緊急警告第035号  安倍相の憲法私物化を弾劾する

安倍首相は12月13日、東京都内で開かれた内外情勢調査会で講演し、自身が主催した「桜を見る会」について「申し訳ない」と述べた後、改憲に関して「国民はどういう議論が行われたかしっかり見ている。それに応える中身の議論が行われることを期待したい」と述べ、来月召集の通常国会での論議に進展を促した。

臨時国会で衆院憲法審査会が二年ぶりに自由討議を行ったことについては「これまで議論に応じてこなかった野党も出席せざるを得なかった。野党の中から憲法の中身を議論すべきだという意見がでたのは民意の勝利だ」と述べた。

その上で「たやすい道ではないが、必ずや私自身の手で(改憲を)成し遂げたい」と2021年9月までの自民党総裁任期中の実現に重ねて意欲を示した。総裁4選は「考えていない」と述べた。(『東京新聞』12月14日朝刊)

この改憲意欲は臨時国会が閉幕した12月9日に首相官邸で行われた記者会見でも表明された。

だが、国務大臣や国会議員に「憲法を尊重し擁護する義務」(第98条)があるのは憲法のイロハだ。
改憲の発議が国権の最高機関である国会にある(第96条)ことも憲法のイロハだ。
行政府の長が国会での改憲論議を促すなどのことは、越権の最たるものだ。

総理のこの姿勢は時事川柳で次のように批判されている。
「改憲も私物化すると宣言し」(「朝日川柳」12月11日)

首相が主催し批判を受けて来年の開催中止を決めた「桜を見る会」をはじめとする首相の醜態は、時事川柳の格好の標的になっている。それは以下のように庶民の痛憤を代弁している。

「来年を止(と)めて蓋(ふた)する姑息(こそく)な手」
「「止めるほどやましいことがあったんだ」
「今までの無駄遣い分どうする気」(『朝日川柳』11月14日)

「血税で夫婦がもてなす花の宴」
「詰め腹を切らされ怒るシュレッダー」(同11月22日)

「笑止化に歯止めかからぬ安倍政権」
「ボス猿の蚤取りせっせ内閣府」「筋書きがモリカケサクラ瓜三つ」(同11月29日)

「この国は『隠す』と『捨てる』で日が暮れる」
「断捨離で台風一過待つのかね」
「見る会に使いたいです『闇営業』」(同12月4日)

「客いても都合で締める安倍商店」
「閉じたって満開のまま年跨(また)ぎ」
「日本に要る頬っ被り禁止法」(同12月10日)

「一字から万事が見える桜かな」
「信なくも立ち続けてるその不思議」
「支持率の落ちて天下の怒気を知る」
「文科省目玉二つを落っことし」
「首里首里と奏で辺野古を忘れさせ」(12月14日)

だがこのような風刺川柳は戦前には絶対に許されなかった。「手と足をもいだ丸太にしてかえし」などの川柳で反戦を訴え続けた鶴彬(つるあきら)は反戦的との理由で1937年に検挙され翌38年に29歳で獄死した。

自民党の改憲草案(2012年4月27日決定)によれば、第21条「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する」には「2 前項の規定にかかわらず、公益及び公の秩序を害することを目的とした活動を行い、並びにそれを目的として結社することは認められない。」との制限条項を付けている。これは戦前復帰の第一歩であり、恐ろしいことだ。

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