緊急警告009号 憲法擁護義務違反の安倍内閣は総辞職に値する

 首相はかねてから改憲発言を重ねているが、この3月2日、参院予算委員会で「私の在任中に(改憲を)成し遂げたい」と明言した。首相は「自民党の立党当初から党是として憲法改正を掲げている。私は総裁であり、それを目指したい」と、総裁任期の残り2年半のうちに改憲を成し遂げたいとの意欲を示した。
 首相が予算委員会に出席を求められたのは内閣総理大臣としてであり、自民党総裁としてではなく、事実、この発言はすべてのメディアによって首相発言として伝えられた。
 また、中谷元・防衛相も2月27日、民放のテレビ番組に出演した際、自衛隊を明確に位置づけるために9条改定が必要だとの持論を展開、3月2日の参院予算委でも、改憲の必要性を再び強調した。
 このような、安倍首相や安倍内閣閣僚による度重なる改憲発言は、国務大臣や国会議員をはじめとする公務員の憲法尊重擁護義務を定めた憲法99条に明確に違反するものである。こうした安倍首相以下、閣僚が繰り返し改憲発言を行う背景には、新憲法制定を活動方針に掲げる日本会議国会議員懇談会のメンバーが多数、安倍内閣の閣僚に含まれているという事実がある。
 今から60年前の1956年3月16日、安倍首相の祖父・岸信介らが国会に提出した「憲法調査会法案」の公聴会が衆院内閣委員会で開かれた際、公述人である法学者・戒能通孝都立大教授(当時)は、「内閣が国民を指導して憲法改正を企図するということは、むしろ憲法が禁じているところである」と明快に証言している(注)。
 このような明確な違憲発言を繰り返す安倍内閣は、即刻、総辞職に値する。

(注)このとき戒能通孝氏は、次のような陳述を行っている。
 「憲法の改正は、ご承知のとおり内閣の提案すべき事項ではございません。内閣は憲法の忠実な執行者であり、また憲法のもとにおいて法規をまじめに実行するところの行政機関であります。したがって、内閣が各種の法律を審査いたしまして、憲法に違反するかどうかを調査することは十分できます。しかし憲法を批判し、憲法を検討して、そして憲法を変えるような提案をすることは、内閣にはなんらの権限がないのであります。(……)内閣に憲法改正案の提出権がないということは、内閣が憲法を忠実に実行すべき機関である、憲法を否定したり、あるいはまた批判したりすべき機関ではないという趣旨をあらわしているのだと思うのであります。憲法の改正を論議するのは、本来国民であります。内閣が国民を指導して憲法改正を企図するということは、むしろ憲法が禁じているところであるというふうに私は感じております。(……)元来内閣に憲法の批判権がないということは、憲法そのものの立場から申しまして当然でございます。内閣は、けっして国権の最高機関ではございません。したがって国権の最高機関でないものが、自分のよって立っておるところの憲法を批判したり否定したりするということは、矛盾でございます。こうした憲法擁護の義務を負っているものが憲法を非難する、あるいは批判するということは、論理から申しましてもむしろ矛盾であると言っていいと思います」(1956(昭和31)年3月16日 第24回国会 衆議院内閣委員会公聴会。保阪正康『50年前の憲法第論争』講談社現代新書、2007年より引用)。

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