完全護憲の会ニュース No.69……. 2019年9月10日

完全護憲の会ニュース No.69    2019年9月10日

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目 次

第68回 例会・勉強会の報告
別紙1 事務局報告
別紙2 「南方占領地行政実施要領」
別紙3 「大東亜政略指導大綱」
別紙4 新冊子No.8著者・福田玲三の略歴

第68回 運営・編集委員会の報告

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第68回 例会・勉強会の報告

8月25日、都内港区三田いきいきプラザにて例会を開催。(参加者6名。会員73名)
例会では「事務局報告」(別紙1)と新冊子No.8の著者・福田玲三共同代表の略歴(別紙4)が提出され、討議は以下のように冊子シリーズの新刊『スマトラ島で敗戦 マレー半島でJSP』に集中した。

「マレー半島でジャングル伐採に従事と書かれているが、その様子は?」「ジャングルといっても実際は主に低灌木(ブッシュ)で、それをバラン(山刀)で切り倒し、枯れてから燃やした」「昭南バルとは何か?」「日本軍は占領後のシンガポールを昭南と名づけ、シンガポールから疎開してマレー半島に移った日本人の集落を昭南バルと呼んだらしい」。また、日本の南方進出の目的がアジア諸国の独立か、資源の略奪かをめぐり、対米国開戦の直前1941年11月20日に大本営政府連絡会議で決定された「南方占領地行政実施要領」(別紙2)と、1943年5月の「大東亜政略指導大綱」(別紙3)が大野委員から紹介された。前者の冒頭に、南方占領地の行政は「重要国防資源の急速獲得」に資することとあり、(八)では「現住土民…の独立運動」に対して「過早に誘発せしむることを避くるものとす」と明記されている。後者では(六)の「占領地域に対する方策」として、マレー半島や現インドネシアの諸島などを「帝国領土と決定し、重要資源の供給源として極力之が開発ならびに民心の把握に努む」とある。

ついで「3)きけわだつみのこえ記念館で戦争体験報告」について、報告者・福田玲三共同代表が補足説明した。「参加した戦争が侵略であったことに、いつ気づいたかという質問が会場からあり、突然だったので、1960年頃と答えたが、後で考えると東京裁判の行われた1947年前後には気づいていたと思う」

その後、映画『侵略』上映委員会・製作のドキュメンタリー『消えた14777人 ―南京大虐殺の真相を追って―』(長江岸集団虐殺事件・32分)が上映された。見終わった参加者は「南京30万人虐殺が初めて実感として想像できた」「1か所で万単位の虐殺が行われていることに驚いた」と口々に感想を語った。
今回で映画『侵略』シリーズ全6本の上映を終えたので、今後の勉強会への提案があった。「労働組合とストライキ権について取り上げてほしい。勤労者の団結権や団体交渉権は憲法第28条で保障されているのに、ストがまるで犯罪的迷惑行為のように扱われているのはおかしい」

なお、次回の勉強会(9月22日13:30~1630 三田いきいきプラザ集会室)では講演「緊迫する日韓関係の真因と最近の訪韓報告」を大畑竜次氏にお願いする

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<別紙1> 第68回例会 事務局報告
福田玲三(事務局)

1)当会ニュース読者からの来信

①水谷正信氏(愛知県)から例会参加者への配布用として下記資料コピーが寄せられた。
慰安婦問題集、同中学・高校生感想特集、同大学・学生の感想
戦中用語の解説、731部隊への中学・高校生の感想
②相沢緑氏(静岡県)から下記のリーフレットが寄せられた。
「市民運動において注意すべきこと(警察対応など)」
「おしゃべりカフェ(日本が売られる?)
③「風のたより」18号、石川逸子氏編
④「眼」232号、松浦正雄氏編
⑤「韓国・朝鮮人元BC級戦犯者『同進会』を応援する会 通信40号

2)シリーズNo.8 『スマトラ島で敗戦 マレー半島でJSP-学徒徴兵・私の戦争体験記―』発行

同シリーズは8月15日発行予定が、本文の加除や引用文の校正洩れなどが相次いだため、8月末の発行となった。96ページ、実費400円。

3)きけわだつみのこえ記念館で戦争体験報告(福田共同代表)

さる8月18日午後、文京区本郷のきけわだつみのこえ記念館で「戦争体験報告」を求められて説明した。40名ほどの参加者の関心は北方シベリアの戦後抑留者に比べて、知られることの少ない南方の戦後抑留者の実情報告にあったようで、当会冊子シリーズNo.8の仮綴じ本をテキストにして報告した後、質疑の中では「完全護憲の会」の名称のいわれが質問された。

「現憲法の神髄は第9条だけでなく、9条と前文を含めた全条項にあり、ただ第1章天皇条項は『法の下の平等』に反しているものの、その改定は今後(国民の総意)に待ち、今は反動の改憲論議に巻き込まれることなく全条項の完全な護憲を目指している」旨を説明。おおよその了解をいただいた模様。
なお、同記念館のスタッフやスマトラ研究者の方々と親交を結べたことは大きな収穫だった。

4)三鷹事件再審弁護団報告集会に参加
  東京高裁再審棄却、不当決定を徹底批判
応援スピーチ 鎌田 慧(ルポライター)
8月21日(水)18:30~20:30 日比谷図書館文化館コンベンションホールで行われた上記集会で、弁護団から不当判決への批判と、再審が棄却された後、ただちに「異議申立書」を東京高裁に提出し、第五刑事部にかかわる由が報告され、参加者一同で勝利を誓った。

5)『週刊金曜日』東京南部読者会に参加

8月23日(金) 18:30~20:30 大田区生活センター会議室で開催され、韓国の元徴用工問題についての講演があり、緊張の極度に高まる日韓関係の原因として、日本政府の不当で情理を欠いた措置に対する理解を深めた。

6)集会の案内

①死刑をなくそう市民会議設立集会
8月31日(土)13:30~17:00
明治大学リバティホール
共同代表世話人:菊田孝一(明治大学名誉教授)他/呼びかけ人:村山富市(元内閣総理大臣)他
設立集会後援:アムネスティ・インターナショナル日本、他

②三鷹事件資料展 (入場無料)
9月1日(日)13:00~18:00
2日(月)10:00~17:00
目黒さつきビル C・D 会議室(品川区西五反田3-2-13)
主催:日本鉄道福祉事業協会 労働資料館

③日韓関係を破壊する安倍政権
講師  浅井基文氏(元広島平和研究所所長)
9月10日(火曜) 午後6時~9時
港区立商工会館2階 研修室(JR浜松町駅北口徒歩7分)
主催:村山談話談話を継承し発展させる会(理事長・藤田高景)/重慶大爆撃の被害者と連帯する会・東京(代表・前田哲男)
資料代:500円

④大逆事件とは何であったか
講師:牧子嘉丸
9月21日(土)13:30~16:30
参加費:300円 主催:平和創造研究会
東京ボランティア・市民センター会議室B(飯田橋・セントラルプラザ10階)

⑤「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」記念イベント
9 月23 日(月・祝) 13:30開場 14:00開始(17:00 終了予定)
国連大学 2階レセプションホール 東京都渋谷区神宮前5-53-70  参加無料
主催:核兵器廃絶日本NGO連絡会
共催:国連広報センター
協力:ヒバクシャ国際署名連絡会
要申込:9月19日(木)18:00までに「お名前」「ふりがな」「ご所属・職業・学校など」をメール
で <nuclear.abolition.japan@gmail.com>まで。お問合せ:03-3363-7561ピースボート(担当:渡辺)

⑥『週刊金曜日』東京南部読者会
南部読者会100回記念講演:週刊金曜日・植村隆社長
10月25日(金) 18:00~20:30
大田区生活センター会議室(JR蒲田駅徒歩5分)

7)当面の日程

第69回例会・勉強会
9月22日(日)13:30~16:30
三田いきいきプラザ
講演大畑竜次氏
緊迫する日韓関係の真因と最近の訪韓報告」

第69回運営・編集委員会
9月24日(火)14:00~
三田いきいきプラザ講習室

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<別紙2> 「南方占領地行政実施要領」  (1941年11月20日)

国家機密  南方占領地行政実施要領
十一月二十日 大本営政府連絡会議決定決定

第一 方 針
占領地に対しては差し当り軍政を実施し治安の回復、重要国防資源の急速獲得および作戦軍の自活確保に資す
占領地領域の最終的帰属ならびに将来に対する処理に関しては別に之を定むるものとす

第二 要 領
一、軍政実施に当りては極力残存統治機構を利用するものとし、従来の組織および民族的慣行を尊重す
二、作戦に支障なき限り占領軍は重要国防資源の獲得および開発を促進すべき措置を講ずるものとす
占領地に於て開発又は取得したる重要国防資源は、之を中央の物動計画に織り込むものとし、作戦軍の現地自活に必要なるものは右配分計画に基き之を現地に充当するを原則とす
三、物資の対日輸送は陸海軍に於て極力之を援助し、かつ陸海軍は其の徴傭船を全幅活用するに努む
四、鉄道、船舶、港湾、航空、通信および郵政は占領軍に於て之を管理す
五、占領軍は貿易および為替管理を施行し特に石油、護謨、錫、「タングステン」、「キナ」等の特殊重要資源の対敵流出を防止す
六、通貨は勉めて従来の現地通貨を活用流通せしむるを原則とし、已むを得ざる場合にありては外貨標示軍票を使用す
七、国防資源取得と占領軍の現地自活の為、民生に及ぼさるるを得ざる重圧は之を忍ばしめ、宣撫上の要求は右目的に反せざる限度に止むるものとす
八、米、英、蘭国人に対する取扱は軍政実施に協力せしむる如く指導するも、之に応ぜざるものは退去其の他適宜の措置を講ず
枢軸国人の現存権益は之を尊重するも、爾後の拡張は勉めて制限す
華僑に対しては蒋政権より離反し我が施策に協力同調せしむるものとす
現住土民に対しては皇軍に対する信倚観念を助長せしむる如く指導し、其の独立運動は過早に誘発せしむることを避くるものとす
九、作戦開始後新に進出すべき邦人は事前に其の素質を厳選するも、嘗て是等の地方に在住せし帰朝者の再渡航に関しては優先的に考慮す
一〇、軍政実施に関連し措置すべき事項左の如し
イ、現地軍政に関する重要事項は大本営政府連絡会議の議を経て之を決定す
中央の決定事項は之を陸海軍より夫々現地軍に指示するものとす
ロ、資源の取得および開発に関する企画および統制は差当り企画院を中心とする中央の機関に於て之を行うものとす
ハ、仏印および泰に対しては既定方針に拠り施策し、軍政を施行せず情況激変せる場合の処置は別に定む

備考
一、占領地に対する帝国施策の進捗に伴ひ、軍政運営機構は逐次之を政府の設置すべき新機構に統合調整または移管せらるものとす

参照原典: 国立公文書館アジア歴史資料センター Ref. C12120152100
http://www.jacar.archives.go.jp/das/meta/C12120152100

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<別紙3> 「大東亜政略指導大綱」(1943年5月31日)

国家機密   大東亜政略指導大綱 (御前会議議題)

第一 方 針
一、 帝国は大東亜戦争完遂の為、帝国を中核とする大東亜の諸国家諸民族結集の政略態勢を更に整備強化し、以て戦争指導の主動性を堅持し、世界情勢の変転に対処す
政略態勢の整備強化は、遅くも本年十一月初等迄に達成するを目途とす
二、 政略態勢の整備は、帝国に対する諸国家諸民族の戦争協力強化を主眼とし、特に支那問題の解決に資す

第二 要 綱
一、対満華方策
帝国を中心とする日満華相互間の結合を更に強化す
之が為
(イ) 対満方策
既定方針に拠る
(ロ) 対華方策
「大東亜戦争完遂の為の対支処理根本方針」(注1)の徹底具現を図る為、右に即応する如く別に定むる所に拠り、日華基本条約を改訂し、日華同盟条約を締結す 之が為、速に諸準備を整ふ
右に関連し、機を見て国民政府をして対重慶政治工作を実施せしむる如く指導す
前項実行の時機は大本営政府協議の上之を決定す
二、対泰方策
既定方針に基き相互協力を強化す 特に「マライ」に於ける失地回復、経済協力強化は速に実行す
「シャン」地方の一部は泰国領に編入するものとし、之が実施に際しては「ビルマ」との関係を考慮して決定す
三、泰仏印方策
既定方針を強化す
四、泰緬方策
昭和18年3月10日大本営政府連絡会議決定 緬甸独立指導要領(注2)に基づき施策す
五、対比方策
成るべく速に独立せしむ
独立の時機は概ね本年10月頃と予定し、極力諸準備を促進す
六、其他の占領地域に対する方策を左の通定む
但し(ロ)(ニ)以外は当分発表せず
(イ) 「マライ」「スマトラ」「ジャワ」「ボルネオ」「セレベス」は帝国領土と決定し、重要資源の供給源として極力之が開発ならびに民心の把握に努む
(ロ) 前号各地域に於ては、原住民の民度に応じ努めて政治に参与せしむ
(ハ) 「ニューギニア」等(イ)以外の地域の処理に関しては、前二号に準じ追て定む
(ニ) 前記各地に於ては当分軍政を実施す
七、大東亜会議
以上各方策の具現に伴ひ、本年10月下旬頃(比島独立後)大東亜各国の指導者を東京に参集せしめ、牢固たる戦争完遂の決意と大東亜共栄圏の確立とを中外に宣明す

参照原典: 国立公文書館アジア歴史資料センター Ref. C12120193700
http://www.jacar.archives.go.jp/das/meta/C12120193700

注1:対支処理根本方針:http://www.jacar.archives.go.jp/das/meta/C12120194300
注2:緬甸独立指導要領:http://www.jacar.archives.go.jp/das/meta/C14060855000

※別紙2と別紙3の引用文は、ウェブサイト「1945年への道」(http://www.wayto1945.sakura.ne.jp/)より、原典を新字体・平仮名・読点追加に変更されたバージョンを転載させていただいた。一般に原典を見つけることはネット上でも非常に困難であるが、同サイトには一次資料(原典)へのリンクが豊富にあり、「根拠」を明示した解説に注力されていることに敬意を表したい。
なお、アジア歴史資料センターの「詳細情報」にアクセスしたあとは、「閲覧」をクリックすると原典の画像を見ることができる。

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<別紙4> 新冊子No.8著者・福田玲三の略歴

<社会>                                          <本人>

1923年:関東大震災(9月)         岡山県の水島に生まれる(11月)
1927年:金融恐慌始まる (3月)         岡山県北部の津山市に転居(8月)
1931年:満州事変開始(9月)        津山市立林田小学校2年生(4月)
1937年:日中戦争開始(7月)               岡山県立津山中学校2年生(4月)
1941年:太平洋戦争開始(12月)         同          中学校卒業 (3月)
1943年:ガダルカナル島撤退(2月) 大阪外国語学校2年生(4月)
徴兵猶予措置廃止(10月)                    岡山で入営(12月)
1944年:米軍サイパン上陸(6月)     福知山教育隊へ(4月)
米軍レイテ島上陸(10月)                    門司港を出港(9月)
本土空襲始まる(11月)                         シンガポール到着(11月)
1945年:米軍沖縄本島に上陸(4月) スマトラ島に配属(5月)
日本降伏(8月)                                      河港パカンバルに駐留(7月)
1946年: 天皇神格を否定(1月)       マレー半島に移動(4月)
日本国憲法公布(11月)                       エンダウ作業隊に編入(5月)
1947年:新憲法施行(5月)                 エンダウ発 クルアン着(5月)
片山内閣成立(5月)                             シンガポールへ移動 乗船(9月)
天皇、各地を巡幸(6月~11月)         長崎へ帰還・復員(10月)

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第68回運営・編集員会の報告

8月29日(木) 14時~16時30分
新橋ばるーん学習室
出席::福田、大西、草野、鹿島

1.シリーズNo.8冊子について
・編集の不備を点検し、目次の誤植と著者名欠落など、対応を検討。
・送り状を作成し、送付名簿を整理することとする。

2.次号シリーズNo.9冊子の発行について
・これまでの勉強会報告を基に執筆を山岡氏に依頼する。
・その編集・校正は鹿島委員が担当する

3.例会・勉強会の進め方について
・次回の勉強会は「緊迫する日韓問題」をテーマに準備する。
・例会における政治現況議論のため、その素材提供を草野委員長に依頼する。
・事務局報告は参加者の問題意識を優先し簡略にする。
・各種メディアの映像を利用した勉強会の継続について検討した。
・「三鷹事件」再審請求棄却について勉強会開催の提案があった。

4.その他
・冊子執筆者を「起草者」とするか「著者」にするかについて検討する。

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