緊急警告041号       新型コロナの緊急事態時、国民の生活を守れ

新型コロナウィルスの感染拡大が続く中、緊急事態宣言が発せられ、それに基づき、密集・密閉・密接の三密を避けるための不要不急の外出自粛要請が全国に出されている。その結果、飲食業・観光業等接客業の経営は壊滅的な状況にあり、さらに学校も長期休校が続き、保育・幼稚園・小中髙学校から大学に至るまで教育環境は崩壊寸前となっている。

先の見えないなか、全産業と経済への影響拡大は必至であり、事業の縮小・廃業・倒産と、それに伴う大量の雇用喪失が発生すると予測される。

こうした状況下、社会的弱者をはじめ多くの国民は現在、日本国憲法の保障する「国民の権利及び義務」を脅かされている。

・憲法25条は、「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と定めている。が、これは決して生活保護のみを言っているわけではない。今回の緊急事態下においては、非常に広範囲に明日の生活にも窮する国民が発生しており、早急に金銭給付等で住居・生活費を支給しなければならない。

・憲法26条は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて等しく教育を受ける権利を有する」と定めている。が、安倍首相は、2月27日、突然に全国の小・中・高校の一斉休校を要請した。この決定過程には、文科省等関係省庁や専門家会議の法的・科学的知見が反映された形跡がなく、極めて唐突に教育を受ける権利を奪うような行為になってしまったことは否めない。また、休校時におけるオンライン授業環境の有無等で教育格差も拡大しつつある。

・憲法27条は、「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負う」と定めている。が、勤労者の責に帰さない理由で自粛要請して勤労の場を奪うのであれば、その損失を補償する金銭給付等がなければ、勤労の権利も義務も全く有名無実となる。

政府は欧米に負けない規模の補正予算を組んだと言っているが、必要なのは今困窮して
いる人々を一刻も早く救い、安心感を与える生活支援、経済支援の具体化だ。それが自粛要請の担保となり新型コロナウイルスの感染拡大の早期収束にもつながるし、結果として経済活動の早期回復にもつながるはずだ。

武漢封鎖の日々を日記に綴った中国人作家方方(ファンファン)氏が次のように書いている。
「一つの国家が文明国家であるかどうかの基準はただ一つしかない。それは弱者に接する態度である。」
全くもっての至言だ。

新型コロナウィルスは、日本の文明国としての度合いをあからさまにしている。日本国憲法を生活の場に生かし、その精神を実現実行するために、生活困窮者の早期支援と子どもたちの教育権の確保は喫緊の課題である。
(2020年5月5日)

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