普通の人の憲法観

私の詩の仲間、稲葉嘉和が「憲法」という詩を書いている。彼の詩誌「転々通信」189号、2015年9月に出ているこの詩を、ごく普通の人の憲法観として紹介させていただく。

 

憲法

 

俺の国にや 憲法というものがあるんだぜ

マンションの管理人の俺にもよ

 

いっておくけど

俺は それに世話になった事があるんだ

どうだビックリしただろう

俺が憲法と知り合い関係にあったってこと聞いてよ!

 

俺がもっと若えころ

急に会社からクビを言い渡されてさ

そんときゃ震えたネ

何が何だか分んなくなっちゃってさ

おもわず判を捺しちゃったネ

それでよくよく考えて

判を捺したのを取りかえした  けどネ

 

なんで急に首だなんて言われたのか

わからなかったけれど

咄嗟に思ったのは 大したこたあないけど

「俺にゃ憲法ってものが守ってくれている」

ってことさ

憲法には労働者を守る と書いてあったと思ってネ

それは当たらずとも遠からず

というところが在って

おれは それから4年も務めたたんだぜ

それからだ

俺と憲法と親戚づきあいをはじめたのは

その時はっきり分かったことだけど

仲間同士で しっかり守りたいよ

 

ほんとだよ

 

この作品には現憲法に対する労働者の親近感がにじんでいる。自民党の改憲案が通ればこうは行かない。現憲法のもつ徳だ。この徳を手放したくない。世の中をさらにギスギスさせたくない。現憲法は荒れた世相に残された真珠のようだ。

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