想の危険を指摘したい」「マスコミは籠池問題を派手に扱っているが政権交代まで行くかどうか。共謀罪を通すための策謀との見方もある。
 「南スーダンからのPKO撤収を政府は決めたが、薄氷を踏む思いの派遣だったのではないか」「駆けつけ警護の実績を作りたかったのだろうが、死者が出ると大変だ」「自衛隊の死者を靖国にまつる先例にしたい思惑を指摘する人もいる」「死者を無駄にするのかと戦意を煽るのが過去の例だ。撤収は秘密裏に行うのが普通。公表は危険を招く愚行だ」「18歳まで選挙権が与えられたが、彼らはほとんど自民党に投票したという。憲法の改正を彼らは当然と予想している。『地獄の話』に衝撃を受けた。この詩を若者たちに読んでもらいたい」などの発言があった。なお冊子の「まえがき案」は了承された。
ついで15:00~16:00、「『平和への権利宣言』国連総会採択について」飯島滋明氏より報告(別紙3参照)があり、その後、この宣言の意義について意見を交換した。この報告は飯島氏の了解で録音し、その成文化を検討中。

<別紙1>
         政治現況報告

                岡部太郎(共同代表) 2017年3月26日
                     
 3月は内外共に大きなニュースがテレビや新聞に踊った。国際では、お隣の韓国で、朴槿恵(パククネ)大統領が、国会の弾劾訴追を審理していた憲法裁判所によって10日、8人の裁判官の全員一致で罷免された。大統領の罷免は初めてで、朴氏は同日失職。2日後には青瓦台の官邸を出て、私邸に帰った。朴氏は長年の友人の崔順実(チエスンシル)被告による国政介入事件をめぐる職権乱用と、サムスン・グループによる贈賄罪の収賄共犯など、13の憲法違反で訴追されていた。
 朴氏は21日に検察で2日にまたがる事情聴取を受けたが、起訴は確実。韓国では5月8日に次期大統領選がおこなわれるが、野党の文在寅(ムンジェイン)候補が圧倒的に有利。北朝鮮がミサイルを連発し、東アジア情勢が緊迫するなか、日本外交にとっても、北朝鮮との融和に向く韓国野党の新大統領と、どう向き合うかは難しい問題だ。
 「政界とは一天にわかにかき曇り、何がおこるか解らない所」と云ったのは、故川島正次郎自民党副総裁だが、まさに台風の目となったのが、大阪・森友学園の安倍首相夫妻や稲田防衛大臣を巻き込んだ豊中での小学校設立をめぐる籠池騒動だ。園長の籠池泰典氏の望む国有地取得のための国との折衝が、親交のあった安倍首相夫人昭恵さんとの関係により、例外的に安く、しかも異例の特典を与えて払い下げられたと云う疑惑だ。それはついには23日の籠池氏の国会証言にまで発展したが、その中で昭恵さんが「安倍からです」と100万円の束を学園側に渡した、との爆弾発言があり、さらに混迷が深まった。
 塚本幼稚園は、教育勅語を児童に毎朝朗唱させたり、運動会で「安倍首相頑張れ」「安保法案成立よかった」「中国や北朝鮮は心を入れ換えよ」などと声をそろえさせるなど、時代錯誤の右寄り教育で有名な籠池園長や、安倍首相、稲田防衛大臣は、いずれも右派団体「日本会議」の同人で、そのため4月から開校予定の小学校には「安倍晋三小学校」とネーミングすることを打診していた。そして昭恵夫人は新小学校の名誉校長に就任していた。
 そんなことから安倍首相は当初、籠池氏のことを「明確な主張をもった有為な人物で、妻(昭恵さん)もその教育理念に心酔している」と持ち上げていたが、事件が表面化してくると「強引でしっこい人。時代錯誤である」と一転。森友土地取得問題にも「私も妻も土地取得には一切かかわっていない。もし関係があるなら、首相も国会議員もやめる」と大見得まで切った。
 それだけに証言で籠池爆弾が破裂すると、内閣・自民党あげて献金問題など、全ての否定に大わらわ。昭恵夫人は三回も幼稚園に講演にいっているが「謝礼は一切もらっていない」とブログで否定。(籠池氏は「100万円受け取った時、菓子折と共に10万円謝礼した」と証言)両者の主張は全て真っ向から対立。真相を知るには昭恵夫人からの証言が不可欠だ。
 首相が国会の場で「一切関係がない」と云い切っているだけに、対応を誤れば内閣総辞職もありうるので、政府・自民党も必死だろう。
 一方、稲田防衛相は南スーダンの現地情勢で数々の失言や、あとから取り消す失態を演じていたが、森友問題でも虚言癖が出た。議員になる前、弁護士として森友幼稚園と拘わりがあったのに、「一切関係がない」、籠池氏とも「10年以上も前に会っただけ」と断言。これも2年前に会ったことが分かり、「記憶に自信を持って」いたが、「どうやら間違っていたようだ」と全面的に訂正、国会で謝った。
 稲田大臣は、昨年PKOで南スーダンに派遣されている自衛隊が、隣接地で戦闘が起こり、危険が迫っているにも拘わらず、昨年末には、「PKOの日報は廃棄された」と報告せず、その後見つかったのに、防衛省が稲田氏に報告したのは1カ月後の?27日だった。完全な隠蔽で、稲田氏はバカにされたわけで、シビリアン・コントロールにも反する。何度も国会で訂正したり、謝ったりの上、〝戦闘″を〝武力衝突″と云い替えたり、何度も野党から辞任を突きつけられた。そして政府は11日に、陸上PKO部隊の5月末撤収を発表した。
 ほかに都議会の百条委の石原喚問や、テロ共謀罪の閣議決定もあったが、途中経過なので4月に回す。

<別紙2>
        事務局報告

                 福田玲三(事務局) 2017.3.26

1)集会の報告
● 重慶大爆撃裁判
 さる3月17日午後2時から、東京高裁101号室で重慶大爆撃裁判の控訴審・第2回口頭弁論が開催された。中国から来日した控訴人や学者のほか、定席80余名を埋め尽くした傍聴者の前で弁護団は10人の専門家証人(医師、歴史学者、法学者)の人証調べの必要なことを力説したが、永野厚郎裁判長は審理の打ち切りを告げ、抗議の声の中を退席した。
そのあと、傍聴者は参議院議員会館101会議室に移り、今後の活動の展望を語り、また鑑定意見書を提出した聶莉莉さん(東京女子大教授)前田哲男さん(軍事ジャーナリスト)の講演などを聞いた。
重慶大爆撃は昭和13~18年に、当時の中国の首都に日本が行った無差別戦略爆撃で、その後の世界の戦略爆撃の走りとなり、ついには米空軍による東京爆撃を招いた。

● 第4回平和学習会
 3月18日午後6時15分から、飯田橋・セントラルプラザ10階会議室で平和創造研究会・第4回平和学習会(主催・宇井宙)が開かれ、「ガンディーと非暴力主義」について高橋静香氏(ガンディー研究会員)の報告に基づき、主として戦争と平和の問題をめぐって質疑・討議が交され、当会から4人が参加した。

2)新しい冊子の発行について
本年度活動計画で決められた新たな冊子(「明治帝國憲法下のくらし――自民党改憲草案のめざすもの」)発行について、次の日程案と冊子冒頭の「ごあいさつ」案が提出された。

1.冊子発行日程案
3月29日 原稿取り揃え入稿
4月 5日 初校校正
4月12日 校了
4月20日 納本、配布

2.まえがき案
 安倍政権は、明治維新150年に合わせた記念行事の実施を2016年10月に発表した。菅官房長官は記者会見で「わが国にとって大きな節目。明治の精神に学び、日本の強みを再認識することは重要。明治以降の歩みを次世代に残す」と強調した。(『東京新聞』2017・1・12「こちら特報部」)
 これに符節を合わせるかのように、「明治の日推進協議会」は2011年結成以来、11月3日の文化の日を、明治の日に改める運動をしている。
 同協議会参与の大原康男・国学院大名誉教授は「11月3日はもともとは明治節なんです。日本が欧米列強の侵略の脅威に遭いながら、天皇も国民も一丸となり、日清・日露戦争にも耐えた。今からみればいろいろな批判があるかもしれないが、近代的な国民国家が建設された背景として、父祖たちの国民的団結の中心に明治天皇がおられた。であれば、本来の意義に沿う明治の日に改めるのがいいではないか」と主張している。これがこの運動の趣旨だ。(同上)
 だが、この主張は明治憲法時代の言い分だ。現日本国憲法下の現状には全くそぐわない。
 明治の初期、「民権是れ至理也、自由平等是れ大義也」(中江兆民著『一年有半』)を旨とし、「対外政略よりも内治の改良が先決である」(色川大吉著『自由民権』岩波新書87頁)ことを要求した自由民権運動を、明治維新政府は非道過酷に弾圧し、欽定憲法を下付して絶対的天皇主権を押し付け、日清・日露の侵略戦争に国民の目をそらした。
この伝統は明治以後に受け継がれ、昭和初年、「満州は日本の生命線」がスローガンにされ、これが中国侵略の導火線になった。明治以来の侵略政策は結局決定的敗北によって素寒貧になっただけだった。日本は海外侵略をすることなく生存できることが、この敗戦によって実証された。それまで、天皇権力は対外侵略を正当化するウソをつき続けた。
 大原教授がいうように、「天皇も国民も一丸」となったのではない。天皇権力のもとで、臣民は従僕であり、ある種の奴隷だった。「父祖たち国民的団結の中心に明治天皇がおられた」のではない。ありもしない大逆事件によって無実の人々を死刑にして国民を戦慄させ、天皇を守るために命を捧げることを命じた。300万人の兵隊が、大半は飢えで、戦死させられた。親類・縁者をふくめて戦死者を出さなかった一家があっただろうか。
 内外2000万人の戦争犠牲者を生んだ大きな悲劇の果て、幸いにして世界の民主主義勢力の援助を得て、日本国民は国民主権の憲法を手にした。明治帝國憲法と、きっぱりと異なる民主憲法の意味について、残念ながら、国民の多くにまだその自覚が及ばず、その間隙をついて、自民党は改憲をねらい、明年に迫った明治維新150年を利用し、明治ブームを演出しようとしている。
 私たちは、明治政府をたたえる反動的な現政権の意図を究明するとともに、明治帝國憲法下の国民の暮らしがどれほど屈辱的であり苦しみに満ちていたかを本冊子で明らかにしたい。

 添付した資料を簡単に紹介すれば
1 「大日本帝国憲法」の「第3条 天皇は神聖にして侵すべからず」「第4条 天皇は国の元首にして統治権を総攬し此の憲法の条規に依り之を行ふ」は、明治憲法が絶対的天皇主権であることを明示している。「第18条 日本臣民たるの要件は法律の定むる所に依る」は国民が生まれながらにして臣下であることを明記している。
2 「教育勅語」の3段目「爾(なんじ)臣民、父母に孝に兄弟に友に夫婦相和し、朋友相信じ……一旦緩急あれば義勇公に奉じ以て天壌無窮の皇運を扶翼すべし」は、臣民、すなわち従僕に対する説諭であり、さまざまな徳目の結びは、天皇家を守るために命を差し出せと命令している。文字通り、このことが明治、大正を通じ、昭和の敗戦まで国民に強制され続けた。敗戦による降伏の際の、唯一の条件は国体の護持であり、国民の生命の保全ではなかった。この思考はこんにちまで及び、自衛隊の主たる任務が「わが国を防衛すること」であり、国民を守ることではない。
 敗戦時、満州移民が関東軍によって放棄され、沖縄戦で県民が軍によって自決させられたように。
3 『軍人勅諭』の前文「朕(ちん)は汝等軍人の大元帥なるぞ。されば朕は汝らを股肱(ここう)と頼み、汝等は朕を頭首と仰ぎてぞ、其親(したしみ)は特に深かるべき」は、国民皆兵の制度の下、男子はすべて生まれながら天皇の手下であり、それは死ぬまで変わらないことを宣言している。そしてその第1項目「軍人は忠節を尽くすを本分とすべし」では「義は山嶽よりも重く、死は鴻毛よりも軽しと覚悟せよ」と、お前たちの生命は羽毛よりも軽いと公言している。
 その第2項目「軍人は礼儀を正しくすべし」では、「下級のものは上官の命を承ること実は直に朕が命を承る義と心得よ」と述べ、これが軍隊で下級者に絶対的服従を求める根拠になっていた。
4 「戦陣訓」の「(其の一)第3 軍紀」では「命令一下欣然として死地に投じ、黙々として献身服行の実を挙ぐるもの、実に我が軍人精神の精華なり」と奴隷的服従を要求している。また「(其の二)第8 名を惜しむ」では「生きて虜囚の辱を受けず、死して罪禍の汚名を残すこと勿れ」と、捕虜の口から機密の漏れることを恐れて、死を強要している。

3)集会の案内
1 韓国・朝鮮人BC級戦犯者「同進会」――早期立法解決を求めて――
    4月1日(土) 14:00~ 岩波セミナールーム(神保町)
    お話:李鶴来さん、内海愛子さんほか
2 第17回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会
    4月21日(金) 14:00~16:30 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分) 
    講演:「トランプと中東・世界――今、平和憲法革命が求められるとき――」
    講師:栗田禎子・千葉大教授
    報告:長坂伝八  参加費:500円
3 STOP! 沖縄ヘイト
    4月23日(日) 14:00~16:30 東京しごとセンター・地下講堂(飯田橋) 
    パネルディスカッション:香山リカ/木村朗/前田朗/安田浩一
    発言:新垣毅(琉球新報)/宮城栄作(沖縄タイムス)
4 安倍政権に退陣を迫ろう!4/25緊急労働者集会
    4月25日(火) 18:30~ 文京区民センター・2A会議室
    講演:「森友問題からみる日本会議の正体」木村真氏(大阪府豊中市会議員)
    会場費:500円
    主催:壊憲NO!96条改悪反対連絡会議
5 3.11から6年 福島を忘れない4/27「神田香織一門世直し講談会」
    4月27日(木) 19:00~ 高円寺グレイン(JR高円寺駅北口中通り商店街2分)
    出演:高橋織丸「人を喰う魚-豊洲移転騒動の巻」
       神田伊織「三方ヶ原戦記」
       神田香織「ルポ母子避難-消されていく原発事故被害者」
    主催:オルタナミーティング 定員:40名
    料金:前売 2500円 当日3000円(いずれも1ドリンク500円別)
6 『週刊金曜日』東京南部読者会
    4月28日(金) 18:30~20:30 大田区生活センター第6集会室(JR蒲田駅徒歩5分)

<別紙3>

   「平和への権利宣言」国連総会採択について (資料より抜粋)

             2017年3月26日 飯島 滋明

2016年12月19日(現地時間)には「平和への権利宣言」は国連総会で採択(賛成131ヵ国、反対34ヶ国、棄権19ヵ国)。

【4】「平和への権利」の内容
(1)前文
「武力不行使原則」
「平和的手段による紛争解決」
「内政不干渉原則」
「民族自決」
「平和の文化の十分な発展」
「宗教的多様性の尊重」 など
(2)1条
すべての人は、すべての人権が促進及び保障され、並びに、発展が十分に実現されるような平和を享受する権利を有する。
(3)2条
国家は、平等及び無差別、正義及び法の支配を尊重、実施及び促進し、社会内及び社会間の平和を構築する手段として、恐怖と欠乏からの自由を保障すべきである。
(4)3条
国家、国際連合及び専門機関、特に国際連合教育科学文化機関(ユネスコ)は、この宣言を実施するために適切で持続可能な手段を取るべきである。国際機関、地域機関、国家機関、地方機関及び市民社会は、この宣言の実施において支援し、援助することを奨励される。
(5)4条
平和のための教育の国際及び国家機関は、寛容、対話、協力及び連帯の精神をすべての人間の間で強化するために促進されるものである。このため平和大学は、教育、研究、卒後研修及び知識の普及に取り組むことにより、平和のために教育するという重大で普遍的な任務に貢献すべきである。
(6)5条
この宣言のいかなる内容も、国連の目的及び原則に反すると解釈してはならないものとする。この宣言の諸規定は、国連憲章、世界人権宣言及び諸国によって批准される関係する国際及び地域文書に沿って理解される。

【5】国際社会の対応
アフリカ諸国、ASEAN、南米諸国は「平和への権利」の国際法典化に賛成
・アメリカ、EU諸国、オーストラリア、カナダ、韓国、そして日本が「平和への権利」の国際法典化に反対!

【6】平和への権利の効力
(1)国際社会レベル
「平和への権利宣言」は条約ではないため、加盟国に対する直接的な法的拘束力はない
「平和への権利が採択されれば、それを完全に無視することはできなくなる」(新倉修青山大学教授の指摘)。
「平和への権利宣言」に法的な拘束力はないとはいえ、事実上の拘束力が働く。

(2)国内的レベル
宣言が採択されれば、すべての国家に宣言を履行する義務が発生
「国際協調主義」(憲法前文、98条)が基本原理とされている日本国憲法では、国連総会で採択された「平和への権利宣言」を遵守する憲法的な要請

(3)市民活動の場面で
「平和への権利宣言」は、市民が平和を求めるさまざまな活動をする際にも根拠。
・「安保法制違憲訴訟」のさまざまな文書でも引用。
・地域の平和を作るために平和運動が連帯し、各国政府に平和のための協調を求める根拠
たとえば、隣国との紛争の平和的解決をったり、非核地帯条約や非武装地帯の設定を追及したりすること
「平和への権利宣言」では、教育について多くの規定。
堀尾輝久東京大学名誉教授が指摘するように、「平和への権利が国際法になれば、日本の平
和教育への取り組みにとって大きな力となるでしょう」

【7】市民社会の役割
・憲法で措定されているのは、「国際平和」実現のために積極的行動を行なう個人。

・平和への権利が骨抜きにされそうになった2014年、市民社会に呼びかけ、再び平和への権利の内容を充実させたのは、笹本弁護士をはじめとする日本のNGO!
大きな政治的成果を実現させるためには、多くの人々に「平和への権利」の重要性を周知させ、支持させる取り組みが必要。

・「平和への権利宣言」だが、「宣言」であって条約ではないことから法的拘束力がない。

・多彩な権利が明記されていた、「サンチアゴ宣言」を土台とした「平和への権利国連宣言草案」(諮問委員会案)に対し、12月19日に採択された「平和への権利宣言」ではそうした権利がそぎ落とされ、前文と5条からなる宣言にとどまった。

・スペインのNGO「スペイン国際人権法協会」自体が2016年12月に採択された案では不十分として賛成していない。

ただ、平和が国家間の政策の問題ではなく、個人や集団の「権利」とされたことの意義は小さくない。

国際社会では「武力行使の違法化」にむけた動きがあるが、「平和への権利宣言」採択は、そうした「武力行使の違法化」にむけた流れの中での重要なステップ。

「武力行使の違法化」の流れをさらに強化するためには、「平和への権利宣言」を法的拘束力のある「条約」にすることなどが、今後目指されることになる。

「平和への権利宣言」の条約化など、武力行使の違法化の流れをさらに強化する動きの中では、NGOなどの活動が重要。

飯島滋明(いいじま しげあき)
1969 年生まれ。名古屋学院大学経済学部教授 専門 憲法学・平和学・医事法。
【今日の内容に関連する主な文献】
 本文中に入れたもののほか、「平和への権利」に関する文献として、
・平和への権利国際キャンペーン・日本実行委員会編
『いまこそ知りたい 平和への権利 48のQ&A』(合同出版、2014年)
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