完全護憲の会ニュースNo.49 2018年1月10日

               <例会参加の方は本ニュ―スをご持参ください>

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    目 次 第48回例会・勉強会の報告          P.1
        第45回運営・編集委員会の報告(略)     P.2
        別 紙 1 政治現況報告          P.2
        別 紙 2 事務局報告           P.4

     第48回例会・勉強会の報告

 *12月24(日)、港区・三田いきいきプラザ集会室で開催、参加者15名、会員56名

 司会を草野運営・編集委員長が担当し、まず、1年4カ月ぶりに車椅子で出席の岡部共同代表から、病状の報告、ついで「政治現況報告」(別紙1)が行われた。岡部共同代表は都合により退席し、そのあと「事務局報告」(別紙2)が行われた。岡部代表の「政治現況報告」については、病気療養中にもかかわらず、ジャーナリストの真価が発揮されていると好評だった。時間の関係で、討議はすべて勉強会の「朝鮮半島をめぐる情勢」報告後に、あわせて行われることになった。
 ついで勉強会に移り、大畑龍次氏(アジア問題研究者)から、次の要旨にそって講演が行われた。
1.自己紹介
2.文在寅政権誕生の経緯
3.文在寅政権の対北政策
 ① 平和な朝鮮半島の実現
 ② 朝鮮半島の非核化
 ③ 関係国が参加する「朝鮮半島平和協定」
 ④ 経済協力と非政治的交流事業 イ、離散家族再会のための南北赤十字会談 ロ、平昌オリンピックへの参加 ハ、南北軍事当局会談の実現
4.朝鮮半島の基本構造
 ① 冷戦構造
 ② 軍事衝突の可能性
 ③ 問題は安倍政権

 約1時間にわたるこの報告に、次のような質問があった。
 「偶発的な軍事衝突が起きた場合、ストップをかけるのは、どの国か」「戦争が起きたら平昌オリンピックは開催不能か」「金正恩委員長の失脚、暗殺はあるのか」……
 講師はこれらの質問に答えたのち、さらに、平昌オリンピックに北側が参加し、南北チャンネルが軌道に乗れば、金大中・盧武鉉政権以来の高麗連邦制(北側の提案)と国家連合制(南側の提案)という民族統一構想があること、この南北の提案には本質的な違いはなく、中ロともに南北の自主的統一を支持している旨の言及があった。
 (報告者が以上のテーマに加筆し、5月に当会より新冊子発行の予定)

   当面の日程について

 1)第46回臨時運営・編集委員会 1月12日(金)14:00~ 三田いきいきプラザ
 2)第4回総会 兼 第49回例会・勉強会 1月28日(日)13:30~ 三田いきいきプラザ
 3)第47回運営・編集委員会 1月31日(水)14:00~ 三田いきいきプラザ
 4)第50回例会・勉強会 2月25日(日)13:30~ 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅)

<別紙 1>
         政治現況報告

              岡部太郎(東京新聞元政治部長) 2017年12月24日 

 政府は12月8日の閣議で、現天皇の退位を再来年平成31年の4月30日とし、皇太子が翌5月1日に即位、同時に改元も行うことを正式決定した。昨年夏に天皇が自身の老齢により健康に自信が持てなくなり、象徴天皇の役割も果たせなくなったとして、生前退位を希望されている。一年余で、天皇と皇太子のバトンタッチが実現することになった。
 安倍首相は12月1日に25年ぶりに皇室会議を招集(前回は1993年の皇太子と雅子さまの結婚が議題)、現天皇の退位と皇太子の即位、改元を決めた。平成30年末の退位論もあったが、年末・年始は天皇の宮中行事が多く、また年度替りの4月1日は、再来年、地方選挙や参院選挙、また4月は一般でも入学や転勤が多く、移動が激しいということで、4月末と5月1日が選ばれた。天皇は戦前は一世一元ということで、逝去が条件であり、生前の退位は江戸末期の1817年の光格天皇から200年ぶりのことという。新元号は来年の秋に発表の予定。
 昭和は64年と平成の倍ぐらい長く、前半は日本の軍国主義と戦争の世紀、後半は昭和20年の敗戦により、戦争放棄の新憲法による平和と民主主義、日本復興の激動の時代だった。それに比べ平成の30年は、前半は“失われた20年”の経済不況時代。後半は安倍政権登場による戦前回帰と右寄り政策による不安定な時代だった。また世界もブッシュ米政権のムリなイラク戦争の結果、IS(イスラム国)支配の中近東激震の時代が長く、ヨーロッパはまだそのイスラムのテロに揺れ続けている。その上、アメリカもタカ派トランプ大統領の勝利によって、弱肉強食、自国第一主義によって世界はもちろん、米国内さえ分裂の危機に陥っている。この右傾化は日本を含め、世界的な潮流だ。
 さらに東アジアには、北朝鮮という“ならずもの国家”が出現し、怒りやすいトランプを核実験とミサイルで挑発し続けている。
 そんな中で日本はどうか。安倍首相は9月28日の臨時国会冒頭で、衆院解散のカケに出た。
 このカケは希望の党を立ち上げた小池都知事の野党排除ミスと前原民進党党首の早トチリで野党が自滅。自民党がタナボタの圧勝を納めた。
 来年、平成30年の政局は、再来年にイベントが集まった状態で、秋の安倍自民党総裁三選がかかる総裁選があるだけ。順風満帆で三選へ駆け込む勢いだが、何があるか解らないのが政界。案外混乱のタネが転がっているかも知れない。安倍首相は調子に乗って、2020年には憲法改正などと云うが、お膝元の与党、公明党が憲法改正反対、自民・公明連立解消へカジを切ろうとしている、との見方がある。平和の党へ、もう一度立ち戻るという思いだ。それに自民党内のハト派、岸田派(政調会長).石破派など旧宏池会の流れがあり、麻生副総裁もまだ色気があり、宏池会再統合の動きがあるという。
 特に安倍にとって依然アキレス腱なのは、“モリ・カケ問題”だ。「丁寧に説明する」と云いながら、相変わらず国会でも逃げ回っている。
 もり・かけ問題は11月の特別国会でも予算委員会や科学技術審議会で野党が追及したが、特に森友学園問題では、学園と国側の折衝を示す録音テープが次々と発覚。財務省側もそれを本物であると認めざるを得なくなり、進展が見られた。特に土地売却を調査した会計検査院の河戸院長が、値引き理由となったごみ撤去費用の推計根拠が「検査で確認できなかった」と明言。財務省の太田理財局長も売却を前提に定期借地契約を結んだのは「過去数年で本件のみ」とするなど、特例ばかりだったことを認めた。
 特に学園の土地3㍍以下に埋まっているゴミについて、学園側が「3㍍より下は明確でない」と言っているのに「そこは9㍍まであったと、あいまいにすればよい」と助け舟を出し、8億2千万円値引きに決めたことが明らかになった。この問題は、来年の通常国会まで尾を引くことは確実で、特に安倍昭恵氏、加計学園理事長の証人喚問が実現するかが焦点。
 「完全護憲の会」を立ち上げて4年。私の中で結論が出ていない問題が二つあった。一つは天皇制の問題。一つは戦争放棄と米の核の傘、核の抑止力の問題だ。天皇制の問題は、はからずも今回の退位、即位の決定で、一応国民に納得のいく形で、象徴天皇時代のルールが引けた。あとは女帝と女性皇族の問題だが、これもそう遠くない時に結論が出るだろう。もう一つの米国の核の傘、核抑止力の問題は戦後70年以上たっても戦後と全く同じだった。それが一つの進展を見た。
 ノーベル平和賞にNGO(非政府組織)の「核兵器廃絶キャンペーン」(ICAN)が選ばれたことだ。ベアトリス・フィン事務局長は「私たちは偽りの核の傘の中にいる。他者を支配するために作った核兵器に地球が支配されている」とし、国連で核非保有国122ヵ国で採択した核兵器禁止条約を米ソ中など核保有国はもちろん、核の傘に入っているため禁止条約を批准していない日本などに「核保有国の共犯者になるのか」と強く警告した。また、このノーベル賞授賞式にはICANのメンバーで、広島原爆の被爆者であるサーロー・節子さん(85)が初めて出席。「核兵器は絶対悪だ」と自らの経験の悲惨さを語り、出席者の共感を得た。特に13歳の折の被曝のさい、建物の下敷きになり、遠くに見えた光を頼りに、あきらめず這い出して助かった、と報告。「核兵器禁止条約はその光。皆がそれに向かって這っていかねば」と満場の拍手を浴びた。
 確かに第二次大戦は、広島、長崎の原爆二発で終結したため、核抑止力のみが強調され、東西冷戦の中で、米ソの核増強競争が始まり、英国、仏国、インド、パキスタン、イスラエル、東アジアの片隅、北朝鮮まで核武装するようになり、現実的には抑止力にならない、使うことのできない兵器になっている。2045年は日本で原爆が使われて百年。被爆国である日本は、まずそこへ向けて、核兵器凍結へ世界をリードしてゆかねばなるまい。
 幸い再来年の5月は改元、新天皇で日本は新しいスタートになる。とりあえず2029年までの10年を原発の廃棄と決め、小泉、細川らの元首相や河野洋平氏らを中心に国民運動を展開する。
 さらにEUと米国で大西洋を非核とし、ロシアを巻き込む。太平洋では、日本、ASEAN、豪州、カナダ、チリなどが、米国と中国の核不使用をお膳立てする。核凍結は少しずつでも2045年までの間に、光へ向けて進んでゆくだろう。
 広島高裁が12月に、阿蘇噴火、火砕流の危険があるとして、伊方3号原発の停止命令を出した。河野外相も核兵器廃棄の道は2本あるが、結論は同じといっていた。広島出身の岸田元外相も、原爆廃棄で世界賢人会議を開いた。世界は動く。

<別紙 2>
         第48回例会 事務局報告

                    福田玲三(事務局)2017.12.24
1)来信ほか   
① 裁判官訴追審査事案決定通知 
 貴会におかれましては、大切な事柄に取組まれ、敬意を表します。
 私の提起いたしました「閣議決定・安保法制違憲訴訟」につきましては、今日までご注視・ご支援いただき有難うございました。
 本件訴訟につき、去る平成29年6月29日、「本件上告を棄却する」との「最高裁決定」が下されましたが、本件決定を下した最高裁判所第一小法廷裁判官全員(5人)は、「職務上の義務に著しく違反するとともに職務を甚だしく怠った(裁判官弾劾法第二条 弾劾による罷免の事由)として、罷免の訴追を求める「訴追請求状」を裁判官訴追委員会に、去る8月22日提出し、ご報告申し上げたところでございます。
 このことにつきまして、本日12月15日、裁判官訴追委員会から、「訴追請求事由は、裁判官弾劾法第2条に該当しないので、訴追しない。」との「裁判官訴追審査事案決定通知」が送達されましたので、ご報告いたします。
 貴会におれましては、ご健勝で引続き使命を果されますよう祈念いたしております。
 今日までの御支援、誠にありがとうございました。(珍道世直)

② 重慶大爆撃控訴審で東京高裁が請求を棄却

日中戦争中、日本軍による中国・重慶市や周辺への爆撃で家族が犠牲になった中国人の遺族が日本政府に謝罪と損害賠償をもとめた控訴審判決で、東京高裁は去る12月14日、請求を棄却した。
判決は日本軍が1938年以降、蒋介石政権が首都を置いていた重慶の市街地や、四川省の各地を狙って爆撃を繰り返し、多数の市民が犠牲になったことを認めた上で、「原告には当時の国際法に基づく損害賠償請求権がない……」などとした。
この重慶大爆撃は1945年3月10日、米軍機による東京大空襲の先例になった。

③ 「米国の原爆投下の責任を問う会」 第4回拡大世話人会
 標題の世話人会は12月16日に三田の基督友会会堂で行われ、高橋博子氏(明治学院および名古屋大学研究員)の講演「封印された広島・長崎」は、原爆投下後のABCC(原爆傷害調査委員会)などによる被爆者調査が、今後、原爆が使用された場合に対処するための情報を得るために行われ、冷戦思考に基づいていたこと、「患者の健康、福利、権利を向上させ守る」「個々の被験者の権利および利益に優先することがあってはならない」などの「医学研究の倫理的原則」が無視されていたことを指摘した。
高橋氏の講演の後、目的として、「無差別大量殺戮であった広島・長崎への原爆投下に対して米国の責任を問うことを原点とし、核兵器の廃絶に向って多様な行動を起こす」を掲げる会則案が提起され、拍手で承認された。

2)新パンフレットの校正と納本
 新パンフ『平和に向けて活用したい道徳/教育勅語の重圧と死線をさまよった臣民たち/歴史から見る道徳の教科化』の校正を、11月29日(三田いきいきプラザ:大西、草野、福田)、12月3日(三田いきいきプラザ:大西、大野、草野、福田)、12月8日(田町駅傍ルノアール、三田いきいきプラザ:大西、山岡、草野、福田)、12月11日(港区勤労福祉会館:大西、山岡、草野、福田)で行う。この間、八木雪雄氏よりカラーの表紙、カット届く。12月18日納本(1000部、原価400円)。この新パンフに、次の支援のお願いをつけ、順次、当会ニュース宛先あて発送。

 ご支援とご協力のお願い

 内外ともに多難だった2017年が終わろうとしています。
 憲法前文冒頭、「政府の行為によって再び戦争の惨禍が起こることのないようにすることを決意し」を自民党改憲案は完全に削除しています。来春早々から、この改憲攻勢は始められるでしょう。
 国民を悲惨のどん底に陥れたあの15年戦争を回顧するとき、教育勅語や靖国神社などを背景にした道徳教育がいかに国民から戦争反対の悲願を奪い去ったか、痛切に実感されます。
 この度のパンフレット『平和に向けて活用したい道徳/教育勅語の重圧と死線をさまよった臣民たち/歴史から見る道徳の教科化』は、その切実な回顧から生まれました。どうか、このパンフレットを回りの方々に広めてくださいませんか。
あわせて、まことに恐縮ですが年末カンパへのご協力をお願いします。
 来年も引き続き、当会へのご支援をお願い申し上げます。
 みなさまの新年におけるご健康とご幸福を祈っています。

  2017年12月
               完全護憲の会

3)集会の案内

① 『週刊金曜日』東京南部読者会
 1月25日(木)18:30~20:30
 大田区生活センター 会議室(JR蒲田駅徒歩5分)

② 第27回「7・1閣議決定」違憲訴訟勉強・相談会
  -最高裁.への上告終了の報告-
 2月16日(金) 13:30~16:30
 神明いきいきプラザ(JR浜松町駅徒歩5分)D室
 参加費:200円

③ 米国の原爆投下の責任を問う会講演会
 2月24日(土) 13:30~
 キリスト友会会堂(港区4-8-1) 資料代1000円
 講師:崔鳳泰弁護士
 テーマ:なぜ今、韓国被爆者が米国政府と企業に謝罪と賠償を求めて訴訟に踏み切ったのか

④ 第11回平和学習会 (テーマと報告者は検討中)
 3月10日(土) 13:30~16:30
 東京ボランティア市民活動センター(JR飯田橋駅隣・セントラルプラザ)
  B会議室(40人収容) 

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