緊急警告057号 公文書改竄の国家賠償請求訴訟 国の「認諾」で幕を閉じてはならない

「ふざけんなと思う、夫がなぜ死んだのかを知りたい、また国に殺された」

森友学園問題での財務省による公文書改竄事件で、改竄を強要され、追い詰められ自死した赤木俊夫さんの妻雅子さんが、事件の真相を知るために国を相手どり、損害賠償を求めている訴訟。証人尋問等、今後の裁判の進め方について、非公開で開催された 2021 年12 月 15 日の進行協議の場で、国は突如請求を「認諾」し、賠償金を全額支払うことを明らかにした。雅子さんは、刑事事件として捜査していた大阪地検が、値引きによる背任行為と公文書改竄行為をいずれも不起訴とし、更に財務省に再調査を依頼しても拒否され続けたため、「真相の解明」の最後の手段として、国家賠償請求訴訟に訴えたが、国は賠償請求金額 1 億 700 万円全額を支払うことで、真相を闇に葬る選択をしたのである。冒頭の言葉は、国の「認諾」に対する雅子さんの無念の叫びである。

国家賠償責任については、憲法 17 条で国民の権利として認められている。
第 17 条 何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる。

「認諾」については、民事訴訟法 266 条、267 条に規定されており、被告が請求を認めて全額支払うことにすれば、それが確定判決となり、訴訟は終了してしまうのである。
民事訴訟法 266 条、267 条は次の通り規定している。

第 266 条 請求の放棄又は認諾は、口頭弁論等の期日においてする。
2 請求の放棄又は認諾をする旨の書面を提出した当事者が口頭弁論等の期日に出頭しないときは、裁判所又は受命裁判官若しくは受託裁判官は、その旨の陳述をしたものとみなすことができる。
第 267 条 和解又は請求の放棄若しくは認諾を調書に記載したときは、その記載は、確定判決と同一の効力を有する。

国家賠償請求訴訟は、憲法に堂々と謳われているにもかかわらず、その 90%が原告敗訴となるのが通例で、刑事事件の冤罪被害者でも裁判で認められないケースが多く、極めて高い壁である。しかもこの訴訟の被告は国家予算を厳しくチェックする財務省。1億円以
上の請求額の支払い原資は税金である。そうあっさりと「認諾」することはありえない行為である。現に財務省側は裁判を争う態度を示していたのである。つまり、この「認諾」には、大きな政治力が働き、森友問題の本質をこれ以上ほじくり返されることを恐れたと
考えざるを得ない。

そもそも森友問題の原点は、9億円の国有地が8億円も値引きされた疑惑に始まる。この疑惑から次々と新たな疑惑が出てきたのであるが、大きく分けて以下の4点に絞られる。

1 なぜ8億円もの値引きが行われたのか?
2 なぜ財務基盤のない森友学園に小学校設立が認可されたのか?
3 安倍首相夫妻の関与はあったのか?
4 なぜ公文書が改竄されたのか?

いずれの疑惑も、未だ真相は霧の中なのである。真実を知っているのは、政治家関係でいえば安倍元首相夫妻と菅前首相、麻生前財務大臣、官僚は当時の本省理財局及び実務を担った大阪財務局の担当者である。国が恐れたのは、官僚の証人尋問で不都合な事実が露見することではなかったのか。岸田首相は、何としても証人尋問のリスクを避け、真相を闇に葬ることにより、政権運営上支援を受けることが不可欠な大派閥の領袖(安倍・麻生)に配慮したのではないか。

国家賠償請求訴訟も、所詮は金銭請求訴訟にならざるを得ず、「認諾」という、この訴訟に限っていえば、極めて卑怯な国側の対応だが、国に対する雅子さんの訴訟は、現行法上終了せざるを得ない。しかし、何らかの真相解明手段を見つけなければならない。
その一つは賠償額1億 700 万円の原資である税金を、こういう形で使うことの可否の追求である。

憲法 17 条に基づく法律である「国家賠償法」第1条は次の通り定めている。
第1条 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。
2 前項の場合において、公務員に故意又は重大な過失があつたときは、国又は公共団体は、その公務員に対して求償権を有する。

「認諾」によって、国は 100%責任を認めたのであるから、そこには故意または重過失があったと推定される。であれば指示又は実行した公務員(政治家を含む)には、故意または重過失があったはずである。雅子さんは当時の理財局長だった佐川宣寿氏個人への訴訟
を継続中だが、国家賠償法第1条第2項に基づき、国は関係した公務員に対する求償を当然行うべきであり、その理由と結果を国民に公表すべきである。なぜなら改竄は明らかにある一部の者・組織のために行った行為であり、憲法 15 条「すべて公務員は全体の奉仕者
であって、一部の奉仕者ではない」を破り、なおかつ、憲法第 13 条が定める「個人の尊重、生命・自由・幸福追求の権利の尊重」を蔑ろにした行為だからである。赤木俊夫さんは生命を奪われ、赤木夫妻は幸福追求の権利を永久に奪われた。「基本的人権の尊重」という、日本国憲法最大の理念を守り、二度と同じことを繰り返さないために、国は「認諾」で真相を闇に葬ることは許されない。

(2022 年 1 月 2 日)

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